マンション管理の Q&A
2021年 分譲マンション管理運営講座
マンション管理の Q&A
一般社団法人 広島県マンション管理士会
目次
Q1. 管理会社から IT を活用した重要事項説明等の申し入れがありましたが、このような対応は可能ですか。 4
X0.XX を活用した重要事項説明等を実施するに当たり、管理組合内の合意形成はどのように行えばよいですか。 5
Q3. IT を活用した重要事項説明等デジタル社会実現の取り組みが進む中で管理組合としての留意点等を教えて下さい。 7
Q4. IT を活用したデジタル社会実現の中、重要事項説明書及び管理委託契約書作成に関し、改正となった内容を教えて下さい。 7
Q5. 「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、改正個人情報保護法に対応した見直しに関して留意すべき点を教えて下さい。 8
Q6. 「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、反社会的勢力の排除条項に伴う管理会社への留意点を教えて下さい。 8
Q7. 「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、トラブルを未然に防止する観点から、理事会及び総会支援業務の記載の明確化等を図る点として、補足する必要がある内容を教えて下さい。 9
Q8. 「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、各条文における記載内容が、追記又は変更された箇所があれば教えて下さい。 10
◆ 参考法令等 11
< 法令等の表記について>
本資料では、下記の法令等について以下の略称を用います。
なお、本資料において、マンション標準管理規約及び同コメントは、別段の記載がない限り、単棟型を前提にしています。
・建物の区分所有等に関する法律
→ 区分所有法
・マンション標準管理規約
→ 標準管理規約
・マンション標準管理規約コメント → 標準管理規約コメント
・マンション標準管理委託契約書
→ 標準管理委託契約書
・マンション標準管理委託契約書コメント → 標準管理委託契約書コメント
・マンションの管理の適正化に関する指針
→ 適正化指針
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の
円滑化に関する法律の一部を改正する法律 → 改正適正化法
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律 → 適正化法
・マンションの建替え等の円滑化に関する法律
→ 建替え円滑化法
Q1 .管理会社から IT を活用した重要事項説明等の申し入れがありましたが、このような対応は可能ですか。
A 1.対応は可能です。
* IT Information Technology(インフォーメーションテクロノジー)とは、パソコン、スマートフォン等
コンピューターを使い、情報を取得したり、保存したり、伝えたりする情報技術の総称
1 . 法改正に関して
改正適正化法( 令和 2 年 6 月 24 日成立) に伴い、令和 3 年 3 月 1 日よりマンション管理業者に於いて IT を活用した重要事項等の説明が可能となりました。
2 . IT を活用した重要事項等の説明が認められる場合
改正適正化法においては適正化法第 72 条( 重要事項の説明等) 、第 73条( 契約の成立時の書面の交付) 、第 77 条( 管理事務の報告) の 3 つの場合について認められます。
( 1 ) 重要事項の説明等
マンション管理業者が管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結する場合の重要事項説明( 適正化法第 72 条第1
項) 、また従前の同一の条件で管理組合と管理受託契約を更新しようとする場合の重要事項説明( 適正化法第 72 条第 2 項、第 3 項) につきI T を活用することを認めています。
( 2 ) 契約の成立時の書面の交付
マンション管理業者が管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結した場合、当該管理組合の管理者等に必要事項を記載した書面を交付する場合( 適正化法第 73 条第 1 項) にI T を活用することを認めています。
なお、IT を活用した重要事項説明が認められる要件、実施ガイドライン等につきましては、令和 3 年 3 月 1 日国土交通省不動産・建設経済局公表
( 国不参第 51 号) に詳しい内容が公表されていますので、下記 URL からご確認下さい。
kokufusan_51.pdf (xxxxxxxx.xx.xx)
Q2 . IT を活用した重要事項説明等を実施するに当たり、管理組合内の合意形成はどのように行えばよいですか。
A 2. 総会決議や理事会決議では実施できません。実施にあたっては、個別に区分所有者等の承諾を取らなければならず、承諾した区分所有者等に対してのみ実施できます。
従来は、重要事項説明書は書面でのみ交付されていましたが、今回の改正適正化法で、書面に代えて「電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法」によって提供することができることとなりました。
「電子情報組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法」の具体例に関しては、下記4 つのいずれかの方法をとることができます。
ア. 電子メールにより送付する方法
イ. 管理業者のホームページに掲載し、区分所有者等がダウンロードする方法
ウ. 管理業者のホームページに掲載し、区分所有者等が閲覧する方法
エ. CD-R 等の記憶媒体に記載して区分所有者等に郵送または訪問時に手渡しする方法
※ イ、ウの場合には、ホームページに掲載したときにその旨区分所有者等に通知されます。
このような電磁的方法を実施する場合には、あらかじめ管理者及び区分所有者等から個別に承諾を得なければなりません。
そして承諾した区分所有者のみに実施できるのであり、承諾しなかった区分所有者等に対しては、従来通り書面で提出しなければなりません。
承認手続きについて
最初に管理会社より電磁的方法での重要事項説明等を実施することの承諾確認書式が管理者及び区分所有者等に送付されますので、承諾するか否かを記載して管理会社に返信することとなります。
このようにこの承諾は個々の区分所有者に対して確認する必要があり、総会での多数決決議によって決めることは出来ません。
その為、承諾しなかった区分所有者等や回答をしなかった区分所有者等には、別途従来通りの書面での交付がなされなければなりません。
なお、承諾手続きの詳しい内容に関しては、この紙面で網羅できません。
「法律改正の伴うマンションの管理の適正化の推進に関する法律第 72条に規定する重要事項等について」( 国不参第 51 号) の添付資料として公表されていますので、下記 URL からご確認をお願い致します。
kokufusan_51.pdf (xxxxxxxx.xx.xx)
〇マンション管理委託契約における重要事項説明書・契約成立時の書面・管理事務報告書の電磁的方法の交付に係るガイドライン
〇マンション管理委託契約における IT を活用した重要事項説明会・管理事務報告会に係るガイドライン
〇マンション管理委託契約における IT を活用した管理者等に対する重要事項説明・管理事務報告に係るガイドライン
Q 3 . IT を活用した重要事項説明等デジタル社会実現の取り組みが進む中で管理組合としての留意点等を教えて下さい。
A 3.「デジタル化社会の実現」は政府が掲げる取り組みとして様々な分野で加速化しています。今回の「IT を活用した重要事項説明等」もその一環として促進されると思います。
しかし、承認手続きでも記載しましたように、電磁的交付を行うに当たっては、あらかじめ区分所有者等や管理者等の個別の「承諾」が必要であり、総会や理事会の決議ではできない事、不承諾の者には、従前通り管理会社から書面での交付がなされなければならないことに注意が必要です。
現実的には居住者の高齢化が進んでいる中で、その手続きが簡単には進まないと考えます。
管理組合としては、今後このような申し入れがあった場合、マンションの居住形態の現状、必要な手続き等管理会社と十分協議されることが大切です。
Q 4 .IT を活用したデジタル社会実現の中、重要事項説明書及び管理委託契約書作成に関し、改正となった内容を教えて下さい。
A 4. 適正化法に関連して、重要事項の説明書及び管理委託契約書作成に関し、管理業務xx者の記名のみで押印を削除することができることになりました。また、A 3 でも記載いたしましたが、管理組合の管理者や構成する区分所有者の承諾を得て、電子的方法( 電子メール等) を使用し、書面の交付を行うことが可能となっております。
尚、管理会社の契約当事者が代表者以外の者( 支店xx)となる場合は、契約書を適正化法第 73 条に規定する契約成立時の書面として使用する際には、「代表者の氏名」も併記しなければならないことになりました。
Q 5 .「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、改正個人情報保護法に対応した見直しに関して留意すべき点を教えて下さい。
A 5. 平成 27 年改正個人情報保護法の成立によって、平成 29 年 5 月 30 日以降、管理組合は個人情報保護法の適用を受ける個人情報取扱事業者となり、情報の取扱いに関して個人データの安全管理が図られるよう委託先を監督する義務を負うことになりました。
委託先の管理会社は、「情報提供を受ける第三者」には該当せず、委託先の管理会社への名簿提供は、本人の同意を必要としないことになっておりますが、個人情報の保管・管理方法については、厳重なセキュリティが管理組合及び管理会社の双方に要求されることになりました。
委託契約書内の( 守秘義務等) 条文として、管理会社及び従業員は、管理組合の組合員等に関する個人情報について、個人情報の保護に関する法律を遵守することはもとより「、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を参考として、個人情報の適正な取扱いの確保を図ることが求められています。
Q 6 .「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、反社会的勢力の排除条項に伴う管理会社への留意点を教えて下さい。
A 6.マンション管理業者(以下、管理会社という。)が反社会的勢力に該当しないことを確約し、その確約に反して、管理会社が反社会的勢力であることが判明した場合には、管理組合は、管理委託契約を解除することができる旨を規定する内容となっております。
契約書内条文としては、以下の通りです。
( 反社会的勢力の排除)
管理会社は、マンション管理組合に対し、次の各号の事項を確約する。
① 管理会社が、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準じる者又はその構成員( 以下これらを総称して「反社会的勢力」という。)ではないこと。
② 管理会社の役員( 業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。) が反社会的勢力ではないこと。
③ 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、契約を締結するものではないこと。
④ 契約の有効期間内に、自ら又は第三者を利用して、次の行為をしないこと。
※ 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為。
※ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を棄損する行為。
2 . 管理会社について、契約の有効期間内に、次の各号のいずれかに該当した場合には、マンション管理組合は、何らの催告を要せずして、契約の解除をすることができる。
① 前項第 1 号又は前項第 2 号の確約に反する申告をしたことが判明した場合
② 前項第 3 号の確約に反し契約をしたことが判明した場合
③ 前項第 4 号の確約に反する行為をした場合
Q 7. 「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、トラブルを未然に防止する観点から、理事会及び総会支援業務の記載の明確化等を図る点とし
て、補足する必要がある内容を教えて下さい。
A 7. 標準管理委託契約書別表第一事務管理仕様書内の基幹事務以外の事務管理業務において、理事会支援及び総会支援業務の助言や資料の作成また議事録案の作成において、「管理組合が管理会社の協力を必要とするときには、双方においてその協力方法について協議するものとする」との追記を行うことで、別途有償扱いとなる業務が発生した場合には、受益者の費用負担とすることに留意した内容の契約方法を締結することの提言がなされております。
また、管理員や清掃員の勤務日や勤務時間を明確に記載することや緊急事態等で勤務時間以外に対応した場合の清算や他の勤務日での時間調整等が可能となるように別途記載を行うことの提言もなされています。
Q 8 .「標準管理委託契約書」の主な改訂内容で、各条文における記載内容が、追記又は変更された箇所があれば教えて下さい。
A 8 . 第 2 条(本マンションの表示および管理対象部分)について、管理対象部分の専有部分に属さない建物部分に、風除室が追記され、専有部分に属さない建物の附属物にオートロック設備や宅配ボックスが追記されました。
また、決算後の総会を通常総会として統一を図ることや管理費、修繕積立金、専用使用料,その他の金銭を条文内において、管理費等で纏めることも可能としております。
建物点検、検査の表記において、特殊建築物定期調査から特定建築物定期調査として統一を図ることや防火設備の設置状況や劣化状況、作動等
の状況の検査等が追記されています。
◆ 参考法令等
・建物の区分所有等に関する法律 < 外部リンク>
【e-Gov 電子政府の総合窓口のページに外部リンク】
・住宅: マンション管理について - 国土交通省 (xxxx.xx.xx)
【国土交通省 マンション管理 のホームページ】
・マンション標準管理委託契約書
・マンション標準管理委託契約書コメント
・改正個人情報保護法