H20.4~
いよいよ施行 労働契約法
労働契約法とは
労働者、使用者がともに円滑な労働関係を築いていけるよう、採用・解雇などの
基本的な雇用ルールを定めた新しい法律です。
※ 平成19年12月制定、平成20年4月頃までに施行予定
労働契約法制定に至るまで・・・
労働契約法が制定された背景には、従来の労働基準法だけでは対応しきれない労働問題が多くなり、法律の整備を求める声が高まったことにあります。
● 個別労働紛争の急増
増えるトラブル!
先般、厚生労働省が発表した『個別労働紛争解決制度の運用状況に関するデータ』によると、全国の総合労働相談コーナーには、平成 17 年度には約 90 万件、平成 18 年度には、約 94万件の相談が寄せられたとのことです。成果主義導入による待遇(賃金)の変化やセクハラ・パワハラなど、紛争内容も複雑となり解決までに時間や費用もかかっているのが実情です。
● 多様化する就業形態
正社員だけでなく契約、派遣、パート・アルバイトなどの非正社員は就業している人の 1/3 にものぼります。様々な価値観とコミュニケーションの不足から、労使の思いがかみ合わずトラブルとなってしまうことが多いのです。
● 労働時間の長時間化
就職氷河期と言われたバブル崩壊後の長期不況での採用見送り、リストラ。急激な少子高齢化に加え、団塊世代の定年などにより正社員数が減少。このようなことから一人あたりの業務量が増え、労働時間が長時間化しています。サービス残業の増加やうつ病などのメンタルヘルス不全との関係も指摘されてきました。
労働契約法のポイント
第一条
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
労働契約法の目的が第一条にうたわれています。
● キーワードは「合意」
労働契約法は、民事ルールを定めたもので罰則はありませんが、労働者及び使用者の合意が原則で、きちんとお互いの確認、了解をとることで個別労働紛争を未然に防ぎ、働きやすい環境を作ることを求めています。
● 労働契約の位置づけ
労働契約は合意がなされた時点で締結され、その内容についてはできるだけ書面にして確認するように定められていますが(第三条・第四条 2)、就業規則が労働者に周知されており、その就業規則に合理性がある場合には、労働契約の内容は就業規則の内容となります(第七条)。反対に、個別に書面で労働契約を締結しても、就業規則の基準以下の労働条件は無効となります(第十二条)。つまり、法令・労働協約>就業規則>労働契約となるわけです。
● 就業規則の変更
労働契約の内容ともなる就業規則、変更すれば、労働契約も変更となります。ただし、変更内容にも合理性があり、周知されていることが必要です。変更手続に関しては、労働基準法の定めとなりますので、従来と同様です。
● 解雇・出向
解雇については、労働基準法に権利濫用無効の規定がありましたが、今回労働契約法にその規定が移りました(第十六条)。また、解雇だけでなく出向についてもその必要性・対象労働者の選定が権利濫用にあたると認められる場合は、無効となることが定められました(第十四条)。
● 期間に定めがある契約の場合
契約期間中の解雇はやむを得ない事由がある場合のみ認められ、基本的には契約期間満了まで雇用することになりますが、だからといって労働契約期間を必要以上に短くし、それを反復更新することがないように配慮しなければいけません(第十七条・第十七条 2)。
労働契約法の大きなポイントは以上のようになっています。
制定以前に検討されていた、解雇の金銭解決制度(無効と判断される解雇についても金銭補償をすれば解決できる制度)や雇用継続型の契約変更制度(契約変更の内容に不服があっても、問題解決までは一時的に変更内容を受け入れ、雇用継続をする制度)は、今回の労働契約法には盛り込まれませんでした。お金さえ払えば良いといった安易な解雇、問題解決の先延ばしなどの懸念があったのではないかと考えられます。
いずれにしろ、労働契約締結時からその条件・内容また変更について「合意」を大原則とする労働契約法を守ることで、労使トラブルに発展しないようにすることが大切です。
より詳しい内容とともに、来月から具体的な対応策について取り上げていきたいと思います。
参 考
労働契約法
第xx 総則
第二章 労働契約の成立及び変更 第三章 労働契約の継続及び終了 第四章 期間の定めのある労働契約第五章 雑則
労使トラブルの発生予測度合・労使トラブル回避度を診断
まず、その「決断」の前にご相談ください!労使トラブル診断受付中 xxxx://xxx.xxxxx-xxx.xx.xx
【医療保険制度の改正】医療費の削減と自己負担の軽減が図られます
法改正情報
H20.4~
● 窓口負担割合が変わります!
乳幼児についての自己負担割合軽減措置が拡大
現在、3 歳未満の乳幼児については自己負担割合が 2 割となっていますが、対象年齢が拡大され、義務教育就業前までとされます。
現 行 平成 20 年 4 月~
3 歳未満 義務教育就業前
70~74 歳の自己負担割合据え置き
平成 20 年 4 月から、70 歳以上 75 歳未満の自己負担割合が 2 割となる予定でしたが、これ
が据え置かれ 1 割負担のままとなります。(現役並み所得者、後期高齢者医療制度対象となる一定の障害認定を受けた方は除きます)
現 行 平成 20 年 4 月~
70 歳以上 75 歳未満
一般は 1 割負担 一般は 2 割負担→1 割負担のまま現役並み所得者は 3 割負担 現役並み所得者は 3 割負担
※ 平成 20 年 4 月~平成 21 年 3 月まで 1 年間の措置となります。
● 健診・保健指導が義務付けられます!
健康保険組合や政府管掌健康保険などの保険者に、40 歳以上の加入者に対する「特定健康診査・特定保健指導」が義務付けされます。糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を減らし、医療費を削減する目的があります。
● 高額医療・高額介護合算療養費が新設されます!
医療保険、介護保険の両方のサービスを利用する世帯の自己負担額の合計が著しく高額となった場合の負担を軽減するための制度です。自己負担限度額が年額で新たに定められ、限度額を超えた分が支給されます。
【医療保険制度の改正】新しい高齢者医療制度が創設されます!
法改正情報
H20.4~
● 高齢者の医療制度が新設されます!
65 歳~74 歳までの方を「前期高齢者」、75 歳以上の方を「後期高齢者」とに分けた新しい医療制度がスタートします。
前期高齢者医療制度
65 歳~74 歳の方を対象とし、新たに保険者間の医療費負担の不均衡を是正する仕組みを導入しますが、被保険者が加入する保険者には変更はありません。
また、退職者医療制度は廃止となりますが、経過措置として平成 26 年度まで 65 歳未満の退職者を対象に制度は存続します。
後期高齢者医療制度
75 歳以上の方と 65 歳以上の一定の障害認定を受けた方が対象。新たに都道府県ごとに設置される広域連合が運営します。
保険料は、一律の保険料に所得に応じた保険料を加えた額で、広域連合が徴収します。現在、健康保険組合や政府管掌健康保険などの被扶養者となっている方(いわゆる「サラリーマン」の被扶養者)も被保険者となるため、保険料負担が生じますが、平成 20年 4 月~9 月までは無料となり、10 月~翌年 3 月までは頭割保険料額(被保険者均等割)が 9 割軽減された額となります。
【改 正 後】
後期高齢者医療制度
(独立制度)
H20.4 より、これまでの一般保険料が基本保険料と特定保険料に区分されます。
【現 行】
老人保健制度
75 歳
65 歳
退職者医療
(経過措置)
国民健康保険
など
政府管掌健康
保険など
政府管掌健康保険など
国民健康保険など
前期高齢者医療制度
(制度間の医療費調整)
退職者医療