Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
資料1-3
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
雇入契約に係る手続きの負担軽減
○ 海上における具体的な労働条件については、船員と使用者の当事者間で結ぶ労働契約において決められる。
やといいれ
○ 船員法上、船員と使用者間で結ばれる労働契約には、「雇用契約」と「雇入契約」の二つが存在する。
○ 「雇入契約」とは、特定の船舶に乗船することを内容とする契約で、乗船する船舶が決まった段階で明らかになる船舶の航行区域、航行期間、航行中の職務等の労働条件に関して、乗船の都度、雇入契約が結ばれる。
船員の労働契約(「雇入契約」)について
やといいれ
雇用 <「雇入契約」と「雇用契約」のイメージ> 雇用
開始 終了
雇入 雇止 雇入 雇止 雇 | ||||
雇 入 契 約 | ||||
雇 入 契 約 | ||||
・・・ | 乗 船 | 下 船 | 乗 船 | 下 船 |
入
雇 用 契 約
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雇入契約に係る手続きについて(現行)
○ 陸上から離れた特殊な環境下で長期間労働することになる船員の保護を図るため、船長等からの届出を通じ、その雇入契約が、
① 航海の安全に関する法令の規定に違反するようなことがないかどうか
② 船員の労働関係に関する法令の規定に違反するようなことがないかどうか
③ 当事者の合意が充分であったかどうかを確認している。(船員法第38条)
○船員法(昭和22年法律第100号)(抄)
(雇入契約の成立等の届出)
第三十八条 国土交通大臣は、雇入契約の成立等の届出があつたときは、その雇入契約が航海の安全又は船員の労働関係に 関する法令の規定に違反するようなことがないかどうか及び当事者の合意が充分であつたかどうかを確認するものとする。この場合において、国土交通大臣は、必要があると認めるときは、第百一条第一項の規定による命令その他必要な措置を講ずるものとする。
<届出時の主な確認事項>
① 航海の安全に関する法令への適合性
「海技免状」や「船員手帳」で船舶の運航に必要な資格を有するものが乗り組んでいるかどうかを確認。
「クルーリスト」で航海を成就するために必要な人数が乗り組んでいるかどうかを確認。
② 労働関係の法令への適合性
「海員名簿」で労働条件(乗船期間・労働時間・休日・賃金等)が法令の要件を満たしているかどうかを確認。
「船員手帳」で健康証明書を所持しているか、船員保険等の必要な保険に加入しているかどうかを確認。
③ 当事者の合意の有無
「海員名簿」で労働条件への船員の合意が充分であったかどうかを確認。 3
雇入契約に係る手続きの流れ
○ 雇入契約の成立や終了等があったときは、船長(※)がその都度、最寄りの地方運輸局等に届け出ることとされ
ている(船員法第37条)
(※)船長が届け出ることができないときは、船長に代わって船舶所有者が届出を行うことができる。
○ 届出内容の確認により、違反が見つかった場合等は変更指導等、必要な措置を講じている。(船員法第38条)
船舶所有者
契約締結
船 員
雇入契約書の交付(法§36)
労働条件を書面で説明(法§32)
[行政への届出]
船 長
届出(法§37)
届出書を提出し、海員名簿・船員手帳等を提示。
確認印押印
必要に応じて、変更指導等(法§38)
確認を受けた海員名簿・船員手帳は船内で備置。(法§18)
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※ 契約の終了・更新・変更の場合も、上記と同様の手続を行う。
雇入契約に係る手続きの負担軽減に向けた取組み
○ 届出手続きにおける船長や船舶所有者等の負担軽減を図るため、届出制度の枠組みを維持しつつ、これまで
以下の取組みを実施してきたところ。
〇 また、一括届出については、一定の船舶に対象を限定しているが、制度開始以降(S22年~)、船員保護の観点から支障が生じない範囲において、その対象をxx拡大してきたところ。
オンライン届出(平成15年~)
船員が社内の他船に転船する場合は最寄り
の運輸局の窓口に行くことなく、オンラインで届け出ることができる。
雇入成立時等に係る手続きを公認制から届
出制に変更する際、事業者等の負担軽減を図るために導入。
届出
一括届出(昭和22年~)
航海の態様が類似し、かつ、船員の労働条件が同等である許可船舶間については、一度届け出れば、その後は、船員の乗下船や転船(乗換え)の届出を省略できる。
一度の届出のみでよい
許可を受けることで一つの船舶と見なす
雇入
対象船舶に係る
一括取扱いの許可申請
乗下船や転船毎の雇入届出を省略
【一括届出許可の手続の流れ】
許可船舶への船員の雇入届出
許可
【許可の対象となる船舶の追加(労働条件同等船)の例】
平成8年、船舶の用途が同一の船舶(労働条件同等船)を一括届出の対象に追加。
「労働条件同等船」の一括届出については、活用促進に当たって以下のような課題が考えられる。
・許可申請時に用意しなければならない書類※が多く、船舶所有者や船長等にとって事務負担が大きい。
※ 向こう1年分の休日付与簿・配乗計画 等
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雇入契約に係る手続きに関する調査結果
○ 届出のため運輸局等に来訪した者に対して調査を実施。届出における船長や船舶所有者の負担等を把握。
1.調査期間
令和元年10月23日(水)~11月6日(水)
2.調査方法
4.船種等別回答状況
16%
10%
14%
55%
3%
xx旅客船
xx貨物船
0% 2%
雇入契約の成立等の届出のため、各運輸局・支局窓口に来訪した者の中から調査票を配布、回収できたものを集計。
3.回答数
総回答数 310(うち無効回答数 47)、有効回答率 85%
4.雇入契約の成立等の届出書の作成等
xx旅客船xx貨物船漁船
その他無回答
作成者 | 回答数に占める割合 |
船長 | 60% |
船長以外の乗組員 | 16% |
陸上の事務員等 | 26% |
代理人 | 2% |
出頭者 | 回答数に占める割合 |
船長 | 56% |
船長以外の乗組員 | 20% |
陸上の事務員等 | 25% |
代理人 | 1% |
5.窓口への出頭
24.3分
平均移動時間
平均作業時間 | 届出書の作成 | 35.2分 |
添付書類の準備 | 33.2分 |
事務作業・船長職務に対する意見 (船内の労働時間管理の実態等に関するアンケート調査結果(第111回 船員部会資料抜粋))
• 書類等の軽減/重複する内容の報告書等が多い 。
• 事務作業を労働時間として認めて欲しい。
• そもそも法定労働時間の中で船長職務を行う事は無理であり、この部分についてはなにか対応が必要。
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雇入契約に係る手続きの負担軽減について(見直しの方向性)
○ 労働条件同等船に係る一括届出許可では、航行の安全や労働関係の法令への適合性の確認の他、適切な船員の労務管理を遂行し得る体制について確認するため、必要な書類の提出等を求めているところ。
〇 船員の労働保護と船員の負担軽減との両立を図るため、船舶所有者による適正な労務管理体制整備の取組を勘案した確認方法に見直すこととする。
○ また、特に負担となっている窓口出頭については、メール等のオンライン手続きの活用について検討する。
【一括届出許可の手続の流れ】
対象船舶に係る
一括取扱いの許可申請
許可船舶への船員の雇入届出
乗下船や転船毎の雇入届出を省略
確認事項
現在の確認方法
考えられる見直しの方向性
確認事項
確認方法
①航行の安全に関する法令の適合性
②労働関
多数の書類を提出させ、必要書類が揃っていることをもって労務管理体制の適正を確認
海員名簿
船舶検査証書及び船舶国籍証書配乗計画表又は
配乗実績表(一年分)
労働時間の把握方法や就業規則の内容などから、労務管理体制の適正を確認
引き続き確認引き続き確認
・労務管理責任者(仮称)の選任
・労務管理講習等の受講
③当事者の合意
引き続き確認
係法令への適合性
休日付与簿 (一年分)
・船員の労働時間・乗下船等の実績が適正に把握・記録される体制の確認等
許可時の提出書類の負担軽減を図る
一方で、許可後に適正に把握・記録が作成されているかどうか等の調査のルールは現行どおり
労働協約/就業規則
・モデル就業規則に準じた就業規則
等 等 7
届出主体の見直し
〇 改正前の商法では、船籍港において、船長は海員の雇入及び雇止をする権限を有する旨を規定。
〇 平成30年の商法改正により、一般的に船員の配乗権は船長ではなく船舶所有者にあり、船長が船舶所有者の意向を確認しないで雇入・雇止をするような実態は現在はないことを背景に、この規定は削除された。
〇 船員法では雇入・雇止時の運輸局等への届出は、原則として船長が行うこととされており、届出を行わなかった者は罰則の対象とされているなど、重い責任を課しているところ。
○ これまでの船員部会において、労務管理は使用者の下でxx的に行われることが適当であると議論してきたことや、平成30年の 商法の改正を踏まえ、船員法上の届出の主体も船舶所有者に見直してはどうか。
【改正前】商法(明治三十二年法律第四十八号)(抄)第七百十三条 (略)
② 船籍港ニ於テハ船長ハ特ニ委任ヲ受ケタル場合ヲ除ク外海員ノ雇入及ヒ雇止ヲ為ス権限ノミヲ有ス
部会資料8 商法(運送・海商関係)等の改正に関する論点の補充的な検討⑵(抜粋)
(法制審議会商法(運送・海商関係)部会第7回会議(平成26年11月12日開催)
実務上は,海員の雇入れ及び雇止めは,配乗管理担当の部署が船舶所有者名義で海員との契約を締結するなどし,海員は,乗船の際に船員手帳や海技免状を船長に提出して乗船契約の内容につき船長と確認をし,船長は,船舶所有者の代理人として,海員名簿に所要の記載をして運輸局に届出を行うようである。
このように,一般的に,海員の配乗権は船長ではなく船舶所有者にあるとされていることを前提とすると,商法第713条第2項を削除し,必要に応じて船舶所有者が船長に代理権を授与すれば足りると考えられる。
○船員法(昭和22年法律第100号)(抄)
(雇入契約の成立等の届出)
第三十xx xxは、雇入契約の成立、終了、更新又は変更(以下「雇入契約の成立等」という。)があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならない。
2 前項の場合において船長が届け出ることができないときは、船舶所有者は、船長に代わつて届け出なければならない。
(罰則)
第xx十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第三十七条の規定に違反して雇入契約の成立等の届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 ~ 十五 (略)
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