Contract
「高齢者と複数店舗間のアクセサリー等の過量販売契約に係る紛争」は
4社があっせん解決、1社があっせん•調停不調となりました
(xxx消費者被害救済委員会報告)
都内の消費生活センターには、高齢者に対する「次々販売」や「過量販売」に係る相談が毎年多数寄せられています。
過量販売の考え方や、消費者と密接な人間関係を築きその関係性を利用して勧誘するなどの過量販売の背景にある問題点を整理して、今後の同種・類似被害の解決に役立てるため、都は、xxx消費者被害救済委員会(会長 xxxx 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会から4社があっせん解決、1社があっせん・調停不調により終了したと知事に報告がありましたので、お知らせします。
【申立人】1名
80 歳代後半の女性(年金生活者)
【相手方】5社
A社:アクセサリー販売業者 B社:アクセサリー販売業者 C社:アクセサリー販売業者
三結商事合同会社 xxxxxxxxx
xxx 00 x 00 x D社:呉服販売業者
E社:芸術作品展覧会業者
紛争の概要
【申立人の主張による紛争の概要】
数年前より、複数の事業者から勧誘を受け、アクセサリーや呉服等を多数購入している。商品は店頭払いの分割で購入しており、事業者の店舗に支払いに行くと、新たな商品を勧められる。「お金がない。」と何度も断っているが、xxつきあいのある販売員から購入を促されると、断れない雰囲気になり、結局購入してしまう。預貯金は底を尽き、年金収入だけでは払えない。要介護の認定を受けた夫と賃貸マンションに二人暮らしで子供や頼れる親戚、近隣の人もいない。契約を解除して返金してもらいたい。
あっせん•調停の結果 ~4社があっせん解決、1社があっせん・調停不調~ | ||
A社、B社、E社の契約は、改正により新設された消費者契約法第4条第4項に規定する過量販売に該当し、施行日の平成 29 年6月3日以降の契約は取り消すとした合意が成立しました。 C社(店舗外販売)、D社(アポイントメントセールス※)は、特定商取引法の訪問販売に該 当し、いずれも契約書に不備があったことから、クーリング・オフによる解決を目指しました。 D社はあっせん解決となりましたが、C社はあっせん案、調停案に同意しませんでした。よって、委員会は、C社については、あっせん・調停不調として処理を終了しました。 ※アポイントメントセールスとは販売目的を明示せずに電話や郵便などで店舗等に呼び出し契約させること。 |
高齢者と周囲の方へのアドバイス ~高齢者を孤立させないで~ | ||
★(周囲の方へ) 高齢者を狙う事業者は、高齢者が孤立している状況を利用して、定期的に会うなど高齢者に「寄り添い」、密着することで、次々に高額な契約を締結させます。周囲の見守りや普段からの人間関係を大切にし、高齢者を孤立させないようにしましょう。 ★(高齢者の方へ) 楽しい集まりでも契約を断りにくい雰囲気の場所には行かないようにしましょう。生活に必要のないものは雰囲気に流されずきっぱり断りましょう。断り切れずに契約してしまった場合は、一人で悩まずに消費生活センターに相談しましょう。消費者ホットライン188に電話すると、お近くの消費生活相談窓口につながります。 |
【問合せ先】
xxx消費生活総合センター
活動推進課 電話:03-3235-4155
本件のポイント
★ 生活必需品とはいえないアクセサリーなどの商品や趣味に関係する役務であっても「過量販売」に該当する場合は、消費者が過量販売であることを知ってから1年以内、契約から5年以内であれば、消費者契約法の規定により契約を取り消すことができます。なお、契約から1年以内の訪問販売や電話勧誘販売の場合は特定商取引法の規定による契約解除が可能ですが、訪問販売のC社、電話勧誘販売のE社について契約から1年が経過していました。
★ 特定商取引法によるクーリング・オフは無条件で契約を解除できることから、過量販売の場合でも、まず、クーリング・オフについて検討しました。特定商取引法では、契約書に記載不備がある場合は、クーリング・オフ期間を過ぎていても、クーリング・オフが可能なことから、 C社の契約はクーリング・オフにより契約解除することとしました。
★ 本件「過量販売」の背景には、事業者が、高齢者たちを定期的に集めてお茶やお菓子をふるまい、一種の社交場として孤独をなぐさめるような環境を提供し、その状況を利用して事業者こそが高齢者のよき理解者であるとアピールしつつ、言葉巧みに、次々と契約締結させる「寄り添い型勧誘」という勧誘手口がありました。
xxx消費者被害救済委員会における審議の概要
xxx消費者被害救済委員会は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、xxかつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
●主な問題点
1 嗜好品であっても当該消費者にとって過量と判断される消費者契約は取り消せる。
一般的に、アクセサリーや芸術作品の展覧会への出品など嗜好性のある商品や役務の過量性を販売数量だけで判断することはできない。しかし、A・B・C・E各社は、年金で支払うしかないという申立人の経済状況を知りながら、申立人との契約を繰り返していたことや、申立人は契約当時 80 歳代後半でその生活状況において、これらの契約を自ら希望していたわけではなく、事業者らに勧められるままに購入していたことなど、経済状況、生活状況等を総合的に勘案し、本件は、消費者契約法第4条第4項に規定する過量販売に該当すると判断した。
2 高齢者に対する長期の金銭負担を求める自社割賦による販売は問題である。
本件相手方5社は契約の多くを、クレジット会社等を介さずに販売業者に直接分割払いする自社割賦で支払わせていた。高齢者には年金という安定した収入があるから支払能力はあるといった認識の事業者もあり、契約締結に際しては資力・収入等の支払能力について裏付証拠の提出を求めるなどの調査はしていなかった。契約期間が長期に及ぶ割賦販売では支払途中に予測できない事態に陥る可能性もあることから、事業者、消費者とも慎重であるべきである。
●同種•類似被害の再発防止に向けて
1 事業者に対して
(1) 事業者の責務を定めた消費者基本法第5条に「消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること」とあるとおり、適合性原則に配慮すべきである。
(2) 過量販売はしてはならない。過量販売は、特定商取引法(訪問販売・電話勧誘販売)では禁止行為とされ業務停止命令等の対象となり、消費者契約法では適格消費者団体の差止訴訟制度の対象とされている。過量販売につながる「寄り添い型勧誘」はやめるべきである。
(3) 高齢者にとって年金は貴重な生活資金であり、割賦販売において年金を支払能力として考慮すべきものではない。生活破壊につながる支払能力を超えた割賦販売はすべきではない。
2 行政に対して
(1) 高齢者に対する次々販売などの被害事例について情報を集積し、高齢者自身や高齢者を見守る周囲の人に、広く情報提供することが重要である。高齢者の消費者被害防止のため、見守りネットワークの構築支援と福祉行政との連携推進を求める。
(2) 消費生活相談では、被害の救済と新たな被害防止のため、専門的知見をもって丁寧に聞き取り、適切な助言をすることが重要である。そのためにも研修の充実は必要である。
(3) 割賦販売法の改正により個別クレジットに対する規制が強化された 2008 年以降、悪質業者は個別クレジットから自社割賦を利用した販売に移行している。自社割賦についても、支払能力を超えた契約の勧誘や締結を禁止するなどの実効性のある規制の導入を求める。
本件の詳細は報告書をご覧ください。
「エキストラ応募後に結んだレッスン契約に係る紛争」は、
あっせん・調停不調となりました (xxx消費者被害救済委員会報告)
都内の消費生活センターには、オーディションを契機としたタレント・モデル契約に関する相談が毎年多数寄せられています。特に本件のように消費者の解約申出にあたり、事業者側が返金に応じないという相談が多いことから、今後の同種・類似事案の解決に役立てるため、都は、xxx消費者被害救済委員会(会長 xxxx 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会からあっせん・調停不調により終了したと知事に報告がありましたので、お知らせします。
【申立人】20 歳代の男性
【相手方】※同名又は類似名の事業者と間違えないようにご注意ください。甲:株式会社アクターズステーション
(登記簿上の本店所在地:xxxxxxxxxxx 00 x0x)乙:株式会社レアル
(登記簿上の本店所在地:xxx新宿区中xx1-13-2グリーンビル3F)
(本件契約書上の住所:xxxxxxxxxxx 00 x0x)
【申立人の主張による紛争の概要】
申立人は、アルバイト情報サイトから甲のエキストラに応募しました。電話で甲の事務所まで登録に来るようにと言われ出向いたところ、短編映画出演のオーディションを勧められ受けました。結果を聞きに来るよう言われ、翌日甲の事務所に出向き合格を告げられた際に、映画に出演するには乙とのレッスン契約が必要だと初めて言われ、約 50 万円のレッスン契約をしてしまいました。解約を申し出たところ、相手方から受講料は返金するが入学金は返金しないと言われ、紛争になりました。
紛争の概要
委員会は、本件契約は、特定商取引法で規定するアポイントメントセールス(電話等で、販売目的を隠して消費者を呼び出し、商品や役務等の有料の契約を勧誘する手法。以下「アポイントメントセールス」といいます。)に該当し、交付された契約書には同法で定める事項が記載されていなかったことから、同法に基づきクーリング・オフができると判断し、あっせん案を提示しましたが、相手方が応じなかったため、調停案を提示しました。
相手方は、アポイントメントセールスに該当しない、契約書の記載不備もないとして、同意
しませんでした。そのため委員会は、あっせん・調停を不調として処理を終了しました。
あっせん・調停の結果 ~相手方が同意せず、あっせん・調停不調~
★ エキストラに応募した人に対し、登録の際にオーディションを勧め、「才能がある」などと持ち上げて有料のレッスン契約を結ばせる事業者がいます。慎重な判断が必要です。
★ 高額な契約の締結を即座に決断せず、長期間レッスンを受け続けることができるのか、支払いが無理なくできるのか周囲にも相談してください。
★ 契約書は、隅々までよく読みましょう。記載が難しく意味が分からなければ、消費生活センターに相談しましょう。消費者ホットライン188に電話すると、お近くの消費生活相
談窓口につながります。
消費者へのアドバイス ~オーディション後に高額な契約、よく考えて~
【問合せ先】
xxx消費生活総合センター
活動推進課 電話:03-3235-4155
★ 本件は、エキストラに応募した申立人に対し、事業者が本来目的としているレッスン契約の締結に関し一切告げずに、登録やオーディション、その合格発表を名目に数度にわたり来訪を要請しています。これはアポイントメントセールスに該当し、法で定められた事項が記載された書面を受領した日から8日間はクーリング・オフが可能です。
★ 本件では、乙が提供するレッスン契約を申立人に勧誘したのは甲でした。甲と乙は、互いに委託関係はないため、乙との契約がアポイントメントセールスに当たらない等と主張していますが、甲が繰り返し乙のレッスン契約の締結を自ら行い、乙もこれを承認している事実があることから、甲の勧誘行為は乙の勧誘行為とみなされます。
本件のポイント
xxx消費者被害救済委員会「エキストラ応募後に結んだレッスン契約に係る紛争」審議の概要
xxx消費者被害救済委員会とは、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそ
れのある紛争について、xxかつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
◆ 主な審議内容
1 甲と乙との間には媒介が成立しており、本件はアポイントメントセールスに該当する。
本件は、甲が申立人をレッスン契約の勧誘目的を明示せずに事務所に呼び出したことが、アポイントメントセールスに該当するかが問題となるが、本件では、乙がエキストラ募集業務をしている甲に対し、本件レッスン契約の締結業務を委託していたとみることができ、甲と乙との間には媒介が成立していると考えられ、消費者契約法第5条により、抗弁の接続が認められる。よって、本件レッスン契約は、アポイントメントセールスに該当する。
2 契約書の記載事項に不備があり、クーリング・オフの起算日は進行しない。
申立人は、契約書受領後8日を過ぎてから書面で契約を解約したい旨を申し出ているが、申立人に交付された契約書には記載不備があるため、クーリング・オフが成立する。
3 解約時に入学金は返還しないという条項は、消費者契約法第9条に基づき無効となる。
本件の入学金は、大学の在学契約における学納金の返還請求に関する最高裁判決(平成 18
年 11 月 27 日)における「大学に入学し得る地位を取得する対価」とは異なり、消費者契約法第9条第1号の平均的な損害とは言えず、入学金全額の返還を拒むことはできない。
◆ 同種・類似被害の再発防止に向けて
1 事業者に対して求めること
(1) 事業者がレッスンを提供する場合は、消費者に何のレッスンを提供し、それにより俳優としてどのような力がつくのか消費者が見極め、契約の締結の可否を判断できるように、予めレッスンの内容を全て確定し契約締結前に開示しなくてはならない。
(2) 継続的に役務提供をする契約の場合、中途解約に関して、支払った対価を合理的に清算できる規定を設けておかなければならない。
2 消費者に対して求めること
(1) オーディションを利用して有料のレッスン契約を結ばせる商法に注意が必要である。
(2) 高額な契約の締結は、長期間レッスンを受け続けることができるのか、支払いは無理せずに続けられるのか、慎重に、周囲に相談するなどしてから締結するべきである。
3 行政に対して求めること
特定商取引法の特定継続的役務提供に、タレント・俳優育成契約を加え、債権債務の内容を適正に記載した書面交付義務、クーリング・オフ制度、中途解約と契約金の清算に関する規定など、多発する若年者被害を効果的に防止する手だてが必要だと考える。
本件の詳細は、報告書をご覧ください。
「日本語教育サービスの中途解約に係る紛争」の審議の経過及び結果について
~ xxx消費者被害救済委員会 報告 ~
都内の消費生活センターには、教育サービス契約を中途解約したが返金されないといった外国人留学生からの相談が寄せられています。未受講分の返金について消費者保護の規定の適用に関する考え方を整理して、今後、同種・類似紛争の解決に役立てるため、都は、xxx消費者被害救済委員会(会長 xxxx 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会からあっせん・調停手続に至らなかったが、本件に係る法的問題点について審議しとりまとめた旨、知事に報告がありましたので、お知らせします。
○ 申立人の主張の概要
外国人留学生である申立人(20 歳代女性)は、日本の大学院進学を希望しており、来日して日本語を学ぶため、日本語教育サービス事業者である相手方が提供する進学1年9か月コース
(平成 30 年7月入学)に申し込んだ。学費は、相手方の請求により、平成 30 年5月に最初の
1年分を、令和元年5月に残りの9か月分を支払った。支払期限等が記載された学費納付依頼書以外に、契約書などはもらっていない。
令和元年8月上旬に、9月下旬から希望の大学院に入学できることが決まったことを理由に、相手方に9月末での退学と 10 月以降の授業料の返金を申し出たが、相手方からは、ルールに
より一切返金できないと言われた。授業を受けていないので、中途退学後の令和元年 10 月から翌年3月までの学費を返金してほしい。
〇 審議の経過及び結果 ~裁判所における手続に移行~
委員会では当事者双方から資料の提出を受け聴取を行い、解決案を提示することとしていたが、審議の中途で相手方代理人弁護士から、消費者被害救済委員会ではなく、裁判所において本件の適正な解決を図るとの申し出があり、相手方から、今後の資料提供及び聴取への協力が得られないこととなった。
本件について、最終的な解決案を示すための審議に足る調査が難しいため、解決処理の手続を終了することとしたが、本件が付託された趣旨に鑑み、本件で考え得る法的問題点について審議し、基本的な考え方を示すこととした。
【本件で考え得る法的問題点】
● 本件の教育サービスは、特定商取引法の規制対象となっている「語学の教授」に該当し、同法に基づき中途解約による返金を求められるのではないか。
● 相手方は、納付後の学費は一切返金しないとしているが、消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする、消費者契約法の趣旨に反するのではないか。
◆ 消費者へのアドバイス
★ 教育機関に限らず、契約トラブルや中途解約などについて納得できない取り扱いに直面した場合、早めに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。xxx消費生活総合センターの場合、外国語(英語・中国語・韓国語)による相談も対応しています。
★ トラブルにならないよう、契約時には契約内容をしっかり確認し、契約書など書面の交付を求めましょう。
【問合せ先】
xxx消費生活総合センター
活動推進課 電話:03-3235-4155
◆ 今後のxxxの対応
★ 都では、外国語(英語・中国語・韓国語)の電話での三者間 通話による消費生活相談を行っています。都内の留学生をはじめ
在住外国人の方に活用していただけるよう、更に周知を行っていきます。
★ 国や都内の消費生活センター等の関係機関に対し、本件の法的問題点に係る基本的な考え方などについて、情報提供を行います。
xxx消費者被害救済委員会「日本語教育サービスの中途解約に係る紛争」審議の概要
※xxx消費者被害救済委員会とは、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、xxかつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
◆ 本件の法的問題点についての基本的な考え方のポイント
1 特定商取引法上の考え方
特定商取引法で規制対象となる特定継続的役務提供では、語学教室(語学の教授)は対象となっているが、小・中・高校、大学等の入学試験準備や学校教育の補習に特化したものは、この対象から除かれるとされている。しかし、例えば進学コースというコース名であっても、そこに入学準備を目的としない他のコースの受講生が含まれている場合や、他コースと比較して教育内容に差異が見られないなどの場合においては、入学試験準備に特化した教育サービスを提供するものとは認められず、特定商取引法で定める「語学の教授」に該当する可能性があるのではないか。
2 消費者契約法上の考え方
教育機関での在学契約に関し、中途解約をする学生が現れたとしても、年 4 回程度の入学機会を設定しているなどの場合、中途入学者を受け入れ、欠員を補充するための対応をとることもできると考えられる。
このような場合、例えば、「中途解約に際して解除後の期間に対応する授業料を一切返還しない」という特約は、消費者契約法9条1号における平均的損害を超えるものと解することができるのではないか。
◆ 同種・類似事案の再発防止のための意見
1 事業者に対して求めること
学年途中の退学者の授業料の扱いについては、入学当初の契約書や入学生向けの説明書等で判りやすく明示していただきたい。日本語教育サービス事業者には、留学志望者が事前に契約内容を知ることができるよう、ウェブサイトなどで明示するなどの対応を期待するほか、諸外国の留学仲介業者に文書によって契約内容を周知させる工夫と努力が望まれる。
2 消費者に対して求めること
留学生は、留学仲介業者からの口頭の説明だけでなく、日本語教育サービス事業者が発行した契約書やその内容が説明されたものをインターネットで入手するなどして、現状を確認した上で、申込金・入学金・学費などを支払う慎重さが望まれる。
3 行政に対して求めること
⑴ 日本に留学滞在する外国人が日本で消費者トラブルに遭遇した場合、言葉や商慣習の違いもあって解決が困難なこともあると思われるので、言葉の壁を克服できる相談体制の工夫が望まれる。xxxでは、外国語(英語・中国語・韓国語)による相談を受け付けているが、この外国語相談の存在が都内の留学生等に届くよう更なる周知を求めたい。
⑵ 本件のような日本語教育サービス事業者が提供するサービスが、特定商取引法の特定継続的役務提供に該当するか、今後の紛争を防止し、日本語教育サービス事業者等の指針となるよう、その解釈について本報告書に即した規則等の改正を期待したい。
令和3 年7 月7 日生 活 文 化 局
「SNS広告で知ったオーディションの合格を契機に締結したレッスン契約に係る紛争」はあっせん・調停不調となりました (xxx消費者被害救済委員会報告)
都内の消費生活センターには、オーディションを契機としたモデル・タレント契約に関する相 談が毎年多数寄せられており、その約7割は若者からの相談です。令和4年4月にxx年齢が引 き下げられると、若者の被害はさらに拡大すると懸念されます。本件の問題点や考え方を整理し、今後の同種・類似紛争の解決にも役立てるため、都は、xxx消費者被害救済委員会(会長 x xxx 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会から知事に、あっせん・調停不調により終了したと報告がありましたので、お知らせし ます。
【申立人】2名(20 歳代の男性、30 歳代の女性)
【相手方】A社:株式会社ワイケー(契約相手方)
登記上の本店所在地:xxx港区芝3丁目 15 番 13 号XXXXビル2階 B社:株式会社KEITO(事業運営者)
登記上の本店所在地:xxxxx区xx8丁目 13 番 10 号 A社及びB社の実際の活動場所:
xxx中央区日本橋xx町 16 番1号トーマスビル3階
【申立人の主張による紛争の概要】
各申立人は、SNSに表示されたA社のオーディション広告に応募した。A社からオーディションに参加してほしいと連絡があり、A社の事務所でオーディションを受けたところ、担当者から合格を告げられ、それぞれ約 80 万円、約 60 万円のクラスを勧められた。各申立人は、有料のレッスン契約が必要だと初めて知り、「今日決められない。」、「高額なので難しい。」と伝えたが、モデルになりたいなら今しかないなどと勧誘され、契約して頭金を支払ってしまった。オーディションを受けるだけのつもりが、高額な契約をしてしまったことを後悔した各申立人は、クーリング・オフを申し出たが、A社は、契約書に入学金、受講料等は返金しない旨の条項があると主張し、クーリング・オフに応じなかったため、紛争となった。
紛争の概要
委員会は、本件契約は、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)で規定するアポイントメントセールス※に該当するため、クーリング・オフが可能と判断し、あっせん案を提示しましたが、各相手方が応じなかったため、調停案を提示しました。
しかし、各相手方は、解決案には申立人側の主張のみが反映されているとして、同意しなかったため、委員会はあっせん・調停不調として処理を終了しました。
※ 勧誘目的を明らかにせずに、電話、SNSのメッセージ機能等により、消費者を営業所等に呼び出す手法
あっせん・調停の結果 -相手方が同意せず、あっせん・調停不調-
★ SNS等のオーディション広告によりモデル・タレント志望者を募る事業者の中には、オーディション後に突然、高額なレッスン契約の勧誘をする場合があり、注意が必要です。
★ 契約書や書面については、署名・押印する前に、慎重に検討しましょう。その意味や内容が分からない時は、いったん持ち帰って周囲の人や消費生活センター等に相談してください。消費者ホットライン188に電話すると、お近くの消費生活相談窓口につながります。
消費者へのアドバイス -オーディション後の高額契約は慎重に検討を-
【問合せ先】
xxx消費生活総合センター
活動推進課
電話:03-3235-4155
本件は、A社と各申立人との契約に係る紛争として付託されましたが、審議中、A社から、A社はすでに本件対象事業を含むエンターテイメント事業をB社に譲渡しており、本件紛争処理についてはB社が対処する旨の申し入れがありました。
ただし、各申立人にA社から上記事業譲渡等をした旨の連絡はなされておらず、また、債権譲渡等の法的手続を行っているかの確認ができなかったため、契約者であるA社と事業運営者であるB社の双方を紛争の相手方として処理しました。
本紛争における相手方についての考え方
xxx消費者被害救済委員会における審議の概要
xxx消費者被害救済委員会は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、xxかつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
◆ 主な審議内容
1 本件はアポイントメントセールスに該当し、クーリング・オフが可能である。
SNSの広告に応募した各申立人に対し、A社は、オーディションの結果次第では有料のレッスンを受けるための役務契約を締結する必要があることを説明しないまま、事務所への来訪を要請していた。役務契約の締結目的を隠匿して勧誘していることから、本件はアポイントメントセールスとして訪問販売に該当し、クーリング・オフが可能である。
2 各申立人は、消費者に該当し、消費者関連法令の適用を受ける。
各申立人は、役務契約と同時にタレント活動に関するエージェント契約を締結していた。また、A社に求められ、インターネットビジネスにかかる個人事業主である旨の書面にサインしていたが、タレントとして活動した実績も、インターネットビジネスで生計を立てている実態もなかった。さらに、A社とは知識や情報収集力、交渉力に大きな格差があることを踏まえると、各申立人は消費者であると評価でき、消費者関連法令の適用を受ける。
3 「会費の不返還」等に関する規定は、消費者契約法の適用が考えられる。
役務契約書の「会費の不返還」等の規定は、消費者契約である役務契約が解除されても代金を一切返金しない旨の不返還特約に当たり、消費者契約法の適用が考えられる。
◆ 同種・類似被害の再発防止に向けて
1 事業者に対して求めること。
(1) 社会経験が少ない若年者が、オーディション通過によって冷静な判断ができず、安易な契約締結をすることがないよう、契約の費用や期間だけでなくその内容についても明確に提示し、受講者の十分な理解と納得を得られるよう、慎重な対応をすべきである。
(2) 継続的に役務提供を行う契約では、受講者が必要と認めた時に契約離脱できるよう、中途解約に関する適切な規定を設け、支払った対価の清算を合理的にすべきである。
2 消費者に対して求めること。
(1) 熱心に契約を勧誘されると、特に若年者は断りにくく、相手のペースに引きずられるという状況に陥りがちである。高額な契約は即座に決断せず、いったん持ち帰って、周囲の人と相談したうえで、契約すべきかどうかを慎重に判断するようにしたい。
(2) 署名を求められる書面や契約書は、法的な意味を持つ。意味が分からないままに署名・押印することなく、消費生活センターなどに相談して、その理解に努めてほしい。
3 行政に対して求めること。
①特定商取引法の特定継続的役務提供にモデル・タレント・俳優育成契約を加え、②当該契約以外に事業者性を基礎づける事情がない場合に、事業者が顧客を事業者とみなして特定商取引法等の適用を免れる方策を禁止し、③社会生活上の経験不足につけ込んだ勧誘について、消費者契約法の要件を緩和し取消権を付与することを検討するなど、若年者被害の拡大に備えた効果的な防止施策が必要である。
本件の詳細は、報告書をご覧ください。
「トイレの詰まりをきっかけとした高額な修理契約に係る紛争」はあっせん解決しました (xxx消費者被害救済委員会報告)
令和2年度に都内の消費生活センターに寄せられたトイレの詰まり解消等修理に関する相談は、前年度の約3倍と若年層を中心に急増しました。
緊急性の高い修理等自ら訪問を要請した本件のトラブルに関して、法的な考え方や問題点を整理して、今後の同種・類似紛争の解決にも役立てるため、都は、xxx消費者被害救済委員会(会長 xxxx 弁護士・東京経済大学現代法学部教授)に標記紛争の解決を付託していました。本日、同委員会から知事に、あっせん解決したと報告がありましたので、お知らせします。
【紛争の概要】
xxxら(20 歳代の男性2名)は、自宅のトイレが詰まったため、インターネットで検索して、一番上に出てきた「950 円〜」、「980 円〜」と安価な代金を表示していたウェブサイトのフリーダイヤルに電話して、詰まりの解消修理を依頼しました。相手方(水回り修理事業者)からはすぐに折り返しの電話があり、これから行くと言われましたが、代金や具体的な作業内容はわかりませんでした。自宅を訪ねてきた相手方はすぐに修理を始め、詰まりが解消しないと言って次々に修理方法とその代金を提案してきました。申立人らは、はやく詰まりを解消したいと焦って、その都度了承し、その結果、高額な代金(25 万円)を請求され、支払うことになってしまいました。
翌日、インターネットで事業者の評判や修理代金の相場を調べたり、親や知人に相談したりして、支払った代金は高すぎると思い、消費生活センターに相談しました。8日以内にクーリング・オフ通知を出しましたが、相手方がこれを認めなかったため、紛争になりました。
【あっせん解決の内容】
委員会では、本件契約は、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」といいます。)で規定する訪問販売に該当し、同法第9条に基づくクーリング・オフができると判断しました。その結果、申立人ら及び相手方事業者双方で、既払金の返還及び債務不存在の確認を行う合意が成立しました。
★ インターネットで安価な代金を表示していても、修理中に高額な代金を提示してくる事業者がいます。広告の安価な代金をうのみにせず、信頼できる複数の事業者に作業内容と代金の相場を確認してから修理を依頼しましょう。
(マンション等集合住宅に住んでいる場合)まずは管理会社に連絡を
(一般住宅に住んでいる場合)xxx指定排水設備工事事業者等を参考に⇒
★ 日頃から、流せると記載されているものでも、流せる分量かどうかをあらかじめ確認したり、それでも詰まった時は、事業者を呼ぶ前に市販のラバーカップを試すなど、トイレの使い方に気を付けましょう。
★ 途中でおかしいと気付いたら、事業者に作業を止めてもらい、消費生活センターに相談しましょう。また、作業が完了して支払いが済んだ後でも、諦めずに相談してください。
消費者へのアドバイス -ネット広告をうのみにしないで相場の確認を-
【問合せ先】
xxx消費生活総合センター
活動推進課 電話:03-3235-4155
xxx消費者被害救済委員会における審議の概要
xxx消費者被害救済委員会は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし、又は及ぼすおそれのある紛争について、xxかつ速やかな解決を図るため、あっせん、調停等を行う知事の附属機関です。
◆ 主な審議内容
1 本件は特定商取引法の訪問販売に該当する。
インターネットの広告を見て修理を依頼した申立人らに対し、相手方は申立人らの自宅において、作業内容・代金の説明を行い、各工程の都度申立人らから了承を得た上で、作業を開始している。このことから、本件は、営業所等以外の場所で役務提供契約を締結して行う役務の提供に該当するため、特定商取引法第2条第1項第1号の訪問販売に該当する。
2 本件は特定商取引法第 26 条第6項第1号の適用除外(※)に該当しない。
申立人らは、「950 円~」、「980 円~」というウェブサイト上の表示を見て修理を依頼
したが、広告には総額や上限額、具体的な作業内容が分かる記載はなく、また、電話で修理を依頼した際にもそうした説明はされていなかった。
特に代金は、契約の成立に必要不可欠な要素であるが、申立人が事前に知り得た金額と実際の代金(25 万円)との間には、約 250 倍という相当の開きがある。依頼した段階では契約の主要部分が確定しておらず、申立人らは、安価な金額での修理を依頼したのであって、最終的な作業内容・代金による契約をする意思を有していたとは言えない。よって、特定商取引法第 26 条第6項第1号で規定する「役務提供契約の申し込みをし」又は「役務提供契約を提供することを請求し」た者には当たらないため、適用除外に該当せず、同法第4条から第 10 条までの規定の適用を受ける。
※販売業者等が自らの意思に基づき住居を訪問して販売を行うのではなく、消費者の「請求」に応じて行うその住居における販売等は、クーリング・オフ等の規定が適用除外となる。
3 本件はクーリング・オフが成立する。
本件は、上記1及び2により、特定商取引法第9条のクーリング・オフの適用を受ける。申立人らは契約を締結した日から8日以内に解約通知を送付していることから、クーリング・オフは成立する。
◆ 同種・類似被害の再発防止に向けて
1 事業者に対して求めること。
(1) 緊急性の高い契約については、消費者は冷静に考えることが困難な状況にある。事業者は、不当景品類及び不当表示防止法等法令の規制に則ることはもとより、消費者の目線に立ち、xxxに従ったxxな広告表示を心がけることが求められる。
(2) 現場に赴く前に、消費者に対して可能な範囲で契約の内容(特に主要部分と考えられる代金や作業内容)を具体的に説明する必要がある。また、現場においても、作業開始前に見積りを口頭で伝えることはもちろん、書面で提示することが求められる。
2 消費者に対して求めること。
(1) 不慣れで緊急性の高いトラブルの場合、一刻も早くトラブルを解消したい気持ちになり、想定を遥かに上回った高額な契約をしてしまうことがあり得る。消費者自身が、平時から広告の読み方に気を付けるなど、広告の情報を単純にうのみにしないリテラシーを身に付けていくことが望ましい。
(2) 事業者に積極的に作業内容や見積額を確認する、修理前に見積書をもらう、修理の途中経過を見届けるなど、事業者任せにしないことが重要である。日頃から修理を依頼できるところを探しておき、いざトラブルが生じたときに慌てないようにする必要がある。
3 行政に対して求めること。
(ア)修理事業者に対して、消費者とのxxかつ適正な契約の締結を促す措置を取るよう注意喚起し、(イ)広告の不当表示が疑われる事業者に対する規制、法執行を強化し、(ウ)トイレの詰まりの修理対応について消費者に必要な注意喚起をするなどして、被害の拡大を未然に防ぐ方策を実施することが求められる。
本件の詳細は、報告書をご覧ください。