七 借賃、賃借期間、売買単価(10a当たり)及び権利移転の時期
別添1
(利用上の注意)
本契約書例は、基本的な内容を参考として示したものであり、活用する際は農地利用集積円滑化団体に委任する内容に応じて加筆又は修正して差し支えありません。
委任者及び受任者は、この契約書の定めるところにより、利用権設定等委任契約(以下
「本契約」という。)を締結する。
この契約書は、2通作成して委任者及び受任者がそれぞれ1通を所持する。
平成 年 月 日委任者(以下「甲」という。)
氏 名 印
住 所
受任者(以下「乙」という。)農地利用集積円滑化団体名
代表者名 印
住 所
第1条(契約の趣旨)
甲は、乙に対し、甲が所有する土地について、利用権(農業上の利用を目的とする賃借権若しくは使用貸借による権利又は農業の経営の委託を受けることにより取得される使用及び収益を目的とする権利をいう。以下同じ。)の設定若しくは移転、所有権の移転(以下「利用権の設定等」という。)又は農作業の委託に関する事務を委任し、乙はこれを受任する。
第2条(利用権の設定等の事務を委任する土地)
甲は、乙に対し、本契約により次の土地(以下「委任土地」という。)について、利用権の設定等又は農作業の委託に関する事務を委任するものとする。
所 在 | 地 番 | 地 目 | 面積(㎡) | 委任する事務の種類 | 備 考 |
注1: 「委任する事務の種類」は、「賃借権の設定又は移転の委任」、「使用貸借による権利の設定又は移転の委任」、「農業経営の委託の委任」、「所有権の移転の委任」及び「農作業の委託の委任」のうちから選択して記入する。
注2: 備考欄には、現に権原に基づき使用及び収益する者並びに農作業の委託を受けている者がある場合は、その旨を記入する。
第3条(委任事務の範囲)
乙は、次に掲げる事務(以下「本件委任事務」という。)について、甲を代理するものとする。
一 利用権の設定等又は農作業の委託の相手方として適当と認められる者(以下「適格者」という。)の選定に関すること。
二 適格者との利用権の設定等又は農作業の委託を行う場合の条件等の協議及び調整に関すること。
三 委任土地に係る利用権の設定等に関する契約の締結、変更、更新及び解除、農地法
(昭和27年法律第229号)第3条第1項の許可の申請並びに農業経営基盤強化促進法
(昭和55年法律第65号)第18条第1項の農用地利用集積計画への同意に関すること。四 委任土地に係る農作業の委託に関する契約の締結、変更、更新及び解除に関するこ
と。
2 委任土地について、農用地利用集積計画によって賃借権又は使用貸借による権利の設定若しくは移転を行う場合の条件その他法律関係に関する事項については、別紙1のとおりとする。
3 委任土地について、農用地利用集積計画によって所有権の移転を行う場合の条件その他法律関係に関する事項については、別紙2のとおりとする。
4 委任土地について、農用地利用集積計画によって農業経営の委託を行う場合の条件その他法律関係に関する事項については、別紙3のとおりとする。
第4条(賃借権の設定等又は農作業の委託を行う場合の条件等)
乙は、委任土地について利用権の設定等又は農作業の委託を行う場合は、次に掲げる事項について、あらかじめ甲が申し出た内容を基に適格者と協議するものとする。
なお、乙と適格者との協議の結果、甲が申し出た内容と異なる場合は、乙は甲の同意を得て決定するものとする。
一 賃借権の設定又は移転を行う場合は、賃借権の設定時期、賃借権の存続期間、借賃及び借賃の支払方法
二 使用貸借による権利の設定又は移転を行う場合は、賃借権の設定時期及び賃借権の存続期間
三 所有権の移転を行う場合は、所有権移転の時期、対価、対価の支払方法、対価の支払期限及び引渡しの時期
四 農業経営の委託を行う場合は、農業経営の委託により設定される権利の設定時期、農業経営の委託により設定される権利の存続期間及び損益の決済方法
五 農作業の委託を行う場合は、契約期間、作業の内容及び委託料金
第5条(再委任の禁止)
乙は、本件委任事務の一部又は全部を再委任しないものとする。
第6条(専属専任)
xは、委任土地について、本件委任事務を乙以外の者に対し、重ねて委任することはできないものとする。
また、甲は、本契約に係る土地について、自ら利用権の設定等又は農作業の委託を行うことはできないものとする。
第7条(相手方等の指定の禁止)
甲は、本契約の締結に当たり、委任土地について利用権の設定等又は農作業の委託の相手方を指定することはできないものとする。
第8条(契約の期間)
本契約の有効期間は、平成 年 月 日から平成 年 月 日までとする。
なお、この期間は、甲及び乙の合意に基づき更新することができるものとする。
第9条(契約の承継)
相続等により甲の有する所有権を承継した者(以下「一般承継人」という。)は、本契約に基づく委任者の地位を承継するものとし、当該地位を承継した者(以下「地位承継者」という。)は、速やかにその旨を乙に対し届け出なければならないものとする。なお、一般承継人が複数であるときは、その中から代表者1名を地位継承者として選
任し、その旨を乙に対し通知させるものとする。
第10条(契約の解除)
甲又は乙は、次の各号のいずれかに該当する場合には本契約を解除することができる。一 本契約に違反する行為があった場合で、相当の期間を設けて本契約上の履行を催告
してもなお、義務の履行がない場合
二 自然災害等による委任土地の滅失、汚染等によって農業上の利用が困難になったと認められる場合
2 前項の規定にかかわらず、乙が農地利用集積円滑化団体でなくなったときは、本契約は当然解除されたものとする。
第11条(契約の解約)
本契約の有効期間中において、本契約を解約する場合は、双方の合意により解約するものとする。
第12条(賃借権の設定等をすることができない場合の農地情報の提供)
乙は、適格者に対して利用権の設定等又は農作業の委託をすることができないと認め
たときは、遅滞なく、甲に対しその旨を通知するとともに、次に掲げる委任土地に関する情報を農用地のあっせん又は新規就農者等への農地情報の提供を行う機関及び団体へ提供できるものとする。
一 土地の所在二 地番
三 面積
四 地目
五 作付状況
六 基盤整備状況
七 借賃、賃借期間、売買単価(10a当たり)及び権利移転の時期
第13条(資料等の提供)
甲は、乙から本件委任事務の処理に必要となる資料等の提供を要請された場合には、無償で応ずるものとする。
第14条(秘密保持)
乙は、第12条により農地情報を提供する場合を除き、甲から提供を受けた情報を全て秘密として取り扱い、その管理に必要な措置を講ずるものとする。ただし、次の各号のいずれかに該当する情報については、この限りではない。
一 提供を受けたときに既に保有していた情報
二 秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報三 提供を受けた情報に関係なく、独自に開発した情報
x x契約に違反することなく公知となった情報五 甲が、文書をもって開示に同意した情報
第15条(報告)
一 乙は、毎年、本件委任事務の処理状況を記載した報告書を作成し、甲に送付するものとする。
二 甲は、必要と認めるときは、前号にかかわらず本件委任事務の処理状況につき乙に報告を求めることができるものとする。
第16条(本契約に定めのない事項の取扱い)
その他本契約に定めのない事項が生じたときは、甲及び乙が協議して定める。
別紙1
(1)借賃の支払猶予
賃借権を設定する者(利用権の設定等が行われる土地の所有者。以下「丙」という。)は、賃借権の設定を受ける者(以下「丁」という。)が災害その他やむを得ない事由のため、借賃の支払期限までに借賃の支払をすることができない場合には、相当と認められる期日までにその支払を猶予する。
(2)解約に当たっての相手方の同意
丙及び丁は、賃借権の存続期間の中途において解約しようとする場合は、相手方の同意を得るものとする。
(3)転貸又は譲渡
丁は、あらかじめ市町村に協議した上、丙の承諾を得なければ当該土地を転貸し、又は賃借権を譲渡してはならない。
(4)修繕及び改良
ア 丙は、丁の責めに帰すべき事由によらないで生じた当該土地の損耗について、自らの費用と責任において修繕する。ただし、緊急を要するときその他丙において修繕することができない場合で丙の同意があったときは、丁が修繕することができる。この場合において丁が修繕の費用を支出したときは、丙に対してその償還を請求することができる。
イ 丁は、丙の同意を得て当該土地の改良を行うことができる。ただし、その改良が軽微である場合には丙の同意を要しない。
(5)租税公課の負担
ア 丙は、当該土地に対する固定資産税その他の租税を負担する。
イ 丁は、当該土地に係る農業災害補償法(昭和22年法律第185号)に基づく共済掛金及び賦課金を負担する。
ウ 当該土地に係る土地改良区の賦課金については、丙及び丁が別途協議するところにより負担する。
(6)当該土地の返還
ア 賃借権の存続期間が満了したときは、xは、その満了の日から○○日以内に、丙に対して当該土地を原状に回復して返還する。ただし、災害その他の不可抗力、修繕若しくは改良行為による形質の変更又は当該土地の通常の利用によって生ずる形質の変更については、丁は、原状回復の義務を負わない。
イ 丁は、当該土地の改良のために支出した有益費については、その返還時に増価額が現存している場合に限り、丙の選択に従い、その支出した額又は増価額(土地改良法(昭和24年法律第195号)に基づく土地改良事業により支出した有益費については、増価額)の償還を請求することができる。
ウ イにより有益費の償還請求があった場合において丙及び丁の間で有益費の額について協議が整わないときは、丙及び丁双方の申出に基づき市町村が認定した額を、
その費やした金額又は増価額とする。
エ 丁は、イによる場合その他法令による権利の行使である場合を除き、当該土地の返還に際し、名目のいかんを問わず返還の代償を請求してはならない。
(7)賃借権に関する事項の変更の禁止
丙及び丁は、農用地利用集積計画に定めるところにより設定される賃借権に関する事項は変更しないものとする。ただし、丙、丁及び市町村が協議の上、真にやむを得ないと認められる場合は、この限りでない。
(8)その他
農用地利用集積計画に定めのない事項及び農用地利用集積計画に関し疑義が生じたときは、丙、丁及び市町村が協議して定める。
農業経営基盤強化促進法第18条第2項第6号に規定する者に対する賃借権又は使用貸借による権利の設定を行う場合は、以下の項目を追加する。
(9) 契約の解除
丙は、丁が当該土地を適正に利用していないと認められる場合には賃貸借契約を解除するものとする。
(10) 期間途中で貸借が終了した場合の原状回復
貸借が終了したときは、xは、その終了の日から○○日以内に、丙に対して当該土地を原状に復して返還する。丁が現状に復することができないときは、丙が現状に回復するために要する費用を丁が負担する。ただし、天災地変等の不可抗力または通常の利用により損失が生じた場合および修繕または改良により変更された場合は、この限りではない。
(11) 違約金の支払い
丙の責めに帰さない事由により貸借を終了させることとなった場合には、丁は、丙に対し賃借料の○年分に相当する金額を違約金として支払う。
別紙2
(1)所有権の移転
所有権の移転の対価の支払期限までに対価の全部の支払を了したときは、その所有権の移転時期に当該土地の所有権は移転する。
(2)農用地利用集積計画に定められた法律関係の失効
農用地利用集積計画に記載された対価の支払期限までに対価の全部の支払がなされなかったときは、当該土地の所有権に係る農用地利用集積計画に基づく法律関係は失効する。
(3)所有権以外の権利の消滅
所有権を移転する土地に第三者のための担保物権等が設定されているときは、所有権を移転する者(以下「丙」という。)は担保物権等を消滅させるとともに、当該権利が登記されているときは、所有権の移転時期までにその登記を抹消しなければならない。
(4)租税公課の負担
所有権を移転する土地に係る固定資産税、土地改良賦課金等は、その所有権の移転時期の属する年度については、丙が負担する。
(5) 所有権の移転の登記(市町村が嘱託により登記することができることとなったとき)農用地利用集積計画による所有権の移転の登記は、所有権の移転を受ける者(以下
「丁」という。)の請求により、市町村の嘱託により行うものとし、丙はこれに協力しなければならない。
(6)経費の負担
所有権の移転の登記に要する経費は、xが負担する。その他の経費については、丙及び丁が協議して決める。
(7)法律関係の解除
丙又は丁は、相手方が農用地利用集積計画に基づく義務を履行しないときは、農用地利用集積計画によって成立した法律関係を解除することができる。
(8)その他
農用地利用集積計画に定めのない事項及び農用地利用集積計画に関し疑義が生じたときは、丙、丁及び市町村が協議して定める。
別紙3
(1) 善管注意義務
経営の委託を受けた者(以下「丁」という。)は、委託を受けて行う農業の経営(以下「受託農業経営」という。)を行うに当たっては、善良なる管理者の注意を持って当該経営の委託をした者(以下「丙」という。)の利益の最も適合するように配慮しなければならない。
(2) 主宰権
受託農業経営の運営に関する事項は、農用地利用集積計画に定めるもののほか、丁が決定する。
(3) 収穫物の所有権
受託農業経営の事業により生ずる収穫物の所有権は、丁に帰するものとする。
(4) 受託農業経営に係る損益の帰属
受託農業経営に係る損益は、丙に帰属するものとする。
(5) 受託農業経営に係る損益の計算方法
① 受託農業経営に係る損益は、次に掲げる算式により計算するものとする。受託農業経営に係る販売金額-受託農業経営に係る受託経費
(共済金を含む。) (受託報酬を含む。)
なお、丙又は丁に交付された補助金の額の取扱いについては、別途丙及び丁の協議の上定めるものとする。
② 丁は、受託農業経営に係る受託経費(受託報酬を含む。)の内訳を整理しておくものとする。
(6) 租税公課の負担
丙は、当該土地に対する固定資産税その他の租税を負担する。
(7) 改良
① 丁は、丙の同意を得て当該土地の改良を行うことができる。ただし、その改良が軽微である場合には、丙の同意を要しない。
② 丁の負担した当該土地の改良経費は、丙が負担するものとする。ただし、丙及び丁が協議の上、これと異なる定めをした場合にはその定めによる。
(8) 損害の賠償
丁は、異常気象、水害その他の災害による受託農業経営の収量の減少、当該土地の損壊、滅失等丁の故意又は過失によらない損害についての責めを負わないものとする。
(9) 解約に当たっての相手方の同意
丙及び丁は、利用権の存続期間の中途において解約しようとする場合は、相手方の同意を得るものとする。
(10) 再委託の禁止
丁は、受託農業経営の再委託をしてはならない。
(11) 当該土地の返還
ア 利用権の存続期間が満了したときは、xは、その満了した日から○○日以内に、丙に対して当該土地を原状に回復して返還する。ただし、天災地変等その他の不可抗力、修繕若しくは改良行為による形質の変更又は当該土地の通常の利用によって生ずる形質の変更については、丁は、原状回復の義務を負わない。
x xは、その他法令による権利の行使である場合を除き、当該土地の返還に際し、名目のいかんを問わず返還の代償を請求してはならない。
(12) 経営受委託に関する事項の変更の禁止
丙及び丁は、農用地利用集積計画に定める経営受委託に関する事項は変更しないものとする。ただし、丙、丁及び市町村が協議の上、真にやむを得ないと認められる場合は、この限りでない。
(13) その他
ア 受託者が農業協同組合又は農事組合法人である場合には、このほか当該農業協同組合又は農事組合法人が定めている農業経営受託規程によるものとする。 イ 農用地利用集積計画に定めのない事項及び農用地利用集積計画に関し疑義が
生じたときは、丙、丁及び市町村が協議して定める。