輸入貨物、仕入書(FOB) 運送契約(B/L 等)
輸入貨物に係る関税評価上の取扱い等に関する照会
買手が業務委託契約に基づき船腹予約する者に対して支払う手数料について
x 会 | ||
照会内容等 | ① 輸入貨物の品名 | 室内敷物等(税表分類:第 57 類) |
② 照会の趣旨 | 買手が業務委託契約に基づき船腹予約する者に対して支払う手数料が、輸入貨物の課税価格に算入されるか否かについて照会するものです。 | |
③ 取引の概要及び関税評価に関する照会 者の見解とその理由 | 別紙1のとおり。 | |
④ 関係する法令条項等 | 関税定率法第4条第1項第1号及び第2号イ | |
⑤ 添付書類 | 照会の趣旨及びその理由等の照会事項に関する参考資料 |
回 答 | |||
回答年月日 | 平成 25 年 6 月 27 日 | 回答者 | xx税関業務部関税評価官 |
回答内容 | 別紙2のとおり。 ただし、次のことを申し添えます。 (1) 回答内容は、あくまで照会に係る事実関係を前提としたものであり、具体的な事例において異なる事実がある場合や新たな事実が生じた場合には、回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。 (2) 回答内容は、税関としての見解であり、事前照会者の申告内容等を拘束するものではありませんのでご留意ください。 |
(別紙1)
1.取引形態図
売買契約
×
輸入貨物、仕入書(FOB)
×
輸入者・買手 輸出者・売手
B社 貨物代金 S社他
(本邦) (X国)
船腹予約情報
予約完了報告
手数料
業務委託契約
受託者
A社
(X国)
船腹予約
運送契約(B/L 等)
船会社
運賃
(X国)
2.取引の概要
(1) 本邦所在の輸入者であるB社(以下「買手」という。)は、X国所在のS社他(以下「売手」という。)と売買契約を取り交わし、FOB 条件により室内敷物等(以下「輸入貨物」という。)を輸入します。なお、売手と買手の間に特殊関係はありません。
(2) 買手は、売手から FOB 条件により購入した輸入貨物を輸入港まで運送するにあたり、買手が指示した船舶への積み込み予約業務(以下「船腹予約」という。)について、X国に所在するA社と業務委託契約を取り交わしています。なお、買手とA社の間に特殊関係はありません。
(3) 買手とA社が締結した「業務委託契約書」には、次のことが取り決められています。
(a) 買手は、買手の取引先の取扱商品に関し、次の業務をA社に委託し、A社はこれを受託します。
① 買手が指定する売手からの出荷連絡に基づく船腹予約業務但し、船積調整業務は含まない。
② その他A社と買手が合意した業務
(b) 委託業務に係る料金(以下「手数料」という。)は、A社と買手間で別途取り決めるものとします。
(4) 業務委託契約書に基づくA社の業務について
(a) 買手は売手と売買契約を取り交わした後、輸入貨物を輸入港まで運送するため、A社に船腹予
約を委託します。買手は船積み可能な船舶の候補を選定し、候補船舶を売手及びA社に連絡します。売手は、輸入貨物の荷揃えの状況を確認しながら、船積みする船舶を当該候補船舶の中✎ら決定し、当該決定した船舶と船腹予約するために必要となる情報(商品名、数量及び重量)をA社に連絡します。
(b) 売手✎ら連絡を受けたA社は、買手が選定した船会社に対して船腹予約を行います。
(c) A社は、船舶の出港前に、買手に対して船腹予約が完了した報告を行います。
(5) 上記(3)(b)の船腹予約業務等の対価として支払われる手数料は、A社✎ら買手への見積書に基づき運送書類(B/L 等)の件数に応じ決定されます。
(6) 買手が支払う輸入港までの運賃について
(a) A社✎ら船腹予約を受けた船会社は、SHIPPER を売手、CONSIGNEE を買手とした「運送書類(B/L等)」を作成し、出港後に買手に送付します。なお、当該運送書類が運送契約の内容を示す書類となります。
(b) 買手は、船会社✎ら ARRIVAL NOTICE を船舶が入港する前日に受け取り、ARRIVAL NOTICE に記載された輸入港までの運賃を船会社に支払います。
3.関税評価に対する照会者の見解
A社は関税定率法基本通達 4-9(3)イの「買付けに関し買手を代理して当該買付けに係る業務を行う者」に該当し、買手がA社に委託する業務は、同(3)イ(ロ)の「商品の引渡しに関する業務(例えば、貨物を検査し、貨物についてのxx、運送、保管、引渡しを手配する業務)」に該当すること
✎ら、買手がA社に支払う手数料は、買付手数料に該当し、輸入貨物の課税価格に含まれないと考えます。
(別紙2)
【回答内容】
買手✎らA社に支払われる手数料は、関税定率法第4条第1項第2号イの「仲介料その他の手数料」に該当せず、また、同項第1号の「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」にも該当しないこと✎ら、輸入貨物の課税価格に算入されません。
【理由】
1.関係法令等
(1) 関税定率法(以下「法」という。)第4条第1項において、輸入貨物の課税価格は、当該輸入貨物に係る輸入取引がされた場合において、当該輸入取引に関し買手により売手に対し又は売手のために、当該輸入貨物につき現実に支払われた又は支払われるべき価格に、その含まれていない限度において運賃等の額を加えた価格とすると規定されています。
(2) その運賃等の額として、法第4条第1項第1号に「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」が掲げられ、「輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」とは、法基本通達(以下「通達」という。)4-8(3)イにおいて、「輸入貨物が運送契約に基づき運送された場合は、当該運送契約に基づき当該運送の対価として運送人又は運送取扱人等に最終的に支払われる費用」をいうとされています。
また、通達4-8(5)において、「その他当該運送に関連する費用とは、輸入貨物の輸入港到着までの運送に付随して発生する積卸しその他の役務の対価として支払われる費用」をいうとされています。
(3) 法第4条第1項第2号イにおいて、輸入貨物に係る輸入取引に関し買手により負担される手数料のうち「仲介料その他の手数料(買付けに関し当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるものを除く。)」が掲げられており、通達4-9(1)において、「仲介料その他の手数料とは、輸入取引に関して業務を行う者に対し買手が支払う手数料」をいうとされています。
また、通達4-9(2)において、「仲介料その他の手数料に該当する✎否✎の判断は、契約書等における名称のみによるものではなく、手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行う」とされています。
2.検討
(1) 業務委託契約書及び買手の説明を踏まえ、まず買手がA社へ支払う手数料が、法第4条第1項第2号イに規定する「仲介料その他の手数料」に該当する✎どう✎について検討します。
A社が業務委託契約書に基づき行う業務は、買手が選んだ候補の船舶の中✎ら、売手が輸入貨物の運送に利用する船舶を決定し、船会社に対して行う船腹予約業務です。
当該業務は、買手と売手との間の輸入取引の成立後に、買手の指示を受けて行われているものであり、輸入取引に関して行われているものではありません。したがって、買手がA社に支払う
手数料は、法第4条第1項第2号イに規定する「仲介料その他の手数料」に該当しません。
(2) 次に、当該手数料が法第4条第1項第1号に規定する「当該輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」に該当する✎どう✎について検討します。
買手✎ら提出された運送書類において、A社の関与は認められず、買手と船会社との間に締結された運送契約により輸入貨物が輸入港に運送されていることが確認できます。
よって、買手が船会社に支払うARRIVAL NOTICEに基づく運賃が、通達4-8(3)イの「輸入貨物が運送契約に基づき運送された場合は、当該運送契約に基づき当該運送の対価として運送人又は運送取扱人等に最終的に支払われる費用」に該当すること✎ら、買手がA社に支払う手数料は、運送契約に基づく「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃」に該当しません。また、業務委託契約に基づきA社が提供する役務は、通達4-8(5)に示されている「輸入 貨物の輸入港までの運送に付随して発生する積卸しその他の役務」ではありませんので、当該手
数料は、「その他当該運送に関連する費用」にも該当しません。
3.結論
買手✎らA社に支払われる手数料は、法第4条第1項第2号イの「仲介料その他の手数料」に該当せず、輸入貨物の課税価格に算入されません。
また、輸入貨物の運送は買手と船会社との間の運送契約に基づき行われており、A社に支払われる手数料は当該運送契約に基づく運送の対価として支払われるものでないこと✎ら、当該手数料は、法第4条第1項第1号の「輸入貨物が輸入港に到着するまでの運賃、保険料その他当該運送に関連する費用」にも該当せず、輸入貨物の課税価格に算入されません。