= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100 p : 設計時点における各対象材料の単価
香川県工事請負契約約款第25条第5項
(単品スライド条項)運用マニュアル(案)
令和4年7月第 5 版
(訂正版)
香川県土木部
目 次
第1章 総論 | ・・・・・・ | 1 |
1-1 対象工事 | ・・・・・・ | 1 |
1-2 対象品目 | ・・・・・・ | 1 |
1-2-1 対象品目の選定の考え方 | ・・・・・・ | 1 |
1-2-2 スライド額の算定の対象とする品目 | ・・・・・・ | 1 |
1-3 対象工事費の考え方 | ・・・・・・ | 2 |
1-4 スライド額算定 | ・・・・・・ | 2 |
1-4-1 スライド額算定方法の考え方 | ・・・・・・ | 2 |
1-4-2 スライド額の算定例 | ・・・・・・ | 3 |
1-4-3 出来高部分払いを行った場合の対象数量について | ・・・・・・ | 5 |
1-4-4 減額スライドにおける協議方法について | ・・・・・・ | 6 |
1-5 全体スライド条項併用時の特例 | ・・・・・・ | 6 |
1-5-1 全体スライドと単品スライド条項の趣旨 | ・・・・・・ | 6 |
1-5-2 全体スライドと単品スライドの適用について | ・・・・・・ | 6 |
1-5-3 全体スライドと単品スライドの実施時期について | ・・・・・・ | 7 |
1-5-4 全体スライド条項併用時の特例 | ・・・・・・ | 7 |
第2章 鋼材類 | ・・・・・・10 | |
2-1 対象材料 | ・・・・・・10 | |
2-1-1 対象材料の考え方 | ・・・・・・10 | |
2-1-2 その他市場単価の取扱いなど | ・・・・・・10 | |
2-2 対象数量 | ・・・・・・11 | |
2-3 受注者への確認事項 | ・・・・・・12 | |
2-4 単価(実勢価格の算定) | ・・・・・・14 | |
2-4-1 変動前の価格の決定方法 | ・・・・・・14 | |
2-4-2 変動後の実勢価格の決定方法(1) | ・・・・・・14 | |
2-4-3 変動後の実勢価格の決定方法(2) | ・・・・・・15 | |
2-5 購入価格の評価方法 | ・・・・・・16 | |
2-6 変動額の算定 | ・・・・・・16 | |
2-7 計算例 | ・・・・・・18 | |
第3章 燃料油 | ・・・・・・20 | |
3-1 対象材料 | ・・・・・・20 | |
3-2 対象数量 | ・・・・・・20 | |
3-2-1 対象数量の考え方 | ・・・・・・20 | |
3-2-2 対象数量の算定方法 | ・・・・・・21 | |
3-3 受注者への確認事項 | ・・・・・・22 | |
3-4 単価(実勢価格の算定) | ・・・・・・22 | |
3-4-1 変動前の価格の決定方法 | ・・・・・・22 | |
3-4-2 変動後の実勢価格の決定方法(1) | ・・・・・・23 | |
3-4-3 変動後の実勢価格の決定方法(2) | ・・・・・・24 | |
3-5 購入価格の評価方法 | ・・・・・・24 | |
3-6 変動額の算定 | ・・・・・・25 |
3-7 算出例 3-7-1 3-7-2 3-7-3 | 各種資材の運搬に係る燃料油の算出方法直接工事費に計上される運搬費 計算事例 | ・・・・・・26 ・・・・・・26 ・・・・・・30 ・・・・・・31 |
第4章 アスファルト類 | ・・・・・・32 | |
4-1 価格高騰(下落)の理由 | ・・・・・・32 | |
4-2 対象材料の考え方 | ・・・・・・32 | |
4-3 対象数量 | ・・・・・・32 | |
4-4 受注者への確認事項 | ・・・・・・34 | |
4-5 単価(変動後の実勢価格の算定) | ・・・・・・34 | |
第5章 コンクリート類 | ・・・・・・35 | |
5-1 価格高騰(下落)の理由 | ・・・・・・35 | |
5-2 対象材料の考え方 | ・・・・・・35 | |
5-3 対象数量 | ・・・・・・35 | |
5-4 受注者への確認事項 | ・・・・・・37 | |
5-5 単価(変動後の実勢価格の算定) | ・・・・・・37 | |
第6章 請求等手続き | ・・・・・・38 | |
6-1 請求時期 | ・・・・・・38 | |
6-2 協議の手続き | ・・・・・・38 | |
6-3 単品スライド条項運用の事務処理に際しての注意事項 6-3-1 単品スライドの請求(増額)(様式-1)があったとき単品スライドの請求(減額)(様式-11)を行うとき 6-3-2 協議開始の日の通知(増額)(様式-2) 協議開始の日の通知(減額)(様式-13)を行うとき | ・・・・・・38 ・・・・・・38 ・・・・・・38 | |
6-3-3 協議の開始と協議期間について | ・・・・・・39 | |
6-3-4 スライド結果の協議について | ・・・・・・39 | |
6-4 出来形部分確認時の取り扱い(出来形部分確認検査) | ・・・・・・39 | |
6-5 部分引き渡しにかかる指定部分の取り扱い | ・・・・・・40 | |
6-6 単品スライドに関する情報の開示請求がなされた場合 | ・・・・・・40 | |
6-7 単品スライドの運用フロー | ・・・・・・41 | |
6-7-1 増額の単品スライドの場合 | ・・・・・・41 | |
6-7-2 減額の単品スライドの場合 | ・・・・・・42 | |
第7章 提出様式等 | ・・・・・・43 |
(注)本資料の取り扱いについて
本マニュアルは、単品スライド条項の運用について発注者の認識の共有化を図るため、香川県発注の土木工事及び港湾工事を念頭に、一般的な考え方を平成20年12月段階で整理したものである。このため、これによりがたい場合について、独自の手法によることを妨げるものではない。
また、今後の単品スライド条項の協議の事例等も踏まえ、本内容についても適宜追加・修正を行うとともに、さらに分かりやすいものとする予定である。
第1章 総論
1-1 対象工事
● 残工期が2ヶ月以上あるすべての工事を対象とする。
・単品スライド条項の請求は当該請求の際に残工期(部分引渡しに係る工事部分の残工期を含む)が 2 か月以上ある場合に限り、行うことができる。
・請求対象となる工事のうち、単品スライド条項の対象となる材料の価格が対象となる工事費総額の
1%以上変動している工事が、単品スライド条項の適用対象工事となる。
1-2 対象品目
1-2-1 対象品目の選定の考え方
● 対象材料は、主要な材料で価格の著しい変動が見られる鋼材類と燃料油の2品目。
● 2品目以外でも、原材料の著しい変動などその価格上昇(下落)要因が明確な資材については、工事の請負代金額に大きな影響を及ぼす場合(請負代金額の1%を超える場合)には、受発注者間の個別協議に基づき、単品スライド条項の適用対象資材とすることが可能。
・香川県工事請負契約約款の第25条第5項に、「主要な工事材料の日本国内における価格に著しい変動を生じ、請負代金額が不適当となったとき」とされており、公共工事において使用している頻度の高い主要な材料のうち、価格の変動が著しい「鋼材類」と「燃料油」の2つの品目を対象と選定したものである。
・また、地域によっては、これらの2品目のほかに、原材料費の著しい変動等に起因して、工事請負代金額に影響を及ぼすほど価格が上昇(下落)している資材が見受けられ始めている状況であり、受発注者間の個別協議に基づき、原材料費の著しい変動などその価格上昇(下落)要因が明確な材料については、工事請負代金額に大きな影響を及ぼす場合(請負金額の1%を超える場合)には、単品スライド条項の適用対象資材とすることができることとした。
・これは、通常合理的な範囲を超える資材価格の変動分について、受注者、発注者の一方のみが負担するのは適切ではないという考え方のもと、単品スライド条項の趣旨を適切に踏まえたことによるものであり、価格変動がある材料すべてが単品スライド条項の適用対象とはならない点に留意が必要である。
・なお、対象となる材料については、受注者又は発注者から請求があった材料の中から受発注者協議の上決定するものであり、請求のない材料まで対象とする趣旨ではないことに留意が必要である。
1-2-2 スライド額の算定の対象とする品目
● 各工事においてスライド額の算定の対象となるのは、上記品目のうち品目類ごとの増額(減額)分が対象工事費の1%を超える品目が対象。
● 2品目以外でも受発注者間の個別協議に基づき単品スライド条項の適用対象の資材となった品目も対象。
・全国的な状況から判断して材料価格の変動が著しくかつ工事の総額に及ぼす影響が大きい主要資材が対象となるが、これらの材料を用いる工事のすべてが単品スライド条項の適用対象となるということではない。すなわち、個々の工事において、工事の総額に及ぼす影響が現に大きいこと
が必要条件となり、品目毎の変動額が対象工事費の1%を超える場合について、その品目をスライド額の適用対象とする。
・つまり、対象品目の増額(減額)分の合計額が対象工事費の1%を超えるものを適用対象とするのではなく、鋼材類を例にとれば、その増額(減額)分だけで対象工事費の1%を超えている場合には鋼材類が適用対象材料になるという趣旨である(品目ごとに適用対象を判断するという趣旨)。なお、この考え方は燃料油その他についても同様である。
・2品目以外の単品スライド条項の適用対象となった品目についても同様である。
1-3 対象工事費の考え方
● 「対象工事費」とは、部分払いを行った出来高部分(単品スライド条項適用後並びに特段の規定を設けたものを除く)や部分引き渡しを行った部分を、単品スライド条項適用前の最終的な全体工事費から除いたもの。
・単品スライド条項適用前に、出来高として既に部分払いを行った部分については、発注者と受注者との間で数量及び額について合意を完了しているものであることから、特段の条件がない限り、単品スライド条項の請求対象となる工事においても、その部分まで遡って単品スライド条項を適用できないことに変わりはない。
・ただし、通常は、対象材料の価格の著しい変動により請負代金額が不適当となることが判明する時点、すなわち、工事がかなり進捗した時点で単品スライド条項の適用請求を行うこととなるのが一般的であるため、単品スライド条項の適用請求までの間に部分払いが行われることもあり得る。このような場合に対処するため、今後部分払いを行う際には、発注者又は受注者の要請に基づき、部分払いを行った分についても今後の単品スライド条項の請求対象とすることができることとしている。
・また、部分引き渡しを行った部分についてはその部分に係る精算を完了させておく必要があることから、その部分のみを一つの工事として扱い単品スライド条項を適用することとなる。その際の対象工事費は部分引き渡しを行う部分に係る工事費となるが、単品スライド条項適用前に、部分払いを既に行っている出来高部分(特段の規定を設けたものを除く)が請求対象外となるのは、通常の工事と同様である。
・このような考え方は、対象工事費だけでなく、スライド額の算定の対象とする数量についても適用される。
1-4 スライド額算定
1-4-1 スライド額算定方法の考え方
● 「スライド額」とは、材料価格の変動に伴う変動額のうち、対象工事費の1%を超える額。
●それぞれの品目毎の変動後の金額は、増額に係る場合、実勢価格に基づき算出した額と実際の購入金額とのどちらか低い方とし、減額に係る場合は、実勢価格に基づき算出した額と実際の購入金額とのどちらか高い方とする。ただし、受注者が実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類を示し、実際の購入金額が適当な購入金額であると認められる場合にあっては、実際の購入金額が実勢価格に基づき算出した額よりも高い場合でも、実際の購入金額とする。
● 同一品目内で増額に係る材料と減額に係る材料がある場合は、増額分及び減額分、個々で対象工事費の1%を超える分のみがスライド額の算定に係る変動額の対象となる。
・1-2により対象となったそれぞれの品目ごとに、その品目に該当する各材料の当初の価格(発注者が設定した実勢単価に数量、請負比率を乗じた額)と変動後の価格(実際に当該品目を搬入・購入した期間中の平均的な実勢単価に、数量及び請負比率を乗じた額)との差額の合計額(変動額)から、変動前の対象工事費(1-3参照)の1%を差し引いて算出する。
・なお、増額に係る場合は、品目毎に実勢価格に基づき算出した変動後の価格よりも、それぞれの品目毎の実際の購入価格(この場合には請負比率は乗じない)の方が低い場合は、実際の購入価格とし、減額に係る場合は、品目毎の実際の購入価格の方が低い場合、実勢価格に基づき算出した額とする。
・実際の購入金額が変更後の価格(M変更)を下回る場合にあっては、各対象材料を実際に購入した際の代金額を品目毎に合計した金額(消費税等相当額を含む。)を算定し、これら実際の購入金額がM変更を下回る場合にあっては、下記の算式の規定にかかわらず、M変更に代えて受注者の実際の購入金額を用いて、下記の算式によりスライド額を算定する。…①
・実際の購入金額が変動後の価格(M変更)を上回る場合にあっては、受注者が対象材料について、受注者への確認事項で規定する書類に加え、実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類を示し、実際の購入金額が適当な購入金額であると認められる場合に限り、変動後の価格(M変更)に代えて受注者の対象材料の実際の購入金額を用いて、下記の算式によりスライド額を算定する。…②
・①②におけるスライド額算出の手順は以下のとおりとする。
1)受注者からの申し出
・受注者は実際の購入金額により価格変動後の金額を算定することを希望する場合は、対象品目及び対象材料を発注者に申し出るものとする。その際、受注者は対象材料毎に実際の購入金額の単価が実勢価格の単価(請負比率考慮)を上回ることを確認するものとする。
・受注者から申し出があった場合、発注者は対象材料の当該地域における価格上昇の状況やその原因等について受注者から情報提供を求めるものとする。
2)実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類
・実際の購入金額が適当な購入金額であることを証明する書類は、購入実績を証明する書類に加え、原則として、当該地域での市場取引価格が確認できる2社以上の見積りとする。その際、実際の購入先の見積りは含まないものとする。
<見積りの留意事項>
・見積りの提出は、工期内の代表的な月(1ヶ月以上)とし、工事全期間の提出は要しない。
・見積りの有効期間は、実際の購入金額の単価と比較するため、実際に「現場に搬入された月もしくは購入した月」を含むものとする。
・地域条件や工事材料の性質等で購入先以外から見積りを徴することができない場合や、購入先を含まない見積りが1社となる場合は、メタサーチサイト等により、当該材料の取扱業者等の所在地により近隣で対応可能な業者が限られることを確認したうえで、実際の購入先への注文時の見積りも含めるものとする。
(「近隣」については、生コンクリートを例にすると、日平均気温が25度以上の場合は運搬時間が1時間半以内の地域とする等、工事材料の性質に応じて設定する。)
3)価格変動後の金額の算定
<第1段階>
・受注者から提出された見積りから地域の材料価格の傾向と実際の購入金額での検討を行うことの妥当性を確認する。
・具体的には、対象材料毎に実際の購入金額の単価と2社以上の見積り単価を比較し、実際の購入金額が最も安価であることを確認する。
・確認にあたっては、材料が現場に搬入された月もしくは材料を購入した月のうち、代表的な月
(1ヶ月以上)の単価で確認する。
・第1段階において、実際の購入金額が最も安価であることを確認した材料は第2段階に移行する。実際の購入金額が最も安価とならない材料については、実勢価格にて価格変動後の金額を算定するものとする。
<第2段階>
・材料毎に工事全体期間を対象に実際の購入金額の単価と実勢価格の単価(請負比率考慮)を比較して実際の購入金額の妥当性を確認する。
・妥当性の目安は、実勢価格の単価(請負比率考慮)+30%とする。
(確認時の留意事項)
・複数の月に現場へ搬入・購入した場合の実勢価格の単価(請負比率考慮)は、各搬入月の単価を搬入・購入月毎の搬入数量で加重平均した単価とする。実際の購入金額の単価についても同様に購入単価を搬入・購入月毎の搬入数量で加重平均した単価とする。
・実勢価格の単価は以下のとおりとする。
・鋼材類: 「現場に搬入された月」の物価資料の価格(請負比率考慮)
・燃料油: 「購入した月の翌月」の物価資料の価格(請負比率考慮)
・その他主要な工事材料:鋼材類に準じるものとするが、燃料油のように契約と購入がほとんど同時期に行われる材料については燃料油に準じる
・実際の購入金額の単価が、実勢価格の単価(請負比率考慮)+30%以内である場合は、実際の購入金額の単価は概ね材料価格の上昇傾向と合致していると判断し、実際の購入金額にて価格変動後の金額を算定するものとする。
・なお、実勢価格の単価(請負比率考慮)の+30%は発注者として妥当性を確認するためのものであり、+30%を超えても妥当性が確認されれば採用可能とし、受注者から提出された証明書類の金額が実勢価格に対し大幅に乖離している場合は、発注者は特別に考慮すべき価格変動要因がないかを確認する。
(大幅に乖離している場合の確認時の留意事項)
・発注者による見積りの徴収、近隣工事における材料の調達状況の確認、また、特別調査により単価設定している場合は特別調査を行った調査機関への問い合わせ等により、発注者が入手できる情報・資料から証明書類の金額の妥当性を確認するものとする。
・発注者による確認の結果、証明書類の金額の妥当性を確認できない場合は、実勢価格によりスライド変動額を算定するものとする。
4) 減額変更の場合
・発注者が減額変更を請求した場合で発注者が算定したスライド額に対し受注者が異議を申し立てたときも同様の取り扱いとする。
・減額において、受注者の証明が全くなされない場合は、実勢価格に基づき算出した額とし、実際の購入価格との比較をする必要がないものとする。
・請負比率の扱いについては、通常の設計変更の際に、当初設計と設計変更後との額の差額に請負比率を乗じて予定価格を算出するのと全く同様である。なお、購入金額が採用される場合に請負比率を乗じないのは、既に請負比率が乗じられた対象工事費の範囲内で受注者が購入したものにまで請負比率を乗じるのは適当ではないとの考えによるものである。
・同一品目内で増額に係る材料と減額に係る材料が存在する場合は、増額分及び減額分それぞれで対象工事費の1%を超えるかどうかの判定を行い、超えた部分のみをスライド算定に係る変動額とする。また、双方が対象工事費の1%を超える場合は、それぞれの変動額を合算した合計額をスライド算定に係る変動額とする。つまり、増額分又は減額分、各々で対象工事費の1%を超えた部分のみが、スライドの適用対象となるという趣旨である。
S = (M変更 - M当初) - P × 1% (増額スライドの場合) S = (M変更 - M当初) + P × 1% (減額スライドの場合)
S : スライド額
P : 対象請負代金額
M当初 : 価格変動前の対象材料(1-2により対象となった品目)の金額
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100 M変更 : 価格変動後の対象材料(1-2により対象となった品目)の金額
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100 p : 設計時点における各対象材料の単価
p' : 価格変動後における各対象材料の単価 D : 各対象材料について算定した対象数量 k : 請負比率
※ただし、増額スライドにおいて、上記に基づき算出したM変更より実際の購入金額の方が安い場合は、M変更は実際の購入金額とする。また、減額スライドにおいて、実際の購入金額の方が安い場合は、M変更は上式に基づき算出した金額とする。
1-4-2 スライド額の算定例(詳細な算定方法については、第2章以降を参照のこと)
1)鋼材と燃料油の2品目で増額の単品スライドを実施する場合(ケース1)
S = 鋼材の変動額 + 燃料油の変動額 - 対象工事費× 1%
= (M変更 - M当初)+ (M変更 - M当初)- P×1/100
鋼 鋼 油 油
M当初,M当初(価格変動前の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼 油
= 設計時点の実勢価格(消費税込) × 対象数量× 請負比率
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100
① 実勢価格を使用する場合
M変更,M変更(価格変動後の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼
油
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 請負比率
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100
② 受注者の購入価格の方が安い場合
M変更,M変更(価格変動後の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼
油
= 変動後の購入価格(消費税込) × 対象数量
= { p''1×D1 + p''2×D2+……+ p''m×Dn }
p :設計時点における各対象材料の単価
p' :搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価
p'' :搬入・購入時点における各対象材料の購入価格(本例は増額の単品スライドの事例であり、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明するのが原則であるが、証明が不可能な一部の燃料油分については、工事期間の平均値とする。)
D :各対象材料について算定した対象数量 k :請負比率
P :対象工事費
2)鋼材のみの1品目で減額の単品スライドを実施する場合(ケース2)
S = 鋼材の変動額 + 対象工事費× 1%
鋼
鋼
= (M変更 - M当初)+ P×1/100
鋼
M当初(価格変動前の鋼材類の金額)
= 設計時点の実勢価格(消費税込) × 対象数量× 請負比率
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100
① 実勢価格を使用する場合
M変更(価格変動後の鋼材類の金額)
鋼
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 請負比率
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100
② 受注者の購入価格の方が高い場合
M (価格変動後の鋼材類の金額)
変更
鋼
= 変動後の購入価格(消費税込) × 対象数量
= { p''1×D1 + p''2×D2+……+ p''n×Dn }
p :設計時点における各対象材料の単価
p' :搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価
p'' :搬入・購入時点における各対象材料の購入価格(本例は減額の単品スライドの事例であり、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明しない場合については、工事期間の平均値とする)
D :各対象材料について算定した対象数量 k :請負比率
P :対象工事費
3)鋼材で増額、燃料油で減額の単品スライドをあわせて実施する場合(ケース3)
S = 鋼材の変動額 + 燃料油の変動額
= (M変更 - M当初)+ (M変更 - M当初)
鋼 鋼 油 油
M当初,M当初(価格変動前の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼 油
= 設計時点の実勢価格(消費税込) × 対象数量× 請負比率
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100
① 実勢価格を使用する場合
M変更,M変更(価格変動後の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼
油
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 請負比率
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100
② 購入価格の方が安い(増額)もしくは高い(減額)場合
変更 変更
M ,M (価格変動後の鋼材類又は燃料油の金額)
鋼
油
= 変動後の購入価格(消費税込) × 対象数量
= { p''1×D1 + p''2×D2+……+ p''n×Dn }
p :設計時点における各対象材料の単価
p' :搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価
p'' :搬入・購入時点における各対象材料の購入価格(鋼材に関しては、増額の単品スライドであり、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明するのが原則であが、減額の単品スライドである燃料油分において、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明しない場合については、工事期間の平均値とする)
D :各対象材料について算定した対象数量 k :請負比率
P :対象工事費
1-4-3 出来高部分払いを実施する場合の対象数量について
● 単品スライド条項適用前に、既済部分について出来高部分払いを行っている場合は、当該既済部分払いの対象となった出来高部分(特段の規定を設けた部分を除く)に係る数量を除いた数量を設計数量とする。
・出来高部分に係る数量の算出方法は、次のいずれかとする。
A)出来高部分について再積算を実施して出来高に該当する金額を算出した資料より、出来高部分に該当する数量を算出。
B)部分払い対象となった請負代金額相当額と請負代金額との割合に、対象数量を乗じることで概算的に数量を算出。※1
・単品スライドの対象となる可能性があると考えられる工事について、受注者から「様式-9」による出来形部分確認申請書が提出された場合、対象となった出来高部分についても単品スライドの対象となるので留意すること。(手続きの詳細に関しては第6章を参照のこと。)
※1 : 部分払い時の支払い額は、出来高に該当する請負代金額相当額の9割以下とされており、
「部分払い時の支払額=部分払い対象となった請負代金額相当額」ではないので注意すること。
1-4-4 減額スライドにおける協議方法について
● 減額に係る場合、発注者は実勢価格に基づくスライド額にて単品スライド請求を行い、受注者は異議がある場合には受注者の証明数量による購入金額を提示するものとする。
・減額に係る場合それぞれの品目毎の変動後の金額は、実勢価格(発注者の積算)に基づき算出した額と受注者の証明による実際の購入金額を比較し金額の高い方を採用する。
・実際の購入金額の方が高い場合は、購入価格にてスライド額を算出することとし、この場合において、受注者の証明数量が対象数量(設計数量及び想定数量)に満たない未証明数量部分については実勢価格を使用して算出する。
・燃料油は実際の購入金額を証明することが難しいため、受注者の証明数量による購入金額の決定については本マニュアル第3章 燃料油を参照のこと。(手続きの詳細に関しては第6章を参照のこと。)
1-5 全体スライド条項との併用時の取り扱い
1-5-1 全体スライドと単品スライド条項の趣旨
・通常価格の変動は予見可能であるとし、価格変動による請負金額の変更は行わないのが基本である。しかし、合理的な範囲を超えた価格変動が生じた場合は、発注者と受注者で負担を分担することとなっている。
・例えば、全体スライドによる請負代金の変更(増額)においては、変動前残工事金額と変動後残工事金額の差額のうち、変動前残工事代金額の1.5%を超える部分を増額変更することになるが、変動前残工事代金額の1.5%分は受注者が負担し、増額変更分は発注者が負担するということになる。また、単品スライドにおいても合理的な範囲を超えた価格変動分を双方で分担しあうという点では考え方は同じである。以下に全体スライドと単品スライドの比較を示す。
(香川県工事請負契約約款第25条)
項目 | 全体スライド(第1~4項) | 単品スライド(第5項) | |
適用対象工事 | 工期が 12 ヶ月を超える工事(比較的大規模な工事) | 残工期が 2 ヶ月以上のすべての工事 (運用通達発出日時点で継続中の工 事及び新規契約工事) | |
条項の趣旨 | 長期間の工事における通常予見不可能な価格の変動に対応する措置 | 特別な要因により主要な工事材料の著しい価格の変動に対応する措置 (単年度工事など全体スライドの対象とならない工事にも適用できる補 完的措置) | |
請負額変更の方法 | 対象 | 資材、労務単価等(価格水準全般の 変動) | 鋼材類及び燃料油など(特定の資材 価格の急激な変動) |
受注者 の負担 | 残工事費の1.5% | 対象工事費の1.0% |
1-5-2 全体スライドと単品スライドの適用について
・全体スライドと単品スライドは、発注者又は請負者の請求があってはじめて適用されるものであり、価格変動が大きくても請求がなければ、請負金額の変更は行われない(約款第25条関係)。一般的に請負金額の増額請求は請負者、請負金額の減額請求は発注者が行うものであるから、発注者は、減額スライドの対象となるかを監視しておく必要がある。
1-5-3 全体スライドと単品スライドの実施時期について
・全体スライドは契約日から12ヶ月以上経過した工事の残工事費を対象に行われるため、工期半ばで行われる。
・単品スライドの請求は、工期末日の 2 ヶ月前迄に行われるが、その額を確定するためには対象工事費(全体スライドが行われている場合は全体スライド額を含む)を確定させる必要がある。このため、全体スライドが適用されている工事については、対象工事の精算額を算出した後に単品スライド額を算定することとなる。
1-5-4 全体スライド条項併用時の特例
● 全体スライド条項のみによるスライド額を算定の上で、その対象とはならない価格上昇を単品スライド条項で反映することは可能。
● 全体スライド条項と単品スライド条項とを併用した期間においては、
① 単品スライド条項の変動前の単価は全体スライド条項の適用日の単価を用いる。
② このうち、増額全体スライドと増額単品スライドを併用する場合については、単品スライド条項に係る受注者負担は求めない。
③ また、減額全体スライドと減額単品スライドを併用する場合については、単品スライド条項に係る発注者負担は求めない。(②の逆の考え方)
● 単品スライド条項の発動の可否を判断するために1%を乗じる対象工事費(1-3参照)には、全体スライド条項のスライド額を含む。
・全体スライド条項は、材料価格を含む物価や賃金等の変動に伴う価格水準全般の変動について対応するものであることから、単品スライド条項の適用となっている材料を含めて、まず全体スライド条項によるスライド額を算出することが基本となる。その上で、全体スライド条項との重複を防止するため、全体スライド条項の対象とした数量については、変動前の単価を全体スライド条項の適用日の単価として単品スライド条項のスライド額を算出することとなる。
・また、増額全体スライド条項と増額単品スライド条項とをそれぞれ単独で考えた場合、前者においては残工事費の1.5%、後者においては対象工事費の1%、それぞれで受注者の負担が生じることとなる。両スライドのルールをそのままそれぞれ適用した場合には、受注者にリスクを重複して負担させることとなり、結果的にリスク負担が過大なものとなる。逆に、減額全体スライド条項と減額単品スライド条項とをそれぞれ単独で考えた場合、前者においては残工事費の1.
5%、後者においては対象工事費の1%のそれぞれについて、発注者が重複して負担することとなる。この場合、発注者のリスク負担が過大なものとなる。
・このような過大なリスク負担を回避するため、増額単品スライド条項のみが適用される期間においては当該期間の工事費の1%を受注者の負担とするが、増額全体スライド条項と増額単品スライド条項が併用されている期間においては、全体スライド条項の適用により受注者が負担する残工事費の1.5%をもって既に単品スライド条項に係るリスク負担がなされているとの考え方に基づき、単品スライド条項に係る1%分の負担を求めないこととした。減額全体スライドと減額単品スライド併用の場合は、単品スライド条項に係る1%分の負担を考慮しないこととする。
・減額全体スライドと増額単品スライドを併用する場合については、発注者の減額負担が1.5%と、受注者の増額負担1%をそれぞれ考慮する。増額全体スライドと減額単品スライドの併用の場合もそれぞれの率負担分を考慮するものとする。
・さらに、1-2で述べたように、単品スライド条項に係る対象工事費は基本的には最終的な全体
単品スライドのみの適用期間の受注者負担額 ・・・・1%
工期末
全体スライド基準日
単品スライド適用開始
残工期2ヶ月以上
残 工 事
x x x
スライドの対象とならない工事額 (d)
b×1.5%
全体Sにおける受注者負担額
単品スライドにおける受注者負担額
a×1%
全体スライド額 (c)
全体スライドとの併用期間の受注者負担額 ・・・・1.5%
工事費であり、全体スライド条項と併用した場合の対象工事費は全体スライド条項に係るスライド額を含む変更後の総価となる。
全体スライド(増額)+単品スライド(増額)のモデル
A2については、
受注者負担なし
対象工事費には、全体スライ
ドのスライド額(c)を含む
A2については、全体スライドの適
用日の単価を変動前の単価として単品スライドのスライド額を算出
ただし、
主要材料の変動額
A鋼 +A鋼 >(a+b+c)×1%
1 2
A2
A油 油
1+A 2>(a+b+c)×1%
A他 他
1+A 2>(a+b+c)×1%
A1
となる資材のみが対象
※ 単品スライド変更額
= (A1+A2)-a×1%
単品スライド適用期間 全体スライド適用期間の工事額 (b)のみの工事額 (a)
請負額合計(B)
B=a+b+c+d
12ヶ月 以上
契約日
全体スライド(減額)+単品スライド(増額)のモデル
A1・A2については、
受注者負担あり
対象工事費には、全体スライ
ドのスライド額(c)を含む
A2については、全体スライドの適
用日の単価を変動前の単価として単品スライドのスライド額を算出
ただし、
主要材料の変動額
A2
A1
となる資材のみが対象
※ 単品スライド変更額
= (A1+A2)
-(a+b-c)×1%
請負額合計(B) B=a+b+d-c
12ヶ月 以上
契約日
1 2
A他 +A他 >(a+b-c)×1%
1+A 2>(a+b-c)×1%
A油 油
1 2
A鋼 +A鋼 >(a+b-c)×1%
単品スライドのみの適用期間の受注者負担額 ・・・・1%
工期末
全体スライド基準日
単品スライド適用開始
残工期2ヶ月以上
残 工 事
x x x
全体スライド適用期間の工事額 (b)
のみの工事額 (a)
ならない工事額 (d)
全体スライド額 (c)
全体Sにおける発注者負担額(b×1.5%)
単品スライド適用期間
スライドの対象と
単品スライドにおける受注者負担額(a×1%)
全体スライドとの併用期間の発注者負担額 ・・・・1.5%
〃 受注者負担額 ・・・・ 1%
注-1)単品スライド条項の対象工事費は、最終的な全体工事費から、部分払いを行った出来高部分や部分引き渡しを行った部分を除いたもの。図中の単品スライド条項適用開始日はそれをわかりやすく表現したもので、通達の発出日ではない。
注-2)現在実施中の工事については、単品スライド適用開始日が契約日以前となるため、スライドの対象とならない工事(d)は発生しない。
◆全体スライドと単品スライド併用時の単品スライド額
単品スライド | 適用条件 | |||
増額 | 減額 | |||
全体 スライド | 増額 | (A1+A2)-a×1.0% ただし、 (A1+A2)>(a+b+c)×1.0% | (A1+A2)-(a+b+c)×1.0% ただし、 ¦A1+A2¦>(a+b+c)×1.0% | ・算定式の考え方は、前頁を参照 ・ただし書きは、適用条件で全体スライド条項のスライド額を含む請負代金の1 % を超えるこ とが条件となる |
減額 | (A1+A2)-(a+b-c)×1.0% ただし、 (A1+A2)>(a+b-c)×1.0% | (A1+A2)-a×1.0% ただし、 ¦A1+A2¦>(a+b-c)×1.0% |
◆全体スライドと単品スライド併用時の受注者負担の考え方
単品スライド | |||
増額 | 減額 | ||
全体 スライド | 増額 | 全体スライドの受注者負担のみ | 増額スライド実施され受注者増額負担が 1.5%となっているので、発注者の減額負担 1.0%を超える分の単品スライド額を減ずる |
減額 | 減額スライド実施され発注者減額負担が 1.5%となっているので、受注者の増額負担 1.0%を超える分の単品スライド額を加える | 全体スライドの発注者負担のみ |
第2章 鋼材類
2-1 対象材料
2-1-1 対象材料の考え方
● H形鋼、異形棒鋼、厚板、鋼xx、鋼管杭、鋼管xx、鉄鋼2次製品、ガードレール、スクラップ等、鋼材を主材料として構成されている材料を対象にする。
● ただし、鋼材類を一部にしか含まないコンクリート二次製品等や、価格変動の要因が鋼材とは異なる非鉄金属は鋼材類としての品目に分類しない。
・鉄鉱石や石炭等の原材料の著しい変動を要因として、鋼材の価格が短期間で急激に上昇(下落)していることから、鋼材を主材料として構成されている材料を対象としたものであり、具体的には、いわゆる鋼材類(H形鋼、異形棒鋼、厚板、鋼xx、鋼管杭、鋼管xxなど)の他、鉄鋼2次製品(ロックボルト、鉄網、ワイヤーロープなど)、鋼材から加工された道路用資材、橋梁用資材や港湾用資材の一部(ガードレール、PCより線、係船柱、鋼製車止めなど)、スクラップなどを対象とする。
・しかしながら、鋼材類を一部に含むコンクリート二次製品等については、その中に含まれる鋼材類に係る部分のみを分離して価格を算出することが困難であることから、対象材料とはせず、別品目として分類する。
・なお、非鉄金属(アルミニウム、鉛、金、銀、銅、ニッケル等)は価格変動の要因が鋼材のそれとは異なることもあり、鋼材類としての品目に分類しない。
2-1-2 その他市場単価の扱いなど
1)市場単価
● 鋼材類を使用し、市場単価を用いて積算している工種において、鋼材に係る材料費が分離できる場合には対象とすることができる。
● 但し材料費が分離できない市場単価でも、設計図書に数量が記載されている場合は対象とすることができる。
・工種ごとの単価が示されている市場単価において、鋼材類の材料費が分離できる構成となっている場合は、その材料費の変動に伴う工事価格の変動を把握することが可能であることから、対象とすることができる。
・具体的には、市場単価のうち、市場単価の構成上、材料費が分離されているため対象とすることができる。
・逆に、市場単価が材料費を分離できない構成となっているものは、材料費のみを別途算出することは不可能であるが、設計図書に鋼材類が明示されている場合は、その数量については対象とすることができる。この場合、市場単価に代えてその材料の実勢価格を変動前、変動後の価格として変動額を算出するものとする。また、購入価格、購入先及び購入時期が証明されることが必要であるのは、市場単価以外の場合と同様である。
2)賃料・損料(リース料金)等の取り扱い
● 鋼材類の賃料・損料についても対象とすることができる。
・リース契約の鋼材類についても、同一要因による鋼材の価格上昇(下落)に伴って、既にリース料や不足弁償金が上昇又は今後下落することも想定できることとしていることから、購入する場合と同様に対象とすることとする。なお、一度リース契約を結んだものは契約途中でその価格が変更されることはないため、当該材料のリースを始めた月の価格とすること、また、複数の月でリースを開始している場合は、他の材料と同様にその数量に応じて加重平均することにより算出した単価に設計数量を乗じることなど、当初及び変更後の価格の設定については注意が必要である。
・本マニュアルは、香川県工事請負契約約款に基づく請負契約を想定したものであり、仮設材等における賃貸借契約等、他の契約条項により契約した案件は、ここでは想定していない。
2-2 対象数量
● 鋼材類については、原則、発注者の設計図書の数量を対象とするが、発注者の設計数量の範囲内で、加工によるロス等の数量についても加味することができる。なお、このロス分を対象数量とする場合は、ロス分についてスクラップ等で売却する金額についても適切に処理する。
● 仮設工等など、発注者の設計数量が明示されていない場合は、発注者の設計数量を対象数量とすることができる。
1)設計図書に記載された数量がある場合の取り扱い
・鋼材類については、原則、数量総括表や図面等、設計図書に明示されている数量を対象数量とする。増額に係る場合におけるこの数量について受注者が購入価格、購入先及び購入時期について証明できない場合は、当該材料はスライドの対象としない。ただし、減額に係る場合におけるこの数量については、設計数量が対象となる。これは受注者から購入時期や購入先、購入価格等を確認できる書類の提出の協力を得られなかった場合を想定している。この場合、設計数量の証明された数量及び証明されなかった数量の合計値が対象数量となる。
・また、実際の工場現場では鋼材を加工するためにロスが生じることから、実際に購入した数量のうち、発注者の設計数量(設計図書で明示されている数量×(1+ロス率))までは、対象数量とすることができる。
・なお設計数量は、土木設計積算システムを使用している場合において、機労材集計リストとして材料毎に集計した結果を出力し確認することができる。
(増額に係る場合)
(
証明された数量と対象数量の考え方
証明数量<設計図書の数量 設計図書の数量≦証明数量≦設計数量 設計数量<証明数量 | ⇒ ⇒ ⇒ | 当該材料は対象材料とならない 対象材料。対象数量は証明数量 対象材料。対象数量は設計数量 |
減額に係る場合) 証明数量<設計図書の数量 ⇒ 対象材料。対象数量は設計数量 | ||
設計図書の数量≦証明数量≦設計数量 | ⇒ | 対象材料。対象数量は設計数量 |
設計数量<証明数量 | ⇒ | 対象材料。対象数量は設計数量 |
設計図書の数量:設計図書(数量総括表や図面等)に記載されている数量設計数量:設計図書の数量にロスを加えた数量(積算上の数量)
証明数量:受注者から証明された数量
・このようなロス分(異形棒鋼は除く)については、積算上スクラップとして売却することとなっており、ロス分を計上する場合は、スクラップも対象材料として売却金額の上昇(下落)分を計
算に含めることにより、変動額を適切に設定することが必要である。このため、ロス分を対象数量とするよう請求があった場合は、発注者は受注者に対してスクラップについても対象材料とするよう申し入れるものする。協議が成立しない場合は、対象数量の設定方法の見直し(例えば、ロス率が見込まれる対象数量を設計数量ではなく設計図書の数量とする等)や、スクラップを対象材料として単価の適切な設定(スクラップの単価は、実勢価格の工期の平均値と、受注者が当該工事に該当するとして一部提出したスクラップの売却単価の最大(最低)値との高い(低い)方の値)などの措置を講じることが必要である。
2)数量総括表に一式で計上されている仮設工など
・数量総括表に一式で計上されている任意仮設については、受注者が必ずしも発注者が想定した工法で実施せず、使用する鋼材類の種類や数量が発注者の想定と異なっていることが通常あり得る。任意仮設について受注者からの請求があった場合は、発注者が仮設として想定した鋼材類についてその設計数量を対象数量とする。なお、減額に係る場合も同様に仮設として想定した鋼材類の設計数量を対象数量とする。
3)その他
・既済部分払いを行っている場合は、当該既済部分払いの対象となった出来高部分に係る数量を除いたものを設計数量とする。
2-3 受注者への確認事項
● 鋼材類は、材料の取引形態に照らし対象数量全量の搬入等の時期、購入先及び購入価格を確認することが可能であるため、それが証明できる納品書、請求書、領収書の提出を受注者に求めること。ただし、減額に係る場合は、原則協議開始日以降に証明書類の提出の協力を求めること。
● 提出されない場合は、下記のとおりとする。
(増額に係る場合) ⇒ その材料は単品スライド条項の対象材料としない。
(減額に係る場合) ⇒ その材料は単品スライド条項の対象材料となる。
・単品スライド条項は、対象とする材料が当初の想定と比べ、実際に購入した時期に著しく価格が変動したために請負代金額の変更をしようとするものであるため、この条項に基づくスライド額の算定に当たっては、実際の購入時期や購入価格が発注者に証明されることが前提となる。なお、減額に係る場合は、証明者が発注者となることから、受注者が証明を行う必要はないため、実際の購入時期や購入価格の証明は、受注者から協力を得られた場合のみで良いものとする。
・また、材料の取引形態に照らし数量、価格等の入手実態が明確な鋼材類については、対象数量全量の搬入等の時期、購入先及び購入価格を証明する書類として、納品書、請求書、領収書の全てを提出してもらい、購入実態を的確に把握することが必要である。(ミルシートは鋼材類の品質を証明する書類であり、当該工事で購入した材料の数量等を証明できない場合があるが、当該工事の数量、納品時期が証明できる場合は、納品書に替えることができる。)
・ただし、減額に係る場合は、請負代金額の変更の請求をその材料に対して行う必要性があることから、対象数量全量のうち一部数量における搬入時期、購入先及び購入価格が証明されない場合も実勢価格をもって対象とすることができる。この数量は対象数量のうちの証明されなかった数量となる。
・下請企業等が購入している場合は、その企業の書類(納品書、請求書や領収書)で問題ないが、施工体制台帳等で当該企業がその工事に従事していることを別途確認すること。
・増額に係る場合にあって、必要な証明書類が提出されない場合や提出された書類の信憑性がない
場合など、現場への搬入時期等を確認できない材料は単品スライド条項の対象材料としない。これは、品目毎に実勢価格を用いて算出した変動後の価格と実際の購入価格のどちらか安い方の金額を採用することとしているが(1-4-1参照)、鋼材については購入価格と数量を証明することが可能であるため、実際の購入価格が安い場合でも書類の提出を義務づけることによって、スライド額が実際よりも高いものとなることを回避する意味がある。ここでいう材料とは規格毎の材料という意味であり、搬入時期等を確認できない材料があったとしても規格が異なる他の材料まで単品スライド条項の対象材料としないという趣旨ではない。
・なお、受注者より任意仮設に対する請求があり、かつ、受注者の実際の施工が発注者の想定と異なる場合は、受注者の仮設工に必要な他の材料の搬入時期を証明する書類をもって証明できることとする。
・また、鋼材類の「搬入」とは、工事現場に直接搬入される場合のみならず、製作工場に直接搬入される場合(鋼橋等)もあるが、その場合の搬入時期は製作工場に搬入される時期とする。製作工場に直接搬入される鋼材類の証明書類の確認については製作工場で適正な製作日数が確保されていることも確認する。
・鉄筋等の鋼材類については、加工日数に要する期間が短いものと想定されるため、工事現場に搬入された時期を対象とする。ただし、適正な加工日数が確保されていることも確認する。
・証明書類は、原本を必ず確認の上、コピー等を提出させる。証明書類等を確認する項目は工事名、数量、単価、購入・搬入年月日、社印等とする。
・複数の工事と重複した証明書類は、当該監督員と調整を行い、工事毎の数量を確定させる。
納品書の例
請求書の例
2-4 単価(実勢価格の算定)
2-4-1 変動前の価格の決定方法
● 変動前の価格を算出するための単価は、設計時点における単価。
・設計時点における単価は、予定価格を算出する際に用いた単価とする。設計変更を実施した場合も同様に変更金額を算出するために用いた単価とし、新規工種については発注者の指示時点(香川県土木工事共通仕様書1-1-7に基づいて行う指示の時点であり、工事打合簿に記載する年月日)の単価とする。
・なお、一般的に受注者は、自らが当初想定した金額を根拠に単品スライド条項を請求するものと考えられるが、受注者の想定した金額の妥当性を客観的に証明することは実態上困難であることから、変動前の価格は発注者の想定した金額とする。
2-4-2 変動後の実勢価格の決定方法(1)
● 価格変動後の価格の算定に用いる実勢単価は、対象材料が現場に搬入された月の物価資料の価格とする。
● 物価資料に掲載されていない材料は、原則個別の実取引価格(受注者の購入価格)を実勢価格とするが、必要に応じ購入価格の妥当性を確認すること。
1)実施設計積算単価(香川県土木部)により実勢価格を設定する場合
・鋼材類の販売形態に係わらず、鋼材メーカーから現場や工場に搬入された月における最新の単価適用日の単価を実勢価格とすること。
2)物価資料等により実勢価格を設定する場合
・鋼材類の販売形態は、「店売り」といわゆる「ひも付き」に区分され、それぞれ毎に物価資料等に掲載されている。
・ひも付きの鋼材類の場合、一般的に鉄鋼メーカーから現場や工場に納入される2ヶ月前におおむね購入契約が行われていることから、その結果は現場に搬入された月と同月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
・一方、店売りの場合は、納入の概ね1ヶ月以上前に購入契約は完了しており、その結果は現場に搬入された月と同月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
契約
(価格決定)
調査期間
8月号
価格調査の流れ
現場搬入
資材調達
(店売り)
現場搬入
契約
(価格決定)
資材調達
(ひも付き)
8月
7月
6月
時期
3)特別調査や見積り等による場合
・当初積算が特別調査や見積もりによる材料など、既存の物価資料に価格が掲載されていない場合は、過去の価格に遡って特別調査や見積もりを実施することが困難であることから、当初積算時の類似資材の物価変動率により算定することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は、発注者による見積りの徴収、近隣工事における資材の調達状況の確認、また、特別調査により単価設定している場合は特別調査を行った調査機関への問い合わせを行う等により、別途考慮する。
鋼材類の実勢価格決定方法
価格 採用順 | 設計時点での価格決定方法 | スライド単価の決定方法 |
1 | 土木工事積算単価(香川県土木部)による場合 | 対象材料が現場や工場に搬入された月における最新の単価適用日の単価を設定する。 |
2 | 物価資料に掲載がある場合 | 対象材料が現場に搬入された月の物価資料により単価を設定する。 |
3 | 特別単価調査(定期調査・臨時調査)による場合 | 当初積算時の類似資材の物価変動率により算定することができる。ただし、当該材料等の工事費全体に占める割合が大きい場合は、発注者による見積りの徴収、近隣工事における資材の調達状況の確認、また、特別調査により単価設定している場合は特別調査を行った調査機関への問い合わせを行う等により、別途考慮する。 |
4 | 見積による場合 |
2-4-3 変動後の実勢価格の決定方法(2)
(増額に係る場合)
● 月毎の搬入数量に応じて加重平均して算出した価格に、対象数量を乗じて算出。
(減額に係る場合)
● 設計数量内の証明された数量に応じて加重平均処理された単価に証明された数量を乗じたものと設計数量内の証明されていない数量がある場合は、証明されていない数量に工事期間の平均価格を乗じたものとを合計して、変動後の実勢価格を決定。
・価格変動後の価格を算定する場合には、各月毎の数量が必要となるが、購入時期までを拘束していない設計書の性格上、発注者は対象数量の月毎の内訳を想定することが困難である。このため、受注者が実際に材料を購入した状況に応じ、複数の月に現場に対象材料が搬入された場合については、加重平均により平均的な単価を決定し、対象数量を乗じて、変動後の価格を算出することとする。
・このような手法を採用するのは、対象数量と購入数量が同じであればどちらの数量を用いても結果に変わりはないが、対象数量と購入数量が異なる場合でも的確に変動後の価格を算出できるようにするためである。
(以下、減額に係る場合)
・資材価格高騰により受注者が購入時期、購入先、購入数量及び購入価格を証明することにより請求するケースとは異なり、資材価格が下落したことによる請求は、発注者がその事実を証明する必要がある。また、請負契約において特別な定めがない限り、資材を購入する時期までは定めていないことから、工事期間中であればいつ購入しても良いと判断することができる。よって、証明されていない数量は購入時期が不明であることから、設計数量内の証明されていない数量に対応する実勢価格は、証明されていない数量に工事期間の平均価格を乗じて算出する。
・2-2のとおり様々な対象数量の設定方法があるため、その数量に応じて設定した単価をそれぞれの数量に乗じて合計額を算出する。
・なお、設計数量内の証明された数量と設計数量内の証明されていない数量が混在する場合、それぞれの数量にあたる価格を加重平均し、対象数量を乗じて算出することと同意義である。
※工事期間:契約月から工期末が属する月の3ヶ月前月までの期間。
2-5 購入価格の評価方法
● 対象材料における購入数量が対象数量と同数の場合は、実際の購入金額。
● 増額に係る場合かつ購入数量が対象数量以上の場合は、実際の購入金額÷購入数量×対象数量。
● 減額に係る場合において、証明されなかった数量については、2-4-2に基づき、発注者と同様に、工事期間の平均価格(契約月から工期末の3ヶ月前月迄の実勢価格の平均価格)に証明されなかった数量を乗じた額とする。
・鋼材類については、対象材料となる場合は、対象数量以上の数量の搬入時期等が証明された場合である。対象数量と購入数量が同数の場合の購入金額は受注者が実際に購入した金額そのものとする。しかし、増額に係る場合かつ購入数量が対象数量以上の場合は、実際の購入金額のうち、スライド額の算定の対象に出来る対象数量に係る部分のみを購入したと考えた場合の金額である。
・減額に係る場合において、証明されなかった数量については、受注者もその単価を明確に把握しているとは言い難いため、単価は発注者が設定する手法と同等の手法にて算出することとする。
2-6 変動額の算定
● 1-4の算定式に基づき、変動額を算出する。
1)増額に係る場合(ケース1)
鋼
鋼
変動額 =( M変更 - M当初 )
鋼
M当初(価格変動前の鋼材類の金額)
= 設計時点の実勢価格(消費税込) × 対象数量× 請負比率
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100
① 実勢価格を使用する場合
M変更(価格変動後の鋼材類の金額)
鋼
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 請負比率
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100
② 購入価格の方が安い場合
M変更(価格変動後の鋼材類の金額)
鋼
= 変動後の購入価格(消費税込) × 対象数量
= { p''1×D1 + p''2×D2+……+ p''n×Dn }
p | : | 設計時点における各対象材料の単価 |
p' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価 |
p'' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の購入価格(本例は増額の単品スライドの事例 |
であり、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明するのが原則) | ||
D | : | 各対象材料について算定した対象数量 |
k | : | 請負比率 |
P | : | 対象工事費 |
2)減額に係る場合(ケース2)
鋼
鋼
変動額 =( M変更 - M当初 )
鋼
M当初(価格変動前の鋼材類の金額)
= 設計時点の実勢価格(消費税込) × 対象数量× 請負比率
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100
① 実勢価格を使用する場合
M (価格変動後の鋼材類の金額)
変更
鋼
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 請負比率
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100
② 購入価格の方が高い場合
M変更(価格変動後の鋼材類の金額)
鋼
= 変動後の購入価格(消費税込) × 対象数量
= { p''1×D1 + p''2×D2+……+ p''n×Dn }
p | : | 設計時点における各対象材料の単価 |
p' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価 |
p'' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の購入価格(本例は減額の単品スライドの事例 |
であり、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明しない場合については、工 | ||
事期間の平均値(契約月から工期末の3ヶ月前月迄の実勢価格の平均価格)とする) | ||
D | : | 各対象材料について算定した対象数量 |
k | : | 請負比率 |
P | : | 対象工事費 |
2-7 計算例
1)請負比率 95%の工事における増額スライドの場合
当初設計単価(円) | 70,000 |
設計図書の数量(t) | 100 |
平成 20 年 4 月 | 平成 20 年 5 月 | 平成 20 年 6 月 | |
各月の実勢価格(円) | 74,000 | 78,000 | 83,000 |
搬入又は購入時の価格(円) | 71,000 | 79,000 | 85,000 |
搬入又は購入時の数量(t) | 30 | 30 | 50 |
鋼
○ 価格変動前の金額:M当初
M
鋼
当初 = 設計時点の実勢価格 × 対象数量 × 請負比率 ×(1+消費税等率)
= 70,000 × 100 × 0.95 × 1.05
= 6,982,500
鋼①
○ 価格変動後の金額:M変更
M
鋼①
変更 = 搬入月の実勢価格(加重平均)× 対象数量 × 請負比率 ×(1+消費税等率)
=(74,000×30+78,000×30+83,000×50)/(30+30+50)×100×0.95×1.05
= 7,898,100
鋼②
○ 実購入額:M変更
M
鋼②
変更 =(71,000×30+79,000×30+85,000×50)/(30+30+50)×100×1.05
> M
= 8,351,700
鋼②
※ この場合、M変更
変更 となるため、価格変動後の金額 M変更
は、積算金額を採用する。
鋼
鋼①
○ 変動額の算出
鋼
変動額 = M変更
- M当初
鋼
= 7,898,100 - 6,982,500
= 915,600
2)請負比率 95%の工事における減額スライドの場合
当初設計単価(円) | 120,000 |
設計図書の数量(t) | 100 |
平成 20 年 4 月 | 平成 20 年 5 月 | 平成 20 年 6 月 | |
各月の実勢価格(円) | 83,000 | 78,000 | 74,000 |
搬入又は購入時の価格(円) | 80,000 | 75,000 | 72,000 |
搬入又は購入時の数量(t) | 30 | 30 | 50 |
鋼
○ 価格変動前の金額:M当初
M
鋼
当初 = 設計時点の実勢価格 × 対象数量 × 請負比率 ×(1+消費税等率)
= 120,000 × 100 × 0.95 ×1.05
= 11,970,000
鋼①
○ 価格変動後の金額:M変更
M
鋼①
変更 = 搬入月の実勢価格(加重平均)× 対象数量 × 請負比率 ×(1+消費税等率)
=(83,000×30+78,000×30+74,000×50)/(30+30+50)×100×0.95×1.05
= 7,734,300
鋼②
○ 実購入額:M変更
M
鋼②
変更 =(80,000×30+75,000×30+72,000×50)/(30+30+50)×100×1.05
> M
= 7,875,000
鋼②
※ この場合、M変更
変更 となるため、価格変動後の金額 M変更
は、実購入額を採用する。
鋼
鋼①
○ 変動額の算出
鋼
変動額 = M変更
- M当初
鋼
= 11,970,000 - 7,875,000
= 4,095,000
第3章 燃料油
3-1 対象材料
● ガソリン、軽油、混合油、重油、灯油 とする。
・該当する材料は、ガソリン、軽油、混合油、重油、灯油の5材料とする。なお、例えば潤滑油など燃料油でないものは対象材料とはしない。
3-2 対象数量
3-2-1 対象数量の考え方
● 発注者の設計数量(V)を基本とする。(共通仮設費の積上げ部分含む)
● 設計数量(V)に含まれていない、現着単価で設定されている資材や機械の運搬に要する燃料についても、その数量の妥当性が客観的に確認できるものは対象数量とすることができる。
1)発注者の設計数量(V)にカウントされている数量(発注者の設計数量(V)内) ・・・ ①
・燃料油については設計図書に明示していないが、発注者の積算において、現場場内の建設機械、作業船舶や場外への運搬のためのダンプ等が稼働する際に必要な燃料油等として計上されている設計数量(V)を基本とする。
・なお設計数量(V)は、土木設計積算システムを使用している場合において、機労材集計リストとして材料毎に集計した結果を出力し確認することができる。
・発注者の積算にて設定した建設機械及び作業船舶の種類や規格が、現場へ搬入したものと相違している場合は、発注者の積算にて設定した作業船舶及び建設機械の種類や規格での設計数量(V)とする。(回航・えい航費で出発港、到着港が積算と相違する場合も、同様とする。)
2)発注者の設計数量(V)にカウントされていない数量 ・・・ ②
・現場に搬入される資材(現着単価で設定されている骨材・石材・生Co・As合材等)や機械等
(建設機械・仮設材・桁等(積算上、共通仮設費(率計上部分を含む)として計上されているものを含む)の運搬過程において燃料油が使用されている。この場合、燃料油価格が分離できない構成で現着の単価や運搬費に含まれているため、対象数量とするためには、その中から燃料油に係る価格等の妥当性について発注者が客観的に確認できることが必要である。つまり、増額に係る場合におけるこの数量については、価格等の妥当性が証明されることを条件としており、設計数量(V)に含まれている数量とは異なり、証明されないものは対象数量とならない。ただし、減額に係る場合におけるこの数量については、想定数量(発注者の積算にて設定した作業船舶及び建設機械の種類及び規格をもって、各々の建設機械及び作業船舶の台数は施工に必要な最低限の台数で算出した数量)が対象となる。これは受注者から購入時期や購入先、購入価格等を確認できる書類の提出の協力を得られなかった場合を想定している。
※平成20年11月5日より鋼材類及び燃料油以外の主要工事材料の価格の著しい変動が認められる場合には、運用通知に基づき鋼材類について単品スライド条項を適する場合の取扱に準じて、当該工事材料について単品スライド条項を適用できるものとしたことから、現場に搬入される資材(現着単価で設定されている石材・骨材・生Co・As合材等)の運搬過程において使用される燃料油は対象数量に含まないものとした。よって、現着単価で設定されている資材については、各々の資材で対象品目か否かを判断し、請求を行うこととする。
○ 発注者の設計数量(V)内
① 現場場内建設機械、作業船舶(場外への運搬ダンプ等を含む)に使用した燃料類(共通仮設費の積上げ部分を含む)
○ 発注者の設計数量(V)外
② 共通仮設費(率及び積上げ)に含まれる建設機械等(建設機械・仮設材等)の運搬及び分解・組立に要した燃料類
3-2-2 対象数量の算定方法
・使用した燃料油のうち、主たる用途分については、受注者から購入時期や購入先、購入価格等を確認できる書類の提出がなされるもの又は協力を得られるものと考えられる。しかしながら、燃料油の使用形態は、非常に多岐にわたる機械で使用されるものであり、設計数量(V)の全数量に対して証明書類を求める又は協力を得るのは現実的ではないことから、設計数量(V)内としてカウントされている数量については書類による証明がなくとも単品スライド条項の対象数量とすることができる。
○ 設計数量(V)内の①のうち、主たる用途に用いた数量として、受注者からの証明がなされた数量(V1)
※ ただし、証明された数量(V1)が設計数量(V)を超えている場合は、 V1=設計数量(V)とする。なお、この場合、V2=0
○ 設計数量(V)内の①のうち、主たる用途以外に用いた数量として、受注者からの証明がなされなかった数量(V2)
※ V2は受注者の算出した概算数量でよい。
但し、【V1+V2≦設計数量(V)】の範囲内の数量とする。
○ 設計数量(V)外の②の燃料油数量 (V3)
・ 3-7-1「機材運搬に係る燃料油の算出方法」により、各々算出した数量の合計値(V3)を対象数量とする。
※ ただし、増額に係る場合は、上記の合計値(V3)と、受注者の購入数量(証明がなされた数量)を比較し、購入数量が小さい場合は購入数量を対象数量とする。減額に係る場合は、受注者の購入数量(証明がなされた数量)に係わらず、想定数量を対象数量とする。
3-3 受注者への確認事項
● 受注者は、請求しようとするスライド対象材料毎に、前記の対象数量の区分(①、②)毎に購入数量・購入価格等に係る書類を提出することが必要。
● 必要な書類が提出されない場合など具体的な証明がなされない場合には、対象とはならない。
※ 減額に係る場合は、発注者の設計数量(V)外の燃料油でも想定数量の範囲内で対象にできる。
・複数の工事と重複した証明書類は、当該監督員と調整を行い、工事毎の数量を確定させる。
・証明書類は、原本を必ず確認の上、コピー等を提出させる。証明書類等を確認する項目は工事名、数量、単価、購入・搬入年月日、社印等とする。
1)発注者の設計数量(V)内の燃料油(現場内建設機械、作業船舶(場外への運搬ダンプ等を含む)に使用した燃料油) ・・・ ①
○ 購入した燃料類の「購入数量・購入価格・購入時期・購入先」、及び「購入数量を使用した建設機械と実施工程上の整合性」を証明する書類
○ 尚、やむを得ない理由により証明書類が提出できない「主たる用途以外に用いた数量(V
2)」については、概算数量計算書
この「主たる用途以外に用いた数量」とは、そもそも燃料油は非常に多岐にわたる機械で使用されているものであり、全数量について書類の提出を求めること又は協力を得ることは現実的ではないため、厳格に用途毎の数量の証明を義務づけることを意図したものではないことに留意されたい。このため、そもそも受注者として保存すべき書類として扱っていなかったため保存していない等のやむを得ない理由で書類が提出できない場合は、概算数量計算書を提出して貰うことでよい。
2)発注者の設計数量(V)外の共通仮設費(率及び積上げ)に含まれる建設機械等(建設機械・仮設材等)の運搬及び分解・組立に要した燃料油 ・・・ ②
○ 運搬した機材毎に「運搬機械・出荷元・運搬時期・運搬距離」、及び 「運搬費用」、「運搬費の内燃料代」を証明する書類
3-4 単価(実勢価格の算定)
3-4-1 変動前の価格の決定方法
● 変動前の価格を算出するための単価は、設計時点における単価。
・設計時点における単価は、予定価格を算出する際に用いた単価とする。設計変更を実施した場合も同様に変更金額を算出するために用いた単価とし、新規工種については発注者の指示時点の単価とする。設計変更を行った場合、特に燃料油は、同じ材料でも複数の時点の単価が設定されている場合が多いので注意が必要である。
・鋼材類の場合と同様に、原則、変動前の単価は発注者の想定した単価とするが、単価合意を実施しており、その内訳として材料の単価が予め提出されている場合は、その価格とすることができる。
3-4-2 変動後の実勢価格の決定方法(1)
● 数量内訳の証明書が提出された対象数量に関する価格変動後の価格の算定に用いる実勢単価は、対象材料を購入した月の翌月の物価資料等の価格とする。
● 数量内訳の証明書が提出されていない場合には、工事期間の平均値(工期の始期が属する月の翌月から工期末が属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均価格)
・燃料油は、鋼材類とは異なり、契約と購入がほとんど同時期に行われるものであるため、現場で購入した翌月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
調査期間
8月号
価格調査の流れ
現場搬入
)
契約
(価格決定
資材調達
8月
7月
6月
時期
・購入時の実勢価格は対象材料を購入した月の翌月の物価資料の価格であることから、工期の始期が属する月の翌月から工期末が属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均価格は、工期の始期が属する月の翌々月から工期末が属する月の前月までの各月における物価資料に掲載されている価格を平均して算出する。
対象数量と単価の決定方法について
発注者の設計数量 (V) | 発注者の設計数量外 | 単価の決定方法 (P’) | |
証明書類の提出により、証明された数量 | 対象数量 ①(V1) V1=V ※1 | ● 対象数量 ② (V3) ● 対象数量 ② (想定数量) (V3)※3 | ● 各月の購入数量と実勢価格 ※2による ● 加重平均とする |
やむを得ない理由により証明書類が提出されない数量 | 対象数量 ①(V2) V2=V-V1 V2=0 ※1 | ● 対象数量 ② (想定数量) (V3)※3 | (V2) ● 契約の翌月から工期末の前々月までの実勢価格の平均とする (V3) ● 想定数量と契約の翌月から工期末の前々月までの実勢価格の平均値を乗じて算定 |
※1:実際の証明数量が設計数量以上の場合。
※2:実勢価格は、購入月の翌月の「物価資料」等の掲載価格とする。
※3:減額に係る場合に限る。
3-4-3 変動後の実勢価格の決定方法(2)
● 増額に係る場合は、設計数量内の証明された対象数量(V1)及び設計数量外の資材や機材等の運搬に係る実際の燃料油に係る対象数量(V3)にそれぞれ毎の購入数量に応じて加重平均処理された単価を乗じたものと、証明されていない対象数量(V2)に工事期間中の平均単価を乗じたものとを合計して、変動後の実勢価格を決定。
● 減額に係る場合は、設計数量内の証明された対象数量(V1)に購入数量に応じて加重平均処理された単価を乗じたものと、証明されていない対象数量(V2)及び設計数量外の機材等の運搬に係る実際の燃料油に係る想定数量(V3)に工事期間の平均価格(工期の始期が属する月の翌月から工期末が属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均価格)を乗じたもの〔但し設計数量外の機材等の運搬に係る実際の燃料油に係る対象数量(V3)において受注者の購入数量(証明がなされた数量)が想定数量以上の場合は、対象数量にそれぞれ毎の購入数量に応じて加重平均処理された単価を乗じたもの〕とを合計して、変動後の実勢価格を決定。
・燃料油について、3-2のとおり様々な対象数量の設定方法があるため、その数量に応じて設定した単価をそれぞれ毎の数量に乗じて合計額を算出する。
・なお、V1、V2、V3が混在する場合、それぞれの数量にあたる価格を加重平均し、対象数量を乗じて算出することと同意義である。
・ここでいう発注者が算出した想定数量とは、3-7-1「機材運搬に係る燃料油の算出方法」により、各々算出した数量の合計値(V3)であるが、発注者の積算にて設定した建設機械及び作業船舶の種類、規格及び台数等が、現場へ搬入したものと相違している場合は、発注者の積算にて設定した作業船舶及び建設機械の種類及び規格とし、各々の建設機械及び作業船舶の台数は施工に必要な最低限の台数で算出した数量をいう。
3-5 購入価格の評価方法
● 証明された購入数量が、3-2-2の対象数量(V1及びV3)以上であった場合は、実際の購入金額のうち、対象数量分のみの金額とする。
● 証明されなかった数量(V2)については、3-4-2に基づき、発注者と同様に、工事期間の平均価格(契約の翌月から工期末の前々月迄の実勢価格の平均価格)にV2を乗じた額とする。
● 減額に係る場合における設計数量外の機材等の運搬に係る実際の燃料油に係る対象数量(V3)は、受注者の購入数量(証明がなされた数量)が想定数量より小さい場合、全購入数量が証明されなかったものとして評価する。
・受注者によって証明された購入数量が対象数量以上であった場合は、実際の購入金額のうち、スライド額の算定の対象に出来る対象数量のみを購入したと考えた場合の金額を購入金額とすることは、鋼材類と同様である。
・内訳が証明されなかった数量については、受注者もその単価を明確に把握しているとは言い難いため、単価は発注者が設定する手法と同等の手法にて算出する。
3-6 変動額の算定
● 1-4の算定式に基づき、変動額を算出する。(鋼材類と同様)
1)増額に係る場合(ケース1)
油
油
変動額 =( M変更 - M当初 )
油
M当初(価格変動前の燃料油の金額)
= 設計時点の実勢価格(消費税込) × 対象数量× 請負比率
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100
① 実勢価格を使用する場合
M (価格変動後の燃料油の金額)
変更
油
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 請負比率
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100
② 購入価格の方が安い場合
M (価格変動後の燃料油の金額)
変更
油
= 変動後の購入価格(消費税込) × 対象数量
= { p''1×D1 + p''2×D2+……+ p''n×Dn }
p | : | 設計時点における各対象材料の単価 |
p' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価 |
p'' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の購入価格(搬入・購入時期毎の数量に応じ、 |
加重平均した値。ただし、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明していな | ||
い場合については、工事期間の平均値(工期の始期が属する月の翌月から工期末が | ||
属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均価格)。) | ||
D | : | 各対象材料について算定した対象数量 |
k | : | 請負比率 |
P | : | 対象工事費 |
2)減額に係る場合(ケース2)
油
油
変動額 =( M変更 - M当初 )
油
M当初(価格変動前の燃料油の金額)
= 設計時点の実勢価格(消費税込) × 対象数量× 請負比率
= { p1×D1 + p2×D2+……+ pn×Dn }×k×110/100
① 実勢価格を使用する場合
M変更(価格変動後の燃料油の金額)
油
= 変動後の実勢価格(消費税込) × 対象数量 × 請負比率
= { p'1×D1 + p'2×D2+……+ p'n×Dn }×k×110/100
② 購入価格の方が高い場合
M変更(価格変動後の燃料油の金額)
油
= 変動後の購入価格(消費税込) × 対象数量
= { p''1×D1 + p''2×D2+……+ p''n×Dn }
p | : | 設計時点における各対象材料の単価 |
p' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の実勢単価 |
p'' | : | 搬入・購入時点における各対象材料の購入価格(搬入・購入時期毎の数量に応じ、 |
加重平均した値。ただし、購入先や購入時期、購入金額等を受注者が証明していな | ||
い場合については、工事期間の平均値(工期の始期が属する月の翌月から工期末が | ||
属する月の前々月までの各月における実勢価格の平均価格)。) | ||
D | : | 各対象材料について算定した対象数量 |
k | : | 請負比率 |
P | : | 対象工事費 |
3-7 算出例
3-2-2に記載したとおり、下記の方法により算出した資材や機材等の運搬に係る燃料油の合計値(V3)よりも、該当する資材や機材等の運搬に係る実際の燃料油の購入数量の方が少ない場合は、V3は実際の購入数量とする。
3-7-1 機材運搬に係る燃料油の算出方法
1)共通仮設費に計上される運搬費
○ 共通仮設費率に含まれる運搬費
・・・・・・・・・・ 単品スライド条項対象
○ 積上げ項目による運搬費
・・・・・・・・・・ 単品スライド条項対象
1)質量20t以上の建設機械の貨物自動車等による運搬
◇ 一般貨物運送事業の貸切り運賃表より積算していることから燃料量を抽出することが出来ないため燃料消費量より算出する。
2)仮設材(鋼xx、H形鋼、覆工板等)の運搬
◇ 基本運賃表より積算していることから燃料量を抽出することが出来ないため燃料消費量より算出する。
3)重建設機械の分解、組立及び輸送に要する費用
◇ 運搬費等の率(労務費・クレーン運転費の○○%)より積算していることから燃料量を抽出することが出来ないため燃料消費量より算出する。
運搬費の燃料費で購入数量・購入時期・購入先・購入価格が証明されたものが対象。下記の計算式より対象数量を算出する。
Q=L÷S×(P×K)×N
( )の計算結果を有効数字第3位を四捨五入し、有効数字2桁
Q:燃料油数量( )
L:運搬距離(km)※片道(往復) 【基地から現場までの距離】
S:輸送速度30(km/h) 【土木工事標準積算基準書Ⅰ-2-②-12 準用】 P:運搬機械の機関出力(kw) 【建設機械等損料算定表参照】
K:時間当りの燃料消費率( /kw-h) 【土木工事標準積算基準書Ⅰ-6-②-1参照】
もしくは 【港湾請負工事積算基準単-5参照】
N:搬入搬出(回) 【搬入搬出回数】
運搬車両台数(台) 【運搬車両台数】
2)共通仮設費率に含まれる運搬費
運搬距離の起算点は各市町の役場とする。
【計算例】
建設機械 : バックホウ0.8(m3)(運搬機械:20t積トレーラ)
L | : 運搬距離(km)※片道 | 15 | km |
S | : 輸送速度30(km/h) | 30 | km/h |
P | : 運搬機械の機関出力(kw) | 235 | kw |
K | : 時間当りの燃料消費率( /kw-h) | 0.075 | /kw-h |
N | : 搬入搬出2(回) | 2 | 回 |
Q=L÷S×(P×K)×N
( )の計算結果を有効数字第3位を四捨五入し有効数字2桁 Q=15÷30×(235×0.075)×2=18( )
3)積上げ項目による運搬費
① 質量20t以上の建設機械の貨物自動車等による運搬
② 仮設材(鋼xx、H形鋼、覆工板等)の運搬
● 増額に係る場合
運搬費の燃料費で購入数量・購入時期・購入先・購入価格が証明されたものが対象
単品スライド対象外
計算式(Q=L÷S×(P×K)×N)により対象数量算出
請求書か領収書の提出がある場合
設計金額と受注者運賃の比較設計金額 < 受注者運賃
YES NO
単品スライド対象外
計算式(Q=L÷S×(P×K)×N)により対象数量算出
● 減額に係る場合
設計金額と受注者運賃の比較設計金額 > 受注者運賃
請求書か領収書の提出があった場合のみ比較を行う。(提出がない場合は、下記計算式により対象数量を算出する。)
YES NO
【計算例】
建設機械 : 路面切削機(運搬機械:30t積トレーラ)
L | : 運搬距離(km)※片道 | 100 | km |
S | : 輸送速度30(km/h) | 30 | km/h |
P | : 運搬機械の機関出力(kw) | 235 | kw |
K | : 時間当りの燃料消費率( /kw-h) | 0.075 | /kw-h |
N | : 搬入搬出 2(回) | 2 | 回 |
Q=L÷S×(P×K)×N
( )の計算結果を有効数字第3位を四捨五入し有効数字2桁 Q=100÷30×(235×0.075)×2=120( )
【計算例】
仮設材 | : H形鋼(運搬機械:20t積トレーラ) | |
L | : 運搬距離(km)※片道 90 | km |
S | : 輸送速度30(km/h) 30 | km/h |
P | : 運搬機械の機関出力(kw) 235 | kw |
K | : 時間当りの燃料消費率( /kw-h) 0.075 | /kw-h |
N | : 台数 5(台)×2(搬入搬出) 10 | 台 |
Q=L÷S×(P×K)×N
( )の計算結果を有効数字第3位を四捨五入し有効数字2桁 Q=90÷30×(235×0.075)×10=540( )
4)重建設機械の分解、組立及び輸送に要する費用
運搬費の燃料費で購入数量・購入時期・購入先・購入価格が証明されたものが対象
● 増額に係る場合
運搬費の燃料費で購入数量・購入時期・購入先・購入価格が証明されたものが対象
重建設機械の分解、組立輸送燃料費
単品スライド対象外
重機輸送車両について、「A運搬金額・設計往復距離表」を使用し、対象数量を算出する。
A運搬金額 < B実運搬金額
YES NO
単品スライド対象外
重機輸送車両について、「A運搬金額・設計往復距離表」を使用し、対象数量を算出する。
● 減額に係る場合
重建設機械の分解、組立輸送燃料費
A運搬金額 > B実運搬金額
請求書か領収書の提出があった場合のみ比較を行う。(提出がない場合は、下記計算例により対象数量を算出する。)
YES NO
運搬金額=(労務歩掛(特殊作業員)+クレーン運転歩掛)×運転費率
詳細は、土木工事標準積算基準書(共通編)
機械区分 | 規格区分 | 設計往復 運搬距離(km) | A運搬金額 (円/往復) |
ブルド-ザ | 基準書による | 66 km | ※1 |
バックホウ | 104 km | ||
クロ-ラクレ-ン | 113 km | ||
トラッククレ-ン | 184 km | ||
クロ-ラ式杭打機 | 155 km | ||
オールケーシング掘削機 | 256 km | ||
地盤改良機械機械 | 397 km | ||
トンネル用機械 | 384 km | ||
連続地中壁用機械 | - |
もしくは、港湾請負工事積算基準 による。 A運搬金額・設計往復距離表
※1 A:運搬金額は、当初設計時点の土木工事標準積算基準書によるものとする。
※2 対象数量はxxの設計往復運搬距離を上限とする。
【計算例】
重建設機械の分解、組立(ブルド-ザ21t級以下)運搬車両 :20t積セミトレーラ 及び 4tトラック
L | : 運搬距離(km)※片道 | 66 | km | |
S | : 輸送速度30(km/h) | 30 | km/h | |
P | : 運搬機械の機関出力(kw) | 235 | kw | セミトレーラ20t |
137 | kw | トラック4t | ||
K | : 時間当りの燃料消費率( /kw-h) | 0.075 | /kw-h | セミトレーラ20t |
0.050 | /kw-h | トラック4t | ||
N | : 運搬車両台数 | 1 | 台 | セミトレーラ20t |
1 | 台 | トラック4t |
Q=L÷S×(P×K)×N
( )の計算結果を有効数字第3位を四捨五入し有効数字2桁
Q=66÷30×{(235×0.075)×1+(137×0.050)×1}
=55( )
3-7-2 直接工事費に計上される運搬費
1)鋼桁、門扉、工場製作品の運搬
・一般貨物輸送事業の貸切運賃表より積算していることから燃料量を抽出することはできないため燃料消費量より算出する。
2)支給品及び現場発生品の運搬
・対象数量に含まれている。(歩掛積算)
3-7-3 計算事例
=
=
「現場場内建設機械に係る数量」と「資機材運搬 に係る数量」について複数の申請があった場合は、各月毎に各々の購入数量と購入価格の加重平均による値を 【② 乙 購入価格 】 とすること。
【単品スライド(軽油+ガソリン)】の計算例
① 乙 購入数量 に対する ①’乙 購入数量 に対する | 設計数量(積算システムによる4~9月分の数量)設計数量(運用マニュアルによる算出値) | = 56,000 L = 4,000 L | ||||||||||
既済払済み数量(7,000L) | 購入数量(証明済み) | 購入数量 (未証明) | 購入数量合計 | |||||||||
軽油 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 計 | ||
① 乙 購入数量 (現場内建設機械に係る数量) | - | - | - | 5,000 | 10,000 | 15,000 | 14,000 | 5,000 | 1,000 | 50,000 | 5,000 | 55,000 |
①’乙 購入数量 (資機材運搬に係る数量) | - | - | - | 1,000 | 1,500 | 500 | 3,000 | - | 3,000 | |||
② 乙 購入価格 (税込み) | 90 | 90 | 100 | 90 | 100 | 100 | 100 | 110 | 100 | 95 | ||
③ 甲 実勢価格 (物価資料価格:税抜き) | 80 | 90 | 90 | 90 | 90 | 100 | 110 | 120 | 110 | 95 | ||
乙 購入金額 ① ×② | 450,000 | 1,000,000 | 1,500,000 | 1,400,000 | 550,000 | 100,000 | 5,000,000 | 475,000 | 5,475,000 | |||
乙 購入金額 ①’×② | 90,000 | 0 | 0 | 150,000 | 55,000 | 0 | 295,000 | - | 295,000 | |||
甲 実勢金額 (①+①’)×③ | 540,000 | 900,000 | 1,500,000 | 1,705,000 | 660,000 | 110,000 | 5,415,000 | 475,000 | 5,890,000 | |||
甲 スライド単価 p’ p’ = Σ(購入数量×実勢価格) ÷ 購入数量 = 5,890,000 ÷ ( 55,000 + 3,000 ) = | 102 |
① : 未証明の購入数量 (現場場内建設機械に係る数量)
②③ : 契約月の翌月~工期末の前々月の実勢価格の平均値
(計算例の場合は、2月~7月の実勢価格の平均値)とし、甲・乙とも同単価を計上すること。
対象数量(運用マニュアル算出値と購入数量の小さい方)
= 3,000 L
対象数量(積算システムの数量と購入数量の小さい方)
= 55,000 L
295,000
5,475,000
5,770,000
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の①より
【 購入数量 = 対象数量 】 のため、乙の購入金額を採用
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の①より
【 購入数量 = 対象数量 】 のため、乙の購入金額を採用
=
① : 証明済みの各月の購入数量 (現場場内建設機械に係る数量)
①’: 証明済みの各月の購入数量 (資機材運搬に係る数量)
② : 当該数量を購入した際の購入価格
③ : 購入月の実勢価格(翌月の「物価資料等」の価格)
「購入数量(証明済み)」の合計数量が設計数量を超過している場合は、「購入数量(未証明分)」については計上出来ない。
↓
(証明済み+未証明分) ≦ 設計数量
対象数量(運用マニュアル算出値と購入数量の小さい方)
= 1,000 L
対象数量(積算システムの数量と購入数量の小さい方)
= 8,000 L
① 乙 購入数量 に対する 設計数量(積算システムによる4~9月分の数量) = 8,000 L
①’乙 購入数量 に対する 設計数量(運用マニュアルによる算出値) = 1,000 L
10,000 >
2,000 >
1,414,000
280,000
1,670,000
139
既済(単品スライド対象外)
未払い ( 単品スライド対象の請負代金額 = P )
p’ = Σ(購入数量×実勢価格) ÷ 購入数量 = 1,670,000 ÷ ( 10,000 + 2,000 ) =
甲 スライド単価 p’
0
1,670,000
34,000
170,000
561,000
520,000
275,000
110,000
甲 実勢金額
(①+①’)×③
-
280,000
0
0
80,000
140,000
60,000
0
乙 購入金額
①’×②
0
1,414,000
36,000
160,000
448,000
420,000
240,000
110,000
乙 購入金額
① ×②
170
170
170
130
110
110
140
120
110
③ 甲 実勢価格
(物価資料価格:税抜き)
180
160
160
140
120
110
130
120
100
② 乙 購入価格
(税込み)
-
2,000
500
1,000
500
-
-
-
①’乙 購入数量
(資機材運搬に係る数量)
0
10,000
200
1,000
2,800
3,000
2,000
1,000
-
-
-
① 乙 購入数量
(現場内建設機械に係る数量)
計
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
ガソリン
購入数量小計
購入数量
(未証明)
購入数量(証明済み)
既済払済み数量(1,400L)
140,000
1,131,200
1,271,200
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の①より
【 購入数量 > 対象数量 】 のため、乙の購入金額を調整
( 1,000/2,000 ) × 280,000 = 140,000
本省通達 2.スライド額の算定 (3)の②より
【 購入数量 > 対象数量 】 のため、乙の購入金額を調整
( 8,000/10,000 ) × 1,414,000 = 1,131,200
=
落札率
単品スライド対象の請負代金額 | P | 50,000,000円 (税込み) ※部分払いの対象となった出来形部分 に相応する請負代金相当額を除く |
請負比率 | k | 90% |
当初設計単価 | p | 軽油 : 80 円 、 ガソリン : 110 円 |
甲 スライド単価 | p’ | 軽油 : 102 円 、 ガソリン : 139 円 |
M変更・油 (甲) | [ 102×(55,000+3,000)+139×(8,000+1,000)]×0.9×1.05 = 6,772,815 | |
M変更・油 (乙) | 5,770,000 + 1,271,200 = 7,041,200 | |
M当初・油 (甲) | [ 80 ×(55,000+3,000)+ 110 ×(8,000+1,000)]×0.9×1.05 = 5,320,350 | |
変動額 油 | 6,772,815 - 5,320,350 = 1,452,465 | |
単品スライド額 | S | 1,432,242 - 50,000,000×1% = 952,465 |
【スライド額の算出】
M変更・油(甲) と M変更・油(乙)の金額を比較し、安価となる方を以下の変動額計算に使用する。
●
← 単品スライド対象の請負代金額(P)に対して、1%以上の変動有り
← S = 変動額 油 - P×1%
「軽油」と「ガソリン」は同品目であるため、合計額に対して足切り1%のチェックを行う点に注意!!
単品スライド対象の請負代金額(P)
請負額(B)
P×1%
単品スライド額(S)
【単品スライド説明図】
第4章 アスファルト類
『香川県工事請負契約約款第 25 条第 5 項の運用の拡充について(』平成 20 年 11 月 5 日付け 20
技企第 34338 号)において、地域によって著しい価格の上昇が見られる資材について、請負者からの請求に基づき、発注者が原材料費の高騰等により請負代金額への影響があると判断した場合についても、単品スライド条項の適用対象品目とすることができるとしたところである。
この場合には、鋼材類の取扱に準ずる事としているが、アスファルト類が対象品目となる場合の運用については、下記のとおりとする。なお、以下に記載していない事項については鋼材類に準じ実施する。
4-1 価格高騰(下落)の理由
● 対象としようとする品目について、その価格とその上昇(下落)の理由の内訳の根拠を把握することが原則必要。
・単品スライドの対象としようとする品目の価格高騰(下落)の理由として、香川県工事請負契約約款第25条第5項に「特別な要因」とされており、原油価格の引き上げに伴う原材料価格の高騰(下落)のように、その原因について、発注者と受注者が共通の認識をもって、その影響の重要性を客観的に認められるような理由が必要である。このため、対象としようとする品目については、その品目の原材料や加工費、運搬費等毎に、価格内訳根拠及び高騰(下落)理由が明確になるよう、受注者に情報提供を求めることが必要である。
・ただし、原油価格の高騰(下落)が主たる原因であるアスファルト類の価格上昇については、発注者と受注者の認識は共有しているものと考えられるため、根拠の把握は特に不要である。
4-2 対象材料の考え方
● アスファルト類の対象材料は、アスファルト混合物とする。
・対象材料については拡充通達では規定はしておらず、対象材料については工事毎に協議により決定する。公共工事において一般的に使用されているアスファルト類は、アスファルト混合物である。
4-3 対象数量
● アスファルト類は、設計図書に数量が記載されていない場合が一般的であるため、発注者設計数量の数量内で、施工によるロス等の数量についても加味することができる。
● 性能規定方式等により、積算時の想定と実際の施工時の舗装構成が異なる場合は、発注の設計数量を対象数量とする。
・アスファルト類については、設計図書に舗装面積等としては示されてはいるが、舗装材の数量(重量)が示されていない場合が一般的である。積算上は、舗装材の数量は下記式により計算されている。
(アスファルト混合物の重量)
面積 × 厚さ × 締め固め後密度※ ×(1+ ロス率 ※ )
※ 締め固め後密度及びロス率は標準的な数値が国土交通省土木工事標準積算基準書及び港湾請負工事積算基準書に記載されているが、それによりがたい場合は別途考慮する。
・前記により算出した発注者の設計数量と証明された実際の購入数量のどちらか小さい方を対象数量とする。具体的には以下のとおりである。
(増額に係る場合)
(
○ 証明された数量と対象数量の考え方(設計図書に数量の記載がない場合)
証明数量 ≦ 設計数量 設計数量 < 証明数量 | ⇒ ⇒ | 対象数量は証明数量 対象数量は設計数量 |
減額に係る場合) 証明数量 ≦ 設計数量 ⇒ 対象数量は設計数量 | ||
設計数量 < 証明数量 | ⇒ | 対象数量は設計数量 |
注)設計数量:前記により算出した数量 証明数量:受注者から証明された数量
(増額に係る場合)
(
○ 証明された数量と対象数量の考え方(設計図書に数量の記載がある場合)
証明数量<設計図書の数量 設計図書の数量≦証明数量≦設計数量 設計数量<証明数量 | ⇒ ⇒ ⇒ | 当該材料は対象材料とならない 対象材料。対象数量は証明数量 対象材料。対象数量は設計数量 |
減額に係る場合) 証明数量<設計図書の数量 ⇒ 対象材料。対象数量は設計数量 | ||
設計図書の数量≦証明数量≦設計数量 | ⇒ | 対象材料。対象数量は設計数量 |
設計数量<証明数量 | ⇒ | 対象材料。対象数量は設計数量 |
注)設計図書の数量:設計図書(数量総括表や図面等)に記載されている数量設計数量:設計図書の数量にロスを加えた数量(積算上の数量)
証明数量:受注者から証明された数量
・上記において、増額スライドの場合においては、設計図面において数量が明記されている場合は、鋼材類の場合と同様、その数量・搬入月を証明できない場合は当該材料はスライドの対象としない。ただし、減額に係る場合におけるこの数量については、設計数量が対象となる。これは受注者から購入時期や購入先、購入価格等を確認できる書類の提出の協力を得られなかった場合を想定している。この場合、設計数量の証明された数量及び証明されなかった数量の合計値が対象数量となる。
・なお、発注者の設計数量は、土木設計積算システムを使用している場合は、機労材集計リストとして材料毎にロスを加えた数量を集計した結果が出力されている。
・舗装工事は性能規定で発注されている場合もあり、必ずしも発注者が設計時点で想定したものと、実際に施工したものが一致しているとは限らない。この場合、鋼材類の任意仮設と同様に、対象数量は発注者が想定した舗装材についてその設計数量を対象数量とする。
・下請企業等が購入している場合は、その企業の書類(納品書、請求書や領収書)で問題ないが、施工体制台帳等で当該企業がその工事に従事していることを別途確認すること。
4-4 受注者への確認事項
● アスファルト類は、材料の取引形態に照らし対象数量全量の搬入等の時期、購入先及び購入価格を確認することが可能であるため、それが証明できる納品書、請求書、領収書の提出を受注者に求めること。ただし、減額に係る場合は、原則協議開始日以降に証明書類の提出の協力を求めること。
● 納品書・請求書・領収書等による証明が困難な場合は、社内書類等で確認。
● 上記社内書類等についても提出がなされない場合は、下記のとおりとする。
(増額に係る場合) → その材料は単品スライド条項の対象材料としない。
(減額に係る場合) → その材料は単品スライド条項の対象材料となる。
● 工場渡しで購入した場合で、運搬費の証明が困難な場合には、計算式より算出。
・自社内での取引であったため、納品書、請求書、領収書等が存在しない場合は、それに変わる社内書類で購入価格の証明を求めるものとする。
・減額に係る場合は、証明者が発注者となることから、受注者が証明を行う必要はないため、実際の購入時期や購入価格の証明は、受注者から協力を得られた場合のみで良いものとする。
・受注者からの証明は取引が工場渡しである場合は運搬費に要した金額を併せて証明(燃料油と同様)。運搬費用の算出が困難な場合には、燃料油と同様に計算式により算出することとする。ただし、物価資料(現着単価)と比較して増額の場合にあっては安価の単価を、減額の場合にあっては高価の単価を、スライド額算定に用いるものとする。
4-5 単価(変動後の実勢価格の算定)
● 実勢価格は、対象材料を搬入した月の翌月の物価資料の価格。
・燃料油と同様、契約と購入がほとんど同時期に行われるものであるため、現場で搬入した月の翌月の物価資料等に掲載されている価格を変動後の実勢価格とする。
調査期間
8月号
価格調査の流れ
現場搬入
)
契約
(価格決定
資材調達
8月
7月
6月
時期
第5章 コンクリート類
『香川県工事請負契約約款第 25 条第 5 項の運用の拡充について』(20 技企第 34338 号 平成 20 年
11 月 5 日付け)において、「原材料費の高騰等の特別な要因により、日本国内の地域において鋼材類及び燃料油以外の主要工事材料の価格の著しい上昇が認められる場合には、運用通達に基づき鋼材類について単品スライド条項を適用する場合の取扱に準じて、当該工事材料について単品スライド条項を適用できるものとする」と明記されているところであるが、コンクリート類が対象工事材料となる場合の運用については、下記のとおりとする。なお、以下に記載していない事項については、鋼材類に準じ実施する。
5-1 価格高騰(下落)の理由
● 対象としようとする品目について、その価格とその上昇(下落)の理由の内訳の根拠を把握することが原則必要。
・単品スライドの対象としようとする品目の価格高騰(下落)の理由として、香川県工事請負契約約款第25条第5項に「特別な要因」とされており、原油価格の引き上げに伴う原材料価格の高騰(下落)のように、その原因について、発注者と受注者が共通の認識をもって、その影響の重要性を客観的に認められるような理由が必要である。このため、対象としようとする品目については、その品目の原材料や加工費、運搬費等毎に、価格内訳根拠及び高騰(下落)理由が明確になるよう、受注者に情報提供を求め、対象にしようとする品目の当該地域における需給動向や協同組合販売価格の推移等、必要な情報を把握しておく。
・コンクリート類に適用する場合においては、大規模な災害の発生等に伴う資材需要の急増や協同組合(中小企業等協同組合法(昭和 24 年法律第 181 号)第 7 条の規定に基づき、私的独占の禁止
及びxx取引の確保に関する法律(昭和 22 年法律第 54 号)の適用について、同法第 22 条第1号の要件を備える組合とみなされたものに限る)の販売価格の大幅な変動が該当すると考えられるが、発注者と受注者が共通の認識をもって、その影響の重要性を客観的に認められるよう、「特別な要因」について整理することとする。
5-2 対象材料の考え方
● コンクリート類の対象材料としては、以下のものが想定される。
1)レディーミクストコンクリート(生コンクリート)
2)セメント
3)モルタル
4)コンクリート混和材
5)コンクリート用骨材
6)コンクリート二次製品
・対象材料については拡充通達では規定はしておらず、対象材料については工事毎に協議により決定する。
5-3 対象数量
● 対象数量は、設計図書の数量、設計数量、証明数量から以下により選定することとする。
・設計数量(設計図書の数量にロスを加えた数量又は積算上の数量)の算出例については、次の通り。
(レディーミクストコンクリートの数量)
設計量 ×(1+ ロス率 ※ )
※ ロス率については、国土交通省土木工事標準積算基準書及び港湾請負工事積算基準によることとする。
・前記により算出した発注者の設計数量と証明された実際の購入数量のどちらか小さい方を対象数量とする。具体的には以下のとおりである。
(増額に係る場合)
(
○ 証明された数量と対象数量の考え方(設計図書に数量の記載がない場合)
証明数量 ≦ 設計数量 設計数量 < 証明数量 | ⇒ ⇒ | 対象数量は証明数量 対象数量は設計数量 |
減額に係る場合) 証明数量 ≦ 設計数量 ⇒ 対象数量は設計数量 | ||
設計数量 < 証明数量 | ⇒ | 対象数量は設計数量 |
注)設計数量:前記により算出した数量 証明数量:受注者から証明された数量
(増額に係る場合)
(
○ 証明された数量と対象数量の考え方(設計図書に数量の記載がある場合)
証明数量<設計図書の数量 設計図書の数量≦証明数量≦設計数量 設計数量<証明数量 | ⇒ ⇒ ⇒ | 当該材料は対象材料とならない 対象材料。対象数量は証明数量 対象材料。対象数量は設計数量 |
減額に係る場合) 証明数量<設計図書の数量 ⇒ 対象材料。対象数量は設計数量 | ||
設計図書の数量≦証明数量≦設計数量 | ⇒ | 対象材料。対象数量は設計数量 |
設計数量<証明数量 | ⇒ | 対象材料。対象数量は設計数量 |
注)設計図書の数量:設計図書(数量総括表や図面等)に記載されている数量設計数量:設計図書の数量にロスを加えた数量(積算上の数量)
証明数量:受注者から証明された数量
・上記において、増額スライドの場合においては、設計図面において数量が明記されている場合は、鋼材類の場合と同様、その数量・搬入月を証明できない場合は当該材料はスライドの対象としない。
・減額に係る場合におけるこの数量については、設計数量が対象となる。これは受注者から購入時期や購入先、購入価格等を確認できる書類の提出の協力を得られなかった場合を想定している。この場合、設計数量の証明された数量及び証明されなかった数量の合計値が対象数量となる。
・なお、発注者の設計数量は、土木設計積算システムを使用している場合は、機労材集計リストとして材料毎に集計した結果が出力されている。
・下請企業等が購入している場合は、その企業の書類(納品書、請求書や領収書)で問題ないが、施工体制台帳等で当該企業がその工事に従事していることを別途確認すること。
5-4 受注者への確認事項
● コンクリート類は、材料の取引形態に照らし対象数量全量の搬入等の時期、購入先及び購入価格を確認することが可能であるため、それが証明できる納品書、請求書、領収書の提出を受注者に求めること。ただし、減額に係る場合は、原則協議開始日以降に証明書類の提出の協力を求めること。
● 納品書・請求書・領収書等による証明が困難な場合は、社内書類等で確認。
● 上記社内書類等についても提出がなされない場合は、下記のとおりとする。
(増額に係る場合) → その材料は単品スライド条項の対象材料としない。
(減額に係る場合) → その材料は単品スライド条項の対象材料となる。
● 工場渡しで購入した場合で、運搬費の証明が困難な場合には、計算式より算出。
・自社内での取引であったため、納品書、請求書、領収書等が存在しない場合は、それに変わる社内書類で購入価格の証明を求めるものとする。
・減額に係る場合は、証明者が発注者となることから、受注者が証明を行う必要はないため、実際の購入時期や購入価格の証明は、受注者から協力を得られた場合のみで良いものとする。
・受注者からの証明は取引が工場渡しである場合は運搬費に要した金額を併せて証明(燃料油と同様)。運搬費用の算出が困難な場合には、燃料油と同様に計算式により算出することとする。ただし、物価資料(現着単価)と比較して増額の場合にあっては安価の単価を、減額の場合にあっては高価の単価を、スライド額算定に用いるものとする。
5-5 単価(変動後の実勢価格の算定)
● 実勢価格は、対象材料を搬入した月の翌月の物価資料の価格。
・燃料油と同様、契約と購入がほとんど同時期に行われるものであるため、現場で購入した翌月の物価資料等に実勢価格として掲載されている。
・納入の概ね1ヶ月前以上に購入契約が完了しており、その結果が現場に搬入された月と同月の物価資料等に実勢価格として掲載されていることが明らかな場合は、対象材料を搬入した月と同月の物価資料の価格を実勢価格とする。
調査期間
8月号
価格調査の流れ
現場搬入
)
契約
(価格決定
資材調達
8月
7月
6月
時期
第6章 請求等手続き
6-1 請求時期
● 工期末の2ヶ月前までに請求を行う。
● ただし請求時点で、スライド額が確定できない場合は、概算額で良いこととする。また、単品スライド条項の協議開始時は原則として、証明資料を添付することとするが、施工時期の関係上、証明資料(領収書等)の提出が困難な場合は証明資料が揃い次第、提出するものとし、スライド額を確定させることとする。
・単品スライド条項の請求は、工期内で必要な協議期間及び契約変更手続きに要する期間が確保できるよう、工期末の2ヶ月前までを原則とする。
6-2 協議の手続き
● スライド額の算定にあたって、「対象工事費・対象数量」は「最終的な全体工事費・契約数量」をもって行うことから、協議開始日までに、スライド分を除く精算変更をすることが望ましい。
(ただし、最終的な数量の確定までに期間を要する場合も想定されることから、一括して変更契約することも可能である。)
● その後、受発注者協議の上でスライド額を確定し、契約により最終請負代金額を確定させる。
・しかしながら、最終的な数量の確定までに期間を要する場合などこれによりがたい場合も想定されるが、その場合は発注者及び受注者とも十分調整の上実施すること。
6-3 単品スライド条項運用の事務処理に際しての注意事項
6-3-1 単品スライドの請求(増額)(様式-1)があったとき単品スライドの請求(減額)(様式-11)を行うとき
● 請求の理由を確認し、請求が妥当かを確認する。(増額スライドの場合)
● 主要資材の価格変動を注視し、スライドの可能性について判断する。(減額スライドの場合)
・増額の場合、発注者は、請求の理由が『「主要な工事材料」の著しい価格変動のため』となっているかを確認する。明らかに「主要な工事材料」でないものは、請求の理由に記載させない。
・減額の場合、発注者は価格変動(下落)が見られる資材について、単品スライドの対象となり得るかどうかの確認を行わなければならない。なお、確認の際は、別添の「単品スライドチェックリスト」を利用すること。
・減額の場合、スライド請求と併せて、協議開始日の通知を行うものとする。(様式-11)
6-3-2 協議開始の日の通知(増額)(様式-2)
協議開始の日の通知(減額)(様式-13)を行うとき
● 協議開始日は適切に設定する。
● 必要書類は、実際に必要な書類のみを要求する。(増額スライドの場合)
・増額スライドの場合、協議開始の日の通知は、「請負代金額の変更の請求があった日から7日以内」に受注者に通知する。(様式-2)
・増額スライドの場合、協議開始日は、原則「請負代金額の変更の請求を受けてから14日後の日」としているが、受注者からの請求が早い場合などについては、受注者の資料作成期間や残工期等も勘案して適切に設定する。
・減額スライドについて、請求日から7日以内に協議が調わない(スライドの実施及び協議開始日の決定について受注者が承諾しない)場合は、「様式-13」により協議開始日の通知を行う。
6-3-3 協議の開始と協議期間について
● 協議開始日に受注者から提出された資料に不足がある場合は、速やかに追加提出させる。
● 協議期間は適切に設定する。
・増額の場合、様式-2で必要書類とした資料が整っているかを確認し、資料に不足がある場合は、速やかに追加提出させる。追加提出を求めたにもかかわらず、追加提出がなく、現場への搬入時期等確認すべき内容が確認できないものは単品スライド条項の対象とはならない。
・減額の場合、様式-14に記載された必要資料が整っているかを確認し、資料に不足がある場合は、速やかに追加提出させる。要求に応じた資料の追加提出がなく、現場への搬入時期等、確認できない内容が含まれるものは、対象期間における実勢価格の平均値(品目により、物価資料等への実績価格反映時期が異なるため留意すること)を使用して算出する。
・香川県工事請負契約約款第25条第7項の規定では、協議開始の日から14日以内に協議が整わない場合は、発注者が定めて受注者に通知することができるようになっているが、協議期間は、工事の規模や進捗状況等に応じて適切に設定する。
6-3-4 スライド結果の協議について
● スライド結果について、発注者は受注者に対し、速やかに協議を行うこととする。
・増額スライドの場合については「様式-5」及び「様式-6」、減額スライドの場合については
「様式-15」及び「様式-16」による協議を行い、受注者より様式-7の提出を受けることとなるため、適切な協議期間を設けることとする。
・協議が不調に終わった場合、「様式-8」による通知を行い、単品スライド条項に関する協議を終了するものとする。
6-4 出来形部分確認時の取り扱い(出来形部分確認検査)
(増額の場合)
● 通常の出来形部分払いを行っている場合は、当該出来形部分払いの対象となった数量を除いた数量を対象数量とする。
● 受注者からの「出来形部分確認申請」が「様式-9」により行われた場合は、確認申請の対象となる出来形部分についても単品スライド条項の協議対象と位置づけられる。この場合、発注者は出来形部分確認検査後に、「様式-10」による「出来形部分確認通知」を行うものとする。
(減額の場合)
● 受注者から「出来形部分確認申請」が提出されて時点において、発注時と比べて物価の下落傾向が認められる場合、出来形部分確認検査後に、「様式-10」をもって通知を行っておくことが重要である。
【 既済部分検査の手順 】
出来形部分検査申請
【受注者】
様式-9・・・出来形部分確認時に単品スライド適用の請求対象にしたい場合に提出
出来形検査確認後
【発注者】
様式-10・・・様式-9を受けて、出来形部分について単品スライド条項の対象となる旨を通知
残工期2ヶ月以上前に単品スライド請求【受注者】
6-5 部分引き渡しにかかる指定部分の取り扱い
● 部分引き渡しを行う「指定部分」は、指定部分の工期の2ヶ月前までに請求。
・部分引き渡しを行う指定部分については、その部分のみを対象に単品スライド条項が適用されるため、指定部分の工期2ヶ月前までに単品スライド請求を行う。
6-6 単品スライドに関する情報の開示請求がなされた場合
● 単品スライドに関する情報公開請求のうち、スライド額の算出根拠となった各種証明資料についての開示請求があった場合には、提出された社内書類等も開示する可能性がある。
6-7 単品スライドの運用フロー
6-7-1 増額の単品スライドの場合
1.単品スライド請求(残工期2月以上)
7日以内
【受注者】
単品スライドを請求する工事について、様式-1を提出。
2.協議開始日通知(請求を受けた日から14日後を協議開始日とする)
【発注者】
様式-2により、協議開始日と必要な提出書類について指示する。
14 ・様式-3
日
・対象材料集計表
・鋼材類契約書、軽油契約書等の各対象材料を購入した際の価格(数量及び単価)、購入先、購入日等の確認できる資料
・実施工程xxの対象材料を搬入又は使用した日が確認できる資料
3.単品スライドについての協議
【受注者】
様式-3及び必要書類を提出。協議開始。
【発注者】
必要書類の審査及び単品スライド額の算定。
① 協議額を承諾する場合
日以内
14 様式-4を送付し、請負者の協議額を単品スライド増額分として契
約変更を行う。(スライド請求前に、確定数量に基づく変更契約が実施されている場合において、本処理を行う可能性がある)
② 請負代金額変更に応じられない場合
様式-5により協議し、様式-7の提出を求める。
③ 協議額を修正提示する場合
様式-6により協議し、様式-7の提出を求める。
4.契約変更
【発注者】
協議不調の場合は、様式-8により通知し、契約変更を行う。
6-7-2 減額の単品スライドの場合
単品スライド試算(発注者による)
可能性あり
【発注者】
単品スライドチェックリストによる。
[xxxxxx] ⇒ [詳細チェック]
可能性なし単品スライド請求なし
1.単品スライド請求(残工期2月以上)及び
協議開始日通知(請求日から14日後を協議開始日とする)
7日以内
【発注者】
単品スライドを請求する工事について、受注者に対し様式-11を送付。
2.スライド実施・協議開始日の承諾
【受注者】
日
14 発注者の請求を受理する場合、様式-12を提出。(7日以内)
3.協議開始日通知(請求を受けた日から14日後を協議開始日とする)
【発注者】
7日以内に受注者が請求を受理しない場合、受注者に対し様式-13を送付し、スライドの実施と協議開始日を通知。
4.単品スライドについての協議
【受注者】
様式-14及びこれに応じた資料を提出する。
・様式-14
・対象材料集計表
・鋼材類契約書、軽油契約書等の各対象材料を購入した際の価格(数量及び単価)、購入先、購入日等の確認できる資料
・実施工程xxの対象材料を搬入又は使用した日が確認できる資料
14
日以内
【発注者】
必要書類の審査及び単品スライド額の算定。
① 精査の結果、請負代金額の変更が生じない場合(減額スライドなし)様式-15により協議し、様式-7の提出を求める。
③ スライド額を提示する場合(減額スライドあり)
様式-16により協議し、様式-7の提出を求める。
5.契約変更
【発注者】
協議不調の場合は、様式-8により通知し、契約変更を行う。
第7章 提出様式等
単品スライドに用いる各種様式については、下記のとおり。なお、本様式については、以下を参照のこと。
1)県担当者:技術企画課のページ xxxx://xx0.xxxxx.xxxx.xxxxxx.xx/xxxxxxxxxxxxx/xxxxx.xxx
2)そ の 他:xx監理課の工事情報のページ xxxx://xxx.xxxx.xxxxxx.xx/xxxxxxxxxxx/xxxx.xxx
【申請様式等】
・様式-1 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(請求)
・様式-2 香川県工事請負契約約款第25条第8項に基づく協議開始の日について(通知)
・様式-3 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(協議)
・様式-4 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(承諾)
・様式-5 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(協議)
・様式-6 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(協議)
・様式-7 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(承諾)
・様式-8 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(通知)
・様式-9 出来形部分確認申請書
・様式-10 出来形部分確認通知書
・様式-11 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更(請求)及び同約款第25条第8項に基づく協議開始日について(通知)
・様式-12 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更及び同約款第25条第8項に基づく協議開始日について(承諾)
・様式-13 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更及び
香川県工事請負契約約款第25条第8項に基づく協議開始日について(通知)
・様式-14 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更協議書類の提出について
・様式-15 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(通知)
・様式-16 香川県工事請負契約約款第25条第5項に基づく請負代金額の変更について(協議)
【その他様式等】
・対象材料集計表
・香川県工事請負契約約款第25条第5項単品スライド調書
・香川県工事請負契約約款第25条第5項に関する単品スライド計算書
・単品スライドチェックリスト(減額スライドのチェック) [簡易チェック]
・香川県工事請負契約約款第25条第5項に関する 単品スライド(減額)試算 [詳細チェック]