Contract
院外処方箋における疑義照会に関する合意書(見本)
財団
(以下、(甲)とする)社会福祉法人恩賜済生会支部埼玉県済生会xx総合病院
(以下、(乙)とする)とは、院外処方箋における疑義照会の運用について、下記の通り合意する。なお、本合意は患者サービス向上のために行うものであり、(甲)の会員薬局での運用においては、患者の不利益に結びつくことのないように、患者又はその家族等に十分に説明した上で同意を得てから行うものとする。
記
1. 院外処方箋に係る個別の処方医への同意確認を不要とする項目について
以下の項目については、薬局での患者待ち時間の短縮や処方医の負担軽減の観点から、包括的に薬剤師法第 23 条第 2 項に規定する医師の同意がなされた「事前確認事項に基づき変更(合意による変更)」として、個別の処方医への同意の確認を不要とする。但し、患者の負担額が増える場合は疑義照会を行う。また、処方医が「変更不可」と判断した薬剤は処方箋に示す。
① 成分名が同一のものを銘柄変更すること(後発品→先発品への変更も含む)。
② 剤形を変更すること(安定性、利便性の向上のための変更に限る)。
③ 別規格製剤がある場合の処方規格を変更すること(安定性、利便性の向上のための変更に限る)。
④ アドヒアランスの良好な維持等の目的により、半割、粉砕あるいは混合すること、あるいはその逆(規格追加も含む)。ただし、抗悪性腫瘍薬を除く。
⑤ 患者希望あるいはアドヒアランスの良好な維持等の目的により、一包化調剤すること。ただし、抗悪性腫瘍薬を除く。
⑥ 湿布薬や軟膏での規格変更に関すること(合計処方量が変わらない場合)。
⑦ 外用剤の用法(適用回数、適用部位等)が口頭で指示されている場合。
⑧ 漢方薬の食後指示については、「食前」もしくは「食後 2 時間」へ用法変更すること。
⑨ 薬剤の承認用法に変更すること。
⑩ 「1 日おきに服用」と指示された処方薬が、連日投与の他の処方薬と同一の日数で処方されている場合において処方日数を適正化すること(処方間違いが明確な場合)。
⑪ 薬歴上継続処方されている処方薬に残薬があるため、投与日数を調節(短縮)して調剤すること(外用薬の本数の変更も含む)。
⑫ その他の合意事項
各項目の具体的な内容については、別に「院外処方箋における疑義照会に関する合意書にかかる細則」を定め、合意事項を明確にする。
2. 開始時期について
年 月 日
3. 合意の解除、合意内容の変更について
1.の内容以外のものを、疑義照会なく変更した場合は、(甲)、(乙)の合意を解除する場合がある。合意内容の変更やその他疑義が生じた事項については、その都度(甲)、(乙)誠意をもって協議し、
決定する。また、「院外処方箋における疑義照会に関する合意書にかかる細則」は、(甲)、(乙)協議の上必要に応じ改定を行う。
以上
この合意の締結を証するため、この合意書は 2 通作成し、双方記名捺印の上各々1 通を保有するものとする。
年 月 日
(甲)住 所
名 称
代表者 印
財団
(乙)住 所 埼玉県xx市西川口5丁目11番5号名 称 社会福祉法人恩賜済生会支部
埼玉県済生会川口総合病院
代表者 病院長 xx xx 印
院外処方箋における疑義照会に関する合意書にかかる細則(見本)
1.基本事項(処方変更にかかる原則)
⚫ 疑義内容が薬学的な疑義(例:剤形変更で体内動態が変わるなど)である場合には簡略化することはできない。
⚫ 薬物治療上の疑義は簡略化することはできない。
⚫ 先発薬剤において「変更不可」の欄にチェックがあり、かつ保険医署名欄に処方医の署名又は記名・押印がある場合は、処方薬を後発薬剤に変更できない。
⚫ 半錠、粉砕、混合、一包化など患者負担額が増える場合は、必ず疑義照会を行う。
⚫ 残薬調整について加算を算定する場合は、必ず疑義照会を行う。
⚫ 「含量規格変更不可」又は「剤型変更不可」の記載がある場合は、その指示に従う。
⚫ 処方変更は、各薬剤の適応及び用法用量を遵守した変更とすること。また安定性や溶解性、体内動態等を考慮し、利便性が向上する場合に限る。
⚫ 全ての変更において変更前後の違いについて患者又はその家族等に十分な説明(服用方法、安定性、価格等)を行い、同意を得た上で変更する。
2.事前確認事項:疑義照会の不要例 (ただし、麻薬に関する処方は除く)
No | 項目 | 例 |
① | 成分名が同一のものを銘柄変更すること。 | ボナロン錠 35mg →フォサマック錠 35mg |
※ ※ | 後発品→先発品への変更も可能とする。 銘柄変更については「お薬手帳」等による情報提供を行う。 | |
② | 剤形を変更すること(安定性、利便性の向上のための変更に限る)。 | シナール配合顆粒→シナール配合錠タケプロン OD 錠 30mg →タケプロンカプセル 30mg |
※ ※ ※ | 用法・用量が変わらない場合のみ可とする。 安定性、溶解性、体内動態等を考慮して行う。 軟膏→クリーム剤、クリーム剤→軟膏の変更は不可とする。 | |
③ | 別規格製剤がある場合の処方規格を変更すること (安定性、利便性の向上のための変更に限る)。 | 5mg 錠 1 回 2 錠→ 10mg 錠 1 回 1 錠 10mg 錠 1 回 0.5 錠→ 5mg 錠 1 回 1 錠 0.5mg 錠 1 回 8 錠→ 4mg 錠 1 回 1 錠 |
※ | 原則として薬剤料が高くなる場合の変更は行わないが、アドヒアランスの問題から、患者の同意 があれば処方医への同意確認を不要とする。 | |
④ | アドヒアランスの良好な維持等の目的により、半割、粉砕あるいは混合すること、あるいはその逆(規 格追加も含む)。ただし、抗悪性腫瘍薬を除く。 | 1mg1 回 2.5 錠 粉砕 → 1mg2 錠 + 0.5mg1 錠 |
※ | 安定性のデータに留意する。 | |
⑤ | 患者希望あるいはアドヒアランスの良好な維持等の目的により、一包化調剤すること。ただし、抗 悪性腫瘍薬を除く。 | |
※ ※ ※ | 抗悪性腫瘍薬及びコメントに「一包化不可」とある場合は除く。安定性のデータに留意する。 患者負担額が増える場合は必ず疑義照会をする。 |
No | 項目 | 例 |
⑥ | 湿布薬や軟膏での規格変更に関すること(合計処方 量が変わらない場合)。 | 軟膏 5g 2 本 → 軟膏 10g 1 本 |
※ただし、軟膏 5g20 本→軟膏 100g1 個など規格単位が 10 倍以上になる場合は、疑義照会する。 | ||
⑦ | 外用剤の用法(適用回数、適用部位等)が口頭で指示されている場合。 ※ 処方せん上、用法指示が空白あるいは「医師の指示通り」が選択されている場合に用法を追記すること(薬歴上あるいは患者面談上用法が明確な場合)。 | (口頭で腰痛時に腰に貼付するよう指示があったと患者から聴取した場合) モーラステープ 20mg 3 袋 1 日 1 回 →1 日 1 回 腰 (口頭で貼付枚数の指示があったと患者から聴取した場合) 1 日 1 回→1 日 1 回 1 回 1 枚 |
⑧ | 漢方薬の食後指示については、「食前」もしくは 「食後 2 時間」へ用法変更する。 | ツムラ大建中湯 7.5g 分 3 毎食後→毎食前(間) (患者アドヒアランスを考慮して食後服用指示の場合があり必要に応じて確認すること) |
⑨ | 薬剤の承認用法に変更すること。 | ボナロン錠 5mg 朝食後→起床時 ベイスン錠 0.2mg3 錠分 3 毎食後→ 毎食直前 |
⑩ | 「1 日おきに服用」と指示された処方薬が、連日投与の他の処方薬と同一の日数で処方されている 場合において処方日数を適正化すること(処方間違い が明確な場合)。 | (他の処方薬が 30 日分処方の場合) メルカゾール錠 5mg3 錠朝食後 30 日分 → 15 日分(1 日おきに) |
⑪ | 薬歴上継続処方されている処方薬に残薬があるため、投与日数を調節(短縮)して調剤すること(外用薬の本数の変更も含む)。 薬剤服用歴の記録又は患者等からの情報等に基づき、下記 1)、2)について加算を算定する場合は、必ず疑義照会を行う。 1)次回の予約日まで処方日数が不足している等の理由で、投薬日数が処方箋の日数を超える場合 2)重複投与・相互作用防止加算イ 残薬調整に係るもの以外ロ 残薬調整に係るもの ※ 重複投薬・相互作用防止加算を算定する場合は、疑義照会を行う。 ※ 残薬調整について加算を算定する場合は、必ず疑義照会を行う。 ※処方箋の「 □保険医療機関へ疑義照会した上で調 剤」に ☑チェックがある場合は疑義照会が必要 | 処方箋の保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合、 例)プラビックス錠 75 mg30 日分 →プラビックス錠 75 mg27 日分 (3 日分残数があるため)例)ルリコンクリーム 1% 3 本 →ルリコンクリーム 1% 2 本 (1 本残薬があるため) ただし、減らす場合に限る。全く不要にする場合は疑義照会が必要。 日数の変更は前回処方の 10%程度までに限る。 |
No | 項目 | 例 |
⑫ | その他の合意事項 | DPPー4 阻害薬の週 1 製剤、ビスホスホネート製剤の週 1 回あるいは月 1 回製剤が連日投与の他の処方薬と同一の日数で処方されている場合の処方日数の適正化(明確な場合) 例)(他の薬が 14 日分処方のとき) ザファテック錠 100mg 1 錠分 1(朝食後) 14 日分→ 2 日分 ボナロン錠 35mg1 錠 1 日 1 回起床時 14 日分 → 2 日分 経腸栄養剤のフレーバー変更 |
3.処方変更後・調剤後の連絡
① 合意書に基づき処方変更し調剤した場合は、変更内容を記入した院外処方箋を、FAX 送信する。その際、「備考欄」に「事前確認事項に基づき変更(合意による変更)」 ※を記載する。
※《合意による変更》とわかる記載とする。
② 「事前確認事項」で疑義照会を行うことになっている項目及び通常の疑義照会による変更の場合は疑義照会用紙と院外処方箋を FAX する。
③ 後発品の銘柄変更調剤については、「院外処方箋における疑義照会」の合意締結の有無にかかわらず、全て FAX での連絡は不要とする。但し、銘柄等は、「お薬手帳」で情報提供を行う。
④患者には、診察の際医師に「お薬手帳」を見せるよう伝える。
不要
<対応チャート>
必要 処方変更
疑義照会用紙に必要事項を記載し院外処方箋と一緒に FAXする。
もし、電話で問い合わせをした 場合も、必ず、疑義照会用紙に記載しその日のうちに院外処方箋と一緒にFAX する。
その際、疑義照会内容欄に「電 話対応分」と記載する。
又は記載なし 疑義照会不要 交付する。
変更内容を記載した院外処方箋を FAX する。
(処方箋の備考欄に《合意に よる変更》とわかるように記載する)
*後発品の銘柄変更調剤は、FAX 不要だがお薬手帳に記入。
4.調剤過誤、副作用発生等の連絡
● 調剤過誤は調剤過誤事例報告書(保険薬局用)、副作用発生等はトレーシングレポートで知り得てから速やかに報告を行う。
2023 年 1 月 12 日作成