企 業 名 株式会社安部日鋼工業 所 在 地 岐阜県岐阜市六条大溝 3 丁目 13 番 3 号 代 表 者 井手口 哲朗 事業内 容 プレストレストコンクリート(PC)製品の製造、施工、販売 資 本 金 30,150 万円 設 立 1965 年 9 月 1 日 第三者評価機関 株式会社 格付投資情報センター評価レポート:https://www.r-i.co.jp/rating/esg/index.html
2024 年 9 月 20 日
株式会社安部日鋼工業との
ポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結について
岐阜信用金庫(理事長 好岡 政宏)は、持続可能な社会への貢献を共に実現するため、株式会社安部日鋼工業(代表取締役 井手口 哲朗)と、「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の契約を締結いたしましたのでお知らせします。
岐阜信用金庫は、引き続き、地域金融機関としての責任を果たし、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの普及と持続可能な社会を実現するために、お客さまの目標にあわせたサポートを行い、ポジティブな社会的、環境的、経済的なインパクトの実現に積極的に取り組
んでいきます。
記
【契約内容】
実 行 日 | 2024 年 9 月 20 日 |
融 資 金 額 | 500 百万円 |
期 間 | 5 年 |
資 金 使 途 | 事業資金 |
【企業概要】
企 業 名 | 株式会社安部日鋼工業 |
所 在 地 | 岐阜県岐阜市六条大溝 3 丁目 13 番 3 号 |
代 表 者 | 井手口 哲朗 |
事業内 容 | プレストレストコンクリート(PC)製品の製造、施工、販売 |
資 本 金 | 30,150 万円 |
設 立 | 1965 年 9 月 1 日 |
第三者評価機関 | 株式会社 格付投資情報センター |
以 上
株式会社安部日鋼工業
ポジティブインパクトファイナンス評価書
発行日:2024 年 9 月 20 日
発行者:岐阜信用金庫 ソリューション営業部
岐阜信用金庫は、株式会社安部日鋼工業(以下、安部日鋼工業という)に対してポジティブインパクトファイナンス(以下、「PIF」)を実施するにあたって、同社の事業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブインパクトおよびネガティブインパクト)を分析・評価した。この分析・評価は、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した PIF 原則および PIF 実施ガイド
(モデル・フレームワーク)、ESG 金融ハイレベル・パネルにおいてポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に則ったうえで、岐阜信用金庫が開発し
た評価体系に基づいている。
目次
(3) 社員のモチベーション向上と人材育成に資する取り組み 13
1.事業概要
同社は 1949 年の創業以来、岐阜県岐阜市に本社を構えるプレストレストコンクリート
(PC)1構造物の施工および製造業であり、交通を支える橋梁、生活の基盤となる給水タンク、鉄道を支えるまくらぎ、耐震性が優れる PC 建築などを主要製品・サービスとし、国内はもとより海外へも活躍のフィールドを広げ、自社の事業展開を通じて社会に安心や利便性を届ける役割を担っている。
岐阜県・福島県・滋賀県・福岡県に 5 つの工場を持ち、厳格な品質管理の下で製品の安定供給を行うとともに、コンクリートの可能性を広げるために、時流に沿った新しい技術の獲得を目指し、研究開発にも力を入れている。
<組織図>
1 荷重によってコンクリートに生ずる引張応力を打ち消す目的で、圧縮応力(プレストレス)をあらかじめコンクリートに人工的に加えることによってひび割れを防止。従来コンクリート構造よりも強度・耐久性に優れ、長寿命化を図った構造材料を指す。主に橋梁や高層ビルなど、大きなスパンや高い耐荷重が求められる構造物に使用される。
<企業情報>
企業名 | 株式会社安部日鋼工業 |
代表者 | 井手口 哲朗 |
本社所在地 | 岐阜県岐阜市六条大溝 3-13-3 |
資本金 | 3億150万円 |
創業 設立 | 1949 年 2 月 1965 年 9 月 |
事業内容 | プレストレストコンクリート(PC)製品の製造、施工、販売 |
売上高 | 284 億円(2024 年 6 月期) |
従業員数 | 540 名(2024 年 9 月現在) |
本社・支店 | 東京本社・支店:東京都新宿区下落合 2-3-18 SK ビル S 棟 3 階東北支店:宮城県仙台市青葉区国分町 1-6-18 東北王子不動産ビル 6 階 中部支店:愛知県名古屋市中村区名駅一丁目 1-3 JRゲートタワー43階 大阪支店:大阪府大阪市淀川区西中島 6-1-3 アストロ新大阪第 2 ビル 6 階 九州支店:福岡県福岡市博多区博多駅東 1-12-6 花村ビル 6 階 |
工場 | 須賀川工場:福島県須賀川市森宿字ウツロ田 13-2 郡山工場:福島県郡山市上伊豆島 1-12 岐阜本巣工場:岐阜県本巣市曽井中島 1170 滋賀工場:滋賀県湖南市岩根字焼尾 136-4 大牟田工場:福岡県大牟田市健老町 62 |
機材センター | 関東機材センター:茨城県結城市武井 1118-3 中部機材センター:岐阜県山県市掛 423-1 九州機材センター:福岡県大牟田市健老町 37-1 |
海外拠点 | スリランカ事務所:12A,Bawa Place,Colombo 08,Sri Lanka |
資格・認証 | ・建設業許可番号 国土交通大臣許可(特-4)第2632号 ・一級建築士 ・岐阜県知事登録第8848号(事務所登録番号) |
特許保有 | これまでに 132 件の特許査定を有し、42 件を保有 |
1949 年 | 合資会社安部工業所創業 |
1953 年 | 資本金250万円に増資 |
1957 年 | 三里工場(PC工場)を建設 操業開始 |
1959 年 | 一級建築士事務所登録 |
1962 年 | 資本金380万円に増資 糸貫工場(PC工場)を建設 操業開始 |
1965 年 | 株式会社に組織変更 資本金2,500万円に増資 |
1966 年 | 資本金4,000万円に増資 |
1969 年 | 資本金1億円に増資 |
1971 年 | 大牟田工場(PC工場)を建設 操業開始 |
1972 年 | 資本金1億8,000万円に増資 |
1976 年 | 資本金2億5,000万円に増資 |
1983 年 | 東京本社を開設、資本金3億円に増資 |
1989 年 | 三里工場を糸貫工場に統合し、岐阜工場に改称 |
1996 年 | 大牟田工場を全面改築 |
1998 年 | ISO9001 認証取得 |
2003 年 | 岐阜本社新社屋落成 |
2005 年 | ISO14001 認証取得、日本鋼弦コンクリート株式会社の全株取得 |
2006 年 | 日本鋼弦コンクリート株式会社と合併 商号を株式会社安部日鋼工業に 変更、岐阜本巣工場(建築部材製造工場)を建設 操業開始 |
2007 年 | 大牟田工場にてJR九州向けまくらぎ製造開始 |
2009 年 | 滋賀工場にてJR東海向け「東海道新幹線脱線防止まくらぎ」製造開始 |
2011 年 | コスモス(COHSMS)認定取得 |
2013 年 | 子会社である(株)アベテクノを吸収合併 |
2023 年 | 郡山工場を建設 操業開始 |
①社是・社訓
②行動規範
③品質方針・環境理念・環境方針
➃SDGs への取り組み
同社はPC 技術を活用する建設業及び製造業者として、以下の使用例のような製品技術の提供を通じて地域における社会インフラを支え、品質の向上にも大きく貢献している。
PC 橋梁 | |
一般のコンクリート橋に比べ耐久性に優れ、長スパン化や軽量化などの多彩な橋梁形式が可能となる PC 橋梁建築技術を活用し、道路橋・鉄道橋・歩道橋など様々な PC 橋梁を建築環境に合わせた工法にて施工している。 | |
PC タンク | |
鉛直と円周方向にプレストレスを与え、ひび割れや漏水がなく十分な水密性と耐震性を有する PC タンク施工を通じて、震災時等においても給水ラインを維持することに貢献。また、高さと径のプロポーション設計の自由さから、美観性に優れたタンクを製造している。 | |
PC 建築 | |
部材断面を小さく、また重量も軽減でき、かつ大スパンが可能となるPCの特性を活かし、大空間を自由に構成する大規模建築物建築に貢献。公共施設をはじめ大型建築物を手がけ、多様な都市化のニーズに応えながら 100 年建物と言わ れる高寿命、高耐久を実現。 | |
PC まくらぎ | |
従来主流の木材に比べ環境に優しく、耐久性も高い。軌道としての安定性が良好な PC 製まくらぎメーカーの第一人者として、技術開発に取り組み、黎明期より新幹線をはじめ多くの国内鉄道に製品を提供。また、海外に対しても製品を輸出。 |
また、同社ではPC製品の新規提供のみでなく、高速道路の床版の取替工事や老朽化したドーム屋根の取替えなど、既存の建物の機能回復や補修、補強、改修にも対応している。各種建設工事で使用される「機材」、「機械」、「資材」の貸出については機材センターを全国 3 か所に設置し対応している。
2.サステナビリティ
同社では PC 技術は、交通を支える橋梁、生活の基盤となる給水タンク、鉄道を支えるまくらぎ、耐震性が優れるPC 建築など様々なシーンに使用され、PC 製品の提供を通じて社会インフラの構築ならびに、維持に貢献している。
【PC 製造技術を活用した各種製品の安定提供と施工】
・PC タンクの建設工事では国内シェア No1.の規模を誇り、PC 橋梁建設分野ではこれまで約 10,000 橋以上の施工等、各種建築施工の提供により、社会インフラの構築、維持に貢献。
・PC まくらぎの製造シェアにおいても国内 No.1 の規模を誇り、鉄道インフラの安全性、安定性を支えている。
・新規建築に加え、改修工事や補修工事、耐震補強工事といったメンテナンス工事にも対応し、社会インフラの長寿命化に貢献している。
【PC 製造技術高度化に向けた研究開発の推進】
・コンクリートの配合等の最適化によって従来同等の強度特性と硫酸抵抗性の向上を両立した
「耐酸性PCaPC(プレキャスト・プレストレストコンクリート)」の特許技術の公開をはじめ、新たな PC 製品製造技術の追求により社会インフラの維持向上に貢献している。
・効率的な施工に資する各種新施工方式の開発、検証や、地震・津波などに強い高耐震性を誇る建築方式の開発、鋼製タンクの周囲を PC 製の防護壁を設置した構造で津波や漂流物の衝突に耐える国内初の「津波対応型燃料タンク」の開発等を通じて社会インフラの持続性向上へと貢献している。
同社では地球環境問題や変化する環境ニーズに対応した新たな環境技術の開発(特許多数保有)に取り組み、安全・安心な環境技術を通じて、持続可能な社会の構築に貢献。
【社会全体での CO₂排出量削減に貢献する施設、設備の建築】
【液化アンモニア低温タンク】 | 【洋上風力】 |
・「カーボンフリー」の燃料であり、火力発電分野では化石燃料に代わる次世代エネルギーとして注目度が高まる液化アンモニア低温タンクや、洋上風力、バイオマスなど再生可能エネルギー発電施設の構造物建築にプレストレストコンクリート製造技術を提供し、高品質な構造物建築を通じて社会全体での CO₂排出量削減と脱炭素社会の構築を下支えしている。
【産業廃棄物の削減、適正廃棄への取り組み】
・太陽光パネル由来の廃ガラスを利用したコンクリートや、産業副産物由来の高炉スラグ微粉末を用いた高耐久性 PC 構造物の開発など、再生材利用を推進することで社会全体としての産業廃棄物の削減に貢献している。
太陽光パネルの廃ガラスのほぼ全量をコンクリート用混和剤(微粉末)および細骨材として再活用する独自技術の開発により、廃棄物をリサイクルし、セメントや天然骨材の使用量を削減することで持続可能な未来を築くためのエコフレンドリーなアプローチを実践している。 |
・超高強度繊維補強コンクリート(UFC)やひずみ硬化型セメント系複合材料(HPFRCC)などの優れた強度特性や変形性能を有する材料を用いた技術開発の追求により、従来のコンクリートと比較して鉄筋等の資材利用量を削減が可能となるなど、社会全体での資材使用量の削減へと貢献している。
従来のコンクリート材料に、更なる強度特性と変形性能ならびにエネルギー吸収性を付与するなどしつつ、構造物の軽量化、省スペース化と耐久性向上を同時に達成し、建築1 件当たりの資材利用量を削減すると同時に長寿命化によって社会全体での廃棄物抑制に貢献している。 |
【排水中和装置】 | 【残コンクリート処理装置】 |
・製品製造する際に発生する残コンクリートについても計画的に製造し、過剰な廃棄物が発生しないように努めている。すべての工場にて残コンクリート処理装置にて水・骨材・セメントペーストに分離し、骨材は再利用、セメントペーストのみを廃棄物を最小限の量にしたうえで適切な廃棄処理をしている。分離後の水については強アルカリ性排水のため排水中和装置により中和処理して排水をしている。
【省エネルギー化推進への取り組み】
・PC タンクを 5,000 余基以上の施工実績を持つ同社はエアードーム工法2、テムコアルミドーム工法3をはじめとする新たな工法の積極的な導入・開発や、点検用ドローン等の ICT 技術を積極的に取り入れることで工事の施工、点検、メンテナンスの効率化を追求することでの省エネ化を推進している。
・生産設備の定期的な省エネ設備への更新、効率的な施工プログラムの開発、利用により、生産過程における過剰なエネルギー使用の抑制に取り組んでいる。
・社内照明 LED 化推進を通じて、事務所、工場のエネルギー使用量を削減している。
・事業活動で排出される CO₂の中心となる電気使用量について、月次単位で使用量推移を把握できる環境を整備し、使用実績に基づく電力量削減に向けた改善活動への取り組み。
・BIM/CIM4を活用した施工管理技術の高度化を通じて鋼材の干渉、重機の配置など様々な工事施工時に発生しうる問題を施工着手前に把握、検討し、入念に施工計画を立てることで効率的な工事を実現することでの省エネ化を推進。
最新のICT を活用し、建設生産システムの計画、調査、設計、施工、管理の各段階において情報を共有することで効率的で質の高い建設生産・管理システムの構築を実現しており、効率的工事施工を通じたエネルギー使用量の削減。 |
2 https://www.abe-nikko.co.jp/solution/solution_4/
3 https://www.abe-nikko.co.jp/solution/solution_2/
4 https://www.abe-nikko.co.jp/solution/method-cim/
計画、調査、設計段階から 3 次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理の各段階においても
3 次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図る取り組み。
同社は個々の従業員がやりがいを持って健康に働き続けられる会社を目指し取り組んでいる。
【従業員のスキルアップ、モチベーション向上に向けた取り組み】
・従業員個々のキャリアプラン希望を踏まえ、目的に応じた多様な研修制度の充実により従業員がスキルアップ、キャリアアップに励むことができる以下の各種研修・講習を整備している。
若手社員フォロー研修/階層別研修等/技術を未来に伝えていくための技術継承、現場代理人研修/従業員のキャリアアップを支援する資格取得およびフォロー講習/英会話教室/各種安全教育、特別教育など、 | |
従業員の技術的スキルの維持向上、また持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにするため、計画的な教育支援活動に取り組んでおり、環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善につなげていくことを志向している。 |
・自己啓発支援制度として一級土木施工管理技士、プレストレストコンクリート技士など業務に資するとして会社が認めた資格について月々の手当および取得一時金を支給している。
・毎期提出する自己申告書によって希望する勤務地と職種を確認し、上長面談のうえで本人希望を踏まえた人員配置へと反映させている。
・従業員が男女問わず活躍できる環境を志向しており、女性活躍推進の場として現場で実施されている安全衛生活動に女性目線でのチェックを導入し、現場全体の安全意識の向上および現場の雰囲気のより良い改善、現場周辺環境の保全を図っている。
「安全はすべてに優先する」という基本理念のもと、女性ならではの視点から現場の安全衛 生面をチェックする女性安全衛生パトロール隊『ABE せーふてぃ FLOWERS』を 2016 年に結成。 |
【多様な人材の就労機会の創出に向けた取り組み】
・再雇用制度の活用による高齢者就業機会の創出、産休・育休・介護休業制度の制定、活用等を通じた多様な従業員の雇用機会の創出を実現していることに加え、従業員のワーク・ライフ・バランス確保に努めている。また、労働条件については従業員 1 名 1 名と面談のうえ個々の状況を勘案して決定し、フレックス勤務制度等も活用しながら多様な人材が柔軟に働き続けられる環境整備に努めている。
・受注スケジュールに基づく繁閑見込みについて社内全体で共有し、案件納期を遵守しながらも各従業員が有給休暇を取得しやすい環境を整備し、取得を推奨している。
【従業員が健やかに働き続けられる職場環境形成に向けた取り組み】
・作業着の支給、安全関連備品の支給など、従業員が健やかに働き続けられる職場環境整備に努めている。
・インフルエンザ予防接種費用の会社負担や、36 歳以上の社員に対し隔年での人間ドック受診を会社費用により実施することで従業員の健康維持・増進に努めている。
・所属する従業員の疾病による入院を対象とした疾病入院医療費用保険および付帯サービスを受けられる環境を整備し、もしもの時も安心して従業員およびその家族が生活できる体制作りに努めている。
・従業員の家族や内定者も利用できる福利厚生倶楽部への加入、入社から学校機関卒業後最長 5 年間、奨学金返還の支援を行う奨学金返還支援制度など福利厚生制度の充実によっても安心して働き続けられる職場環境の形成に努めている。
・働き方改革実行委員会の開催、社内外に相談窓口を設置など、社員が働きやすい環境づくりに全社的に取り組んでおり、ワークライフバランスの推進のため各種制度作りや施策を推進していることで、「新はつらつ職場づくり宣言」、「ぎふし共育・女性活躍企業認定証」、「ぎふ建設人材育成リーディング企業」、「ワーク・ワイフバランス推進エクセレント企業」などの各種認定、表彰を受けている。
同社では地域と一体となって社会資本を維持していくため、地域社会への貢献活動についても積極的に取り組んでいる。具体的な取り組み内容は下記の通りである。
・次世代育成支援の一環として、小学生、中学生、高校生、大学生の企業訪問、インターンシップを積極的に受け入れている。また、工事現場や工場を公開して見学可能とし、PC 技術や建設の仕事を紹介することで建設業界に対する理解を深める学習機会を提供している。
・地域住民・団体や企業の自発的なボランティア活動により、道路の一定区間を定期的に清掃や除草等の道路の維持管理を行う「ぎふ・ロード・プレーヤー」に参加し、岐阜市六条大溝の道路や水路等で清掃活動を実施している。また、周辺美化活動として周辺企業や地域の
方々と協力して河川敷の清掃活動を行なう「川と海のクリーン大作戦」に参加している。
・FC 岐阜、飛騨高山ブラックブルズ岐阜など地域スポーツチームのオフィシャルパートナーとしてスポーツチームの支援を通じた社会貢献活動を推進し、スポーツ振興に携わるとともに地域の活性化に貢献している。
地域スポーツチームのホームゲームやイベント開催時には子どもたちが楽しみながら建設業が学べるブースの出展などに積極的に協力し、地域におけるスポーツ振興と地域活性化に貢献している。 |
・本社に設置している防災倉庫に水や食料、毛布などの災害備蓄品を完備し、有事の際は地域へ避難施設として開放する体制を整備するとともに、岐阜本社では年に 1 回、避難訓練を実施し、緊急時における通報、防災設備の使用方法の確認、避難経路の確認を行うとともに、設備の点検を行うことで地域防災拠点としての役割を担っている。
3.インパクトの特定
インパクトの特定のため、同社主力事業についてバリューチェーン分析を実施した。
同社ではプレストレストコンクリートの技術を活用した事業を展開し、PC タンクの建設工事ならびに PC まくらぎの製造では国内シェア No.1 規模、PC 橋梁の建設分野ではこれまで約 10,000 橋の建設実績を誇るなど、国内外の社会インフラの整備へ貢献している。
また、リサイクル素材等を活用した新製造技術の開発や、建築物等の高度化、建築プロセスの効率化に資する新工法の開発を通じて社会資本の維持の効率化へと貢献している。
同社のバリューチェーン図
(図は同社提供資料をもとに岐阜信用金庫にて作成)
先述のバリューチェーン分析の結果をもとに、インパクトマッピングを実施する。
同社の事業および川上・川下の事業を国際産業標準分類(ISIC)上の業種カテゴリに適用させた上、UNEP FI が提供するインパクトレーダーを用いて「ポジティブインパクト」(以下 PI)と
「ネガティブインパクト」(以下 NI)を想定する。
同社の事業については①「道路・鉄道建設業(ISIC:4210)」、②「その他の専門工事業
(ISIC:4390)」、③「コンクリート製品、セメント製品及び石膏製品製造業(ISIC:2395)」を、川上の事業については①「コンクリート製品、セメント製品及び石膏製品製造業(ISIC:2395)」、川下の事業については、①「道路・鉄道建設業(ISIC:4210)」、②「建築工事業
(ISIC:4100)」をそれぞれ適用し、発生するインパクトの検証を行った。
(機材レンタル事業は本業に占める割合が軽微であるため本評価書では対象外とする)
◎:主要カテゴリ ○:関連カテゴリ
川上の事業 | 同社の事業 | 川下の事業 | ||||||||||
① | ① | ② | ③ | ① | ② | |||||||
国際産業標準分類 インパクトカテゴリ | 【2395】 コンクリート製品、セメント製品及び石膏製品製造業 | 【4210】 道路・鉄道建設業 | 【4390】その他の 専門工事業 | 【2395】 コンクリート製品、セメント製品及び石 膏製品製造業 | 【4210】 道路・鉄道建設業 | 【4100】建築工事業 | ||||||
PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | PI | NI | |
水 | ||||||||||||
食糧 | ||||||||||||
住居 | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ||||||||
健康・衛生 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
教育 | ||||||||||||
雇用 | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ○ | ○ |
エネルギー | ○ | ○ | ||||||||||
移動手段 | ◎ | ◎ | ||||||||||
情報 | ||||||||||||
文化・伝統 | ○ | ○ | ○ | |||||||||
人格と人の安全保障 | ○ | |||||||||||
正義・公正 | ||||||||||||
強固な制度・平和・安定 | ||||||||||||
水(質) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
大気 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
土壌 | ○ | ○ | ○ | |||||||||
生物多様性と生態系サービス | ○ | ○ | ○ | |||||||||
資源効❹・安全性 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
気候 | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | |||||||
廃棄物 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ||||||
包括的で健全な経済 | ○ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | |||||||
経済収束 | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ |
上表のうち、同社の事業①における「文化・伝統」「経済収束」のカテゴリおよび同社の事業②における「住居」については同社事業活動が与える影響が軽微なものとなるため分析を割愛している。川上の事業と川下の事業については同社事業活動が与える影響については軽微なものとなるた
め、分析を割愛する。
同社の事業① 道路・鉄道建設業(ISIC:4210)
PI | 「雇用」「移動手段」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「健康・衛生」「雇用」「水(質)」「大気」「土壌」 「生物多様性と生態系サービス」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
同社の事業② その他の専門工事業(ISIC:4390)
PI | 「雇用」 |
NI | 「雇用」「廃棄物」 |
【社会面】
◆「健康・衛生」
建設資材が有害であった場合、労働者や利用者の健康が脅かされるという NI が発現する。
同社では環境法令順守と環境マネジメントシステムに基づく継続的な改善活動を通じて、確実な工事施工を提供することで NI を緩和している。
上記は SDG3「すべての人に健康と福祉を」に該当する。
◆「雇用」
従業員の雇用創出という PI と、労働形態によっては労働者の健康が脅かされるという NI が発現する。
同社では高齢者就業機会の創出、産休・育休・介護休暇制度、柔軟な勤務制度の制定、活用等による仕事と育児の両立支援等を通じて地域における多様な人材の雇用機会を創出しており、「新はつらつ職場づくり宣言」、「ぎふし共育・女性活躍企業認定証」、「ぎふ建設人材育成リーディング企業」、「ワーク・ワイフバランス推進エクセレント企業」などの各種認定、表彰を受けている。また、従業員個々のキャリアプラン希望を踏まえた充実したスキルアップ支援体制の整備や、女性活躍機会の創出に積極的に取り組み PI を拡大している。
一方、従業員が安全に就業できる環境を整えるための安全教育の徹底や各種保険制度の整備など福利厚生制度の充実を図ることや、働き方改革実行委員会の開催、社内外への相談窓口の設置などによって労働形態の改善に積極的に取り組み NI を緩和している。
上記は SDG5「ジェンダー平等を実現しよう」、SDG8「働きがいも経済成長も」に該当する。
□「8.5:2030 年までに、若者や障害者を含むすべての女性と男性にとって、完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事を実現し、同一労働同一賃金を達成する。」
□「8.8:移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある人々を含め、すべての労働者を対象に、労働基本権を保護し安全・安心な労働環境を促進する。」
◆「移動手段」
道路の整備を通じて自動車等による移動手段を普及させ、鉄道インフラの整備により人々の移動手段の高度化・安定化に貢献するという PI が発現する。
同社では、プレストレストコンクリートの高度な土木工事技術を活用し、様々な環境下における道路の新設、補修工事に対応することで安全な道路インフラを担保し、耐久性、メンテナンス性に優れたPC まくらぎの安定提供を通じて鉄道インフラの中核となる軌道の安全性、高機能化に貢献し、PI を拡大している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」と SDG11「住み続けられるまちづくりを」に該当する。
【環境面】
◆「水(質)」「土壌」「生物多様性と生態系サービス」
土木工事や舗装工事により水質汚染や土壌汚染が発生する可能性があり、工事によっては生態系への悪影響を及ぼす可能性があるという NI が発現する。
同社では工事現場に工事の進捗状況を示すとともに環境保全への取り組みを掲げることで、環境負荷低減を図りつつ、インフラ整備を手掛けている。具体的には、施工の際に排出される残コンクリートを適切に分離処理し、適切に排水するなどの工事現場における濁水対策や pH 測定、現場水域に生息する生物の保護などを行い、NI を緩和している。
上記は SDG6「安全な水とトイレを世界中に」、SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「6.6:2020 年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含めて、水系生態系の保護・回復を行う。」
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「大気」「資源効率・安全性」「気候」
非効率な事業活動や過剰なエネルギー使用により大気汚染や温室効果ガス排出量の増加につながるという NI が発現する。
同社では、BIM/CIM を活用した施工管理技術の高度化を通じて、効率的な工事を実現し、非効率な事業活動を抑制している。また、プレストレストコンクリートにおける施工によって、従来のコンクリート構造物と比較して、より少ない材料で大きな荷重を支えることが可能となり、コンクリートや鋼材の使用量を抑制することができる。また、耐久性が高く、構造物の長寿命化につながるため、川下を含めたライフサイクルコスト全体での資源消費量・CO₂排出量の低減といった PI が見込まれる。
施工現場では車両、重機、発電機や社用車の燃料転換、燃料削減に重点的に取り組み、過剰なエネルギー使用を抑制することで CO₂排出量を削減し NI を緩和している。
加えて、エアードーム工法、テムコアルミドーム工法をはじめとする新たな工法や多数の特許技術を保有する革新的な技術の積極的な導入・開発、およびドローン等の ICT 技術を積極的に取り入れることで工事施工、点検、メンテナンスの効率化を追求し省エネを実現して、NI を緩和させている。上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
□「12.4:2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクル全体を通して化学物質や廃棄物の環境に配慮した管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小限に抑えるため、大気、水、土壌への化学物質や廃棄物の放出を大幅に減らす。」
◆「廃棄物」
事業活動に伴い廃棄物や機械の廃棄が発生するというNIが発現する。
同社ではBIM/CIMを活用した施工管理技術の高度化を通じて、効率的な工事を実現し、過剰な資材発注を抑制することで廃棄物の削減に努めている。また、現場で発生する産業廃棄物については適正に分別し、リサイクル可能なものは業者に引き渡すことで地域における資源循環の向上に貢献し、NIを緩和している。
上記はSDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
□「12.5:2030 年までに、廃棄物の発生を、予防、削減(リデュース)、再生利用(リサイクル)や再利用(リユース)により大幅に減らす。」
【経済面】
◆「包括的で健全な経済」
土木工事の事業活動による生活の基盤となるインフラ整備を通じて、多様な経済セクターの発展を下支えするという PI が発現する。
同社では高品質なプレスストレストコンクリートを用いた工事によって、国土交通省や地方公共団体からの多数の表彰をはじめとする数多くの質の高い工事を提供することで、地域インフラの整備および国土強靭化に貢献し、PI を拡大している。
加えて地球環境問題や変化する環境ニーズに対応した新たな環境技術の開発(特許多数保有)に取り組み、安全・安心な環境技術による再生可能エネルギー施設の施工をすることで持続可能な社会の構築に貢献している。
上記は SDG9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に該当する。
同社の事業③ コンクリート製品、セメント製品及び石膏製品製造業(ISIC:2395)
PI | 「住居」「雇用」「包括的で健全な経済」 |
NI | 「雇用」「水(質)」「大気」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」 |
上表のうち、「雇用」「包括的で健全な経済」のカテゴリは同社の事業①および②と重複するため記載を省略。
【社会面】
◆「住居」
コンクリート製品の製造事業は、建築・土木問わず建設において 不可欠な材料であり、 供給を通じた地域の住環境に寄与するという PI が発現する。
同社では PC 製品の安定提供および様々な技術革新の推進と関連製品の普及を通じて、耐震性が高く安心・安全なまちづくりに貢献し、PI を拡大している。
上記は SDG11「住み続けられるまちづくりを」に該当する。
【環境面】
◆「水(質)」
コンクリート製品製造プロセスを通じ、水の汚染が発生する可能性があるという NI が発現する。同社では製造工程で排出される残コンクリートを適切に分離処理し、コンクリート製造で排出さ れるアルカリ性排水を排水中和装置により中和処理を施し、適切に排水していることから汚染など
に配慮し、NI の緩和に努めている。
上記は SDG6「安全な水とトイレを世界中に」に該当する。
□「6.6:2020 年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含めて、水系生態系の保護・回復を行う。」
◆「大気」「資源効率・安全性」「気候」
非効率な製造プロセスはエネルギー資源を過剰に使用し、大気を汚染し CO₂の増加要因となり気候に悪影響を及ぼすという NI が発現する。
同社では適正量でのコンクリート製品製造に努めている他、太陽光パネルの廃ガラスをコンクリート混和材(微粉末)および細骨材として再活用する独自技術や高炉による製銑プロセスで副産される高炉スラグ微粉末を使用するなどにより、セメントの使用量を削減することで、セメント製造 時に大量に発生する CO₂の排出を抑制している。
また、オフィス・工場における電力使用の省エネ化、再エネ化に取り組むことで事業活動に伴う過剰なエネルギー使用を抑制することで CO₂等の排出を削減し NI を緩和している。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」に該当する。
◆「廃棄物」
製造過程や工事で消費しきれなかったコンクリート材が適正に処分されないと産業廃棄物が増加するという NI が発現する。
同社では BIM/CIM を活用した施工管理技術の高度化を通じて適正量でのコンクリート製品製造に努め、適切に残コンクリートの分離処理をしている。また、太陽光パネルの廃ガラスや高炉による製銑プロセスで副産される高炉スラグを微粉末化しコンクリートの混和剤として利用する等の 技術開発により、廃棄物を最小化し NI の緩和に努めている。
上記は SDG12「つくる責任つかう責任」に該当する。
下図は「バリューチェーン分析」「インパクトマッピング」の結果を踏まえて、同社のバリューチェーンが与えるインパクトを可視化したものである。
経済
SDG9
社会
SDG5 SDG8 SDG9 SDG11
環境
SDG12 SDG13
川上の事業
同社の事業
川下の事業
ポジティブインパクト
コンクリート原料
製造事業者
プレストレスト
コンクリート製造
橋梁建設、
タンク建設、まくらぎ製造など
建設業、
鉄道業など
社会
SDG8
環境
SDG6 SDG12 SDG13
ネガティブインパクト
以上を踏まえて、同社の重要なインパクトを下記の 2 つに特定した。
【重要なインパクト】
①「技術の高度化を通じたレジリエントなインフラ形成への貢献」
③「CO₂排出量削減への取り組み推進」
②「個々の従業員が自分らしく成長できる職場の形成」
① 技術の高度化を通じた レジリエントなインフラ形成への貢献 | |
同社ではプレストレストコンクリートの技術を活用した事業を展開し、PC タンクの建設工事ならびにPC まくらぎの製造では国内シェア No.1 規模、PC 橋梁の建設分野ではこれまで約 10,000 橋の建設実績を誇るなど、国内外の社会インフラの整備へ貢献している。 太陽光パネル由来の廃ガラスや高炉スラグ微粉末などリサイクル素材を活用した新製造技術の開発や、建築物等の高度化、建築プロセスの効率化に資する新工法の開発を通じた環境技術の開発、高度化にも積極的に取り組んでいる。42 件の特許保有からも伺える野心的な取り組みにより同社は社会インフラの維持と環境配慮の両立へと貢献している。 近年においては、多発する自然災害への対策に加えて、社会インフラ施設の大更新時代を迎えつつあり、ますますライフラインの重要性が見直されているなかで、同社ではこれまでに積み上げてきたプレストレストコンクリート技術の更なる高度化を図り、社会インフラ施設の耐震性の向上や長寿命化という課題に対応するとともに、カーボンニュートラルにも対応した技術開発、提案を通じて持続可能な社会基盤構築への貢献を深めていく方針としている。 これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「移動手段」「資源効率・安全性」「包括的で健全な経済」のカテゴリに該当し、社会的側面、環境的側面、経済的側面の PI を拡大すると 考えられる。 | |
② CO₂排出量削減への取り組み推進 | |
同社では事務所、工場のエネルギー使用量の削減や事業活動で排出される CO₂の中心となる電気使用量について、使用実績に基づく電力削減に向けた改善活動に取り組んでいる。生産設備については定期的な省エネ設備への更新、効率的な施工プログラムの開発、利用により生産過程における過剰エネルギー使用の抑制に取り組み、事業展開と環境負荷抑制の両立を図っている。 今後は事業活動に伴うGHG 排出量の可視化、把握を更に推進しながら GHG 排出量の削減目標の達成に向けた具体的改善策に取り組む方針であり、環境負荷抑制を実現していく方針である。 これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「気候」のカテゴリに該当し、環境的側面の NI を緩和すると考えられる。 |
③ 個々の従業員が自分らしく成長できる職場の形成 | |
・従業員のスキルアップ支援 若手社員フォロー研修、階層別研修等といった同社内で活躍していくための研修、技術を未来に伝えていくための技術継承、現場代理人研修、従業員のキャリアアップを支援する資格取得フォロー講習、英会話教室、何よりも大切な安全を確保し続けていくための各種安全教育、特別教育等、目的に応じた多様な研修制度の充実により従業員がスキルアップ、キャリアップに励むことができる環境を整備しており、資格取得支援制度等の活用を通じても従業員がモチベーション高く自発的にスキルアップに取り組むことのできる環境を整備している。 ・従業員が健やかに働き続けられる職場環境形成 また、女性ならではの視点から現場の安全衛生面をチェックする女性安全衛生パトロール隊 『ABE せーふてぃFLOWERS』の活動をはじめ、建築業において従業員が性別を問わず活躍できる職場環境づくりを推進している。 従業員の成長評価については、会社全体での業績評価に加えて従業員個々人ごとの目標設定、振り返りを通じて自己成長を確認できる環境を整備し、業績と従業員の成長度合いに応じた給与設定、賞与設定により業務への取り組みが公平に評価される職場環境形成を推進している。 今後においても、スキルマップやキャリアプランの整備、定期的見直しを通じて従業員に求める役割を明確化し、更なる社内人材の育成と同社の価値向上を図っていく。 これらのインパクトは UNEP FI のインパクトレーダーでは「雇用」のカテゴリに該当し、社会的側面 の PI を拡大すると考えられる。 |
① 日本におけるインパクトニーズ
同社売上の大半は日本国内におけるものであり、国内における SDG インデックス&ダッシュボードを参照し、そのインパクトニーズと同社のインパクトとの関係性を確認した。
本 PIF において特定したインパクトに対応する SDGs のゴールは、以下の 5 点である。
「 8:働きがいも経済成長も」
「 9:産業と技術革新の基盤をつくろう」
「11:住み続けられるまちづくりを」
「12:つくる責任つかう責任」
「13:気候変動に具体的な対策を」
国内における SDG ダッシュボード上では、「9」に関しては「達成に近づいている」とされているものの、「12」、「13」に関しては「大きな課題が残る」、「8」に関しては「重要な課題が残る」、「11」に関しては「課題が残る」とされており、同社における「技術の高度化を通じたレジリエントなインフラ形成への貢献」への取り組み、「CO₂排出量削減への取り組み推進」への取り組み、「個々の従業員が自分らしく成長できる職場の形成」への取り組みなどが、日本国内におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:SDSN)
② 岐阜県におけるインパクトニーズ
同社の事業活動は立地する岐阜県を中心に行われていることから、「岐阜県 SDGs 未来都市計画」を参照し、岐阜県内における SDGs 達成に向けての課題を確認した。
下記の通り、岐阜県では「<環境>美しい清流とそれを育む豊かな森の保全と活用」、「<経済>
<.. image(グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト, アプリケーション 自動的に生成された説明) removed ..>
「清流の国ぎふ」ブランドと変化に強い地域経済の確立」、「<社会>誰もが活躍し生きがいを感じられる地域社会の構築」を 2030 年のあるべき姿と設定し SDGs 達成に向けた課題を設定しており、同社の「技術の高度化を通じたレジリエントなインフラ形成への貢献」への取り組み、「CO₂排出量削減への取り組み推進」への取り組み、「個々の従業員が自分らしく成長できる職場の形成」への取り組みなどが、岐阜県におけるインパクトニーズと一定の関係性があることを確認した。
(出典:岐阜県第 2 期 SDGs 未来都市計画の概要)
③ 岐阜信用金庫との親和性
◆「ぎふしん SDGs 宣言」
以下の 3 項目をSDGs 達成に向けた重点課題としている。
(1)持続可能な地域の経済成長のための活動
(2)持続可能な地域産業の基盤構築のための活動
(3)持続可能なまちづくりのための活動
◆親和性の確認
本件 PIF の取り組みに際し特定した同社のインパクトである「技術の高度化を通じたレジリエントなインフラ形成への貢献」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の(1)、(2)、(3)と、「CO₂排出量削減への取り組み推進」については「ぎふしん SDGs 宣言」の(2)、(3)と、「個々の従業員が自分らしく成長できる職場の形成」については、「ぎふしん SDGs 宣言」の (3)と親和性があり、相互に協力しあうことで、「経済」「社会」「環境」の 3 つの側面に渡り、持続可能な開発に関する枠組みとして、良質な効果が発生するものと思われる。
以上から、本 PIF の取組みは追加性のある PI 創出支援を行うものであり、その本源的目的との合致を確認したうえで SDGs 達成に向けた資金需要と資金供給とのギャップを埋めることを目指すものである。
4.KPI の設定
特定したインパクトの発現状況を今後も継続的に測定可能なものとするため、先に特定したインパクトに対し、インパクトの種類、インパクトカテゴリ、関連する SDGs、内容・対応方針および目標と KPI を整理、設定する。
■技術の高度化を通じたレジリエントなインフラ形成への貢献
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面におけるポジティブインパクトを拡大環境的側面においてポジティブインパクトを拡大 経済的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「移動手段」「資源効率・安全性」「包括的で健全な経済」 |
関連する SDGs |
|
内容・対応方針 | ・リサイクル素材を活用した製造技術や建築プロセスの効率化に資する新工法の開発推進 ・国内外への技術適用分野拡大に向けた販路開拓 |
目標とKPI | ・2029 年 6 月期までに売上高 330 億円を達成する (2024 年 6 月期実績:284 億円) ・2029 年 6 月期までにリサイクル素材を活用した製造技術や建築プロセ スの効率化に関する特許を 3 件取得する |
■CO₂排出量削減への取り組み推進
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 環境的側面においてネガティブインパクトを緩和 |
インパクトカテゴリ | 「気候」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・CO₂排出量実績や削減計画に基づいた、省エネ活動をはじめとする温室効果ガス削減への諸施策実行 |
目標とKPI | ・前期比 4.2%以上の CO₂排出量削減を毎期進める |
■個々の従業員が自分らしく成長できる職場の形成
項目 | 内容 |
インパクトの種類 | 社会的側面においてポジティブインパクトを拡大 |
インパクトカテゴリ | 「雇用」 |
関連する SDGs | |
内容・対応方針 | ・多様な従業員が心身ともに健やかに働き続けられる職場環境の形成・改善 ・研修や資格取得推奨を通じた従業員のスキルアップ |
目標とKPI | ・2029 年 6 月期までに従業員数を 570 名以上とする (2024 年 9 月時点:540 名) ・2029 年 6 月期までに推奨資格取得者数を 30 名増加させる <推奨資格>※人数は 2024 年 6 月期時点 (1級土木施工管理技士:287 名) (1 級建築施工管理技士:38 名) (1 級管工事施工管理技士:18 名) (1 級建築士:8 名) (技術士 建設部門総合技術管理:1 名) (技術士 建設部門鋼構造及びコンクリート:1 名) (1 級建設業経理士:7 名) |
5.モニタリング
同社では、井手口社長を中心に自社業務の棚卸を行い、本 PIF におけるインパクトの特定、並びにKPI の設定を行った。
今後については、以下の体制を中心とした同社プロジェクトチームが柱となって SDGs の推進、本 PIF で設定した KPI の進捗管理を行っていく方針である。
【モニタリング体制】
統括責任者 | 取締役常務執行役員 | 中田 錠司 |
本 PIF で設定した KPI および進捗状況については、同社と岐阜信用金庫の担当者が定期的な場を設けて情報共有する。情報共有については、少なくとも年に 1 回実施することに加え、日々の情報交換や営業活動を通じて実施していく。
下記の通り融資返済期限と同一期間にて定める。
モニタリング期間 (返済期限) | 5 年間 (2029 年 9 月 20 日) |
【留意事項】
1.本評価書の内容は、岐阜信用金庫が現時点で入手可能な公開情報、株式会社安部日鋼工業から提供された情報や同社へのインタビューなどで収集した情報に基づいて、現時点での状況を評価したものであり、将来における実現可能性、ポジティブな成果等を保証するものではありません。
2.岐阜信用金庫が本評価に際して用いた情報は、岐阜信用金庫がその裁量により信頼できると判断したものではあるものの、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。岐阜信用金庫は、これらの情報の正確性、適時性、網羅性、完全性、および特定目的への適合性その他一切の事項について、明示・黙示を問わず、何ら表明または保証をするものではありません。
3.本評価書に関する一切の権利は岐阜信用金庫に帰属します。評価書の全部または一部を自己使用の目的を超えての使用(複製、改変、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳及び翻案等を含みます)、または使用する目的で保管することは禁止されています。