Contract
令和3年2月26日京 都 市 交 通 局企画総務部財務課
xxx単価及び当初契約時点の材料単価等に基づく請負代金額に変更する特例措置等について
交通局では,令和3年3月から適用する公共工事設計労務単価(以下「xxx単価」という。)が決定されたことを受けて,原則として令和3年4月1日にxxx単価で積算した入札へと移行するとともに,以下の取扱いを開始することとしましたので,お知らせします。
なお,令和2年度に実施された公共事業労務費調査では,一部の単価が前年を下回っていましたが,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響により,一時的に賃金支払いが抑制されている可能性が懸念されることから,このたびのxxx単価においては,前年度を下回った単価について,昨年度単価に据え置く特別措置が実施されています。
・令和3年3月1日以降に契約を締結する工事のうち,旧労務単価で積算した工事について,請負者の請求に基づき,新単価(xxx単価,当初契約時点における材料単価及び機械損料等)での積算に基づく請負代金額に変更する特例措置を実施する。
・令和3年2月28日以前に契約を締結した工事のうち,請負者の請求に基づき,交通局と協議して決定する基準日から残工期が2箇月以上ある工事等について,賃金等の急激な変動に対処するためのインフレスライド条項(工事請負契約約款第28条第7項)(令和2年3月
31日以前に締結した契約においては,同契約第25条第7項)を適用し,新単価(xxx単価,基準日における材料単価及び機械損料等)での積算に基づき,一定額の変更を実施する。
記
1 xxx単価及び当初契約時点の材料単価等に基づく請負代金額に変更する特例措置の実施
⑴ 適用対象工事
令和3年3月1日以降に契約を締結する工事のうち,旧労務単価で予定価格を積算しているもの。
⑵ 協議の請求
協議の請求は,書面(様式1)により行うこととし,令和3年3月1日から協議の請求の受付を開始します。
請求期限は,当該工事の契約締結の日から30日以内とします。工期が年度内の工事については,速やかに請求してください。
⑶ 協議の請求先
対象工事の工事担当課
⑷ 請負代金額の変更
変更後の請負代金額は,次の式により算定します。変更後の請負代金額=P新×k
この式において,P新及びkは,それぞれ次の額を表すものとします。 P新:xxx単価及び当初契約時点の物価により積算された予定価格 k :当初契約の落札率
⑸ 適用している労務単価の判断方法
令和3年3月31日までの入札公告の工事は,全て旧労務単価を適用します。
令和3年4月1日以降の入札公告の工事は,原則としてxxx単価を適用します。ただし,例外的に旧労務単価を適用しているものについては,設計図書及び入札公告にその旨を明記します(令和2年5月1日以降の入札公告の工事は,全てxxx単価を適用します。)。
⑹ その他の特例措置
令和3年2月28日以前に契約を締結した工事のうち,令和3年3月1日時点で工期の始期が到来していないものであって,旧労務単価で予定価格を積算しているものについては,
2のインフレスライド条項の適用を準用します。
2 インフレスライド条項(工事請負契約約款第25条第7項)の適用
⑴ 適用対象工事等
ア 令和3年2月28日以前に契約を締結した工事のうち,令和3年3月1日時点で工期の始期が到来しているものであって,旧労務単価で予定価格を積算しているもの。
イ 2(2)ウに定める残工期が,2(2)イに定める基準日から2箇月以上あること。
ウ 発注者及び請負者によるスライドの適用対象工事の確認時期は,賃金水準の変更がなされた時とします。
⑵ 請求日及び基準日等
請求日及び基準日等の定義は,以下のとおりとします。
ア 請求日:スライド変更の可能性があるため,発注者又は請負者が請負代金額の変更の協議(以下「スライド協議」という。)を請求した日とします。
イ 基準日:請求があった日から起算して,14日以内で発注者と請負者とが協議して定め
る日とし,請求日とすることを基本とします。ウ 残工期:基準日以降の工事期間とします。
⑶ スライド協議の請求
発注者又は請負者からのスライド協議の請求は,書面(様式2)により行うこととし,令和3年3月1日から協議の請求の受付を開始します。請求期限は,直近の賃金水準の変更から,次の賃金水準の変更がなされるまでとします。
⑷ スライド協議の請求先対象工事の工事担当課
⑸ 請負代金額の変更
ア 賃金水準又は物価水準の変動による請負代金額の変更額(以下「スライド額」という。)は,当該工事に係る変動額のうち請負代金額から基準日における出来形部分に相応する請負代金額を控除した額の100分の1に相当する金額を超える額とします。(スライド額の算定に当たっては,消費税及び地方消費税の税率改正による増額分は考慮しません。)
イ 増額スライド額については,次の式により行います。
S増=[P2-P1-(P1×1/100)]×(消費税及び地方消費税の税率)
この式において,S増,P1及びP2は,それぞれ次の額を表すものとします。 S増:増額スライド額
P1:請負工事価格から基準日における出来形部分に相応する請負工事価格を控除した額(税抜き) P2:変動後(基準日)の賃金又は物価を基礎として算出したP1に相当する額(税抜き)
(P=Σ(α×Z),α:単価合意比率又は請負比率(落札率),Z:市積算額)
ウ 減額スライド額については,次の式により行います。
S減=[P2-P1+(P1×1/100)]×(消費税及び地方消費税の税率)
この式において,S減,P1及びP2は,それぞれ次の額を表すものとします。 S減:減額スライド額
P1:請負工事価格から基準日における出来形部分に相応する請負工事価格を控除した額(税抜き) P2:変動後(基準日)の賃金又は物価を基礎として算出したP1に相当する額(税抜き)
(P=Σ(α×Z),α:単価合意比率又は請負比率(落札率),Z:市積算額)
エ スライド額は,労務単価,材料単価,機械器具損料並びにこれらに伴う共通仮設費,現場管理費及び一般管理費等の変更について行われるものであり,歩掛の変更については,考慮するものではありません。
⑹ 残工事量の算定
ア 基準日における残工事量を算定するために行う出来形数量の確認は,数量総括表に対応して出来高確認を行うものとすること。
イ 基準日までに変更契約を行っていないが,先行指示されている設計量についても,基準日以降の残工事量については,スライドの対象とすること。
ウ 現場搬入材料については,認定したものは出来形数量として取り扱うこと。また,下記の材料等についても,出来形数量として取り扱います。
・ 工場製作品については,工場での確認又はミルシート等で在庫確保が証明できる材料は出来形数量として取り扱います。
・ 基準日以前に配置済みの現地据付型の建設機械及び仮設材料等(架設用クレーン,仮設鋼材など)も出来形の対象とします
・ 契約書にて工事材料契約の完了が確認でき,近隣のストックヤード等で在庫確認が可能な材料は出来形数量として取り扱います。
エ 数量総括表で一式明示した仮設工についても,出来形数量の対象とできます。
オ 出来形数量の計上方法については,発注者側に換算数量がない場合は,請負者側の当該工種に対する構成比率により出来形数量を算出してもよいこととします。
カ 請負者の責めに帰すべき事由により遅延していると認められる工事量は,増額スライドの場合は,出来形部分に含めるものとし,減額スライドの場合は,出来形部分に含めないものとします。
⑺ 物価指数
発注者は,積算に使用する単価を用いた変動率を物価指数とすることを基本とします。なお,請負者の協議資料等に基づき双方で合意した場合は,別途の物価指数を用いることができます。
⑻ 変更契約の時期
スライド額に係る契約変更は,精算変更時点で行うことができます。
⑼ 全体スライド及び単品スライド条項の併用
ア 工事請負契約約款第28条(令和2年3月31日までに締結した契約においては,同約款第25条)第1項から第5項までに規定する全体スライド条項に基づく請負代金額の変更を実施した後であっても,本通知によるスライドを請求することができます。
イ 本通知に基づき請負代金額の変更を実施した後であっても,工事請負契約約款第28条
(令和2年3月31日までに締結した契約においては,同約款第25条)第6項に規定する単品スライド条項に基づく請負代金額の変更を請求することができます。
3 技能労働者への適切な水準の賃金の支払い
公共工事の品質確保の促進に関する法律(以下「公共工事品質確保法」という。)においては,受注者等の責務として,下請負人に使用される技能労働者等の賃金その他の労働環境が適正に整備されるよう,市場における労務の取引価格,保険料等を的確に反映した適正な額の請負代金等を定める下請契約を締結すること(第8条第2項)等が位置付けられています。
特に,今般のxxx単価の決定に当たっては,新型コロナウイルス感染症の影響下にあることを踏まえた特別措置の対象が約4割超の地域・職種に及んでいるという状況にあることに御留意いただき,技能労働者の確保・育成のためには,技能労働者の賃金を引き上げ,公共工事設計労務単価の上昇等を通じて更なる賃金の引上げにつながる好循環を継続させることが重要であり,改めて,元請業者及び下請業者ともにこのことを十分に踏まえ,技能労働者の賃金水準の引上げを図ることが必要です。つきましては,元請業者においては,市場における労務の取引価格等を的確に反映した適正な価格での下請契約の締結を徹底するとともに,下請業者に対し,再下請業者との下請契約における,市場における労務の取引価格等を的確に反映した適正な価格での契約の締結や,技能労働者への適切な水準の賃金の支払いを要請する等,現場を支える技能労働者の隅々まで適切な水準の賃金が支払われるよう,最大限努めてください。なお,令和元年度に国土交通省が実施した社会保険の加入及び賃金の状況等に関する調査(以下,
「実態調査」という。)によれば,xxの下請業者において,技能労働者の賃金が低い傾向となっており,また,賃金を引き上げたとの回答の割合も低くなっていることも踏まえ,元請業者においては,下請契約の締結に際してこうした状況を考慮するとともに,下請業者においては,自ら雇用する技能労働者の賃金水準の引上げを図ってください。
4 法定福利費の適切な支払いと社会保険等への加入徹底に関する指導
改正後の公共工事品質確保法第8条第2項においては,受注者等の責務として,下請契約を締結するときは,保険料等を的確に反映した適正な額の請負代金によることが規定されたところであり,xxx単価においても,引き続き,技能労働者が社会保険等に加入するために必要な社会保険料の本人負担分が勘案されているほか,平成24年に行われた現場管理費率式の見直しにより,事業主が負担すべき法定福利費についても,適切に予定価格に反映されるよう措置されています。
これらを踏まえ,元請業者においては,受注時における適正な法定福利費等(社会保険料の事業主負担分及び本人負担分)の確保に努めてください。また,実態調査によると,xxの下請業者ほど十分に法定福利費を受け取れていない工事の割合が多い傾向が見られたことを踏まえ,必要な法定福利費が確実に確保されるよう,下請業者に対し,見積条件に明示すること等により,法定福利費を内訳明示した見積書の提出を促してください。さらに,提出された見積書を尊重して法定福利費等を適正に含んだ額により下請契約を締結するようにしてください。併せて,下請契約の締結にあたっては,社会保険料の本人負担分についても適切に請負金額に反映してください。
また,下請業者においては,注文者(元請業者又は直近上位の下請業者)に対し,標準見積書の活用等により,法定福利費を内訳明示した見積書を提出するとともに,再下請業者に対し,法定福利費を内訳明示した見積書の提出を促し,提出された見積書を尊重してください。併せて,自ら雇用する技能労働者に対し,社会保険料の本人負担分を適切に含んだ額の賃金を支払い,法令が求める社会保険等に加入させてください。
5 若年入職者の積極的な確保
若年労働者の処遇改善により若年入職者を確保した企業が円滑な技能承継を通じて成長していくといった健全な循環を形成することができるよう,若年労働者の賃金引上げと社会保険等への加入徹底により,処遇改善を一層進めるとともに8で後述する建設キャリアアップシステムを活用し技能労働者のキャリアパスと処遇の見通しを示す取組を進めることによって,若年入職者の確保を更に積極的に推進してください。
6 ダンピング受注の取り止め
ダンピング受注は下請業者へのしわ寄せや技能労働者の賃金水準低下等につながりやすく,担い手の確保・育成を困難とするものであることから,適正な金額による契約締結を徹底し,ダンピング受注を取り止めてください。
また,建設業法第19条の3に規定されているとおり,自己の取引上の地位を不当に利用して,工事の施工に通常必要と認められる原価に満たない金額での契約を締結してはならないことについて,改めて趣旨を徹底してください。
7 適正な工期設定に伴う必要経費の確保について
工期の設定に当たっては,平成30年7月に改訂された「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」(建設業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議申合せ)に基づき,引き続き,適正な工期での請負契約を締結することに努めていただくとともに,適正な工期設定に伴い,労務費(社会保険料の本人負担分を含む賃金)は勿論のこと,社会保険の法定福利費(社会保険料の事業主負担分),建設業退職金共済制度に基づく事業主負担額などの必要経費にしわ寄せが生じないよう,法定福利費等を見積書や請負代金内訳書に明示すること等を通じて,適正な請負代金による請負契約を締結してください。また,下請契約においても,これらの必要経費を含んだ適正な請負代金による下請契約を締結してください。
また,「工期に関する基準」(令和2年7月中央建設業審議会作成・勧告)において,建設業の担い手一人ひとりが週休2日(4週8休)を確保できるようにすることが重要であるとされているとともに,週休2日の確保に当たっては,日給月給制の技能労働者等の処遇水準の確保に留意し,労務費その他の必要経費に係る見直し等の効果が確実に行き渡るよう,適切な賃金水準の確保等を図ることが必要であるとされていることを踏まえ,適切に対応いただきますようお願いします。
一方,工程遅延等が生じたにもかかわらず工期延長ができず,後工程の作業の短期間での実
施を余儀なくされる場合等には,受発注者間で協議を行ったうえで,必要に応じて,短期間施工に伴う人件費の補填など必要となる請負代金の額の変更等,変更契約を適切に行うとともに,その結果を適切に元xxの契約に反映させてください。
8 建設キャリアアップシステムによる技能労働者の処遇改善について
建設キャリアアップシステムは,技能労働者が有する資格や現場の就業履歴等を登録・蓄積することによって,技能労働者がその技能と経験に応じた適正な評価と,給与の引上げなどの適切な処遇が受けられ,さらに若い世代にキャリアパスや処遇の見通しを示すことで将来の担い手確保につなげることを目的とするものです。
つきましては,以下の事項について,実情に応じ,着実に進めていただきますようお願いいたします。
⑴ 各建設業団体の会員企業において,早期に事業者登録及び技能者登録を進めてください。
⑵ 会員企業が元請として工事を受注した場合においては,建設技能者による適切な就業履歴の蓄積を阻害しないよう,現場・契約登録,施工体制登録,カードリーダーの設置等を行うとともに,その工事に従事する下請業者に対して施工体制への事業者及び技能者登録を行うよう指導してください。
⑶ 会員企業において,建設キャリアアップシステムの事業者登録及び技能者登録が進むよう,セミナーや説明会等,様々な機会を捉えて,建設キャリアアップシステムの意義や必要性等 についての理解促進に努めてください。
⑷ 実際にシステムを利用することを通じて効果の把握や理解の浸透が進むような取組を積極的に進めてください。