試験の実施の基準に関する省令」(平成 26 年厚生労働省令第 89 号)、並びに関連法規・通知等(以下「GCP 省令等」という)に基づいて、当院における治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順及び記録の保存方法等を実施医療機関の長が定めるものである。
治験標準業務手順書 |
第 10 版 2022 年 3 月 1 日 |
医療法人xx会 やすだ医院 院長
目次
治験実施計画書からの逸脱 7
治験審査委員会事務局の設置 9
被験者に対する医療 15
治験実施計画書からの逸脱等 16
治験薬管理者等の設置 16
治験薬管理者等の業務 17
第 6 章 治験事務局 19
治験事務局の設置及び業務 19
第 7 章 記録の保存 19
記録の保存責任者 19
記録の保存期間 20
記録の廃棄 20
第 8 章 機密保持 20
機密保持 20
第 9 章 モニタリング及び監査等への対応 21
モニタリング及び監査等の受け入れに関する要件 21
モニタリング及び監査等に関する確認事項 21
直接閲覧を伴うモニタリング及び監査等の受け入れに関する手続き 21
直接閲覧を伴うモニタリング及び監査等の実施に関する対応 21
直接閲覧を伴うモニタリング及び監査等の結果に関する対応 22
第 10 章 規則の改訂 22
<補遺>
補遺 1 治験手続きの電磁化における標準業務手順書
補遺 2 治験手続きの押印を省略する際における標準業務手順書
補遺 3 緊急対応における標準業務手順書
補遺 4 臨床研究業務手順書
補遺 5 治験で使用する機器等の管理に係る標準業務手順書
補遺 6 リモートモニタリングの実施における標準業務手順書
<院内書式>
院内書式 1 治験に関する指名記録
院内書式 3 治験薬管理補助者・治験機器管理補助者・治験製品管理補助者指名記録
第1章 目的と適用範囲
目的と適用範囲
第1条 本手順書は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和 35 年法律第 145 号、以下、「薬機法」)、「医薬品の臨床試験の実施の基
準に関する省令」(平成 9 年厚生省令第 28 号)及び「医療機器の臨床試験の実施
の基準に関する省令」(平成 17 年厚生労働省令第 36 号)、「再生医療等製品の臨床
試験の実施の基準に関する省令」(平成 26 年厚生労働省令第 89 号)、並びに関連法規・通知等(以下「GCP 省令等」という)に基づいて、当院における治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順及び記録の保存方法等を実施医療機関の長が定めるものである。
2 本手順書は、以下の各号に該当する試験及び調査に対して適用する。
1) 医薬品、医療機器又は再生医療等製品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請(以下「承認申請」という)の際に提出すべき資料の収集のために行う治験(企業主導治験及び医師主導治験)
2) 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の再審査申請、再評価申請(医療機器の場合は使用成績評価申請)の際に提出すべき資料の収集のために行う製造販売後臨床試験、また承認日から製造販売後臨床試験に切り替え継続して実施する試験
3 本手順書中に記載した GCP 省令等の条文は、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令とし、医療機器の治験の場合には、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令中の該当する条文に、再生医療等製品の治験の場合には、再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令中の条文に読み替える。
4 製造販売後臨床試験に対しては、GCP 省令第 56 条、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成 16 年 12 月 20 日 厚生労働省令第 171号)、「医療機器の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成 17年 3 月 23 日 厚生労働省令第 38 号)又は「再生医療等製品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成 26 年 7 月 30 日 厚生労働省令第 90号)に準じ、「治験」等とあるのを「製造販売後臨床試験」等と読み替えて本手順書を適用する。なお、承認日から製造販売後臨床試験に切り替え継続して実施する試験に対しては、治験の契約や治験実施計画書等に準じ、承認日以降は自動的に
「治験」を「製造販売後臨床試験」と読み替えて本手順書を適用する。
5 医療機器の治験の場合には、「医薬品」を「医療機器」、「治験薬」を「治験機器」、
「治験使用薬」を「治験使用機器」、「被験薬」とあるのを「被験機器」、「有害事象」
とあるのを「有害事象及び不具合」、「再審査又は再評価」とあるのを「使用成績評価」等にそれぞれ読み替えて本手順書を適用する。
6 再生医療等製品の治験を行う場合においては、本手順書において「医薬品」とあるのを「再生医療等製品」、「治験薬」とあるのを「治験製品」、「治験使用薬」とあるのを「治験使用製品」、「被験薬」とあるのを「被験製品」、「有害事象」とあるのを
「有害事象及び不具合」とそれぞれ読み替えて本手順書を適用する。
7 本手順書において使用する書式は、最新の「治験の依頼等に係る統一書式」で規定される書式のほか、必要に応じて別に定める。また、これら書式の作成等に係る運用は、当該通知に準ずる。
8 医師主導治験については、本手順書中で、自ら治験を実施する者が治験責任医師として実施する業務を定めるものとし、自ら治験を実施しようとする者が行う治験の準備及び管理の業務(GCP 第 15 条の 2)は別途「自ら治験を実施する者に関する標準業務手順書」に規定する。
9 本手順書中、医師主導治験の場合は、治験依頼者に関する記述を適用しない。
第2章 実施医療機関の長の業務
実施医療機関の体制整備
第2条 実施医療機関の長は、GCP 省令等の規定に従い、治験を適切に実施できる体制を整備しなければならない。
治験の申請等
第3条 実施医療機関の長は、事前に治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者リストを了承する。実施医療機関の長は了承した治験分担医師・治験協力者xxxを治験責任医師及び治験依頼者に提出する。
2 実施医療機関の長は、企業主導治験においては治験依頼者に、医師主導治験においては自ら治験を実施する者に、治験審査委員会での審査に必要な資料等を該当する書式とともに提出させる。提出資料は別途定める治験審査委員会の手順書に従う。
治験実施の了承等
第4条 実施医療機関の長は、治験の実施を了承する前に、前条第 2 項に定める資料を、該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験実施の適否について治験審査委員会の意見を求める。
2 実施医療機関の長は、治験審査委員会から治験の実施を承認する旨の報告を受け
た場合は、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定を、治験責任医師及び治験依頼者に、該当する書式を用いて通知する。
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会から何らかの修正を条件に治験の実施を承認する旨の報告を受けた場合は、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定を、治験責任医師及び治験依頼者に該当する書式を用いて通知するとともに、治験依頼者及び治験責任医師に治験実施計画書等修正報告書及び当該関連資料を提出させ、修正内容を確認する。
4 実施医療機関の長は、治験審査委員会から治験の実施を却下又は保留する旨の報告を受けた場合、これに基づく実施医療機関の長の指示・決定を、治験責任医師及び治験依頼者に、該当する書式を用いて通知する。この場合には実施医療機関の長は治験の実施を了承することはできない。
5 実施医療機関の長は、治験責任医師又は治験依頼者より、治験審査委員会の審査結果を確認するために、審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じること。
治験実施の契約等
第5条 企業主導治験において、実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき治験の実施を了承した後、治験依頼者と契約を締結する。契約書の記載事項は GCP省令等の規定に従う。治験責任医師は、当該契約内容を確認する。
2 治験審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合には、前条第 3 項に基づき、実施医療機関の長がその修正を確認し、了承した後でなければ、前項の契約締結はできない。
3 契約書の内容を変更する場合には、第 1 項に準じて変更契約を締結する。
業務の委託等
第6条 実施医療機関の長は、治験の実施に関わる業務の一部を委託する場合には、GCP省令等で規定された事項を記載した契約書により当該業務を受託する者との契約を締結する。
治験の継続
第7条 実施医療機関の長は、実施中の治験の治験期間が 1 年を超える場合は、少なくとも年 1 回、治験責任医師から、該当する書式を用いた治験の実施状況の報告をうける。
2 実施医療機関の長は、前項において治験責任医師より入手した書式を治験審査委員会に提出し、当該治験の継続等についての意見を求める。
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会が、実施中の治験の継続審査等において、治
験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験を中止又は中断させるとともに、企業主導治験の場合には治験の契約を解除する。
4 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき、当該治験の継続について指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 4 項を準用して取り扱うものとする。
5 実施医療機関の長は、医師主導治験において、モニターよりモニタリング報告書、監査担当者から監査報告書の提出があった場合は、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会へ提出し、当該実施医療機関における治験の実施の適切性について意見を求める。
治験実施計画書等の変更
第8条 実施医療機関の長は、治験期間中、治験審査委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合は、治験責任医師又は治験依頼者から、当該文書のすべてを該当する書式とともに速やかに提出させる。
2 実施医療機関の長は、前項の資料を入手した場合には、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験の継続の可否について意見を求める。
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき該当する変更について、指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 4 項を準用して取り扱う。
4 実施医療機関の長は、治験審査委員会で承認済の治験について、治験期間内の軽微な変更の場合には、委託した治験審査委員会(治験審査委員会委員長)の決定により、迅速審査を依頼することができる。
「軽微な変更」とは、治験の実施に影響を与えない範囲で、被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険性を増大させない変更をいう。以下、参照。
1)誤字、脱字の訂正
2)氏名の改姓に伴う変更
3)治験実施体制に関連する事項(治験実施施設の組織名、住所・電話番号・郵便番号等の連絡先、担当者名の変更など)
4)治験分担医師の追加
5)上記に掲げる内容以外で治験の実施に影響を与えない範囲で被験者に対する精神的及び身体的侵襲の可能性がなく、被験者への危険を増大させない範囲の内容で、特に治験審査委員会の審議までの間に早急な対応を必要とする内容であるもの。
治験実施計画書からの逸脱
第9条 実施医療機関の長は、治験責任医師より被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由により、緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱を記載した文書を入手した場合は、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し意見を求める。
2 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 4 項を準用して取り扱う。
3 企業主導治験において、実施医療機関の長は、治験依頼者へ前項に定める通知をした場合には、治験依頼者より当該逸脱に関する検討結果を記載した文書を入手し、治験責任医師に提出する。
重篤な有害事象の発生
第10条 実施医療機関の長は、治験責任医師より、文書にて、重篤な有害事象に関する報告
(医療機器及び再生医療等製品の治験の場合には、重篤な有害事象及び不具合に関する報告)を受けた場合は、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験の継続の可否について意見を求める。
2 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき、指示・決定を通知する際は第 4 条第 2 項から第 4 項を準用して取り扱う。
安全性に関する情報の入手
第11条 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者より法第 80 条の 2
第 6 項に規定する事項について報告を受けた場合は、当該文書を該当する書式とともに治験審査委員会に提出し、治験の継続の可否について意見を求める。
2 企業主導治験において、実施医療機関の長は、予め治験依頼者及び治験審査委員会等と合意が得られている場合、治験依頼者等が、GCP 第 20 条第 2 項、第 3 項に関する通知を、治験責任医師・実施医療機関の長に加え、当該治験の審査に関わる治験審査委員会に直接通知することを認める。
3 医師主導治験において、実施医療機関の長は、予め自ら治験を実施する者及び治験審査委員会等と合意が得られている場合、自ら治験を実施する者が、GCP 第 26 条の 6 第 2 項に関する事項を、治験責任医師・実施医療機関の長に加え、当該治験の審査に関わる治験審査委員会に直接通知することを認める。
4 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見に基づき指示・決定を通知する際は、第 4 条第 2 項から第 4 項を準用して取り扱う。
治験の中止・中断及び終了
第12条 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から、該当する書式
により、治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発の中止をする旨の通知を受けたとき又は治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知若しくは自ら治験を実施する者から申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速やかにその旨及びその理由について同書式を用いて治験責任医師及び治験審査委員会等に通知する。
2 実施医療機関の長は、治験責任医師が、治験を中止又は中断した旨を該当する書式により報告してきた場合には、速やかに治験審査委員会及び企業主導治験においては治験依頼者に、同書式を用いて通知する。
3 実施医療機関の長は、治験責任医師が該当する書式により治験の終了を報告してきた場合は、治験審査委員会と治験依頼者に、同書式を用いて通知する。
4 実施医療機関の長は、意見を聴いた治験審査委員会が治験を継続して行うことが適切でない旨の意見を述べたときは、治験を中止する。
5 実施医療機関の長は、意見を聴いた治験審査委員会が実施医療機関において当該治験が適切に行われていない又は適切に行われていなかった旨の意見を述べたときは、治験を中止させることを含め、適切な措置を講じる。
直接閲覧
第13条 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が実施させるモニタリング及び監査、並びに当該治験の審査に関わった治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れる。この際、実施医療機関の長は、求めに応じ、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供する。
なお、モニタリング及び監査等への対応に関する詳細は、第 9 章「モニタリング及び監査等への対応」にて示す。
2 実施医療機関の長及び治験審査委員会の設置者は、治験依頼者による治験審査委員会の監査の受け入れについて、事前に治験依頼者と合意する。
第3章 治験審査委員会
治験審査委員会の設置
第14条 実施医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、治験審査委員会を設置することができる。
2 実施医療機関の長は、自らが治験審査委員会を設置する場合、治験審査委員会の委員を指名し、治験審査委員会と協議の上、治験審査委員会の運営に関する手順書、委員名簿及び会議の記録及びその概要を作成する。
治験審査委員会事務局の設置
第15条 実施医療機関の長は、治験審査委員会の業務の円滑化を図るため、前条で設置した治験審査委員会の運営に関する事務及び支援を行う者を指名し、治験審査委員会事務局を設置する。
治験審査委員会の選択
第16条 実施医療機関の長は、GCP 省令第 27 条第 1 項第 1 号から第 8 号に掲げる治験審査委員会より治験ごとに適切な治験審査委員会を選択し、調査審議を依頼する。
2 実施医療機関の長は、前項の治験審査委員会の選択にあたり、以下の点に留意する。
1) 当該治験審査委員会の設置者が GCP 省令等に定める要件を満たしている
2) 当該治験審査委員会の構成等が GCP 省令等に定める要件を満たしている
3) 治験の開始から終了に至るまで、一貫性のある調査審議を行うことができる
4) 以下の事項を適切に判断できる
(ア) 実施医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができるか否か
(イ) 緊急時に必要な措置をとることができるか否か
(ウ) 治験責任医師および治験分担医師(以下、治験責任医師等)が当該治験を実施する上で適格であるか否か
(エ) その他調査審議の対象となる治験が倫理的及び科学的に妥当であるか否か、及び当該治験が当該実施医療機関において実施又は継続するのに適当であるか否か
3 実施医療機関の長は、治験審査委員会の意見を聴くにあたり、治験を行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させるために必要があると認めるときは、第 1 項の治験審査委員会の承諾を得て、当該専門的事項について他の治験審査委員会(専門治験審査委員会)の意見をあわせて聴くことができる。なお、専門治験審査委員会は、治験の実施又は継続の適否の判断の前提となる特定の専門的事項を十分に審議できるものであること。
4 実施医療機関の長は、前項の規定により専門的事項について他の治験審査委員会の意見を聴くに当たっては、少なくとも以下の点を考慮すること。
1) 本条第1項に規定する治験審査委員会が、調査審議の対象となる治験の実施又は継続の適否について調査審議を十分に行うに足りる専門性を有しているか否か。
2) 上記 1)において専門性が不足している場合、不足している専門性は外部から科学的な意見を聴くことのみにより補完されるものであるか否か、外部から倫理的妥当性についての意見も含めて聴くことにより補完されるものであるか否か。
3) 上記 1)において不足している専門性について、例えば、治験審査員会の委員
に新たに専門家を加える等の方法により補完することはできないか。
4) 上記 1)において不足している専門性を補完する方法として上記 3)において考慮したものは、治験の開始から終了に至るまで継続的に治験に関する調査審議を行うことができるものであるか否か。
5) 上記 1)において不足している専門性を補完する方法として上記 3)において考慮したものが、他の治験審査委員会に特定の専門的事項についての調査審議を行わせることである場合には、当該他の治験審査委員会と治験審査委員会の間で無用な審議の重複を避ける一方で、必要な情報は共有するといった適切な役割分担と連携が可能であるか否か。
5 実施医療機関の長は自らが設置した治験審査委員会以外の治験審査委員会に意見を聴くときは、当該治験審査委員会の手順書及び委員名簿を入手しなければならない。
6 実施医療機関の長は、本条第 3 項の規定により、審議を依頼した専門治験審査委員会が意見を述べたときは、速やかに当該意見を本条第 1 項の規定により調査審議を依頼した治験審査委員会に報告する。
外部治験審査委員会等との契約
第17条 実施医療機関の長は、治験審査委員会(当該医療機関の長が設置した治験審査委員会及び当該医療機関を有する法人が設置した治験審査委員会を除く。)に調査審議を依頼する場合には、予め、文書により当該治験審査委員会の設置者との契約を締結する。契約書の記載事項はGCP 省令第 30 条第 2 項の規定に従う。
2 実施医療機関の長は、専門治験審査委員会(当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会及び当該医療機関を有する法人が設置した治験審査委員会を除く。)の意見を聴く場合には、予め、文書により当該専門治験審査委員会の設置者との契約を締結する。契約書の記載事項はGCP 省令第 30 条第 6 項の規定に従う。
第4章 治験責任医師の業務
治験責任医師の要件
第18条 治験責任医師は、以下の要件を満たさなければならない。
1) 治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有する。
2) GCP 省令等を熟知し、これを遵守できる。
3) 治験実施計画書、最新の治験薬概要書、治験使用薬(被験薬を除く)に係る科学的知見を記載した文書、製品情報及び治験使用薬の管理に関する手順書等に
記載されている治験使用薬の適切な使用法に十分精通している。
4) 合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能である。
5) 合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有する。
6) 治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できる。
7) 治験分担医師、治験協力者等に治験実施計画書、治験使用薬及び確認の業務について十分な情報を与え、指導及び監督すること。
治験責任医師の責務
第19条 治験責任医師は以下の事項を行う。
1) 教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうることを証明する最新の履歴書(必要な場合には治験分担医師の履歴書)を実施医療機関の長に提出する。
2) 医師主導治験においては、自施設で実施される検査等が、自ら治験を実施する者より求められる精度を満たしていることを文書により確認する。
3) 治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験分担医師及び治験協力者のリストを作成し、予め実施医療機関の長に提出し、その了承をうける。
4) 治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験使用薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督する。
5) モニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れ、これらの者の求めに応じて、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供する。
6) 治験実施計画書及び症例報告書について、当該治験を実施することの倫理的および科学的妥当性を十分検討する。企業主導治験の場合は、治験依頼者から提供される治験実施計画書案、症例報告書案及び最新の治験薬概要書、その他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し合意する。この合意を証するため、治験依頼者と共に治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名押印又は署名し、日付を記入する。
7) 被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いる説明文書を作成する。作成にあたっては、GCP 省令等の規定を遵守すること。
8) 医師主導治験の場合には、治験審査委員会での審査に必要な GCP 第 15 条の
7 に定められた資料を実施医療機関の長へ提出する。
9) 医師主導治験の場合には、厚生労働大臣に治験の計画を届け出たのち、薬機法で定められた所定の期間を経過するまで被験者を治験に参加させない。
10) 治験実施前及び治験期間を通じて治験審査委員会の審査の対象となる文書のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにする。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、そのすべてを速やかに実施医療機関の長に提出する。
11) 治験審査委員会が治験の実施又は実施中の治験の継続を承認し、又は何らか の修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく実施医療機関の 長の指示・決定が該当する書式で通知された後に、その指示・決定に従って 治験を開始又は継続をすること。又は、治験審査委員会が実施中の治験の継 続審査等において、既に承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む)、これに 基づく実施医療機関の長の指示・決定が該当する書式で通知された場合には、その指示・決定に従うこと。なお、何らかの修正を必要とされた文書は速やかに最新のものにすること。
12) 被験者となる者の選定にあたり、人権保護の観点から、治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験への参加を求めることの適否を慎重に検討する。同意の能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。また、社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合には、当該者の同意が自発的に行なわれるよう十分な配慮を払う。
13) 被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により、治験実施計画書に従わなかった場合を除いて治験実施計画書を遵守し治験を実施する。
14) 治験使用薬は承認された治験実施計画書を遵守した方法のみで使用する。また、治験使用薬の正しい使用方法を各被験者に説明、指示し、当該治験にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認する。
15) 治験審査委員会等の継続審査を受けるために、該当する書式を用いて治験の実施状況を、年 1 回又は当該治験審査委員会等の求めに応じそれ以上の頻度で実施医療機関の長に報告する。
16) 治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更について、実施医療機関の長及び、企業主導治験においては治験依頼者に、速やかに該当する書式を用いて報告する。医師主導治験においては、治験調整医師/委員会にも報告する。
17) 実施医療機関で重篤な有害事象が発生した場合は、直ちに実施医療機関の長に該当する書式で報告するとともに、企業主導治験においては治験依頼者に、医師主導治験においては治験薬提供者、治験調整医師/委員会、他の実施医療
機関の治験責任医師に報告する。この場合、治験薬提供者、治験依頼者、実施医療機関の長又は治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められた場合はこれに応じる。
18) 治験実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、その内容を点検し、問題がないことを確認したときに、氏名を記載する。治験分担医師が作成した症例報告書については、その内容を点検し問題がないことを確認したときに、氏名を記載する。症例報告書の変更又は修正の場合も同様とする。
19) 作成した症例報告書を、企業主導治験においては治験依頼者に提出するとともに写しを保存する。医師主導治験においては、自らが適切に保存する。
20) 症例報告書の変更又は修正にあたり、企業主導治験においては治験依頼者、医師主導治験においては自ら治験を実施する者が作成した手引きに従う。
21) 症例報告書中のデータのうち原資料に基づくものは、原資料と矛盾しないものであること。原資料とのなんらかの矛盾がある場合には、その理由を説明する記録を作成し、企業主導治験においては治験依頼者に提出するとともに写しを保存する。医師主導治験においては、自らが適切に保存する。
22) 症例報告書への氏名の記載にあたっては、治験責任医師等本人が内容を記載している旨(真正性)を担保しなければならない。
23) 治験が何らかの理由で中止又は中断された場合、あるいは自らが治験を中断し、又は中止した場合は、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療、その他必要な措置を講じる。また自ら治験を中断し、又は中止した場合にあっては実施医療機関の長にその旨及びその理由を、該当する書式により報告する。
24) 治験を終了したときは、実施医療機関の長にその旨及びその結果の概要を、該当する書式により報告する。
被験者からの同意の取得
第 20 条 治験責任医師等は、被験者を治験に参加させるときは、予め治験審査委員会で承認された説明文書を用いて、被験者となるべき者に適切な説明を行い、その自由意思に基づき文書により同意を得る。この際、治験責任医師等は、説明文書の内容その他治験に関する事項について、被験者に質問する機会を与え、かつ、当該質問に十分に答える。また、治験責任医師等は、双方(治験協力者が補足的な説明をしている場合は、当該治験協力者も含む)が署名した同意書の写し及び説明文書を被験者に手交する。
2 治験責任医師等は、被験者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困 難である場合には、その治験の目的上やむを得ない場合に限り、代諾者の同意をも って、当該被験者を治験に参加させることができる。代諾者からの同意取得手順は、
第 1 項の「被験者」を「代諾者」と読み替えてこれに従う。なお、治験責任医師等は、代諾者と被験者との関係を示す記録を残すとともに、被験者となるべき者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者となるべき者からも文書で同意を得る。
3 治験責任医師等は、説明文書を読むことができない又は疾病等の影響で自ら同意文書に署名し、日付を記入することが出来ない被験者および代諾者に対しては、立会人を立ち会わせた上で説明及び同意取得を行う。この場合、治験責任医師等は立会人からも同意文書に署名を得る。なお、立会人は治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
4 治験責任医師等は、被験者又は代諾者に治験への参加又は継続を強制するなど、これらの意思決定にあたり不当な影響を及ぼしてはならない。また、被験者又は代諾者へ第 1 項の説明をする際に、被験者又は代諾者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師等、治験協力者、実施医療機関並びに治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句を用いてはならない。
5 治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認する。
6 治験責任医師は、第 5 項の情報が得られた場合には、速やかにこの内容に基づき説明文書を改訂し、治験審査委員会の承認を得る。また、治験責任医師等は、説明文書の改訂が承認されたのち、これを用いて速やかに被験者から再同意を得る。同意の手順は本条第 1 項~第 4 項に準じる。
7 治験責任医師等は、被験者に対する直接の臨床的利益が予測されない非治療的な内容の治験の場合、同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし、GCP 省令等に例外として規定されている場合を除く。
8 治験責任医師は、第 7 項のただし書きに該当する場合、GCP 省令等の規定に従ってその旨が明記された治験実施計画書が治験審査委員会で審議された上で治験の実施が承認され、治験審査委員会の承認文書上に同意を得ることが困難な者を被験者とすることを認める旨が記載されていることを確認する。
9 治験責任医師等は、緊急状況下における救命的治験のうち、被験者から事前の同意を得ることが不可能でかつ、代諾者から同意を得ることが出来ない場合には、次の 1)から 5)の全てに該当する場合に限り治験に参加させることができる。なお、この場合にあっても、被験者又は代諾者に対し、可能な限り速やかに当該治験に関する説明を行い、治験の継続等について同意を得る。
1)被験者に緊急かつ明白な生命の危険が生じている場合
2)現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できない場合
3)被験薬の使用により被験者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められる場合
4)予測される被験者に対する不利益が最小限度のものである場合
5)代諾者と直ちに連絡をとることが出来ない場合
代諾者と連絡はとれるが、文書による説明及び同意を得ることが出来ない場合には、代諾者に対し治験参加の意思を確認した上で、1)から 4)の全てに該当する場合に限り治験に参加させることができる。
10 被験者が説明文書を読むことができ、その内容を理解することはできるものの、疾病等の影響で自ら同意文書に署名し、日付を記入することが出来ない場合には、同意に際して被験者に代わって記入しうる者(いわゆる代筆者)として、代諾者と同等の者を要する。この場合には、被験者に加え、代諾者と同等の者に対して、文書により説明され、被験者が治験への参加に口頭で同意し、代諾者と同等の者が同意文書にその旨を代筆し、経緯及び被験者との関係を記入した上で、自らも署名し、日付を記入する。なお、代諾者と同等でない者が代筆者として同意文書に記入することがやむを得ない場合にあっては、xxな立会人が、説明及び同意に立ち会い、その旨を同意文書に記録する。また、代筆者に加えて、立会人も同意文書に署名し、自ら日付を記入することにより、被験者が治験の内容等を理解し、自由意思により同意を与えたものであることを証する。
11 治験責任医師等は、治験を製造販売後臨床試験に切り替え継続実施する場合、製造販売承認日以降、速やかに、被験者に対して当該医薬品が承認された旨が記載された説明文書を交付し、製造販売後臨床試験に参加することについて文書により改めて同意を取得する。なお、治験の同意説明文書において、当該治験を製造販売後臨床試験として継続する旨の同意が得られている場合には、被験者から製造販売後臨床試験に継続して参加することを確認し、その記録を残しておくこととし、文書により改めて同意を取得することを必要としない。
被験者に対する医療
第21条 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負う。
2 治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師等は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨伝える。
3 治験責任医師等は、被験者に他の主治医がいるか否か確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせる。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師等は、被験者の権利
を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払う。
治験実施計画書からの逸脱等
第22条 治験責任医師等は、企業主導治験においては、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認、医師主導治験においては、治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するものであるなど医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例:医療機関の名称・診療科名の変更、医療機関の所在地又は電話番号の変更、治験責任医師の職名の変更、モニターの変更等)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師等は、治験実施計画書から逸脱した行為を理由のいかんによらず全て記録する。
3 治験責任医師は、逸脱した行為のうち被験者の緊急の危険を回避するためその他 医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかったものについてのみ、該当する書式に、逸脱または変更の内容と理由を記載し、直ちに実施医療機関の長 と、企業主導治験においては治験依頼者に提出する。医師主導治験においては、治 験調整医師/治験調整委員会にも報告する。
4 企業主導治験において、被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行った場合は、前項の文書とともに、治験実施計画書の改訂が適切な場合にはその案を可能な限り早急に治験依頼者並びに実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得るとともに、実施医療機関の長の了承及び実施医療機関の長を経由して治験依頼者の合意を得る。
5 医師主導治験において、被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合は、実施医療機関の長にその旨及びその理由を記載した文書を直ちに提出し、実施医療機関の長を経由して治験審査委員会等に速やかに報告する。
第5章 治験使用薬の管理
治験薬管理者等の設置
第23条 治験使用薬の管理責任は、実施医療機関の長が負うものとする。
2 実施医療機関の長は、治験薬管理者を選任する。治験薬管理者は、実施医療機関の
全ての治験使用薬、治験使用機器および治験使用製品を保管・管理する。なお、治験薬管理者は必要に応じ、治験薬管理補助者を指名し、治験使用薬、治験使用機器、治験使用製品の保管・管理を行わせることができる。
3 実施医療機関の長は、医療機器又は再生医療等製品の治験において、前項の治験薬管理者が治験使用機器/治験使用製品を管理することが適当でない場合、当該治験について、別途治験使用機器/治験使用製品管理者を指名することができる。なお、治験使用機器/治験使用製品管理者は必要に応じ、治験使用機器/治験使用製品管理補助者を指名し、治験使用機器/治験使用製品の保管・管理を行わせることができる。
治験薬管理者等の業務
第24条 治験薬管理者は、GCP 省令等とともに、企業主導治験においては治験依頼者、医師主導治験においては自ら治験を実施するものが作成した治験使用薬の取扱い及び保管・管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って、次の各号に掲げる業務を行う。また、治験薬以外の治験依頼者が交付しない治験使用薬であって、実施医療機関が在庫として保管するものの中から使用する治験使用薬については、適切に取り扱い・保管・管理・処方を行う。
1) 治験使用薬の受領とそれに対する受領書の発行
(1) 治験使用薬の受領に先立ち、治験使用薬の取扱い手順書に記載された治験使用薬の保管・管理及び保守点検(保守点検は、治験使用機器/治験使用製品の場合)の方法等を確認する。
(2) 契約が締結されたことを確認後、治験依頼者の責任のもと搬入された治験使用薬を受領する。その際、治験使用薬納品書と照合し、治験使用薬受領書を発行する。
(3) 承認日から製造販売後臨床試験に切り替え継続して試験を実施する場合は、本手順書第 5 条第 1 項に準じて事前に契約が締結されている場合に限り、交付された治験使用薬を製造販売後臨床試験使用薬として使用することができる。その場合、承認日以降、速やかに、予め定めた手順に基づき、品質の確保が可能な場所において、治験使用薬の容器又は被包の治験用である旨の記載を製造販売後臨床試験用である旨の記載に変更し、その記録を作成し、保存すること。ただし、承認日以降に製造販売後臨床試験に切り替え継続実施し、市販後の使用開始に伴い当該試験を終了する場合は、この限りではない。
2) 治験使用薬の在庫管理(保管・管理及び払い出し)、治験使用機器/治験使用製品の保守点検及び使用状況の把握
(1) 治験使用薬は、一般診療用医薬品/一般診療用医療機器/一般診療用製品及
び他の治験使用薬と明確に区分し、治験使用薬の取扱い手順書に記載された方法により、保管、管理及び保守点検をする。
(2) 治験使用薬の処方が治験実施計画書から逸脱していないことを確認した後、払い出しする。
(3) 当該被験者に対する処方/払い出しが初めての場合は、文書にて同意を取得していることを確認する。
3) 治験使用薬の保管・管理及び払い出しに関する記録の作成
4) 被験者毎の使用状況の把握とその記録の作成
5) 未使用治験使用薬(被験者からの未使用返却治験使用薬、使用期限切れ治験使用薬、欠陥品を含む)の治験依頼者または手順書に定めるものへの返却またはそれに代わる処分
(1) 未使用の治験使用薬がある場合には、治験使用薬を被験者から回収し、回収の記録を作成する。
(2) 治験の中止・中断又は終了が確認された時は、速やかに未使用治験使用 薬(被験者から返却された治験使用薬を含む)を治験依頼者に返却する。その際、治験使用薬返却書を発行し、治験依頼者から治験使用薬回収書を受領する。
(3) 治験使用薬の返却に際しては、治験使用薬受領数量・処方数量及び返却数量の間に矛盾がないことを確認する。矛盾が認められた場合には、その理由を調査し、その結果を治験使用薬の保管、管理に関する記録に記入する。
6) 治験実施計画書に従って、規定された量の治験使用薬が被験者に投与されていること、または医療機器/再生医療等製品の治験の場合には治験使用機器/治験使用製品が被験者に使用されていることの確認
7) 治験責任医師等により治験使用薬の投与開始又は投与継続可能と判断され、かつ必要と判断された被験者には、当該試験の内容(治験使用薬の性質、投与経路及び投与期間等)、被験者の状態等を考慮した上で、治験責任医師の責任のもと当院から被験者宅に治験使用薬を届けることができるものとする。この場合、定められた手順に従い実施するものとする。また、運搬業者を用いて被験者宅に治験使用薬を配送する場合には、医薬品 GCP 省令第 39 条の 2 の規定に基づき、当該業務を受託する者と契約を締結する。
第 6 章 治験事務局
治験事務局の設置及び業務
第 25 条 実施医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指名し、治験事務局を設置する。なお、治験事務局は治験審査委員会事務局を兼ねることができる。
2 治験事務局は実施医療機関の長の指示により、次に掲げる業務を行う。
1) 当該実施医療機関の長が設置した治験審査委員会(当該実施医療機関の長が他の実施医療機関の長と共同で設置したものを含む。)の委員の指名に関する業務
2) 治験の契約に係る手続き等の業務
3) 治験の実施に必要な手順書を作成すること。
4) 治験審査委員会の審査の対象となる文書(GCP 省令第 32 条第 1 項及び第 2項参照)及びその他の通知又は報告が、治験依頼者又は治験責任医師から実施医療機関の長に提出された場合には、それらを当該治験審査委員会、治験依頼者又は治験責任医師に提出する。当該文書が追加、更新又は改訂された場合にも同様とする。
5) 治験審査委員会の意見に基づく実施医療機関の長の指示、決定に関する通知文書を作成し、治験責任医師及び治験依頼者に伝達すること。
6) 治験にかかわる書類の作成及び授受などの事務的作業の支援
7) 記録の保存
8) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援。例えば、実施医療機関内の治験に関与する部門との連携、治験責任医師等の履歴書等の管理、治験依頼者への文書の発送等
第 7 章 記録の保存
記録の保存責任者
第26条 実施医療機関の長は医療機関内において保存すべき治験の実施に係る文書又は記録の保存責任者を指名する。なお、記録保存責任者は必要に応じ、記録保存担当者を指名し、治験の実施に係る文書又は記録の保存を行わせることができる。
2 治験責任医師は、治験期間中、治験の実施に係る文書又は記録を実施医療機関の長の指示に従って保存する。なお、これらの文書又は記録は治験終了後、第 1 項の保存責任者に移管する。
3 自ら治験を実施する者は、治験期間中、治験に関する文書又は記録を本手順書第 27
条第 1 項に定める期間まで適切に保存する。なお、これらの文書又は記録は治験
終了後、第 1 項の保存責任者に移管する。
4 実施医療機関の長又は治験の記録の保存責任者は、医療機関において保存すべき必須文書が本手順書第 27 条第 1 項に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じておくものとする。
記録の保存期間
第27条 実施医療機関の長は、医療機関において保存すべき文書又は記録を、1) 又は 2) のうちいずれか遅い日までの期間保存するものとする。ただし、治験依頼者又は自ら治験を実施する者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について、それぞれと協議するものとする。
1) 当該被験薬に係る医薬品の製造販売承認日(開発の中止又は臨床試験の試験成績に関する資料が申請書に添付されないことを決定した旨の通知を受けた日から 3 年が経過した日)
2) 治験の中止又は終了後 3 年が経過した日
2 製造販売後臨床試験における記録の保存期間は、再審査または再評価が終了する日(医療機器では使用成績評価が終了する日)までとする。ただし、 医薬品医療機器等法第 23 条の 25 第 3 項(医薬品医療機器等法第 23 条の 26 第 5 項において読み替え適用する場合に限る)に規定する資料を収集するために行った再生医療等製品の製造販売後臨床試験については、製造販売の承認を受ける日又は製造販売後臨床試験の中止もしくは終了後 3 年が経過した日のうちいずれか遅い日とする。なお、製造販売後臨床試験依頼者から特に申し出があった場合の保存期間及びその方法については、製造販売後臨床試験依頼者と協議の上、定めるものとする。
記録の廃棄
第 28 条 記録保存責任者は、保存している記録が保存期間を満了し、実施医療機関の長の指示を受けて当該記録を廃棄する場合、被験者のプライバシー及び治験依頼者の秘密を侵害しないよう適切に処分する。
機密保持
第 8 章 機密保持
第 29 条 実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければならない。
2 実施医療機関の長は、治験依頼者又は自ら治験を実施する者から提供された資料
その他の情報及び治験の結果得られた情報について、事前の文書による承諾なしに第三者に開示・提供・漏洩してはならない。
第 9 章 モニタリング及び監査等への対応
モニタリング及び監査等の受け入れに関する要件
第 30 条 当院がモニタリング及び監査等を受け入れること及びこれに関連する費用について、治験契約書又はその他の合意文書に記載されていること。
2 被験者の同意(説明文書中に明記されていること)が得られていること。
3 原則として、モニター及び監査担当者が治験依頼者によって指名された者であること。
モニタリング及び監査等に関する確認事項
第 31 条 治験責任医師及び治験事務局等は、モニタリング及び監査等の計画書並びに手順についてモニター又は監査担当者に確認する。なお、治験の実施状況を踏まえて計画及び手順と異なるモニタリング及び監査等が行われる必要が生じ得ることに留意する。
2 治験責任医師及び治験事務局等は、直接閲覧の対象となる原資料の内容・範囲について治験実施計画書等に基づいてモニター又は監査担当者に確認する。なお、治験の実施状況等を踏まえてその追加、変更が行われる必要が生じ得ることに留意する。
直接閲覧を伴うモニタリング及び監査等の受け入れに関する手続き
第 32 条 治験事務局は、モニター又は監査担当者から直接閲覧を伴うモニタリング又は監査等の申し入れを事前に電子メール又は電話等により受け付ける。なお、文書による申し入れを受け付ける場合は、「直接閲覧実施連絡票」を使用する。
2 治験事務局は、xxxxxx又は監査等の内容及び手順をモニター又は監査担当者に確認し、当院の応対者と日程を決定する。
3 治験事務局は、xxxx又は監査担当者が希望する日時に被験者のプライバシー保護及び原資料の照合可能な場所を準備する。
直接閲覧を伴うモニタリング及び監査等の実施に関する対応
第 33 条 治験事務局及びモニタリング又は監査等の応対者は、直接閲覧の対象となる資料を準備する。なお、直接閲覧の対象となる資料が電磁的記録である場合は、見読可能な状態で準備する。
2 モニタリング又は監査等には、治験事務局、治験協力者、記録保存責任者、その他、治験の実施に関与する者のうち、少なくとも 1 人が立ち会うものとす る。
3 治験事務局は、xxxxxx又は監査等の終了後に直接閲覧の対象となった資料が適切に返却されていることを確認する。
直接閲覧を伴うモニタリング及び監査等の結果に関する対応
第 34 条 xxxx又は監査担当者より問題又は提案事項等が示された場合、治験責任医師及び治験事務局等は関係者と協議し、対応を決定する。
2 治験責任医師及び治験事務局等は、xxxx又は監査担当者から問題事項に対する対応を確認したい旨の要請があった場合は、これに応じる。
第 10 章 規則の改訂
第 35 条 本手順書は、GCP 省令等の改正時等に見直しを行い、必要に応じて改訂する。改訂版には、版数、改訂日を記す。また、本手順書の改廃は、実施医療機関の長の承認を得るものとする。
附則
第 1 版 制定 2001 年 2 月 8 日
第 9 版 改訂 2021 年 11 月 18 日
第 10 版 改訂 2022 年 3 月 1 日
以上