また、レセプトデータ等を用いて、ジェネリック医薬品の差額通知業務及び糖尿病性腎症重症化予防事業業務を実施し、患者負担の軽減や QOL の維持・向上及び医療費抑制を目指すものと
xx市国民健康保険ジェネリック差額通知等業務及び糖尿病性腎症重症化予防事業業務仕様書
1.件名
xx市国民健康保険ジェネリック差額通知等業務及び糖尿病性腎症重症化予防事業業務
2.業務概要
本業務は、xx市国民健康保険の被保険者の健康の保持増進と医療費の適正化を図るため、健診結果やレセプトデータ等の健康・医療情報を活用し、被保険者の健康状態や疾病構成、医療費の現状を把握し、課題を明確にするものである。
また、レセプトデータ等を用いて、ジェネリック医薬品の差額通知業務及び糖尿病性腎症重症化予防事業業務を実施し、患者負担の軽減や QOL の維持・向上及び医療費抑制を目指すものと
する。
3.受託期間
契約締結の翌日から令和 6 年 3 月 31 日まで
4.実施場所
xx市役所保険年金課及び受託者事務所等
5.実施主体
xx市健康部保険年金課保険業務係
6.xx市(以下「発注者」という。)からの提供データ
① 医科・調剤のレセ電コード情報ファイル CSV データ令和 4 年 4 月診療分~令和 5 年 12 月診療分
・医 科:21_RECODEINFO_MED.CSV
・D P C:22_RECODEINFO_DPC.CSV
・調 剤:24_RECODEINFO_PHA.CSV
② 被保険者マスタ(国保集約システムで連携している被保険者 CSV データの形式)
・被保険者異動データの世帯情報
・被保険者異動データの個人情報
③ 特定健康診査結果ファイル(FKAC131・163・164)令和 4 年度分
※令和 4 年 4 月健診分~令和 5 年 3 月健診分(12 か月)
7.業務内容
(1)精度の高いデータベースの構築
発注者が受注者に提供するデータをもとに、データベースを構築する。このデータベーは以下の通りとする。
① 医療費分解技術を用いて、レセプトに記載されたすべての傷病名と診療行為(薬剤、検査、手術、処置、指導料など)を正しく結び付け、傷病名毎の医療費を算出した精度の高いデータベースとすること。実際には治療されていない傷病名に医療費集計されることのないようにすること。
② レセプトに記載されている未コード化傷病名をコード化し、傷病名数全体に対する未コード化傷病名の割合を3%未満とし、精度の高いデータベースにすること。
③ 傷病名や薬剤(禁忌情報を含めた薬剤データベース)、診療行為等はもれなく最新情報を使用し、コード化に必要なマスタを最低月1回整備する環境があること。
(2)現状分析
前項で構築したデータベースを用いて、医療費の全体像及び、医療費の負担額の大きい疾患や将来的に医療費の負担が増大すると予測される疾患を明確にすること。分析は下記項目とする。
① 基礎統計
レセプト件数、医療費、患者数等の本市における医療費の全体像を明確にする。
② 高額なレセプトの疾病傾向分析
医療費が高額化している疾病のうち予防可能な疾病を特定するため、高額なレセプトに着目し要因となる主要疾病を分析すること。
③ 疾病別医療費統計
厚生労働省が定める疾病分類表「大分類・中分類(121 分類)」ごとの医療費・レセプト件数・患者数の統計資料を作成し、医療費の全体像と疾患構成を明確にする。
④ 特定健康診査データ及びレセプトデータによる保健指導対象者群分析
健診データとレセプトデータを組み合わせ、健診異常値の有無、健診異常値に対する疾病での医療機関受診の有無、生活習慣病に係るレセプトの有無を判定し、被保護者のグループ化を行い分析すること。またそれぞれのグループの一人当たりの医療費、人数を算出すること。
⑤ 健診異常値放置者に係る分析
健診の結果に異常値があるにもかかわらず医療機関受診が確認できない健診異常値放置者について、より効果が高く効率が良い保健事業とするために、優先順位をつけた対象者抽出を行う。
⑥ 生活習慣病治療中断者に係る分析
かつて生活習慣病の治療を受けていたにもかかわらず、一定期間、医療機関受診が確認できない生活習慣病治療中断者について、より効果が高く効率が良い保健事業とするた
めに、優先順位をつけた対象者抽出を行う。
⑦ 糖尿病性腎症重症化予防に係る分析
人工透析患者については、血液透析だけではなく、腹膜透析も含めた分析による医療費、人数を算出すること。また、糖尿病患者については、腎症の悪化等重症化を阻止・遅延させることを目的とし、糖尿病の病期階層化を行うとともに、費用対効果の高い層から順に保健指導対象者を層別化すること。また、糖尿病の病期階層化は、対象を健診結果のある者だけに限定せず、より多くの人を対象とするために、レセプトを分析し、傷病名や診療行為・投薬の状況から判断して行うことで、健診の未受診者からも対象者を抽出すること。
⑧ 脳梗塞患者に関する分析
過去に脳梗塞を発症した患者または一過性脳虚血発作を発症した患者について、ラクナ梗塞・アテローム血栓性梗塞・心原性脳塞栓症の発症状況等を抽出し、発症と再発予防のための対象者分析を行う。
⑨ メンタル疾患発症予防に係る分析
メンタル疾患を持つ患者について、その患者数や年齢、医療費を分析する。
⑩ 受診行動適正化に係る分析
重複受診、頻回受診、重複服薬の患者について、その要因となる疾病や薬剤、患者数を分析すること。また、保健事業の効果的な実施のために、患者の個々の状態(分析期間における診療履歴)を分析し、費用対効果の高い層から順に対象者を層別化すること。
⑪ ジェネリック医薬品普及率
分析対象期間の月ごとの普及率を金額ベース及び数量ベースで算出すること。
⑫ 薬剤併用禁忌に係る分析
薬剤併用禁忌の発生状況を明らかにし、薬剤併用禁忌に該当する対象者を抽出する。
⑬ 服薬状況(多剤状況)に係る分析
服薬状況について、年齢階層別に服薬の剤数を分析する。
⑭ COPD早期発見・予防に係る分析
COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者について、医療費及び投薬治療の発生状況を分析する。また、投薬患者がCOPD以外に併存している疾患を分析する。
⑮ ロコモティブシンドローム対策に係る分析
ロコモティブシンドロームについて、原因となりうる疾患を持つ患者数や医療費を分析する。
(3)各種保健事業対象者リストの作成
受注者は(1)で構築したデータベースを用い、以下の保健事業対象者リストを作成する。リストは、保健事業が効果的・効率的に実施できるように対象者を絞り込めるものとする。
① 糖尿病性腎症重症化予防候補者リスト
② 特定健診受診者状況分析リスト(治療中断者・異常値放置者等の受診勧奨対象者抽出用)
③ 多受診指導候補者リスト
(4)ジェネリック医薬品差額通知業務
①ジェネリック医薬品の選定
ジェネリック医薬品の選定基準は以下のとおりとする。
(ア) 医薬品の薬価基準コード及び添付文書をもとにして、以下のクレームの対象となる医薬品は除外すること
・がん・精神疾患を推測する医薬品は除外すること
・先発医薬品とジェネリック医薬品の効能効果が異なる医薬品は除外すること
(イ) 先発医薬品と剤形や規格単位が一致するものに限ること
(ウ) 短期処方薬及び注射薬は除外すること
(エ) 安定供給体制が整備されており、ジェネリック医薬品の規格取り揃え等に障害のない製薬会社の医薬品に限ること
②通知書の作成仕様
(ア) 通知書は、A4判両面1枚で、カラー刷りで作成すること
(イ) 開封しやすいよう工夫されていること
(ウ) 自由文言欄があること
(エ) 発注者の独自のA4判1枚の案内文書を同封できること
(オ) ジェネリック医薬品に切り替えやすいように「お願いカード」や「リーフレット」を同封すること
(カ) 誤封入・誤送付を防止するために以下の対策を講じていること
・封入物がもれなく入っているか確認するため、封入後封筒の厚み検査を行うこと
・作業履歴(ログ)の把握をするため、作業工程のカメラ撮影や作業履歴の記録をすること
(キ) 通知書送付リストを納品すること
(ク) 通知書の複製データを納品すること
③通知方法
通知書は、受託者より普通郵便で被保険者へ直送する。
④通知回数と通知時期
通知回数は 3 回とし、通知時期は、協議の上決定するものとする。
※予定:8 月、11 月、3 月通知
⑤サポートデスクの設置
(ア) 薬剤師を含む医療専門スタッフが、ジェネリック医薬品に関する問い合わせに対応すること
(イ) 電話回線を十分に保有し、問い合わせが集中するピーク時にも対応できること
(ウ) 法的な問題に配慮した実績のある Q&A を整備していること
(エ) 通知書発送後、直ちに開設し、対応すること。契約期間外でも問い合わせがあれば
対応できること。
⑥削減効果額報告書の作成
(ア) ジェネリック医薬品促進通知書送付後のレセプトデータから、削減効果額を算出し報告する。削減効果額は、実際に通知書を発送した被保険者を対象とし、個人単位に算定すること。
(イ) 入院中や、注射剤をジェネリック医薬品に切り替えている場合は、削減効果額として算定しないこと。
(5)糖尿病性腎症重症化予防事業業務
①(3)で作成の糖尿病性腎症重症化予防候補者リストを用いて業務を進める。リストは、平成31年4月25日改定の糖尿病性腎症重症化予防プログラムの抽出基準に基づき、対象となる被保険者を抽出し、比較的早期に人工透析への移行が疑われる、糖尿病性腎症期分類等の第3期(顕性腎症期)、第4期(腎不全期)等の患者で、保健指導をする上で効果が高い対象者を特定したリストを作成する。作成にあたって、あらかじめ対象外となる候補者(がん・難病・精神疾患等の指導に適さない者及び、その他特別な事情を有し、主治医が指導に適さないと判断した者)を除外し、本市へ提供する。その後、本市が把握する対象除外者及び主治医から抽出された対象者等の調整をし、保健指導候補者リストを完成させる。候補者は、おおむね300件程度とする。なお、特定健康診査受診者のみならず、未受診者を含めた被保険者全体から対象者抽出できるよう努めることとする。
②事業実施計画書を作成する。計画書には事業の「目的」「対象」「方法」「評価指標」「スケジュール」を記載する。添付資料として、対象者の概数把握(フローチャート)を作成する。
③保健指導趣旨説明の通知文書、参加確認書、主治医が記入する「生活指導確認書」等を作成し、本市が提供する封筒を使って保健指導候補者へ送付する。なお、通知文書等の内容は本市と協議の上、決定する。
④保健指導候補者より主治医が記入した「生活指導確認書」と「参加同意書」が市に返送された者を保健指導対象者とする。本市に到着した「生活指導確認書」「参加同意書」は、本市より受注者へ送付する。受注者は、本市より提供を受けた保健指導対象者情報を基に、保健指
導に必要な項目をデータ入力し保健指導対象者リスト(確定版)を作成する。(氏名、フリガナ、電話番号、性別、生年月日、郵便番号、住所、連絡希望時間帯、検査データ、主治医名、医 療機関名、医療機関住所等)
⑤保健指導対象者が確定後、面談日等が決まればxx保健指導を開始する。保健指導対象者は10人程度する。なお、本保健指導に係る保健指導対象者の自己負担額は無料とし、医療機関に対する文書作成料は保健指導対象者の自己負担とする。
⑥保健指導の実施については以下のとおりとする。
(ア)保健指導実施期間は6か月程度とする。
(イ)実施回数の基準は面談2回、電話10回とするが、保健指導対象者への指導を通じて、本市が必要と判断した場合は、受注者と相談の上、実施回数を増やすことができる。
(ウ)2回行う面談指導については、感染症予防を考慮し、希望者にはオンライン面談(遠隔面談)による実施も可能とする。受注者はオンライン面談用の通信機器(タブレット等)を準備し、初回面談日の2日前までに通信機器と操作マニュアルを準備の上、対象者の自宅または本市へ送付し、無償で貸与するものとする。
(エ)対面による面談指導の場所は、本市の管理施設等とし、本市と調整の上、無償で提供するものとする。
(オ)主な指導内容は、主治医が記入した「生活指導確認書」に沿った食事指導、運動指導服薬指導、ストレスマネジメント、血糖管理及びフットケア等とする。糖尿病性腎症患者においては、低たんぱく食及びカリウム制限等の指導も含むものとする。
(カ)テキスト及び自己管理手帳等を保健指導の教材として使用する。
(キ)保健指導対象者が提出した検査結果により指導対象外となった場合は、その対応について本市と受注者が協議の上、決定する。
(ク)各保健指導対象者への保健指導の実施状況については、各主治医に対して、保健指導実xxの翌月に実施した全ての指導内容を報告することとする。
(ケ)受託者は、保健指導を実施する医療専門職について、平成31年4月25日改定の糖尿病性腎症重症化予防プログラムに準じた者を配置することとする。また、受託者は、過去3年間にCKD重症度分類G4期の指導実績があることとする。
⑦本市に対しては、保健指導の実施状況及び結果を報告書としてまとめ、保健指導開始後3か月経過した後に中間報告書(1回)と全業務完了後に最終報告書(1回)を提出する。また、全業務完了後に本業務全般の評価を行うため、結果報告会を開催する。
8.成果品の納品
① 医療費分析
・医療費分析報告書・・・3部(A4 版カラー刷)と電子データ(PowerPoint 及びExcel 形式/DVD などの電子媒体)1 部
② 保健事業対象者リスト
・重症化予防対象者リスト・・・電子データ(Excel 形式/DVD などの電子媒体)1 部
・特定健診受診者状況分析リスト・・・電子データ(Excel 形式/DVD などの電子媒体)1 部
・多受診指導候補者リスト・・・電子データ(Excel 形式/DVD などの電子媒体)1 部
③ ジェネリック医薬品差額通知
・通知者送付リスト・・・電子データ(Excel 形式/DVD などの電子媒体)1 部
・通知書副データ・・・電子データ(Excel 形式/DVD などの電子媒体)1 部
・削減効果額報告書・・・電子データ(Excel 形式/DVD などの電子媒体)1 部
9.成果品納入期限
各事業別に協議の上決定するものとする。
10.個人情報の保護
プライバシーマーク又は ISO27001/ISMS を取得していること
11.セキュリティ体制
データの受け渡し方法及びデータベースの作成を行う作業場所のセキュリティ対策については以下の通りであること
(1)データの受け渡し
本業務に使用するデータはパスワードを設定した上で、セキュリティ便を用いて受け渡しすること
(2)作業場の分割
データ入力を行う場所、業務サーバーを設置している場所を分けて管理すること
(3)入退管理の徹底
各作業場への入室には、指紋認証などの入室制限を行い、予め登録しているものだけが作業できること
(4)データ持ち出しの禁止
私物の持ち込みを禁止するとともに、USB 端子の無効化を行い、監視カメラによる監視及び撮影の記録をすること
(5)保管場所の施錠
受領したデータは、保管庫に入れ施錠し、データを格納している業務サーバーもラックに入れた状態で管理すること
以上