https://www.meti.go.jp/policy/economy/gijutsu_kakushin/innovation_policy/IpMana gementGuidline.html
1.知財合意書の作成について
研究開発の委託者が提示した知財方針に従い、原則としてプロジェクト開始(委託契約書の締結)までに、研究開発プロジェクトの参加者間で知的財産の取扱いについて合意させるものとする。
原則として全ての参加者間で合意するものとするが、プロジェクトにおいて複数の研究項目を設定し、研究項目ごとに複数の受託者(チーム)を採択する場合等、プロジェクト開始までに参加者全体での合意を得ることが困難な場合も想定される。このような場合、プロジェクトの開始までには、少なくとも採択されるチーム単位で合意することとし、プロジェクト開始後速やかに参加者全体での知財合意書を作成することが望ましい。
プロジェクトが複数のチームから構成される場合は、必要に応じて、全体として統一的に合意する事項と、チームごとに合意する事項とを設けることを検討する必要がある。基本的には、プロジェクトの目的及び研究開発の委託者が提示した知財方針に従い、全体として統一的な知財合意書を作成することが望ましいが、バックグラウンドIPの取扱いのように参加者の権利に配慮が必要なものや、チームごとの事情を考慮する必要があるもの(例えば、プロジェクトにおいて共通基盤的な研究を行うチームと実用化を目指した研究開発を行うチームの双方が含まれる等であって、かつチームごとに取扱いを変えるべきことが明らかなもの)については、チーム単位での合意とすることも考えられる。
プロジェクトの開始までに合意する事項としては、知的財産権を実施許諾する際の実施料等細部にわたる必要はなく、細部については、プロジェクト開始後、プロジェクトの進捗状況等を踏まえて追加的に合意するものとする。また、合意内容は、プロジェクト開始後の状況の変化に応じて適宜見直すことができるようにすることが望ましい。
同様に、研究開発の委託者が提示したデータ方針に従い、特段の事情がない限りプロジェクト開始(委託契約の締結)までに、研究開発プロジェクトの参加者間で研究開発データの取扱いについて合意させるものとする。
データ合意書は、独立した文書として作成してもよいが、以下で示すように知財合意書の中に研究開発データに関する条項を加える形式とすることも考えられる。
(参考)
委託研究開発における知的財産マネジメントに関する運用ガイドライン
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxxx/xxxxxxx_xxxxxxxx/xxxxxxxxxx_xxxxxx/XxXxxxxxxxxxXxxxxxxx.xxxx
委託研究開発におけるデータマネジメントに関する運用ガイドライン
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxx/xxxxxxxxxx_xxxxxx/xxxxxxxxxxxxxx.xxxx
2.知財合意書の作成例
○○プロジェクト「知財合意書」
(目的)
第1条 本合意書は、○○プロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)の実施及びその成果の活用のために必要な知的財産の取扱いについて定めることにより、本プロジェクトを円滑に遂行し、その成果を事業活動において効率的に活用することを目的とする。
(定義)
第2条 本合意書において、次に掲げる用語は次の定義によるものとする。
一 「発明等」とは、次に掲げるものをいう。
イ 発明
ロ 考案
ハ 意匠の創作
ニ 半導体集積回路の回路配置に関する法律(昭和60年法律第43号)第2条第2項に規定する回路配置の創作
ホ 種苗法第2条第2項に規定する品種の育成
ヘ 著作物の創作
ト 技術情報のうち秘匿することが可能なものであって、かつ、財産的価値のあるもの(以下「ノウハウ」という。)の案出
二 「発明者等」とは、発明等をなした者をいう。
三 「知的財産権」とは、次に掲げるものをいう。
イ 特許権、特許を受ける権利、実用新案権、実用新案登録を受ける権利、意匠権、意匠登録を受ける権利、回路配置利用権、回路配置利用権の設定の登録を受ける権利、育成者権、種苗法(平成10年法律第83号)第3条に規定する品種登録を受ける地位及び外国における上記各権利及び地位に相当する権利及び地位(以下「産業財産権」と総称する。)
ロ 著作権(著作xx(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定する全ての権利を含む)及び外国における上記権利に相当する権利(以下「著作権」と総称する。)
ハ ノウハウを使用する権利
四 知的財産権の「実施」とは、特許法(昭和34年法律第121号)第2条第3項に定める行為、実用新案法(昭和34年法律第123号)第2条第3項に定める行為、意匠法(昭和34年法律第125号)第2条第3項に定める行為、半導体集積回路の回路配置に関する法律第2条第3項に定める行為、種苗法第2条第5項に定める行為、著作xx第21条から第28条までに規定する全ての権利に基づき著作物を利用する行為並びにノウハウを使用する行為をいう。
五 「プロジェクト参加者」とは、本プロジェクトを実施する別紙1に記載された者をいう。
六 「プロジェクトリーダー」とは、本プロジェクトにおける知的財産の取扱いを含む本プロジェクト全体を統括する責任者をいう。
七 「研究開発従事者」とは、本プロジェクトにおいて実施する研究開発に従事する者をいう。
八「研究開発データ」とは、研究開発で取得又は収集した電磁的記録(電子的方式、
磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られ
る記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を
いう。
九 「委託者指定データ」とは国が管理するべき研究開発データであり、国に提供さ
れる研究開発データとして指定された研究開発データをいう。
十「自主管理データ」とは、委託者指定データ以外の研究開発データであって、プ
ロジェクト参加者が自主的に管理する研究開発データをいう。
十一 「非管理データ」とは、委託者指定データ又は自主管理データ以外の特に管理
を要しない研究開発データをいう。
(知財運営委員会)
第3条 本プロジェクトにおける知的財産の取扱いを適切に行うため、プロジェクトリーダーを委員長とする知財運営委員会を設置する。
2 知財運営委員会は、本プロジェクトにおける知的財産の取扱いについて審議決定する。
3 知財運営委員会は、本プロジェクトにおける研究開発データの取扱いについても審議決定する。
4 前項の目的のため、必要に応じて知財運営委員会の構成員を追加する。
5 知財運営委員会の審議内容、議決方法、構成員その他知財運営委員会の運営に関する事項は、別途定める知財運営委員会運営規則によるものとする。
(秘密保持)
第4条 プロジェクト参加者は、本プロジェクトに関して他のプロジェクト参加者(その研究開発従事者を含む。)から開示され、かつ開示の際に秘密である旨明示された技術上の一切の情報を、秘密として保持し、当該情報開示者の承諾を得ない限り、研究開発従事者以外の第三者に対して開示し又は漏洩してはならない。また、開示を受けたプロジェクト参加者は、当該情報を本プロジェクトの実施以外の目的で使用してはならない。ただし、開示を受けたプロジェクト参加者が、当該情報が次のいずれかに該当することを立証できる場合についてはこの限りでない。
一 開示を受ける際、既に公知となっていたもの
二 開示を受ける際、自己が正当に保有していたもの
三 開示を受けた後、自己の責によらずに公知となったもの
四 開示を受けた後、正当な権利を有する第三者より秘密保持義務を負うことなく開示を受けたもの
五 開示を受けた情報によらずに、自己が独自に入手し、または創出したもの
2 プロジェクト参加者は、自己に属する研究開発従事者が、研究開発従事者でなくなった後も含め、本条及び次条に規定する義務と同様の義務を、当該研究開発従事者に遵守させなければならない。
3 前2項に定めるもののほか、本プロジェクトにおける秘密漏洩防止及び技術情報流出防止のために必要な措置については、知財運営委員会において決定するものとする。
(本プロジェクトで取得又は収集した研究開発データの第三者への開示の事前承認)
第5条 プロジェクト参加者は、知財運営委員会の承認を得ることなく、本プロジェ
クトの実施により得られた研究開発データのうち、自主管理データをプロジェクト
の参加者以外の第三者に対して開示又は漏洩してはならない。ただし、知財運営委
員会の承認が得られた研究開発データのうち、自主管理データについては、xxな
利活用を促進するよう努める。
2 委託者指定データであって、他者への提供が適していないと国が判断する研究開
発データについては、プロジェクト参加者以外への提供が制限されることがある。
(本プロジェクトの成果の第三者への開示の事前承認)
第6条 プロジェクト参加者は、知財運営委員会の承認を得ることなく、本プロジェクトの実施により得られた成果をプロジェクト参加者以外の第三者に対して開示し又は漏洩してはならない。
(発明等の成果の届出及び権利化等方針の決定手続)
第7条 プロジェクト参加者は、自己に属する研究開発従事者が、本プロジェクトの実施により発明等をなした場合には、直ちに知財運営委員会に対し、発明者等及び発明等の成果の内容を届け出なければならない。
2 知財運営委員会は、前項に基づく届出を受けた場合、別途定める知財運営委員会運営規則に基づき、当該発明等の成果について、出願により権利化し又は秘匿する必要があるか否か、出願により権利化する場合にあっては出願対象国、秘匿する場合にあっては秘匿期間等について審議し、決定する。
(出願による権利化)
第8条 プロジェクト参加者は、本プロジェクトの成果を出願により権利化するに当たっては、海外においても市場展開が見込まれるのであれば、その市場規模や他社との競合状況等を勘案して権利化が必要と判断される国においても権利化することを原則とする。
2 知財運営委員会は、プロジェクト参加者と協議の上、プロジェクト参加者が出願による権利化を行わないと判断した国において出願する権利を他のプロジェクト参加者に譲渡させることができる。
3 本プロジェクトの成果の出願等に要する費用は、原則として出願人が負担するものとする。
(本プロジェクトの実施により得られた知的財産権の帰属)
第9条 本プロジェクトの実施により得られた知的財産権(以下「フォアグラウンドIP」という。)は、発明者等が属するプロジェクト参加者の職務発明規程等に基づき当該参加者に承継させるものとする。
2 発明者等の所属するプロジェクト参加者が二以上に亘る場合にあっては、各プロジェクト参加者の持分は、当該プロジェクト参加者間で協議して決定するものとする。
(共有するフォアグラウンドIPの取扱い)
第10条 プロジェクト参加者は、他のプロジェクト参加者と共有するフォアグラウンドIPについて、自由かつ無償にて実施できるものとする。
(知的財産権の実施許諾)
第11条 プロジェクト参加者は、自己が保有する知的財産権(フォアグラウンドIP以外の知的財産権を含む。以下本条において同じ。)について、本プロジェクト期間中における他のプロジェクト参加者による本プロジェクト内での研究開発活動に対しては、当該知的財産権を行使しないものとし、本プロジェクトの円滑な遂行に協力するものとする。ただし、プロジェクト参加者間で有償により実施許諾すること等の別段の取決めがある場合はこの限りでない。
2 プロジェクト参加者(以下本項において「参加者A」という。)が、自己が保有するフォアグラウンドIPを実施して本プロジェクトの成果を事業化するために、他のプロジェクト参加者(以下本項において「参加者B」という。)が保有する知的財産権について実施許諾を求めた場合、参加者Bは、当該事業化をするために必要な範囲で、原則として、参加者Aに実施許諾を行うものとする。
ただし、参加者Bが保有する知的財産権を参加者Aに実施許諾することにより、参加者Bの既存又は将来の事業に影響を及ぼすこと(参加者Bの競争優位が損なわれることを含む。)が予想される場合には、参加者Bは、合理的な理由ありとして、実施許諾を拒否することができるものとする。
実施の範囲、実施料その他の事項について当事者間の協議が難航し、本プロジェクトの成果の事業化に支障を及ぼすおそれがある場合は、知財運営委員会において調整し、当事者間で合理的な解決を図るものとする。
3 前2項の規定は、プロジェクト参加者が、保有するノウハウを他のプロジェクト参加者に対して開示することを義務づけるものではない。
4 プロジェクト参加者が、保有するフォアグラウンドIPについて、他のプロジェクト参加者に実施許諾する場合、プロジェクト参加者以外の者に実施許諾する場合と同等又はそれよりも有利な条件で行うものとする。
(フォアグラウンドIPの移転先への義務の承継)
第12条 プロジェクト参加者は、フォアグラウンドIPの移転を行うときは、第7条から本条までの規定により課されている義務を負うよう当該知的財産権の移転先に約させなければならない。
(研究開発データの管理)
第13条 プロジェクト参加者は、委託者指定データ及び自主管理データについて、
データマネジメントプランを作成して委託者及び知財運営委員会に提出し、データマネジメントプランに従って研究開発データの管理を実施する。また、研究開発の進展等に従い、データマネジメントプランを適宜修正して委託者及び知財運営委員会に提出する。
2 研究開発データの利用許諾は、データマネジメントプランに従って行う。研究開
発データの範囲、利用許諾料その他の事項について当事者間の協議が難航し、本プ
ロジェクトの成果の事業化に支障を及ぼすおそれがある場合は、知財運営委員会に
おいて調整し、当事者間で合理的な解決を図るものとする。
(研究開発データの利用許諾)
第14条 プロジェクト参加者(以下、本項において「参加者A」という。)が、本プ
ロジェクト内での研究開発活動、又は、本プロジェクトの成果を事業化するための
活動に対して、他のプロジェクト参加者(以下、本項において「参加者B」という。)
が本プロジェクトの実施により取得又は収集した研究開発データ(本プロジェクト
内での研究開発活動のために、参加者Bが本プロジェクトの実施のために持ち込ん
だ研究開発データを含む。)について利用許諾を求めた場合、参加者Bは参加者A
に必要な範囲で、原則として利用許諾を行い、本プロジェクトの円滑な遂行に協力
するものとする。(プロジェクト参加者間で有償により利用許諾すること等の別段
の取決めがある場合はこの限りでない。)
ただし、参加者Bが当該研究開発データについて参加者Aに利用許諾することに
より、参加者Bに既存の又は将来の事業に影響を及ぼすこと(参加者Bの競争優位
が損なわれることを含む)が予想される場合には、参加者Bは、合理的な理由あり
として、利用許諾を拒否することができるものとする。
利用の範囲、実施料その他の事項について当事者間の協議が難航し、本プロジェ
クトの成果の事業化に支障を及ぼすおそれがある場合は、知財運営委員会において
調整し、当事者間で合理的な解決を図るものとする。
2 プロジェクト参加者は、プロジェクトの実施に必要な研究開発データをプロジェ
クト参加者以外から収集する場合、他のプロジェクト参加者も利用できる条件で収
集するように努める。
3 プロジェクト参加者が、本プロジェクトの実施により得た研究開発データについ
て、他のプロジェクト参加者に利用許諾する場合、プロジェクト参加者以外の者に
利用許諾する場合と同等又はそれよりも有利な条件で行うものとする。
(サブライセンスを可能とする研究開発データの利用許諾)
第15条 プロジェクト参加者は、本プロジェクトの実施により取得又は収集した研究開発データについて、○○(技術研究組合等)に対して、第三者に対するサブライセンスを可能とする条件で利用許諾するものとする。
(サブライセンスを可能とする研究開発データの利用許諾)
第16条 プロジェクト参加者は、本プロジェクトの実施により取得又は収集した研
究開発データについて、○○(技術研究組合等)が求めたときは、○○に対して第三者に対するサブライセンスを可能とする条件で利用許諾するものとする。ただし、○○は、研究開発データを取得又は収集したプロジェクト参加者による第三者への利用許諾を優先するとともに、○○が第三者に利用許諾するに当たっては、当該プロジェクトの参加者の事業活動に支障が生じないように配慮するものとする。
(本プロジェクトから脱退したプロジェクト参加者の取扱い)
第17条 プロジェクト参加者は、本プロジェクトから脱退した場合においても、本合意書により自己に課された義務を負うものとする。
(協議)
第18条 本合意書の解釈及びその他の事項につき疑義が生じたとき並びに本合意書にない事項について定める必要が生じたときは、知財運営委員会において審議し、決定するものとする。
(本合意書の改訂)
第19条 知財運営委員会は、全てのプロジェクト参加者による同意を得て本合意書の改訂を行うことができる。
2 知財運営委員会は、本合意書の改訂を行う場合は、事前に国に届け出るものとする。
(有効期間及び残存条項)
第20条 本合意書は、○年○月○日より発効し、本プロジェクトの終了後○年経過するまでは有効とする。
2 前項の規定にかかわらず、第4条の規定は、情報開示者が秘匿すべきとして明示した期間中は有効とし、第8条から第12条までの規定は、フォアグラウンドIPの権利存続期間中は、当該存続するフォアグラウンドIPについて有効とする。
本合意書が有効であることの証として本書○○通を作成し、本プロジェクトの当事者である参加者がそれぞれ記名の上1通を保有する。
令和○年○月○日
(住所)
(法人名)
(代表者氏名)
(住所)
(法人名)
(代表者氏名)
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