原則としてJPO モデル契約書の想定シーンを踏襲するが、下記X 社とY 社について、
共同研究開発契約(新素材)の解説
原則としてJPO モデル契約書の想定シーンを踏襲するが、下記X 社とY 社について、
【ケース1】X 社が日本企業、Y 社が中国企業
【ケース2】X 社が中国企業、Y 社が日本企業
という2つの状況を想定し、中国における共同研究開発の実施を想定したものる。
これら2つのケースが異なることによって、契約書又はその解説に違いがあるについてはそれぞれ解説する。
想定シーン
1. 自動車部品メーカーY 社は、X 社(樹脂に添加可能な放熱に関する新素材を開発した大学発
スタートアップ)から本素材の性能および耐久性に関する検証レポートを受領した後、社内検討を行い、正式にX 社との共同研究開発を行うことが決定した。
2. 契約交渉においては、双方の意向として、以下の点が挙げられた。
① X 社としては、資金調達の観点からもY 社との共同研究開発を開始した時点、および、一定の成果が出た時点で、それぞれ公表したい。
② Y 社としては、研究開発の結果生まれた成果物にかかる知的財産権は自社の帰属としたい。
③ 他方、X 社としても(、1)上場審査や M&Aに先立つデューデリジェンスにおいてマイナス評価を受けないために、また(2、)自由度を確保して多数の企業とのアライアンスを実施し市場を拡大して売上を増加させるために、研究開発の結果生まれた成果物にかかる知的財産権は自社の単独帰属としたい。ただし、その合場であってもY社による成果物利用の用途を限定して、当該用途以外の成果物の他社への展開が阻害されない形であれば、当 該用途においては成果物をY 社のみが使用できるようにすることはやむを得ないと考えている。
④ 協議の結果、単独発明による成果物にかかる知的財産権は当該発明を行った当事者に 単独帰属、共同研究開発の成果物にかかる知的財産権はX 社に単独帰属させた上で、 Y社に対して、一定期間・一定の領域において独占権を認める無償の通常実施権を設定することとした。
⑤ 研究開発の進め方としては、次のとおりとすXる社。が技術者をY 社に派遣し、X 社およ び Y 社の技術者が共同でY 社の設備を用いて、本素材をポリカーボネート樹脂組成物
(量産品を念頭においた組成物)に配合し、ヘッドライトカバーの試作品を作X成社する。の技術者の立会いのもと、Y 社は当該試作品について、性能検査や耐久試験を行う。そ して、性能検査や耐久試験の結果をもとにX、社は、当該素材の表面処理を調整し、再
度、ポリカーボネート樹脂組成物への配合、試作品の製造、検査を行う。
⑥ 試作品が製品としての目処がついた時点でY、社は量産化のための原料の調達、量産ラインの準備等の作業を行う。
3. 上記については、両社特段異論はなかったが、最大の争点は研究費の負担や研究成果に対する報酬の有無および支払条件であったX。社としては、共同研究開発の成果としての知的財産権について一定期間・一定の領域で無償独占的通常実施権を設定するのであればY、社が
当該共同研究開発にかかる実費や人件費に加えて、事業化に至る前段階で、研究成果に対する報酬も支払ってもらいたいと主張した。
4. これに対し、Y 社としては、最終的に共同研究開発の成果を事業化した場合は何らかの報酬は払うこととするが事、業化に至る前段階の共同研究開発フェーズにおいては実費および人件費のみの支払いとしたいとの意向を伝えてきた。
5. 協議の結果、実費および人件費についてはY、社が負担することとした。一方、研究成果に対する報酬については、研究成果が出てから事業化に至るまでにY 、社内での協議検討や商流
の調整等で相当程度の時間を要する反面、事業化に至った場合にどの程度の収益が上がる
か不透明な状況であった。そこで、研究成果に対する報酬については、事業化に至る前であっても、研究成果が出た時点で頭金として相当価格を支払うこととし後、にそつのいても、商品販
売までのロードマップを策定し、その過程にメルクマールを設定し、各時点において研究成果への対価を支払うことを取り決めた。
目次
想定シーン...................................................................................................................................................1.....
1 条(目的)................................................................................................................................................4....
2 条(定義)................................................................................................................................................6....
中国におけるタイムスタンプ...................................................................................................................7.....
特許と専利の違い.........................................................................................................................................8..
4 条(スケジュールの作成..)............................................................................................................1..0..
5 条(経費負担).....................................................................................................................................1 1
中国における共同開発の費用負担の商慣習・司法解釈について..........................................1 2
【変更オプション条項:各自負.担....】.....................................................................................................1 4
【変更オプション条項:比率で負..担...】................................................................................................1 4
6 条(情報の開示)..............................................................................................................................1..5...
7 条(知xx産権等の帰属および成果物の利用.).................................................................1 7.
中国における共同開発した発明の帰属・x施権等につい.て.................................................2..0...
ライセンスにおける地理的範囲のオプション.................................................................................2..3...
技術輸出入関係と届け出手続き.................................................................................................................2..5..
8 条(ライセンス料の不返還...).........................................................................................................3 0.
9 条(第三者の権利侵害に関する担保責任.)............................................................................3 1.
中国技術輸出入管理条例における特許保証関連条項について..................................................3..2...
10 条(研究成果に対する対価.).......................................................................................................3 3
11 条(秘密情報、データおよび素材等の取扱い...).................................................................3 5
12 条(成果の公表)..........................................................................................................................3..8.....
13 条(第三者との競合開発の禁止.).........................................................................................3..9.....
14 条(第三者との間の紛争.)...........................................................................................................4 0.
15 条(権利義務譲渡の禁止)...........................................................................................................4 1.
16 条(解除)............................................................................................................................................4 2.
17 条(期間)............................................................................................................................................4 4.
18 条(存続条項)..................................................................................................................................4 5.
19 条(違約責任)..................................................................................................................................4 6.
20 条(通知)............................................................................................................................................4 7.
21 条(準拠法および紛争解決手続き.).....................................................................................4.8.....
【変更オプション条項1:知財調停】.....................................................................................................5 0
【変更オプション条項2:仲裁】..............................................................................................................5..2..
22 条(協議解決)..................................................................................................................................5 5.
契約言語..................................................................................................................................................5..6...
その他のオプション条項...................................................................................................................5.7....
技術リスクに対する責任分担...........................................................................................................5 8.
前文
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
1 条(目的)
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 共同研究開発(本研究)のテーマおよび目的に関する規定である。
<解説>
共同研究開発のテーマ(本条1 号)
z 共同研究開発のテーマの記載の抽象度
¾ 共同研究開発のテーマは、抽象的に規定し過ぎると双方の認識に齟齬が生じやすい。一方、具体的に規定し過ぎると拡張や変更の度に契約修正の必要が生じる。
¾ そこで、本条1 号のように、ある程度の幅を持たせつつ抽象的過ぎず、かつ、具体的過ぎない記載とするのが良い。
z 共同研究開発のテーマの広狭
¾ 共同研究開発のテーマxx義は、知的財産権等の取扱いや、競業避止の範囲などに影響する。
¾ 例えば、共同研究開発のテーマの定義が広すぎると、自社固有のxx成果(知的財産権 等)が共同研究開発(本研究)の成果と解釈され、本契約に従って知的財産権の帰属や成
果物の利用関係が規律される(双方が活用可能なものとなる)リスクがある。さらに、不当に広範囲の競業避止義務が課されることにもつながり、本来は自由に研究できるべき研
究領域について活動の制限が発生する危険もある。
¾ 他方、共同開発のテーマの定義が狭すぎると、実際は共同研究の成果であるにもかかわ
らず、本契約書の枠外とされてしまい、当該成果に関して勝手に特許出願をされてしまう、または本来禁止したい範囲の競業行為を規制できない等の弊害を生じる可能性がある。
さらに、研究のスコープがピボットするたびに、本契約の範囲から逸脱してしまい、再交渉を余儀なくされるリスクもある。
¾ そこで、共同研xxxのテーマは、広すぎず狭すぎない実態に即したものとすべきである。
共同研究開発の目的(本条2 号)
z 共同研究開発の目的は、両当事者の秘密保持義務の内容および範囲を画するものとしても重要である。
z 秘密保持義務条項では、両当事者は共同研究開発の目的以外の目的で秘密情報を使用してはならないとの条件が設けられることが一般的である(本契約1で1は条 3 項)。
z 秘密保持義務の内容および範囲を確定する際に、本条で定める共同研究開発の目的が参照されることになる。
2 条(定義)
➨ 2 ᮲ ᮏዎ⣙࠾࠸࡚⏝ࡉࢀࡿ⏝ㄒࡢᐃ⩏ࡣḟࡢ࠾ࡾࡍࡿࠋ ձ ࣂࢵࢡࢢࣛ࢘ࣥࢻሗ
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z バックグラウンド情報として、「特許またはその他の知的財産権(出む)」を追加している。
z ࠕ特許またはその他の知的財産権」について、日本語と中国語の定義確認として、「ここで、日本語における『特許』とは、中国語におけ専利』に該当する。また、日本語における実用新案及び意匠は「その知的財産権」に包含される。」を追加している。
②ポイント・解に説ついて
z バックグラウンド情報の管理における中国で有効な証拠確保の手段(証・タイムスタンプサービス)について追加している。
z 特許と専利の違いの解説について追加している。
<ポイント>
z 本契約で使われる主要な用語の定義に関する規定である。
<解説>
バックグラウンド情報(本1条号)
z 共同開発を始めるにあたり、最も重要な事柄の一つバがックグラウン情ド報(共同研究開発契約締結時にすでに保有していた技術情報)の管理である。
z この管理を怠ると、契約締結前に保有していた情報と契約締結後に新たに生じた情報が混在することによりバ、ックグラウン情ド報であることの主張立証が困難となり、各情報に関する知的財産権の帰属が曖昧になってしまう。
z そうなると、本来単独の特許として出願できたはxxxのクグラウン情ド報が、共同研究開発
上の成果物とされてしまい、共有特許や相手方の単独特許となってしまうリスク(コンタミネーションリスク)が生じる。
z JPO 本モデル契約では、バックグラウンド情報を契約締結30後日内に相手当
事者に提出するよう規定している。しかし、共同開発を始めるにあたり、バラウンド情報をできるだけ早く明確にしたほうがよいので、共同開発のスケルに応じて、バックグラウンド情報の整理・提出期3間0 日をより短縮することも考えられる。
z このリスクを極小化するため、本モデル契約では、共同研究開発の開始時点において既に各
自が保有しているバックグラウンド情報をリストにして開示・交換することの他、以下のような管理を行うことがある。
(i) 特許出願になじむ技術情報(例:ノウハウ・データ・ソースコードの以)外にのつもいては特許出願をしておく。
(ii) (i)以外の技術情報については、公証制度やタイムスタンプサービスの利用により、共同開発契約締結時に既に保有していたという証拠化を図る。
中国におけるタイムスタンプ
z 中国では、証拠にxxる審査が厳しい。真実性を確認するため、通常、書類の本を提出することが要求される。しかも、社内の一方で作った、または保有し料などについては完成や保有日付などが質疑されやすいので、公証やタイムスンプにて確保したほうがよい。公証手続きによって保全された証拠の証拠力は常の書証より高い。タイムスタンプの証拠力につい徐て々、に受け入れ、認めら
れるようになってくる傾向がある。公証やタイムスタンプにて確保した資料でば、十xx反証がなければ、真実性が認められ、証拠として採用されやすい 証手続きを経なければならない。
(次頁に続く)
z 中国では、北京聨合信任技術服務有限公司と国家時刻配信センターと共に設した権威あるタイムスタンプサービス機構聨-合信任タイムスタンプサービスセターのサービスを利用できる。(公式サイhttトps:://xxx.xxx.xx/xxxx/xxxxxxx/ )
z なお、外国で形成した資料についはて、元々公証認証してから、初めて中国で拠として使う。現在、要xx緩和しているが、公文書類について、依然として公手続きをする必要がある。また、外国のタイムスタンプで機確構保したタイムスタンプ資料は、中国で認められる実は例まだない。理論上、外国タイムスタンプ関の主体資格証明と信頼性などを証明できれば、認められる可能性があるがこれらの資格証明と信頼性証明の提出も複雑かつ面倒なので、中国で証拠とて使う可能性があれば、中国のタイムスタンプ機で構確保したほうがよい。
(参照)JETRO「中国におけるタイムスタンプの活用につい2て0」19(年 9 月)
xxxxx://xxx.xxxxx.xx.xx/xxx_xxxxxx/xxxxx/xxxx/xx/xx/xxx/xxxxxx_00000000.xxx
z また、相手方による必要以上の技術情報の開示要求リスクを回避するため、本条ではバックグ
ラウンド情報を「自らが必要とみなす」ものとの定義し、開示するバックグラウンド情報の範囲を自ら決定できることとしている。
z このように(、i)開示するバックグラウン情ド報の範囲を自ら決定できるようにしておくこ(ii)と開、示したバックグラウン情ド報の相手方における扱い(例:秘密保持義務、目的外使用禁止義務、特許出願禁止義務等)を定めておくことが重要である(本モデル契約で11は条第第 1 項
の「秘密情報」の定義にバックグラウンド情報を含めることでこの点に対処している)。
「本単独発明」および「本発明」(2本,3号条)
z 本モデル契約では第7 条において、「本単独発明」に関する知的財産権は当該発明を創出し
た者に帰属し、「本発明」についてはスタートアップに帰属する旨規定しているため、「本単独発明」と「本発明」の区別は極めて重要である。
z ここでいう「本発明」とは、「本単独発明」に該当しない発明等と定義されているが、実質的には共同でなされた発明のことを指している。
特許と専利の違い
z 日本語の「特許・実用新案・意匠」に対応する中国xx「発明専利・実用新利・外観設計専利」であり、「専利」は「特許」に対応する語ではない。契本語版・中国語版においてこの点を明確にしているか否かに注意すべきで。あ
3 条(役割分担)
➨ 3 ᮲ ⏥࠾ࡼࡧஎࡣࠊᮏዎ⣙つᐃࡢㅖ᮲௳ᚑ࠸ࠊᮏ◊✲ࡢࢸ࣮࣐ࡘ࠸
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 想定シーンとして、甲が製品設計・製作にも関与することを想定し、役割追記している。
z 第 2 項として、役割分担についての不測の事態に対応するための協議及び力義務条項を追記している。
②ポイント・解に説ついて追記・変更なし。
<ポイント>
z 両当事者の役割分担(担当業務)を定めた規定である。
z 共同研究開発契約は、基本的にはそれぞれの役割分担(担当業務)の範囲内で、誠実に研究 開発を行い、その成果を報告し合う義務を相互に負う、準委任契約であるという考えが有力である。請負ではないので、契約中に特記事項がない限り、一定の成果を求められることはな い。
<解説>
役割分担の範囲の考え方
z 役割分担は、双方の認識の齟齬を回避すべく、当事者間で認識のすり合わせをしておく必要
がある。これを怠ると、ある役割については双方ともに全く着手がなされていないということになりかねない。
z もっとも、共同研究開発が未実施あるいは開始直後の段階では詳細な役割分担を決めること
が困難である。また、共同研究開発の進行に伴って発生する新たな役(割作業)が不明であることからも、詳細な役割分担を定めることは困難であろう。
z そのような場合においても、本条のように、役割分担の大きな枠組みについてだけでも規定し
ておくことが望まいし。双方が合意した「枠組み」があれば、後に役割分担の詳細を協議する際もスムーズだからである。
4 条(スケジュールの作成)
➨ 4 ᮲ ⏥࠾ࡼࡧஎࡣࠊᮏዎ⣙⥾⤖ᚋە㐌㛫௨ෆࠊ๓᮲ᐃࡵࡿᙺศᢸᚑ
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z スケジュール遅延を防止するため、期間具を体化している。
②ポイント・解に説ついて
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 共同研究開発(本研究)の具体的内容として、スケジュールの定め方を規定する条項である。
<解説>
z どのようなタイミングで両者が協議し、具体的なスケジュールや研究テーマ等をどのように確定し、どのように本研究遂行中の問題を解決していくかを決めておくことが重要である。
z 本条では、本契約の締結後速やかにスケジュールを定めることとなっているが、契約締結時に詳細なスケジュールを定めることは困難である場合も多い。そのような場合は、契約締結時に大まかなスケジュールだけでも定めておき、研究開発の進に行応じ、その都度スケジュールを
具体的なものにアップデートしていくことが望ましい。
z 事業会社の稟議の都合などで、スタートアップがイメージしているよりも報告書や成果物の納 品時期が早く、想定外にスケジュールがタイトとなることがある。そのような事態を回避するためにも、大まかなスケジュールだけでも事前に合意しておくべきである。
5 条(経費負担)
➨ 5 ᮲ எࡣࠊᮏ◊✲ࢆ⾜࠺࠶ࡓࡗ࡚⏕ࡌࡓ⤒㈝㸦⏥ࡀ㈝ᾘࡋࡓ◊✲㛤Ⓨ
ࡿᐇ㈝࠾ࡼࡧே௳㈝ࠊ⫋ົⓎ᫂㐀㛵ࡍࡿዡບ࣭ሗ㓘ࢆྵࡴࠋࡓࡔࡋࠊ
ࡑࢀࡽࡢᇶ‽ཬࡧ㔠㢠ࡘ࠸࡚ࡣ๓எࡢྠពࢆᚓࡿࡶࡢࡍࡿࠋ㸧ࢆࠊ᭩㠃ࡼࡗู࡚㏵ྜពࡉࢀ࡞࠸㝈ࡾࠊ࡚㈇ᢸࡋ࡞ࡅࢀࡤ࡞ࡽ࡞࠸ࠋ
2 ᮏ◊✲ࢆ⾜࠺㐣⛬࠾࠸࡚ࠊ᭩㠃ࡼࡗู࡚㏵ྜពࡋ࡞࠸㝈ࡾࠊ㉎ධࡋࡓタ ഛࠊᮦᩱ࡞ࡢᡤ᭷ᶒࡣࠊ࡚எᖐᒓࡍࡿࡶࡢࡍࡿࠋ
<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 中国専利法(日本の特許法・実用新案法・意匠法に該当)で職は務、発明創造を完成させた発明者に対し、雇用者である企業は、奨励・実施報酬を支払うことが義務付けられている(中国専利法1第5 条)。本ケースでは、乙(自動車部品メーカーY 社)が、原則として、共同研究開発に係るの全費て用を負担
する前提としているため、乙の経費負担に、甲(スタートアップ)が従自業社員に支払うべき職務発明創造の奨励・実施報酬に要する費用を含むことを明記している。
z 基準及び金額を事前に合意する記載を追記している。
z 第 2 項として、本研究に用いる購入物品の所有権の帰属を、費用を支出す乙に帰属するものとして明確化している。ただし、JPOモデル契約書にている通り、研究開発成果である知的財産権についてはその限りではない
(後述)。
②ポイント・解に説ついて
z 上記条文変更についての解説をポイントに追記した。
z 知的財産権の帰属に関する中国の関連法令等を解説に追記した。
z 変更オプション条項を追記した。
<ポイント>
z 本研究に必要な経費を誰が負担するかを定める条項である。共同開発の費用負担は各自が それぞれの分担範囲で行うというの日が本の長らくの商慣習であった。しかし、近年のオープ
ンイノベーションの流れに鑑み、本条のように、資金力の豊かな当事者が費用を負担するというケースも散見される。
中国における共同開発の費用負担の商慣習・司法解釈について
z 一方、中国においては、日本のよう共に同開発の費用負担を各自がそれぞれの分担範囲で行うような商慣習はなく、通常、負担主で体ある各当事者の経費負担
の金額又は比率を共同研究開発契約書に明記することが一般的である。本件のように、一方当事者のみが経費を負担するケースは少なくない。中国企業は日本
の商慣習(共同開発の費用負担は各自がそれぞれの分担範囲で行う)ことを知ないため、経費負担を明確に契約上に規定することは重要である。
z 乙が全ての経費を負担するよう規定しているが、費用負担の範囲がどこまでカーできるかについては紛争を生じやすいため、想定される費用の種類を可能な限 り明確に提示したほうがよい。例えば、中国では、共同開あ発っでても、職務発明創造を完成した従業員に奨励・実施報酬を支払う必要がある。当該費は用、通
常、従業員と労働関係を有する会社が負担すべきであるが、本ケースでは、甲において発生した費用を全て乙が負担することから、甲の従業員に対する職務発明
創造の奨励・報酬がこの経費の範囲に含まれるかどうかを明記したほうがよい
z また、必要性に応じて経費支出すべきであることが重要となる。甲の費用を乙担することから、甲が無駄経に費を使用するリスク、例えば、技術者派遣の際の張費用が高すぎる、あるいは人件費の設定基準が高すぎる、といったことは乙って不利であり、本研究にもプラスの影響を与えない。よって、経費の基準及出のための手続きについての規定を定めることが考えられる。
z 共同研究開発の実施場所、研究・開発担当者、購入した設備の所xx等が契約終了後どちらの当事者に帰属するかについての規定を定めることも考えられる。
z 本ケースでは、購入した設備の所有権について追記した。
<解説>
研究開発の経費と知的財産権の帰属
z スタートアップが提供する素材や技術情報が本研究や本製品の開発において重要な意味を持 ち、他方、スタートアップの役割分担に要する費用が高額な場合は、本条のように事業会社が全費用を負担するということもある。
z 日本では、事業会社としては、研究開発の経費の多くを負担する場合、実質的には共同研究開発契約ではなく、研究委託契約であるとの理解の下、本研究の結果創出されたすべての知的財産権は事業会社に帰属すべきという主張をしがちである。
z しかし、研究開発の費用負担は、スタートアップが開発に携わる人を出していることに対応する負担であり、当該費用を負担していることが直ちに成果物の知的財産権の帰属主体となること を正当化するものではない。
z 他方、共同研究開発の結果生じた知的財産権の取得のための対価は、成果物創出への貢献 度等を踏まえて定められるべきものである。通常、かかる知的財産権を発明者でない者が獲得するためには、別途それに見合った対価を支払う必要がある。
z ここで、中国では、「最高人民法院による技術契約紛争事件審理の法律適用における若干問題に関する解釈」2(020改正)第19 条第 2 項によれば、技術開発契約の当事者の一方が資金、設備、材料等の物質条件を提供するのみ又は補助的な作業を担当するのみで、他方の当事者が研究開発作業を行った場合、託開発契約に該当する、とされてい。る一方、2021年 1 月 1 日から施行された
「民法典」第859条によれば、委託開発の完成された発明創造について、法律別途規定されている状況又は当事者の間に別途約定した状況を除き、専利の願権は研究開発者に属する、とされてい。る
z 本件の役割分担からみれば、両当事者とも研究開発に参加するので、事業会が経費をすべて負担しても上、記解釈において委託開発契約とみなされる可能 性は低いが、本契約第 7 条のように、知的財産権の帰属に関して規定しておくことが極めて重要である。
z 中国では、委託開発でも共同開発でも、開発できた技術成果の権利帰属につき、当事者双方は約定できる。しかも、約定があれば、約定を優先的に適用ものとされる。双方が共有するか、どちらの当事者一方に帰属するか、何れ定できる。経費の負担主体にかかわらず、当事者一方に帰属するとの定約は、中国において違法または不当ではない。
スタートアップが知的財産権を保有する重要性
z 事業会社としては、研究成果に係る知的財産権を取得できずとも、研究成果を(一定の範囲で)独占的に利用できれば事業戦略上支障はないはずである。
z そこで、双方が研究成果に係る事業を成功させるべく、スタートアップが自社で知的財産権を保有することの重要性にも配慮し、スタートアップに知的財産権を帰属させつつ、事業会社に事業領域や期間等の面で一定の限定を付した独占的利用権を設定することで調整すること
が、創出された発明の最大活用の観点からは望ましい。
z スタートアップが自社で知的財産権を保有する重要性とは、
¾ ①知的財産権を単独で保有することで事業基盤が強固になり、利益を創出する力が高まる点、および
¾ ②資金調達の際に、投資家に対して、知的財産権の単独保有を通じて事業上の強みを高める旨の説明ができる点
にある。
z 事業会社がスタートアップと対等なパートナーとして付き合う姿勢があれば、スタートアップのコ ミュニティにおいてもそれが認知され、他のスタートアップからコンタクトされることが期待でき、さらなるイノベーションへのアクセスが容易となる。
z 事業会社は、自社の事業戦略上の必要性を超えた要求をしていないかを常に確認し、スタートアップとWin- Winとなる条件で契約を締結することが、結果として、新たなイシノョベンーへのア
クセスを高め、それにより長期的な繁S栄u(stainability)がもたらされるということを忘れてはならない。
z 中国では、ハイテク企業、テックス・タートアップ企業に対し、税金、奨励金など優遇措置がある。中国政府(地方政府含む)はハ、イテク企業、テックス・タートアップ企業を認定する際に、企業知の財権保有状況、特に特許の保有状況を考慮する。よって、知財権の保有はスタートアップによとりっ重て要である。
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<解説>
z 中国では、当事者一方の負担の形以外では、双方が共同負担するケースも多い。一方負担より、共同負担の場合、リスクとコストを共同して負担するこるので、事業会社の負担をある程度で軽減できる。しかも、が双共方同負担すれば、一方が無駄に経費を使うことを避けることができる。
z 共同負担の場合、各自負担と比率で負担するとの選択肢がある。各自負担のリットとしては、決算がより簡単であり、かつ各方は各自の経費を節約できに進めると考えられる。比率で負担する場合、総額を計算したうえ、さらに分担する必要となり、比較的面倒であるが、メリットとしては、自己負担の全体に占める比率を明確にして、一方当事者の役割分担における経費が予想に増加するリスクも双方が分担することになる。
6 条(情報の開示)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 開示すべき技術情報について、「本研究に関して得られた」ものである明確にした。
②ポイント・解に説ついて
z バックグラウンド情報の事xx利化、情報開示における証拠確保についての注意事項を追記した。
<ポイント>
z 両当事者がバックグラウンド情報契と約有効期間中得られた本研究に関する技術的情報を相手方に開示する規定である。
<解説>
z バックグラウンド情報のうち、特許出願等に馴染むものについては、コンタミ防止の観点から、相手方に開示する前に特許出願等を済ませておくことが望ましい。
z バックグラウンド情報の事前権利化することについて、必要に応じて、相手所在国においても権利化するかについて注意する必要がある。例えば、バッラウンド情報を日本において特許出願したものの、中国で出願していなけれ中国では自由に利用できる技術となるため、競争相手が利用可能となり、双当事者とも不利な状態となる。
z ただし、特許出願等を済ませていたとしても、特許出願等の内容が公開前の場合は、相手方に開示するかどうかを慎重に判断する必要がある。
z また、バックグラウンド情報は、「本研究に関連して当該当事者要がと必みなす知見…」である
から、これに該当しない情報、つまり、本研究に関連しない情報や本研究に必要でない情報まで開示しないように注意する必要がある。
z 自社の合法的な利益を守るため、相手に情報を開示する際に、証拠を確保しほうがよい。つまり、相手に何時にどのような情報を開示したか、証拠を保ほうがよい。
z 証拠保留の方法としては、相手に書面にて情報を提示した場合、受領シートの受領証明をサイン・捺印させることが考えられる。電子情報を提示した場受領の返事を要求し、かつこれらの受領証明資料をきんちと保存したほうがよい。
7 条(知的xx権等の帰属および成果物の利用)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 第 2 項に、●●に定める特許権の略称を「(以下、「本特許権」とい」うと)追加した。
z 後の第8,9条を考慮し、「本バックグラウンド特許権」の定義を明確化 z 地理的範囲のオプションを解説欄に追加した。
z 改良発明について適用するライセンス条件について明確化した。
②ポイント・解に説ついて
z 共同開発した発明に関する専利出願権や権利の共有、技術輸出入に関する法令について解説した。
<ポイント>
z 本共同開発に関わる知的財産xxの帰属や成果物の利用について定めた規定である。本モ デル契約では、本共同研究以降のスムーズな製造・販売への移行が見通せる状況を想定した
上で、共同研究の発明等の成果をスタートアップ側に権利帰属させることについて事業会社からの理解を得るため、本発明にかかる知的財産の権権利の帰属と同時に、その後のライセン
ス条件についても定める内容としている。
z 他方、素材分野では、共同開発後にも製品販売までに長期を要するケースも多い。その際は、特許xxのライセンスにかかる詳細な取り決めは、別途ライセ契ン約スとして締結することで、
共同研究開発の契約をシンプルにすることも選択肢である。
z ライセンス料率を決定するためには、スタートアップが提供する特許等の希少性や重要性、本製品の市場規模、販売価格や製品寿命、あるいは本製品の付加価値における当該特許等の
貢献度など、個別のケースに応じた幅広な検討が必要である。
<解説>
知的財産権の帰属の考え方
z 知的財産権の帰属の決定方法は、
¾ ①誰が発明したかを問わず、いずれかの当事者に単独帰属させる、
¾ ②全て当事者間の共有、
¾ ③当該知的財産等を発明した当事者に帰属、
¾ ④当事者間で都度協議、
に大別できるが、共同で開発した知的財産権については、創出された発明の最大活用の観点から、スタートアップに単独帰属させることを積極的に検討することが期待される。
中国における共同開発した発明の帰属・実施xxについて
z 中国「民法典」第860条の規定によれば、双方当事者が別途約定した場合を除き、共同開発で完成した発明創造についての専利(特許・実用新案・意匠)権は双方当事者の共有となり、一方当事者が当該出願権を放棄した場合、別の合意がない限り、他方当事者は単独または第三者と共同で出願でき、専利を取得した場合、前記出願権を放棄した一方当事者は当該専利権を無償で実できる、とされている。
z また、同第861条では、共同開発で完成したノウハウ成果の使用権、譲渡権及び収益の分配方法については当事者間で約定するものとし、約定がない又は明確な場合、同じ技術法案が専利登録される前において、双方当事者はいずも使用と譲渡の権利を有する、とされている。
z 中国「専利法」第8 条によれば、二つ以上の単位又は個人が協力して完成した発明創造、一つの単位又は個人がその他の単位や個人の委託を受けて完成した発明創造については、別途合意がある場合を除き、専利出願権は完成した位又は個人、あるいは共同で完成した単位又は個人帰に属する。出願が認可された場合は出願した単位又は個人が専利権者となる。
z したがって、中国法の下はで、共同で開発した知的財産権については帰属を当 事者の合意により約定でき、明確に約定しなければ、共有するものとみなされる。片方当事者に単独帰属させたい場合、本契約にて明確に規定することが要である。
z また、改良発明について、中国法では、特段な約定がなければ、改良発明は良方に帰属する。また、平等ではない条件で一が方改良した発明を相手方に帰属させる約定は、不法的に技術を独占することに該当し、無効になるおそれる。よって、改良発明の権利帰属について、事前に明確に約定したほうがよいしかも、約定の際に、当事者双方にとって平等的にするよう留意すべきであ
z 現状では、知的財産権の共有は、次の点からスタートアップにとって好ましくない。
¾ 特許権を共有にする場合、日本法の下では、当該特許発明の実施は、契約で特段の制限をかけなければ各共有者が自由に実施できる(特許7法3 条 2 項)ものの、当該特許の第三者へのライセンスは共有者の許諾がなければ原則としてなし得ない(特7許3法条 3
項)。したがって、例えば、ものづくり系のスタートアップが、第三者に自社プロダクトの製造・量産を依頼するにあたり当該第三者に共有特許をライセンスする必要がある場合、事
業会社からライセンスの許可をとらなければならない。しかし、事業会社の社内決裁に時間を要することで事業のスピードが低下したり、そもそもライセンスの許可が下りず、計画が頓挫するといった可能性も否定できない。
¾ また、共有特許に係る共有持分の譲渡についても、共有者の同意が必要になる
(特許法73 条 1 項)。例えば、スタートアッMプ&がAによるEXITを目指す場合、M&A
のスキームによっては当該特許の共有持分を個別に買主である企業に譲渡する必要
が出てくる場合があり、事業会社の許諾が必要となる。そして、当該許諾を適時に得られなければ、当該M&A に対する支障となる。
¾ 以上は日本法を前提とする。共有特許制度に関する法律の内容は国によってもまちまち
であり、グローバルビジネスにおいては、各国の法制に沿って対応する必要があるが、スタートアップにとってこれも大きな負担となる。
z 中国「専利法」第 14 条によれば、「専利出願権又は専利権の共有者の間で権利の行使について約定がある場合はその約定に従う。約定がない場合、共有者単独で実施するか、あるいは一般許諾方式によっ第て三者に当該専利の実施を許諾することができる第。三者に当該専利の実施を許諾する場合、受け取った使用料は共有者の間で分配しなければならない。前項が規定する状況を除き、共有する専利出願権又は専利権の行使については共有者全員の同意を得なければならない。」とされている。
z つまり、中国法の下では、共有者の間に共同専利権の実施及び許諾に関する段の約定がない場合であっても、一方当事者が当該専利に対する実施や第三 者への一般許諾方式によって実施を許諾するこにとついて、他方当事者の許諾は必要ではない。
z したがって、スタートアップだけではなく、共有者である事業会社も同じくアップの許諾を得る必要がなく、自己意思に基づいて当該特許発明の実施及一般許諾方式によって他者に当該専利の実施を許諾することができる。すなち、契約で特段の制限をかけなければ各共有者が自由に実施できる。
(次頁につづく)
z ただし、共有する専利出願権を第三者へ譲渡する場合は、共有者全員の同意得なければならない。上記と同じく、もしスタートアMッ&プAにがよるEXITを目
指す場合、M&A のスキームによっては当該特許の共有持分を個別に買主である企業に譲渡する必要が出てくる場合があり、事業会社の許諾が必要となるして、当該許諾を適時に得られなければ、当M該&A に対する支障となる。
z 結論として、オープンイノベーションを成功させるためには、研究成果についての知的財産権の共有は極力避けることが望ましい。仮に共有にせざるを得ない場合であっても、上記弊害が生じないよう、予め共、有者の権限範囲などを約定し、第三者に対するライセンス・譲渡につい
ての同意条項を規定するなどの配慮をする必要がある。
成果の利用についての考え方
z 研究成果についての権利をスタートアップに単独帰属させる場合は、共同研究開発契約締結 時に、事業会社に当該権利について一定の範囲での独占的な利用権の設定を含むライセンス 条件の設定を予めしておくことなどにより、両当事者の納得が得られる整理を模索すべきである。
z 本モデル契約では、本発明にかかる知的財産権について、本6条項で甲に帰属させ、同7 項で事業会社に対して本製品を販売等する範囲で独占的通常実施権を設定している。
z もっとも、事業会社が本製品を販売等するためには、その他のスタートアップの知的財産権(具体的には、スタートアップによる単独発明にかかる知的財産権や本研究の開始以前からスタ
ートアップが有している知的財産権)の利用権もあわせて設定しなければならないことがある。
z そこで、本モデル契約では、単独発明にかかる知的財産権の処理については別途協議すると
し(本条1 項)、本研究の開始以前からスタートアップが有している知的財産権のライセンスについては、ランニングロイヤルティの方式でライセンス料を計算している2(項本~条5 項。な
お、ライセンスすべき知的財産権は特許権しかないことを前提としている)。
z このように個別にライセンス料を設定する方法の他に1も0 条、の「研究成果に対する対価」の中に同ライセンス料を含ませる方式もある。この場合に1は0 条、の「研究成果に対する対価」の金額に、ライセンス料を加味した額を設定することとなる。
¾ 本条においては、本発明のライセンス料を無償としている1が0 条、に定める研究成果へ
の対価の額や、本発明の汎用性や実用性などを加味し、これを有償にすることも考えられる。
¾ また、本条では事業会社に「独的占通常実施権」を設定しており、スタートアップ自身が実施することも確保されているが、「専用実施権」(特77許条法)を設定した場合には、特段
の定めをしない限りスタートアップ自身が対象発明を実施できなくなる。両者の違いに注意が必要である。
¾ 中国法の下、「独占許可」(日本法の「専用実施権」に該当する)を設定場合には、特段の定めをしない限りスタートアップ自身が対象発明を実施きなくなる。事業会社に専利実施権を設定する場合、各実施権の法的意味留意する必要があり、本件では条件付きの「普通許可」(日本法の通xx実権に該当する)又は「排他許可」(日本法の独占的通常実施権に該当する設定することが考えられる。
z 上記の実施権の設定に加えて、本発明に係る知的財産権をスタートアップに単独帰属させた 場合、状況に応じて、事業会社に当該知的財産権買取の交渉オプションを与える、あるいは、独占的通常実施権の独占期間の延長を協議に基づき認める条項等を入れることで、事業会
社に配慮するケースもあろう。
ライセンスにおける地理的範囲のオプション
z 本発明の独占的/ 非独占的通常実施権の設定については、JPO モデル契約書 における「一定期間後に全世界に対する非独占的通常実施権を設定する」以のオプションとして、一定期間後に、「地理的範囲」を限定した独占的通常を設定する、例えば、事業会社の所在する国・地域(【ケ2】ーでスあれば日「本
国」とする)のみ独占的通常実施権を引き続き設定し、その他の地域を非独通常実施権を設定することとして、事業会社に配慮する手段もある。
z さらに13 条で、一定期間の競業避止義務を定めることで、知的財産権をスタートアッ属プに帰させることによる事業会社の懸念にも配慮している。
z 本条では、「競業する事業」の範囲が明確とならないという問題も生じ得ることから、具体的な企業名や製品の特徴を列挙することも検討すべきである。
z なお、ライセンス期間について、本件では素材が最終的に製品化されて市場で流通するようになるまでに相当期間を要し、当初設定したライセンス期間では、ライセンスに基づき実際に最終製品を販売できる期間が極めて短くなってしまうおそれがあ事り業、会社に不都合である。
そのため、一定のライセンス期間を確保する要請がある。
他方、徒にライセンス期間を長期化させると、製品化を断念した場合等、ライセンスの必要がない場合にもライセンスが残存することとなり、スタートアップに不都合である。
z そこで、ライセンス期間は契約締結から一定期●xx(間)としつつも、合理的な理由に基づき
更新拒絶をしない限り、ライセンスが自動更新されるものとした。このような建付けにすることにより、契約締結後に判明するライセンスの継続の必要性等を加味しながら、ライセンス期間を
柔軟に設定することができる。
z また、中国「民法典」8第60条第 2 項の規定によれば、共同研究の一方当事者 が明確に専利出願権を放棄し、他方当事者が出願して専利権を取得した場合、
専利出願権を放棄した当事者は当該専利を無償で実施できる、と規定している。
z したがって、特段の約定がなければ、中国法の下、共同でなされた本発明について甲(スタートアッのプみ)に専利権を帰属させたとしても、乙(事業会は社出)願 した専利を無償で実施できることに留意が必要である。
スタートアップの事業継続性リスク
z スタートアップに権利を単独帰属させる場合、事業会社としては、スタートアップが事業に失敗し、破産等、事業継続が困難になった場合、本研究の成果に係る知的財産権が事業会社に対
して本条所定のとおりにライセンスされず、本製品の製造等に支障を来すのではないかという懸念を持ちがちである。
z そこで、本条では、スタートアップに経済的不安が生じた場合には、スタートアップから研究成果に係る知的財産権の譲渡を受けることができるようにした(「事業会社の指定する第三者」 は、事業会社のグループ会社や知財管理会社に帰属させる場合を想定てしいる)。
z ただし、スタートアップが破綻に瀕している状況下での知的財産権の譲受は詐害行為取消(倒産手続上は否認権行使)などのリスクがあることから、実際に知的財産権の譲渡を受ける場合には、スタートアップにおいて事業再生手続などを利用するなどして、債権者の一定の関与のもとで譲渡手続きを進めるのが適切といえる。
z また、当該スタートアップの価値の大部分を知的財産権(およびこれを開発することのできる人材)が占めるのであれば、事業会社としては、知的財産権の譲受ではなく、当該スタートアップ自体を買収することも検討にす値る(無論、債権債務関係が承継される点には留意が必要で
ある)。
z スタートアップ破綻時のリスクとして、事業会社に与えられた通常実施権が当該特許権を取得した第三者に対抗できるかという点については日、本では、「通常実施権は、その発生後にそ
の特許権・・・を取得した者に対しても、その効力を有する。」と規定する当然対抗制度(特許法
99 条)の対抗力の範囲の問題となるが、現時点では、判例の蓄積が存在しない。よって、差止請求権の不行使およびその対価という、通常実施権に関する主たる法律関係はともかく、独占特約、実施報告義務などの付随的な法律関係についてまで当然に対抗できるかどうかは、議
論の余地がある。
z 中国では、実施許諾権について国家知識産権局に届け出る場合、権利の譲受人に対しても、その効力を有する。つまり、権利がさ譲れ渡ても、元の権利者との実施許諾契約が依然として有効である。しかし、国家知識産権局で届出手続していない場合、善意の第三者に対抗できない。善意の譲受人は通常実施権回収し、実施停止を要求できる。
技術輸出入関係と届け出手続き
z 契約の両方当事者は中国企業と日本企業であり、双方の間の権利帰属、譲渡、実施許諾はいずれも技術輸出入に該当する可能性がある。中国「技術輸出入管理条例」によれば、技術輸出入の場合、技術分野によって、輸出入止、輸出入制限、輸出入自由の三種類がある。本件の技術分野は基本的には輸出入自由の技術に該当すると考えるが、具体的には、開発できた技術容を中国政府が発行した輸出入の制限・禁止リスをト参照する必要がある。輸出自由技術に該当する場合、事前に政府の許可を得る必要はないが、中国企業の現地商務部門に契約を届け出る必要がある。
【ケース1】甲が日本企業であり、乙が中国企業であ場る合
¾ 本研究開始前の甲が保有している特許権を乙に実施許諾することは、術輸入に該当する。技術輸入契約を乙の所在地の商務部門に届け出るべきである。同届け出証明はライセンス料を日本に振り込む際に、銀ら要求される可能性がある。よって、届け出しない場合、ライセンス金に影響を与えるおそれがある。なお、実施許諾契約として国家知識権局に届出るべきである。届出しなくても、契約の有効性に影響を与いが、善意の第三者に対抗できない。
¾ 日中の企業が共同開発した本発明を日本企業に帰属させることは、中国 からみれば、技術輸出に該当する。理論上、技術輸出契約として乙の在地の商務部門に届け出るべきであるが、特許出願前のこのような技術輸出について、届け出しなくても、あまり不利な影は響ない。実務上、届け出しないケースも多く、当局も審査しない。
¾ 本発明を乙に無償に実施許諾することは、技術輸入に該当する。理論上、技術輸入契約を乙の所在地の商務部門に届出るべきであるが、無なので、送金の問題がなく、届け出しなくても、不利な影響がない。実施許諾契約として国家知識産権局に届出るべきである。届出しなくも、契約の有効性に影響を与えないが、善意第三者に対抗できない。
(次頁につづく)
【ケース2】甲が中国企業であり、乙が日本企業である場合
¾ 本研究開始前の甲が保有している特許権を乙に実施許諾することは、術輸出に該当する。技術輸出契約を甲の所在地の商務部門に届出るべきである。なお、実施許諾契約として国家知識産権局に届出るべきでる。届出しなくても、契約の有効性に影響を与えないが、善意第三者抗できない。
¾ 日中の企業が共同開発した本発明を中国会社に帰属させることは、中国からみれば、技術輸入に該当する。理論上、技術輸入契約として甲の在地の商務部門に届出るべきであるが、特許出願前のこのような技術入について、届け出しなくても、あまり不利な影響がない上。実、務届け出しないケースも多いし、当局も審査しない。
¾ 本発明を乙に無償に実施許諾することは、技術輸出に該当する。理論上、技術輸出契約を甲の所在地の商務部門に届出るべきであるが、無である場合、届け出ができない。なお、実施許諾契約として国家知識局に届出るべきである。届出しなくても、契約の有効性に影響を与えが、善意第三者に対抗できない。
z 上記の技術輸出入契約届出と実施許諾契約の届け出以外、技術契約の認定登録手続きもある。同手続きも中国企業の所在地の商務部門に実施するべきである
z 技術契約として認定登録されたら、技術の収入につき、税の優遇措置を求めるこができる。
z 改正前の技術輸出入管理条例の第 27 条には、「技術輸入契約の有効期間内に改良した技術の成果は、改良した側に帰属する。」と規定されていた。改正後術輸出入管理条例には、同条項は削除された。当該条項の削除により、改良技が改良した側に帰属するという強制的な規定がなくなったため、当事者双方は自由に契約できるようになった。例えば、「技術提供者と改良者の双方が改良を共有する」という内容で契約することができるようになった。しかし、中国典」第875条「互恵原則」、8第50条「独占・技術進歩の妨害を禁止」の規定によれば、契約が著しく不平等である場合、契約が無効であると認定される可能性ある。例えば、一方が自ら改良した技術を他方に無償で提供することを要求すと、ライセンス契約の中に排他的付与条件を定めることなどは、避けたほうがと考える。
(次頁につづく)
参照:中国「民法典」
第 875条 当事者の互恵の原則に従い技術譲渡契約には、特許を実施し、またノウハウを使用後改善した技術成果の分配方法を約定することができる。約定なく、または約定が明確でなく、本法61第条の規定によりなお確定できない場合当事者の一方が改善した技術成果については、その他の当事者は分配を受ける権利がない。
第 850条違法に技術を独占し、技術の進歩を阻害し、または他人の技術成果を害する技術契約は、無効とする。
z 改正前の技術輸出入管理条例の第 29条には、技術輸入契約に含めてはならない制限的条項とし、「技輸術入契約の有効期間内に改良した技術の成果は、改良した側に帰属する。」と規定されていた。改正後の技術輸出入管理条例には、項を削除された。しかし、中国「技術契約紛争事件審理の法律適用における問題に関する最高裁判所の解釈」第10 条によれば、改良を禁止または制限する条項は、民法典850条の「技術の違法独占」に該当し、関係約定が無効である断されるおそれがある。よって、本製品の改良を禁止できないので、改良後の扱いを事前に約定したほうがよい。改良の取り扱いを約定する際にも、平等平とで約定しなければならない。
参照:中国「技術契約紛争事件審理の法律適用における若干問題に関する最高裁判所の解釈」第10 条
下記の状況は、民法典850条の「技術の違法独占」に該当する。
①契約対象技術の改良、又は改良した技術の使用を制限する条項、または双方改良技術を交換する条件が平等ではない。一方が自改ら良した技術を無償で相 手方に提供するよう要求し、お互いに有利な条件ではなく相手方に譲渡し、改術の知財権を無償で独占または共有することを含む。
……
z 改正前の技術輸出入管理条例の第 25 条、現行同条例の24 条によれば、技術輸入契約の提供者の保証責任が規定されている。つまり、「技術輸入契約の提供は、その提供する技術が完全で、蝦疵がなく、有効で、約定された技術目標をできることを保証しなければならない。」。したがって、日本が企中業国側企業側へ 知的財産権を譲渡する場合、技術の完成性保証責任を負わなければならないに注意すべきである。例えば、契約の中で「技術の到達できる技術目標」を明確約定することが必要である。
【コラム】製造委託の際の実施許諾
z 自ら量産設備を揃えることが資金的に困難なスタートアップにとって、自社プロダクトの量産を第三者に委託することが時として必須となる。
z ここで注意しなければならないのは日、本では、第三者に特許製品の製造を委託する行為が
特許法第 73 条第 3 項により他の共有者の同意を要する行為に該当するとされることがあるということである。
z この点、過去の裁判例から、製造委託に関しては、第三者に対する実施許諾には該当しない として、特許権が共有の場合であっても他の共有者の同意なく、これを行うことが可能な場合がある。
z ただし、その要件として、①スタートアップから受託者に関する指揮監督②、委託者(スタートアップ)による製造物の全量引取りなどを具備する必要がある。
z なお、上記要件において特許の共有者の同意なく製造委託が可能であることは、日本独自の取り決めであり、日本国外においては、一般的になんらかの許諾が必要である。
z 中国では、中国「専利法」1第4 条によれば、専利出願権又は専利権の共有者の間で権利の行使について約定がある場合はその約定に従う。約定がない場合共有者は単独で実施するか、あるいは一般許諾方式によって他者に当該専の利実施を許諾することができる。他者に当該専利の実施を許諾する場合、受けた使用料は共有者の間で分配しなければならない。前項が規定する状況を除き、共有する専利出願権又は専利権の行使については共有者全員の同意を得なければならない。とされている。
z つまり、中国法の下では、共有者の間に共同専利権の実施及び許諾に関する段の約定がない場合、当事者は当該専利に対する実施や第三者への一般許諾方式によって実施を許諾するこにとついて、他方当事者の許諾は必要ではない。
z したがって、共有の場合でも、スタートアップは、共有者である事業会社の得ずに、量産を第三者に委託することができる。
【コラム】知的財産権の帰属バリエーション
z 本条では本発明にかかる知的財産権は全てスタートアップに帰属と規定しているが、その他、以下のようなバリエーションがある。
① 発明者主義:発明をした発明者が在籍する主体に知的財産権が帰属する。スタートアップと事業会社の従業員が共同で発明をしたら、双方共有の知的財産権となる。知的財産x xのデフォルトルールに沿っており、直感的にフェアな条件であり、合意しやすい。
② すべて共有:発明者が誰であろうと、本発明にかかる全ての知的財産権をスタートアップと事業会社の共有とする(持分割合について、等分にする場合や貢献度に応じて定める場
合がある)。知的財産xxのデフォルトルールからすると、実際に開発業務を行ったスタートアップの従業員が発明者となるーケスが多いと思われるが、事業会社が共同研究開発
にかかる費用を支払っていることに鑑みると、事業会社が支払う額によっては「すべて共
有」とすることも妥当な落としどころとなる場合もある。ただし、知的財産権を共有とした場合、各自の権利行使について原則として共有者の承諾が必要となるというデメリットが発
生することから共、有権者の権限範囲を明確に約定して、単独で知的財産権を行使できるよう事前の同意を得ておくことが望ましい。
③ 分野を決めてそれぞれ単独帰属とする方法:共有にかかる知的財産権は活用が難しい。特に、第三者への許諾が共有権者による同意が必要であるとの約定があればス、タート
アップとしては、自社の技術を横展開していろいろな企業に使って欲しいのに、共有にか かる特許権を第三者ライセンスすることにつき、事業会社の同意が得られないケースも存 在する。そこで、本件においても、多くの用途に適用しうる新素材の汎用的な発明はスタートアップに単独帰属、本製品(ヘッドライトカバー)に特有の発明は事業会社に単独帰属、とする整理も考え得る。
8 条(ライセンス料の不返還)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 「本特xx等」の定義を明確化している。
②ポイント・解に説ついて
z 中国専利法に基づく解説を追加している。
<ポイント>
z 支払われたライセンス料についての不返還を定めた条項である。
<解説>
z 中国専利法によれば、権利者の悪意がある状況を除き、権利が無効された場合、既に支払ったライセンス料などを返還する必要がない。よって、本条のは特に法律に違反しない。
z しかし、甲に確かに悪意がある場合、例えば、本特許権が無と効なるべきものであると明らかに知っていながら、実施許諾してライセンスを料徴収した場合、乙が返還を求めることができるか否かは議論になる可能性がある。
9 条(第三者の権利侵害に関する担保責任)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 追記・変更なし。
②ポイント・解説について
z 中国技術輸出入管理条例の特許保証関連条項に関する解説を追加した。
<ポイント>
z ライセンス対象となる特xx等の非保証を定めた規定である。
z 1 項の特許非保証を前提として2、項は、xxxxxxが第三者から訴訟提起された場合のライセンサーの協力義務を定めたものである。
<解説>
z ライセンスの対象となる特許等については、第三者の権利侵害がないことを保証する(いわゆる「特許保証」)のが当然だという考え方になりがちである。
z しかし、特許保証を行うことは、ライセンサーのリスクが非常に高い。スタートアップと事業会社の間の適切なリスク分配という観点からは、特許保証までは行わないという前提で他の条件を
定めることが適切である。仮に、特許保証をするにしても、「甲が知る限り権利侵害はない」「甲は権利侵害の通知をこれまで受けたことはない」ことの表明にとどめるべきである。
中国技術輸出入管理条例における特許保証関連条項について
z 中国法の下、ライセンスの対象となる特許等について、第三者の権利侵害がいことを保証することは一般的である。
z 特に 2019年改正前の「技術輸出入管理条例」第24条では、技術輸入の場合、輸入技術の実施により第三者の権利を侵害する場合、譲渡が人責任を負担すると明確に規定している。よって20、19年改正前の時点では、【ケース1】の状況技術輸入に該当するので、甲の不侵害の非保証は無効であり、第三者の権利侵害する場合、依然として甲が責任を負担すべき、となる。
z 2019年改正後では、譲渡人が第三者への権利侵害の責任を負担するとの内容が削除された。よって、現行法からみれば、特許保証までは行わないというで甲の協力義務のみを定めることについては、特に中国法を違反しない。
z 可能な限り、「第三者の権利を侵害する場合、甲は責任を負わない」ことをさ明確に規定することも考えられる。
10 条(研究成果に対する対価)
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 本研究の完了後、事業化に至るまでにおける、研究成果に対する報酬の支払を定める規定である。
<解説>
研究成果の対価交渉の方針・考え方
z 「想定シーン」で述べたように、研究成果が出てから事業化に至るまでに、事業会社の社内での最終製品の開発・生産準備や商流の調整等で相当程度の時間を要する上に、事業化に至
った場合にどの程度の収益が上がるか不透明である場合が少なくない。
z そこで、研究成果に対する報酬については、事業化に至る前であっても、研究成果が出た時点で頭金として相当価格を支払うこととし(①本)条、その後についても、商品販売までのロードマップを策定し、その過程にメルクマールを設定し、各時点において研究成果対へ価のを支払う
ことを取り決め、ただしその額について別途協議の上定めるものとした②(③本)条。
z この②や③の対価の額の交渉に時間を要することも考えられるが、あくまでも金額が合意できてから作業を開始するのが原則であるから、スタートアップとしてはその交渉期②間や中③に
に係る作業だけを進めること(特に、その成果を事業会社側に共有すること)は、程度問題ではあるが、避けたい。
z そのため、②や③の対価に係る交渉は、収益性等の考慮事項の数値が見えてきた段階で、早めに始めておくことが望ましい。
研究成果に対する報酬発生有無および報酬額
z 研究成果に対する報酬の有無およびその支払額は、
¾ a.共同開発した知財の帰属、
¾ b.実施権の許諾範囲、
¾ c.競業避止の範囲、
¾ d.納品物とその利用範囲、および
¾ e.製品のターゲット市場の規模や期待収益
などを考慮して交渉・決定されるべきものである。
z 本モデル契約では、①「 本製品が別紙●●所定の性能を達成した時」に頭金を支払うこととしている。この金額の設定においては、
¾ 研究開発で発生する経費(実費+人件費)は事業会社が負担する形としている点、
¾ 共同開発された知財はスタートアップの単独帰属としている点、
¾ 事業会社は共有知財について一定期間・一定の領域で無償独占的通常実施権の設定を受ける点、
などを踏まえつつ、事業化に至った際の製品の市場性や利益率等などの経済性、本製品の付 加価値における当該特許等の貢献度、そしてライセンスフィーとのバランスなど、個別のケースに応じた幅広な検討が必要である。
z 他にも、例えば共同研究開発を開始してすぐにスタートアップから開発における重要度の高い知財が事業会社に提供される場合、研究の成否を問わず、契約締結のタイミン一グ時で金の
支払いを設定するという選択肢もあり得るだろう。
【コラムマ】イルストーン方式
z 上例のように、オープンイノベーションにおいて、事業会社の事業の進捗に応じて、スタートアップに対して、段階的に対価を支払う形式をマイルストーン方式といい、その場合の対価をマイ
ルストーン・ペイメントと呼ぶ。
z 本条では、研究成果に対する報酬の支払条件を定めるにあたってマイルストーン方式を採用している。
z この点、創薬の分野では、特許等のライセンス料の支払条件を定めるにあたり、マイルストーン方式が広く採用されているが、他の分野ではほとんど実績がない。
z しかし、研究成果に対する報酬をマイルストーン方式で支払うことは、資金調達を常に実現しなくてはならないスタートアップ側の事情と、事業の見通しが不確定な状況では多額の対価を支 払いたくない事業会社側の事情とを調整する、一つの有効な方法ではないかと期待されてお
り、今後、オープンイノベーションを進めるにあたり、他分野でも導入を検討すべきである。
z 創薬の分野でマイルストーン方式の採用が進んだ背景としては、マイルストーンの指標として、治験の進行度に合わせたフェーズ1(~4 まである)や、各国の行政機関(例:日本PでMはDA)
による薬事認証が存在するので、マイルストーン達成の客観性が担保されている点が指摘できる。
z 他の分野においてもマイルストーン方式を導入する際は、マイルストーンの指標について、その達成(支払条件の具備)につき客観性を担保できるようにしておくことが重要である。
z 本モデル契約においては、頭金●円の支払が発生する条件を「①本製品が別紙● ●所定の性能を達成した時」と定め、マイルストーンの指標を客観的に定めよてういとるし。
11 条(秘密情報、データおよび素材等の取扱い)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 第 1 項の「以下「本目的」とい」うとの文字を削除した。
②ポイント・解説について
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 相手から開示提供等を受けた秘密情報等の管理方法に関する条項である。
<解説>
従前に締結した秘密保持条項との関係整理
z 秘密保持契約やPoC契約に引き続いて共同研究開発契約を締結する場合、共同研究開発契約よりも前に締結した契約における秘密保持条項と共同研究開発契約における秘密保持条項の関係が問題となる。
z 共同研究開発契約においては新たな秘密保持条項を設けずに既存の(従前の契約で定めた)秘密保持条項が引き続き適用されるとすることもあるが、本モデル契約においては共同研究開発契約で新たに定める秘密保持条項が、既存の秘密保持条項を上書きすることとしている
(本条9 項)。
z 共同研究開発契約において、既存の秘密保持条項とは異なる内容の秘密保持条項を設ける場合は、特にそれらの優先関係に留意しなければならない。
秘密情報の定義(秘密である旨の特定の要否)
z 秘密情報の定義については、当事者間でやりとりされる情報を包括的に対象とする場合と、個別に秘密である旨の特定を要求する場合があるが、本モデル契約では、様々な情報、データ、素材等がやりとりされることが多い共同研究開発段階において、秘密である旨の特定を忘れることによるリスクが大きいと考え、秘密である旨の特定を要さない前者を採用している。
z 他方で、秘密情報を「一切の情報」と包括的に定義すると、範囲が広過ぎるとして有効性が争われ、逆に保護の範囲が狭まってしまう(秘密情報とは保護に値する情報を意味すると限定解釈される)リスクが発生する。このリスクを排除するため「に秘は密、を指定」する条文を採用す
ればよい。
z なお、「秘密を指定」する条文オプションとその背景となる秘密情報の範囲に関する考え方については、「秘密保持契約」のモデル契約書に詳細に解説しているため、そちらも参考にされた い。
秘密情報の定義(秘密情報に有体物を含めるか否か)
z 共同研究開発では、無体物である情報やデータに加え、有体物である素材それ自体がやり取
りされることが多いところ、この素材は、当事者にとっては秘密情報と同様の重要性を持つものである。そこで、本モデル契約では、素材を含む有体物をも保護することとし、有体物を含む保護の対象全体を「秘密情報等」と整理している。
z また、本モデル契約では、秘密情報等に「別●紙●に列挙のもの・・・を含む」という文言を入れることで、特に秘密情報等として保護すべきものが(別紙に列挙することで)秘密情報等の範囲から漏れることを防止できる立て付けしにている。
z さらに、本モデル契約では、「本契約締結の前後にかかわらず」の文言を入れることで、締結前の秘密情報も保護の対象となることを明らかにしている。
12 条(成果の公表)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 第 3 項に公表の際の相方同意の必要性を追記した。
②ポイント・解説について
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 共同研究開発の開始および成果の公表の手続きについて定める規定である。
<解説>
z まず、共同研究開発を開始した事実については、契約締結の時点で具体的な公表内容を合意し、それを記載した別紙を契約書に添付しておくことが望ましい。
z 共同研究開発の成果の公表については、秘密保持義務を遵守することはもちろん、成果について事前通知の上、公表内容について協議を行うべきこととし秘た密。保持の観点および特許
などの新規性を確保するため、公表内容と公表時期を慎重に検討しなければならない。双方が合意したうえではじめて公表できると約定したほうがよい。
z スタートアップは、資金調達などの観点からピッチイベントなどを行うことが多い。このようなピッチイベントにおいて研究の開始や成果についてプレゼンすることも本条の「公表」に該当するた
め、本条の手続きに則って進める必要がある。
13 条(第三者との競合開発の禁止)
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z いわゆる競業避止義務を定める条項であり、具体的には、本モデル契約の期間中の第三者との競合開発を禁止する規定である。
<解説>
z 本モデル契約の期間中に、競業他社とも類似の共同研究開発がされ、そちらで成果物を特許出願されてしまうリスクがあるため、本条を定めることは重要である。
【コラム】競業避止の範囲
z 競業避止の範囲について、本モデル契約では「本製品と同一または類似の製品」としているが、「本研究と同一または類似のテーマ」などと定められることもある。
z 「本製品」や「本研究のテーマ」の定義が曖あ昧るでと、広汎な研究領域が競業避止の名の下
に禁止されてしまい、当事者によっては大きなリスクとなる。他方、「本製品」や「本研究のテーマ」の定義が狭すぎると、本来禁止したい領域が禁止できないというリスクが生じる。
z 競業避止義務違反に関する紛争においては、上記の「類似」の範囲が問題となることが多い。したがって、別紙等で「類似」の範囲をより具体的に定め①る○(○「、② △△、③□□を全て
備える製品は本製品と類似しているものとする」など)ことも検討すべきである。
z さらに、禁止の範囲を「類似」(技術的に近似してとい)るにこ限定すべきかという論点もある。たとえば、技術的には異なっていても、同じ市場にあり競合する製品(例:白熱LE電D球)とも
競合避止の範囲に含めるべきか、という問題である。
14 条(第三者との間の紛争)
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 研究開発時に起こりうる第三者との主なトラブルは、知的財xx等の権利の侵害または製造 物責任に関するものである。本条はこのようなトラブルが発生した場合の両当事者の責任と費用負担について定めた規定である。
<解説>
z 開発委託の場合には、開発者側に、成果物が第三者の知的財産権を侵害しないことの表明保証を求める場合も少なくないが、本件は両当事者の知見を合わせて成果物の創出に向けて取り組む共同研究開発であるから、第三者の知的財産権の侵害が発覚した場合には、両者協力して処理解決することとし、紛争を認識した場合方はに他速やかに通知することとしている。
z 責任と費用は、紛争の原因がある当事者の負担とし、当事者双方の過失による場合には過失の度合いにより協議の上負担する旨規定している。
15 条(権利義務譲渡の禁止)
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 契約の権利義務譲渡の禁止に関する一般的な規定である。
<解説>
z 共同開発の場合、相手当事者の技術力などを事前に総合的に考慮したうえ、共同開発関係を 締結することを決めることは通常である。契約権利義務を譲渡できれば、契約当事者が変更されることになり契、約締結の基礎にもなる相手当事者に対する信頼がなくなる。よって、権利義務譲渡の禁止を約定したほうがよい。
16 条(解除)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 追記・変更なし。
②解説について
z 不争条項に関するコメントを追記する。
<ポイント>
z 契約解除に関する一般的な規定である。
z 4 号においては、ライセンス対象となっている本発明に関する知的財産権およびライセンス対象となりうる本単独発明に関する知的財産権の有効性を争った場合には、本モデル契約を解除できることとしている(いわゆる不争条項)。
<解説>
z 以下のように、いわゆるチェンジオブコントロCーOルC)(が解除事由として定められることがある。しかし、そうするMと&、A が解除事由となりかねず、上場審査やデューデリジェンスにおいてリスクと評価され得る。
z したがって、スタートアップとしては、解除事CO由Cにが含まれている場合、それによる支障を説明し、削除を求めることを検討すべきである。
【解除事由として定められCるOC の例】
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不争条項と中国の関連規定
z 中国では、「技術契約紛争事件審理の法律適用における若干問題に関する高裁判所の解釈」第10 条によれば、技術の譲受側が契約の目的である技術の知的財産権の有効性に対し異議を申し立てることを禁止する又は異議申に条件を付加する条項(いわゆる不争条項)は、民法85典0条の「技術の違法独占」に該当し、関係約定が無効である。よっ本て単、独発明及び本発明についてのライセンスに関す本る条4号の不争条項は無効であると判断されるおれがある。
参照:
中国「技術契約紛争事件審理の法律適用における若干問題に関する最高裁判所の解釈」
第十条下記の状況は、民法典850条の「技術の違法独占」に該当する。
① 契約対象技術の改良、又は改良した技術の使用を制限する条項、または双は改良技術を交換する条件が平等ではない。一方が自ら改良した技術を無で相手方に提供するよう要求し、お互いに有利な条件ではなく相手方に譲し、改良技術の知財権を無償で独占または共有することを含む。
② 他の供給先からの技術に類似し又は競合する技術の取得を制限する条項
③ 市場ニーズに基づき合理方式で契約対象技術の実施を妨害し、契約対象技術製品の製造数、品種、または販売価格、販売ールト、輸出市場に明らかに不合理的に制限することを含む。
④ 技術の実施にとって必須でない技術、原料、製品、設備またはサービス、の購入を要求する条項
⑤ 原材料、部品、製品または設備を購入するルートへの不合理な制限に係る項
⑥ 技術の譲受側が契約の目的である技術の知的財産権の有効性に対し異議を申し立てることを禁止する又は異議申立に条件を付加する条項
17 条(期間)
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 契約の有効期間を定めた一般的条項である。
<解説>
z 共同研究開発契約の有効期間は、「1 年間」などの具体的な期間を定めるケースや開xx進 捗を終了条件として定めるケースなどがあるが、いずれのケースにおいても契約の終了時期が明確に分かることが重要である。
z 本条 2 項は、事業会社が更新を拒絶できる場合を、本研究の成功や事業化が困難と判断さ れるような合理的理由がある場合に限定している。事業会社との共同研究開発が継続していることが、スタートアップの資金調達におVけCる側の考慮要素となり得るため、事業社会側
からの合理性のない更新拒絶を防止する趣旨である。
z このような「合理的理由」は、様々なものが考えられるため契約締結時xx一義的に定めるこ とは困難である。もっとも、研究テーマによっては更新拒絶を可能とすべき具体的な数値基準 を定めることもできよう。当事者間のトラブルを避ける観点からは、可能であれば、そのような具体的な基準を定めておく方が望ましい。
18 条(存続条項)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 第 11 条を存続条項に追加した。
②ポイント・解説について
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 契約終了後も効力が存続すべき条項に関する一般的規定である。
19 条(違約責任)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 追記・変更なし。
②ポイント・解説について
z 損害賠償請求における立証の困難性から、違約金条項を設けるオプション提案している。
<ポイント>
z 契約違反が生じた場合に違反行為の停止等および損害賠償請求ができることを規定している条項である。
<解説>
z 損害賠償責任の範囲・金額・請求期間は、本研究の内容やコストの負担、委託料の額等を考
慮してスタートアップと事業会社の合意により決められる。例えば、損害賠償額の上限を、研究成果に対する報酬の総額とすることが考えられる。
z 本研究は、損害立証が困難な秘密情報を取り扱うものであり、かつ、収益性が不明確な研究開発段階の契約であることから、本条では、損害賠償請求だけでなく違反行為の停止または予防および原状回復の請求が行えることとしている。具体的には、特定の行為を求める仮処分や訴訟手続きなどを行うこととなる。
z 損害賠償を請求するためには、損害発生および損害金額を立証する必要があるが、特にクロスボーダーの共同研究開発である場合、相手方の国・地域にお立証は困難を伴う。
z それに対して、違約責任として、違約金を約定することも考えられる。違約よって異なる違約金を設定してもよい。
z また、違約行為により生じた損が失違約金より多い場合、不足の部分について損害賠償を請求できるとの内容を規定すれば、契約を守る当事者の利益よをり適切に確保できる。
20 条(通知)
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 本モデル契約における通知方法の原則を定めた規定である。書面だけでなUSくB メモリなどの
媒体によるやり取りも可能とし、また、郵便やファックスに加え、相手方が了承すれば電子メールやメッセージングアプリでの通知も認める規定としている。
21 条(準拠法および紛争解決手続き)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 準拠法について、執行性を考慮して被告地主義等に基づくオプションを追している。
z 仲裁条項について、仲裁地としての香港の例示及び被告地主義等に基づくオプションを追加てしいる。
②ポイント・解説について
z 準拠法、調停及び国際仲裁についての解説を追加している。
<ポイント>
z 準拠法および紛争解決手続きに関して裁判管轄を定める条項である。
<解説>
z クロスボーダーの取引も想定し、準拠法を定めている。
z 紛争解決手段については、上記のように裁判手続きでの解決を前提に裁判管轄を定める他、各種仲裁によるとする場合がある。
z 中国企業と日本企業との共同開発であっても、JPO モデル契約書のように、日
本国法を準拠法とし、日本の裁判所を管轄裁判所として約定することは、中法律規定に違反せず、有効な約定である。
z しかし、日本と中国の間では判決執行協力条約が存在しないため、日本裁判所 による判決は中国で強制執行できない。よって、契約紛争について、の日判本決 を中国で執行できない虞があることを留す意べきであり、好ましいとは言えない
z したがって、オプション1として、被告地主義の条項を追加した。
z また、オプション2とし本て研、究について、主に Y 社(乙)の場所で進める前提であれば、契約の履行地と密接関係地はY 社の所在地であると考える。証拠収集、訴訟便利と判決執行の面からY、社の所在地裁判所を管轄地とする約定するとも考えられる。
z なお、日本国法を準拠法とする場合であっても、本契約の履行などは中国の強制法律法規を違反することはできな。い例えば、技術輸出入に該当するため、中国の「技術輸輸入管理条例」などの法法律規を遵守しなければならない。
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<解説>
z 紛争解決手段について、どの裁判管轄ないし紛争解決手段が適切かは一概には決められ
ず、当事者の話し合いで決定するのが望ましい。話し合いによる解決を目指す場合、東京地方裁判所および大阪地方裁判所において創設された知財調停を利用することが考えられる。
z 「知財調停」は、ビジネスの過程で生じた知的財産権をめぐる紛争を取り扱う制度であり、仲裁手続き同様、非公開・迅速などのメリットがあるだけでなく、専門的知見を有する調停委員会の助言や見解に基づく解決を行うことができ、当事者間の交渉の進展・円滑化を図ることができ るというリメットがある。
z 運用面では、原則として3、回程度の期日内で調停委員会の見解を口頭で開示することによ
り、迅速な紛争解決の実現を目指すとされており、迅速に解決でき、コストや負担を軽減できる可能性がある。
z 知財調停を利用するためには、東京地方裁判所または大阪地方裁判所いずれかを,合意により調停事件の管轄裁判所とする必要がある。
z 知財調停は、当事者双方が話合いによる解決を図る制度であるため、当事者が合意できず調停不成立となった場合は、訴訟等の手続きにより別途紛争解決が図られることとなる。
z また、仲裁手続きは、裁判と比べて非公開・迅速などのメリットもあることから、スタートアップのような事案では、本条に変えて下記のような仲裁条項に変えるという選択肢もある。
z 訴訟と同様に、日本の裁判所における民事調停の和解結果について中国ではxxxを持たない、つまり、民間調停による通常の和解と同様の効果しか得ないことに留意すべきである。
z 中国で知財調停の申立をする場合、裁判所に提訴してから、知財調停を申してることができるし、裁判の全過程の何時の時点でも調停を申し立てること能である。裁判所のほか、直接所在地の人民調停委員会に調停を申し立てることができる。2019年 12 月 6 日中国特許保護協会は、中国特許保護協会標準
「知識産権紛争調停管理規範」を発布した。
(xxxx://xxx.xxxx.xxx.xx/xxxx/xxxxx-x 203.htm)l 当該規範は、人民調停委員会が知的財産権紛争(知的財産権関連の契約紛争、権利所属、侵害紛争及びそれに関連する競争紛争等が含まれる)の関係者が調停を申請する場合や関係当事者が調停に同意する場合に適用される。規範には、知的財産権紛争の調に関する基本原則、受理、企画、実施、書類管理なにどついて定めている。
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<ポイント>
z 紛争解決手続きとして仲裁を指定する条項である。
<解説>
z 仲裁手続きは、裁判と比べて非公開・迅速などのメリットもあることから、スプタのーよトうアなッ事案では、本条に変えて仲裁条項に変えるという選択肢もある。
z ⣮தࡢゎỴ᪉ἲࡋ࡚ࡣࠊッゴ௰ࢆ㑅ࡪࡇࡀ࡛ࡁࡿࡀࠊッゴࡣุ ᡤ࡛ࠊ௰ࡣ௰ᶵ㛵࡛ᑂ㆟ࡍࡿࡀࠊࡑࢀࡒࢀ࣓ࣜࢵࢺ࣭ࢹ࣓ࣜࢵࢺࡀ࠶
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(次頁に続く)
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(参照)JETRO地域・分析レポート
「グローバルな知財紛争解決に「香港仲裁」の魅力20」22(年 2 月 8 日)
KWWSV ZZZ MHWUR JR MS EL] DUHDUHS
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z オプションでは、主に仲裁地について着目Aし:第、三国・地域(香港等を想定)、 B:被告地主義、C: 主に開発を行う場所としたが、これ以外にも、準拠法・手語・௰ᶵ㛵࣭仲裁人の人数や国籍(本条項案では定めていない)等について 仲裁条項の交渉対象となりうる。
z 例えば準拠法について、オプショAンでは日本国法としたが、本件が知的財産権に関連する契約であることを踏まえると、主な紛争対象となる知的財産権の根拠となる国・地域の法律を準拠法とすること、つまり、仲裁地を第三国・しつつもオプショBンや C のように準拠法のみを被告地主義や主に開発を行う場所(契約履行地や証拠収集の観点)に基づいた条項とすることも一案であ
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22 条(協議解決)
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 協議を経ても解決できない場合に前条での紛争解決手続きに進むことを明確化している。
②ポイント・解説について
z 協議と紛争解決手続きの関係について解説している。
<ポイント>
z 協議解決の一般規定の条項である。
<解説>
z 通常、本契約に定めのない事項または疑義が生じた事項がある場合、まずは事者双方の協議で解決する。そして、協議によって解決できない場合には、準法を利用して、法的アクションを通じて解決することになる。よっ22て条、と第 21 条の順番を変更することも考えられ。る
契約言語
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<JPO モデル契約書との相違点>
①条文について
z 中国語と日本語を締結する旨を追記している。
②解説について
z 日中企業間の契約の言語、効力を追記している。
<解説>
z 日中企業間の契約として、契約の言語、効力について約束することもある。将争解決の必要性に応じても、実効性のある契約書を締結するのであれば、お互の母国語である「日本語及び中国語で契約書を締結することが、最も適切と考る。両言語で契約を締結する場合、どちらxx本とするか、何れxx本となる合、どちらに準することを明確に約定したほうがよい。
参照:
日本の「民事訴訟規則」第138条1項
「外国語で作成された文書を提出して書証の申出をするときは、取調べを求め分について、その文書の訳文を添付しなければならない。」
中国の「民事訴訟法の適用に関する解釈」第527条 1 項
「当事者が人民法院に提出する書面の資料が外国語である場合、同時に人民法院に中国語翻訳文を提出しなければならない。」
その他のオプション条項
協議会の設置
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7 ➨ 3 㡯ࡼࡗ࡚ࡶ༠㆟ࡀㄪࢃ࡞࠸ሙྜࠊྛᙜ⪅ࡣࠊ᭩㠃ࡼࡗ࡚┦ᡭ᪉
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 追記・変更なし。
<ポイント>
z 当事者同士の協業を円滑にするために、情報交換や進捗方法の調整を行うための会議の開催について定める規定である。
<解説>
z オープンイノベーションにあたっては、慎重に進めたい事業会社側のスピード感と手元資金が尽きるまでの限られた期間の中で迅速に進めたいスタートアップ側のスピード感が合わず、アライアンスがうまくいかないケースが少なくない。
z この課題を解決するために、協議会への出席者について、(特に事業会社側において)本研究につ
いて一定の決裁権をもったメンバーを入れることを義務化することも考えられる。
技術リスクに対する責任分担
1 ᮏዎ⣙ࡢ㐙⾜ࡢ㐣⛬࠾࠸࡚ࠊඞ᭹ࡋࡡࡿᢏ⾡ၥ㢟ࡀ⏕ࡌࡿࡇࡼࡾࠊ◊✲ 㛤Ⓨࡀኻᩋࡋࠊཪࡣ㒊ศⓗኻᩋࡋࡓሙྜࠊᙜヱኻᩋࡼࡿࣜࢫࢡࡣࠊஎࡀ㈇ᢸࡍ
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<JPO モデル契約書との相違点>
z 項目自体を追加している。
<ポイント>
z 研究開発が失敗、部分的に失敗した場合の責任負担に関する条項である。
<解説>
z 本共同研究開発では、スタートアップが開発した技術を適用し新た素材を利用して本研究開発を行う予定であるが、必ずしも成功できるとは限ら。なそいこで万、が一研究開発が失敗、部分的に失敗した場合、双と方もに責任を帰すべきではない状況において、紛争を防ぐため、あらかじめ研究開発が失敗した場合の責任負担を規定することも一案であ。る