Contract
2022 年 8 月 30 日
各 位 株式会社 三十三銀行
株式会社xx産業との「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」契約締結について
株式会社三十三銀行(頭取:xx xx)は、持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、株式会社xx産業(社長:xx xx)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(※)」契約を締結しましたのでお知らせいたします。
本件の取り組みにあたっては、株式会社三十三総研(社長:xx xx)がインパクト分析・特定のうえ評価書を作成し、株式会社日本格付研究所がポジティブ・インパクト金融原則との適合性を確認しました。今後も「三十三フィナンシャルグループSDGs宣言」のもと、企業活動を通じてSDGsの達成に貢献することで、持続可能な社会の実現に努めてまいります。
(※) 企業活動が「経済・社会・環境」のいずれかに与えるインパクトを包括的に分析・特定し、ポジティブインパクトが期待できる活動と、ネガティブインパクトを低減する活動を支援するもので、借入人様によるSDGs達成への貢献度合いを評価指標とし、借入人様から情報開示を受けながら当行がその過程を定期的にモニタリングするものです。
1. 融資概要
(1) 契約日 | 2022年8月30日 |
(2) 融資金額 | 100百万円 |
(3) 期間 | 3年 |
(4) 資金使途 | 運転資金 |
2. 借入人概要
(1) 企業名 | 株式会社xx産業 |
(2) 所在地 | xxxxxxxxx0000-0 |
(3) 事業内容 | 電子回路製造業(プリント基板製造) |
当社が製造するプリント基板は、デジタルカメラやAV機器、車載、電気・電子制御向けデバイスなどのほか、ロケットや人工衛星など幅広い製品に提供し、あらゆるものに搭載されている。年間19,000~20,000アイテムを製造しており、これまでに2,000社を超える企業と取引実績を有する。 当社では、これら様々な仕様のプリント基板を全て自社工場で製造(全工程一貫設備を保有)し、デジタルプロセスを実現した「高品質」と、24時間体制の圧倒的な「超短納期」を提供。製品仕様により異なるが、事前予約なしでも午前8時までに設計・注文データが到着していれば最短で当日納品も可能。社内 LANでリアルタイムの生産・品質管理ができるなど画期的な仕組みを構築し、不具合・欠品無しの納期遵守率99.94%を達成している。
(当社製品) (工場内 データ確認編集工程) (工場内 メッキ工程) | |
(4) 従業員数 | 69名(2022年7月現在) |
(5) 資本金 | 35百万円 |
資➓ | 実績 | KPI |
プリント配線板製造技能士(1級) | 14名 | 20名 |
プリント配線板製造技能士(2級) | 22名 | 25名 |
電子回路営業士(1級) | 7名 | 10名 |
PWBインストラクタ(2級) | 2名 | 8名 |
PWBインストラクタ(準1級) | 0名 | 6名 |
PWBインストラクタ(1級) | 0名 | 4名 |
公害防止管理者 (水質関係第2種公害防止管理者) | 1名 | 2名 |
電気xx技術者 | 0名 | 1名 |
第1種衛生管理者 | 1名 | 2名 |
決算期 | 売上高 | 電力使用量 |
2022年3月期(実績) | 1,647百万円 | 460万kWh |
2023年3月期(目標) | 1,750百万円 | 480万kWh |
2024年3月期(目標) | 1,870百万円 | 490万kWh |
2025年3月期(目標) | 2,000百万円 | 500万kWh |
3. 特定インパクトと測定するKPI
(1) 経済面 | 包摂的で健全な経済(ポジティブ) | |
① 2025年7月まで毎年の賃金昇給率を3%以上とする。 (2022年7月の賃上げ実績:平均昇給率前年比4.8%) ② 平均年収を2025年までに2022年対比で10%以上引き上げる。 | ||
経済収束(ポジティブ) | ||
③ 短納期納品率の実績である99.94%を維持し、できる限り100%の達成に向けて向上させる。 | ||
(2) 社会面 | 教育、雇用(ポジティブ) | |
① 2025年までに女性の役員・管理職を3名まで引き上げる。 (2022年7月現在:1名) ② 2025年までに女性の営業担当者を4名育成する。 (2022年7月現在:2名) ③ 資➓取得者数の増加を図る。 | ||
xx・xx、雇用(ネガティブ) | ||
① 年間休日と有給休暇の取得を合わせた従業員の休日を2025年度まで毎年度1日以上増加させる。 (2021年度実績:従業員年間休日106日、有給休暇平均取得日数7.09日) ② 一日工場を止めるほどの重大な労働災害の発生件数ゼロを2025年7月まで維持する。 ③ 軽微な労働災害件数を2025年7月までゼロにする。 (過去5年間累計件数:5件) | ||
(3) 環境面 | 資源効率・安全性(ネガティブ) | |
① 2025年3月期までの売上高目標に対する電力使用量を以下の通りとする。 | ||
廃棄物(ネガティブ) | ||
① 2025年度までに金、銅、アルミ等のリサイクル率100%を維持する。 ② 廃プラスチックの排出量を2025年度まで年間2%低減する。 |
4. お問い合わせ先
(1) 三十三銀行
担当部署 | ソリューション営業部 |
担当者 | xx・xx |
連絡先 | 059-354-7144 |
(2) 三十三総研
担当部署 | 調査部 | コンサルティング部 |
担当者 | xx | xx |
連絡先 | 059-354-7102 | 059-351-7417 |
以 上
ポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書
2022 年8月 30 日株式会社三十三総研
目次
1.評価対象の概要 2
2.株式会社xx産業の概要 2
2-1.基本情報
2-2.経営方針と事業内容
2-3.サスティナビリティに関する活動
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性 22
3-1.経済面のインパクト
3-2.社会面のインパクト
3-3.環境面のインパクト
4.測定するKPIと SDGsとの関連性 26
4-1.経済面(ポジティブ)
4-2.社会面(ポジティブ)
4-3.社会面(ネガティブ)
4-4.環境面(ネガティブ)
4-5.その他KPI を設定しないインパクトについて SDGsとの関連性
5.サスティナビリティ管理体制 32
6.モニタリング 32
7.総合評価 32
1.評価対象の概要
企業名 | 株式会社xx産業 |
借入金額 | 100,000,000 円 |
資金使途 | 運転資金 |
契約日及び返済期限 | 2022 年 8 月 30 日 ~ 2025 年 8 月 25 日 |
2.株式会社xx産業の概要
2-1.基本情報
所在地 | xxxxxxxxx 0000-0 |
営業所 | 関東営業所(xxxxxx区)関西営業所(京都府京都市) |
従業員数 | 69 名(2022 年7現在) |
資本金 | 35 百万円 |
業種 | 電子回路製造業不動産賃貸業 電気業(xxx発電事業) |
主要取引先 | 【主要販売先】 製造業中心に 2,000 社 【主要仕入先】 日邦産業㈱、JX 金属商事㈱ |
沿革 | 1977 年 設立 1978 年 xx自動車教習所開設 1988 年 自動車教習所を㈱xx自動車学校に法人改組 1990 年 プリント基板CAD設計開始 1991 年 プリント基板製造工場竣工、生産開始 1998 年 関西営業所開設 1999 年 関東営業所開設 UL認定(E200109) ISO9001 認証取得(JSAQ514) 2001 年 6 軸 NC ドリル等追加導入に伴う工場増築(増床:280m²) 2002 年 ISO14001 認証取得(JSEA544) パターン形成用ダイレクトイメージャー導入 (L/S=0.05/0.05 ㎜対応) 2004 年 年初よりビルドアップ基板製造・出荷開始 xxスプレーコーター等追加導入に伴う工場増築(増床:388m²) 2006 年 水平デスミア・無電解銅めっき、硫酸銅めっき、ビアフィル銅めっきラ イン等追加導入に伴う工場増築(増床:552m²、工場合計床面積: 2,754m²) 2008 年 クリーンルーム拡大含む工場リニューアル工事実施 R&I 中堅企業格付けにて最高評価の『aaa』取得 2009 年 レーザー穴明け加工機導入によりビルドアップ基板の完全内製化 2011 年 関東営業所移設(xxx区xx町)関西営業所移設(京都市xx区) 2012 年 廃アルカリ中間処置設備設置 (排水処理設備(最大 240 トン/日)増設) 2013 年 自動車学校校舎を移築、4階を地域の津波避難用とする 2017 年 ソルダーレジスト専用ダイレクトイメージャー増設 → 完全ダイレクト露光化 2019 年 フレキシブル基板製造開始 R&I中堅企業格付けにて最高評価「aaa」取得 (11 年連続) 2022 年 ポリイミド材透明フレキシブル基板製造開始 |
2-2.経営方針と事業内容
株式会社xx産業(以下、xx産業)は三重県松阪市に本社・工場を置く、プリント基板製造事業者である。
プリント基板とは、絶縁体でできた板の表面に、導体の配線が施されたものであり、電気製品内の電子部品を効率的に配置、固定するために使用される。各種製品やデバイスの小型・軽量化が進むなかで、限られたスペースに極小な部品を高密度に実装することが求められており、プリント基板は今後も製品の心臓部を支える存在として重要性が増していくとみられている。
同社のプリント基板は、デジタルカメラやAV機器、車載用電気・電子部品向けなどのほか航空機や人工衛星など幅広い製品向けの受注があり(詳細は事業活動の項目に記載)、年間 19,000
~20,000 アイテムを製造している。主要な販売先はパナソニック、エヌビーシー、東芝ITコントロールシステムなどであるが、これまでに 2,000 社を超える企業との取引実績を有している。
その他、本社敷地内などでxxx発電事業を展開するほか、関連会社のxx自動車学校への不動産賃貸、自動車などの物品賃貸を行っている。
【経営方針】
代表者メッセージ ~次代を創造する挑戦者として~
xx産業の原点は、「モノづくりへのこだわり」。私たちは創業以来、その気持ちを大切に、お客様のベストパートナーとなるべく、圧倒的な「高品質」「超短納期」を実現して参りました。その根底にあったのは、常に“お客様の声を聞く”ということ。決して大きくはない市場で、着実な実績をあげてこられたのは、最新鋭の設備
や技術力はもちろん、そういった社員一人ひとりの「人間力」にあると確信しています。そして、日本の製造業は今、諸外国の台 頭・産業構造の変化・AI /IoT による環境変化などにより、100 年に一度の大変革期を迎えています。もちろん、当社も例外ではありません。しかし、私たちはこの大変革期こそ技術革新で新たなサービスを生み出せるチャンスとして捉え、変化を恐れず挑戦し続
けていく所存です。
【社訓】
「適者必繁栄」
適者は必ず繁栄する。
世に受け入られざるは適者にあらず。
繁栄せざるは社会における適者にあらず。
常 時 念 頭 の 五 訓
1.技術向上と創意工夫の努力。
2.商品納期の迅速化の努力。
3.製造経費節減の努力。
4.全ての無駄を省き効❹向上の努力。
5.互いに認め合い幸せに仕事をする努力。
【スタッフの合言葉】
Change & Challenge
同社役職員は「CHANGE&CHALLENGE」を合言葉としており、“日々進化し続ける電子業界において、現状に満足していてはお客様の最高のパートナーにはなれない。昨日より今日、今日より明日、少しでも良い製品をより早く、より確実に提供したい”という想いを持
って同社の従業員はモノづくりに励んでいる。
同社が重視するのは、「スピード」「テクノロジー」「クオリティ」の3つであり、それを実現するために経営者と従業員は一体となって、変化を恐れず、何事にも挑戦し続けている。日々、高難度化する顧客の要望に、安心と納得できる解決法を届けるために、今後も同社が絶対の自信を誇る「スピード」「テクノロジー」「クオリティ」を追求する姿勢で業務を遂行している。
どこよりも早く製品をお届けする「圧倒的なスピード」 | |
設備投資と技術革新へ挑戦し続ける「テクノロジーの徹底的な追求」 | |
多様なニーズに高品質な製品で応える「クオリティへの飽くなき挑戦」 |
【取扱製品】
同社が製造しているプリント基板は、車載・5G・高速通信機器・航空宇宙・携帯機器・FA などの設備・一般xx品・遊技機(アミューズ)、また、産官学から様々な研究開発機関向けまで幅広い分野の顧客に使用されている。
同社ではそれらのプリント基板を全て自社工場において一貫製造しており、安心・確実・高品質な製品を超短納期で製造、出荷している。
<取扱製品の主な一覧と製品説明>
一般貫通基板
特徴
歴史が古く、最もポピュラーでありながらも奥深い基板。基板は複数枚の絶縁層と導体層を重ねて構成されており、xx・アミューズメントから FA・産機・車載・通信(5G)・ IoT・航空宇宙向けの用途のほか幅広い分野で様々な電子機器に使用。日常生活で基板を直接目にする機会は少ないが、 良く見ると身の回りに基板はあふれている。もっとも、その分、基板に要求される内容も実に多種多様。
用途
IoT 製品、半導体パッケージ基板、デジタル家電、車載機器、産業機器、LED 機器、モバイル機器、 アンテナ/高周波部品/基地局向け、電源基板、計測用機器、アミューズメント機器、通信(5G)、 ウェアラブルデバイス、大学研究向け、航空宇宙向け、医療機器向け 等
絶縁板の片面/両面に導体パターンが形成されたプリント基板。一般的な基板として幅
広い分野で使用されており、両面基板の層間接続は TH(スルーホール)により形成さ
片面基板/
れている。同社では、FR-4、CEM-3、FR-1、ハロゲンフリー材、高耐熱材、アルミ材、低
両面基板
誘電率材などの基材を用意しており、xxはt0.1 ㎜~t3.2 ㎜まで、銅箔も 9 ㎛〜175
㎛まで各種対応可能。
複数枚の絶縁層と導体層を積層し形成されたもので、導体パターンが 3 層以上あるプ
リント基板。層間接続は両面基板と同じく TH により形成され、基材は FR-4、ハロゲン
多層基板
フリー材、高耐熱材、低誘電率材など同社では多数用意。層数は 22 層まで製造実績
があり、xxや銅箔厚も様々な仕様に対応。
高密度配線基板
特徴
近年は基板に搭載される部品の小型化、高密度実装化が著しく進んでおり、基板自体にも 5G 等の次世代通信規格に代表される新技術への対応が必要。高密度基板は一般貫通基板と異なり、レーザービアや非貫通ドリルを用いることで貫通 TH(スルーホール)による配線制限を最小限におさえ、自由な配線設計を実現。基板の軽薄短小
化にも大いに役立ち、益々その必要性・需要が高まっている。
用途
IoT 製品、半導体パッケージ基板、デジタル家電、車載機器、産業機器、LED 機器、モバイル機器、アンテナ/高周波部品/基地局向け、電源基板、計測用機器、アミューズメント機器、通信(5G)、ウェアラブルデバイス、大学研究向け、航空宇宙向け、医療機器向け 等
ビルドアップ構成の核となるコア層(2 層貫通~多層貫通)を形成後、コア層から表層に向け 1 層ずつ絶縁層と導体
ビルドアップ基板
層を逐次積層し、レーザーによる層間接続を行い多層化したプリント配線基板。層間接続にレーザービア(非貫通ビア)を用いることで自由な配線設計が可能であり、その需要・用途が広まっている。レーザービアは小径であるため、貫通樹脂埋めで対応出来ない狭ピッチ BGA(0.3 ㎜ピッチ以下)等が搭載される基板においても使用されている。同社では多段ビルド(4 段まで実績あり)、スタックトビア、フィルドビアめっき、すべてを社内一貫製造で対応。
主に狭ピッチ BGA(0.5~0.3 ㎜ピッチ等)部品が搭載される基板や、貫通 TH を埋める目的などで
貫通樹脂
埋め基板
使用されているプリント基板。樹脂埋めしたい穴(1 次 TH)に永久穴埋め用インキ(エポキシ樹脂)
を充填させた後、貫通 TH(2 次 TH)を形成し、樹脂埋めを施した 1 次 TH 部分にも蓋めっきを形成
することも可能。層数は 2 層〜20 層、xxも 3.2 ㎜まで樹脂埋めの実績。
必要な層間のみを接続させ(非貫通ビア)、多層化したプリント基板。ビルドアップ基板と異なりレー
ザービアを用いておらず、層間接続の形成に全て NC ドリルを使用しているのも特徴。多層基板に
IVH 基板
複数の非貫通穴で層間接続させることで、配線の自由度、配線密度の向上が実現される。コア材
(2 層貫通~多層貫通)同士の張り合わせ、コア材(2 層貫通~多層貫通)に導体層をxx積層す
る、BVH、COH 等、同社では様々な IVH 基板も製造可能。
ニューレイヤー基板
ビルドアップ基板と構成が若干異なり、内層コア部分においてもレーザービアを用い、全層レーザービア、フィルドビアメッキにより、基板の薄型化を可能としたプリント基板。配線の自由度は更に高まり、IOT 製品、ウェアラブル製品、通信機器(5G)など、多くの製品に採用。
高速通信・高周波対応基板
大容量かつ高速データ通信の需要増加に伴い、同社では低誘電率・低伝送損失材料である【MEGTRON6】の常備在庫保有や【テフロン基板】の短納期製造対応を実施。また、インピーダンスコントロールの要望も数多くある。同社では、顧客から要求される様々なインピーダンスコントロールに対してシミュレーション及びテストクーポンを用いての TDR 測定を実施し、より良い製品をスピーディかつ確実な納期で提供している。
一般貫通基板、高密度配線基板の区別に限らず、近年では回路の高速通信化による
インピーダンス
制御対応基板
信号品質の安定化やノイズ低減等を目的としてインピーダンスコントロールを求められ
る基板が非常に増えている。同社ではxx培った豊富な製造実績と経験から、特性、差動、コモン、コプレナー等の各種インピーダンスシミュレーション及び TDR 測定に対応しており、パターン設計時に適正な線幅、クリアランス、層構成を提案。
部品内蔵キャパシタ材料と異なり、基板内にキャビティなどを作る必要がなく、通常の
プリント基板製造プロセスで、パターンキャパシタ回路を形成することを特徴とする基板内蔵キャパシタ材料。 表面実装部品を低減させることで接続減による信頼性アップ
ファラドフレッ
と、プリント基板の小型化を可能に。 特に高周波基板では内部配線がなくなり、インダ
クス対応基板
クタンス改善、インピーダンス改善、ノイズ低減。主に高多層・高性能のルーター/サー
バー機器/スーパーコンピューター /医療機器、IC 検査機、航空機関連、軍事用の繊細な機器、小型化を狙うMEMS マイクロフォン、RF フィルター向けなどに使用。
5G・ICT インフラ機器などの大容量、高速伝送に対応した低伝送損失材の
MEGTRON6 【MEGTRON6】を社内常備在庫として保有している。突然の依頼であっても通常の基板と同様短納期対応が可能。
フッ素樹脂(テフロン)を絶縁層としたプリント基板。比誘電率や誘電正接が低い為、高
周波電流の損失が少ない特性がある。この特性を活かし、高速通信向け(GPS、衛星通信、ミリ波レーダー、携帯電話など)に用いられる。テフロン材は他の物質との接着
テフロン基板
性が弱い為、通常の基板製造工程のみではめっきやレジストが乗らない。同社ではめ
っき・レジストの濡れ性を良好にする処理(プラズマデスミア処理)装置を導入しておりますので、テフロン基板の社内一貫製造を実現。
フレキシブル基板
特徴
リジッド基板(硬質基板)に対して屈曲性と柔軟性に優れており、自由に折り曲げることの出来る極薄のプリント基板で FPC(Flexible Printed Circuits)とも呼ばれる。ベース材にはポリイミド等のプラスチックフィルムを使用し、リジッド基板におけるレジストの代りにカバーレイフィルム(或いはフレキシブル基板用レジスト)を用いることが一般的。フレキシブル基板の最大の特徴は、その自由度の高い折り曲げ可能な形状とともに、非常に薄くて軽いこと。機器の可動部分や折り曲げ部分への使用や、携帯電話やウェアラブル端末など限られた製品スペースを有効に使用でき、電子機器の軽薄短小に有効な基板。また最近では車載用途でも使用されることが増加。
用途
IoT 製品、モバイル機器、ウェアラブルデバイス、ロボット、ノートPC、デジタルカメラ等、各種電子機器、車載機器、産業機器、アミューズメント機器、通信機器 等
片面/両面 フレキシブル基板
片面(1 層)は一般的なフレキシブル基板の仕様で、FFC(Flat Flexible Cable)の代用として使用されることも多い。使用基材はベース材と銅箔の間に接着層が有るタイプと無いタイプがあり、同社はどちらも対応可能。両面(2 層)はフレキシブル基板に TH を設けることで、より自由な配線が可能となる。3 層以上の多層フレキシブル基板については要相談。また補強板を貼ることで部品実装も可能。
リジッド基板とフレキシブル基板を一体化させた基板で、リジッドフレキやリジッド FPC
リキッドフレキシブル基板
とも呼ばれている。リジッドフレキシブル基板は、リジッド基板とフレキシブル基板の特徴を併せ持つことはもちろん、基板間の接続にコネクタを使用しないため、基板の軽薄短小、立体的な組立・配線に有効。またリジッドフレキシブル基板の種類も多様で、フレキ部分が多層であったり、リジッド部分も多層やビルドアップ構成の仕様もある。
放熱・厚銅・高信頼性基板
近年高まっている放熱要求・耐熱要求に対し、同社ではアルミ基板や高熱伝導 CEM-3 などにも対応している。また、主に車載機器関連での要求が多い厚銅基板やTH(スルーホール)厚めっき基板においても実績多数。希望に沿った製品を高品質・短納期で提供可能。
アルミベース基板
熱伝導率が高く放熱性に優れているプリント基板で、高輝度 LED やパワーデバイスなど、高い放熱性を要求する部品が搭載される際に使用される。近年は LED 照明の普及など、高熱電導率基材に関する需要が非常に増えており、最近では車載向けヘッドライトに高輝度 LED を採用する動きも加速している。同社では熱伝導率 3W/m・K、10W/m・ K のアルミベース基板を常備しているが、これら以外の材料についても柔軟に対応。
近年、車載機器やパワーエレクトロニクス機器を中心に厚銅基板(大電流基板)が必要
圧銅基板 とされており、益々その需要は高まっている。一般的なプリント基板の銅箔厚は 18 ㎛や 35 ㎛となるが、仕上がり銅厚を 210 ㎛程度まで厚くすることで、大電流回路にも対応。
TH圧めっき基板
TH に求められる銅めっき厚は通常 15〜20 ㎛程度が一般的であるが、 TH においても信頼性を高めるため、最近では車載用途以外でも一定の厚さ(TH めっき≧25 ㎛)を要求されることが増えている。
発熱部品の直下に圧入された銅ピンから、部分的に排熱特性を向上させることを目的
銅インレイ
基板
とした基板。熱伝導率の高い銅を発熱部品に直接接触させることで、高い放熱性を実
現。金属ベース基板と比較すると重量の抑制ができ、さらにこれまでの基板の層構成な
どをそのまま適用出来る点もメリット。
特殊基板
顧客からの様々な要望を受け、今まで製造実績のないプリント基板仕様であっても、同社では積極的に商品化へ向けチャレンジしてきた。下記の銅バンプ基板やフラッシュ導体基板も顧客からの要望で実現したものである。同社ではたとえ無理難題であっても、1%の可能性があれば全力でトライし、顧客の役に立てるよう努めている。
特殊めっき工法によりパターンの必要な個所に数十~100μm 程度のバンプを形成する
銅バンプ
ことができる。基板パッドと搭載部品を高い位置で接点させることが求められる場合など
基板
に有効。
端面スルーホール基板
端面スルーホール基板は穴径≧Φ0.5 ㎜、ランド径≧0.8 ㎜、穴ピッチ≧1.0 ㎜で対応。スリットスルーホール基板はスリット幅 1.0 ㎜、スリット長さは最長 30 ㎜(30 ㎜以内毎に繋ぎ追加)で対応。
フラッシュ導体基板
パターン間(導体間)にレジストや絶縁樹脂を埋め込み、基板表面を平滑にすることができる。
2-3.サスティナビリティに関連する活動
【幅広い分野で使用される同社の製品群】
前述のように同社の取扱製品は多岐に亘っており、プリント基板を通じて電気的な制御が必要なあらゆる製品に使用されている。同社の製品が搭載される分野別の構成をみると、全体の約3割を占める車載関連のほか、住宅関連、情報機器関連、アミューズメントなど生活に身近な分野から、航空宇宙、医療・ヘルスケア、防衛関連など専門性の高い分野、エネルギーや FA・産業機器など産業の基盤となる分野まで幅広く供給されており、人々の快適な暮らしや安全性の向上から、産業部門の活性化支援まで社会・経済活動を支える役割を担っている。
<製品分野と主な製品及び各分野の出荷構成比>
製品xx | xな製品 | 構成比 |
①車載関連 | ECU、カーナビ、ドライブレコーダー、CASE、HILS、ミリ波レーダ ー、ADAS、自動運転 | 30% |
②情報機器関連 | モバイル、IoT、パソコン、サーバー、5G/6G、AI、ITS、基地局 | 25% |
③住宅関連 | 照明、セキュリティー、IoT、家電、WiFi、ルーター、ディスプレイ | 10% |
④FA・産業機器 | ロボット、搬送システム、スマートファクトリー、各種産業用制御装 置 | 10% |
⑤航空・宇宙 | 人工衛星、ドローン、GPS、ロケット | 5% |
⑥医療・ヘルスケア | 遠隔診療・手術、ウェアラブル、カテーテル | 5% |
⑦防衛関連 | レーダー、衛星、特殊車両、ロケット | 5% |
⑧エネルギー (電気・ガス、鉄道等) | 各種制御、発電所 | 5% |
⑨アミューズメント | ゲーム、パチンコ、4K/8K 映像 | 5% |
【圧倒的な「高品質」「超短納期」の追求を通じた経済活性化への貢献】
同社の原点は「モノづくりへのこだわり」にあり、創業以来顧客のベストパートナーとなるべく、圧倒的な「高品質」「超短納期」を追求し、現在では業界で一番の超短納期メーカーとなっている。
この圧倒的な短納期を支えているのは、「24 時間体制による全工程社内一貫設備保有」であ る。リジッド基板・フレキシブル基板において、同社は全工程の製造設備を社内に保有しており、 24 時間体制による社内一貫製造で、超短納期対応を実現している。穴明け(NC・レーザー)、ビアフィル含む銅めっき、積層プレス、電解金めっき、無電解金フラッシュなど、すべての設備を保有しているので外部へ委託することなく、一般貫通基板からIVH基板、貫通樹脂埋め基板、ビルドアップ基板も全て社内での一貫製造が可能となっている。納期は製品の種類によって異なるが、最短のものでは午前8時までに設計・注文データが到着した場合には当日納品も可能としており、事 前予約なしで、これほどの短納期を実現することができるのは業界内においても画期的な仕組み
を構築できているためである。この結果、同社の納期遵守率は 99.94%と相当に高い水準となっている。さらに、リピートであっても新規と納期変動なく対応していることも顧客企業より高い評価を得ている。また、納期別に受注価格に差を設けており、顧客にとっては納期と価格を考慮したうえで発注することが可能となっている。
こうした、圧倒的な「高品質」「超短納期」の追求は、顧客企業の生産工程の短期化に貢献し、ひいては産業活動の競争力強化につながっている。
<主な最新設備>
水平デスミア+無電解銅めっきライン
アライメント機能付き5軸 NC ドリル
ダイレクトイメージャー(DI)<レジスト>
CO2 ガスレーザー穴明け機&YAG レーザー
ダイレクトイメージャー(DI)<パターン>
無電解金めっき&無電解金めっきライン
ビアフィル銅めっきライン
【社内のデジタル化を活用した見える化により高い生産性を実現】
工場の稼働状況や注文状況については、社内 LAN でリアルタイムに「見える化」することで、効率的な一貫生産体制の構築を可能としている。社内 LAN では従業員全員が受注状況・工程・業務量・進捗状況等を把握することができ、専任の生産管理者を置く必要がない。また、10~20 件/日に及ぶ見積書を作成する営業担当者はこれらの状況を確認しつつ受注活動ができる。この体制により、少量・多品種・短納期に対応しており、こうしたデジタル化による社内システムの合理化が従業員の生産効率の引き上げに寄与し、人為的な負担の低減につながっている。
【クライアントからの製品情報の秘匿対応】
同社の製品は防衛関連産業へも供給されており、受注から納品までの期間だけでなく、将来に亘って高い情報の秘匿性を要求される。こうした情報の秘匿性を担保するための取り組みとして、
①クライアントとの NDA(秘密保持契約書)締結、②情報セキュリティー教育の実施、③秘密保持に関わる誓約書の提出、④秘密保持手当の支給、⑤情報管理体制表の作成、⑥情報セキュリティー規定の策定、⑦情報セキュリティーチェックシートの作成、⑧資料・データ管理要領書の作成、などを行っている。
【SNS を活用した積極的な企業 PR】
企業情報の PR 活動としては、リアル展開として、ネプコンジャパン等の展示会に年間6回程度の出展を行っている。
また、デジタル媒体としても、みんなの試作広場(xxxxxxx.xxx)サイトにおいて、「プリント基板を用いた試作の基礎知識。xx産業に聞く、プリント基板の種類やメーカー選びの注意点」として情報発信している。その他にも3つの BtoB サイト(イプロス、基板の窓口、メトリー)にて掲載することで発信を行っている。
最近では、Twitter やYouTube などのSNS を積極的に活用することで、幅広い層に向けた情報の発信を強化している。
<HP・SNS 等による発信状況>
ホームページ | アクセス数 | 約 2,000/月 (グーグルアナリティクスによる) |
フォロワー数 | 約 2,000 (2022 年 7 月末時点) | |
YouTube | 再生数 | 約 2,000 (2022 年 7 月末時点) |
【福利厚生の充実】
同社では「人材=人財」という方針のもとで、従業員が健康で働きやすい職場環境を提供するために、従業員の福利厚生を年々充実させている。
具体的には、三大疾病保障の保険加入にあたっては、その費用を会社が全額負担することや月に一度の産業医による健康相談会を開催することなどである。
また、従業員が心身ともにリフレッシュした状態で業務に臨めるように、従業員への娯楽の機会も提供しており、その一つである社員旅行については、行先の選定を従業員が行うようにしている。
大型連休に従業員自らで充実した余暇を過ごすことができるように、業績に応じて連休前に一時金を支給し、従業員の充実した休暇の過ごし方を金銭面から支援している。
また、一般社団法人全国中小企業勤労者福祉サービスセンターの会員に入会しており、同センターが提供する多様な福利厚生のサービスを同社の従業員が利用することができる。
【従業員の能力引き上げのための環境整備】
プリント基板に関連する技術的進歩は速く、取引先の高度な要求に応えるためには、常に最新の情報を入手している必要がある。また、製造過程においても最新鋭の設備を使いこなすなど、高度な技術力が求められる。
同社の事業を支えるのは、「設備」「技術」と並んで「人」が重要な要素となっている。従業員は同じ目標に向かって切磋琢磨しながら、“昨日より今日、今日より明日”を目指し、変化を恐れることなく常にチャレンジを続けている。同社の超短納期・高品質は、「設備」「技術」「人」が揃ってこそであり、そのため同社は「人材」=「人財」と考え、従業員教育制度の充実を図っている。
(1)資格取得の奨励
特に資格等の取得に注力しており、新入社員のみならず、中堅からベテラン社員においても、プリント配線板製造技能士や電子回路営業士など様々な検定・資格取得を支援しており、積極的にチャレンジできる土壌がある。また、技術の向上を目的とした社内での取組として、勉強会を定期的に開催するほか、教育到達度確認試験を毎年1回実施している。
<主な奨励資格と取得状況>
資格名 | 内容 | 取得者 |
プリント配線板製造技能士 | モノづくりの分野を対象とした、技術・技能の水準を証明する国(厚生労働省)が定めた実施計画に基づき、職業能力協会が実施する検定資格。同社では、製造スタッフの資格取得を積極的に支援し、実技指導のほかペーパーテストなど資格取得に 向けた勉強会を実施。 | 1級技能士 14 人 2級技能士 22 人 <2022 年3月現在> |
電子回路営業士 | 社団法人日本電子回路工業会がプリント基板の営業従事者における職業能力を認定する公的資格。同社では営業・業務スタッフ共にその資格取得を奨励。 プリント基板の設計・部品・実装など営業 として必要となる内容のほか、安全衛生 | 1級営業士7人 <2022 年3月現在> |
や企業としての規格、手形など多岐にわ たって学び、より実践力を高めている。 | ||
PWB インストラクタ | 一般社団法人日本電子回路工業会が電子回路基板関連の業務を行う上で必要とされる専門知識のみならず、電子回路業界の知識習得レベルを評価・認定。同社では今後注力していく資格として社内に広く案内し、取得奨励に向けた研修制度を 整えている。 | 2級合格者2名 <2022 年7月現在> |
公害防止管理者 | 一般社団法人産業環境管理協会が実施する国家資格で、公害発生施設の運転、維持、管理、燃料・原材料の検査等を行う役割を担う。公害防止組織の設置が義務付けられた工場を操業する同社では、外部研修の受講奨励等を実施している。 | 水質関係第2種公害防止管理者合格者1名 <2022 年3月現在> |
(2)社内教育の充実
教育メニュー | 内容 |
新入社員教育 | 同社の方針、会社の仕組み、職場のマナーなど社会人としての基礎を1週間学んだ後、 現場実習に入る。 およそ2ヶ月の現場実習では、プリント基板製造のすべての現場をローテーション。 先輩とのコミュニケーションを通じ、プリント基 板製造のイロハを学ぶ。 |
5S 教育 | モノづくりの現場には欠かせない整理、整頓、清掃、清潔、躾を徹底するための 5S 教育を行う。5S の意義を伝えるのはもちろんのこと、5S パトロールも実施。職場環境の改善を図ることで、職場環境の美化だけでなく、業務効率化、職場 の安全性向上などにも貢献している。 |
教育到達度確認試験 | 技能士として、さらなる技術の向上を目指し、毎年自社の取り組みとして、教育到達度確認試験を実施。スタッフ主導での勉強会の実施や技能検定を設けるな ど、日進月歩の技術をスタッフxxとなって学ぶ。 |
チーム勉強会 | 同社は機械検査チーム、外形加工チームなど各部署がチーム単位で活動する ため、そのチームごとにそれぞれ勉強会を実施。各自が持ち回りで、品質向上や効率向上などの業務に関わる研究テーマを発表し、社内で共有している。 |
資格取得に加え、社内での教育を充実させることで、従業員一人ひとりのレベルアップを図っている。社外セミナーや通信教育については、各自が受講したい講座を申請し、承認が下りた場合には、受講費用は全額会社が負担している。安全教育や材料メーカー・装置メーカーの主催する講習会への参加など、各種教育制度も充実している。
【物価上昇に対応した賃上げ実施】
従業員の日頃の精勤に報いるため、同社では業績に伴う労働者への分配を向上させていくことに努めている。また、近年では新型コロナに伴うサプライチェーンの混乱や円安、原材料不足に伴う原材料価格の高騰がみられており、2022 年 7 月には1年に1度実施している賃金改定について、平均 4.8%の昇給を行った。今後も賃金の引き上げに努めるとともに、急激な物価上昇については、物価対応一時金の支給を検討している。
【女性の活躍推進】
同社では女性が活き活きと働き、活躍できる職場を目指して取り組んでおり、本社の管理部門だけでなく、製造部門においても女性の従業員が活躍している。製造部門においては、6つのチームのリーダーのうち女性が1名登用されており、10 名弱のチーム人員を率いて業務を遂行している。営業部門における女性の営業担当者は全営業職員 13 名のうち2名で、今後もさらに育成を進めていく予定であり、従来のアシスタント的な業務から営業の主担当者として働く女性を育成するための取り組みを進めている。
また、役員・管理職の地位にある女性は 2022 年 7 月時点で全 10 名中1名であるが、今後はさらに女性従業員の育成を進め、役員・管理職に登用していく予定である。
【継続的な新卒・地元採用の実施】
同社では本社・工場のある松阪市に根を張って「ものづくり」に取り組みたいとの強い想いから、地元の工業高校や商業高校の卒業生など地元からの新卒採用も継続して行っている。2022 年度入社の従業員は高校生2名、大学生3名の計5名であり、うち県内出身者は3名を採用している。今後も地元大学や地元出身の大学卒業生の採用にも積極的に取り組み、安定的に地元の人材を雇用していく方針である。
【労働環境の改善】
同社は土曜日営業を実施することによって、納期等の要請など顧客の利便性向上に対応しているが、従業員の休暇については計画的に取得することが可能となっている。有給休暇の日数についても継続的に取得日数の増加を図っている。
また、工場の 24 時間稼働に伴い、従業員は交代制の勤務となっているが、労働時間の管理に
ついては計画的に行っているため、従業員の時間外労働は平均で1カ月 10 時間以下となっている。
今後も有給休暇の取得日数の増加および時間外労働の削減を計画的に進めていく方針である。
【安全な労働環境の確保】
同社では工場で勤務する従業員の安全性を確保するために、職場の安全環境整備の取り組みとして、半期に1回(年2回)、危険予知訓練(KYT)を実施している。危険予知訓練は、作業や
職場にひそむ危険性や有害性等の危険要因を発見し解決する能力を高める手法で、ローマ字の KYT は、危険の K、予知のY、訓練(トレーニング)の T をとったものである。
また、新規に導入する装置については労働環境の省力化及び安全化を進めるなど、作業環境の更なる整備を進めている。
【環境理念・環境方針の策定】
同社では企業が社会と共存し、永続していくことができるように「環境理念」を掲げるとともに、その理念に基づく行動原則を社内外に明らかにしていくために「環境方針」を策定している。
<環境理念>
xx産業のスタッフはプリント基板製造及びサービスを通し、社会と共存する企業として、地域環境の保全に貢献し、次代に豊かな環境をバトンタッチできるよう行動します。
「適者必繁栄」という社訓のもと、環境関係法規制及び当社が同意するその他の要求事項を遵守しながら、環境マネジメントシステムの運用に誠実に取り組み、継続的改善を進めると共に、誠意ある事業活動を目指します。
<環境方針>
1 地域との交流を通じて、環境保全に努める。
2 照明、空調機等の自主管理を徹底し、省エネルギーに努める。
3 法規制の遵守及び関連設備の保全と改善に努める。
4 工場排水・廃棄物を常に監視し、汚染の予防と再資源化に努める。
5 花いっぱい運動を実施し、地域環境美化に努める。
6 可能な限り、環境負荷物質の使用削減に努める。
7 グリーン購入を推進し、循環型社会の形成に努める。
8 製品含有化学物質管理体制を維持し、運用管理に努める。
【適正な排水処理の実施による土壌汚染の抑制】
同社はメッキ加工や検査などの製造工程において大量の薬品等を使用しているが、薬品を水洗する際に多くの水を利用している。水洗に使用する水は工業用水では水の純度が低いため、松阪市が提供する市水を利用している。
土壌汚染の防止にあたっては、工場内に防液堤を設置するとともに、ビットを設けて、薬液を完全に回収している。排水量は 300 トン/日にも達しており、排水にあたっては工場内に設置した専
用の設備でろ過したのちに河川放流している。また、工場敷地境界の地下水や土壌については、
4カ月に一度の頻度で検査を行っている。
【製品品質の向上】
<品質理念>
同社は創業以来、社訓である「適者必繁栄」(適者は必ず繁栄する。世に受け入られざるは適者にあらず。繁栄せざるは社会における適者にあらず。)を念頭に、サービス品質の向上を追求している。
見積りから納品まで、全ての製造・流通プロセスにおいて、良い製品・良い情報を提供するために、全スタッフが常に品質の確保・向上に取り組んでいる。
<品質方針>
同社では、「お客様第一主義を貫くのが私たちの使命です」を品質方針として掲げており、良い製品、良い情報を提供し、質の高いサービスとxxを活用した、優れた企画と技術によって顧客の満足と信頼を獲得することを使命としている。
上記の品質理念や品質方針を具体化する取り組みとして、同社では製品品質の国際標準認証であるISO9001 や製品安全の規格である UL 認定を以下の通り取得している。
取得認証・規格 | 取得年月 | 内容 | |
ISO9001 認証 (登録番号: JSAQ514) | 1999 年 7 月 | 製品品質の国際標準規格 プリント基板事業において取得 | |
UL 認定 (E200109) | 1999 年 4 月 | 米国保険会社(Underwriters)のために電気および火災事故を防ぐ目的で設立された製品安全試験に取り組む機関および規格 |
また、国内外の関連法規制の情報提供や製品仕様に関する含有化学物質の調査およびデータの開示などを積極的に行っており、顧客のリスクマネジメントをサポートする体制を構築している。
【電力使用の軽減】
同社では工場を 24 時間稼働させているほか、メッキ工程やプレス加工(真空で 245℃の温度でプレス)の工程等において大量の電力を使用しているため、エネルギー利用効率化の観点から様々な手段を用いて総合的に使用電力を削減する取り組みを行っている。
具体的には、工場の設備を省エネ対応装置へ切り替えること、事務所や工場の照明を LED にxx交換することを進めている。
現在、2023 年 12 月の竣工を目指して本社事務所および工場の新築・建替を進めており、これらにおいては省エネに対応した施設となる予定である。
また、デマンドコントロールシステムを活用し、同社の使用電力を把握・管理することで、最大需要電力の発生を監視・抑制し、使用量の削減に努めている。
【xxx発電による再生可能エネルギーの創出】
本社工場の屋上や関連会社が三重県xx市に設置する発電所において、7.5 メガワットの出力を有するxxx発電設備を導入し、発電した電力を電力会社に販売するなど、再生可能エネルギーの創出を行っている。
【リサイクルによる廃棄物の削減】
プリント基板の製造過程で生じる屑である金、銅、アルミ等については、積極的にリサイクルを行うことで廃棄物の削減を図っている。現在、金は 100%リサイクルし、金属製品製造業者へ販売するほか、銅やアルミについても 100%リサイクルし、地元業者へ販売している。パラジウムについて、水に含まれる金属であり、リサイクルが難しい状況にあるが、今後は業者とも協議を進めながらリサイクルを推進していく予定である。
3.UNEP FI インパクトレーダーとの関連性
※色の濃い項目が同社のインパクト領域
本ファイナンスでは、xx産業の事業を、国際標準産業分類における「電子回路製造業」として整理した。その前提のもとでの UNEP FI のインパクト分析ツールを用いた結果、「住居」
「保健・衛生」「雇用」「エネルギー」「情報」「包摂的で健全な経済」「経済収束」に関するポジティブ・インパクト、「雇用」「情報」「水(質)」「大気」「土壌」「資源効率・安全性」「気候」「廃棄物」に関するネガティブ・インパクトが分析された。
一方、事業活動等を踏まえ、本ファイナンスで特定された同社のインパクトは以下の通りである。
3-1.経済面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉 包摂的で健全な経済 | 物価上昇に対応した賃上げ実施 | ・業績に伴う労働者への分配向上として、賃上げを実施(2022 年 7 月には平均4.8%の昇給実施) |
経済収束 | 圧倒的な「高品質」 「超短納期」の追求を通じた経済活性化への貢献 | ・圧倒的な「高品質」「超短納期」の追求は、顧客企業の生産工程の短期化に貢献し、ひいてはわが国の産業活動の競争力強化につながっている |
3-2.社会面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ポジティブ〉住居 | 幅広い分野で使用される同社の製品群 | ・同社のプリント基板はあらゆる製品に使用されており、住宅関連製品にも搭載され、人々の快適な暮らしを支えている |
保健・衛生 | 幅広い分野で使用される同社の製品群 | ・同社のプリント基板はあらゆる製品に使用されており、医療・ヘルスケア関連製品にも搭載され、人々の快適な暮らしや安全を支えて いる |
教育雇用 | 従業員の能力引き上げのための環境整備 | ・プリント配線板製造技能士や電子回路営業士など様々な検定・資格取得を支援するとと もに各種社内勉強会など社員教育を充実 |
雇用 | 女性の活躍推進 | ・女性が活躍できる職場を目指し、管理部門、製造部門で女性の活躍を推進。今後は女性の役員・管理職への登用及び営業担当者の育成を図る予定。 |
社内のデジタル化を活用した見える化により高い生産性を実現 | ・社内LAN でリアルタイムに「見える化」するなどデジタル化の推進が従業員の生産効率の引き上げに寄与し、人為的な負担を低減 | |
継続的な新卒・地元採用の実施 | ・松阪市に根を張って「ものづくり」に取り組みたいとの強い想いから、地元の工業高校や商業高校の卒業生など地元からの新卒採用を継続して実施 | |
エネルギー | 幅広い分野で使用される同社の製品群 | ・プリント基板はあらゆる製品に使用されており、エネルギー関連製品にも搭載され、人々の快適な暮らしや産業部門の活性化を支えている |
情報 | 幅広い分野で使用される同社の製品群 | ・プリント基板はあらゆる製品に使用されており、情報通信機器にも搭載され、人々の快適 な暮らしや産業部門の活性化を支えている |
〈ネガティブ〉保健・衛生 | 福利厚生の充実 | ・三大疾病保障の保険加入にかかる費用負担や産業医による健康相談会の開催、連休前の一時金支給、社員旅行など従業員の福利厚生を充実させている |
xx・xx雇用 | 労働環境の改善 | ・継続的な有給休暇日数の増加、計画的な労働時間の管理 |
安全な労働環境の確保 | ・年2回の危険予知訓練(KYT)の実施や新規導入装置の省力化・安全化など作業環境の 整備 | |
情報 | クライアントからの製品情報の秘匿対応 | ・同社の製品は防衛関連産業へも供給され、受注から納品までの期間だけでなく、将来に 亘る高い情報の秘匿性に対応 |
3-3.環境面のインパクト
インパクト領域 | テーマ | 活動内容 |
〈ネガティブ〉水(質) 土壌 | 適正な排水処理の実施による土壌汚染の抑制 | ・薬品を水洗する際に多くの水を利用しており、工場内に防液堤を設置するとともに、ビットを設けて、薬液を完全に回収。排水にあたっては工場内に設置した専用の設備でろ過したのちに河川放流。工場敷地境界の地下水や土壌については、4カ月に一度の頻度 で検査を実施。 |
資源効率・安全性 | 製品の品質向上 | ・同社の品質理念や品質方針を具体化する取り組みとして、製品品質の国際標準認証である ISO9001 や製品安全の規格である UL 認定を取得 |
電力使用の軽減 | ・工場設備の省エネ対応装置への切り替えや事務所・工場の照明の LED 化推進。2023 年 12 月竣工予定の本社事務所・工場の省エネ 対応。 |
気候 | xxx発電による再生可能エネルギーの創出 | ・本社工場屋上や関連会社において 7.5 メガワットの出力を有するxxx発電設備を導入することにより再生可能エネルギーの創出 |
環境理念・環境方針の策定 | ・企業が社会と共存し、永続していくことができるように「環境理念」を掲げ、行動原則を社内外に明らかにしていくために「環境方針」を策定 | |
廃棄物 | 廃棄物の削減 | ・製造過程で生じる屑である金、銅、アルミ等のリサイクルを行い廃棄物の削減を図る。金、銅、アルミは100%リサイクルし、リサイクルの難しいパラジウムについてもリサイクル を進めていく予定。 |
なお、インパクト分析ツールで発出したネガティブ・インパクトのうち、同社のインパクトと特定しなかったものについては、以下記載の理由に基づく。
「大気」については、同社の業務を通じて大きな影響を与えていないこと、などからネガティブ・インパクトには当たらないことを確認している。
4.測定するKPIと SDGsとの関連性
xx産業は本ファイナンス期間において以下の通り KPI を設定する。
4-1.経済面(ポジティブ)
特定インパクト | 包摂的で健全な経済 | |
取組、施策等 | 【物価上昇に対応した賃上げの実施】 ・業績に伴う労働者への分配向上および物価上昇に対する従業員の安定的な生活の確保を目的に賃上げを実施 | |
借入期間におけるKPI | ・2025 年7月まで毎年の賃金昇給率を3%以上とする (2022 年7月の賃上げ実績 平均昇給率前年比 4.8%) ・平均年収を 2025 年までに 2022 年対比で 10%以上引き上げる | |
関連するSDGs | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、な らびに同一労働同一賃金を達成する。 |
特定インパクト | 経済収束 |
取組、施策等 | 【圧倒的な「高品質」「超短納期」の追求を通じた経済活性化への貢献】 ・圧倒的な「高品質」「超短納期」の追求は、顧客企業の生産 |
工程の短期化を通じて産業競争力強化につながっており、 今後も超短納期を継続していく | ||
借入期間におけるKPI | ・短納期納品率の実績である 99.94%を維持し、できる限り 100%の達成に向けて向上させる | |
関連するSDGs | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベル の経済生産性を達成する。 |
4-2.社会面(ポジティブ)
特定インパクト | 雇用 | |
取組、施策等 | 【女性の活躍推進】 ・女性の役員・管理職比率を引き上げるとともに、営業担当者として積極的に育成し、女性の活躍の場を広げる取り組みを進めていく | |
借入期間におけるKPI | ・2025 年までに女性の役員・管理職を3名まで引き上げる (2022 年7月現在:1名) ・2025 年までに女性の営業担当者を4名育成する (2022 年7月現在:2名) | |
関連するSDGs | 5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、な らびに同一労働同一賃金を達成する。 |
特定インパクト | 教育 雇用 |
取組、施策等 | 【従業員の能力引き上げのための環境整備】 ・資格取得者数の増加、研修制度の充実 |
借入期間におけるKPI | ①プリント配線板製造技能士 1級技能士 14 名(2022 年3月現在) ⇒2025 年までの取得者目標 20 名 |
2級技能士 22 名(2022 年3月現在) ⇒2025 年までの取得者目標 25 名 ②電子回路営業士 1級営業士7名(2022 年3月現在) ⇒2025 年までの取得者目標 10 名 ③PWBインストラクタ 2級合格者2名(2022 年7月現在) ⇒2025 年までの合格者目標8名準1級合格者0名(2022 年7月現在) ⇒2025 年までの合格者目標6名 1級合格者0名(2022 年7月現在) ⇒2025 年までの合格者目標4名 ④公害防止管理者 水質関係第2種公害防止管理者合格者1名 (2022 年3月現在) ⇒2025 年までの合格者目標2名 ⑤電気xx技術者0名(2022 年3月現在) ⇒2025 年までの合格者目標1名 ⑥第1種衛生管理者1名(2022 年3月現在) ⇒2025 年までの合格者目標2名 | ||
関連するSDGs | 4.4 2030 年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成 人の割合を大幅に増加させる。 |
4-3.社会面(ネガティブ)
特定インパクト | 保健・衛生 雇用 |
取組、施策等 | 【労働環境の改善】 ・継続的に従業員の休日の増加を図る 【安全な労働環境の確保】 ・危険予知訓練(KYT)の実施、新規導入装置の省力化及び安全化と作業環境のさらなる整備・改善を進め、労働災害の減少に向けた取り組みを引き続き推進していく |
借入期間におけるKPI | ・年間休日と有給休暇の取得を合わせた従業員の休日を 2025 年度まで毎年度1日以上増加させる。 (実績:2021 年度従業員年間休日 106 日+有給休暇平均 |
取得日数 7.09 日=113.09 日) ・一日工場を止めるほどの重大な労働災害の発生件数ゼロを 2025 年7月まで維持する ・軽微な労働災害件数を 2025 年7月までゼロにする(過去5 年間累計件数5件) | ||
関連するSDGs | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労 働環境を促進する。 |
4-4.環境面(ネガティブ)
特定インパクト | 資源効率・安全性 | |
取組、施策等 | 【電力使用の軽減】 ・売上高あたりの電力使用量を低減し、業務におけるエネルギー利用の効率化を図る | |
借入期間におけるKPI | 2025 年3月期までの売上高目標に対する電力使用量を以下の通りとする 2022 年3月期実績:売上高 1,647 百万円 電力使用量 460 万kWh ⇒エネルギー使用原単位:2,793kWh/百万円 2023 年3月期:売上高 1,750 百万円 電力使用量 480 万kWh ⇒エネルギー使用原単位:2,743kWh/百万円 2024 年3月期:売上高 1,870 百万円 電力使用量 490 万kWh ⇒エネルギー使用原単位:2,620kWh/百万円 2025 年3月期:売上高 2,000 百万円 電力使用量 500 万kWh ⇒エネルギー使用原単位:2,500kWh/百万円 | |
関連するSDGs | 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 8.4 2030 年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する 10 年計画枠組みに従い、経済成長と環境 悪化の分断を図る |
特定インパクト | 廃棄物 | |
取組、施策等 | 【廃棄物の削減】 ・廃棄物の排出量を削減するため、金属リサイクルの推進および廃プラスチックの排出量を削減する | |
借入期間におけるKPI | ・2025 年度まで金、銅、アルミ等のリサイクル率100%を維持する <2019~2021 年度平均値> 金:391.45g 銅レール:18,752kg 銅ボール:837kg、ハンダ Pb フリ-:104 kg 共晶ハンダ:115 kg、アルミ:488kg 合金アルミ :8491kg LE アルミ:2,486 kg、パラジウム:443.78g ・廃プラスチックの排出量を 2025 年度まで年間2%低減す る。(2021 年度廃プラスチック排出量 25,820kg) | |
関連するSDGs | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 12.5 2030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発 生を大幅に削減する。 |
4-5.その他KPIを設定しないインパクトについて SDGsとの関連性
事業活動 | 関連するSDGsのターゲット | SDGsの ゴール |
〈社会面〉 幅広い分野で使用される同社の製品群 | 7.3 2030 年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 9.5 2030 年までにイノベーションを促進させることや 100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。 11.1 2030 年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安 価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。 |
社内のデジタル化を活用した見える化により高い生産性を実現 | 8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。 | |
継続的な新卒・地元採用の実施 | 8.5 2030 年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を 達成する。 | |
福利厚生の充実 | 8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を 保護し、安全・安心な労働環境を促進する。 | |
クライアントからの製品情報の秘匿対応 | 16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。 | |
〈環境面〉 適正な排水処理の実施による土壌汚染の抑制 | 12.4 2020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。 | |
製品の品質向上 | 9.4 2030 年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。 | |
xxx発電による再生可能エネルギーの創出 | 7.2 2030 年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 | |
環境理念・環境方針の策定 | 11.6 2030 年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。 |
5.サスティナビリティ管理体制
xx産業では、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに取り組むにあたり、総務部を中心に組織横断的なプロジェクトチームを結成。xx社長を責任者とし、日々の業務やその他活動を棚卸することで、自社の事業活動とインパクトレーダーとの関連性について検討をした。
本ポジティブ・インパクト・ファイナンスの実行後、返済期限までの間においても、xx社長や
総務部、関係部署などとの連携体制を構築することでKPIの達成を図っていく。
最高責任者 | 代表取締役社長 xxxx |
管理責任者 | 取締役総務部長 xxxxx |
担当部署 | 総務部 |
6.モニタリング
本件で設定したKPIの進捗状況は、xx産業と三十三銀行の担当者が年に1回以上の会合を設けることで確認する。モニタリングの結果、当初想定と異なる点があった場合には、三十三
銀行は、同社に対して適切な助言・サポートを行い、KPIの達成を支援する。
7.総合評価
本件はUNEP FIの「ポジティブ・インパクト金融原則」に準拠した融資である。xx産業は、上記評価の結果、本件融資期間を通じてポジティブな成果の発現とネガティブな影響の低減に
努めることを確認した。また、三十三銀行は年に1回以上その成果を確認する。
本評価書に関する重要な説明
1.本評価書は、三十三総研が、三十三銀行から委託を受けて作成したもので、三十三総研が三十三銀行に対して提出するものです。
2.三十三総研は、依頼者である三十三銀行および三十三銀行がポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施するxx産業から供与された情報と、三十三総研が独自に収集した情報に基づく、現時点での計画または状況に対する評価で、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。
3.本評価を実施するに当たっては、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した「ポジティブ・インパクト金融原則」に適合させるとともに、ESG金融ハイレベル・パネル設置要綱第2項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」に整合させながら実施しています。なお、株式会社日本格付研究所から、本ポジティブ・インパクト・ファイナンスに関する第三者意見書
の提供を受けています。
〈本件問合せ先〉
株式会社三十三総研
調査部長 主席研究員 xx xx
〒510-0087
xxxxxxxxxx 00 x 00 xxxxxxx0x
TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
第三者意見書
2022 年 8 月 30 日株式会社 日本格付研究所
評価対象: 株式会社xx産業に対するポジティブ・インパクト・ファイナンス |
貸付人:株式会社三十三銀行 |
評価者:株式会社三十三総研 |
第三者意見提供者:株式会社日本格付研究所(JCR) |
結論:
本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置さ
れたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
I. JCR の確認事項と留意点
JCR は、三十三銀行が株式会社xx産業(「xx産業」)に対して実施する中小企業向けのポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)について、株式会社三十三総研による分析・評価を参照し、国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の策定したPIF 原則に適合していること、および、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的であることを確認した。
PIF とは、SDGs の目標達成に向けた企業活動を、金融機関が審査・評価することを通じて促進し、以て持続可能な社会の実現に貢献することを狙いとして、当該企業活動が与えるポジティブなインパクトを特定・評価の上、融資等を実行し、モニタリングする運営のことをいう。
PIF 原則は、4 つの原則からなる。すなわち、第 1 原則は、SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること、第 2 原則は、PIF 実施に際し、十分なプロセス、手法、評価ツールを含む評価フレームワークを作成すること、第 3 原則は、ポジティブ・インパクトを測るプロジェクト等の詳細、評価・モニタリングプロセス、ポジティブ・インパクトについての透明性を確保すること、第 4 原則は、PIF 商品が内部組織または第三者によって評価されていることである。
UNEP FI は、ポジティブ・インパクト・ファイナンス・イニシアティブ(PIF イニシア ティブ)を組成し、PIF 推進のためのモデル・フレームワーク、インパクト・レーダー、イ ンパクト分析ツールを開発した。三十三銀行は、中小企業向けの PIF の実施体制整備に際 し、三十三総研と共同でこれらのツールを参照した分析・評価方法とツールを開発している。ただし、PIF イニシアティブが作成したインパクト分析ツールのいくつかのステップは、国 内外で大きなマーケットシェアを有し、インパクトが相対的に大きい大企業を想定した分 析・評価項目として設定されている。JCR は、PIF イニシアティブ事務局と協議しながら、 中小企業の包括分析・評価においては省略すべき事項を特定し、三十三銀行及び三十三総研 にそれを提示している。なお、三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、中小企業の定義 を、PIF 原則等で参照している IFC(国際金融公社)の定義に加え、中小企業基本法の定義 する中小企業、会社法の定義する大会社以外の企業としている。
JCR は、中小企業のインパクト評価に際しては、以下の特性を考慮したうえでPIF 原則との適合性を確認した。
① SDGs の三要素のうちの経済、PIF 原則で参照するインパクト領域における「包括的で健全な経済」、「経済収れん」の観点からポジティブな成果が期待できる事業主体である。ソーシャルボンドのプロジェクト分類では、雇用創出や雇用の維持を目的とし
た中小企業向けファイナンスそのものが社会的便益を有すると定義されている。
② 日本における企業数では全体の 99.7%を占めるにもかかわらず、付加価値額では 52.9%にとどまることからもわかるとおり、個別の中小企業のインパクトの発現の仕方や影響度は、その事業規模に従い、大企業ほど大きくはない。1
③ サステナビリティ実施体制や開示の度合いも、上場企業ほどの開示義務を有していないことなどから、大企業に比して未整備である。
II. PIF 原則への適合に係る意見
PIF 原則 1
SDGs に資する三つの柱(環境・社会・経済)に対してポジティブな成果を確認できるかまたはネガティブな影響を特定し対処していること。
SDGs に係る包括的な審査によって、PIF は SDGs に対するファイナンスが抱えている諸問題に直接対応している。
三十三銀行及び三十三総研は、本ファイナンスを通じ、xx産業の持ちうるインパクトを、 UNEP FI の定めるインパクト領域および SDGs の 169 ターゲットについて包括的な分析 を行った。
この結果、xx産業がポジティブな成果を発現するインパクト領域を有し、ネガティブな影響を特定しその低減に努めていることを確認している。
SDGs に対する貢献内容も明らかとなっている。
PIF 原則 2
PIF を実行するため、事業主体(銀行・投資家等)には、投融資先の事業活動・プロジェクト・プログラム・事業主体のポジティブ・インパクトを特定しモニターするための、十分なプロセス・方法・ツールが必要である。
JCR は、三十三銀行がPIF を実施するために適切な実施体制とプロセス、評価方法及び評価ツールを確立したことを確認した。
(1) 三十三銀行は、本ファイナンス実施に際し、以下の実施体制を確立した。
1 経済センサス活動調査(2016 年)。中小企業の定義は、中小企業基本法上の定義。業種によって異なり、製造業は資本金 3 億円以下または従業員 300 人以下、サービス業は資本金 5 千万円以下または従業員 100 人以下などだ。小規模事業者は製造業の場合、従業員 20 人以下の企業をさす。
(出所:三十三銀行提供資料)
(2) 実施プロセスについて、三十三銀行では社内規程を整備している。
(3) インパクト分析・評価の方法とツール開発について、三十三銀行からの委託を受けて、三十三総研が分析方法及び分析ツールを、UNEP FI が定めたPIF モデル・フレームワーク、インパクト分析ツールを参考に確立している。
PIF 原則 3 透明性
PIF を提供する事業主体は、以下について透明性の確保と情報開示をすべきである。
・本PIF を通じて借入人が意図するポジティブ・インパクト
・インパクトの適格性の決定、モニター、検証するためのプロセス
・借入人による資金調達後のインパクトレポーティング
PIF 原則 3 で求められる情報は、全て三十三総研が作成した評価書を通して銀行及び一般に開示される予定であることを確認した。
PIF 原則 4 評価
事業主体(銀行・投資家等)の提供する PIF は、実現するインパクトに基づいて内部の専門性を有した機関または外部の評価機関によって評価されていること。
本ファイナンスでは、三十三総研が、JCR の協力を得て、インパクトの包括分析、特定、評価を行った。JCR は、本ファイナンスにおけるポジティブ・ネガティブ両側面のインパクトが適切に特定され、評価されていることを第三者として確認した。
III. 「インパクトファイナンスの基本的考え方」との整合に係る意見
インパクトファイナンスの基本的考え方は、インパクトファイナンスを ESG 金融の発展形として環境・社会・経済へのインパクトを追求するものと位置づけ、大規模な民間資金を巻き込みインパクトファイナンスを主流化することを目的としている。当該目的のため、国内外で発展している様々な投融資におけるインパクトファイナンスの考え方を参照しながら、基本的な考え方をとりまとめているものであり、インパクトファイナンスに係る原則・ガイドライン・規制等ではないため、JCR は本基本的考え方に対する適合性の確認は行わない。ただし、国内でインパクトファイナンスを主流化するための環境省及びESG 金融ハイレベル・パネルの重要なメッセージとして、本ファイナンス実施に際しては本基本的考え方に整合的であるか否かを確認することとした。
本基本的考え方におけるインパクトファイナンスは、以下の 4 要素を満たすものとして
定義されている。本ファイナンスは、以下の 4 要素と基本的には整合している。ただし、要素③について、モニタリング結果は基本的には借入人であるxx産業から貸付人である三十三銀行及び評価者である三十三総研に対して開示がなされることとし、可能な範囲で対外公表も検討していくこととしている。
要素① 投融資時に、環境、社会、経済のいずれの側面においても重大なネガティブインパクトを適切に緩和・管理することを前提に、少なくとも一つの側面においてポジティブなインパクトを生み出す意図を持つもの
要素② インパクトの評価及びモニタリングを行うもの
要素③ インパクトの評価結果及びモニタリング結果の情報開示を行うもの
要素④ 中長期的な視点に基づき、個々の金融機関/投資家にとって適切なリスク・リターンを確保しようとするもの
また、本ファイナンスの評価・モニタリングのプロセスは、本基本的考え方で示された評
価・モニタリングフローと同等のものを想定しており、特に、企業の多様なインパクトを包括的に把握するものと整合的である。
IV. 結論
以上の確認より、本ファイナンスは、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト・ファイナンス原則に適合している。
また、環境省の ESG 金融ハイレベル・パネル設置要綱第 2 項(4)に基づき設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」と整合的である。
(第三者意見責任者) 株式会社日本格付研究所
サステナブル・ファイナンス評価部長
xx xx
担当xxアナリスト 担当アナリスト
xx xx xx xx
本第三者意見に関する重要な説明
1. JCR 第三者意見の前提・意義・限界
日本格付研究所(JCR)が提供する第三者意見は、事業主体及び調達主体の、国連環境計画金融イニシアティブの策定したポジティブ・インパクト金融(PIF)原則への適合性及び環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内に設置されたポジティブインパクトファイナンスタスクフォースがまとめた「インパクトファイナンスの基本的考え方」への整合性に関する、JCR の現時点での総合的な意見の表明であり、当該ポジティブ・インパクト金融がもたらすポジティブなインパクトの程度を完全に表示しているものではありません。
本第三者意見は、依頼者である調達主体及び事業主体から供与された情報及び JCR が独自に収集した情報に基づく現時点での計画又は状況に対する意見の表明であり、将来におけるポジティブな成果を保証するものではありません。また、本第三者意見は、PIF によるポジティブな効果を定量的に証明するものではなく、その効果について責任を負うものではありません。本事業により調達される資金が同社の設定するインパクト指標の達成度について、JCR は調達主体または調達主体の依頼する第三者によって定量的・定性的に測定されていることを確認しますが、原則としてこれを直接測定することはありません。
2. 本第三者意見を作成するうえで参照した国際的なイニシアティブ、原則等
本意見作成にあたり、JCR は、以下の原則等を参照しています。
国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブ・インパクト金融原則
環境省 ESG 金融ハイレベル・パネル内ポジティブインパクトファイナンスタスクフォース
「インパクトファイナンスの基本的考え方」
3. 信用格付業にかかる行為との関係
本第三者意見を提供する行為は、JCR が関連業務として行うものであり、信用格付業にかかる行為とは異なります。
4. 信用格付との関係
本件評価は信用格付とは異なり、また、あらかじめ定められた信用格付を提供し、または閲覧に供することを約束するものではありません。
5. JCR の第三者性
本 PIF の事業主体または調達主体と JCR との間に、利益相反を生じる可能性のある資本関係、人的関係等はありません。
■留意事項
本文書に記載された情報は、JCR が、事業主体または調達主体及び正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、またはその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、JCR は、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、JCR は、当該情報の誤り、遺漏、または当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。JCRは、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。本第三者意見は、評価の対象であるポジティブ・インパクト・ファイナンスにかかる各種のリスク(信用リスク、価格変動リスク、市場流動性リスク、価格変動リスク等)について、何ら意見を表明するものではありません。また、本第三者意見は JCR の現時点での総合的な意見の表明であって、事実の表明ではなく、リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするものでもありません。本第三者意見は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。本文書に係る一切の権利は、JCR が保有しています。本文書の一部または全部を問わず、JCR に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
■用語解説
第三者意見:本レポートは、依頼人の求めに応じ、独立・中立・xxな立場から、銀行等が作成したポジティブ・インパクト・ファイナンス評価書の国連環境計画金融イニシアティブのポジティブ・インパクト金融原則への適合性について第三者意見を述べたものです。
事業主体:ポジティブ・インパクト・ファイナンスを実施する金融機関をいいます。
調達主体:ポジティブ・インパクト・ビジネスのためにポジティブ・インパクト・ファイナンスによって借入を行う事業会社等をいいます。
■サステナブル・ファイナンスの外部評価者としての登録状況等
・国連環境計画 金融イニシアティブ ポジティブインパクト作業部会メンバー
・環境省 グリーンボンド外部レビュー者登録
・ICMA (国際資本市場協会に外部評価者としてオブザーバー登録) ソーシャルボンド原則作業部会メンバー
・Climate Bonds Initiative Approved Verifier (気候変動イニシアティブ認定検証機関)
■本件に関するお問い合わせ先
情報サービス部 TEL:00-0000-0000 FAX:00-0000-0000