第1章 臨床研究倫理審査委員会(IRB)
xx記念病院 受託研究 (治験等)の審査に係る手順書
第1章 臨床研究倫理審査委員会(IRB)
(目的と適用範囲)
第1条 本手順書は当院における「受託研究取扱規程」及び「治験に係る標準業務手順書」に基づいて、xx記念病院臨床研究倫理審査委員会(以下)「委員会」という。)の運営に関する手続き及び記録の保存方法を定めるものである。
2 本手順書は、医薬品の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 医薬品の再審査申請、再評価申請の際、提出すべき資料収集のための製造販売後臨床試験の場合には、本手順書において、第8条に対し第9条を適用し、厚生省令第2
8号第56条及び薬食発第1221001号に準じ、「治験」等とあるのを「製造販売後臨床試験」等と読み替えるものとする。
(委員会の責務)
第2条 委員会は、すべての被験者の人権、安全及び福祉を保護しなければならない。
2 委員会は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
3 委員会は、倫理的及び科学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について審査を行わなければならない。
(委員会の設置及び構成)
第3条 委員会は、院長が指名する者計18名をもって構成する。18名のうち、少なくとも1名は男性または女性の委員であること。副委員長は委員長不在時に代行を行う。なお、院長は委員会の委員にはなれないものとする。
(1)委員長:副院長または診療本部長
(2)副委員長:診療本部長または診療部長
(3)委員:診療部長または診療副部長、薬剤科長、放射線科長及び看護部長(または看護本部長)
(4)医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の委員(下記(5)、(6)の委員を除く):事務部長、院長が委嘱する者
(5)当院と利害関係を有しない委員:院長が委嘱する
(6)委員会設置者と利害関係を有しない委員、ただし、当該委員は、(5)を兼ねることができる
2 前項の委員の任期は2年とするが、再任は妨げない。
(委員会の業務)
第4条 委員会は、その責務の遂行のために、次の最新の資料を院長から入手しなければならない。
1)治験実施計画書(治験責任医師と依頼者が合意したもの)
2)症例報告書(治験責任医師と依頼者が合意したもの)
3)説明文書、同意文書(治験責任医師が依頼者の協力を得て作成したもの)
4)被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
5)治験薬概要書
6)被験者の安全等に係る報告
7)被験者への支払いに関する資料(支払いがある場合)
8)被験者の健康被害に対する補償に関する資料
9)治験責任医師の履歴書及び治験責任医師がGCP省令第42条に規定する要件を満たすことを証明したその他の資料並びに治験分担医師の履歴書
10)予定される治験費用に関する資料
11)治験の現況の概要に関する資料(継続審査等の場合)
12)その他委員会が必要と認める資料
2 委員会は、次の事項について調査審査し、記録を作成する。
(1)治験を実施することの倫理的、科学的及び医学的見地からの妥当性に関する事項
・当院が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等、当該治験を適切に実施できること
・治験責任医師及び治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否かを最新の履歴書により検討すること
・治験の目的、計画及び実施が妥当なものであること
・被験者の同意を得るに際しての同意文書及び説明文書の内容が適切であること
・被験者の同意を得る方法が適切であること
・被験者への健康被害に対する補償の内容が適切であること
・予定される治験費用が適切であること
・被験者に対する支払いがある場合には、その内容・方法が適切であること
・被験者の募集手順(広告等)がある場合には、募集の方法が適切であること
(2)治験実施中又は終了時に行う調査・審査事項
・被験者の同意が適切に得られていること
・以下にあげる治験実施計画書の変更の妥当性を調査・審査すること
① 被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱又は変更
②被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更
・治験実施中に当病院で発生した重篤な副作用について検討し、当該治験の継続の可否を審査すること
・被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な情報について検討し、当該治験の継続の可否を審査すること
注)重大な情報
①他施設で発生した重篤で予測できない副作用
②重篤な副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が治験薬概要書から予測できないもの
③死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、副作用によるもの又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症によるもの
④副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
⑤治験の対象となる疾患に対し効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告
⑥副作用又は感染症によりがんその他の重大な疾病、障害又は死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
⑦当該被験薬と同一成分を含む市販医薬品に係る製造又は販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
・治験の実施状況について少なくとも1年に1回以上審査すること
・治験の終了、治験の中止又は中断及び開発の中止を確認すること
(3)他の医療機関からの治験審査の依頼
1)当院の病院長が承諾した場合には、他の医療機関の長から依頼された治験審査を行うその場合の審査内容の方法等は本章に則ることとする。なお、治験実施の適否に関して審査する場合には、2‐2)の資料以外に治験実施医療機関に関する資料の提出を必須とする。
(4)その他委員会が求める事項
3 委員会は、治験責任医師に対して委員会が治験の実施を承認し、これに基づく院長の指示及び決定が文書で通知され、契約締結されるまで被験者を治験に参加させないように求めるものとする。
(委員会の運営)
第5条 委員会は、原則として月1回(第3週の木曜日)開催する。但し、院長から緊急に意見を求められた場合には、随時委員会を開催することができる。
2 委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。
なお、必要に応じて治験の実施状況について調査し、必要な場合には、院長に意見を文書で通知するものとする。
3 委員会の開催に当たっては、あらかじめ委員会事務局から原則として 2 週間前に文書で委員長及び各委員に通知するものとする。
4 委員会は、以下の要件を満たす会議においてのみ、その意思を決定できるものとする。
1)少なくとも10人以上の委員が参加していること。
2)第3条第1項(4)の委員が少なくとも1名参加していること。
3)第3条第1項(5)または(6)の委員が少なくとも1名参加していること。
5 採決に当たっては、審査に参加した委員のみが採決への参加を許されるものとする。
6 当該治験の依頼者と関係のある委員(依頼者の役員又は職員、その他の依頼者と密接な関係を有する者)及び治験責任医師と関係のある委員(院長、治験責任医師、治験分担医師又は治験協力者)は、その関与する治験について情報を提供することは許されるが、当該治験に関する事項の審査及び採決への参加はできないものとする。
7 委員長が特に必要と認める場合には、委員以外の特別の分野の専門家を委員会に出席させて意見を聞くことができる。
8 採決は出席した委員の3分の2以上の合意とする。ただし、10人以上の委員が採決に参加していること。
9 意見は次の各号のいずれかによる。
(1)承認する
(2)修正の上で承認する
(3)却下する
(4)既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む)
(5)保留する
10 院長は委員会の審査結果について異議ある場合には、理由書を添えて委員会に再審査を請求することができる。
11 委員会は、審査及び採決に参加した委員名簿(各委員の資格及び職名を含む)に関する記録及び審査記録を作成し保存と共に公開する。
12 委員会は、審査終了後速やかに院長に、臨床研究倫理審査結果通知書(書式5)により報告する。臨床研究倫理審査結果通知書(書式5)には、以下の事項を記載するものとする。
・審査対象の治験課題名及び審査事項
・審査した資料
・審査日
・参加委員名
・治験に関する委員会の決定
・決定の理由
・修正条件がある場合は、その条件
・委員会の決定に対する異議申し立て手続き
・委員会の名称と所在地
・委員会がGCP省令に従って組織され、活動している旨を委員会が自ら確認し保証する旨の陳述
13 委員会は、承認済の治験について、治験期間内の軽微な変更の場合には、迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は委員長が行う。
ここで軽微な変更とは、変更により生ずる危険性が、被験者の日常生活における危険性又は通常行われる理学的あるいは心理学的検査における危険性より高くない変更
を言う。何らかの身体的侵襲を伴う検査の変更は除かれる。
迅速審査は、委員長及び委員長が指名する2名以上の委員により、本条第9項に従って判定し、第12項に従って院長に報告する。委員長は、次回の委員会で迅速審査の内容と判定を報告する。
なお、委員xxが当該迅速審査の対象となる治験の関係者である場合は、その関与する治験について情報を提供することは許されるが、当該治験に関する事項の審査及び採決への参加はできないものとする。
(1)迅速審査委員:診療本部長、診療部長
(2)採決:出席した全委員の合意とする。
14 他の医療機関の長からの治験審査依頼
当院の病院長が承諾した場合には、他の医療機関の長から依頼された治験審査を行う。その場合の審査内容の方法等は本章に則ることとする。なお、治験実施の適否に関し審査する場合には、2‐2)の資料以外に治験実施医療機関に関する資料の提出を必要とする。
(委員会委員の改選)
第6条 委員の任期満了に伴う改選
委員の任期満了に伴い、委員会員を改選した場合は、病院長より当病院「第3章
委員会事務局(臨床研究倫理審査委員会事務局)の業務手順書に従って委員の指名を受ける。
2 委員に欠員が生じた場合
特別の事由により委員に欠員が生じた場合、後任者の選出を行い、病院長より
当病院の「第3章委員会事務局(臨床研究倫理審査委員会事務局)の業務」の手順書に従って委員の指名を受ける。この場合、後任に委員の任期は、前任者の残余期間とする
第2章 委員会事務局
(委員会事務局の業務)
第7条 委員会事務局は、委員長の指示により、次の業務を行うものとする。
1)委員会の開催準備
2)委員会の審査等の記録(審査及び採決に参加した委員の名簿を含む)の作成
3)臨床研究倫理審査結果通知書(書式5)の作成及び院長への提出
4)記録の保存
委員会で審査の対象としたあらゆる資料、議事要旨(Q and Aを含む)、委員会が作成するその他の資料等を保存する。
5)その他委員会に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
6)委員会の手順書、委員名簿、会議記録の概要等を情報公開する
7)手順書は少なくとも年に1回委員会事務局により見直しを行い、必要に応じて
改定し、病院長の承認を得る。改訂版には、改定日、改定理由の概要及び改定版数を記す。
第3章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第8条 委員会における記録の保存責任者は委員会事務局長とする。
2 委員会において保存する文書は以下のものである。
(1)当標準業務手順書
(2)委員名簿(各委員の資格を含む)
(3)委員の職業及び所属のリスト
(4)提出された文書
(5)会議の議事要旨(審査及び採決に参加した委員名簿を含む)
(6)書簡等の記録
(7)その他必要と認めたもの
(記録の保存期間)
第9条 委員会における保存すべき必須文書が治験の場合は、1)又は2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存するものとする。ただし、依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について依頼者と協議するものとする。
1)当該被験薬に係る製造販売承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日)
2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 委員会は、院長を経由して、依頼者より前項にいう承認取得(あるいは開発の中止等に関する報告書(書式18)を受けるものとする。
第 10 条 委員会における保存すべき必須文書が製造販売後臨床試験の場合は、1)又は
2)の日のうち後の日までの間保存するものとする。ただし、製造販売後臨床試験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について製造販売後臨床試験依頼者と協議するものとする。
1)再審査又は再評価に係る記録
再審査又は再評価が終了した日から5年間。ただし、平成17年4月1日以降に治験計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書の提出が行われる臨床試験にあっては、再審査又は再評価が終了する日まで。
2)前号に掲げる記録以外の記録
利用しなくなった日から5年間
2 委員会は、院長を経由して、依頼者より前項にいう承認取得(あるいは開発中止(書式 18)を受けるものとする。
配付
この手順書の原本は、委員会事務局で保管し、その写しを以下の者に配付する。
1)委員会の委員長、副委員長及び委員
2)委員会事務局(担当者)
3)モニター、監査担当者又は規制当局より本書の提示を求められた場合は、これを受け入れる。
4)被験者より情報開示を求められた場合は、それに応じる
作成・ 改訂の経緯
この手順書は、少なくとも年に1回委員会事務局により見直しを行い、必要に応じて改訂し、病院長の承認を得る。改訂版には、改訂日、改訂理由の概要及び改訂版数を記す。
改 訂 日:平成 21 年 3 月 19 日(第 12 版)
改訂理由:厚生労働省告示第四百十五号臨床研究に関する倫理指針(平成十六
年厚生労働省告示大四百五十九号)改定に伴い、治験審査委員会業務手順書を受託研究 (治験等)の審査に係る手順書とする。
適用時
この手順書は、病院長の記名・捺印又は署名の日から施行する。
改訂の経緯
改 訂 日:平成 22 年 4 月 1 日(第 12 版.1)
改訂理由:組織変更に伴い副委員長の規定を変更した。
改訂の経緯
改 訂 日:平成 24 年 9 月 1 日(第 13 版)
改訂理由:組織変更に伴い委員の構成を変更した。
改訂の経緯
改 訂 日:平成 25 年 4 月 1 日(第 14 版)
改訂理由:組織変更に伴い委員の構成を変更した。
改訂の経緯
改 訂 日:平成 26 年 4 月 1 日(第 14.1 版)
改訂理由:組織変更に伴い委員の構成を変更した。
改訂の経緯
改 訂 日:平成 27 年 2 月 1 日(第 14.2 版)
改訂理由:組織変更に伴い委員の構成を変更した。迅速審査の指名する委員数を 2 名とした