新現先取引 Best Practice Guide (第4版)
新現先取引 Best Practice Guide (第4版)
平成 29 年8月 31 日債券現先取引等研究会
【1】 取引全般
新現先取引の基本契約書では、債券以外に国内 CP、海外 CD、海外 CP 及び外国貸付債権信託受益証券といった商品が取り扱えるようになっております。実際にこれらの商品の取引を行っていくに当たっては、当事者間で別途取り決めを必要とする事項があるため、商品毎に覚書を作成し締結することも考えられます。また、商品を跨いでの一括清算が行えない可能性もあることから、これに対応した覚書を交わすことも考えられます。
新現先取引でも利含み現先取引方式を適用しない場合は、利払い日を挟んでサブスティテューションを行った場合の取決め等が複雑になります。そのため、現行の現金担保付債券貸借取引の代替として新現先取引を導入するに当たっては、利含み現先取引方式で行うことを推奨します。
新現先取引の基本契約書は日本証券業協会から、平成 12 年策定の旧参考様式と平成 28
年策定の新参考様式が公表されています。双方の参考様式とも新現先取引に対応していることから条項の構成は類似していますが、旧参考様式は非利含み現先取引方式を前提としており、基本契約書の内容を変更するための「合意書」等を用いる方式である一方、新参考様式は利含み現先取引方式を前提としており、取引対象を想定して基本契約書本文に「別紙」を組み合わせる方式であるといった違いがあります。
なお、国債取引の決済期間短縮(T+1)化に伴って導入される銘柄後決め方式の現先取引に対応している基本契約書は新参考様式のみであるため、新たに基本契約を締結する場合は、新参考様式の利用を推奨します。
【2】 端数処理
・スタート売買金額については、円建て債券の場合円未満切り捨てとします。
・スタート利含み売買単価については以下の通りとします。
約定時点の取引対象債券等の利含み時価としては、当事者間の別段の合意がない限り 、約定時点の取引対象債券等の時価にスタート取引受渡日における経過利子を加えたものとします。端数処理としては、約定時点の取引対象債券等の時価については小数点以下第3位未満切り捨て(T-Bill も同様)、経過利子については小数点以下第7位未満切り捨てとします。ヘアカット後のスタート利含み売買単価の端数処理は、小数点以下第
7位未満切り捨てとします。
・エンド売買金額については、円建て債券の場合円未満切り捨てとします。
・エンド利含み売買単価の端数処理は、小数点以下第8位を切り上げとします。(小数点以下第9位以下がゼロでない場合でも小数点以下第8位がゼロのときは切り上げませんの
で、“ゼロ捨一入”といえます。第7位未満切り上げとしなかったのは、小数点以下第8位からゼロが何個か続くことも考えられ、システムの精度によって値が相違することを防ぐためです。)
・スタート売買単価・エンド売買単価の個別取引明細書その他の書面における表示桁数は、小数点以下7桁がよいでしょう。
[基本契約書の関連条項]
・新参考様式
別紙1第2条第1項、同2項、第4条、第5条別紙2第3条
別紙3第2条第1項、同2項、第4条、第5条別紙4第2条第1項
別紙5第4条第1項、同2項、第5条
・旧参考様式
合意書第3条
【3】 売買金額算出比率
・売買金額算出比率については、小数点以下第5位までとします。
・市場環境等によっては、売買金額算出比率がマイナスの数字となることもあります。
・現先取引の都度、当事者間で決定されます。
[基本契約書の関連条項]
・新参考様式
本文第2条
別紙1第2条第6項、別紙3第2条第6項、別紙4第2条第6項、別紙5第2条第6項
・旧参考様式
基本契約書第2条
【4】 マージン・コール
1.基本的なスキーム
個別取引与信額を認識する期間は、スタート取引受渡日からエンド取引受渡日の前営業日までとします。原則エンド取引受渡日については個別取引与信額の認識を行わないものとし、エンドフェイルが発生した場合については後述の通りとします。
マージン・コールの通知は午前 10 時までとし、通知を受けた方は、原則として、正午までに相手方に担保の詳細を連絡するものとします。その際には、担保金・担保証 券の選択以外に、当事者間の合意により、リプライシングによるエクスポージャーの解消方法も選択できます。また、担保金・担保証券の差入は、原則として、通知日当日の午後3時(担保金)・カットオフタイム(国債)までに行うものとします。担保の返戻についても、差入れ同様のスキームで行います。なお、取引残高がゼロとなるエンド取引受渡日にもマージン・コールの通知を可能とし、原則として、通知日当日中に返戻されるものとします。ただし、実務的に困難な場合は、差入・返戻ともに当事者間の合意により通知日の翌営業日に行うことも可能とします。その場合、マージン・コールの通知については、正午までとすることも可能でしょう。
受渡担保明細書については、通知後遅滞なく交付を行うものとします。
また、日銀ネットを利用できない者との間で担保金の授受を行うことが想定される場合は、午後3時までに授受を行うことができないことも想定して、当事者間で別段の合意をしておくことを推奨します。
(注)債券貸借取引の場合は、マージン・コールの決済を通知日の翌日と想定して基本契約書が作成されているのに対し、新現先取引の場合は、通知日当日の決済を前提として純与信額の定義等がなされていることから、実務的な負担もあるものの、マージン・コールは、原則として、通知日当日に決済することを推奨します。
2.純与信額の算出に関する考え方(フェイル期間を含めて)
純与信額を算出するに当たっては、原則として、その日がスタート取引受渡日となっている個別現先取引の個別取引与信額を含め、その日がエンド取引受渡日となっている個別現先取引(エンドフェイルが継続中の取引を含む)の個別取引与信額は含めないものとします。こうした扱いは、当日午前 10 時までに行うマージン・コールの通知時点では当該個別現先取引がフェイルするかどうか分からないため、まずはフェイルが発生
(継続)しないものとして純与信額を算出してマージン・コールを行い、フェイルが発生した場合には、その分のエクスポージャーの調整を別途行うこととするのが合理的 と考えられることによるものです。(【6】フェイル参照)
3.担保証券
差入可能な担保証券及び掛目は、当事者間で予め合意しておきます。担保証券の差替えに関しては、原則として、国債の場合は請求日の1営業日後(ただし国債取引の決 済期間短縮(T+1)化実施前は請求日の2営業日後)、国債以外の場合は請求日の2営業日後決済としますが、決済が確実に履行されることを考慮したうえで、当事者間の合意により、変更することも可能とします。
担保証券の差替えの決済は非 DVP 決済となることから、原則として差替えを要請し
た方が先に担保証券の差入れの決済を行うこととし、差替えに応じた方は、その入庫を確認した後に返戻の決済を行うこととします。
4.担保証券の返戻についての注意事項
担保証券の返戻は、マージン・コール又は差替えの場合に行われますが、マージン・コールの場合には、原則として、通知日に返戻することとしています。しかし、相手方が当日中に返戻することが困難な場合も考えられることから、返戻請求のあった担保証券の時価総額以上の時価総額を有する新たな担保証券を差し入れることができます(旧参考様式の場合は、その旨を付属覚書に規定する方法が考えられます)。その場合にも、基本契約書第7条第6項が、相互のマージン・コールにより担保の両建てが増加しつづけるのを回避することを趣旨としたものであることに鑑み、当初の返戻請求に対して新たな担保証券を差し入れた当事者は、返戻請求日の後できるだけ早期に、当該返戻請求のあった担保証券を返戻するものとし、当該返戻を受けた当事者は、原則として当該返戻が行われたことを確認の上、当該新たな担保証券を返戻することとします。
5.担保の受払の方式
担保の差入れと返戻が同日に発生した場合の受払いについては、ネッティングして決済する方式と個別に決済する方式のいずれかの方式が考えられます。決済当日の事務処理を円滑化するため、いずれの方式とするか当事者間であらかじめ確認しておき、合意しておくことが望ましいでしょう。
6.担保金の利息
担保金の利率に関しては、無担コール翌日物金利等を基準として、当事者間で決定する方法が考えられます。(例.無担コール翌日物金利―0.25%、下限金利0%)
なお、下限金利を設定しないこととする場合、金利水準によっては、受入担保金残高を有する当事者が他方当事者から担保金利息を受取るケースが発生し得ることも視野に入れて検討すべきと考えられます。この場合の対応としては、純与信額の定義(基本契約書参考様式第2条第 22 号)、担保の管理等(別紙1第6条第3項、別紙3第7条第
3項、別紙4第6条第3項及び別紙5第7条第3項)の内容を見直すことが考えられます。
担保金の利息については、以下の計算方法で日々計算し翌月の第一営業日に月末分まで(カレンダーベース)の利息額合計を両当事者が相互に支払うものとします。
対象日の担保金利息=当該対象日の担保金残高(担保金利息は含まない。)×当該対象日の担保金利率÷365(円未満は切り捨てるものとする。)
月中に取引残高がゼロになった場合の担保金利息受払日については、上記同様に翌月第一営業日とするか、若しくはすべての取引が終了した日とする方法があるので、当事者間で合意により決定します。
7.リプライシング
リプライシングに係る金銭による決済も、マージン・コール同様、原則として、再評
価日当日に行うものとします。ただし実務的に困難な場合は、当事者間の合意により、再評価日の翌営業日にすることも可能とします。
リプライシング可能な期間は、スタート取引受渡日からエンド取引受渡日の前営業日までとします。
リプライシングとマージン・コールを同日に行う場合の注意点として、当初のマージン・コールの金額からリプライシングによる決済金額分の調整を行う必要があります。
8.時価について
現金担保付債券貸借取引から新現先取引への円滑な移行を促進するためには、マージン・コール等に用いる国債の時価は日本証券業協会の発表する公社債店頭売買参考統計値を利用することが有効と考えられます。
なお、時価の計算における閏日の取り扱いや、時価算出の計算手順については、「日本銀行金融ネットワークシステム利用細則(国債売買等関係事務)」の参考2.において計算式が記載されていることから、これを参考とすることも考えられます。
[基本契約書の関連条項]
・新参考様式
本文第7条
別紙1第2条2項、同4項、同5項、第6条第1項、同2項、同3項、同4項、同6項、同8項
別紙3第2条2項、同4項、同5項、第7条第1項、同2項、同3項、同4項、同6項、同8項
別紙4第2条第4項、同5項、第6条第1項、同4項、同6項、同8項、
別紙5第2条第4項、同5項、第7条第1項、同2項、同3項、同4項、同6項、同8項
・旧参考様式
基本契約書第7条
【5】 サブスティテューション
1.差替え後の取引明細に関する取決め
差替えにより終了する取引に関しては、基本契約書(旧参考様式の場合は付属覚書も考慮)に従って単価や金額が計算されますが、差替え後の取引の詳細に関しては、下記のように取り決めます。
・スタート売買金額 = 差替えにより終了する取引のエンド売買金額
スタート売買金額は差替えにより終了した取引のエンド売買金額と一致させます。
・スタート利含み売買単価 = 差替え後のスタート売買金額 ÷ 差替え後の取引数量
スタート利含み売買単価に関してはスタート売買金額と取引数量から逆算して算出された数字とし、その表示に当たっては小数点以下第7位未満切り捨ての小数点以下第7位までの表示により行います。そのため注意点としては、表示された単価と取引数量から金額を計算した場合に数円程度金額が一致しない場合があります。
・現先レート = 当初約定の現先レート
現先レートについては、当初約定の現先レートを表示することします。注意点としては、差替え後の取引を一個の独立した現先取引としてスタート及びエンド売買金額と約定期間から現先レートを逆算した場合、当初の現先レートと若干のずれが生じます。
・エンド売買金額 = 当初の取引のエンド売買金額
エンド売買金額は、当初約定のエンド売買金額と同一とします。
・エンド利含み売買単価 = 差替え後のエンド売買金額 ÷ 差替え後の取引数量
エンド利含み売買単価に関しても、スタート利含み売買単価と同様にエンド売買金額と取引数量から逆算して算出された数字とし、表示の際の端数処理に関しては通常通り小数点以下第8位切り上げの小数点以下第7位まで表示とします。そのため、単価と取引数量から金額を計算した場合、数円程度金額が一致しない場合があります。
2.その他の取決め
・対象債券の差替え決済日は、原則として、国債の場合は請求のあった日の1営業日後( ただし国債取引の決済期間短縮(T+1)化実施前は請求日の2営業日後)、国債以外の債券等の場合は請求のあった日の2営業日後とします。
・銘柄差替えが可能な期間は、国債の場合はスタート取引受渡日からエンド取引受渡日の
2営業日前(ただし国債取引の決済期間短縮(T+1)化実施前は請求日の3営業日前)まで、国債以外の債券等の場合はスタート取引受渡日からエンド取引受渡日の3営業日前までとします。
・銘柄差替えの決済方法としては、双方が FOP 決済で受渡すことも可能ですが、フェイル
のリスクを考慮し、双方 DVP 決済により行うことを推奨します。その際の決済代金と しては、差替え後のスタート売買金額(=差替えにより終了する取引のエンド売買金額)を使います。
・サブスティテューション時にフェイルが発生した場合、それぞれをエンドフェイル・スタートフェイルとして、フェイル慣行及び本ガイドに従って通常通りに処理します。
・差替えを行う際に、新取引対象債券等が有する時価総額は、当初の取引対象債券等の時価総額以上であることが条件となっていますが、売買金額算出比率が異なる銘柄により差替えを行う際は、その分個別取引与信額に影響を与えることに注意を要します。
・一つの取引の間での銘柄差替えが可能な回数については、当初の約定の際に当事者間 で確認しておいた方がよいでしょう。
・銘柄差替え後の取引対象証券の種類等(例えば、種別や残存年限)については、当初の約定時に当事者間で合意をしておいた方がよいでしょう。
3.注意事項
差替え後の取引についてエンド売買金額を算出する場合(この他、個別取引与信額を算出する場合、再評価取引を行う場合、新たな差替えを行う場合、債務不履行による取引終了の場合)には、差替え前の取引における当初(複数回の差替えがある場合には一番初め )の約定条件にしたがって、次のように算出するものとします。
差替え後の取引のエンド売買金額
=当初の取引対象債券等の取引数量×(当初の取引対象債券等のスタート利含み売買単価+当初の現先レート×当初の取引対象債券等のスタート利含み売買単価 ×当初のスタート取引受渡日から当該差替え後の取引のエンド取引受渡日までの期間中の実日数から1を減じた日数÷365)
なお、再評価取引の後に差替えが行われた場合、上記算式中、「当初の取引対象債券等のスタート利含み売買単価」は「当該差替えから遡って直近の再評価取引におけるスタート利含み売買単価」に、「当初のスタート取引受渡日」は「当該再評価取引のスタート取引受渡日」になります。
[基本契約書の関連条項]
・新参考様式
本文第 10 条
別紙1第7条、別紙3第8条、別紙4第8条、別紙5第8条
・旧参考様式
基本契約書第 10 条
【6】 フェイル
1.フェイル時の取扱い
スタート取引受渡日やエンド取引受渡日にフェイルされた場合、下記の方法により未解消エクスポージャーを解消することが出来ます。その場合は、純与信額に基づいて行われる担保の管理と切り離して取扱い、フェイル確定後に請求が可能とします。なお、フェイル期間中のマージン・コールの取扱いについても同様とします。
2.スタートフェイルが発生した場合
当該個別現先取引について売り手(フェイルした側)が個別取引与信額を有している場合、マージン・コールを行う際の基準となる計算上の純与信額には、当該個別取引与信額が売り手側のものとして加算されていることから、買い手(フェイルされた側)は売り手に対して、当該個別取引与信額と同額の担保金の請求が可能となります。
当該個別現先取引について買い手(フェイルされた側)が個別取引与信額を有している場合、マージン・コールを行う際の基準となる計算上の純与信額には、当該個別取引与信額が買い手側のものとして加算されているものの、売り手(フェイルした側)は 買い手に対して、当該個別取引与信額についてのマージン・コールは行えないものとします。
なお、上記にかかわらず、スタートフェイルの場合には、当該個別現先取引についての買い手(フェイルされた側)は、売り手(フェイルした側)に対して書面による通知を発することにより、いつでも、当該個別現先取引を終了することができます。
3.エンドフェイルが発生した場合
当該個別現先取引について売り手(フェイルされた側)が個別取引与信額を有している場合、マージン・コールを行う際の基準となる計算上の純与信額には、当該個別取引与信額が加算されていないことから、売り手は買い手(フェイルした側)に対して、当該個別取引与信額と同額の担保金の請求が可能となります。
なお、リスク管理の観点からは、エンドフェイル後の担保金の請求が可能となるよ うシステム対応等の態勢の整備を行うとともに、当事者間の合意により、対応を行うことが推奨されます。
当該個別現先取引について買い手(フェイルした側)が個別取引与信額を有している場合、マージン・コールを行う際の基準となる計算上の純与信額には、当該個別取引与信額が加算されていないものの、買い手は売り手(フェイルされた側)に対して、当該個別取引与信額についてのマージン・コールは行えないものとします。
4.スタートフェイルのままエンド取引受渡日を迎えた場合
スタートフェイルが継続している限りにおいて、買い手(フェイルされた側)は、売り手(フェイルした側)に対して書面による通知を発することにより、当該個別現先取引を終了させることができます。
[基本契約書の関連条項]
・新参考様式
本文第 12 条
・旧参考様式
基本契約書第 11 条
【7】物価連動債の取引
物価連動債を用いて新現先取引を行う場合、スタート売買金額及びスタート利含み売買単価はそれぞれ次の算式により算出した金額及び数値で行うことがよいでしょう。
・スタート売買金額=取引数量×(スタート時)連動係数×スタート利含み売買単価
・スタート利含み売買単価=約定時点✰取引対象債券✰利含み時価÷(1+売買金額算出比率)
ここで、取引数量は発行時✰当初額面ベース✰数値、利含み時価は連動係数を考慮しない当初額面 100%当たり✰数値とします。連動係数は、「当該日に適用される CPI÷当初発行☎✰ 10 日に適用される CPI(基準CPI。小数点以下✰扱いは下記【注意事項】を参照)」により算出された値をいいます。ここで CPI は、総務省発表✰「全国消費者物価指数」(生鮮食品を除く総合指数)をいいます。
連動係数は、原則として時価を取得(計算)する日(受渡日)に適用される連動係数を用いるも✰とします。スタート売買金額✰算出に必要な(スタート時)連動係数はスタート受渡日に適用される連動係数とします。ただし、先日付✰受渡日においては連動係数が未定✰場合も考えられることから、取引当事者が合意した場合には、諸規則等に抵触しない範囲内で、当該合意に基づき当事者により決定されるも✰とします。約定時にエンド受渡日✰連動係数が必要な場合には、取引実務上✰要請からスタート受渡日✰連動係数((スタート時)連動係数)を代用することが適当と考えます(エンド受渡日✰連動係数が約定時に確定している場合も含む)。
エンド売買金額及びエンド利含み売買単価は、それぞれ次✰算式により算出した金額及び数値とします。
・エンド売買金額=取引数量×(スタート時)連動係数×エンド利含み売買単価
・エンド利含み売買単価=スタート利含み売買単価+現先レート×スタート利含み売買単価×約定期間÷365
ただし、「÷365」は、両当事者間✰合意により、「÷360」とすることができるも✰とします。
個別取引与信額を算出する際✰エンド受渡日✰連動係数は、個別取引与信額を算出する日✰連動係数を用い、時価総額を算出する場合にも同じ連動係数を使用します。時価総額は、以下✰算式で算出される金額とします。
・時価総額=(取引)数量×連動係数×利含み時価
【注意事項】
連動係数及び小数点以下✰取扱いは、日本証券業協会「物価連動国債✰店頭売買における取扱いについて」(平成28年4☎1日施行)において以下✰とおり定義されています。〔平成27年度以前に発行された回号✰物価連動国債〕
「当該日に適用されるCPI÷当初発行☎✰10日に適用されるCPI(基準CPI)[小数点以下第4位を四捨五入]」により算出された値をいう。
〔平成28年度以降、新たな回号で発行される物価連動国債〕
「当該日に適用されるCPI÷当初発行☎✰10日に適用されるCPI(基準CPI)[小数点以下第6位を四捨五入]」により算出された値をいう。
【8】日本証券クリアリング機構(以下 JSCC)を利用した取引
1.JSCC による債務引受✰対象とするか否か✰確認
JSCC ✰清算参加者間において、JSCC ✰債務引受✰対象となり得る個別現先取引を行った場合、約定時に、「JSCC を利用しない」旨✰別段✰合意がない限り、JSCC ✰債務引受✰対象とする(JSCC に対し、債務引受✰申込を行う)も✰として取り扱うこととします。
(注)JSCC ✰清算参加者間で、JSCC ✰債務引受条件を満たさない取引を行う場合、約定時にそ✰旨を確認することがよいでしょう。
2.約定照合および JSCC に対する債務引受✰申込✰タイミング
銘柄先決め現先取引では、JSCC ✰清算参加者は、原則として、約定日当日✰午後6時 30 分までに、約定照合(証券保管振替機構が運営する決済照合システムにより行う照合処理。以下、約定照合という。)および JSCC に対する債務引受✰申込を行うこととします。
なお、JSCC ✰清算参加者による約定照合および JSCC に対する債務引受✰申込につ いては、①何らか✰事情により債務引受✰申込を取り消す可能性があること、②債務引 受✰申込を取り消すことができる✰は、JSCC が債務引受を行う前に限られることから、約定日✰午後6時 30 分までに十分な時間的余裕をもって行うことがよいでしょう。
銘柄先決め現先取引✰決済日においては、当日中✰決済を円滑に完了するため、極力正午までに当日分✰決済を終了させることが望ましい旨、RTGS ガイドラインに記載されています。
一方、銘柄後決め現先取引では、1日✰うち3回✰決済時限が設けられておりますが、当日2回目✰決済時限までに決済を終了させることが望ましい旨、RTGS ガイドラインに掲載されています(下記「抜粋」参照)。
【RTGS ガイドラインⅡ.4.(1) 決済日当日✰午前中✰行動指針】(抜粋)
⑧ 市場参加者は、当日中✰決済を円滑に完了するため、極力正午までに当日分✰決済を終了させることが望ましい。
⑨ 国債レポ取引✰うち、当事者間で具体的な銘柄を特定しない形で約定した後、株式会社日本証券クリアリング機構において債務引受け及び銘柄✰割当が行われるも✰
(銘柄後決めレポ取引)に関しては、⑧✰規定に拘わらず、決済日当日✰銘柄後決めレポ取引に係る 2 回目✰債務引受け✰申込時限までに約定した取引について、当日 2
回目✰決済時限までに決済を終了させることが望ましい。
なお、約定から債務引受✰申込まで✰処理時間を考慮し、JSCC における2回目✰債務引受申込時限(午前 11 時)までに十分な時間的余裕をもって約定することを推奨します。2回目✰債務引受申込時限✰直前に約定を行った場合、2回目✰債務引受時限に間に合わせるよう処理するか、3回目✰債務引受へ✰申込とするか、あらかじめ当事者間で協議✰上、合意することがよいでしょう。
なお、2 回目✰債務引受け✰申込期限後に約定した取引についても決済日当日において円滑に決済が進むよう当事者間で誠実に対応するも✰とする。
3.約定日に JSCC による債務引受が行われなかったケース✰取り扱い
銘柄先決め現先取引において、JSCC ✰清算参加者は、約定日に JSCC による債務引受が行われなかった場合(指図✰未送信や照合不一致✰ケース、午後6時 30 分以後に
照合されるケース)には、約定時に別段✰合意がない限り、債務引受(✰申込)✰日を翌営業日に順延することとして、指図✰(再)送信等✰必要な処理を行うこととします。また、個別現先取引(✰全部または一部)が JSCC ✰債務引受条件を満たさなくな
るケースでは、約定時に別段✰合意がない限り、当該個別現先取引(✰全部または一部)
✰決済を原取引当事者間で JSCC を利用せずに行うこととします。
(注)具体例としては、以下✰ような対応が考えられます。
・JSCC に対する債務引受✰申込がスタート取引受渡日✰前営業日✰午後6時 30 分に間に合わなかったことによって、スタート取引✰債務が引受けられなくなった場合には、スタート取引は JSCC を利用せずに決済し、エンド取引および期中利金✰受払はJSCC を利用して決済する。
・JSCC に対する債務引受✰申込がスタート取引受渡日✰午後6時 30 分に間に合わ
なかったことによって、一切✰債務が引受けられなくなった場合には、スタート取引、エンド取引および期中利金✰受払は JSCC を利用せずに決済する。
一方、銘柄後決め現先取引において JSCC によって債務引受が行われないケースとしては、以下✰ようなも✰が考えられます。いずれ✰ケースにおいても、約定を維持するか取消すか、また取消す場合、別途新たな取引を約定するかどうかについて、当事者間で協議✰上、合意することがよいでしょう。
① 取引当事者による債務引受申込が、JSCC ✰債務引受申込時限に間に合わなかっ
たケース
② 取引当事者✰信用低下等により、JSCC が債務引受を停止したケース
③ JSCC にトラブル(システム障害等)が発生したケース
(注)具体例としては、以下✰ような対応が考えられます。なお、新参考様式では、
①✰ケースに関して別紙2第5条第2項第2号、②✰ケースに関して同2項第3号、ケース③に関して同2項第4号に契約当事者✰対応について✰規定が設けられています。
[①✰ケース]
・ 先決め現先取引✰記載と同様、債務引受(✰申込)を、次回✰債務引受時限または翌営業日に順延することとして、指図✰(再)送信等✰必要な処理を行う。
・ 当事者間✰合意により、約定取消とする。
・ 当事者間✰合意により、約定取消後、JSCC を利用する先決め方式(非 T+0
取引)にて新規約定する。
...
・ 当事者間✰合意により、約定取消後、JSCC を利用しない先決め方式にて新規約定する。
[②✰ケース]
・ 当事者間✰合意により、約定取消とする。
...
・ 当事者間✰合意により、約定取消後、JSCC を利用しない先決め方式にて新規約定する。
[③✰ケース]
・ 約定を維持する(JSCC ✰トラブルが解消されるまで待つ)。
・ 当事者間✰合意により、約定取消とする。
・ 当事者間✰合意により、約定取消後、JSCC を利用する先決め方式(非 T+0
取引)にて新規約定する。
...
・ 当事者間✰合意により、約定取消後、JSCC を利用しない先決め方式にて新規約定する。
4.JSCC により債務引受が行われた取引に対する「債券等✰現先取引に関する基本契約書」
✰各条項✰適用について
JSCC により債務引受が行われた個別現先取引については、債務引受✰後、「債券等
✰現先取引に関する基本契約書」✰各条項(担保✰授受、再評価取引、銘柄差替、中途解約、個別契約✰解除、一括清算、差引計算、遅延損害金等に関する規定✰ほか、原取引当事者間における特約に関する規定を含む)は適用されず、JSCC ✰ルール(業務方法書等)に従い処理することになります。
[銘柄後決め現先取引に関する留意点]
銘柄後決め現先取引において JSCC によって債務引受が行われたも✰✰銘柄割当が行われない場合としては、以下が考えられます。
① 1回目、2回目✰銘柄割当時に割当可能数量が不足した場合
JSCC ✰規定等に基づき、銘柄割当ができなかった割当対象ポジションについて、それぞれ2回目及び3回目✰バスケット・ネッティング✰対象となります。
② 3回目✰銘柄割当時に割当可能数量が不足した場合
JSCC ✰規定等に基づき、3回目✰銘柄割当時✰割当可能残高通知✰中で残高✰最も多い銘柄が、割当可能数量を超えて割り当てられます(超過割当)。ただし、渡し方が超過割当部分✰国債を有していない場合は、渡し方✰ JSCC に対する決済✰フェイルに至り、JSCC から受け方へ✰決済もフェイルとされた上で、当該決済は翌日以降に繰り延べられます。
③ JSCC 等✰トラブル(システム障害等)により、銘柄割当が行われない場合
JSCC による債務引受がなされた後、JSCC に起因するトラブル(システム障害
等)や JSCC 以外✰機関が設置するシステム✰稼働に支障が生じた等✰場合は、決済✰繰延べそ✰他✰措置が講じられます。
5.JSCC による債務引受が未了✰取引に関するマージン・コール✰取り扱い
スタート取引受渡日✰前営業日✰午後6時 30 分時点で債務引受未了✰個別現先取引は、翌営業日に債務引受されるまで✰間、「債券等✰現先取引に関する基本契約書」上
✰各条項が適用される取引として存続することとなります。しかしながら、スタート取引受渡日✰マージン・コールを行う時点において JSCC より債務認定結果通知を受信している場合には、特段✰事象が発生しない限り、スタート取引受渡日✰午後6時 30分に当該個別現先取引が JSCC に債務引受されることになります✰で、原取引当事者
間で✰純与信額✰算出に当たっては、当該個別現先取引✰個別取引与信額を含めないことが適当と考えられます(注1)。
一方、スタート取引受渡日✰マージン・コールを行う時点において JSCC より債務
認定結果通知を受信していない場合には、原取引当事者間で当該個別現先取引✰取り扱いを協議することとします(注2)。
(注1) なお、原取引当事者間で✰純与信額✰算出に当たり、スタート取引受渡日✰前営業日✰午後6時30分時点で債務引受未了✰個別現先取引✰個別取引与信額を含める場合には、以下✰とおりとすることが考えられます。
・ 当該個別現先取引✰個別取引与信額を含めて純与信額を算出したうえで、スタート取引受渡日✰午前10時までに、原取引当事者間でマージン・コールを行う。
・ 当該マージン・コールを行った場合には、担保金についてはスタート取引受渡日✰午後3時までに、担保国債については同日✰カットオフタイムまでに、原取引当事者間で差入・返戻を行う。
・ 取引実行日✰午後6時30分に当該個別現先取引(エンド取引、期中利金✰支払)が債務引受された場合には、当該個別取引与信額相当分については、これを有していなかった先から有していた先に速やかに返戻する。
(注2) 当該個別現先取引✰具体的な取り扱いとしては、①JSCCを利用する前提で、原取引当事者間で✰純与信額✰算出に当たり当該個別現先取引✰個別取引与信額を含めない、②JSCCを利用しない前提で、原取引当事者間で✰純与信額✰算出に当たり当該個別現先取引✰個別取引与信額を含める、③ JSCCを利用する前提で、原取引当事者間で✰純与信額✰算出に当たり、当該個別現先取引✰個別取引与信額を含める、といった方法が考えられます。なお、③✰方法をとる場合には、(注1)✰とおりとすることが考えられます。
6.JSCC により債務引受が行われた取引に関するサブスティテューション✰取り扱い
JSCC により債務引受が行われた個別現先取引(エンド取引および期中利金✰支払について✰み債務引受が行われ、スタート取引については債務引受が行われていない個別現先取引を含む。以下こ✰項において同じ。)については、上記4.✰とおり、「債券等✰現先取引に関する基本契約書」✰各条項は適用されませんが、JSCC ✰ルール(業務方法書等)に従い、JSCC にサブスティテューションに係る債務引受✰申込を行うことができます。
一方、JSCC により一切✰債務引受が行われていない個別現先取引については、JSCCにサブスティテューションに係る債務引受✰申込を行うことはできません。
JSCC により債務引受が行われた個別現先取引に関して、JSCC にサブスティテュー
ションに係る債務引受✰申込を行う場合、原取引当事者間で✰合意✰方法・条件等については、JSCC により一切✰債務引受が行われていない個別現先取引に関するサブスティテューション✰合意✰方法・条件等(日本証券業協会作成✰「債券等✰現先取引に関する基本契約書」(参考様式)✰第 10 条)および、上記【5】に準じることとします。こ✰場合、①変更後✰銘柄は JSCC ✰取扱対象銘柄とする必要があること、②変更後
✰銘柄を変動利付国債とするときには、JSCC に債務引受✰申込を行う時点でエンド取
引受渡日が利率✰確定している利子計算期間内である必要があることに注意を要します。
JSCC により債務引受が行われた個別現先取引に関するサブスティテューションは、
JSCC ✰ルール(業務方法書等)上、①当該個別現先取引(「当初現先取引」)✰終了を目的とする取引(「終了取引」)と、②変更後✰銘柄によりサブスティテューション実行日をスタート取引受渡日として行う現先取引(「変更後銘柄現先取引」)を同時に行う(JSCC による債務引受が同じタイミングで行われる)ことにより実現されます。したがって、こ✰①「終了取引」と②「変更後銘柄現先取引」について、約定照合をサブスティテューション後(約定日(合意日を含む))に速やかに行い、そ✰日✰午後 6時 30 分までにJSCC に債務引受け✰申込を行うといった一連✰事務手続き(処理)を、原取引当事者間で十分に時間的余裕をもって行うことがよいでしょう。
それでもなお、終了取引または変更後銘柄現先取引✰一方が JSCC に債務引受されず、他方✰みが個別✰現先取引として JSCC に債務引受されることもあり得ます。こ
✰場合、JSCC ✰清算参加者は、当初現先取引✰サブスティテューションとしてではなく、当初現先取引とは別に、終了取引または変更後銘柄現先取引を行ったも✰として約定処理を行う必要があることに注意を要します。また、終了取引または変更後銘柄現先取引✰うち JSCC に債務引受が行われなかった一方については、上記3.と同様に取り扱うこととします。
なお、終了取引および変更後銘柄現先取引✰両方が JSCC に債務引受されなかった
場合には、サブスティテューション✰合意時に別段✰合意がない限り、サブスティテューションに係る債務引受(✰申込)✰日を翌営業日に順延することとして、指図✰(再)送信等✰必要な処理を行うこととします。
[基本契約書✰関連条項]
・新参考様式
本文第 10 条
別紙2第5条1項、同2項、第6条
・旧参考様式
基本契約書第 10 条
以上