Contract
昭和 42・8・25・条約 10号発効昭和 42・9・16・外務省告示149号
xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxx/xxxxxx/xxxx/X-X00-0000_0.xxx xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxx/xxxxxx/xxxx/X-X00-0000_0.xxx xxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxx/xxxxx/xxxxxx/xxxx/X-X00-0000_0.xxx
前文
締約国は、
経済開発のための国際協力の必要性及びこの分野における国際的な民間投資の役割を考慮し、締約国と他の締約国の国民との間でこの投資に関連して随時紛争が生ずる可能性に留意し、 これらの紛争が通常は国内の訴訟手続に従うものであるが、場合によつては、国際的な解決 方法も適当であることを認め、
締約国及び他の締約国の国民が、希望するときは、これらの紛争を付託することができる国際的な調停又は仲裁のための施設を利用することができるようになることを特に重視し、 国際復興開発銀行の主唱により前記の施設を設けることを希望し、
前記の施設を通じてこれらの紛争を調停又は仲裁に付託する旨の両当事者の同意が、調停人のいかなる勧告に対しても妥当な考慮を払うこと又はいかなる仲裁判断にも服することが特に要求される拘束力のある合意を構成することを認め、また、
いかなる締約国も、その同意なしに、単にこの条約の批准、受諾又は承認の事実のみによつては、特定の紛争を調停又は仲裁に付託する義務を負うものとはみなされないことを宣言して、
次のとおり協定した。
第1章 投資紛争解決国際センター第1節 設立及び組織
第1条 センターの設立、目的
(1) 投資紛争解決国際センター(以下「センター」という。)をここに設立する。
(2) センターの目的は、締約国と他の締約国の国民との間の投資紛争をこの条約の規定に従
つて解決する調停及び仲裁のための施設を提供することである。
センターの所在地は、国際復興開発銀行(以下「銀行」という。)の主たる事務所とする。所在地は、理事会がその構成員の3分の2以上の多数をもつて採択する決定により、他の場所に移すことができる。
第3条 センターの構成
センターに、理事会及び事務局を設置し、並びに調停人名簿及び仲裁人名簿を常備する。
第2節 理事会
第4条 理事会の構成
(1) 理事会は、各締約国の1人の代表者で構成する。代表者代理は、代表者が会合に欠席しているか又は職務を行なうことができないときは、代表者の職務を行なうことができる。
(2) 締約国が任命する銀行の総務及び総務代理は、別段の指名がないときは、職務上当然にそれぞれその締約国の代表者及び代表者代理となる。
第5条 理事会の議長
銀行の総裁は、職務上当然に理事会の議長(以下「議長」という。)となるが、投票権を有しない。銀行の総裁が不在であるか若しくは職務を行なうことができない間又はその欠員の間は、総裁の職務を行なう者が理事会の議長の職務を行なう。
第6条 理事会の権限及び任務
(1) 理事会は、この条約の他の規定により理事会に与えられる権限及び任務のほか、次のことを行なう。
(a) センターの管理規則及び財務規則を採択すること。
(b) 調停及び仲裁の開始のための手続規則を採択すること。
(c) 調停のための手続規則及び仲裁のための手続規則(以下「調停規則」及び「仲裁規則」という。)を採択すること。
(d) 銀行の設備及び役務の利用に関する銀行との間の取極を承認すること。
(e) 事務局長及び事務局次長の勤務条件を定めること。
(f) センターの収入及び支出に関する年次予算を採択すること。
(g) センターの業務に関する年次報告を承認すること。
(a)、(b)、(c)、及び(f)に掲げる決定は、理事会の構成員の3分の2以上の多数により採択されなければならない。
(2) 理事会は、必要と認める委員会を設けることができる。
(3) 理事会は、また、この条約の規定の実施のために必要と決定するときは、その他の権限を行使し、かつ、その他の任務を遂行する。
第7条 理事会の会合及び投票
(1) 理事会は、年次会合のほか、理事会が定める会合又は議長が招集し、若しくは理事会の5人以上の構成員の要請により事務局長が招集する会合を開く。
(2) 理事会の各構成員は、1個の投票権を有する。この条約に別段の定めがある場合を除き、理事会に付託されるすべての問題は、投票の過半数によつて決定する。
(3) 理事会の会合の定足数は、その構成員の過半数とする。
(4) 理事会は、その構成員の3分の2以上の多数により、議長が理事会の会合を招集することなしにその表決を求めることができる手続を定めることができる。この表決は、理事会の構成員の過半数がこの手続に定める期限までに各自の投票を行なう場合に限り、有効とみなされる。
第8条 報酬
理事会の構成員及び議長は、センターから報酬を受けないで勤務する。
第3節 事務局第9条 事務局
事務局は、事務局長、1人又は2人以上の事務局次長及び職員で構成する。
第 10 条 事務局長及び事務局次長
(1) 事務局長及び事務局次長は、議長の指名に基づき理事会によりその3分の2以上の多数により6年をこえない任期で選挙されるものとし、再選されることができる。議長は、理事会の構成員と協議した後、それぞれの職について1人又は2人以上の候補者を推薦する。
(2) 事務局長及び事務局次長の職は、いかなる政治的任務の遂行とも両立することができない。事務局長及び事務局次長は、理事会の承認がある場合を除き、他のいかなる職務にもついてはならず、また、他のいかなる職業にも従事してはならない。
(3) 事務局次長は、事務局長が不在であるか若しくは職務を行なうことができない間又はその欠員の間は、事務局長の職務を行なう。理事会は、2人以上の事務局次長がいるときは、あらかじめ、これらの者が事務局長の職務を行なう順序を定める。
第 11 条 事務局長の任務、権限
事務局長は、センターの法律上の代表者及び職員の長であつて、この条約の規定及び理事会が採択する規則に従つてセンターの管理(職員の任命を含む。)を行なう責任を負う。事務局長は、裁判所書記の職務を遂行し、また、この条約に従つて行なわれた仲裁判断を認証し、及びそれらの謄本を証明する権限を有する。
第4節 調停人名簿及び仲裁人名簿第 12 条 名簿の構成
調停人名簿及び仲裁人名簿は、それぞれ、次の規定に従つて指名される適格者で、これらの名簿に登載されることを受諾するものをもつて構成する。
第 13 条 名簿のための指名
(1) 各締約国は、各名簿のためにそれぞれ4人を指名することができる。もつとも、それらの者は、当該国の国民であることを要しない。
(2) 議長は、各名簿のためにそれぞれ 10 人を指名することができる。このようにしていずれか一の名簿のために指名される者は、それぞれ異なる国籍を有する者でなければならない。
第 14 条 被指名者の資格
(1) 名簿に登載されるために指名される者は、徳望高く、かつ、法律、商業、産業又は金融の分野で有能の名のある者であつて、独立の判断力を行使することができると信頼されるものでなければならない。仲裁人名簿に登載される者については、法律の分野で有能であることが特に重要である。
(2) 議長は、さらに、名簿に登載される者を指名するにあたつては、世界の主要法系及び経済
活動の主要形態が名簿の上で代表されるように確保することの重要性についても、十分な考慮を払わなければならない。
第 15 条 名簿の構成員の任期
(1) 名簿の構成員の任期は、6年とし、更新することができる。
(2) 名簿の構成員の死亡又は辞任の場合には、その構成員を指名した当局は、その構成員の残任期間中在任する他の者を指名する権利を有する。
(3) 名簿の構成員は、後任者が指名されるまで在任する。
第 16 条 名簿への登載
(1) 1人の者が双方の名簿に登載されることができる。
(2) 1人の者が二以上の締約国により又は一若しくは二以上の締約国及び議長により、同一の名簿に登載されるために指名された場合には、その者は、これを最初に指名した当局により指名されたものとみなす。ただし、これらの当局の一がその者の国籍の属する締約国であるときは、その締約国により指名されたものとみなす。
(3) すべての指名は、事務局長に通告されるものとし、その通告が受領された日から効力を生ずる。
第5節 センターの財政
第 17 条 締約国によるセンターの経費負担
センターの経費がその施設の利用に対する料金その他の収入を超過するときは、その超過額については、銀行の加盟国である締約国は、銀行の資本に対するそれぞれの応募額に比例して負担し、銀行の加盟国でない締約国は、理事会により採択される規則に従つて負担する。
第6節 地位、免除及び特権第 18 条 センターの地位
センターは、完全な国際法人格を有する。センターの法律上の能力は、次のものを含む。
(a) 契約をすること。
(b) 動産及び不動産を取得し、及び処分すること。
(c) 訴えを提起すること。
第 19 条 センターの免除及び特権
センターは、その任務の遂行を可能にするため、各締約国の領域においてこの節に定める免除及び特権を享有する。
第 20 条 センターの財産及び資産
センター並びにその財産及び資産は、あらゆる訴訟手続の免除を享有する。ただし、センターがこの免除を放棄する場合は、この限りでない。
第 21 条 訴訟手続の免除並びに国内的義務の免除及び待遇
議長、理事会の構成員、調停人、仲裁人、第 52 条(3)の規定に従つて任命される委員会の構成員として行動する者並びに事務局の職員及び使用人は、
(a) その任務の遂行上行なう行為について訴訟手続の免除を享有する。ただし、センターがこの免除を放棄する場合は、この限りでない。
(b) 当該締約国の国民でないときは、当該締約国が他の締約国の同等の地位の代表者、公務員及び使用人に対して与える出入国制限、外国人登録義務及び国民的服役義務の免除、為替制限に関する便益並びに旅行の便宜に関する待遇と同様の免除、便益及び待遇を享有する。
第 22 条 第 21 条の規定の適用範囲
第 21 条の規定は、この条約に基づく手続に当事者、代理人、補佐人、弁護人、証人又は鑑定
人として出頭する者についても適用する。もつとも、第 21 条(b)の規定は、その手続が行なわれる場所へのこれらの者の往復の旅行及びその場所での滞在に関連してのみ適用する。
第 23 条 文書及び通信
(1)センターの文書は、所在のいかんを問わず、不可侵とする。
(2)各締約国は、センターの公的通信に関して、他の国際機関に与える待遇よりも不利でない待遇をセンターに与える。
第 24 条 課税免除
(1) センター、その資産、財産及び収入並びにこの条約によつて認められるその業務及び取引は、すべての内国税及び関税を免除される。センターは、また、いかなる内国税及び関
税の徴収又は納付の責任をも免除される。
(2) センターが議長若しくは理事会の構成員に支払う手当若しくは事務局の職員若しくは使用人に支払う給料、手当その他の給与に対し、又はこれらに関しては、これらの者が当該締約国の国民でないときは、いかなる租税も課してはならない。
(3) この条約に基づく手続において調停人、仲裁人若しくは第 52 条(3)の規定に従つて任命される委員会の構成員として行動する者が受領する報酬若しくは手当に対し、又はこれらに関しては、センターの所在地、当該手続が行なわれる場所又は当該報酬若しくは手当が支払われる場所を唯一の法律上の基準とする租税を課してはならない。
第2章 センターの管轄第 25 条 センターの管轄
(1) センターの管轄は、締約国(その行政区画又は機関でその締約国がセンターに対して指定するものを含む。)と他の締約国の国民との間で投資から直接生ずる法律上の紛争であつて、両紛争当事者がセンターに付託することにつき書面により同意したものに及ぶ。両当事者が同意を与えた後は、いずれの当事者も、一方的にその同意を撤回すことはできない。
(2) 「他の締約国の国民」とは、次の者をいう。
(a)両当事者が紛争を調停又は仲裁に付託することに同意した日及び第 28 条(3)又は第 36の規定に基づいて請求が登録された日に紛争当事者である国以外の締約国の国籍を有していた自然人。ただし、そのいずれかの日に紛争当事者である締約国の国籍をも有していた者は、含まれない。
(b)両当事者が紛争を調停又は仲裁に付託することに同意した日に紛争当事者である国以外の締約国の国籍を有していた法人及びその日に紛争当事者である締約国の国籍を有していた法人であつて外国人が支配しているために両当事者がこの条約の適用上他の締約国の国民として取り扱うことに合意したもの
(3) 締約国の行政区画又は機関の同意は、その国の承認を必要とする。ただし、その国がその承認を必要としない旨をセンターに通告する場合は、この限りでない。
(4) 締約国は、この条約の批准、受諾若しくは承認の時に、又はその後いつでも、センターの管轄に属させることを考慮し又は考慮しない紛争の種類をセンターに通告することができる。事務局長は、その通告を直ちにすべての締約国に通知する。この通告は、(1)に規
定する同意とはならない。
第 26 条 仲裁への付託同意
この条約に基づく仲裁に付託する旨の両当事者の同意は、別段の意思が表示されない限り、他のいかなる救済手段をも排除してその仲裁に付託することの同意とみなされる。締約国は、この条約に基づく仲裁に付託する旨の同意の条件として、その締約国における行政上又は司法上の救済手段を尽くすことを要求することができる。
第 27 条 仲裁判断の尊重
(1) いかなる締約国も、その国民及び他の締約国がこの条約に基づく仲裁に付託することに同意し又は付託した紛争に関し、外交上の保護を与え、又は国家間の請求を行なうことができない。ただし、当該他の締約国がその紛争について行なわれた仲裁判断に服さなかつた場合は、この限りでない。
(2) (1)の規定の適用上、外交上の保護には、紛争の解決を容易にすることのみを目的とする非公式の外交上の交渉を含まない。
第3章 調停
第1節 調停の請求
第 28 条 調停手続きの開始
(1) 調停手続を開始することを希望する締約国又は締約国の国民は、事務局長に対し書面によりその旨の請求を行なうものとし、事務局長は、その請求の謄本を他方の当事者に送付する。
(2) 前記の請求は、紛争の争点、両当事者の表示並びに調停及び仲裁の開始のための手続規則に従つて調停に付託する旨の両当事者の同意に関する情報を含むものとする。
(3) 事務局長は、請求に含まれた情報に基づいて紛争が明らかにセンターの管轄外のものであると認めない限り、その請求を登録する。事務局長は、登録又は登録の拒否を直ちに両当事者に通告する。
第2節 調停委員会の構成
第 29 条 調停委員会の構成
(1) 調停委員会(以下「委員会」という。)は、第 28 条の規定に基づいて請求が登録された後、できる限りすみやかに構成されなければならない。
(2)(a)委員会は、両当事者の合意により任命された単独の調停人又は奇数の調停人により構成される。
(b) 委員会は、両当事者が調停人の数及びその任命の方法について合意に達しないときは、各当事者が任命する各1人の調停人と、両当事者の合意により任命され、委員長となる第三の調停人との3人の調停人により構成される。
第 30 条 議長による調停人の任命
議長は、第 28 条(3)の規定に従つて事務局長が請求の登録の通告を発した後 90 日以内又は両当事者が別に合意する期間内に委員会が構成されなかつたときは、いずれか一方の当事者の要請により、かつ、できる限り両当事者と協議した後、まだ任命されていない1人又は2人以上の調停人を任命する。
第 31 条 名簿以外からの調停人の任命
(1) 調停人は、第 30 条の規定に基づいて議長が任命する場合を除き、調停人名簿以外から任命することができる。
(2) 調停人名簿以外から任命される調停人は、第 14 条(1)に定める資質を有しなければならない。
第3節 調停手続
第 32 条 委員会の管轄判断
(1) 委員会は、自己の管轄について判断するものとする。
(2) 紛争がセンターの管轄に属しない旨又はその他の理由により委員会の管轄に属しない旨の紛争当事者の抗弁は、委員会が審理するものとし、委員会は、これを先決問題として取り扱うか又は紛争の本案に併合させるかを決定する。
第 33 条 調停規則による実施
調停手続は、この節の規定及び、両当事者が別段の合意をする場合を除き、両当事者が調停
への付託に同意した日に効力を有する調停規則に従つて実施する。委員会は、この節の規定若しくは調停規則又は両当事者が合意する規則に定めのない手続問題が生じたときは、その問題について決定を行なう。
第 34 条 委員会の任務
(1) 委員会は、当事者間の紛争の争点を明らかにすること及び相互に受諾することができる条件による当事者間の合意をもたらすように努力することを任務とする。このため、委員会は、手続のいかなる段階においても、かつ、幾度でも、解決の条件を両当事者に勧告することができる。両当事者は、委員会がその職務を遂行することができるように、誠意をもつて委員会に協力しなければならず、また、その勧告に真剣な考慮を払わなければならない。
(2) 委員会は、両当事者が合意に達したときは、紛争の争点及び当事者間の合意を記録した調書を作成する。委員会は、手続のいずれかの段階において、当事者間に合意が成立する見込みがないと判断するときは、手続を終結し、紛争が付託されたこと及び両当事者が合意に達しなかつたことを記録した調書を作成する。委員会は、いずれかの当事者が出頭しないか又は手続に参加しないときは、手続を終結し、その当事者が出頭しなかつたこと又は参加しなかつたことを記録した調書を作成する。
第 35 条 調停手続きの当事者
両紛争当事者が別段の合意をする場合を除き、調停手続のいずれの当事者も、その調停手続において他方の当事者が表明した意見若しくはその者がxxxた陳述、容認若しくは解決の提議又は委員会の調書若しくは勧告を、仲裁人の面前においてであるか法廷その他においてであるかを問わず、他の手続において援用してはならない。
第4章 仲裁
第1節 仲裁の請求
第 36 条 仲裁手続きの開始
(1) 仲裁手続を開始することを希望する締約国又は締約国の国民は、事務局長に対し書面によりその旨の請求を行なうものとし、事務局長は、その請求の謄本を他方の当事者に送付する。
(2) 前記の請求は、紛争の争点、両当事者の表示並びに調停及び仲裁の開始のための手続規則に従つて仲裁に付託する旨の両当事者の同意に関する情報を含むものとする。
(3) 事務局長は、請求に含まれた情報に基づいて紛争が明らかにセンターの管轄外のものであると認めない限り、その請求を登録する。事務局長は、登録又は登録の拒否を直ちに両当事者に通告する。
第2節 裁判所の構成第 37 条 裁判所の構成
(ア) 仲裁裁判所(以下「裁判所」という。)は、第 36 条の規定に基づいて請求が登録された後、できる限りすみやかに構成されなければならない。
(2) (a)裁判所は、両当事者の合意により任命された単独の仲裁人又は奇数の仲裁人により構成される。
(b) 裁判所は、両当事者が仲裁人の数及びその任命の方法について合意に達しないときは、各当事者が任命する各1人の仲裁人と、両当事者の合意により任命され、裁判長となる第三の仲裁人との3人の仲裁人により構成される。
第 38 条 議長による仲裁人の任命
議長は、第 36 条(3)の規定に従つて事務局長が請求の登録の通告を発した後 90 日以内又は両当事者が別に合意する期間内に裁判所が構成されなかつたときは、いずれか一方の当事者の要請により、かつ、できる限り両当事者と協議した後、まだ任命されていない1人又は2人以上の仲裁人を任命する。この条の規定に基づいて議長により任命される仲裁人は、紛争当事者である締約国又は紛争当事者の国籍の属する締約国の国民であつてはならない。
第 39 条 過半数の仲裁人に国籍
仲裁人の過半数は、紛争当事者である締約国及び紛争当事者の国籍の属する締約国以外の国の国民でなければならない。ただし、単独の仲裁人又は裁判所のすべての構成員が両当事者の合意により任命された場合は、この限りでない。
第 40 条 名簿以外からの仲裁人の任命
(1) 仲裁人は、第 38 条の規定に基づいて議長が任命する場合を除き、仲裁人名簿以外から任命することができる。
(2) 仲裁人名簿以外から任命される仲裁人は、第 14 条(1)に定める資質を有しなければならない。
第3節 裁判所の権限及び任務第 41 条 裁判所の管轄
(1) 裁判所は、自己の管轄について判断するものとする。
(2) 紛争がセンターの管轄に属しない旨又はその他の理由により裁判所の管轄に属しない旨の紛争当事者の抗弁は、裁判所が審理するものとし、裁判所は、これを先決問題として取り扱うか又は紛争の本案に併合させるかを決定する。
第 42 条 裁判所が適用する法規
(1) 裁判所は、両当事者が合意する法規に従つて紛争について決定を行なう。この合意がない場合には、裁判所は、紛争当事者である締約国の法(法の抵触に関するその締約国の規則を含む。)及び該当する国際法の規則を適用するものとする。
(2) 裁判所は、法の沈黙又は法の不明確を理由として裁判拒否の決定をxxxてはならない。
(3) (1)及び(2)の規定は、両当事者が合意する場合には、裁判所がxx及び善に基づき紛争について決定を行なう権限を害するものではない。
第 43 条 検証又は調査
裁判所は、両当事者が別段の合意をする場合を除き、手続のいかなる段階においても、必要と認めるときは、次のことを行なうことができる。
(a)当事者に対し文書その他の証拠の提出を要求すること。
(b)紛争に関連のある場所を検証し、かつ、適当と認める調査をその場所で行なうこと。
第 44 条 仲裁手続
仲裁手続は、この節の規定及び、両当事者が別段の合意をする場合を除き、両当事者が仲裁への付託に同意した日に効力を有する仲裁規則に従つて実施する。裁判所は、この節の規定又は仲裁規則若しくは両当事者が合意する規則に定めのない手続問題が生じたときは、その問題について決定を行なう。
第 45 条 欠席当事者に対する措置
(1) 一方の当事者が出廷しないか又は自己の立場を表明しないときでも、その当事者は、他方の当事者の主張を認めたものとはみなされない。
(2) 一方の当事者が出廷しないか又は手続のいずれかの段階において自己の立場を表明しないときは、他方の当事者は、裁判所に対し、提出された問題を審理し、仲裁判断を行なうように要請することができる。裁判所は、仲裁判断を行なうに先だち、出廷しなかつたか又は自己の立場を表明しなかつた当事者に対し通告を行ない、及び猶予期間を与えるものとする。ただし、その当事者が出廷し、又は自己の立場を表明する意思を有しないことが明らかであると認められる場合は、この限りでない。
第 46 条 紛争の対象に直接関連ある請求
裁判所は、両当事者が別段の合意をする場合を除き、いずれか一方の当事者の要請があるときは、紛争の対象に直接関連する附随的な若しくは追加の請求又は反対請求について、それらが両当事者の同意の範囲内にあり、かつ、センターの管轄に属することを条件として、決定を行なうものとする。
第 47 条 保全措置
裁判所は、両当事者が別段の合意をする場合を除き、事情により必要と認めるときは、各当事者の権利を保全するために執られるべき保全措置を勧告することができる。
第4節 仲裁判断第 48 条 仲裁判断
(1) 裁判所は、そのすべての構成員の投票の過半数により問題について決定を行なう。
(2) 裁判所の仲裁判断は、書面によるものとし、賛成の投票をxxxた裁判所の構成員がこれに署名するものとする。
(3) 仲裁判断は、裁判所に提出されたすべての問題を処理するものとし、その仲裁判断の基礎となつた理由を述べるものとする。
(4) 裁判所の構成員は、各自の意見(多数意見に同意しないものであるかどうかを問わない。)又はその不同意の表明を仲裁判断に添附することができる。
(5) センターは、両当事者の同意を得ないで仲裁判断を公表してはならない。
第 49 条 仲裁判断の認証謄本
(1) 事務局長は、仲裁判断の認証謄本をxxxxに両当事者に発送する。仲裁判断は、認証謄本が発送された日に行なわれたものとみなす。
(2) 裁判所は、仲裁判断が行なわれた日の後 45 日以内に行なわれるいずれか一方の当事者の要請に基づき、他方の当事者に通告をxxxた後、仲裁判断において脱落した問題について決定を行ない、及び仲裁判断における書損、違算その他これに類する誤りを訂正する。これらの決定は、仲裁判断の一部となり、それと同じ方法で両当事者に通告される。第 51 条(2)及び第 52 条(2)に定める期間は、これらの決定が行なわれた日から起算する。
第5節 仲裁判断の解釈、再審及び取消し第 50 条 仲裁判断の解釈
(1) 仲裁判断の意味又は範囲に関し当事者間に紛争が生じたときは、いずれの一方の当事者も、事務局長にあてた書面により、その仲裁判断の解釈を請求することができる。
(2) その請求は、可能なときは、当該仲裁判断をxxxた裁判所に付託する。それが不可能なときは、新たな裁判所がこの章の第2節の規定に従つて構成される。裁判所は、事情により必要と認めるときは、決定を行なうまで仲裁判断の執行を停止することができる。
第 51 条 仲裁判断の再審
(1) いずれの一方の当事者も、仲裁判断に決定的な影響を及ぼす性質の事実の発見を理由として、事務局長にあてた書面により、仲裁判断の再審を請求することができる。ただし、仲裁判断が行なわれた時にその事実が裁判所及び再審の請求者に知られておらず、かつ、再審の請求者がその事実を知らなかつたことが過失によらなかつた場合に限る。
(2) その請求は、当該事実の発見の後 90 日以内に行なわなければならず、かつ、いかなる場合にも、仲裁判断が行なわれた日の後3年以内に行なわなければならない。
(3) その請求は、可能なときは、当該仲裁判断をxxxた裁判所に付託する。これが不可能なときは、新たな裁判所がこの章の第2節の規定に従つて構成される。
(4) 裁判所は、事情により必要と認めるときは、決定を行なうまで仲裁判断の執行を停止することができる。再審の請求者がその請求において仲裁判断の執行の停止を要請するときは、執行は、裁判所がその要請について裁定を行なうまで暫定的に停止される。
第 52 条 仲裁判断の取消し
(1) いずれの一方の当事者も、次の一又は二以上の理由に基づき、事務局長にあてた書面により、仲裁判断の取消しを請求することができる。
(a) 裁判所が正当に構成されなかつたこと
(b) 裁判所が明らかにその権限をこえていること。
(c) 裁判所の構成員に不正行為があつたこと。
(d) 手続の基本原則からの重大な離反があつたこと。
(e) 仲裁判断において、その仲裁判断の基礎となつた理由が述べられていないこと。
(2) その請求は、仲裁判断が行なわれた日の後 120 日以内に行なわなければならない。だだし、その請求は、不正行為を理由として取消しが請求されるときは、不正行為の発見の後 120 日以内に行なわなければならず、また、いかなる場合にも、仲裁判断が行なわれた日の後3年以内に行なわなければならない。
(3) 議長は、その請求を受けたときは、直ちに、仲裁人名簿のうちから3人の者を任命して、特別委員会を構成する。特別委員会の委員は、仲裁判断をxxxた裁判所の構成員、これらの構成員と同一の国籍を有する者、紛争当事国若しくは紛争当事者の国籍の属する国の国民、これらの国のいずれかによつて仲裁人名簿のために指名された者又は当該紛争について調停人として行動した者であつてはならない。特別委員会は、(1)に掲げるいずれかの理由により仲裁判断又はその一部の取消しを行なう権限を有する。
(4) 第 41 条から第 45 条まで、第 48 条、第 49 条、第 53 条及び第 54 条並びに第6章及び第
7章の規定は、特別委員会の手続について準用する。
(5) 特別委員会は、事情により必要と認めるときは、決定を行なうまで仲裁判断の執行を停止することができる。仲裁判断の取消しの請求者がその請求において仲裁判断の執行の停止を要請するときは、執行は、特別委員会がその要請について裁定を行なうまで暫定的に停止される。
(6) 仲裁判断が取り消されたときは、紛争は、いずれか一方の当事者の要請により、この章の第2節の規定に従つて構成される新たな裁判所に付託されるものとする。
第6節 仲裁判断の承認及び執行第 53 条 仲裁判断の拘束力
(1) 仲裁判断は、両当事者を拘束し、この条約に規定しないいかなる上訴その他の救済手段も、許されない。各当事者は、執行がこの条約の関係規定に従つて停止された場合を除
き、仲裁判断の条項に服さなければならない。
(2) この節の規定の適用上、「仲裁判断」には、第 50 条、第 51 条又は第 52 条の規定に基づく仲裁判断の解釈、再審又は取消しの決定が含まれるものとする。
第 54 条 仲裁判断の承認及び執行
(1) 各締約国は、この条約に従つて行なわれた仲裁判断を拘束力があるものとして承認し、また、その仲裁判断を自国の裁判所の確定判決とみなしてその仲裁判断によつて課される金銭上の義務をその領域において執行するものとする。連邦制の締約国は、連邦裁判所により当該仲裁判断を執行することができ、また、連邦裁判所が当該仲裁判断を州裁判所の確定判決とみなして取り扱うことを定めることができる。
(2) いずれかの締約国の領域において仲裁判断の承認及び執行を求める当事者は、その締約国がこのために定める管轄裁判所その他権限のある当局に対し、事務局長により証明された仲裁判断の謄本を提出しなければならない。各締約国は、このための管轄裁判所その他権限のある当局の指定及びその後日の変更を事務局長に通告する。
(3) 仲裁判断の執行は、執行が求められている領域の属する国で現に適用されている判決の執行に関する法令に従つて行なわれる。
第 55 条 国の失効からの免除
第 54 条のいかなる規定も、いずれかの締約国の現行法令でその締約国又は外国を執行から免除することに関するものに影響を及ぼすものと解してはならない。
第5章 調停人及び仲裁人の交代及び失格
第 56 条 委員会又は裁判所の構成の変更又は欠員の補充
(1) 委員会又は裁判所が構成され、かつ、手続が開始された後は、その委員会又は裁判所の構成を変更してはならない。もつとも、調停人又は仲裁人が死亡し、職務を行なうことができなくなり、又は辞任した場合には、その結果生じた欠員は、第3章第2節又は第4章第
2節の規定に従つて補充しなければならない。
(2) 委員会又は裁判所の構成員は、調停人名簿又は仲裁人名簿の構成員でなくなつた場合にも、委員会又は裁判所の構成員の資格において引き続き在任するものとする。
(3) 議長は、当事者により任命された調停人又は仲裁人がその属する委員会又は裁判所の同
意を得ることなく辞任した場合には、その結果生じた欠員を補充するため、調停人名簿又は仲裁人名簿から後任者を任命しなければならない。
第 57 条 構成員の失格提案
当事者は、委員会又は裁判所のいずれかの構成員が第 14 条(1)の規定により必要とされる資質を明らかに欠いていることを示す事実を理由として、その構成員の失格を委員会又は裁判所に提案することができる。仲裁手続の当事者は、さらに、仲裁人が第4章第2節の規定に基づいて裁判所に任命されるための資格のないことを理由として、その仲裁人の失格を提案することができる。
第 58 条 失格についての決定
調停人又は仲裁人の失格の提案についての決定は、それぞれ当該委員会又は裁判所の他の構成員が行なうものとする。ただし、それらの構成員の賛否が同数に分かれた場合又は単独の調停人若しくは仲裁人の失格若しくは過半数の調停人若しくは仲裁人の失格が提案された場合には、決定は、議長が行なうものとする。提案が理由あるものと決定されたときは、その決定に係る調停人又は仲裁人は、第3章第2節又は第4章第2節の規定に従つて、交代させられる。
第6章 手続の費用
第 59 条 施設の利用料金
当事者が支払うべきセンターの施設の利用料金は、理事会が採択した規則に従つて事務局長が定める。
第 60 条 構成員の報酬及び費用
(1) 各委員会及び各裁判所は、理事会が随時設ける限度内において、かつ、事務局長と協議した後、その構成員の報酬及び費用を定める。
(2) (1)の規定は、両当事者が委員会又は裁判所の構成員の報酬及び費用について当該委員会又は裁判所とあらかじめ合意することを妨げるものではない。
第 61 条 施設の利用料金の負担
(1) 調停手続の場合には、委員会の構成員の報酬及び費用並びにセンターの施設の利用料金
は、両当事者が均等に分担する。各当事者は、当該手続に関連して各自が必要とした他のすべての費用を負担する。
(2) 仲裁手続の場合には、裁判所は、両当事者が別段の合意をする場合を除き、当該手続に関連して両当事者が必要とした費用を査定し、かつ、その費用、裁判所の構成員の報酬及び費用並びにセンターの施設の利用料金がいかなる方法でいずれの者により支払われるべきかを決定する。この決定は、仲裁判断の一部を構成する。
第7章 手続の場所第 62 条 手続の場所
調停手続及び仲裁手続は、次条で定める場合を除き、センターの所在地で行なうものとする。
第 63 条 手続の場所の選定
調停手続及び仲裁手続は、両当事者が合意するときは、次のいずれかの場所で行なうことができる。
(a) 常設仲裁裁判所の所在地又はセンターがそのために取極をxxxたその他の適当な公私の機関の所在地
(b) 委員会又は裁判所が事務局長と協議した後承認するその他の場所
第8章 締約国間の紛争第 64 条 締約国間の紛争
この条約の解釈又は適用に関して締約国間に生ずる紛争で交渉により解決されないものは、関係国が他の解決方法について合意しない限り、その紛争のいずれかの当事国の請求により、国際司法裁判所に付託されるものとする。
第9章 改正
第 65 条 改正の手続
いずれの締約国も、この条約の改正を提案することができる。改正の案文は、その改正が審
議される理事会の会合の少なくとも 90 日前に事務局長に通報されなければならず、事務局長は、直ちに、その案文を理事会のすべての構成員に伝達しなければならない。
第 66 条 改正案の効力発生
(1)改正案は、理事会がその構成員の3分の2以上の多数によりそのように決定するときは、批准、受諾又は承認のため、すべての締約国に配布される。改正は、この条約の寄託者がすべての締約国によるその改正の批准、受諾又は承認が行なわれた旨の通告を締約国に発した日の後 30 日で効力を生ずる。
(2)改正は、いずれかの締約国、その行政区画若しくは機関又はその国民のこの条約に基づく権利及び義務で、その改正の効力発生の日よりも前に与えられたセンターの管轄についての同意から生じたものには、いかなる影響をも及ぼさない。
第 10 章 最終規定第 67 条 署名
この条約は、銀行の加盟国による署名のために開放しておく。この条約は、また、国際司法裁判所規程の当事国であるその他の国で理事会が3分の2以上の多数によりこの条約への署名を招請したものによる署名のために開放しておく。
第 68 条 効力発生
(1) この条約は、署名国によりそれぞれの憲法上の手続に従つて批准され、受諾され、又は承認されなければならない。
(2) この条約は、20 番目の批准書、受諾書又は承認書の寄託の日の後 30 日で効力を生ずる。この条約は、その後に批准書、受諾書又は承認書を寄託する国については、その寄託の日の後 30 日で効力を生ずる。
第 69 条 実施のための措置
各締約国は、自国の領域においてこの条約の規定を実施するために必要な立法その他の措置を執るものとする。
第 70 条 通用地域
この条約は、締約国が批准、受諾若しくは承認の際又はその後においてこの条約の寄託者に
あてた書面による通告によりこの条約の適用から除外する領域を除き、その締約国が国際関係について責任を有するすべての領域に適用する。
第 71 条 廃棄
締約国は、この条約の寄託者にあてた書面による通告により、この条約を廃棄することができる。廃棄は、その通告が受領された後6箇月で効力を生ずる。
第 72 条 管轄の同意から生じたものとの権利義務の関係
いずれかの締約国が第 70 条又は第 71 条の規定に従つて行なう通告は、その締約国、その行政区画若しくは機関又はその国民のこの条約に基づく権利又は義務で、寄託者が前記の通告を受領する以前に前記いずれかの者が与えたセンターの管轄についての同意から生じたものには、いかなる影響をも及ぼさない。
第 73 条 条約の寄託者
この条約及びその改正の批准書、受諾書又は承認書は、この条約の寄託者として行動する銀行に寄託する。寄託者は、この条約の認証謄本を銀行の加盟国及びこの条約に署名することを招請されたその他の国に送付する。
第 74 条 条約の登録
寄託者は、国際連合憲章第 102 条の規定及びこれに基づいて総会が採択した規則に従い、国際連合事務局にこの条約を登録する。
第 75 条 寄託者の通告
寄託者は、次の事項をすべての署名国に通告する。
(a) 第 67 条の規定に従つて行なわれる署名
(b) 第 73 条の規定に従つて行なわれる批准書、受諾書及び承認書の寄託
(c) 第 68 条の規定に従つてこの条約が効力を生ずる日
(d) 第 70 条の規定に従つて行なわれるこの条約の地域的適用からの除外
(e) 第 66 条の規定に従つてこの条約の改正が効力を生ずる日
(f) 第 71 条の規定に従つて行なわれる廃棄
英語、フランス語及びスペイン語による本文をひとしくxxとする本書一通をワシントンで作成した。この本書は、国際復興開発銀行に寄託しておく。同銀行は、この条約により課される任務を遂行することについての同意をその署名により明示した。
国際復興開発銀行のために
総裁 xxxx・X・xxx法務部長 X・xxxxx
1965 年 3 月 18 日
(中略)
アメリカ合衆国のために
xxxx・X・xxxxx
1965 年 8 月 27 日
(中略)
日本国のために
xxxx
1965 年 9 月 23 日