Contract
工事監理業務委託契約約款
(総則)
第1条 委託者(以下「甲」という。)及び受託者(以下「乙」という。)は,この契約書(頭書を含む。以下同じ。)に基づき,工事監理業務委託仕様書(別冊の仕様書,現場説明書及びこれらの図書に係る質問回答書並びに現場説明に対する質問回答書をいう。以下「工事監理仕様書」という。)に従い,日本国の法令を遵守し,この契約(この契約書及び工事監理仕様書を内容とする業務の委託契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。
2 乙は,契約書記載の業務(以下「業務」という。)を契約書記載の履行期間(以下「履行期間」という。)内に完了し,xは,その契約代金を支払うものとする。
3 甲は,その意図する業務を完了させるため,業務に関する指示を乙又は第9条に定める乙の監理業務技術者に対して行うことができる。この場合において,乙又は乙の監理業務技術者は,当該指示に従い業務を行わなければならない。
4 乙は,この契約書若しくは工事監理仕様書に特別の定めがある場合又は前項の指示若しくは甲と乙との協議がある場合を除き,業務を完了するために必要な一切の手段をその責任において定めるものとする。
5 この契約の履行に関して甲と乙との間で用いる言語は,日本語とする。
6 この契約書に定める金銭の支払に用いる通貨は,日本円とする。
7 この契約の履行に関して甲と乙との間で用いる計量単位は,工事監理仕様書に特別の定めがある場合を除き,計量法(平成4年法律第 51 号)に定めるものとする。
8 この契約書及び工事監理仕様書における期間の定めについては,民法(明治 29 年法律第 89 号)及び商法(明治
32 年法律第 48 号)の定めるところによるものとする。
9 この契約は,日本国の法令に準拠するものとする。
10 この契約に係る訴訟の提起又は調停の申立てについては,日本国の裁判所をもって合意による専属的管轄裁判所とする。
11 乙が設計共同体を結成している場合においては,甲は,この契約に基づくすべての行為を設計共同体の代表者に対して行うものとし,甲が当該代表者に対して行ったこの契約に基づくすべての行為は,当該共同体のすべての構成員に対して行ったものとみなし,また,乙は,甲に対して行うこの契約に基づくすべての行為について当該代表者を通じて行わなければならない。
(指示等及び協議の書面主義)
第2条 この契約書に定める指示,催告,請求,通知,報告,申出,承諾,質問,回答及び解除(以下「指示等」という。)は,書面により行わなければならない。
2 前項の規定にかかわらず,緊急やむを得ない事情がある場合には,甲及び乙は,前項に規定する指示等を口頭で行うことができる。この場合において,甲及び乙は,既に行った指示等を書面に記載し,速やかにこれを相手方に交付するものとする。
3 甲及び乙は,この契約書の他の条項の規定に基づき協議を行うときは,当該協議の内容を書面に記録するものとする。
(業務計画書の提出)
第3x xは,この契約締結後,速やかに工事監理仕様書に基づいて業務計画書を作成し,甲に提出しなければならない。
2 甲は,必要があると認めるときは,前項の業務計画書を受理した日から7日以内に,乙に対してその修正を請求することができる。
3 この契約書の他の条項の規定により履行期間又は工事監理仕様書が変更された場合において,甲は,必要があると認めるときは,乙に対して業務計画書の再提出を請求することができる。この場合において,第1項中「この契約締結後」とあるのは「当該請求があった日から」と読み替えて,前2項の規定を準用する。
4 業務計画書は,甲及び乙を拘束するものではない。
(契約の保証)
第4条 甲が求めたときは,乙は,この契約の締結と同時に,次の各号のいずれかに掲げる保証を付さなければならない。ただし,第5号の場合においては,履行保証保険契約の締結後,直ちにその保険証券を甲に寄託しなければならない。
(1) 契約保証金の納付
(2) 契約保証金の納付に代わる担保となる有価証券等の提供
(3) この契約による債務の不履行により生ずる損害金の支払を保証する銀行,甲が確実と認める金融機関又は保証事業会社(公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和 27 年法律第 184 号)第2条第4項に規定する保証事業会社をいう。以下同じ。)の保証
(4) この契約による債務の履行を保証する公共工事履行保証証券による保証
(5) この契約による債務の不履行により生ずる損害をてん補する履行保証保険契約の締結
2 前項の保証に係る契約保証金の額,保証金額又は保険金額(第5項において「保証の額」という。)は,契約金額の 100 分の 10 以上としなければならない。
3 乙が第1項第3号から第5号までのいずれかに掲げる保証を付す場合は,当該保証は第 40 条第3項各号に規定する者による契約の解除の場合についても保証するものでなければならない。
4 第1項の規定により,乙が同項第2号又は第3号に掲げる保証を付したときは,当該保証は契約保証金に代わる担保の提供として行われたものとし,同項第4号又は第5号に掲げる保証を付したときは,契約保証金の納付を免除する。
5 契約金額の変更があった場合には,保証の額が変更後の契約金額の 100 分の 10 に達するまで,甲は,保証の額の増額を請求することができ,乙は,保証の額の減額を請求することができる。
(権利義務の譲渡等)
第5条 乙は,この契約により生ずる権利又は義務を第三者に譲渡し,又は承継させてはならない。ただし,あらかじめ,甲の承諾を得たときは,この限りでない。
2 乙は,業務を行う上で得られた記録等を第三者に譲渡し,貸与し,又は質権その他の担保の目的に供してはならない。ただし,あらかじめ,甲の承諾を得たときは,この限りでない。
(秘密の保持)
第6条 乙は,この契約の履行に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。この契約が終了し,又は解除された後においても同様とする。
2 乙は,甲の承諾なく,この契約を履行する上で得られた設計図書等(業務を行う上で得られた記録等を含む。)を他人に閲覧させ,複写させ,又は譲渡してはならない。
(一括再委託等の禁止)
第7条 乙は,業務の全部を一括して,又は工事監理仕様書において指定した部分を第三者に委任してはならない。
2 乙は,業務の一部を第三者に委任しようとするときは,あらかじめ,甲の承諾を得なければならない。ただし,xが工事監理仕様書において指定した軽微な部分を委任しようとするときは,この限りでない。
3 甲は,乙に対して,業務の一部を委任した者の商号又は名称その他必要な事項の通知を請求することができる。
(監督員)
第8条 甲は,監督員を置いたときは,その氏名を乙に通知しなければならない。監督員を変更したときも,同様とする。
2 監督員は,この契約書の他の条項に定めるもの及びこの契約書に基づく甲の権限とされる事項のうち甲が必要と認めて監督員に委任したもののほか,工事監理仕様書に定めるところにより,次に掲げる権限を有する。
(1) 甲の意図する業務を完了させるための乙又は乙の監理業務技術者に対する業務に関する指示
(2) この契約書及び工事監理仕様書の記載内容に関する乙の確認の申出又は質問に対する承諾又は回答
(3) この契約の履行に関する乙又は乙の監理業務技術者との協議
(4) 業務の進捗の確認,工事監理仕様書の記載内容と履行内容との照合その他この契約の履行状況の調査
3 甲は,2名以上の監督員を置き,前項の権限を分担させたときにあってはそれぞれの監督員の有する権限の内容を,監督員にこの契約書に基づく甲の権限の一部を委任したときにあっては当該委任した権限の内容を,乙に通知
しなければならない。
4 第2項の規定に基づく監督員の指示又は承諾は,原則として,書面により行わなければならない。
5 この契約書に定める書面の提出は,工事監理仕様書に定めるものを除き,監督員を経由して行うものとする。この場合においては,監督員に到達した日をもって甲に到達したものとみなす。
(監理業務技術者)
第9条 乙は,業務の技術上の管理を行う監理業務技術者を定め,その氏名その他必要な事項を甲に通知しなければならない。監理業務技術者を変更したときも,同様とする。
2 監理業務技術者は,この契約の履行に関し,業務の管理及び統轄を行うほか,契約金額の変更,履行期間の変更, 契約代金の請求及び受領,次条第1項の請求の受理,同条第2項の決定及び通知,同条第3項の請求,同条第4項 の通知の受理並びにこの契約の解除に係る権限を除き,この契約に基づく乙の一切の権限を行使することができる。
3 乙は,前項の規定にかかわらず,自己の有する権限のうちこれを監理業務技術者に委任せず自ら行使しようとするものがあるときは,あらかじめ,当該権限の内容を甲に通知しなければならない。
(監理業務技術者等に対する措置請求)
第10条 甲は,監理業務技術者又は乙の使用人若しくは第7条第2項の規定により乙から業務を委任された者がその業務の実施につき著しく不適当と認められるときは,乙に対して,その理由を明示した書面により,必要な措置をとるべきことを請求することができる。
2 乙は,前項の規定による請求があったときは,当該請求に係る事項について決定し,その結果を請求を受けた日から 10 日以内に甲に通知しなければならない。
3 乙は,監督員がその職務の執行につき著しく不適当と認められるときは,xに対して,その理由を明示した書面により,必要な措置をとるべきことを請求することができる。
4 甲は,前項の規定による請求があったときは,当該請求に係る事項について決定し,その結果を請求を受けた日から 10 日以内に乙に通知しなければならない。
(履行報告)
第11条 乙は,工事監理仕様書に定めるところにより,この契約の履行について甲に報告しなければならない。
(貸与品等)
第12条 甲が乙に貸与し,又は支給する図面その他業務に必要な物品等(以下「貸与品等」という。)の品名,数量等,引渡場所及び引渡時期は,工事監理仕様書に定めるところによる。
2 乙は,貸与品等の引渡しを受けたときは,引渡しの日から,遅滞なく甲に受領書又は借用書を提出しなければならない。
3 乙は,貸与品等を善良な管理者の注意をもって管理しなければならない。
4 乙は,工事監理仕様書に定めるところにより,業務の完了,工事監理仕様書の変更等によって不用となった貸与品等を甲に返還しなければならない。
5 乙は,故意又は過失により貸与品等が滅失若しくはき損し,又はその返還が不可能となったときは,甲の指定した期間内に代品を納め,若しくは原状に復して返還し,又は返還に代えて損害を賠償しなければならない。
(工事監理仕様書と業務内容が一致しない場合の履行責任)
第13条 乙は,業務の内容が工事監理仕様書又は甲の指示若しくは甲と乙との協議の内容に適合しない場合において,監督員がその履行を請求したときは,当該請求に従わなければならない。この場合において,当該不適合が甲の指示によるときその他甲の責めに帰すべき事由によるときは,甲は,必要があると認められるときは,履行期間若しくは契約金額を変更し,又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(条件変更等)
第14条 乙は,業務を行うに当たり,次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは,その旨を直ちに甲に通知し,その確認を請求しなければならない。
(1) 仕様書,現場説明書及びこれらの図書に係る質問回答書並びに現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く。)。
(2) 工事監理仕様書に誤謬又は脱漏があること。
(3) 工事監理仕様書の表示が明確でないこと。
(4) 履行上の制約等工事監理仕様書に示された自然的又は人為的な履行条件が実際と相違すること。
(5) 工事監理仕様書に明示されていない履行条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 甲は,前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは,乙の立会いの上,直ちに調査を行わなければならない。ただし,乙が立会いに応じない場合には,乙の立会いを得ずに行うことができる。
3 甲は,乙の意見を聴いて,調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは,当該指示を含む。)をとりまとめ,調査の終了後遅滞なく,その結果を乙に通知しなければならない。
4 前項の調査の結果により第1項各号に掲げる事実が確認された場合において,必要があると認められるときは,甲は,工事監理仕様書の訂正又は変更を行わなければならない。
5 前項の規定により工事監理仕様書の訂正又は変更が行われた場合において,甲は,必要があると認められるときは,履行期間若しくは契約金額を変更し,又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(工事監理仕様書等の変更)
第15条 甲は,前条第4項の規定によるほか,必要があると認めるときは,工事監理仕様書又は業務に関する指示
(以下この条及び第 17 条において「工事監理仕様書等」という。)の変更内容を乙に通知して,工事監理仕様書等を変更することができる。この場合において,甲は,必要があると認められるときは履行期間若しくは契約金額を変更し,又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(業務の中止)
第16条 甲は,必要があると認めるときは,業務の中止内容を乙に通知して,業務の全部又は一部を一時中止させることができる。
2 甲は,前項の規定により業務を一時中止した場合において,必要があると認められるときは履行期間若しくは契約金額を変更し,又は乙が業務の続行に備え業務の一時中止に伴う増加費用を必要としたとき若しくは乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(業務に係る乙の提案)
第17条 乙は,工事監理仕様書等について,技術的又は経済的に優れた代替方法その他改良事項を発見し,又は発案したときは,甲に対して,当該発見又は発案に基づき工事監理仕様書等の変更を提案することができる。
2 甲は,前項に規定する乙の提案を受けた場合において,必要があると認めるときは,工事監理仕様書等の変更を乙に通知するものとする。
3 甲は,前項の規定により工事監理仕様書等が変更された場合において,必要があると認められるときは,履行期間又は契約金額を変更しなければならない。
(適正な履行期間の設定)
第18条 甲は,履行期間の延長又は短縮を行うときは,この業務に従事する者の労働時間その他の労働条件が適正に確保されるよう考慮しなければならない。
(乙の請求による履行期間の延長)
第19条 乙は,その責めに帰すことができない事由により履行期間内に業務を完了することができないときは,その理由を明示した書面により甲に履行期間の延長変更を請求することができる。
2 甲は,前項の規定による請求があった場合において,必要があると認められるときは,履行期間を延長しなければならない。甲は,その履行期間の延長が甲の責めに帰すべき事由による場合においては,契約金額について必要と認められる変更を行い,又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(甲の請求による履行期間の短縮)
第20条 甲は,特別の理由により履行期間を短縮する必要があるときは,履行期間の短縮変更を乙に請求することができる。
2 甲は,前項の場合において,必要があると認められるときは,契約金額を変更し,又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(履行期間の変更方法)
第21条 履行期間の変更については,甲乙協議して定める。ただし,協議が整わない場合には,甲が定め,乙に通知する。
(契約金額の変更方法等)
第22条 契約金額の変更については,甲乙協議して定める。ただし,協議が整わない場合には,甲が定め,乙に通知する。
2 この契約書の規定により,乙が増加費用を必要とした場合又は損害を受けた場合に甲が負担する必要な費用の額については,甲乙協議して定める。
(一般的損害)
第23条 業務の完了前に,業務を行うにつき生じた損害(次条第1項又は第2項に規定する損害を除く。)については,乙がその費用を負担する。ただし,その損害(工事監理仕様書に定めるところにより付された保険によりてん補された部分を除く。)のうち甲の責めに帰すべき事由により生じたものについては,xが負担する。
(第三者に及ぼした損害)
第24条 業務を行うにつき第三者に及ぼした損害について,当該第三者に対して損害の賠償を行わなければならないときは,乙がその賠償額を負担する。
2 前項の規定にかかわらず,同項に規定する賠償額(工事監理仕様書に定めるところにより付された保険によりてん補された部分を除く。)のうち,甲の指示,貸与品等の性状その他甲の責めに帰すべき事由により生じたものについては,甲がその賠償額を負担する。ただし,乙が,甲の指示又は貸与品等が不適当であること等甲の責めに帰すべき事由があることを知りながらこれを通知しなかったときは,この限りでない。
3 前2項の場合その他業務を行うにつき第三者との間に紛争を生じた場合においては,甲及び乙は協力してその処理解決に当たるものとする。
(契約金額の変更に代える工事監理仕様書の変更)
第25条 甲は,第 13 条から第 17 条まで,第 19 条,第 20 条,第 23 条又は第 29 条の規定により契約金額を増額すべき場合又は費用を負担すべき場合において,特別の理由があるときは,契約金額の増額又は負担額の全部又は一部に代えて工事監理仕様書を変更することができる。この場合において,工事監理仕様書の変更内容は,甲乙協議して定める。ただし,協議が整わない場合には,甲が定め,乙に通知する。
(検査及び引渡し)
第26条 乙は,次の各号のいずれかに該当するときは,直ちに甲に対して,検査の請求をしなければならない。この場合において,第1号の検査(以下「完了検査」という。)の請求は,委託完了届の提出によることができるものとする。
(1) 業務が完了したとき
(2) 業務の履行中でなければその検査が不可能なとき又は著しく困難なとき
(3) その他必要があるとき
2 甲は,完了検査の請求を受けたときは,請求を受けた日から 10 日以内に,前項第2号及び第3号に係る検査の請求を受け,その請求を適当と認めたときは,遅滞なく,それぞれ乙の立会いを求め,検査を行い,当該検査の結果を乙に通知しなければならない。
3 第1項の規定にかかわらず,甲は,必要があると認められるときは,乙の立会いを求め,検査を行うことができる。
4 乙は,前2項の検査に立ち会わなかったときは,検査の結果について異議を申し立てることができない。
5 検査に要する費用は,全て乙の負担とする。
6 完了検査に合格したときをもって,成果物の引渡しを完了したものとする。この場合において,成果物が乙の所有に属するときは,その所有権は,引渡しにより甲に移転する。
7 乙は,完了検査に合格しない場合で,甲が特に1回に限り手直しを認めたときは,同項の完了検査の日から 10日以内の期限で甲の指定する期限までにこれを完了しなければならない。この場合において,手直しが完了したときは,第2項,第4項,第5項及び前項の規定を準用する。
8 前項の手直しが,甲の指定する期限までに完了しないとき又はその検査に合格しないときは,甲は,履行期間経
過後の日数に応じ,乙から遅延違約金を徴収する。この場合においては,第 40 条第1項第1号及び第5項の規定を準用する。
(契約代金の支払)
第27条 乙は,前条第2項又は第7項の検査に合格したときは,契約代金の支払を請求することができる。
2 甲は,前項の規定による請求があったときは,請求を受けた日から 30 日以内に契約代金を支払わなければならない。
3 甲がその責めに帰すべき事由により前条第2項の期間内に検査を完了しないときは,その期限を経過した日から検査を完了した日までの期間の日数は,前項の期間(以下この項において「約定期間」という。)の日数から差し引くものとする。この場合において,その遅延日数が約定期間の日数を超えるときは,約定期間は,遅延日数が約定期間の日数を超えた日において満了したものとみなす。
(部分払)
第28条 乙は,契約書で部分払の支払を約した場合において,業務の完了前に,出来形部分に相応する契約金額相当額の 10 分の9以内の額について,次項から第7項までに定めるところにより部分払を請求することができる。ただし,この請求は,履行期間中4回を超えることができない。
2 乙は,部分払を請求しようとするときは,あらかじめ,当該請求に係る出来形部分の確認を甲に請求しなければならない。
3 甲は,前項の場合において,当該請求を受けた日から 10 日以内に,乙の立会いの上,工事監理仕様書に定めるところにより,同項の確認をするための検査を行い,当該確認の結果を乙に通知しなければならない。
4 前項の場合において,検査に直接要する費用は,乙の負担とする。
5 乙は,第3項の規定による確認があったときは,部分払を請求することができる。この場合においては,甲は,遅滞なく部分払金を支払わなければならない。
6 部分払金の額は,次の式により算定する。この場合において第1項の契約金額相当額は,甲乙協議して定める。ただし,甲が第3項の通知をした日から 10 日以内に協議が整わない場合には,甲が定め,乙に通知する。
部分払金の額≦第1項の契約金額相当額×(9/10)
7 第5項の規定により部分払金の支払があった後,再度部分払の請求をする場合においては,第1項及び第6項中
「契約金額相当額」とあるのは「契約金額相当額から既に部分払の対象となった契約金額相当額を控除した額」とするものとする。
(部分払金の不払に対する乙の業務中止)
第29条 乙は,甲が前条の規定に基づく支払を遅延し,相当の期間を定めてその支払を請求したにもかかわらず支払をしないときは,業務の全部又は一部を一時中止することができる。この場合においては,乙は,その理由を明示した書面により,直ちにその旨を甲に通知しなければならない。
2 甲は,前項の規定により乙が業務を一時中止した場合において,必要があると認められるときは履行期間若しくは契約金額を変更し,又は乙が増加費用を必要とし,若しくは乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
(債務不履行に対する乙の責任)
第30条 乙がこの契約に違反した場合,その効果がこの契約に定められているもののほか,甲は,乙に対して相当の期間を定めて履行を請求し,又は履行の請求とともに損害の賠償を請求することができる。ただし,損害賠償については,当該債務の不履行がこの契約及び取引上の社会通念に照らして乙の責めに帰することができない事由によるものであるときは,この限りではない。
2 前項において乙が負うべき責任は,第 26 条第2項,同条第7項又は第 28 条第3項の規定による検査に合格したことをもって免れるものではない。
3 第1項の規定による履行又は損害賠償の請求は,第 26 条第6項の規定により工事監理業務が完了した日から本件建築物の工事完成後2年以内に行わなければならない。ただし,その違反が乙の故意又は重大な過失により生じた場合は,当該請求をできる期間は,工事監理業務完了の日から 10 年とする。
4 甲は,工事監理業務の完了の際に乙のこの契約に関して違反があることを知ったときは,第1項の規定にかかわ
らず,その旨を直ちに乙に通知しなければ,当該履行の請求又は損害賠償の請求をすることはできない。ただし,乙がその違反があることを知っていたときは,この限りでない。
5 第1項の規定は,乙の契約違反が工事監理仕様書の記載内容,甲の指示又は貸与品等の性状により生じたものであるときは適用しない。ただし,乙がその記載内容,指示又は貸与品等が不適当であることを知りながらこれを通知しなかったときは,この限りでない。
(協議解除)
第31条 甲は,業務が完了するまでの間は,次条又は第 33 条の規定によるほか,必要があるときは,乙と協議のうえ,この契約を解除することができる。
2 甲は,前項の規定によりこの契約を解除したことにより乙に損害を及ぼしたときは,その損害を賠償しなければならない。
(甲の催告による解除権)
第32条 甲は,乙が次の各号のいずれかに該当するときは,相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときはこの契約を解除することができる。ただし,その期間を経過した時における債務の不履行がこの契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは,この限りでない。
(1) 正当な理由なく,業務に着手すべき期日を過ぎても業務に着手しないとき。
(2) 履行期間内に完了しないとき又は履行期間経過後相当の期間内に業務を完了する見込みがないと認められるとき。
(3) 監理業務技術者を配置しなかったとき。
(4) 正当な理由なく,第 30 条第1項の履行がなされないとき。
(5) 前各号に掲げる場合のほか,この契約に違反したとき。
(甲の催告によらない解除権)
第33条 甲は,乙が次の各号のいずれかに該当するときは,直ちにこの契約を解除することができる。
(1) 第5条第1項の規定に違反して契約委託料債権を譲渡したとき。
(2) この契約の業務を完了させることができないことが明らかであるとき。
(3) 乙がこの契約の業務の完了の債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
(4) 乙の債務の一部の履行が不能である場合又は乙がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において,残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
(5) 契約の性質や当事者の意思表示により,特定の日時又は一定の期間内に履行しなければ契約をした目的を達することができない場合において,乙が履行をしないでその時期を経過したとき。
(6) 前各号に掲げる場合のほか,乙がその債務の履行をせず,甲が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
(7) 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第 77 号)第2条第2号に規定する暴力団をいう。)又は暴力団員(同条第6号に規定する暴力団員をいう。)が経営に実質的に関与していると認められる者に契約委託料債権を譲渡したとき。
(8) 第 35 条又は第 36 条の規定によらないでこの契約の解除を申し出たとき。
(9) 地方自治法施行令(昭和 22 年政令第 16 号)第 167 条の4の規定に該当すると判明したとき。
(10) xx取引委員会が乙に対し,この契約に関して私的独占の禁止及びxx取引の確保に関する法律(昭和 22年法律第 54 号)第7条若しくは第8条の2の規定による排除措置命令(以下「排除措置命令」という。)又は同法第7条の2(同法第 8 条の 3 において準用する場合を含む。)の規定による課徴金の納付命令(以下「納付命令」という。)が確定したとき又は排除措置命令又は納付命令において,この契約に関して,同法第3条又は第8条第1号の規定に違反する行為の実行としての事業活動があったとされたとき。
(11) この契約に関して,x(乙が法人の場合については,その役員又はその使用人)の刑法(明治 40 年法律第 45 号)第 96 条の6又は同法第 198 条の規定による刑が確定したとき。
(甲の責めに帰すべき事由による場合の解除の制限)
第34条 第 32 条各号又は前条各号に定める場合が甲の責めに帰すべき事由によるものであるときは,甲は,前2
条の規定による契約の解除をすることができない。
(乙の催告による解除権)
第35条 乙は,xがこの契約に違反したときは,相当の期間を定めてその履行の催告をし,その期間内に履行がないときは,この契約を解除することができる。ただし,その期間を経過した時における債務の不履行がこの契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは,この限りでない。
(乙の催告によらない解除権)
第36条 乙は,次の各号のいずれかに該当するときは,直ちにこの契約を解除することができる。
(1) 第 15 条の規定により工事監理仕様書を変更したため契約金額が3分の2以上減少したとき。
(2) 第 16 条の規定による業務の中止期間が履行期間の 10 分の5(履行期間の 10 分の5が6月を超えるときは,
6月)を超えたとき。ただし,中止が業務の一部のみの場合は,その一部を除いた他の部分の業務が完了した後
3月を経過しても,なおその中止が解除されないとき。
(乙の責めに帰すべき事由による場合の解除の制限)
第37条 第 35 条又は前条各号に定める場合が乙の責めに帰すべき事由によるものであるときは,乙は,前2条の規定による契約の解除をすることができない。
(解除の効果)
第38条 この契約が解除された場合には,第1条第2項に規定する甲及び乙の義務は消滅する。
2 前項の規定にかかわらず,出来形部分がある場合において,甲は,出来形部分に係る確認後,出来形部分に相応する契約金額相当額から既に部分払の対象となった契約金額相当額に対して支払った額を控除した額を乙に支払わなければならない。なお,出来形部分に相応する契約金額相当額は,甲乙協議して定めるものとし,協議開始の日から 14 日以内に協議が整わない場合には,甲が定め,乙に通知する。
(解除に伴う措置)
第39条 乙は,この契約が業務の完了前に解除された場合において,貸与品等があるときは,当該貸与品等を甲に返還しなければならない。この場合において,当該貸与品等が乙の故意又は過失により滅失又はき損したときは,代品を納め,若しくは原状に復して返還し,又は返還に代えてその損害を賠償しなければならない。
2 前項前段に規定する乙のとるべき措置の期限,方法等については,この契約の解除が第 32 条,第 33 条又は次条
第3項によるときは甲が定め,第 31 条,第 35 条又は第 36 条の規定によるときは乙が甲の意見を聴いて定めるものとし,前項後段に規定する乙のとるべき措置の期限,方法等については,甲が乙の意見を聴いて定めるものとする。
3 業務の完了後にこの契約が解除された場合は,解除に伴い生じる事項の処理については甲及び乙が民法の規定に従って協議して決める。
(甲の損害賠償請求等)
第40条 甲は,乙が次の各号のいずれかに該当するときは,これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
(1) 履行期間内に業務を完了することができないとき。
(2) 債務不履行があるとき。
(3) 第 32 条又は第 33 条の規定により業務の完了後にこの契約が解除されたとき。
(4) 前3号に掲げる場合のほか,債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき。
2 次の各号のいずれかに該当するときは,前項の損害賠償に代えて,乙は,契約金額の 100 分の 10 に相当する額を違約金として甲の指定する期間内に支払わなければならない。
(1) 第 32 条又は第 33 条の規定により業務の完了前にこの契約が解除されたとき。
(2) 業務の完了前に,乙がその債務の履行を拒否し,又は乙の責めに帰すべき事由によって乙の債務について履行不能となったとき。
3 次の各号に掲げる者がこの契約を解除した場合は,前項第2号に該当する場合とみなす。
(1) 乙について破産手続開始の決定があった場合において,破産法(平成 16 年法律第 75 号)の規定により選任された破産管財人
(2) 乙について更生手続開始の決定があった場合において,会社更生法(平成 14 年法律第 154 号)の規定により選任された管財人
(3) 乙について再生手続開始の決定があった場合において,民事再生法(平成 11 年法律第 225 号)の規定により選任された再生債務者等
4 第1項各号又は第2項各号に定める場合(前項の規定により第2項第2号に該当する場合とみなされる場合を除く。)がこの契約及び取引上の社会通念に照らして乙の責めに帰することができない事由によるものであるときは,第1項及び第2項の規定は適用しない。
5 第1項第1号に該当し,甲が損害の賠償を請求する場合の請求額は,契約金額から既に部分払の対象となった契約金額相当額を控除した額につき,遅延日数に応じ,年5パーセントの割合で計算した額とする。
6 第2項の場合(第 33 条第7号及び第9号から第 11 号の規定により,この契約が解除された場合を除く。)において,第4条の規定により契約保証金の納付又はこれに代わる担保の提供が行われているときは,甲は,当該契約保証金又は担保をもって同項の違約金に充当することができる。
(乙の損害賠償請求等)
第41条 乙は,甲が次の各号のいずれかに該当する場合はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし,当該各号に定める場合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして甲の責めに帰することができない事由 によるものであるときは,この限りでない。
(1) 第 35 条又は第 36 条の規定によりこの契約が解除されたとき。
(2) 前号に掲げる場合のほか,債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるとき。
2 第 27 条第2項の規定による契約代金の支払が遅れた場合においては,乙は,未受領金額につき,遅延日数に応じ,政府契約の支払遅延防止等に関する法律(昭和 24 年法律第 256 号)第8条第1項の規定により財務大臣が決定する率(年当りの割合は,閏年の日を含む期間についても,365 日の割合とする。)を乗じて得た額の遅延利息の支払を甲に請求することができる。
(賠償の予定)
第42条 乙は,この契約に関して,第 33 条第 10 号又は第 11 号のいずれかに該当するときは,甲が契約を解除す
るか否かを問わず,賠償金として,契約金額の 100 分の 30 に相当する額を支払わなければならない。業務が完了
した後も同様とする。ただし,第 33 条第 11 号のうち,乙の刑法第 198 条の規定による刑が確定した場合は,この限りでない。
2 前項の場合において,乙が設計共同体であり,既に解散されているときは,甲は,乙の代表者であった者又は構成員であった者に賠償金の支払を請求することができる。この場合においては,乙の代表者であった者及び構成員であった者は,共同連帯して前項の額を甲に支払わなければならない。
3 第1項の規定は,甲に生じた実際の損害額が同項に規定する賠償金の額を超える場合においては,超過分につき賠償を請求することを妨げるものではない。
(保険)
第43条 乙は,工事監理仕様書に基づき保険を付したとき又は任意に保険を付しているときは,当該保険に係る証券又はこれに代わるものを直ちに甲に提示しなければならない。
(賠償金等の徴収)
第44条 乙がこの契約に基づく賠償金,損害金又は違約金を甲の指定する期間内に支払わないときは,甲は,その支払わない額に甲の指定する期間を経過した日から契約代金支払の日まで年5パーセントの割合で計算した利息を付した額と,甲の支払うべき契約金額とを相殺し,なお不足があるときは追徴する。
2 前項の追徴をする場合には,甲は,乙から遅延日数につき年5パーセントの割合で計算した額の延滞金を徴収する。
(情報通信の技術を利用する方法)
第45条 この契約書において書面により行わなければならないこととされている指示等は,法令に違反しない限りにおいて,電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて行うことができる。ただし,当該方法は書面の交付に準ずるものでなければならない。
(契約外の事項)
第46条 この契約書に定めのない事項については,必要に応じて甲乙協議して定める。