以上考察するに,大学単独権利の取り扱いとして,「大学は相手企業に先買権(First Refusal Right)を付与する」とするのが適切であると考える。
第3章 柔軟且つ迅速に契約交渉を行うための共同研究契約モデル
本章では3つの雛形を提示する。
2.1で述べたように共同研究契約の条件は必ずしも技術分野によって、決まるものではない。また、共同研究契約の時点で、成果としての知的財産権の取り扱いまで決めて契約することが困難なケースが多い。従ってどのような技術分野でも使用可能であり、企業にとって受け入れ容易な汎用性のある雛形をタイプ1としてまず提示する。
次に医薬などの企業では、すべてではないが、知的財産権については独占するということが明確になっている場合もあり、このようなときに使用可能な雛形をタイプ2として示す。
また、大学の希望である不実施補償の支払を求める場合に使用可能な雛形としてタイプ3を提示する。
3.1 汎用性のあるモデル(雛形タイプ1)
3.1.1 権利の帰属
文部科学省の雛形をはじめ、各大学とも発明者主義を採用している。すなわち、単独発明は単独出願、共同発明は共同出願という考えに立っている。
特許法によって、発明者が原始的に特許を受ける権利を取得するわけであるので、その権利を発明者の所属する側が承継するという考え方は自然であり、標準契約書でこのように規定するべきであろう。
しかし本来、権利は発明の貢献度に応じて決定するべきであり、この場合xxの貢献だけでなく資金的な貢献も考慮する必要がある。したがって、実際の共同研究契約では、その共同研究によって生じた発明について、すべて共有とするとか、すべて企業の所有とするというような契約もありうる。
これはその共同研究をするにあたっての、企業側の目的、及びその目的にあった資金の提供によると考える。すなわち、企業がその共同研究の成果として、知的財産を期待する場合、この権利移転あるいは実施許諾の対価をあらかじめ、共同研究費の中に含めて大学に提供している場合に考えられる。
しかしながら、本雛形では、権利の帰属としてはまずは発明者主義、すなわちxxの貢献をした側の帰属とし、そのあとで必要に応じ企業が権利の譲渡を受けるか実施権の許諾を受ける、とした。
この規定は産業或いは技術分野の相違する企業であっても特に異なることはないと考える。
文部科学省の雛形によれば、大学の持分を大学或いは大学側の研究担当者に帰属するととしている(14条2項、5項)。
現在大学内の単独の研究成果について、発明が生じた場合、大学はその特許を受ける権利
を承継するか否か検討し、承継しない場合、発明者である研究者がその権利者になるとしているところが多い。
この点は企業では発明者に権利を返還すると言うとところはほとんどないのと相違している。
大学にあっても共同研究の雛形にあっては、共同研究によって生じたものは、原則大学に帰属するとすべきと考える。
大学が法人となり、企業との共同研究を大学として締結した以上、そこから生じた発明の大学側権利は大学に帰属とするのが適当と考える。
従って、大学側の持分を研究者に帰属する選択肢や研究者に帰属させた場合の取扱い条項は不要と考える。
勿論、特殊事情で、研究者に権利を帰属させることはあってもよいと考えるが、少なくとも雛形には不必要と思う。
3.1.2 単独権利の扱い
文部科学省雛形においては、単独権利と共有権利の取扱いについて、基本的には差を設けていない。
しかしながら、特許法の規定から見て、区別をすべきと考える。特に独占権の付与に関して、共有権利については、第三者に実施権を許諾する場合、相手の同意が必要である。
このことは一方が他方の実施権許諾に同意しなければ、実質的に独占権を有することになるので、独占実施契約など必要ないのである。
また、大学の単独権利であるにもかかわらず、大学の権利が限定されすぎていると思われる。次条に定める場合を除き自己実施せず、相手企業から通知があった場合、一定期間優先的に実施させることを許諾すると規定されている。
また、優先的実施権を与えている期間でも、相手企業が正当な理由なく、実施しないときは、第三者に実施許諾できると規定されている。
優先的実施期間は10年を超えない合意した期間とすることという注釈がつけられているが、優先的実施期間の更新を協議の上定めることができるとしている。
しかしながらこの優先的実施という用語については定義がなく、意味不明であり、今回の雛形ではこの用語は使用しないこととした。
また、大学は自己実施しない機関であるので、わざわざ「自己実施せず」と規定する必
要はないと考える。また「次条に定める場合を除き」と規定しているが、次条である 17 条は第三者に対する実施許諾について定めたものであり、この条項に自己実施について定められていない。
なお、契約書雛形16条には優先実施を認める規定において、14条第4項の規定によりと記載されているが、これは14条第3項の誤りと思える。14条第4項但し書きは共同発明を相手側から譲渡を受けた単独出願が規定されているが、特殊な事例であり、通常の単独出願は14条3項の規定である。
共同研究の成果としての大学単独権利の取り扱いについて、共同研究相手の企業に何らかの権利を与えることは必要である。しかしどこまで与えるのが適切であろうか。
文部科学省の雛形では、出願から一定期間、相手企業に優先的に実施することを認めると規定している。優先的実施期間中、大学はそのうちの一定期間企業が実施しない場合を除いて他にライセンスしないとしている。したがって,この優先的実施権は独占権とほぼ同じと考えられる。
雛形として、単独権利について、一定期間相手企業に独占権を与えると決めるよりは、ケースごとに相手企業の意向も入れながら取扱いを決められるような雛形の方が、柔軟な契約になると考える。
文部科学省の雛形では、大学の単独権利の譲渡或いは専用実施権の付与は、相手企業又は相手企業と協議の上定めたTLOなどに限ると規定されている。
大学の単独権利でありながら、このように譲渡先を厳しく限定する必要があるのであろうか。少なくとも大学の単独権利であるから、相手企業の意向は聞くとしても、大学の自主判断で権利の譲渡先など決定できてよいと考える。
以上考察するに,大学単独権利の取り扱いとして,「大学は相手企業に先買権(First Refusal Right)を付与する」とするのが適切であると考える。
大学単独権利の取り扱いの希望を第一に相手企業に聞くということである。
照会する時点としては,まず発明が生じ、権利の帰属が大学となった時点であろう。このときに相手企業に
を選択させる。
①権利譲渡
②独占実施権の付与
③通常実施権の付与
④保留(登録時判断)
①譲渡の場合は,特許を受ける権利が相手企業に承継される。この場合は、その発明の価値を相手企業が高く評価した場合であって,大学は企業から価値に合った対価を受けることとなろう。
②独占実施権は独占的通常実施権や専用実施権を意味するものであるが、付与の対象となる権利自身はそれが登録にならなければ発生しないので、予約契約ということになる。もちろん相手企業が実施した場合の実施料支払いは登録前でも可能である。この場合,大学は第三者に対するライセンス活動など権利の行使が一切できなくなる。また相手企業が実施しない場合には、当然実施料収入は入らない。したがってこの契約をする場合には,大学は権利行使ができなくなることの補償として,実施料とは別に一時金を受けるか、ミニマムローヤルティを設定した契約とすべきであろう。相手企業からの実施料が多くなった場合には,一時金を充当する、といった契約も可能であろう。
またこの一時金とは別に,特許出願費用や特許維持費用などの特許費用の負担も相手企業に要求すべきであろう。
③通常実施権の付与の場合は、特に第三者へのライセンス活動等が阻害されるわけではないので、大学と企業との協議によって、適切に実施条件を決めればよいであろう。
この③や④の場合には大学は自己の判断で権利の維持、活用等を行うこととなろう。次に第2の照会時点は、特許の登録時点である。
この時点で再度前と同じ①から④の選択をさせる。ただし,大学からの照会はこれが最後で、④は保留ではなく、実施権不要の判断とする。
②独占実施権の付与を選択した場合には、正式な独占実施権付与契約になり、専用実施権の場合には、特許庁への登録が必要になる。発明時に②を選択した場合でも、特許の請求範囲が審査の結果により変更される場合や事業上の理由により別の選択になる可能性もある。
発明時に③通常実施権の付与を選択した場合でも、その後の状況によって発明の価値が高まることもあり、企業から②独占実施契約への変更の要求があることも考えられる。
この後、③通常実施権付与および④実施権不要の場合は、大学は第三者へのライセンスを自由に行えることは当然である。なお、第三者への権利譲渡、独占実施権の付与も自由であるが、この場合は共同研究相手に事前に通知をし、相手企業が希望する場合には協議するようにしたほうが良いと考える。特にxxxxxが共同研究相手の競合企業の場合、共同研究相手企業の意向を尊重することも、大学と企業との共同研究を推進する上で大切である。
3.1.3 共有権利の取扱い
大学側から見た場合、完全な独占権行使の場合しか不実施補償を受け取れないということでは、不十分である。
そこで、企業側が「独占権」の行使ではなく、「排他権」の行使をする場合に不実施補償をする、と言う内容とする。すなわち、大学側がライセンス活動をするのを一切禁止する場合の他に、大学が求めるライセンス許諾を企業側が同意しなかった場合に補償をする、という内容にする。
具体的には、共同発明が生じた場合に、企業側に以下の選択をさせる。
①共有権利の大学側持分を企業に譲渡する。
②第三者へのライセンスに同意しない。
③第三者へのライセンスについては協議して決める。
④第三者へのライセンスに同意する。
①の場合は企業側の単独出願となり、大学は譲渡による対価を受け取ることができる。
②の場合が排他権の行使に相当する。この場合、大学側は権利の行使ができなくなるので、それの補償および特許費用はすべて企業側の負担とすべきであろう。また、企業側が実施した場合の不実施料支払いは行われるべきである。
③の場合は排他権行使がありうるという選択であり、この場合協議の結果、許諾に同意しないこととなった場合、企業は大学に補償を支払うことになる。また、企業側に排他権行使の選択権があるので、特許出願費用等は企業側の負担とすべきである。
④の場合は、排他権の行使がないので、不実施料の支払いは不要で、特許費用は持分に応じて負担すべきであろう。
3.1.4 契約書条項
(知的財産権の出願等)
第14条 甲及び乙は、本共同研究の実施に伴い発明等が生じた場合には、速やかに相互に通知しなければならない。
2 甲又は乙はそれぞれ、甲又は乙に属する研究担当者が本共同研究の結果、単独で発明等を行ったときは、それぞれに単独帰属とし、単独で出願等の手続きを行うものとするが、当該発明等に係る知的財産権(著作権及びノウハウを除く。)出願等の前にあらかじめ乙又は甲の文書による確認を得るものとする。この場合、出願手続き及び権利保全に要する費用は、出願等を行おうとする者が負担するものとする。
3 甲及び乙は、甲に属する研究担当者及び乙に属する研究担当者が本共同研究の結果共同して発明等を行い、当該発明等に係る出願等を行おうとするときは、当該知的財産権に係る甲及び乙の持分を協議して定めた上で、別途締結する共同出願等契約にしたがって共同して出願等を行うものとする。ただし、甲又は乙が当該知的財産権を相手方から承継した場合は、甲又は乙は単独で出願等するものとする。
(外国出願)
第15条 前条の規定は、外国における発明等に関する知的財産権(著作権及びノウハウを除く。)の設定登録出願、権利保全(以下「外国出願」という。)についても適用する。
2 甲及び乙は、外国出願を希望する場合、日本出願後5ヶ月以内に相手方に通知するものとし、外国出願を行うにあたっては、双方協議の上行うものとする。
(甲に単独帰属する知的財産xxx1)
第16x xは、本共同研究の結果生じた発明等であって第14条第2項の規定により甲に単独帰属したときは、乙に対し、その知的財産権(著作権及びノウハウを除く。)xxx、次に掲げるものの一つを選択させるものとする。
x x的財産権の譲渡二 独占実施権の付与三 通常実施権の付与
四 設定登録時まで選択を保留
2 甲及び乙は、乙が前項一を選択したときは、別に定める譲渡契約を締結する。
3 甲及び乙は、乙が第1項二を選択したときは、別に定める独占実施権付与の予約契約を締結する。前記契約には、甲が第三者に実施権を付与することができないことによる甲への補償等について定めなければならない。なお、知的財産権に関する出願等費用、
特許料等(以下「出願等費用」という。)は乙の負担とする。
4 甲及び乙は、乙が第1項三を選択したときは、別に定める実施契約を締結する。
5 甲は、乙が第1項三又は四を選択したときでも、甲に単独帰属する知的財産権を第三者に譲渡又は実施権を付与するときは、乙にあらかじめ通知をし、乙が希望する場合乙と協議しなければならない。
(甲に単独帰属する知的財産xxx2)
第17条 甲は、第14条第2項により甲に単独帰属する知的財産権が設定登録されたときは、乙に対し、その知的財産権につき、次に掲げるものの一つを選択させるものとする(乙が前条第1項一を選択した場合を除く。)。
x x的財産権の譲渡二 独占実施権の付与三 通常実施権の付与四 実施権の付与不要
2 甲及び乙は、乙が前項一を選択したときは、別に定める譲渡契約を締結する。
3 甲及び乙は、乙が第1項二を選択したときは、必要に応じ別に定める独占実施権付与契約又は専用実施権設定契約を締結する。前記契約には、甲が第三者に実施権を付与することができないことによる甲への補償等について定めなければならない。なお、知的財産権に関する出願等費用は乙の負担とする。
4 甲及び乙は、乙が第1項三を選択したときは、別に定める実施契約を締結する。
5 甲は、乙が第1項三又は四を選択したときでも、甲に単独帰属する知的財産権を第三者に譲渡又は実施権を付与するときは、乙にあらかじめ通知をし、乙が希望する場合乙と協議しなければならない。
(共有に係る知的財産権)
第18x xは、本共同研究の結果生じた発明等であって第14条第3項により甲が乙と共有することとなったときは、乙に対し、その共有に係る知的財産権(著作権及びノウハウを除く。)の持分につき、次に掲げるものの一つを選択させるものとする。
一 共有持分の譲渡
二 第三者への実施権の付与の禁止三 第三者への実施権の付与の協議四 第三者への実施権の付与の同意
2 甲及び乙は、乙が前項一を選択したときは、別に定める持分譲渡契約を締結する。
3 甲及び乙は、乙が第1項二を選択したときは、第14条第3項記載の共同研究等契約に、甲が第三者に実施権を付与することができないことによる甲への補償及び乙が実施した場合の甲の持分に関する実施料の支払い等について定めなければならない。なお、
出願等費用は乙の負担とする。
4 甲及び乙は、乙が第1項三を選択し、協議した結果第1項二と同様の結果となったときは前項を準用する。なお、協議の結果にかかわらず、出願等費用は乙の負担とする。
5 甲及び乙の共有に係る知的財産権を第三者に実施させた場合の実施料は、その許諾者の如何にかかわらず当該知的財産権に係る甲及び乙の持分に応じて、それぞれに配分するものとする。
3.2 独占実施権を付与するモデル(雛形タイプ2)
(知的財産権の出願等)
第14条 甲及び乙は、本共同研究の実施に伴い発明等が生じた場合には、速やかに相互に通知しなければならない。
2 甲又は乙はそれぞれ、甲又は乙に属する研究担当者が本共同研究の結果、単独で発明等を行ったときは、単独所有とし、単独で出願等の手続きを行うものとするが、当該発明等に係る知的財産権(著作権及びノウハウを除く。)出願等の前にあらかじめ乙又は甲の確認を得るものとする。
3 甲及び乙は、甲に属する研究担当者及び乙に属する研究担当者が本共同研究の結果共同して発明等を行ったときは、共有とし、当該発明等に係る出願等を行おうとするときは、当該知的財産権に係る甲及び乙の持分を協議して定めた上で、別途締結する共同出願等契約にしたがって共同して出願等を行うものとする。ただし、乙が当該知的財産権を甲から承継した場合は、乙は単独で出願等するものとする。
(外国出願)
第15条 前条の規定は、外国における発明等に関する知的財産権(著作権及びノウハウを除く。) の設定登録出願、権利保全(以下「外国出願」という。)についても適用する。
2 甲及び乙は、外国出願を行うにあたっては、双方協議の上行うものとする。
(甲に単独帰属する知的財産権)
第16x xは、本共同研究の結果生じた発明等であって第14第2項の規定により甲に承継された知的財産権(著作権及びノウハウ並びに本条第2項に規定するものを除く。以下「甲に承継された知的財産権」という。)を、乙から独占的に実施したい旨の申入れがあった場合、一定期間乙に独占的な実施権を許諾するものとする。
(共有に係る知的財産権)
第17条 甲は、共有に係る知的財産権の持分の譲渡又は実施xxの許諾に当たっては、あらかじめ乙の書面による同意を得なければならない。
(実施料)
第18条 甲に承継された知的財産権を乙が実施しようとするときは、別に実施契約で定める実施料を甲に支払わなければならない。
2 甲及び乙の共有に係る知的財産権を乙が実施しようとするときは、別に実施契約で定める実施料を甲に支払わなければならない。
3 甲及び乙の共有に係る知的財産権を第三者に実施させた場合の実施料は、当該知的財産権に係る甲及び乙の持分に応じて、それぞれに配分するものとする。
(特許料等)
第19条 甲及び乙は、共有に係る知的財産権に関する出願等費用、特許料等(以下「出願等費用」という。)については乙が負担するものとする。
3.3 不実施補償を必須とするモデル(雛形タイプ3)
(知的財産権の出願等)
第14条 甲及び乙は、本共同研究の実施に伴い発明等が生じた場合には、速やかに相互に通知しなければならない。
2 甲又は乙はそれぞれ、甲又は乙に属する研究担当者が本共同研究の結果、単独で発明等を行ったときは、単独所有とし、単独で出願等の手続きを行うものとするが、当該発明等に係る知的財産権(著作権及びノウハウを除く。)出願等の前にあらかじめ乙又は甲の確認を得るものとする。この場合、出願手続き及び権利保全に要する費用は、出願等を行おうとする者が負担するものとする。
3 甲及び乙は、甲に属する研究担当者及び乙に属する研究担当者が本共同研究の結果共同して発明等を行ったときは、共有とし、当該発明等に係る出願等を行おうとするときは、当該知的財産権に係る甲及び乙の持分を協議して定めた上で、別途締結する共同出願等契約にしたがって共同して出願等を行うものとする。ただし、甲又は乙が当該知的財産権を相手方から承継した場合は、甲又は乙は単独で出願等するものとする。
(外国出願)
第15条 前条の規定は、外国における発明等に関する知的財産権(著作権及びノウハウを除く。) の設定登録出願、権利保全(以下「外国出願」という。)についても適用する。
2 甲及び乙は、外国出願を行うにあたっては、双方協議の上行うものとする。
(甲に単独帰属する知的財産権)
第16x xは、本共同研究の結果生じた発明等であって第14条第2項の規定により甲に承継された知的財産権(著作権及びノウハウ並びに本条第2項に規定するものを除く。以下「甲に承継された知的財産権」という。)を、乙から独占的に実施したい旨の申入れがあった場合、他に実施権を許諾していないときには、一定期間乙に独占的な実施権を許諾することができる。
2 甲は、乙が独占的な実施権を許諾していないときおよび独占的な実施権を許諾したにも関わらず乙が一定期間正当な理由なく実施しないときは、乙以外の者に対し当該知的財産権の実施を許諾することができる。
(共有に係る知的財産権)
第17条 乙は、共有に係る知的財産権を第三者に対し実施の許諾をすることができるものとする。
2 甲は、共有に係る知的財産権を第三者に対し実施の許諾をするときは、乙の同意を得なければならない。ただし、xxx乙が実施許諾をした者が14条3項の共同出願契約で定める一定期間、正当な理由なく実施しないときは、乙の同意は必要としない。
(持分の譲渡等)
第18条 甲及び乙は、共有に係る知的財産権の持分の譲渡又は専用実施xxの設
定に当たっては、あらかじめ相手の書面による同意を得なければならない。
(実施料)
第19条 甲に承継された知的財産権を乙が実施しようとするときは、別に実施契約で定める実施料を甲に支払わなければならない。
2 甲及び乙の共有に係る知的財産権を乙が実施しようとするときは、別に実施契約で定める実施料を甲に支払わなければならない。
3 甲及び乙の共有に係る知的財産権を第三者に実施させた場合の実施料は、当該知的財産権に係る甲及び乙の持分に応じて、それぞれに配分するものとする。
(特許料等)
第20条 甲及び乙は、共有に係る知的財産権に関する出願等費用、特許料等(以下「出願等費用」という。)について、それぞれ持分に応じて負担するものとする。