◼ 第1回 双務契約における異時履行(20JG1009,20JG1042) ◼ 第2回 危険負担(19JU1071) ◼ 第3回 予約(19JU1005) ◼ 第5回 解除(20JG1022,20JG1002)
(第11回)
明治学院大学名誉教授
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◼ 契約解除の要件
◼ 催告解除,催告なし解除
◼ 契約解除の唯一かつ真の要件とは何か。
◼ 契約解除の効果(未履行・既履行の債務の行方)
◼ 直接効果説(未履行債務=遡及的に消滅,既履行債務=不当利得の返還義務)
◼ 間接効果説(未履行債務=不消滅・抗弁,既履行債務=契約上の返還義務)
◼ 巻き戻し理論(清算関係説:未履行債務=消滅,既履行債務=清算義務)
◼第541条(催告による解除)
◼当事者の一方がその債務を履行しない場合において,相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,相手方は,契約の解除をすることができる。
◼ただし,その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは,この限りでない。
◼ 第542条(催告によらない解除)
◼ ①次に掲げる場合には,債権者は,前条の催告をすることなく,直ちに契約〔全部〕の解除をすることができる。
◼ 一 〔全部不能〕債務の全部の履行が不能であるとき。
◼ 二 〔履行拒絶〕債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
◼ 三 〔契約目的不達成〕債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において,残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
◼ 四 〔定期行為〕契約の性質又は当事者の意思表示により,特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において,債務者が履 行をしないでその時期を経過したとき。
◼ 五 〔契約目的不達成の見込み〕前各号に掲げる場合のほか,債務者がその債務の履行をせず,債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
◼ ② 次に掲げる場合には,債権者は,前条の催告をすることなく,直ちに契約の一部の解除をすることができる。
◼ 一 債務の一部の履行が不能であるとき。
◼ 二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
◼第543条(債権者の責めに帰すべき事由による場合)
◼債務の不履行が債権者の〔重大な〕責めに帰すべき事由によるものであるときは,債権者は,前2条の規定による契約の解除をすることができない。
◼ (催告による解除権の消滅)←形成権の消滅事由
◼ 解除権の行使について期間 の定めがないときは,相手方は,解除権を有する者に対し,相当の期間を定めて,その
期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。
◼ この場合において,その期間内に解除の通知を受けない ときは,解除権は,消滅する。
◼ (解除権者の故意による目的物の損傷等による解除権の消滅)
◼ 〔債権者に重大な帰責事由がある場合の解除権の消滅〕
◼ 解除権を有する者が故意若しくは過失によって契約の目的物を著しく損傷し,若しくは返還することができなくなったとき,又は加工若しくは改造によってこれを他の種類
の物に変えたときは,解除権は,消滅する。
◼ ただし,解除権を有する者がその解除権を有することを知らなかったときは,この限りでない。
履行期に履行
Ⅰ履行遅滞
通常の場合 催告解除
定期行為 無催告解除
契
約 債務の本
がないこと
Ⅱ履行不能
帰責事由
あり
帰責事由
無催告解除
原則:債務者主義
(解除と同じ)
不
旨に従っ
た履行が
履 ないこと
なし 危険負担
例外:債権者主義
(解除不可)
行 履行期
に履行
がある
が瑕疵があること
Ⅲ不完全履行
(瑕疵担保責任)
契約目的を達成
できない
契約目的を達成
できる
解除可能
解除不可 損害賠償のみ
Ⅰ履行遅滞
通常の場合 催告解除
定期行為 無催告解除
x
債務の
約 本旨に
履行期
に履行
がないこと
Ⅱ-1 履行不能
帰責事由あり
帰責事由なし
無催告解除
危険負担
原則:債務者主義
(解除と同じ)
例外:債権者主義
(解除不可)
不 従った履
履 行がな
Ⅱ-2 履行拒絶 無催告解除
いこと
行
履行期
に履行
がある
が瑕疵があること
Ⅲ不完全履行
(瑕疵担保責任)
契約目的を達
成できない
契約目的を達
成できる
解除可能
代品請求も可能
解除不可
損害賠償,修補
契約不適合
履行期に履行がないこと
Ⅰ履行遅滞
(履行の意思あり)
Ⅱ履行拒絶
(履行の意思なし)又は,履行不能
通常の場合 催告解除
定期行為 無催告解除
無催告解除
履行期に履行が
あるが瑕疵があること
Ⅲ不完全履行
(瑕疵担保責任)
契約目的を達成できない
契約目的を達成できる
解除可能, 代品請求も可能
解除不可
損害賠償,修補のみ
◼ 約款とは何か
◼ 契約当事者の一方が内容を一律に決定し,交渉による内容変更を認めない契約条項
◼ 約款の拘束力の根拠
◼ 約款によるという合意説,商慣習説,自治規範説など
◼ 約款の効力の制限
◼ 不意打ち条項,優越的地位の濫用となる条項の排除
◼ 相手方の利益を一方的に害する条項の判断基準
◼ 消費者契約法:任意規定の適用結果と約款の適用結果との対比
◼ 民法548条の2以下:取引上の社会通念
◼ 第548条の2(定型約款の合意)
◼ ①定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって,その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同
じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」とい
う。)をした者は,次に掲げる場合には,定型約款(定型取引において,契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす。
◼ 一 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
◼ 二 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していた〔すなわち,公表とは異なり,利用申込書に約款の利用を表示していた〕とき。
◼ ②前項の規定にかかわらず,同項の条項のうち,相手方の権利を制限し,又は相手方の義務を加重する条項であって,その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては,合意をしなかったものとみなす。
消費者契約法10条
◼ 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定〔すなわち,任意規定〕の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって,民法第1条第2項に規定する基本原則〔xxx〕に反して消費者の利益を一方的に害するものは,無効とする。
民法548条の2第2項
◼ ②前項の規定にかかわらず,同項の条項のうち,相手方の権利を制限し,又は相手方の義務を加重する条項であって,その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては,合意をしなかったものとみなす。
◼ 第548条の3(定型約款の内容の表示)
◼ ①定型取引を行い,又は行おうとする定型約款準備者は,定型取引合意の前又は定型取引合意の後相当の期間内に相手方から請求があった場合には,遅滞なく,相当な方法でその定型約款の内容を示さなければならない。ただし,定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し,又はこれを記録した電磁的
記録を提供していたときは,この限りでない。
◼ ②定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは,前条の規定は,適用しない。ただし,一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由がある場合は,この限りでない。
◼ 第548条の4(定型約款の変更)
◼ ①定型約款準備者は,次に掲げる場合には,定型約款の変更をすることにより,変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし,個別に相手方と合意をすることなく契約の内容を変更することができる。
◼ 一 定型約款の変更が,相手方の一般の利益に適合するとき。
◼ 二 定型約款の変更が,契約をした目的に反せず,かつ,変更の必要性,変更後の内容の相当性,この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。
◼ ②定型約款準備者は,前項の規定による定型約款の変更をするときは,その効力発生時期を定め,かつ,定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法によりx xしなければならない。
◼ ③第1項第2号の規定による定型約款の変更は,前項の効力発生時期が到来するまでに同項の規定による周知をしなければ,その効力を生じない。
◼ ④第548条の2第2項〔定型約款の無効〕の規定は,第1項の規定による定型約款の変更については,適用しない。
学生によるプレゼンテーションです。
◼ 7月7日
◼ 第1回 双務契約における異時履行(20JG1009,20JG1042)
◼ 第2回 危険負担(19JU1071)
◼ 第3回 予約(19JU1005)
◼ 第4回 未定
◼ 7月14日
◼ 第5回 解除(20JG1022,20JG1002)
◼ 第6回 未定
◼ 第7回 未定
◼ 第8回 未定
◼ 7月21日
◼ 第9回 未定,その後まとめの講義