Contract
静岡赤十字病院における臨床研究に係る標準業務手順書
第 1 章 総則
(目的と適応範囲)
第 1 条 本手順書は臨床研究法(平成 29 年、法律第 16 号。以下「法」という。)及び臨床研究法
施行規則(平成 30 年、厚生労働省令第 17 号。以下「規則」という。)に従い、臨床研究を実施するにあたり厚生労働省令で定める臨床研究の実施に関する基準(以下「省令」という。)に基づき必要な手続き及び運営に関する手順を定める。
(定義)
第 2 条 この手順書において使用する用語は、法において使用する用語の例によるほか、次の定義に従う。
(1) 「臨床研究」とは、医薬品、医療機器、再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究で、「観察研究(研究の目的で、検査、投薬その他の診断又は治療のための医療行為の有無及び程度を制御することなく、患者のために最も適切な医療を提供した結果としての診療情報又は試料を利用する研究)」は含まない。また、治験、治験届の届出が義務付けられていない治験、再審査、再評価、使用成績評価のために行われる製造販売後臨床試験も除く。
(2) 「特定臨床研究」とは、臨床研究のうち、次のいずれかに該当するものをいう。
① 医薬品等製造販売業者又はその子会社等の特殊関係者(「医薬品等製造販売業者等」という。)から当該臨床研究の実施に係る人件費、実施医療機関の賃借料その他臨床研究の実施に必要な費用に充てられることが確実であると認められる資金(以下「研究資金等」という。)の提供(労務提供、物品提供のみの場合は研究資金等の提供には当たらない。)を受けて実施する臨床研究で、当該医薬品等製造販売業者が製造販売をし、又はしようとする医薬品等を用いるものに限る。
② 次に掲げる医薬品等を用いる臨床研究(前号に該当するものを除く。)
ア (3)に掲げる医薬品であって、厚生労働大臣による製造販売の承認を受けていないもの。イ (3)に掲げる医薬品であって、アの承認(承認された事項の変更の承認が必要な場合は
その承認を含む)に係る用法、用量、効能及び効果(以下イにおいて「用法等」という。)と異なる用法等で用いる場合。
ウ (4)に掲げる医療機器であって、厚生労働大臣による製造販売の承認若しくは認証を受けていないもの、又は厚生労働大臣への届出が行われていないもの。
エ (4)に掲げる医療機器であって、ウの承認、認証、届出(承認、認証、届出された事項の変更の承認、認証、届出が必要な場合はその承認、認証、届出を含む)に係る使用方法、効果及び性能(以下「使用方法等」という。)と異なる使用方法等で用いる場合。
オ (5)に掲げる再生医療等製品であって、厚生労働大臣による製造販売の承認を受けていないもの。
カ (5)に掲げる再生医療等製品であって、オの承認(承認された事項の変更の承認が必要な場合はその承認を含む)に係る用法、用量、使用方法、効能、効果及び性能(以下カにおいて「用法等」という。)と異なる用法等で用いる場合。
(3) 「医薬品」とは、次に掲げるものをいう。
① 日本薬局方に収められている物 。
② 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、
機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)及びこれを記録した記録媒体(以下「機械器具等」という。)でないものをいうが、医薬部外品及び再生医療等製品を除く。
③ 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないものをいうが、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。
④ 体外診断用医薬品(専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、人又は動物の身体に直接使用されることのないものをいう。)を除く。
(4) 「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるものをいうが、再生医療等製品を除く。
(5) 「再生医療等製品」とは、次に掲げる物であって、政令で定めるものをいうが、医薬部外品及び化粧品を除く。
① 次に掲げる医療又は獣医療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの。
ア 人又は動物の身体の構造又は機能の再建、修復又は形成イ 人又は動物の疾病の治療又は予防
② 人又は動物の疾病の治療に使用されることが目的とされている物のうち、人又は動物の細胞に導入され、これらの体内で発現する遺伝子を含有させたもの。
(6) 「医薬品等製造販売業者」とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、体外診断用医薬品又は再生医療等製品の種類に応じ、それぞれに定める厚生労働大臣の許可を受けた者をいう。
(7) 「実施医療機関」とは、臨床研究が実施される医療機関をいう。
(8) 「研究責任医師」とは、法に規定する臨床研究を実施する者をいい、一の実施医療機関において臨床研究に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
(9) 「多施設共同研究」とは、一の臨床研究の計画書(以下「研究計画書」という。)に基づき複数の実施医療機関において実施される臨床研究をいう。
(10) 「研究代表医師」とは、多施設共同研究を実施する場合に、複数の実施医療機関の研究責任医師を代表する研究責任医師をいう。
(11) 「研究分担医師」とは、実施医療機関において、研究責任医師の指導の下に臨床研究に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
(12) 「モニタリング」とは、臨床研究に対する信頼性の確保及び臨床研究の対象者の保護の観点から臨床研究が適正に行われていることを確保するため、当該臨床研究の進捗状況並びに当該臨床研究がこの省令及び研究計画書に従って行われているかどうかについて、研究責任医師が特定の者を指定して行わせる調査をいう。
(13) 「監査」とは、臨床研究に対する信頼性の確保及び臨床研究の対象者の保護の観点から臨床研究により収集された資料の信頼性を確保するため、当該臨床研究が省令及び研究計画書に従って行われたかどうかについて、研究責任医師が特定の者を指定して行わせる調査をいう。
(14) 「代諾者」とは、臨床研究の対象者から同意を得ることが困難な場合に、対象者とともに、または対象者に代わって同意することが正当な者と認められる者であって、臨床研究の対象者の配偶者、親権を行う者、後見人その他これらに準ずる者をいう。
(15)「原資料」とは、臨床研究の対象者に対する医薬品等の投与及び診療により得られた臨床所見、観察その他の活動に関する元の記録やデータをいう。
(16)「手順書」とは、臨床研究に係る各々の業務が恒常的に、かつ適切に実施されるよう手順を定めた文書をいう。
(17)「疾病等」とは、臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病、障害若しくは死亡又は感染症に加え、臨床検査値の異常や諸症状を含む。
(18)「不適合」とは、臨床研究が法や規則、研究計画書、手順書等の不遵守及び研究データの改ざん、捏造等をいう。
(19)「重大な不適合」とは、臨床研究の対象者の人権や安全性及び研究の進捗や結果の信頼性に影響を及ぼすものをいう。例えば、選択・除外基準や中止基準、併用禁止療法等の不遵守をいい、臨床研究の対象者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により研究計画書に従わなかったものについては含まない。
第 2 章 臨床研究の実施体制に関する事項
(臨床研究の基本理念)
第 3 条 臨床研究の対象者の生命、健康及び人権を尊重し、次に掲げる事項を基本理念として実施する。
(1) 社会的及び学術的意義を有する臨床研究を実施すること
(2) 臨床研究の分野の特性に応じた科学的合理性を確保すること
(3) 臨床研究により得られる利益及び臨床研究の対象者への負担その他の不利益を比較考量すること
(4) 独立したxxな立場における審査意見業務を行う臨床研究審査委員会の審査を受けていること
(5) 臨床研究の対象者への事前の十分な説明を行うとともに、自由な意思に基づく同意を得ること
(6) 社会的に特別な配慮を必要とする者について、必要かつ適切な措置を講ずること
(7) 臨床研究に利用する個人情報を適正に管理すること
(8) 臨床研究の質及び透明性を確保すること
(研究責任医師等の責務)
第 4 条 研究責任医師及び研究分担医師は、臨床研究の対象となる疾患及び当該疾患に関連する分野について、十分な科学的知見並びに医療に関する経験及び知識を有し、臨床研究に関する倫理に配慮して当該臨床研究を適正に実施するための十分な教育及び訓練を受けているものとする。
2 研究責任医師は、臨床研究を実施する場合には、その安全性及び妥当性について、研究論文や学術集会の発表等の科学的文献その他の関連する情報又は投与される医薬品等の品質、毒性及び薬理作用に関する試験等の十分な実験の結果に基づき、倫理的及び科学的観点から十分検討する。
3 研究責任医師及び研究分担医師は、省令及び研究計画書に基づき臨床研究を行う。
4 研究責任医師は、対象者に配慮し、研究分担医師や当該臨床研究に従事する者が省令及び研究 計画書を遵守し適正に実施されていることを随時確認するとともに、臨床研究の進捗管理や監督、疾病等や不適合の把握及び報告並びに当該臨床研究に従事する者に対する適時な情報共有を行う。また、疾病等や重大な不適合が発生した場合は、再発防止策を講じ、研究分担医師や当該臨床研 究に従事する者に周知するとともに、再発防止の徹底を図る。必要に応じて、臨床研究の中止又 は研究計画書の変更その他の臨床研究の適正な実施を確保するために必要な措置を講じる。
5 研究責任医師は、臨床研究に関する業務の一部を委託する場合には、委託を受けた者が遵守すべき事項について、委託契約の内容を確認するとともに、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行う。
6 医薬品等製造販売業者等が提案する臨床研究を研究責任医師が受託して行う場合であっても、当該臨床研究が実施医療機関における医行為を前提とした診療行為の上に実施されるものであることに鑑み、責任の主体は実施医療機関に所属する研究責任医師にある。
(実施医療機関の管理者等の責務)
第 5 条 実施医療機関の管理者は、臨床研究が省令及び研究計画書に従い、適正に実施されていることを随時確認するとともに、必要に応じて、臨床研究の適正な実施を確保するために、臨床研究に従事する者に教育又は研修の機会、外部機関が実施する教育、研修等への参加の機会を定期的に確保する。
2 実施医療機関の管理者は、前項の確認のため、研究責任医師に対し、資料の提出その他の必要な協力を求めることができる。
3 研究責任医師は、実施医療機関の管理者の求めに応じ、資料の提出その他の必要な協力を行う。
4 実施医療機関の管理者は、研究責任医師から認定臨床研究審査委員会で承認された臨床研究の実施又は変更の承認を求められた際には、当該実施医療機関における実施の可否を判断する。なお、当該実施医療機関の臨床研究の実施に与える影響が乏しい実施計画の変更などの管理者の承認については、研究事務局への変更申請受付をもって承認とし、管理者は、後日、研究事務局より報告を受けるものとする。
(多施設共同研究)
第 6 条 臨床研究を多施設共同研究として実施する研究責任医師は、当該多施設共同研究として実施する臨床研究に係る業務を代表するため、当該研究責任医師の中から、研究代表医師を選任する。
2 研究代表医師は、特定臨床研究を実施する際には、研究責任医師を代表して認定臨床研究審査委員会への申請書等の提出、疾病等報告等の情報共有等の手続きを行う。研究代表医師の選出方法や他の研究責任医師との役割分担については、当該臨床研究の研究責任医師間で決定して差し支えないが、その場合であっても、それぞれの研究責任医師が自身の実施医療機関における臨床研究の責務を有する。
3 多施設共同研究を実施する研究責任医師は、他の研究責任医師に対し、疾病等報告、不適合の報告、モニタリングや監査の報告書等必要な情報を共有し、再発防止策の周知等を通じて、臨床研究の対象者の安全を確保する。
(疾病等発生時の対応等)
第 7 条 研究責任医師は、研究計画書ごとに、当該研究計画書に基づく臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病等が発生した場合の対応に関する一の手順書を作成し、当該手順書に沿った対応を行う。
2 手順書には、疾病等を知り得た当該臨床研究に従事する者から研究責任医師や研究代表医師への報告の流れ、重篤か否かの評価の方法等が含まれていること。なお、手順書に記載すべき内容を研究計画書に記載する場合は、別途手順書の作成は要しない。
3 研究責任医師は、臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病等が発生した場合は、当該臨床研究の中止その他の必要な措置を講じる。
(研究計画書)
第 8 条 研究責任医師は、次に掲げる事項を記載した研究計画書を作成する。
(1) 臨床研究の実施体制に関する事項
(2) 臨床研究の背景に関する事項(医薬品等の概要に関する事項を含む。)
(3) 臨床研究の目的に関する事項
(4) 臨床研究の内容に関する事項
(5) 臨床研究の対象者の選択及び除外並びに臨床研究の中止に関する基準
(6) 臨床研究の対象者に対する治療に関する事項
(7) 有効性の評価に関する事項
(8) 安全性の評価に関する事項
(9) 統計的な解析に関する事項
(10) 原資料等(臨床研究により得られたデータその他の記録であって、法第 32 条の規定により締結した契約の内容を含む。以下同じ。)の閲覧に関する事項
(11) 品質管理及び品質保証に関する事項
(12) 倫理的な配慮に関する事項
(13) 記録(データを含む。)の取扱い及び保存に関する事項
(14) 臨床研究の実施に係る金銭の支払及び補償に関する事項
(15) 臨床研究に関する情報の公表に関する事項
(16) 臨床研究の実施期間
(17) 臨床研究の対象者に対する説明及びその同意(様式を含む。)に関する事項
(18) 上記に掲げるもののほか、臨床研究の適正な実施のために必要な事項
2 研究計画書には、研究の標題、それを特定する番号及び作成日を記載する。改訂が行われた場合には、改訂番号及び改訂日を記載する。特定臨床研究の研究計画書改訂に当たっては、当該改訂後の研究計画書を施行する日を指定し、認定臨床研究審査委員会の承認を受けることとし、全ての実施医療機関において当該施行日以降、改訂後の研究計画書に基づき研究を実施する。改訂番号の管理方法について疑義が生じた場合には、臨床研究審査委員会の意見を聴く。
(不適合の管理)
第 9 条 研究責任医師は、臨床研究が不適合であると知ったときは、速やかに、実施医療機関の管理者に報告する。
2 研究分担医師は、臨床研究が不適合であると知ったときは、速やかに研究責任医師に報告する。なお、研究責任医師に報告することによって実施医療機関の管理者に報告されないことが懸念される場合においては、実施医療機関の管理者に直接報告しても差し支えない。
3 研究責任医師は、重大な不適合が判明した場合においては、速やかに臨床研究審査委員会の意見を聴く。ただし、臨床研究の対象者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により研究計画書に従わなかったものについては重大な不適合には含まない。
4 多施設共同研究を実施する場合、研究責任医師は、不適合であると知ったときは、速やかに実施医療機関の管理者に報告するとともに、これを研究代表医師に通知する。また、研究代表医師は、重大な不適合が判明した場合においては、速やかに臨床研究審査委員会の意見を聴く。
5 研究代表医師は、多施設共同研究が不適合であることを知ったときはその旨を、速やかに他の研究責任医師に情報提供する。
第 3 章 臨床研究の実施状況の確認に関する事項
(モニタリング)
第 10 条 研究責任医師は、研究計画書ごとに、モニタリングに関する一の手順書を作成する。手順書には当該研究のリスクに応じて重点的に確認する事項を定めるなど、当該研究におけるモニタリングの方法や関係者の責務についてあらかじめ計画を立て、計画されたモニタリングが適切に行われるよう具体的な手順を定める。なお、手順書に記載すべき内容を研究計画書に記載する場合は、当該研究計画書の記載をもって手順書とみなすことができる。
2 研究責任医師は、当該手順書及び研究計画書に定めるところにより、モニタリングを実施させ
る。モニタリングを実施する場合にあっては、次に揚げる事項について留意する。
(1) 臨床研究の対象者の人権の保護、安全の確保が図られていること
(2) 臨床研究が最新の実施計画書、研究計画書及び規則を遵守して実施されていること
(3) 臨床研究の実施について臨床研究の対象者から文書により同意を得ていること
(4) 記録等が正確であることについて原資料等に照らして検証すること
3 研究責任医師は、モニタリングの対象となる臨床研究に従事する者に、当該者が直接担当する業務のモニタリングを行わせてはならない。
4 モニタリングに従事する者は、当該モニタリングの結果を研究責任医師に報告する。
5 多施設共同研究を実施する場合、前項の報告を受けた研究責任医師は、必要に応じ、当該報告の内容を研究代表医師に通知する。この場合において、当該研究代表医師は、当該通知の内容を他の研究責任医師に情報提供する。
(監査)
第 11 条 研究責任医師は、当該臨床研究の対象者数、対象者への不利益の程度、モニタリング等で見出された問題点、利益相反管理計画(第 14 条第 3 項参照)を考慮し、必要に応じて、研究計画書ごとに、監査に関する一の手順書を作成する。手順書には、臨床研究の品質保証のために、通常のモニタリングなどの品質管理業務とは独立・分離して評価を行い、原資料を直接閲覧することにより臨床研究が適切に実施されていること及び記録の信頼性が十分に保たれていることを確認するため、当該研究における監査の必要性、実施する場合の担当者や適切な実施時期を計画し、計画された監査が適切に行われるよう具体的な手順を定める。なお、手順書に記載すべき内容を研究計画書に記載する場合は、当該研究計画書の記載をもって手順書とみなすことができる。
2 研究責任医師は、当該手順書及び研究計画書に定めるところにより、監査を実施させる。
3 研究責任医師は、監査の対象となる臨床研究に従事する者及びそのモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない。
4 監査に従事する者は、当該監査の結果を研究責任医師に報告する。
5 多施設共同研究を実施する場合、前項の報告を受けた研究責任医師は、必要に応じ、当該報告の内容を研究代表医師に通知する。この場合において、当該研究代表医師は、当該通知の内容を他の研究責任医師に情報提供する。
(モニタリング及び監査に従事する者に対する指導等)
第 12 条 研究責任医師は、モニタリングに従事する者及び監査に従事する者が行うモニタリング及び監査に関し、自施設において、モニタリング及び監査の実施が計画とおりに適切に履行されていることを確認するための必要な指導及び管理を行う。
第 4 章 研究対象者に対する補償
(研究対象者に対する補償)
第 13 条 研究責任医師は、特定臨床研究を実施するに当たっては、あらかじめ、当該臨床研究の実施に伴い生じた健康被害の補償のために、原則として適切な保険に加入する。また、保険に加入した場合であっても、当該臨床研究の実施に伴い生じた健康被害に対する医療を提供する体制の確保その他の必要な措置を講じておく。
2 研究責任医師は、当該特定臨床研究の実施に伴い生じた健康被害に対する医療の提供のみを行い、補償を行わない場合には、実施計画、研究計画書及び説明同意文書にその旨記載し、その理由について認定臨床研究審査委員会の承認を得る。
3 特定臨床研究以外の臨床研究においても、原則保険の加入に努める。
第 5 章 利益相反管理
(利益相反管理)
第 14 条 研究責任医師は、特定臨床研究を実施するに当たっては、次に掲げる医薬品等製造販売業者等の関与についての適切な取扱いの基準(以下「利益相反管理基準」という。)を定める。
(1) 当該研究責任医師が実施する臨床研究に対する医薬品等製造販売業者等による研究資金等の提供その他の関与
(2) 当該研究責任医師が実施する臨床研究に従事する者(当該研究責任医師、研究分担医師及び統計的な解析を行うことに責任を有する者に限る。)及び研究計画書に記載されている者であって、当該臨床研究を実施することによって利益を得ることが明白な者に対する当該臨床研究に用いる医薬品等の製造販売をし、又はしようとする医薬品等製造販売業者等の寄附金、原稿執筆及び講演その他の業務に対する報酬の提供その他の関与
2 実施医療機関の管理者又は所属機関の長は、前項の関与が確認された場合には、利益相反管理基準の確認及び当該利益相反管理基準に基づく前項の関与の事実関係を確認し、その結果(助言、勧告その他の措置が必要な場合にあっては、当該措置の内容を含む。)を記載した報告書を研究責任医師に提出する。
3 研究責任医師は、前項の報告書の内容を踏まえ医薬品等製造販売業者等の関与についての適切な取扱いの方法を具体的に定めた計画(前項の報告書に助言、勧告その他の措置が記載されている場合にあっては、その内容を含む。以下「利益相反管理計画」という。)を作成する。
4 特定臨床研究を実施する研究責任医師は、利益相反管理基準及び利益相反管理計画について、認定臨床研究審査委員会の意見を聴く。
5 研究責任医師は、利益相反管理基準及び利益相反管理計画に基づき、利益相反を管理する。
6 多施設共同研究を実施する場合、研究代表医師が第 1 項の利益相反管理基準を定め、利益相反管理基準及びすべての実施医療機関の研究責任医師が利益相反管理計画について、認定臨床研究審査委員会の意見を聴く。この場合において、第 1 項(2)の臨床研究に従事する者は、当該研究代表医師、他の研究責任医師、研究分担医師及び統計的な解析を行うことに責任を有する者とする。
7 研究代表医師は、利益相反管理基準を定めたときは、これを他の研究責任医師に通知する。
8 研究責任医師は、特定臨床研究以外の臨床研究においても、実施医療機関の方針に従って適切に利益相反を管理する。
第 6 章 その他臨床研究の実施に関し必要な事項
(認定臨床研究審査委員会の意見への対応)
第 15 条 研究責任医師は、認定臨床研究審査委員会から意見を述べられた場合には、速やかに、その内容について実施医療機関の管理者に報告を行う。当該報告には、認定臨床研究審査委員会から述べられた意見に基づき具体的な対応が必要な場合にあっては、当該対応の内容を含む。
2 多施設共同研究を実施する場合、研究代表医師は、認定臨床研究審査委員会から意見を述べられた場合には、速やかに、その内容について実施医療機関の管理者に報告を行うとともに、これを他の研究責任医師に対し情報提供する。
3 前項により研究代表医師から情報提供を受けた他の研究責任医師は、速やかに当該情報提供の内容を実施医療機関の管理者に報告する。
4 認定臨床研究審査委員会から意見を述べられた場合、研究責任医師は、当該意見を尊重して必要な措置をとる。
(苦情及び問合せへの対応)
第 16 条 研究責任医師は、特定臨床研究に関する苦情及び問合せに適切かつ迅速に対応するため、苦情及び問合せを受け付けるための窓口の設置、苦情及び問合せのための対応の手順の策定その他の必要な体制を整備する。
(情報の公表)
第 17 条 研究責任医師は、臨床研究を実施する場合には、あらかじめ、臨床研究を実施するに当たり世界保健機関が公表を求める事項等を厚生労働省が整備するデータベース(以下「jRCT」という。)に記録することにより、当該事項を公表する(変更時も同様)。
(1) 本項により公表を行った日を当該臨床研究を開始した日とし、総括報告書の概要を jRCT に記録することにより公表した日を当該臨床研究が終了した日とする。
(2) 特定臨床研究以外の臨床研究を実施する場合においても、jRCT に記録することにより、臨床研究を実施するに当たり世界保健機関が公表を求める事項等を公表するよう努める。
(3) 法施行後に開始される臨床研究については、jRCT 以外の国内の他の臨床研究登録機関のデータベースに重複して登録しない。人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成 26 年文部科学省・厚生労働省告示第 3 号)等に基づき、既に他の臨床研究登録機関のデータベースに登録している場合にあっては、情報の突合を容易にする観点から、jRCT に他の臨床研究登録機関の名称と当該機関発行の研究番号を記載する。
(4) 本邦以外の国と多施設共同研究を行う場合等であって、当該国の法令等において、当該国の臨床研究登録機関のデータベースへの登録が義務づけられている場合において、当該データベースに登録することは差し支えない。
(5) 臨床研究を実施するに当たり世界保健機関が公表を求める事項については、日本語と英語の両言語表記で公表する。
(6) 世界保健機関が公表を求める事項のうち、実施計画に記載されている事項以外の事項は、総括報告書の概要の提出時に、jRCT に記録することにより、当該事項を公表する。
2 研究責任医師は、次の期間内に、主要評価項目報告書(研究計画書につき当該収集の結果等を取りまとめた一の概要をいう。以下同じ。)並びに総括報告書(臨床研究の結果等を取りまとめた文書をいう。以下同じ。)及びその概要を作成する。
(1) 主要評価項目報告書:主たる評価項目に係るデータの収集を行うための期間が終了してから原則 1 年以内
(2) 総括報告書及びその概要:全ての評価項目に係るデータの収集を行うための期間が終了してから原則 1 年以内
3 特定臨床研究を実施する研究責任医師は、主要評価項目報告書の作成及び提出を実施計画に基づく研究の実施中に行うこととし、実施計画の変更手続に従って対応する。また、主要評価項目報告書及び総括報告書を作成する時期が同時期の場合は、総括報告書の作成により主要評価項目報告書の作成をしたものとみなす。
4 研究責任医師は、主要評価項目報告書又は総括報告書及びその概要を作成したときは、遅滞なく、実施医療機関の管理者に提出するとともに主要評価項目報告書又は総括報告書の概要を公表する。
5 特定臨床研究を実施する研究責任医師は、前項の規定による提出をしようとするときは、あらかじめ認定臨床研究審査委員会の意見を聴くとともに、当該認定臨床研究審査委員会が意見を述べた日から起算して 1 月以内に公表する。当該研究責任医師は、総括報告書の概要を提出したときは、速やかに、当該総括報告書の概要に次に掲げる書類を添えて厚生労働大臣に提出する。
(1) 研究計画書
(2) 統計解析計画書(作成した場合に限る。)
6 厚生労働大臣に対して、実施計画の新規・変更の提出又は総括報告書の概要の提出をした場合には、第 1 項の公表を行ったものとみなす。
7 多施設共同研究を実施する場合、第 1 項及び第 3 項から第 7 項までの手続について、研究代表医師が行う。
8 臨床研究(特定臨床研究を除く。)を実施する研究代表医師は、主要評価項目報告書又は総括報告書の概要を公表したときは、速やかに、実施医療機関の管理者に報告するとともに、その旨を他の研究責任医師に情報提供する。この場合において、当該他の研究責任医師は、速やかに、当該情報提供の内容を実施医療機関の管理者に報告する。
9 特定臨床研究を実施する研究代表医師は、第 5 項の規定による提出をしたときは、速やかに、実施医療機関の管理者に報告するとともに、その旨を他の研究責任医師に情報提供する。この場合において、当該他の研究責任医師は、速やかに、当該情報提供の内容を実施医療機関の管理者に報告する。
(医薬品等の品質の確保等)
第 18 条 研究責任医師は、臨床研究の内容に応じ、当該臨床研究に用いる医薬品等の品質の確保のために必要な措置を講じた上で製造された医薬品等を用いて臨床研究を実施する。
2 研究責任医師は、未承認の医薬品等を用いる臨床研究を実施する場合その他臨床研究の内容に応じて必要と判断される場合にあっては、次に掲げる記録を作成し、又は入手する。
(1) 臨床研究に用いる医薬品等の製造年月日、製造番号又は製造記号その他の当該医薬品等の製造に関する記録
(2) 臨床研究に用いる医薬品等を入手した場合には、その数量及び年月日の記録
(3) 臨床研究に用いる医薬品等の処分の記録
(4) 臨床研究に用いる医薬品等を粉砕等の加工を施して用いる場合は、その加工等に係る方法の記録
(5) 海外において承認等を取得しているものについては、製造番号又は製造記録の記録
(6) 許認可を得た実績のない医薬品等を研究者自身が新たに製造する場合は、製造等に係る全ての記録
(環境への配慮)
第 19 条 研究責任医師は、環境に影響を及ぼすおそれのある臨床研究を実施する場合には、環境へ悪影響を及ぼさないよう必要な配慮する。
第 7 章 個人情報の保護
(個人情報の取扱い)
第 20 条 研究責任医師は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的(以下「利用目的」という。)をできる限り特定する。
2 臨床研究に従事する者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得しない。
3 臨床研究に従事する者は、原則として、あらかじめ、本人(個人情報によって識別される特定の個人をいう。以下同じ。)又はその配偶者、親権を行う者、後見人その他これらに準ずる者(以下「本人等」という。)から同意を受けている範囲又は第 22 条(1)、(2)規定により通知し、若しくは公表している範囲を超えて、臨床研究の実施に伴い取得した個人情報を取り扱わない。
4 研究責任医師は、利用目的の達成に必要な範囲内において、個人情報を正確かつ最新の内容に保つ。
5 研究責任医師は、個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置を講じる。
6 研究責任医師は、前項の措置の方法を具体的に定めた実施規程を定める。
7 個人情報の利用目的の追加、開示、訂正等及び利用停止等については、実施医療機関において、 個人情報保護法等の他の法令に基づく診療情報の開示等の手続が整備されている場合においては、当該手続に準じて実施することとして差し支えない。手数料に関しても同様である。
(本人等の同意)
第 21 条 研究責任医師は、個人情報を利用して臨床研究を実施する場合においては、次に掲げる場合を除き、本人等の同意を得る。
(1) 既存試料等(研究計画書が作成されるまでの間に存在する試料等(人体から取得された試料及び臨床研究に用いる情報をいう。以下同じ。)又は当該研究計画書が作成された後に当該臨床研究の目的以外の目的で取得された試料等であって、当該臨床研究に利用するものをいう。以下同じ。)の取得時に別の研究における利用についての同意が得られており、当該臨床研究の実施について、次に掲げる事項を既存試料等が臨床研究に利用される者又はその配偶者、親権を行う者、後見人その他これらに準ずる者(以下「既存試料等が臨床研究に利用される者等」という。)に通知し、又は公表しており、かつ、その同意が当該臨床研究の目的と相当の関連性があると合理的に認められる場合
① 当該臨床研究における既存試料等の利用目的及び利用方法(当該臨床研究を多施設共同研究として実施する場合において、他の研究責任医師へ提供される場合はその方法を含む。)
② 当該臨床研究に利用する既存試料等の項目
③ 当該臨床研究に利用する既存試料等を利用する者の範囲
④ 当該臨床研究に利用する既存試料等の管理について責任を有する者の氏名又は名称
(2) 当該臨床研究の実施について、次に掲げる事項を既存試料等が臨床研究に利用される者等に通知し、又は公表している場合であって、当該既存試料等が臨床研究に利用される者が当該臨床研究に参加することについて、原則として、既存試料等が臨床研究に利用される者等が拒否できる機会を保障している場合(前号に該当する場合を除く。)
① 前号①から④までに掲げる事項
② 既存試料等が臨床研究に利用される者等の求めに応じて、既存試料等が臨床研究に利用される者が識別される既存試料等の利用又は他の研究責任医師への提供を停止すること
③ ②の既存試料等が臨床研究に利用される者等の求めを受け付ける方法
(利用目的の通知)
第 22 条 研究責任医師は、本人等から、当該研究責任医師及び実施医療機関が保有する個人情報
(以下「保有個人情報」という。)について、その利用目的の通知を求められた場合には、その求めをした本人等に対し、遅滞なく、これを通知する。ただし、利用目的の通知の求めをした本人等に対して通知することにより、本人若しくは第三者の生命、身体、財産その他の権利利益又は実施医療機関の権利若しくは正当な利益を害するおそれがある場合には、この限りでない。
2 研究責任医師は、前項の規定により求められた利用目的の通知について、当該通知をしない旨の決定をした場合には、その求めをした本人等に対し、遅滞なく、その旨を通知する。
(開示)
第 23 条 研究責任医師は、本人等から、保有個人情報のうち本人を識別することができるものについて開示を求められた場合には、その求めをした本人等に対し、遅滞なく、該当する個人情報を開示する。ただし、開示することにより次に掲げる事項のいずれかに該当する場合は、その全部又は一部を開示しないことができる。
(1) 本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
(2) 臨床研究の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
(3) 他の法令に違反することとなる場合
2 研究責任医師は、前項の規定により求められた個人情報の全部又は一部について開示しない旨の決定をした場合又は開示を求められた個人情報が存在しない場合には、その求めをした本人等に対し、遅滞なくその旨を通知する。
3 他の法令の規定により、保有個人情報の開示について定めがある場合には、第 1 項及び第 2 項の規定は、適用しない。「他の法令」とは、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 58 号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 59 号)等のことをいう。また、地方公共団体において制定される条例で上乗せ規定がある場合は当該規定も遵守する。
(手数料)
第 24 条 研究責任医師は、第 22 条第 1 項の規定により利用目的の通知を求められたとき又は第 23
条第 1 項の規定による開示を求められたときは、当該措置の実施に関し、手数料を徴収することができる。
2 研究責任医師は、前項により手数料を徴収する場合は、実費を勘案して合理的と認められる範囲内において、その手数料の額を定める。
(訂正等)
第 25 条 研究責任医師は、本人等から、保有個人情報のうち本人を識別することができるものについて、その内容が事実でないという理由によって、当該内容の訂正、追加又は削除(以下この条において「訂正等」という。)を求められた場合には、当該内容の訂正等に関して他の法令の規定により特別の手続が定められている場合を除き、利用目的の達成に必要な範囲内において、遅滞なく、必要な調査を行い、その結果に基づき、当該内容の訂正等を行う。
2 研究責任医師は、前項の規定による求めに係る訂正等を行ったとき又は訂正等を行わない旨の決定をしたときは、その求めをした本人等に対し、遅滞なく、その旨(訂正等を行ったときは、その内容を含む。)を通知する。
(利用停止等)
第 26 条 研究責任医師は、本人等から、保有個人情報について、第 20 条第 2 項に違反して不適切
に取得されたものであるという理由又は第 20 条第 3 項に違反して取り扱われているという理由により、該当する保有個人情報の利用の停止又は消去(以下この条において「利用停止等」という。)を求められた場合であって、その求めが適正と認められるときは、遅滞なく、当該規定に違反していることを是正するために必要な限度で、当該個人情報の利用停止等を行う。ただし、他の法令の規定により個人情報の利用停止等について定めがある場合、当該個人情報の利用停止等を行うことが困難な場合又は当該本人の権利利益を保護するため必要なこれに代わるべき措置をとる場合にあっては、この限りでない。
2 研究責任医師は、前項の規定による求めに係る利用停止等を行ったとき又は利用停止等を行わない旨の決定をしたときは、その求めをした本人等に対し、遅滞なく、その旨を通知する。
(開示等の求めに応じる手続)
第 27 条 研究責任医師は、開示等の求め(第 22 条第 1 項、第 23 条第 1 項、第 25 条第 1 項及び
第 26 条第 1 項による求めをいう。以下同じ。)に応じる手続として、次に掲げる事項を定めることができる。この場合において、本人等が当該手続によらずに開示等の求めを行ったときは、研究責任医師は、その求めをした本人等に対し、開示等の求めに応じることが困難である旨を通知することができる。
(1) 開示等の求めの申出先
(2) 開示等の求めに際して提出すべき書面の様式その他の開示等の求めの方式
(3) 開示等の求めをする者が本人等であることの確認の方法
(4) 第 24 条第 2 項により手数料を定めた場合には、その徴収方法
2 研究責任医師は、本人等から開示等の求めがあった場合において、その求めをした本人等に対し、その対象となる保有個人情報を特定するに足りる事項の提示を求めることができる。この場合において、研究責任医師は、本人等が容易かつ的確に開示等の求めを行うことができるよう、当該個人情報の特定に資する情報の提供その他本人等の利便を考慮する。
3 研究責任医師は、第1 項及び第2 項の規定に基づき開示等の求めに応じる手続を定めるときは、本人等に過重な負担を課するものとならないよう、配慮する。
(理由の説明)
第 28 条 研究責任医師は第 22 条第 2 項、第 23 条第 2 項、第 25 条第 2 項及び第 26 条第 2 項の規定により、本人等から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合又はその措置と異なる措置をとる旨を通知する場合は、その求めをした本人等に対し、その理由を説明するよう努める。
(試料等に係る個人情報の保護に関する措置)
第 29 条 臨床研究を多施設共同研究として実施する研究責任医師は、他の研究責任医師に対し試料等を提供する場合にあっては、個人情報の保護の観点から、個人情報の全部又は一部を削除(当該個人情報の全部又は一部を特定の個人と関わりのない情報に置き換えることを含む。)するための措置をとるよう努める。
(記録の作成)
第 30 条 研究責任医師は、外国(個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)第 24 条に規定する外国をいう。以下同じ。)にある者と共同して臨床研究を実施する場合であって、外国にある者に個人情報を含む試料等を提供するとき(他の法令の規定により当該外国にある者に当該試料等を提供する場合を除く。)は、次に掲げる事項に関する記録を作成する。
(1) 当該個人情報を含む試料等を提供した年月日
(2) 当該外国にある者の名称及び所在地
(3) 法第 9 条に規定する同意を得ている旨又は前条に規定する手続を行っている旨
(4) 当該個人情報によって識別される本人の氏名その他の当該本人を特定するに足りる事項
(5) 当該外国にある者に提供した個人情報の項目
2 外国にある者から個人情報を含む試料等の提供を受ける場合(他の法令の規定により外国にある者から試料等の提供を受ける場合を除く。)には、研究責任医師は、次に掲げる事項の確認を行い、当該確認に係る事項に関する記録を作成する。
(1) 当該個人情報を含む試料等の提供を受けた年月日
(2) 当該試料等の提供を行った外国にある者の名称及び所在地
(3) 当該試料等が適切に取得されたことを記載した書類
(4) 当該外国にある者から提供を受けた個人情報の項目
(個人情報の保護に関する実施医療機関の管理者の協力)
第 31 条 実施医療機関の管理者は、研究責任医師が法第 10 条に規定する個人情報保護に関する義
務及び第 20 条から前条までに規定する義務を履行するために必要な協力をする。
第 8 章 実施計画の提出等
(実施計画の提出)
第 32 条 特定臨床研究を実施する者は、特定臨床研究ごとに、次に掲げる事項を記載した特定臨床研究の実施に関する計画(以下、「実施計画」という。)を様式第一により作成し、特定臨床研究
を開始する前に厚生労働大臣に提出する。実施計画には次の事項を記載する。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 特定臨床研究の目的及び内容並びにこれに用いる医薬品等の概要
(3) 特定臨床研究の実施体制に関する事項
(4) 特定臨床研究を行う施設の構造設備に関する事項
(5) 特定臨床研究の実施状況の確認に関する事項
(6) 特定臨床研究の対象者に健康被害が生じた場合の補償及び医療の提供に関する事項
(7) 特定臨床研究に用いる医薬品等の製造販売をし、又はしようとする医薬品等製造販売業者及びその特殊関係者の当該特定臨床研究に対する関与に関する事項
(8) 特定臨床研究についての研究資金等の提供及び特定臨床研究に用いる医薬品等の製造販売をし、又はしようとする医薬品等製造販売業者等の関与に関する事項(前号に規定する事項を除く)
(9) 特定臨床研究について審査意見業務を行う認定臨床研究審査委員会の名称
(10) 審査意見業務を行う認定臨床研究審査委員会の認定番号及び当該実施計画の審査に関する事項
(11) 特定臨床研究の対象者等への説明及び同意に関する事項
(12) 前各号に掲げるもののほか、特定臨床研究を実施するに当たって留意すべき事項
① 実施計画は、臨床研究の詳細な内容や手順等が記載されている研究計画書の要点及び管理に必要な情報が記載されたものであり、実施計画の内容は、研究目標や内容、医薬品概要、実施体制、構造設備、モニタリングや監査、補償、企業の関与、説明同意文書等を含む。
② 認定臨床研究審査委員会で実施の適否を審議し、承認された内容で実施計画を提出する。
③ 実施計画の提出先は、実施計画の審査を行った認定臨床研究審査委員会の所在地を管轄する地方厚生局とする。
2 実施計画を提出したときは、速やかにその旨を実施医療機関の管理者及び当該実施計画に記載された認定臨床研究審査委員会に通知する。
3 多施設共同研究を実施する場合、第 1 項及び第 2 項の手続は研究代表医師が行う。この場合において、当該研究代表医師は、第 1 項による提出をしたときは、速やかに、実施医療機関の管理者に報告するとともに、その旨を他の研究責任医師に情報提供する。
4 研究代表医師から情報提供を受けた他の研究責任医師は、速やかに、当該情報提供の内容を実施医療機関の管理者に報告する。
5 研究責任医師は、実施計画と研究計画書の整合性を確保する。
(実施計画を厚生労働大臣に提出する場合の手続)
第 33 条 研究責任医師は、前条の規定により実施計画を提出する場合においては、予め特定臨床研究の実施の適否及び実施に当たって留意すべき事項について、当該実施計画に記載されている認定臨床研究審査委員会の意見を聴く。
2 認定臨床研究審査委員会の意見を聴こうとするときは、次に掲げる書類を当該認定臨床研究審査委員会に提出する。ただし、既に提出されている当該書類に変更がないときは、その提出を省略することができる。
(1) 実施計画
(2) 研究計画書
(3) 医薬品等の概要を記載した書類
(4) 疾病等が発生した場合の手順書
(5) モニタリングの手順書及び作成した場合は監査の手順書
(6) 利益相反管理基準及び利益相反管理計画
(7) 研究責任医師及び研究分担医師の氏名を記載した文書
(8) 統計解析計画書(作成した場合に限る。)
(9) その他認定臨床研究審査委員会が求める書類
3 研究責任医師は、認定臨床研究審査委員会の意見を聴いた後に、前項に掲げる書類その他実施医療機関の管理者が求める書類を提出して、当該特定臨床研究の実施の可否について、当該管理者の承認を受ける。
また、当該管理者は、倫理的及び科学的観点から研究内容の妥当性を判断するのではなく、当該臨床研究を適切に実施する実施体制を備えているか等の観点から承認を検討することとし、承認後は、当該臨床研究に従事する者について把握、管理する。
4 多施設共同研究を実施する場合、研究代表医師が認定臨床研究審査委員会に第 1 項及び第 2 項による提出を行う。
5 研究代表医師は第 3 項により実施医療機関の管理者に承認を受けるとともに、他の研究責任医師に報告し、他の研究責任医師は自らの実施医療機関の管理者の承認を受ける。
(実施計画の変更の提出及び軽微な変更の届出)
第 34 条 実施計画の変更は、次に掲げる区分に応じ、次に掲げる期限までに、変更後の実施計画及び様式第ニによる届書を提出して行うものとする。
(1) 特定臨床研究の進捗に関する事項 進捗の変更後遅滞なく
① 「進捗状況の変更」は国民の臨床研究への参加の選択に資する観点から、進捗に応じて以下アからエの状況について公表する。
ア 募集前(Pending):どの実施医療機関でもまだ募集をしていないイ 募集中(Recruiting):現在臨床研究の対象者の募集をしているウ 募集中断(Suspended):募集が一時的に中断されている
エ 募集終了(Not recruiting):臨床研究は実施中であるが募集が終了しているオ 研究終了(Complete)
② オの研究終了については、第 17 条第 4 項の規定によりその状況を公表する。
(2) 前号に掲げる事項以外の変更 変更前
① 研究計画書、利益相反管理基準又は利益相反管理計画を変更する場合においては、実施計画の変更の可能性があることから、認定臨床研究審査委員会の意見を聴く。その結果、実施計画の変更がない場合は厚生労働大臣への届出は不要とする。
② 多施設共同研究の継続中に、一の実施医療機関において研究を継続しなくなった場合は、当該実施医療機関における対象者に対する観察期間が終了した後に、研究代表医師が実施計画の変更を提出する。
2 実施計画について、次に掲げる軽微な変更をしたときは、その変更の日から 10 日以内に、その内容を、当該実施計画に記載されている認定臨床研究審査委員会に通知するとともに、様式第三により厚生労働大臣に届け出る。
(1) 特定臨床研究に従事する者の氏名の変更であって、特定臨床研究を従事する者の変更を伴わないもの
(2) 所在地は変わらず、所在地の地域の名称の変更又は地番の変更
(認定臨床研究審査委員会の変更禁止)
第 35 条 研究責任医師は、実施計画を厚生労働大臣に提出した後は、認定臨床研究審査委員会が廃止された場合その他のやむを得ない事情がある場合を除き、実施計画に記載されている認定臨床研究審査委員会を変更してはならない。
(特定臨床研究の中止の届出)
第 36 条 研究責任医師は、特定臨床研究を中止したときは、その中止の日から 10 日以内に、その旨を、当該特定臨床研究の実施計画に記載されている認定臨床研究審査委員会に通知するとともに、厚生労働大臣に届け出る。特定臨床研究の中止の届出は、様式第四による届書を提出して行うものとする。
2 多施設共同研究を実施する場合、中止の提出は、研究代表医師が行うものとする。
3 特定臨床研究以外の臨床研究を実施する研究責任医師は、臨床研究を中止したときは、その中止の日から 10 日以内に、その旨を認定臨床研究審査委員会に通知するよう努める。
第 9 章 臨床研究の対象者等に対する説明及び同意
(臨床研究の対象者等に対する説明及び同意)
第 37 条 臨床研究を実施する者は、当該臨床研究の対象者に対し、あらかじめ、当該臨床研究の目的及び内容並びにこれに用いる医薬品等の概要、当該医薬品等の製造販売をし、若しくはしようとする医薬品等製造販売業者等から研究資金等の提供を受けて実施する場合においては当該研究資金等の額及び内容等を記載した契約の内容その他次の事項について、第 2 項で定めるところに
より説明を行い、その同意を得る。ただし、疾病その他第 3 項で定める事由により臨床研究の対
象者の同意を得ることが困難な場合であって、第 4 項で定める者のうちいずれかの代諾者に対し、
説明を行い、その同意を得たとき、その他第 5 項で定めるときは、この限りでない。
(1) 実施する臨床研究の名称、当該臨床研究の実施について実施医療機関の管理者の承認を受けている旨及び特定臨床研究は厚生労働大臣に実施計画を提出している旨
(2) 実施医療機関の名称並びに研究責任医師の氏名及び職名(臨床研究を多施設共同研究として実施する場合にあっては、研究代表医師の氏名及び職名並びに他の実施医療機関の名称並びに当該実施医療機関の研究責任医師の氏名及び職名を含む。)
(3) 臨床研究の対象者として選定された理由
(4) 臨床研究の実施により予期される利益及び不利益
(5) 臨床研究への参加を拒否することは任意である旨
(6) 同意の撤回に関する事項
(7) 臨床研究への参加を拒否すること又は同意を撤回することにより不利益な取扱いを受けない旨
(8) 臨床研究に関する情報公開の方法
(9) 臨床研究の対象者又はその代諾者(以下「臨床研究の対象者等」という。)の求めに応じて、研究計画書その他の臨床研究の実施に関する資料を入手又は閲覧できる旨及びその入手又は閲覧の方法
(10) 臨床研究の対象者の個人情報の保護に関する事項
(11) 試料等の保管及び廃棄の方法
(12) 臨床研究に対する第 14 条第 1 項各号の医薬品等製造販売業者等による関与に関する状況
(13) 苦情及び問合せへの対応に関する体制
(14) 臨床研究の実施に係る費用に関する事項
(15) 他の治療法の有無及び内容並びに他の治療法により予期される利益及び不利益との比較
(16) 臨床研究の実施による健康被害に対する補償及び医療の提供に関する事項
(17) 臨床研究の審査意見業務を行う臨床研究審査委員会における審査事項その他当該臨床研究に係る臨床研究審査委員会に関する事項
(18) その他臨床研究の実施に関し必要な事項
2 臨床研究の対象者等に対して行う説明及び同意の取得は、次に掲げるところにより行うものとする。
(1) できる限り平易な表現を用い、文書により行うものとすること。
(2) 臨床研究の対象者が 16 歳以上の未xx者(臨床研究の対象者となることについての説明を十分に理解できる能力を有する場合に限る。以下同じ。)である場合には、当該臨床研究の対象者の同意に加え、当該対象者の代諾者の同意も得ること。
(3) 臨床研究の対象者が 16 歳以上の未xx者である場合であって、次の①及び②に掲げる事項が研究計画書に記載され、臨床研究審査委員会の意見を聴いた上で実施医療機関の管理者が承認したときは、当該対象者から同意を得ること。
① 臨床研究の対象者の身体又は精神に障害又は負担が生じない旨
② 臨床研究の目的及び個人情報の取扱いその他の臨床研究の実施に係る情報を公表し、臨床研究の対象者が当該臨床研究に参加することについてその代諾者が拒否できる機会を保障する旨
3 臨床研究の対象者の同意を得ることが困難な事由は次に掲げるものとする。
(1) 臨床研究の対象者となるべき者が、単独で説明を受け、同意を与えることが困難である者であること。
(2) 臨床研究の対象者となるべき者が、16 歳未満の者(前号に該当する者を除く。)であること。
4 臨床研究の対象者の同意を得ることが困難な場合の配偶者及び親権を行う者以外の代諾者は、後見人その他これに準ずる者とする。
5 臨床研究を行う場合に説明及び同意が不要なときは、研究計画書に定めるところにより、次に掲げる事項のいずれも満たすと判断した場合とする。ただし、当該臨床研究を実施した場合には、速やかに、第 1 項の規定に基づく手続を行う。
(1) 当該臨床研究の対象者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
(2) その他の治療方法では十分な効果が期待できないこと。
(3) 当該臨床研究を実施することにより生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
(4) 当該臨床研究の対象者となるべき者に対する予測される不利益が必要な最小限度のものであること。
(5) 代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
6 研究責任医師は、臨床研究の対象者の同意を得ることが困難な場合であっても、当該対象者の理解力に応じた平易な表現で説明を行い、当該対象者の賛意を得るよう努める。
(代諾者から同意を得る場合の説明及び同意)
第 38 条 前条第 1 項の規定は、臨床研究の対象者の代諾者に対する説明及び同意について準用す
る。この場合において、前条第 1 項(5)及び(7)中「臨床研究への参加」とあるのは「代諾者の同
意」と、前条第 1 項(10)中「臨床研究の対象者の個人情報」とあるのは「臨床研究の対象者等の個人情報」と読み替えるものとする。
2 研究責任医師は、代諾者の同意を得た場合には、代諾者の同意に関する記録及び代諾者と臨床研究の対象者との関係についての記録を作成する。
(同意の撤回等)
第 39 条 研究責任医師は、臨床研究の対象者等から第 37 条第 1 項に規定する同意の全部又は一部の撤回又は拒否があった場合には、遅滞なく、当該撤回又は拒否の内容に従った措置を講ずるとともに、その旨を当該臨床研究の対象者等に説明する。ただし、当該措置を講ずることにより、
当該臨床研究の継続が困難となることその他の理由がある場合は、この限りでない。
2 前項の規定により、同意の撤回又は拒否の内容に従った措置を講じない旨の決定をした場合には、当該臨床研究の対象者等に対し、遅滞なく、その旨を通知する。
3 前項の規定により、当該臨床研究の対象者等から求められた措置の全部又は一部について、その措置をとらない旨を通知する場合は、当該臨床研究の対象者等に対し、その理由を説明するよう努める。
(記録の保存)
第 40 条 臨床研究を実施する者は、当該臨床研究の対象者ごとに、医薬品等を用いた日時及び場所その他次に掲げる事項に関する記録を作成し、次項で定めるところにより、これを保存する。
(1) 臨床研究の対象者を特定する事項
(2) 臨床研究の対象者に対する診療及び検査に関する事項
(3) 臨床研究への参加に関する事項
(4) その他臨床研究を実施するために必要な事項
2 臨床研究を実施する研究責任医師は、当該臨床研究が終了した日から 5 年間、前項に規定する記録を次に掲げる書類とともに保存する。
(1) 研究計画書、実施計画、臨床研究の対象者に対する説明及びその同意に係る文書、総括報告書その他の省令の規定により研究責任医師が作成した文書又はその写し
(2) 臨床研究審査委員会から受け取った審査意見業務に係る文書
(3) モニタリング及び監査(第 12 条により監査を実施する場合に限る。)に関する文書
(4) 原資料等(前項及び(1)に掲げるものを除く。)
(5) 臨床研究の実施に係る契約書(法第 32 条の規定により締結した契約に係るものを除く。)
(6) 臨床研究に用いる医薬品等の概要を記載した文書及び第 18 条第 2 項により作成又は入手した臨床研究に用いる医薬品等に関する記録((1)に掲げるものを除く。)
(7) (1)から(6)までのほか、臨床研究を実施するために必要な文書
3 研究責任医師は、第 1 項に規定する記録の修正を行う場合は、修正者の氏名及び修正を行った年月日を記録し、修正した記録とともに保存する。
第 10 章 疾病等、不具合、定期報告
(認定臨床研究審査委員会への疾病等の報告)
第 41 条 研究責任医師は、特定臨床研究の実施について、次に掲げる事項を知ったときは、それぞれ定める期間内に実施医療機関の管理者に報告した上で、認定臨床研究審査委員会に報告する。なお、状況に応じて報告の順番が前後することは差し支えない。また、(1)及び(2)の報告を行う際は、同時に被験薬等の製造販売をし、又はしようとする医薬品等製造販売業者に情報提供を行う。
(1) 未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究
① 以下の疾病等の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によるものと疑われるものであって予測できないもの:7 日
ア 死亡
イ 死亡につながるおそれのある疾病等
② 以下の疾病等の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によるものと疑われるもの(①に掲げるものを除く。):15 日
ア 死亡
イ 死亡につながるおそれのある疾病等
③ 以下の疾病等の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によるものと疑われるものであって予測できないもの(①に掲げるもの除く。):15 日
ア 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等イ 障害
ウ 障害につながるおそれのある疾病等
エ アからウまで並びに死亡及び死亡につながるおそれのある疾病等に準じて重篤である疾病等
オ 後世代における先天性の疾病又は異常
④ 以下の疾病等の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によるものと疑われるもの(➁に掲げるもの除く。):30 日*
ア 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等イ 障害
ウ 障害につながるおそれのある疾病等
エ アからウまで並びに死亡及び死亡につながるおそれのある疾病等に準じて重篤である疾病等
オ 後世代における先天性の疾病又は異常
-*規則ではこの規定はないが、(2)に合わせて、本手順書(ひな形)には加えた-
(2) 未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究以外の特定臨床研究
① 未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究以外の特定臨床研究を実施する場合における次に掲げる事項:15 日
ア 死亡(感染症によるものを除く。)の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究以外の特定臨床研究の実施によるものと疑われるもの
イ 以下の疾病等(感染症を除く。以下①及び②において同じ。)の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究以外の特定臨床研究の実施によるものと疑われるものであって、かつ、当該特定臨床研究に用いた医薬品等の添付文書又は容器若しくは被包に記載された使用上の注意(以下「使用上の注意等」という。)から予測することができないもの又は当該医薬品等の使用上の注意等から予測することができるものであって、その発生傾向を予測することができないもの若しくはその発生傾向の変化が保健衛生上の危害の発生若しくは拡大のおそれを示すもの
1) 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等
2) 障害
3) 死亡又は障害につながるおそれのある疾病等
4) 死亡又は 1)から 3)までに掲げる疾病等に準じて重篤である疾病等
5) 後世代における先天性の疾病又は異常
ウ 未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究以外の特定臨床研究の実施によるものと疑われる感染症による疾病等の発生のうち、当該医薬品等の使用上の注意等から予測することができないもの
エ 未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究以外の特定臨床研究の実施によるものと疑われる感染症による死亡又はイ 1)から 5)までに掲げる疾病等の発生(ウに係るものを除く。)
② (2)①イ 1)から 5)までの疾病等の発生のうち、当該特定臨床研究の実施によるものと疑われるもの((2)①イに掲げるものを除く。):30 日
(3) 特定臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病等の発生((1)及び(2)に掲げるものを
除く。):法第 17 条第 1 項認定臨床研究審査委員会への定期報告を行うとき
2 多施設共同研究を行う場合、前項の報告は、研究代表医師が行う。
3 研究責任医師は、特定臨床研究を多施設共同研究として実施する場合において、第 1 項各号に規定する疾病等の発生を知ったときは、これを実施医療機関の管理者に報告した上で、研究代表医師に通知する。
4 研究代表医師は、第 1 項の規定による報告を行ったときは、その旨を速やかに他の研究責任医師に情報提供する。この場合において、当該他の研究責任医師は、速やかに当該情報提供の内容を実施医療機関の管理者に報告する。
5 研究責任医師は、第 1 項に規定する疾病以外の疾病を知ったときは、必要に応じて第 1 項から 4 項に規定する事項を行う。
6 研究責任医師は、第 5 項の事項についてあらかじめ研究計画書で規定しておくことが望ましい。
7 特定臨床研究以外の臨床研究を実施する研究責任医師は、本条各項に準じて適切に疾病の報告を行う。
<参考>疾病等の報告
(1)未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究
疾病等の内容 | 予測性 | 報告期限 |
・死亡 ・死亡につながるおそれのある疾病等 | できない | 7 日 |
できる | 15 日 | |
(1) 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等 (2) 障害 (3) 障害につながるおそれのある疾病等 (4) (1)から(3)まで並びに死亡及び死亡につながるおそれのある疾病等に準じて重篤である疾病等 (5) 後世代における先天性の疾病又は異常 | できない | 15 日 |
できる* | 30 日* |
*規則ではこの規定はないが、(2)に合わせて、本手順書(ひな形)には加えた
(2)未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究以外の特定臨床研究
疾病等の内容 | 予測性 | 報告期限 |
死亡(感染症によるものを除く) | 問わず | 15 日 |
以下の疾病(感染症によるものを除く) (1) 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等 (2) 障害 (3) 死亡又は障害につながるおそれのある疾病等 (4) 死亡又は(1)から(3)までに掲げる疾病等に準じて重篤である疾病等 (5) 後世代における先天性の疾病又は異常 | できない* | 15 日 |
できる | 30 日 | |
感染症による疾病等 | できない | 15 日 |
感染症による死亡 感染症による以下の疾病 | できる | 15 日 |
(1) 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等 (2) 障害 (3) 死亡又は障害につながるおそれのある疾病等 (4) 死亡又は(1)から(3)までに掲げる疾病等に準じて重篤である疾病等 (5) 後世代における先天性の疾病又は異常 |
*当該特定臨床研究に用いた医薬品等の添付文書又は容器若しくは被包に記載された使用上の注意から予測することができないもの又は当該医薬品等の使用上の注意等から予測することができるものであって、その発生傾向を予測することができないもの若しくはその発生傾向の変化が保健衛生上の危害の発生若しくは拡大のおそれを示すもの
(3)全ての特定臨床研究
疾病等の内容 | 予測性 | 報告期限 |
特定臨床研究の実施に起因するものと疑われる疾病等の発生(上記 に掲げるものを除く。) | 問わず | 定期報告時 |
(不具合報告)
第 42 条 特定臨床研究を実施する研究責任医師は、当該特定臨床研究に用いる医療機器又は再生医療等製品の不具合の発生であって、当該不具合によって以下の疾病等が発生するおそれのあるものについて知ったときは、これを知った日から 30 日以内にその旨を実施医療機関の管理者に報告した上で、認定臨床研究審査委員会に報告する。
(1) 死亡
(2) 死亡につながるおそれのある疾病等
(3) 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等
(4) 障害
(5) 障害につながるおそれのある疾病等
(6) (3)から(5)まで並びに死亡及び死亡につながるおそれのある疾病等に準じて重篤である疾病等
(7) 後世代における先天性の疾病又は異常
2 多施設共同研究を行う場合、前項の報告は、研究代表医師が行う。
3 研究責任医師は、特定臨床研究を多施設共同研究として実施する場合において、第 1 項各号に規定する疾病等の発生を知ったときは、これを実施医療機関の管理者に報告した上で、研究代表医師に通知する。
4 研究代表医師は、第 1 項の規定による報告を行ったときは、その旨を速やかに他の研究責任医師に情報提供する。この場合において、当該他の研究責任医師は、速やかに当該情報提供の内容を実施医療機関の管理者に報告する。
5 研究責任医師は、第 1 項に規定する疾病以外の疾病を知ったときは、必要に応じて第 1 項から第 4 項に規定する事項を行う。
6 研究責任医師は、第 5 項の事項についてあらかじめ研究計画書で規定しておくことが望ましい。
7 特定臨床研究以外の臨床研究を実施する研究責任医師は、上記に準じて適切に不具合の報告を行う。
(厚生労働大臣に対する疾病等報告)
第 43 条 研究責任医師は、特定臨床研究の実施について、次に掲げる事項を知ったときは、それぞ
れに定める期間内に厚生労働大臣に報告する。
(1) 以下の疾病等の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によるものと疑われるものであって予測できないもの:7 日
① 死亡
② 死亡につながるおそれのある疾病等
(2) 以下の疾病等の発生のうち、未承認又は適応外の医薬品等を用いる特定臨床研究の実施によるものと疑われるものであって予測できないもの:15 日
① 治療のために医療機関への入院又は入院期間の延長が必要とされる疾病等
② 障害
③ 障害につながるおそれのある疾病等
④ 死亡又は①から③までに掲げる疾病等に準じて重篤である疾病等
⑤ 後世代における先天性の疾病又は異常
2 厚生労働大臣への報告は、疾病等報告書(医薬品)(別紙様式2-1)又は疾病等報告書(医療機器)(別紙様式2-2)による報告書を提出して行う。
(機構に対する疾病等報告)
第 44 条 研究責任医師は、厚生労働大臣が法第 16 条第 4 項の規定により機構に情報の整理を行わ
せる場合においては、第 41 条の認定臨床研究審査委員会への疾病等報告と同じ期限までに機構に報告する。
(定期報告)
第 45 条 法第 17 条第 1 項の規定に基づき、研究責任医師は、特定臨床研究の実施状況について、実施計画に記載された特定臨床研究ごとに、次に掲げる事項について、実施医療機関の管理者に報告した上で、当該実施計画に記載された認定臨床研究審査委員会に報告する。
(1) 当該特定臨床研究に参加した特定臨床研究の対象者の数
(2) 当該特定臨床研究に係る疾病等の発生状況及びその後の経過
(3) 当該特定臨床研究に係るこの省令又は研究計画書に対する不適合の発生状況及びその後の対応
(4) 当該特定臨床研究の安全性及び科学的妥当性についての評価
(5) 当該特定臨床研究に対する第 14 条 1 項の医薬品等製造販売業者等の関与に関する事項
2 前項の報告には、第 33 条第 2 項(2)から(9)までに掲げる書類(認定臨床研究審査委員会が最新のものを有していないものに限る。)を添付する。
3 認定臨床研究審査委員会への定期報告は、原則として、実施計画を厚生労働大臣に提出した日から起算して、1 年ごとに、当該期間満了後 2 月以内に行う。
4 多施設共同研究を実施する場合、定期報告は、研究代表医師が行う。
5 研究代表医師は、認定臨床研究審査委員会へ定期報告を行ったときは、その旨を、速やかに、他の研究責任医師に情報提供する。この場合において、当該他の研究責任医師は、速やかに、当該情報提供の内容を実施医療機関の管理者に報告する。
6 特定臨床研究以外の臨床研究を実施する研究責任医師は、上記に準じて適切に定期報告を行う。
(厚生労働大臣に対する定期報告)
第 46 条 法第 18 条第 1 項の規定に基づき、研究責任医師は、特定臨床研究の実施状況について、実施計画に記載された特定臨床研究ごとに、以下の事項について厚生労働大臣に報告する。
(1) 実施計画に記載されている認定臨床研究審査委員会の名称
(2) 認定臨床研究審査委員会による当該特定臨床研究の継続の適否
(3) 特定臨床研究に参加した特定臨床研究の対象者の数
2 厚生労働大臣への定期報告は、認定臨床研究審査委員会が意見を述べた日から起算して、1 月以内に行う。
3 多施設共同研究を実施する場合、定期報告は、研究代表医師が行う。
4 厚生労働大臣への報告は、定期報告書(別紙様式3)による報告書を提出して行う。なお報告は、jRCT に記録することにより報告したものとみなす。
第 11 章 その他
(秘密保持義務)
第 47 条 臨床研究に従事する者又は臨床研究に従事する者であった者は、臨床研究の実施に関して知り得た秘密(法第 11 条に規定するものを除く。)についても、法第 11 条の規定に準じて必要な措置を講ずるよう努める。
(既存試料等が臨床研究に利用される者の記録の作成及び保存等)
第 48 条 研究責任医師は、既存試料等が臨床研究に利用される者の記録の作成及び保存をする場合は、法第 12 条の規定に準じて、必要な措置を講じるよう努める。
2 実施医療機関の管理者は、研究責任医師が記録の作成及び保存に関する義務を履行するために、必要な協力をする。
(手順書の改訂)
第 49 条 本手順書を改訂する必要が生じた場合には、原則として、臨床研究審査委員会の議を経て、実施医療機関の管理者の承認を得るものとする。
附則
この手順書は、令和元年 11 月 1 日から施行する。