Contract
22
その連帯保証契約、ちょっと待って!
弁護士 xx xx
Aさんの両親は、小さな印刷会社を経営していましたが、Aさんは、公務員となったため、両親の死後、印刷会社は、Aさんの弟Xxxが引き継ぎました。
そんなある日、突然、Xxxが、Aさんを訪ね、「C銀行から事業資金融資を受けるための連帯保証人になってほしい」と依頼してきました。詳しく話を聞いてみると、 Xxxは、「事業の拡大を計画しており、最新の印刷機械を導入したい。xxの取引先も決まりそうで、この機会を逃すわけにはいかない。会社の経営は順調で、債務は自分が払う。兄さんに迷惑をかけることはない。署名とハンコをくれるだけでいいから」と言います。Aさんは、 Bさんが弁済するのだから、自分に影響はないだろうし、自分の代わりに両親の印刷会社を引き継いでくれたBさんに、できるだけ協力したいと考えています。Aさんは連帯保証契約を締結してしまってよいのでしょうか。
◆―解説
そもそも、保証契約とはどのような契約なのでしょうか。保証契約とは、債務者(Bさん)が債権者(C銀行)に
対し負っている債務(「主債務」と言います)の履行を担保することを目的として、債権者と保証人(Aさん)の間で締結される契約で、保証人は、主債務の履行がない場合に、主債務を履行する責任を負います。
また、単純な保証契約の場合、保証人は、債権者が保証人に債務の履行を請求してきたときに、まず債務者に催告すべき、と反論できる「催告の抗弁権」(民法452条)と、債務者に弁済の資力があり、かつ債務者への執行が容易であるときは、まず債務者の財産に執行すべき、と反論できる「検索の抗弁権」(民法453条)を有しています。しかしながら、連帯保証契約の場合、連帯保証人は、これらの「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」を有していません。つまり、債権者は、いきなり、連帯保証人に対し、債務の履行を請求することができるのです。
な負担を強いる契約ですので、締結するときは、特に注意が必要です。
Aさんは、連帯保証契約を依頼されているうえ、主債務が事業資金融資ということで、主債務の額は多額だと思われます。仮に印刷会社の経営が悪化し、主債務の弁済が滞った場合には、多額の債務が、Aさんにふりかかることとなります。Aさん個人の収入で返済することは困難でしょうから、Aさんの住む土地や家が差し押さえられ、競売にかけられてしまうかもしれません。連帯保証契約をするということは、主債務を自分が負担することに等しいという認識と覚悟をもって、Aさんには、連帯保証契約を締結するか否かを、検討してほしいと思います。
保証契約は危ない!という認識が、以前よりは、一般的に広がってきましたが、人(特に親族)に頼まれて、軽い気持ちで保証人になってしまう人は後を絶ちません。
現在、安易に保証人となる人を少しでも減らすため、保証人が個人で、かつ事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約の場合には、保証する意思を表示したxx証書(法律の専門家である公証人が作成する公文書)の作成を義務づけるという民法改正案が検討されています。
保証人の保護に向けて、法整備も進んでいますが、予期せぬ債務で後悔しないよう、契約締結の際には、まず、自分自身が十分注意するようにしましょう。
執筆者プロフィール
xx xx(xxxx xxx)
弁護士(第二東京弁護士会)。
早稲田大学法学部・首都大学東京法科大学院卒業。所属:東京リベルテ法律事務所
趣味は、昼寝、料理。
連帯保証契約は、通常の保証契約以上に、保証人に大き
26