以上に加え、戦争やテロといった社会情勢による悪影響が生じることがあります。2022年2月には、ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻が発生し、紛争が長期化する ことで、エネルギー需給や食料供給につき世界的に悪影響が発生し、各国での資源・エネルギー・食料をはじめとする諸物価上昇の要因となっているほか、欧米を中心としたロ シア連邦への経済制裁には日本も参加しています。その他、台湾をめぐる国際緊張なども報道されています。これらの影響を注視する米国連邦準備制度理事会(FRB)や欧州...
以下において、本投資口への投資に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。また、本投資法人が投資法人債(以下「本投資法人債」といい、短期投資法人債を含むことがあります。)を発行する場合、これらの事項は、本投資法人債への投資に関してもリスク要因となる可能性があります。但し、以下は本投資法人への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
以下に記載のいずれかのリスクが現実化した場合、本投資口又は本投資法人債の市場価格が下落し、本投資口又は本投資法人債の投資家は、投資した金額の全部又は一部を回収できないおそれがある他、本投資法人の純資産額の低下、その他財務状況の悪化による分配金の額が低下する可能性があります。本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避できるとの保証や対応が十分であるとの保証はありません。
本投資口及び本投資法人債に投資を行う際は、以下のリスク要因及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上、各投資家自らの責任と判断において行う必要があります。
(1)リスク要因
本項に記載されている項目は、以下のとおりです。
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)換金性・流動性に関するリスク
(イ)市場価格変動に関するリスク
(ウ)金銭の分配に関するリスク
(エ)投資主の権利が株主の権利と同一でないことに関するリスク
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
(イ)投資法人の制度に関するリスク
(ウ)スポンサーとの連携に関するリスク
(エ)資産運用会社におけるインサイダー取引規制に関するリスク
③ 投資法人の運用資産:原資産である不動産特有のリスク
(ア)不動産の価格変動、流動性等に関するリスク
(イ)不動産から得られる賃料収入に関するリスク
(ウ)物件取得の競争に関するリスク
(エ)テナントの獲得競争に関するリスク
(オ)投資対象にホテルが含まれていることによるリスク
(カ)投資対象に商業施設が含まれていることによるリスク
(キ)投資対象にヘルスケア施設が含まれていることによるリスク
(ク)投資対象に物流施設が含まれていることによるリスク
(ケ)不動産の偏在に関するリスク
(コ)不動産の瑕疵及び契約不適合に関するリスク
(サ)土地の境界等に関するリスク
(シ)建物の事件・事故又は天災地変その他の環境の急変に関するリスク
(ス)建築基準法等の規制に関するリスク
(セ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
(ソ)埋立地に関するリスク
(タ)不動産の所有者責任に関するリスク
(チ)共有物件に関するリスク
(ツ)区分所有建物に関するリスク
(テ)借地権に関するリスク
(ト)底地物件に関するリスク
(ナ)売主の倒産等の影響に関するリスク
(ニ)専門家報告書等に関するリスク
(ヌ)マーケットレポートへの依存に関するリスク
(ネ)収入及び支出に関するリスク
(ノ)PM会社に関するリスク
(ハ)少数のテナントやシングル・テナントに関するリスク
(ヒ)特定の物件への依存度が高いことに係るリスク
(フ)敷金及び保証金に関するリスク
(ヘ)転貸に関するリスク
(ホ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
(マ)地球温暖化対策に関するリスク
(ミ)開発物件に関するリスク
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
(ア)信託受益者として負うリスク
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
(ウ)信託受託者に関するリスク
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
⑤ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
⑥ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
⑦ 税制等に関するリスク
(ア)導管性要件に関するリスク
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(エ)一般的な税制の変更に関するリスク
(オ)減損会計の適用に関するリスク
⑧ その他
(ア)資産を組み入れ又は譲渡することができないリスク
(イ)本投資法人の資金調達(金利環境)に関するリスク
(ウ)投資法人の合併に関するリスク
(エ)内部留保の活用に関するリスク
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)換金性・流動性に関するリスク
本投資口へ投資した後、換金又は投資回収を行う際、本投資口につき、取得時の価格より低廉な価格で譲渡することを余儀なくされ、又は希望した時期と条件では譲渡できない場合があります(注1)。また、本投資法人が本投資法人債を発行した場合、本投資法人債には確立された取引市場が存在せず、買主の存在も譲渡価格も保証されていません(注2)。
(注1)本投資口は、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型です。したがって、本投資
口の換金・投資回収には、上場している金融商品取引所を通じて又は取引所外にて第三者へ売却する等の必要があります。また、投資家の希望する時期や条件で取引できる保証も、常に買主が存在するとの保証もなく、譲渡価格を保証する第三者も存在しません。さらに、東京証券取引所が定める上場廃止基準に抵触する場合には本投資口の上場が廃止され、投資主は保有する本投資口を取引所外において相対で譲渡する他に換金の手段はありません。
(注2)投資法人債は一般に上場されないことから、流動性は低く、希望する時期や価格で売却することができません。
(イ)市場価格変動に関するリスク
近時、世界的な新型コロナウイルスの感染症の拡大により、業務の停滞や経済活動への悪影響が生じています。経済活動の停滞が継続することで中長期的に本投資法人の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、日本経済全体のみならず、世界の状況に鑑みても、市場の株価全体について見通しの不透明な状況が継続しています。今後の感染症の拡大や、その影響の長期化の懸念が広がる中、さらに市場全体が悪影響を受けるおそれもあります。
また、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等に従った措置・対応が必要となった場合や感染症等の流行が長期化した場合や役職員に感染者が発生した場合、本資産運用会社の役職員が出社できず、在宅勤務等のテレワークを行うことを余儀なくされることがあります。しかし、テレワーキングシステムに適さない業務も存在するため、従前どおりの業務効率を維持できる保証はありません。その結果、本資産運用会社の業務が滞り、本投資法人の資産の運用に悪影響が出る可能性があります。
以上に加え、戦争やテロといった社会情勢による悪影響が生じることがあります。2022年2月には、ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻が発生し、紛争が長期化することで、エネルギー需給や食料供給につき世界的に悪影響が発生し、各国での資源・エネルギー・食料をはじめとする諸物価上昇の要因となっているほか、欧米を中心としたロシア連邦への経済制裁には日本も参加しています。その他、台湾をめぐる国際緊張なども報道されています。これらの影響を注視する米国連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)による米国・欧州市場での利上げや為替相場における大幅な円安の進行などもあり、これらが我が国金融市場へ影響しつつあります。これらにより、我が国企業の経済活動が制約されるおそれがあるほか、それらが経済活動や国民生活に更なる悪影響を及ぼさないとの保証はありません。これらの影響から、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
以上のほか、本投資口及び本投資法人債は金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではなく、本投資口につき、当初の投資額の回収が保証されているものではありません。本投資口の市場価格は、様々な要因により変動し、例えば、金融情勢(注1)、不動産市況(注2)、本投資法人による新投資口の追加発行(注3)、その他市場を取り巻く様々な要因(注4)の影響を受けて変動することがあります。
(注1)本投資口の市場価格は、金利動向や為替xxxの金融環境の変化のほか、投資口の売買高及び需給バランス、不動
産投資信託証券以外の金融商品に対する投資との比較における優劣、不動産投資信託証券市場以外の金融商品市場の変動、市場環境や将来的な景気動向等の金融情勢による影響を受け、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあり、場合によっては大幅に変動することがあります。特に、本投資口が取引所において一時的に大量に売却される場合、本投資口の市場価格が大幅に下落する可能性があります。
(注2)本投資口の市場価格は、一般的な不動産の評価額の変動、不動産市場の趨勢、不動産の需給関係、不動産需要を左右することのある企業を取り巻く経済環境、法令・会計・税務の諸制度の変更等、不動産関連市場を取り巻く要因による影響を受け、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注3)本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が新投資口の発行又は新投資口予約権の無償割当てにより行われ、本投資口1口当たりの分配金の減少・純資産額が希薄化する場合には、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。また、期中において本投資口が追加発行される場合でも、その期の本投資口の保有期間にかかわらず、既存の本投資口と同額の金銭の分配がなされるため、既存の投資口への分配額に影響を与える可能性があり、かかる可能性により市場価格が下落するおそれがあります。
(注4)例えば、本投資法人又は本資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資口の市場価格が下落することがあります。さらに、他の投資法人又は他の資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、その悪影響が不動産投資信託証券市場に及ぶことを通じて、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(ウ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人による分配の有無、金額及びその支払いは、いかなる場合においても保証されるものではありません(注)。
(注)本投資法人はその分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、特に、想定している不動産等の
取得又は売却が行われない場合やその時期に変更が生じた場合のほか、資産から得られる賃料収入の低下、損失の発生、現金不足等が生じる場合があり、したがって、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。
(エ)投資主の権利が株主の権利と同一でないことに関するリスク
本投資法人の投資主は、法令上の一定の権利を有していますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは同一ではありません(注)。
(注)本投資法人の投資主は、投資主総会において議決権を行使し、規約の変更や役員の選任等の重要事項の意思決定に参
画できるほか、本投資法人に対して投信法で定められた権利の行使を行うことができます。しかし、株式会社における場合と異なり、投資法人においては、役員会の承認のみをもって金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等が確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認は必要とされていません。また、投資主総会は決算期ごとに招集されることも想定されていません。また、投資主総会が開催された場合にも、ある投資主がその総会に出席せず、かつ議決権を行使しないときは、一定の例外を除き、原則として、当該投資主は当該投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第14条第1項、第3項及び第4項)。さらに、本投資法人は、資産の運用に係る業務その他の業務を資産運用会社その他の第三者に委託しています。これらの要因により、投資主による資産の運用に係る業務その他の業務に対する統制が効果的に行えない可能性もあります。
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人制度固有のリスクが存在します。
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。 a.役員の職務遂行に関するリスク及びインサイダー取引規制に関するリスク
本投資法人の執行役員及び監督役員は、法令上、善管注意義務及びxx義務を負いますが、それらの義務が遵守されるとの保証はありません(注1)。本投資法人の執行役員及び監督役員が、法規制(注2)や内部管理態勢(注3)にもかかわらず、本投資法人や投資口に関する未公表の内部情報を知りつつ本投資口の取引を行う可能性があります。また、これらの者が、本投資法人に係る未公表の重要事実を第三者に伝達し又はその売買等を推奨する可能性があります。これらの場合には、投資家の信頼又は市場における信頼を損ね又は喪失する可能性があり、その結果、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注1)投信法上、投資法人の業務を執行し投資法人を代表する執行役員及び執行役員の職務の執行を監督する監督役員
は、投資法人に対して善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のためxxに職務を遂行する義務(以下「xx義務」といいます。)を負います。しかし、これらの義務が遵守されるとの保証はありません。執行役員は、本資産運用会社の代表取締役が兼職しています。
(注2)本投資口は、金融商品取引法で定める、いわゆるインサイダー取引規制の適用を受けます。
(注3)本投資法人は内部規程を設け、執行役員及び監督役員がかかる取引を行うことを制限しています。
b.投資法人の資金調達及び金利変動に関するリスク
本投資法人は、資金調達を目的として、新投資口を発行することがありますが、新投資口の発行価格はその時々の市場価格により左右されることから本投資法人が必要とする時期及び条件で新投資口を発行できるとの保証はありません。
また、新投資口の発行の方法によるほか、本投資法人は、投資方針に従い、継続的に借入れの実施及び投資法人債の発行を行う方針ですが、本投資法人が必要とする時期及び条件で借入れ及び投資法人債を発行できるとの保証はありません(注1)。
なお、本投資法人が借入れ及び投資法人債を発行するに当たっては限度額や借入先等に関する制限があり(注2)、また、その資金調達に際し財務制限条項等の制約を受けることがあるため(注3、4)、その結果、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
さらには、資金調達に際して受ける制約のため、本投資法人が希望した価格や時期その他の条件で保有資産の処分や建替等ができないおそれもあります(注5)。
加えて、本投資法人が、借入金につき期限前返済を行う場合、その時点における金利情勢により、期限前返済コスト(違約金等)が発生する等、予測しがたい経済状況の変化により本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。本投資法人は、財務指標のうちLTVの上限を60%としていますが、新たな運用資産の取得等に伴い、一時的にLTVはその上限を超えることがあります。LTVの値が高まれば高まるほど、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受け易くなり、その結果投資主への分配金額が減少するおそれがあります。
また、本投資法人は、金利変動の影響を軽減するため、変動金利と固定金利のスワップ取引及び長期借入れや返済期限の分散化等の取組みを行っています。しかし、これらの取組みによっても金利変動の影響を軽減できない場合があり、その場合には、本投資法人の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注1)借入れ及び投資法人債の発行は、政府や日本銀行における資金・通貨の供給政策、経済環境、市場動向、金利実
勢、本投資法人の収益及び財務状況のほか、借入先や投資家の自己資本規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因に従って決定されるため、本投資法人が必要とする時期及び条件で行うことができるとの保証はありません。また、借入れについて返済期限が到来した場合に、同一の借入先からほぼ同一の条件で新規の借入れを行う借換えについても、かかる借換えができないことや、金利、担保提供、財務制限条項等の点でより不利な条件での借入れを余儀なくされることがあります。借入れ、投資法人債の発行又は新投資口の発行の方法によるほか、新投資口予約権の無償割当てによる、いわゆるライツ・オファリングでの資金調達方法もありえますが、ライツ・オファリングでの資金調達が本投資法人において適切な資金調達手法であるとの保証はありません。
(注2)本投資法人は資金調達を目的として、借入れ及び投資法人債を発行することがあり、規約上、借入金と投資法人債を合わせた限度額は1兆円と定められています。また、借入れに当たり、税法上の配当等の額の損金算入要件(以下「導管性要件」といいます。)(導管性要件の詳細については、後記「⑦ 税制等に関するリスク/(ア)導管性要件に関するリスク」をご参照ください。)を満たすためには、本投資法人は、その借入先を機関投資家(但し、租税特別措置法第67条の15に規定する機関投資家に限ります。)に限定することが要請されるため、規約上、借入先は適格機関投資家(但し、租税特別措置法第67条の15に規定する機関投資家に限ります。)に限るものと定められていて、借入先は事実上、制限されています。
(注3)借入れ又は投資法人債の発行を行う際には様々な条件、例えば財務制限、第三者に対する担保提供の制限、担保提供義務、現金等の留保義務その他本投資法人の業務に関する約束や制限等が要請されます。このような約束や制限等の結果、本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があり、それにより本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注4)本投資法人は、本書の日付現在、金融機関との間でローン契約を締結しています。かかる契約において当初の借入時における担保及び保証の提供は想定されていませんが、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の一定の数値を維持すること等の財務制限条項や一定の場合の担保提供義務等が規定されています。
(注5)本投資法人の保有資産の全部又は一部が資金の借入先に対して担保に供された場合、担保対象となる保有資産の処分及び建替等は、制限を受けることとなります。その結果、本投資法人が希望した時期及び条件で保有資産の処分や建替等ができないおそれがあります。
c.投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
本投資法人は倒産手続の対象となり(注1)、また投信法上の登録を取り消されることがあり(注
2)、これらの場合、本投資口の上場が廃止されます。また、本投資法人が解散し、清算手続に入る場合、投資主は、全ての債権者への償還の後でなければ、その投資額を回収できません。したがって、清算手続において、投資主は投資額の全部又は一部につき償還を受けられないことがあります。また、本投資法人債の債権者は清算手続に従って投資額を回収することになるため、債権全額の償還を受けられる保証はありません。
(注1)投資法人は一般の法人と同様に、債務超過に至る可能性があり、本投資法人は、現行法上、破産法(平成16年法律
第75号、その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号、その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続の適用を受けて倒産手続に入ることがあります。
(注2)本投資法人は、投信法に基づき投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。
(イ)投資法人の制度に関するリスク
投資法人の制度上の主なリスクは、以下のとおりです。
a.業務委託に関するリスク
本投資法人の業務を受託する者において、必要な業務が適正に遂行できない事態が生じた場合には、本投資法人の業務に支障が生じ、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります
(注)。
(注)投資法人は、資産の運用以外の営業行為を行うことができず、資産の運用、資産の保管及び一般事務の第三者への委託が義務付けられていて、また、使用人を雇用することはできません。そこで、本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。したがって、本投資法人の業務執行全般は、これらの業務受託者(以下、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者を併せて、「業務受託者」と総称します。)の能力や信用性に依存することになります。資産運用会社となるためには金融商品取引法上、投資運用業の登録を行う必要があり、資産保管会社は信託業を兼営する銀行等一定の要件を満たすものに資格が限定されていて、一般事務受託者については、本投資法人の設立時及び設立後に新たに行う一般事務受託者との契約締結時に、不適当なものでないことの調査が執行役員及び監督役員により行われています。しかし、それぞれの業務受託者において、今後、業務遂行に必要とされる人的・財産的基盤が損なわれた場合や、これらの業務受託者が金融商品取引法及び投信法により本投資法人に対して負う善管注意義務やxx義務に反する行為を行った場合には、本投資法人に対し、適時適切な業務の提供ができないこととなり、その結果、投資法人の業務に悪影響を及ぼす可能性があります。また、業務受託者が、倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合には、倒産に至った業務受託者に対して本投資法人が有する債権の回収に困難が生じるだけでなく、本投資法人の日常の業務遂行に影響を及ぼすことになります。さらには、業務受託者との委託契約が解約又は解除された場合において、本投資法人の必要とする時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し業務を委託できないときには、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があるほか、本投資口が上場廃止になる可能性があります。
b.資産の運用に関するリスク
投資法人は、投信法上、資産運用会社にその資産の運用に関する業務を委託しなければならないとされていて、本投資法人は、その資産の運用成果につき、その資産の運用を委託する本資産運用会社の業務遂行能力に依存することになります。本資産運用会社についての主なリスクは、以下のとおりです。
ⅰ.資産運用会社の運用能力に関するリスク
本資産運用会社は、本投資法人の資産の運用に当たり、投信法、金融商品取引法及び東京証券取引所が定める上場規則の適用を受けることとなるほか、法令xx管注意義務及びxx義務を負った資産の運用を行いますが、これらをもって、運用成果に対して何らの保証を行うものではなく、またその運用能力を保証するものでもありません(注1、2)。
(注1)本資産運用会社が、資産の運用を行うためには投資運用業の登録を行う必要があり、金融商品取引法及び投信
法に定める監督を受けます。
(注2)本資産運用会社は、本投資法人以外にも不動産私募ファンドからアセットマネジメント業務を受託することがあります。不動産私募ファンドの投資対象が本投資法人の投資対象と競合することがあります。もっとも、本資産運用会社は、利益相反防止体制を構築し、一定の例外的取扱いを除き、原則として本投資法人が優先的に物件情報を検討できることとされています。また、かかる一定の例外的取扱いについては、スポンサーとの関係では、あくまでスポンサーサポート契約に定められているスポンサーによる物件売却情報提供サポートの例外に該当する場合に限って行われるものであり、スポンサーによるスポンサーサポート契約に基づく本投資法人のための物件の売却情報提供のサポートは、今後も変わりなく行われます。
ⅱ.資産運用会社の行為に関するリスク
本資産運用会社の親会社であるスポンサー及びそのグループ会社(以下「スポンサー等」といいます。)を含む利害関係人等と本投資法人との間で取引を行うに際して、本資産運用会社が、金融商品取引業者及び資産運用会社としての行為準則に違反したり、適正な法的措置を行わない場合には、本投資法人に損害が発生する可能性があります(注1、2)。本資産運用会社は、利害関係人等との取引により投資主又は投資法人債権者の利益を害されることがないよう適切と考えられる体制を整備し
ています。しかし、これらの体制が有効に機能しない場合には、投資主又は投資法人債権者の利益に反する取引が行われ、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。なお、かかる利益相反リスクに対する方策については後記「(2)リスクに対する管理体制」をご参照ください。また、本資産運用会社自身も自ら投資活動を行うことは法令上禁止されておらず、本資産運用会社 が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引を行わないとの保証
はありません(注3)。
(注1)本資産運用会社の主要な役職員の多くは、スポンサーからの出向者です。
(注2)資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務及びxx義務を負い、さらに資産運用会社の行為により投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、金融商品取引法及び投信法において業務遂行に関して行為準則が詳細に規定されています。
(注3)執行役員は、本資産運用会社の代表取締役が兼職しています。
ⅲ.資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更に関するリスク
本資産運用会社は、本投資法人の規約に基づいて投資運用業を遂行しますが、本資産運用会社において定めた投資方針・社内体制等の変更により、本投資法人の資産運用の内容が変更され、その結果、当初予定されていた収益を上げられない可能性があります(注)。
加えて、本投資口について支配権獲得その他を意図した取得が行われた場合にも、投資主総会での決議等の結果として本投資法人の運用方針、運用形態等が他の投資主の想定しなかった方針、形態等に変更される可能性があります。
(注)本資産運用会社は、本投資法人の規約に基づいて投資運用業を遂行するため、本資産運用会社の社内規程である
運用ガイドラインにおいて、本投資法人の投資対象となる不動産等の取得・運用資産の運営管理・売却の方針及び財務上の方針等の投資方針に係る事項等を定めていますが、その内容は本投資法人の規約に反しない限度で投資主総会の承認を得ることなく、適宜、見直し、変更されることがあります。そのため、投資主の意思が反映されないまま変更される可能性があります。また、本資産運用会社は、運用ガイドラインに従いその業務を適切に遂行するため、一定の社内体制を敷いていますが、かかる社内体制について効率性・機能性その他の観点から今後も随時その見直しがなされる場合があります。
(ウ)スポンサーとの連携に関するリスク
スポンサーは、本投資法人との間で各種の密接な関係を有しています(注)。したがって、本投資法人が、スポンサーとの間で本書の日付現在と同一の関係を維持できなくなった場合又はサービス、助言等の提供を受けられなくなった場合には、本投資法人に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、スポンサーの業績が悪化した場合や、スポンサーの市場での信頼や評価(レピュテーション)が風評等により損なわれた場合等にも、本投資法人に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、スポンサーグループは、不動産の賃貸事業及び収益不動産への投資事業等を行う事業会社で構成されるグループであるため、本投資法人と重複する事業を営んでいて、将来競合する可能性もあります。
スポンサーはスポンサーサポート契約に基づき、スポンサー等が保有する本投資法人の投資方針等に合致する不動産等を売却しようとする場合、一定の場合を除き、遅くとも本資産運用会社以外の第三者に対して当該不動産に係る売却情報を提供する前に本資産運用会社に対して、その売却情報を提供するものとされていますが、本投資法人への売却を義務づけるものではありません。
また、スポンサーは、第三者が保有する本投資法人の投資方針等に合致する不動産等に係る売却・仲介情報を得た場合、一定の場合を除き、スポンサーが負う義務に反しない限りにおいて、本資産運用会社に対して当該情報を提供するものとされていますが、常に本資産運用会社がかかる情報の提供を受ける機会が保証されているものではありません。
上記に加え、スポンサーサポート契約の有効期間は、スポンサーサポート契約の締結日である2018年12月14日から5年とされ、更新拒絶の通知がない限り自動更新されることとされていますが、契約の更新がなされない、又は、本資産運用会社の交代、スポンサーによる本資産運用会社の持株比率が50%以下になったこと若しくは本投資法人の支配権をスポンサー等以外の特定の第三者が取得したこと等により契約が終了した場合、スポンサーからの情報の提供が受けられなくなるおそれがあります。
(注)具体的には、スポンサーは本投資法人の投資主であり、本資産運用会社の株主であり、テナントリーシング及びプロ
パティマネジメント業務の受託者であり、不動産等の売却情報の提供等をはじめとする各種支援の本資産運用会社への提供者であり、本資産運用会社の主要な役職員の出向元であるほか、本投資法人は、「サンケイビル」ブランドの商標使用許諾をスポンサーから受ける等、本投資法人は、スポンサーと強く連携し、多くのサポートを受けています。本投資法人とスポンサーとの間の商標使用許諾契約の詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第
3 管理及び運営/2 利害関係人との取引制限/(5)利害関係人等との取引状況等/⑥ 商標使用許諾契約」をご参照ください。
(エ)資産運用会社におけるインサイダー取引規制に関するリスク
本資産運用会社の役職員その他の内部者が、法規制(注1)や内部管理態勢(注2)にもかかわらず、本投資法人や投資口に関する未公表の内部情報を知りつつ本投資口の取引を行う可能性があります。また、これらの者が、本投資法人に係る未公表の重要事実を第三者に伝達し又はその売買等を推奨する可能
性があります。これらの場合には、投資家の信頼又は市場における信頼を損ね又は喪失する可能性があり、その結果、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注1)本投資口は、金融商品取引法で定める、いわゆるインサイダー取引規制の適用を受けています。
(注2)本資産運用会社は内部規程を設け、その役職員がかかる取引を行うことを制限しています。
③ 投資法人の運用資産:原資産である不動産特有のリスク
本投資法人は、主として不動産等を投資対象とする投資法人であり、そのため、以下のリスクがあります。
(ア)不動産の価格変動、流動性等に関するリスク
本投資法人がその運用の対象とする不動産は、一般に、価格変動にさらされているほか(注1)、相対的に他の資産に比較し流動性は低いため(注2)、本投資法人は、常にその投資方針に従った運用ができるとの保証や収益を上げられるとの保証はありません。
(注1)不動産も、それ以外の資産と同様、経済状況の変動等によりその市場価格は変動します。特に、需要の変動や競争
激化等市場環境の動向や、投資採算の観点から、希望した価格や時期その他の条件での物件取得ができず、又は物件取得資金を調達できない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考えるポートフォリオの組成や、物件の取得による外部成長を達成できない可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望した価格や時期その他の条件で売却できない可能性があります。
(注2)不動産は、流通市場の発達した有価証券と比較すると、相対的に流動性が低いという性格を有しています。また、売買時に相当の時間と費用をかけてその物理的状況や権利関係等を詳細に調査(デューディリジェンス)したにもかかわらず、本投資法人の取得後、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な欠陥や瑕疵等が発見された場合には、流動性がさらに低下したり、売買価格が下落したりする可能性があります。
(イ)不動産から得られる賃料収入に関するリスク
本投資法人の主な収益は、本投資法人が直接(又は信託を通じて間接的に)保有する不動産等の賃料収入に依存しています。不動産等の賃料収入は、以下a.乃至e.を含む様々なリスクにより影響を受けることがあります。
a.不動産等の稼働・解約等に関するリスク(注1) b.不動産等の賃借人の信用力及び賃料不払いに関するリスク(注2) c.賃借人による賃料減額のリスク(注3) d.テナント集中に関するリスク(注4) e.変動賃料に関するリスク(注5)
(注1)不動産等の稼働・解約等に関するリスクとして、賃借人が一定期間前の通知により契約を解約できる賃貸借契約上
の解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約が終了する場合があります。我が国におけるオフィスビル及び賃貸用住居の賃貸借契約では、契約期間を2年とし、その後別段の意思表示がない限り自動的に更新されるとするものが多く見られます。しかし、賃貸借契約の期間が終了しても別段の意思表示がない限り自動的に更新されることが定められている場合でも、賃貸借契約期間が満了する際、常に賃貸借契約が更新されるとの保証はありません。これらの場合、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少することがあります。
また、解約禁止条項、解約ペナルティ条項等を置いて期間中の解約権を制限している場合や更新料を定めている場合でも、裁判所によって所定の金額から減額されたり、かかる条項の効力が否定される可能性があります。その他、契約上、賃料の増額改定の規定が設けられている場合でも、契約どおりの増額改定がなされる保証もありません。
以上のような事由により、賃料収入等が減少した場合、本投資法人の収益等が悪影響を受ける結果、投資主に損害を与える可能性があります。
(注2)不動産等の賃借人の信用力及び賃料不払いに関するリスクとして、賃借人の財務状況が悪化した場合や賃借人について倒産手続が開始された場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があるほか、この延滞賃料、原状回復費用その他の損害金等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況となる可能性があります。特に、賃料収入のうち一の賃借人からの賃料収入の割合が高い場合、賃料収入に与える影響が大きくなります。
(注3)賃借人による賃料減額のリスクとして、賃貸人は、不動産等の賃借人が支払うべき賃料につき、賃料相場の下落その他の様々な事情により賃料減額に応じることを余儀なくされることがあります。したがって、一定時点の賃料が将来も維持される保証はありません。また、建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約で賃料減額請求権を排除する特約がある場合を除いては借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。以下「借地借家法」といいます。)第32条により賃料減額請求を行うことができます。当事者間で協議が整わない場合には、賃貸人は減額を相当とする裁判が確定するまでテナントに対して賃貸人が相当と考える賃料の支払を請求することができますが、その間に賃貸人が実際に支払を受けた賃料の額が後に裁判で認められた額を超える場合には、当該超過額に年1割の利息を付して賃借人に返還しなければなりません。
これに対し、一定の要件を充たす場合には、いわゆる定期建物賃貸借として、借地借家法第32条の賃料増減額請求権を排斥する当事者間の合意は有効とされます。この場合には賃料の減額請求がなされないため、通常の賃貸借契約に比較して契約期間中の賃料収入の安定が期待できます。しかし、借室の供給が多く、賃料の上昇が多く望めないような状況では賃借人がこのような条件に合意する見返りとして賃料を低く設定することを求める傾向があるほか、逆に一般的に賃料水準が上昇したときにも賃貸人は賃料の増額を求められません。
(注4)テナント集中に関するリスクとして、本投資法人の保有する不動産等のうち一又は複数が少数のテナントに賃借され、その結果、当該テナントの資力、退去、利用状況等により、当該不動産等の収益が大きく影響を受けるおそれがあります。特に、かかるテナントが賃料の減額を要求する場合はもちろん、退去する場合には、一度に多額の資金の返還を余儀なくされ、かつ、大きな面積の空室が生じるため、一時的に当該不動産等の収益が急激に悪化することがあります。
また、広い面積を一度に賃借するテナントを誘致するには時間がかかることがあり、場合によっては賃貸条件を緩和することを求められ、その誘致期間と条件次第では、本投資法人の収益等が悪影響を受けるおそれがあります。
本投資法人の保有資産には、単一のテナントに対し一棟全体を賃貸しているものが含まれていますが、既存テナントが退去した場合、その立地及び構造から代替テナントとなりうる者が少ないために、空室期間が長期化することや、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
(注5)変動賃料に関するリスクとして、賃貸借契約において、固定賃料以外に、不動産等のテナントの収益等に応じた変動賃料の支払を伴う場合には、不動産等のテナントの収益等の減少が賃料総額の減少につながり、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
また、変動賃料の支払を伴う賃貸借契約において、変動賃料の計算の基礎となる売上等の数値について、賃貸人がその正確性について十分な検証を行えない場合があり得る上、テナントが売上等をより低位に計上し、変動賃料の金額を恣意的に引き下げようとする可能性も否定できません。その結果、本来支払われるべき金額全額の変動賃料の支払がなされず、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
商業施設、ホテル等において、テナントの売上又はホテルにおけるGOP(※)等の利益に応じた変動賃料の支払いを受ける場合には、テナント又はホテルの売上若しくは利益の減少が賃料総額の減少につながり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、テナント、ホテルオペレーター等の賃借人が売上を過小に計上し、又は営業費用を過大に見積もる等によりGOP等の利益を低位に計上することにより、変動賃料の金額を恣意的に引き下げようとする可能性は否定できません。また、変動賃料の支払いを受ける際に、変動賃料計算の基礎となる売上高又は利益の数値について、賃貸人である本投資法人又は信託受託者がその正確性について十分な検証を行うことができない場合があり得ます。その結果、本来支払われるべき変動賃料の支払いがなされず、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(※)「GOP(Gross Operating Profit)」とは、ホテル事業における部門別利益(宿泊・料飲及びその他)から非配賦部門の費用(部門ごとの営業費用に含めることのできない管理部門、営業部門等の人件費や水道光熱費等)を控除したホテル運営に係る売上高営業粗利益を指します。
(ウ)物件取得の競争に関するリスク
物件取得の競争が激化し、物件取得がそもそもできず又は投資採算の観点から希望した価格での物件取得ができない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを実現できない可能性(注)、その他投資方針に従った運用ができず、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(注)本投資法人は、その規約において、継続的な投資を通じて、中長期にわたる安定した収益の確保と運用資産の着実な
成長を目指して運用を行うことをその投資の基本方針としています。しかしながら、不動産投資信託その他のファンド、大小の投資家等による不動産投資は今後活発化する可能性があり、その場合、物件取得の競争が激化することがあります。
(エ)テナントの獲得競争に関するリスク
テナントの獲得競争により賃料引下げや稼働率の低下を余儀なくされ、本投資法人の収益が悪化する場合があります(注)。
(注)通常、投資対象不動産は、他の不動産とのテナント獲得競争にさらされているため、競合する不動産の新築、リニュ
ーアル等の競争条件の変化や、競合不動産の募集賃料水準の引下げ等により賃料引下げや稼働率の低下をもたらします。特に、立地条件や建物仕様等の点で本投資法人の投資対象不動産に優る競合不動産がある場合、その傾向は顕著になるものと予想されます。
(オ)投資対象にホテルが含まれていることによるリスク a.ホテルの賃借人等が行うホテル営業に関するリスク
一般的にホテルの賃貸借契約の賃貸借期間は比較的短期なものから10年以上の長期のものまであり、また、賃料も固定のものからオペレーターの売上に連動するものまで様々な内容のものがあり、それら契約条件如何に加え、季節的要因、経済的要因、制度的要因、社会的要因等により、ホテルを用途とする不動産に係る賃料収入及び運用資産たるホテルそのものの価値は影響を受けることがあります。賃料収入は、ホテルの営業収益に依拠することとなり、賃貸料の支払の安定性、特に変動賃料を採用している場合については、運用資産からのホテルの営業収益に大きく左右されることとなります(注1、2、3、4)。
本投資法人が保有する日本国内のホテルは、ビジネス利用や国内旅行客の宿泊需要が大半であるものの、訪日外国人旅行客の宿泊需要も取り込んで運用されているため、ビジネス顧客や国内旅行客の動向だけでなく、諸外国の社会情勢、経済状況、旅行客の嗜好の変化、伝染病等の流行や為替xxxに影響を受ける可能性があります。足元では、新型コロナウイルスの感染症及びこれに伴う経済活動への影響を引き続き受けていますが、本書の日付現在において、その影響の程度や期間について予測することは困難な状況にあります。
(注1)ホテル事業は、主として宿泊売上に依存していて、不定期顧客との随意かつ一時契約による営業がその大部分を占
めます。そのため、ホテルの収益を正確に予測することは容易でなく、大きく変動する可能性もあります。特に、ホテルの収益に関しては、上記の要因等により、過去における収益状況と将来の収益状況が異なる可能性が比較的高いといえます。さらに、本投資法人の収益及び運用不動産の価値等は、以下のようなホテル事業固有の要因により、大きく悪影響を受ける可能性があります。
まず、一般的にホテル事業は労働集約的・資本集約的な事業であることから、固定費負担が重く損益分岐点が高いため、売上上昇時の収益性の向上が見込みやすい反面、売上減の場合の利益が落ち込むリスクが比較的高いといえます。また、海外旅行を含む、観光地間の競争や、同地域内におけるホテル間の競争は激しく、新規に開業するホテルとの競争を含め、ホテル業界は競争による影響を強く受けます。その他、ホテル業界は、全世界、各国、各地域の経済、景気、市場動向といった一般景気変動の影響を強く受けるほか、ビジネス顧客の動向、立地周辺の観光施設やイベントの状況等にも左右される観光客の動向の影響を強く受けます。また、消費者の消費性向を含むライ
フスタイルの変化や、消費者の嗜好性の変化による影響を受ける可能性があります。さらに、運用資産であるホテルが国際観光ホテル整備法(昭和24年法律第279号、その後の改正を含みます。)に定める登録を受けている場合、当該ホテルの所有者は税制上の優遇措置を受けることがありますが、その登録が取消し又は抹消された場合には、当該優遇措置を受けることができず、本投資法人の収益等が悪影響を受けることがあります。
戦争やテロ等の不安定な社会情勢を含むカントリーリスク、地震や風水害等不測の自然災害、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)、2019年末に中国で確認され、日本を含む世界的に流行が拡大している新型コロナウイルス等の伝染病・疫病の国内外における流行及びこれに伴う各国の移動・渡航制限等の政策措置のほか、航空会社、空港施設、鉄道会社等のストライキといった交通機関のトラブルや、交通運賃の上昇、天候不順等の外的要因により、ホテル業界は長期間にわたり悪影響を受ける可能性があります。
(注2)ホテルでは、周辺のイベント(カンファレンス等)の有無や夏期・冬期休暇シーズン等、季節により収益が変動します。観光地に位置するホテルの収益は、一般的に夏休みや年末年始といった観光、休暇シーズンに大きくなります。このような季節的要因により、本投資法人の収益等営業期間ごとの収益に大幅な変動が生じる可能性があります。
(注3)ホテルでは、固定資産に区分される建物、付属設備等だけでなく、FF&Eと呼ばれる家具、什器、備品、装飾品及び厨房機器等の償却資産についても、その定期的な更新投資がホテルの競争力維持のために不可欠となります。また、ホテルにはグレードとイメージがあり、これらを維持するために相応の資本的支出が求められる場合があります。施設及び設備の運営維持費、並びにその更新投資の負担がホテルの売上等に比べ過大な場合、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があり、また、施設及び設備の更新投資がホテルの売上若しくは収益の増加につながらず、期待どおりの効果が得られない場合があります。また、ホテルの賃借人及びホテル運営支援会社が運営維持費や更新投資を負担する場合であっても、当該ホテルの賃借人及びホテル運営支援会社がグレード等維持のために必要な施設維持運営費を負担しない場合、ホテルの価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注4)近隣に大きい集客能力を有する施設が存在するホテルの場合、ホテルの集客力も当該施設の集客力に大きく依存している場合が多く、当該施設の移転、閉鎖や営業停止あるいは集客力の低下によりホテルの営業収入が減少し、その結果変動賃料部分が減少し、又は物件価値が減少する可能性があり、本投資法人に影響を与える可能性があります。
b.テナントの集中に関するリスク
ホテルは、既存テナントが退去した場合、代替テナントとなりうる者が少ないために、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下することや代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります(注)。
(注)ホテルは、装置産業としての性格が強く、運営に当たり高度な知識も要求されることから、既存テナントが退去した
場合、代替テナントとなりうる者が少ないという特性があります。また、ホテルは、1棟全体として1つの賃借人に賃貸することが一般的です。このようなシングル・テナントの場合、賃貸借期間が長く賃貸借解約禁止期間が設定されている場合もありますので、退去する可能性は比較的低いものの、万一退去した場合、賃貸スペースの広さと個別のホテルの賃借人向けの特別仕様の物件が多いことや、代替となるホテルの賃借人となりうる者が限定されていることから、代替となるホテルの賃借人が入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります。
c.フランチャイズやブランドライセンシング契約に関するリスク
ホテル事業に関するフランチャイズ契約やブランドライセンシング契約を締結される場合、これらの契約が終了又は解除される事態が生じたことにより、ホテルの収益が悪影響を受けることがあります
(注)。また、使用しているブランドのイメージが一般的に低下するようなことが起こった場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注)ホテルの賃借人はホテル事業に関するフランチャイズ契約やブランドライセンシング契約を締結することがあります
が、これらの契約においては、一定のオペレーティングスタンダードや他の基準・条件の遵守が要求されることが一般的であり、これらの基準・条件が満たされない場合には、当該契約を解除され、ホテルの収益が悪影響を受ける可能性があります。また、何らかの理由により、こういった契約が終了し、ブランド名の使用が不可能となった場合、当該ホテルのブランド価値が低下することにより、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
d.ホテルの賃借人等による不動産の利用・管理状況に関するリスク
ホテルの賃借人等による建物の使用方法により、建物の状況が建築基準法・消防法その他の法令や条例等に違反する状態となることで、業績に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。さらに、転借人や賃借権の譲受人の属性によっては、運用資産である不動産のホテルの賃借人等の属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。
(注)建物そのものが法令や条例等の基準を満たす場合であっても、ホテルの賃借人等による建物への変更工事、内装の変
更、賃借人等による設備(看板等)の設置、その他のホテルの賃借人等による建物の使用方法により、建物の状況が建築基準法・消防法その他の法令や条例等に違反する状態となる可能性があります。この場合、マスコミ等により、当該建物がかかる状態にあることが公表され、風評リスクにさらされる可能性もあります。本投資法人は、かかる事態が生じないようホテルの賃借人等に要請、指示等をしていく所存ですが、ホテルの賃借人等が所有する資産が関連する場合、本投資法人は当該資産についての管理処分権限を持たないため、上記要請、指示等が必ず遵守されるとの保証はありません。また、本投資法人が建物の所有者であるが故に違反を是正するための費用や事故により発生した損害の負担を余儀なくされる可能性も否定できません。
(カ)投資対象に商業施設が含まれていることによるリスク
商業施設の場合、既存テナントの退出後新規テナントの入居までの間やフロア、店舗位置の入替えの間に、相当期間の改装期間が必要となる場合があり、また、代替テナントが確保できない等により、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります(注)。
また、その立地条件により、テナントの業態を大きく変更することは困難であることが多く、投資対象不動産のテナントの業態が、総合スーパーマーケット、百貨店等の特定の業態に偏った場合には、当該業態が、消費性向の変化に伴い小売業としての競争力を失うことにより、本投資法人の収益に著しい悪影響を及ぼす可能性があります。
(注)商業施設は、賃貸期間が長期にわたることが多く賃料の安定性が比較的高い反面、テナントが独自の仕様に内装、設
備等を整えたうえで利用することが多いため、既存テナントの退出後新規テナントの入居までの間やフロア、店舗位置の入替えの間に、相当期間の改装期間が必要となる場合があり、かかる改装期間中においては、次期入居予定のテナントや対象テナントから賃料を得られない場合もあるため、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。さらに、商業施設において核となる大規模テナントは、賃貸借期間が長く賃貸借解約禁止期間が設定されている場合もあり、退去する可能性は比較的低いものの、万一退去した場合、代替テナントとなりうる者が少ないために、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化し、不動産の稼働率が大きく低下したり、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
(キ)投資対象にヘルスケア施設が含まれていることによるリスク a.オペレーターに関するリスク
ヘルスケア施設は、本投資法人の投資適格となりうるテナント候補は、一定の範囲に限られ、投資判断後においてオペレーターが交替することを余儀なくされる場合にも、代替オペレーター候補は限定されることとなります(注1)。また、ヘルスケア施設の場合、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります(注2)。その結果、稼働率が大きく低下すること、あるいは代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなること等賃貸借契約の条件が不利となることがあり、本投資法人の収益及び当該物件の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注1)一般的にヘルスケア施設は、テナントがオペレーターとして一定のサービスを提供することが想定されます。これ
らオペレーショナル・アセットについては、かかる観点より、各種の業法規制や、事業遂行のノウハウ、さらにはオペレーターとしての事業継続性の観点からの財務体質等といった各種の見地で本投資法人はその投資判断を行うこととなり、その結果、本投資法人の投資適格となりうるテナント候補は、一定の範囲に限られますし、投資判断後においてオペレーターが交替することを余儀なくされる場合にも、代替オペレーター候補は限定されることとなります。したがって、テナントによる運営管理が適切に行われなかった場合又はテナントに一定の交代事由が生じた場合であっても、機動的にテナント交代ができず、結果的に、当該物件及び本投資法人のレピュテーションを損ない、ひいては、本投資法人の収益及び市場価格に悪影響を及ぼすおそれがあります。
また、本投資法人は、本書の日付現在、ヘルスケア施設のオペレーショナル・アセットの取得を具体的に決定していませんが、今後、その投資判断を行うに当たり、バックアップオペレーターを選任するかを決定する際、バックアップオペレーターの財務基盤、実績、業容、社内態勢等を検討し、その結果、バックアップオペレーターを選任するとの保証はありません。しかしながら、バックアップオペレーターを選任しなかった結果、後に当該オペレーターの業務運営に支障が生じた場合に、機動的にテナント交代ができず、そのため、本投資法人の収益等は、悪影響を受ける可能性があります。
(注2)ヘルスケア施設は原則としてテナントと長期の賃貸借契約の締結が想定されるため、退去する可能性は比較的低いと考えられますが、万一退去した場合には、賃貸面積のxxx、テナント向けの個別仕様の物件が多いこと及び代替テナントとなりうる者が限定されていることから、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります。
b.物件の汎用性に関するリスク等
ヘルスケア施設は、建物の構造、間取り、付帯施設、立地、建築基準法による用途制限等の点で、テナント又はオペレーターのニーズに応じて、その業務特性を反映した建物の構造や設備を有することが一般的です。そのため、将来xxxxやオペレーターが退去した際には、その建物を、オフィスや住居等の用途に容易に転用が可能でないことが一般的です。その際、ヘルスケア施設の用途の変更には、多額の費用が掛かり又は転用自体が困難な場合があり、また、用途が限定されているため購入先が限られて想定した価格で売却できない可能性があります。その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
c.制度改正に関するリスク
ヘルスケア施設については、オペレーターの事業の運営に関連した固有の法令等の規制が存在し、法令、ガイドラインの改正や介護保険等の制度改正等がオペレーターの運営や競争環境に影響を及ぼし、本投資法人が保有する施設の収益に影響を及ぼし、ひいては当該施設の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ク)投資対象に物流施設が含まれていることによるリスク
物流施設については、需要と供給のバランスによる影響を受けるほか(注1)、物流施設特有のリスクを抱えていて(注2)、これらによって本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注1)電子商取引市場の拡大等を背景とした消費物流の需要を高めていると考えられる要因に変動が生じることや、物流
施設の供給が想定以上に増加し競合状況に変化が生じること等により、物流施設について需要状況が変化する可能性があります。
(注2)周辺環境や主要な輸送手段変化などの要因により、物流施設のテナント需要が後退した場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、当該物流施設の周辺の市街地化により、共同住宅・戸建住宅や学校・病院等の公益施設の建設が近隣で行われ、周辺環境が変動し、テナントの操業に支障が発生することがあり、その
結果、テナント需要が後退する可能性があります。また、現状の船舶、鉄道、航空機、自動車による物流輸送の役割が、技術革新や、インフラの利便性の変化、環境関連法規の規制等により大きく変化し、それぞれを主要な輸送手段とする物流施設の役割が変化することがあり、テナント需要が低下する可能性があります。更に、物流施設に海外への輸出又は海外からの輸入拠点として使用される物件が含まれる場合、それら物流施設に係るテナント需要は、為替相場や経済情勢に左右される可能性があります。その他、景気減速により物流業界全体における景気が悪化した場合や今後の物流市場の変化に伴い、テナントのニーズそのものが変化した場合には、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性があります。物流施設スペースの供給過剰若しくは需要の低下又は賃料水準の低下等物流施設に関する市況悪化により物流施設が不採算となる可能性や、他の物流施設との競争の状況、物流施設への潜在的テナントの誘致力並びに既存物流施設の保守、改修及び再開発能力等によっても、本投資法人の収益は左右されます。更には、用途指定・用途制限、収用及び再開発等に関連する法令及び税法等の改正により、これらに関する規制が変更又は強化され、物流施設運営に影響を与え、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、港湾労働法(昭和63年法律第40号、その後の改正を含みます。以下「港湾労働法」といいます。)に規定する港湾に所在する物流施設については、港湾労働法その他関係法令の適用を受け、また一定の事業慣行の影響を受けるため、テナントの人件費及び営業費用が他の地域に比べ高額となる場合があり、テナントの事業への悪影響を通じ本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。上記のほかにも、その建物の特性、適用規制、テナント特性等に起因して、特有のリスクが生じ、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ケ)不動産の偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針」に記載の方針に基づき資産の運用を行いますが、その結果、本投資法人の運用資産は、一定地域に偏在する見込みです(注)。したがって、一定地域の不動産マーケットの変動や不動産等における収益環境等の変化が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注)本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針」に記載の方針に基づき資産の運用を行う結果、本投資法人の
運用資産は、特に東京圏(xxx、神奈川県、埼玉県及びxx県)、大阪市及び名古屋市に偏在することが見込まれます。
(コ)不動産の瑕疵及び契約不適合に関するリスク
本投資法人が取得する不動産(不動産信託受益権の原資産たる不動産を含みます。以下同じです。)に一定の欠陥や瑕疵があった場合又は種類、品質若しくは数量に関して契約の内容に適合しない場合、本投資法人に損害が発生する可能性があります(注1、2、3、4、5)。これらの欠陥や瑕疵は、取得前にその物理的状況や権利関係等を詳細に調査(デューディリジェンス)したにもかかわらず、取得後に判明する可能性もあります。加えて、我が国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して当該不動産に第三者の権利が設定されていることがあり得ます。このような場合、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はなく、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注1)かかる瑕疵又は契約不適合が存在する場合として、権利、地盤、地質、構造、基礎工事部分(基礎杭打ちパイル等
を含みます。)、免震・制振装置、機械設備等に関する欠陥や瑕疵があり、それら瑕疵は建物の構造に関しない場合もあれば、構造に決定的な影響を与える場合もあり得ます。また、建物の施工を請負った建設会社又はその下請業者において、建物が適正に施工されない場合があり得るほか、建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合がないとの保証はありません。さらに、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵又は契約不適合とされることもあり得ます。
(注2)民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)による民法(以下「民法改正法」といいます。)による民法改正(以下「民法改正」といい、民法改正前の民法を「旧民法」といいます。)が施行された2020年4月1日より前に締結された不動産の売買においては、旧民法の規定が適用され(民法改正法附則第34条第1項等)、本投資法人が旧民法の適用される特定の不動産の売買契約において買主であった場合において、不動産に係る物理的又は法的な瑕疵があり、それが隠れたものであるときは、本投資法人は、瑕疵があることを知った日から1年以内に売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。旧民法下では、不動産の売買においては、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、旧民法第570条により買主に対して瑕疵担保責任を負うとされていたためです。しかし、上記期間制限を超えて瑕疵担保責任を追及することはできません。これに対し、民法改正法が施行された2020年4月1日以降に締結された不動産の売買においては、改正後の民法が適用され、その対象となる不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合には、特約で排除されていない限り、売主は、買主に対して契約不適合による担保責任を負うことになります。買主は、契約不適合を知った時から1年以内に、売主に対して契約不適合であることについて通知をした場合、責任を追及することができ、また、売主が不動産の引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときには、かかる期間制限なく、契約不適合による担保責任を追及することができます。買主は、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである場合を除き、責任の追及として、契約不適合が売主の責めに帰すべき事由によるものであるか否かを問わず、履行の追完請求権や代金減額請求権を行使することができます。また、買主は、不履行の程度が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、契約を解除することができます。さらに、買主は、契約不適合について売主の責めに帰すべき事由がある場合、履行利益も含み得る損害賠償責任を追及することができます。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、上記に従い、本投資法人は売主に対して契約不適合による担保責任を追及することができますが、上記一定の場合を除き期間制限を超えて責任を追及することはできません。
(注3)上記に加え、本投資法人が買主であるときに、売主が既に解散・清算されている場合、又は売主が倒産し、若しくはその主要な資産が本投資法人に売却した不動産のみであったためにその資力が十分でない場合には、買主である本投資法人は、実際には売主との関係において上記の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任による保護を受けることができず、本投資法人に損害が発生することになります。また、個別の事情により、売買契約上売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する期間又は補償金額を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。本投資法人は、状況によっては、売主に対して一定の事項について表明・保証を要求す
る場合もありますが、売主が表明・保証した事項がxxかつ正確であるとの保証はなく、表明・保証は法律上の制度ではないため、売主が行う表明・保証の対象、これに基づく補償責任の期間又は補償金額が一定範囲に限定される場合があり、また、売主が解散し、又は無資力になっているために実効性がない場合もあります。
(注4)不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産に隠れた瑕疵又は契約不適合があった場合については、上記と同様のリスクがあります。不動産の信託契約及び受益権譲渡契約においても、売主に信託設定日等において既に存在していた原資産である不動産の瑕疵又は契約不適合について瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担させ、又は一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても、上記のように実効性がない場合があり、また、そもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である本投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当該瑕疵又は契約不適合の程度によっては、補修その他の措置をとったとしても、不動産の評価額が下落するおそれがあります。
(注5)本投資法人又は不動産信託受託者が不動産の売主となる場合には一定限度の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負うことになる場合があります。投資法人は、宅地建物取引業法上、宅地建物取引業者とみなされ(同法第77条の2第2項)、投資法人が宅地建物取引業者でない者に対して不動産を売却する場合には、民法の改正の前後を問わず宅地建物取引業法上、不動産の売主として民法上負う瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を完全に排除することができません(同法第40条)。
(サ)土地の境界等に関するリスク
我が国においては、土地の境界が曖昧であることが稀ではありませんが、土地の境界が曖昧なために予想外の費用又は損失が発生する可能性があります(注1)。同様に、越境物の存在により、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります(注2)。
(注1)土地の境界が曖昧な不動産において、隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面
が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等の本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注2)越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(シ)建物の事件・事故又は天災地変その他の環境の急変に関するリスク
建物は、事故又は地震・津波・火山活動や風水害等の天災地変(以下、本項において「天災地変等」といいます。)によって、毀損、滅失又は劣化する可能性があります。このような場合には、毀損、滅失した個所を修復するため予期せぬ費用が発生するばかりでなく、一定期間建物が稼働不能となることを余儀なくされ、賃料収入が減少して、費用が増加することで本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、完全な修復が行われたか否かにかかわらず、不動産の評価額が下落するおそれもあります。本投資法人は、建物に関する災害・事故等による損害を補償する火災保険又は賠償責任保険等をxxす る方針ですが、災害・事故等のリスクが顕在化した場合に、保険金によって、必ずしも原状回復を行うこ
とができるとは限りません(注1)。
加えて、天災地変等とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震・大津波が起こった場合も全てのケースにおいて損害が保険等でカバーされるとは限りません(注2)。
また、天災地変等が起こった場合、本投資法人の保有する物件に大きな影響がなかったとしても、鉄道網や道路網の寸断や毀損による利便性の低下、あるいは地盤の液状化等により、テナントの事業活動に大きな支障が生じる可能性があるほか天災地変等により、物件の稼働を支える社会基盤(社会的インフラ)としての発電・配電設備が毀損して電力供給能力の低下が発生し、これによる電力供給不足等により物件の稼働に大きな支障が生じる可能性もあります。あるいは産油国の度重なる産油制限や原子力発電所の稼働停止といった発電設備の供給能力の制約、これを上回る電力需要の発生等を起因とした電力需給のひっ迫により電力の使用制限が行われることで建物の利便性が低下する可能性もあります。それらの結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注1)火災保険又は賠償責任保険等をxxすることによって、災害・事故等のリスクが顕在化した場合にも、保険金をあ
てることで、原状回復を行うことが一定程度期待できます。しかしながら、個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない災害や事故が発生する可能性等があります。また、通常の火災保険では地震による火災はカバーされていません。さらに、保険会社が保険金を完全に支払わず、又は支払が遅れる可能性もあります。保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により、建物を事故発生前の状態に回復させることができない可能性があります。
(注2)天災地変等とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震・大津波が起こった場合、本投資法人の保有する複数の建物が同時に天災地変等の影響を受ける可能性があります。本投資法人は、取得する資産について、専門家による地震リスク診断に基づき地震保険のxxの要否を検討・判断しますが、その結果、地震保険をxxしないこととした物件については、天災地変等によりこれらの資産に損害が生じた場合に、保険によりこれを回復することはできません。また、地震保険をxxすることとした物件であっても、全てのケースにおいて損害が保険でカバーされるとは限りません。
(ス)建築基準法等の規制に関するリスク
建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法の規制に服します。また、建物は、様々な規制のもとにあり、国の法令のほか、各地方公共団体の条例や行政規則等(以下、建築基準法と併せて「建築基準法等」と総称します。)による規制を受けることもあります(注1)。そし
て、建築基準法等は、随時改正・変更されています。
また、その建築時点(正確には建築確認取得時点)においては、建築基準法等の規制上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格になることがあります(注2)。このような場合には、不動産の評価額が下落するおそれがあります。
以上のほか、土地収用法や土地区画整理法のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は不動産の評価額が下落するおそれがあります。
(注1)例えば、駐車場の付置義務、住宅の付置義務、福祉施設の付置義務等のほか、これらの義務に関連して、建物の新
築・増築に際して地方公共団体等と協議する義務等を課されることがあります。また、道路指定により敷地面積・容積率が結果として減少することもあります。
(注2)例えば、建築基準法は、耐震基準について昭和56年にいわゆる新耐震基準を採用し、それ以降に建築されるべき建物にはそれ以前とは異なる耐震基準が適用されています。法規制の変化により、かつて法令に適合していながら後日適合しなくなった建物を「既存不適格」と呼ぶことがあります。既存不適格の建物は、これを改築したり、建替えたりしようとする際に、従前の建物と同等の建ぺい率・容積率・高さ・設備等を維持できなくなり、追加の設備が必要とされ、又は建替自体が事実上困難となる可能性があります。
(セ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
本投資法人が取得した土地について産業廃棄物やダイオキシン等の有害物質が埋蔵されている場合、当該土地やその上の建物の価格に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替や洗浄が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります(注1)。
また、本投資法人が取得した建物にアスベストその他の有害物質を含む建材等が使用されている場合若しくは使用されている可能性がある場合、又はPCBが保管されている場合等にも、同様の問題があります
(注2)。
さらに、原子力発電所の事故等により、不動産又はその所在周辺地域において、放射能汚染又は風評被害が発生し、当該地域における社会的乃至経済的活動が阻害され、その結果、当該不動産の使用収益性やその評価額が大幅に下落するおそれがあります。
また、環境関連法令につき、将来不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務が課され、又は過失がなくても責任を問われることとなる可能性があります。
(注1)土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や土壌の特
定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
(注2)本投資法人が取得した建物にアスベストその他の有害物質を含む建材等が使用されている場合若しくは使用されている可能性がある場合、又はPCBが保管されている場合等には、当該不動産の評価額が大幅に下落するおそれがあります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には予想外の費用が発生する可能性があります。さらに、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
(ソ)埋立地に関するリスク
本投資法人は、埋立地に立地する不動産に投資することがありますが、埋立地に所在する不動産には、土地に有害物質が含まれているリスクや災害等により被害を受けるリスクがあります(注1、2)。これらの理由により当該不動産が被害を受けた場合、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があるほか、当該不動産の評価額が下落するおそれがあります。
(注1)埋立地に所在する不動産には、埋立に使用した土壌に有害物質が含まれている等の理由により、土地に有害物質が
含まれている可能性があります。当該土地に有害物質が含まれる場合のリスクの詳細については、前記「(セ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク」をご参照ください。
(注2)埋立地は沿岸部に所在することも多く、津波、高潮その他の災害、海面上昇等による被害を受ける可能性があります。さらに、埋立地の地盤は、軟弱である可能性があることから、当該土地上の建物について、不等沈下その他の沈下を生じる可能性があるほか、地震の際には液状化による沈下や毀損等の被害を生じる可能性もあります。かかる災害が生じた場合のリスクの詳細については、前記「(シ)建物の事故又は天災地変に関するリスク」をご参照ください。
(タ)不動産の所有者責任に関するリスク
本投資法人の不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります(注1)。
本投資法人は、その運用資産に関し、賠償責任保険その他の適切な保険等をxxする方針ですが、全てのケースにおいて損害が保険等でカバーされるとは限りません(注2)。
(注1)土地の工作物(建物を含みます。)の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第
一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合には、その所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています(民法第717条)。
(注2)個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない損害が発生する可能性等があります。また、保険会社が保険金を完全に支払わず、又は支払が遅れる可能性もあります。
(チ)共有物件に関するリスク
本投資法人が保有する不動産が第三者との間で共有されている場合には、当該不動産の持分を譲渡する場合における他の共有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履行義務等、共有者間で締結される協定書又は規約等による一定の制限に服することがあります。
また、不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。まず、共有不動産において、特に本投資法人が持分の過半数を有していない場合には、当該不動産のx x及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります(注1)。また、他
の共有者によって、本投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります(注2)。
共有不動産を賃貸する場合、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部の差し押さえを行うおそれがある等、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注
3)。
さらに、不動産を共有する場合、他の共有者から共有物の分割請求(民法第256条)を受けるおそれがありますが、その場合、本投資法人の意向にかかわらず、当該共有不動産を分割せざるを得なくなる等の可能性があります(注4)。
共有者は、自己の共有持分を自由に処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の共有者が変更される可能性があります。
また、本投資法人の不動産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の本投資法人の不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶ可能性があります(注5)。
以上のとおり、共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあり、その結果、流動性が低くなるおそれや不動産の評価額が減殺されるおそれがあります。
(注1)共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更に当たる行為には共有者全員の合意を要し(民法第251
条)、変更に当たらない管理は共有者の持分の過半数で決定する(民法第252条)ものとされています。
(注2)共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるかかる権利行使によって、本投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります。
(注3)共有不動産を賃貸する場合、賃料債権は不可分債権と解されるおそれがあり、また、敷金返還債務は不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部を差し押さえ、又は他の共有者がテナントからの敷金返還債務をその持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が敷金全額を返還せざるを得なくなる可能性があります。これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた賃料のうち自己の持分に応じた金額の支払や返還した敷金のうち他の共有者の持分に応じた金額の償還を当該他の共有者に請求することができますが、当該他の共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。共有不動産に課税される固定資産税等の公租公課、共有不動産の修繕費、保険料等にも、他の共有者が債務を履行しない場合についても、同様の問題があります。
(注4)他の共有者から共有物の分割請求(民法第256条)を受け、他の共有者から共有物の分割請求が権利の濫用等として排斥されない場合で、現物による分割が不可能である場合又は著しくその価値を損なうおそれのある場合は、本投資法人の意向にかかわらず、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります(民法第258条第2項)。共有者間で不分割の合意をすることは可能ですが(民法第256条)、合意の有効期間は5年以内とされています。しかも、不動産に関する不分割特約は、その旨の登記をしなければ当該不動産の共有持分の譲受人等第三者に対抗できないことがあります。また、共有者において、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は、特約があっても、管財人等は分割の請求をすることができます。但し、共有者は、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第 52条、会社更生法第60条、民事再生法第48条)。
(注5)他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。
(ツ)区分所有建物に関するリスク
本投資法人が保有する不動産等が区分所有建物(注1)である場合には、建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号、その後の改正を含みます。以下「区分所有法」といいます。)及び管理規約に従い、管理、処分、費用負担等の一定の権利制限や経済的負担を伴います。この結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります(注2)。また、使用貸借権やそれに類似した利用権設定関係の合意がある場合にあっては、かかる合意の存在を無視して、敷地の一部の所有権(又は共有権)に基づき、その敷地を無償で利用している他の区分所有者に対して区分所有建物の明渡しを請求できないとは言い切れません(注3)。さらに、本投資法人の意向に関わりなく、他の区分所有者は自己の専有部分を原則として自由に賃貸その他使用収益することができ、他の区分所有者による使用収益の状況によって本投資法
人が影響を受ける可能性があります。
(注1)「区分所有建物」とは、区分所有法の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。
(注2)管理規約が定められていない場合を除き、その管理及び運営は区分所有者間で定められる管理規約に服することに加えて、区分所有権を譲渡する場合における他の区分所有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履践等、管理規約による一定の制限に服する場合があります。しかも、管理規約は、原則として区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数決によって変更できるため(区分所有法第31条)、本投資法人が議決権の4分の
3を有していない場合には、区分所有物件の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
また、区分所有者は、自己の専有部分を原則として自由に処分することができるため、他の区分所有者の意向に関わりなく区分所有者が変更される可能性があり、新たな区分所有者の資力や属性等によっては、当該不動産の価値や収益が減少する可能性があります。
区分所有法上、各区分所有者は管理規約に別段の定めがない限り、その持分に応じて共用部分の負担に任ずることとされ、これに反して他の区分所有者が自己の負担すべき公租公課、修繕費、保険料等の支払又は積立てを履行しない場合、本投資法人が影響を受ける場合があります。
区分所有建物では、専有部分と敷地利用権(敷地利用権とは、区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利をいいます。)の一体性を保持するため、管理規約で別段の定めがない限り、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが禁止されます。敷地権(敷地権とは、敷地利用権をもとに、区分所有建物の敷地になっている土地について建物と一体化されている権利をいいます。)の登記がなされていない場合には、善意の第三者に対する分離処分は有効になりますので、敷地利用権を有しない専有部分の所有者が出現する可能性があり、区分所有建物と敷地の権利関係が複雑になり、不動産に関する流動性に悪影響を与える可能性があります。
(注3)使用貸借権やそれに類似した利用権設定関係の合意は、区分所有法上、新たな区分所有建物の買受人等の特定承継人(当該敷地のみを譲り受けた第三者も含みます。)に対して効力を生じる(区分所有法第8条、第54条)合意とは解されない債権的合意であるため、理論上、特定承継人が合意の存在を無視して、敷地の一部の所有権(又は共有権)に基づき、その敷地を無償で利用している他の区分所有者に対して区分所有建物の明渡しを請求できないとは言い切れません。このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、不動産に関する流動性に悪影響を与える可能性があります。
(テ)借地権に関するリスク
本投資法人は借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、期限の到来等の事由により消滅します(注1)。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して敷地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても本投資法人が希望した価格で買い取られる保証はありません。
さらに、敷地が売却され、又は抵当権の実行により処分される場合において、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できない可能性があります(注2)。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、本投資法人が希望した価格や時期その他の条件で建物を処分することができないおそれがあります(注3)。
また、本投資法人が借地権を取得するに際して保証金を預託することもあり得ますが、敷地を返還する際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
上記に加えて、建築基準法に基づく制度により、敷地利用権として隣接地等の余剰容積が移転されている場合があり(以下「空中権」といいます。)、借地権と同様に期間満了又は建物の滅失等により空中権が消滅する場合があります。
(注1)敷地利用権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではなく、定期借地権の場合は借地契
約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合は期限の到来時に借地権設定者側に更新を拒絶する正当な事由がある場合には消滅します。また、借地権者側に地代不払等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。
(注2)敷地が売却され、又は抵当権の実行により処分されると、本投資法人が借地権について民法又は借地借家法等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、又は競売等が先順位の対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合には、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できません。
(注3)借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し又は譲渡する場合には、賃貸人の承諾が必要ですが、かかる承諾が速やかに得られる保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払を要求されることがあります。その結果、本投資法人が希望した価格や時期その他の条件で建物を処分することができないおそれがあります。
(ト)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき上記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、
借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人の希望する価格以下である保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は破産手続、再生手続若しくは更生手続その他の倒産手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資家に損害を与える可能性があります。借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料の改定により賃料が減額された場合、投資家に損害を与える可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資家に損害を与える可能性があります。
(ナ)売主の倒産等の影響に関するリスク
本投資法人が不動産を取得した直後に、売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産の売買契約等が否認される等により本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注1)。倒産手続が開始されない場合であっても、売主の財務状況が劣悪である場合には、当該不動産に係る売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。
また、上記否認の問題は、売主の前所有者(本投資法人から見て前々所有者等)が倒産した場合にも生じ得ます(注2)。
本投資法人においては、売主等の財務状況等も十分に検討したうえで投資を決定しますが、売主又はその前所有者に関する正確な財務情報が入手できる保証はなく、上記リスクが現実化することにより、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注1)本投資法人が不動産を取得した直後に、売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始
された場合、当該不動産の売買契約又はその対抗要件具備行為は、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。この場合、不動産は、破産財団等に取戻される一方で、本投資法人が売主に支払った売買代金等の返還請求権は、倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。また、売主につき倒産手続が開始された場合、裁判所又は管財人等が、本投資法人を買主とする、ある売買取引を、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産がなおも売主(倒産手続であればその財団等)に属すると判断することがあります。この場合には、本投資法人は、あたかも当該不動産についての担保権者であるかのように取り扱われ、担保権(とみなされた権利)の行使に対する制約を受けることとなります。特に、会社更生手続では、担保権の実行は会社更生手続に従って行われ、弁済金額が切下げられることとなる等、担保権の実行を手続外で行える破産手続等に比較して、本投資法人により大きな損害が発生する可能性があります。
(注2)本投資法人が、不動産を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である本投資法人にも及ぶことになります(破産法第170条、会社更生法第93条、民事再生法第134条)。
(ニ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価を示したものに留まり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません(注
1)。また、かかる鑑定及び価格調査の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買を保証又は約束するものではなく、不動産が将来売却される場合であっても当該鑑定評価額又は当該調査価格をもって売却されるとは限りません。
建物の構造、耐震性、法令や条例の適合状況、有害物質等の有無、隣地との境界等に関するER(エンジニアリング・レポート)や地震リスク評価報告書についても、専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に土壌汚染等の環境上の問題又は欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではありません(注2)。
また、不動産の地震リスク分析の結果算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値に過ぎません。PML値は、予想損失額の再調達価格に対する比率で示されますが、将来地震が発生した場合、予想以上に多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
その他、不動産に関しては、様々な専門家が国家又は民間団体の資格認定を受けて業務を遂行していますが、全ての専門家が常に過誤無くあらゆる業務を遂行できるとの保証はありません。本資産運用会社は、資格を有する外部専門家の判断や報告に依拠して、本投資法人による資産取得を行いますが、その専門家の判断や報告が後に誤っていたとされるおそれがあり、その場合、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注1)不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格における、その評価の目的・方法は、必ずしも転売や再取得の
場合における市場価格を算出することではありません。したがって、同じ不動産について鑑定等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額や調査価格が異なる可能性があります。
(注2)ER(エンジニアリング・レポート)や地震リスク評価報告書は、個々の専門家が行った分析に基づく意見の表明であり、評価方法、調査の方法等によってその内容が異なる可能性があります。また、かかる報告書は、専門家が
調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に土壌汚染等の環境上の問題又は欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではなく、本投資法人による取得後に、取得した不動産に欠陥や瑕疵等が判明する可能性があります。
(ヌ)マーケットレポートへの依存に関するリスク
本投資法人は、物件の取得や売却に際し、第三者である専門家によるマーケットレポートでの分析を投資判断の材料とする場合があります。しかしながら、マーケットレポートは、個々の専門家の分析に基づく意見の表明であり、客観的に適正なエリア特性、需要と供給、マーケットにおける位置付け等と一致するとは限りません(注)。
(注)同じ物件について調査分析を行った場合でも、調査分析会社、分析方法又は調査方法若しくは時期によってマーケッ
トレポートの内容が異なる可能性があります。ホテル及びヘルスケア施設等の比較的サンプルの少ない不動産に関する情報は、投資判断に必要な全ての情報が網羅されている訳ではありません。
(ネ)収入及び支出に関するリスク
本投資法人の収入は、本投資法人が取得する不動産の賃料収入に主として依存します。不動産に係る賃料収入は、様々な要因により減少する可能性があります(注1、2)。現時点において、新型コロナウイルス感染症を起因とした賃料減額請求や賃料支払いの猶予等の依頼を一部テナントから受けている状況ですが、かかる新型コロナウイルス感染症を起因とした依頼に応じざるを得ない場合やテナント退去が発生した場合には不動産に係る賃料収入が減少する可能性があります。
一方、本投資法人の主要な営業費用は減価償却費、固定資産税や都市計画税等の固定的な費用で構成されていて、賃料収入が減少した場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、退去するテナントへの敷金及び保証金の返還、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大する可能性があります(注3)。
さらに、賃貸借契約上、賃借人が解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約が終了する場合があります。また、契約期間が満了する際、常に契約が更新されるとの保証はありません。これらの場合、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少することがあります。賃貸借契約において、賃貸借契約が更新される際の更新料、契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金に関して敷金・保証金の没収について規定することがありますが、かかる規定は状況によってはその全部又は一部が無効とされ、その結果、本投資法人に予想外の収入の減少をもたらす可能性があります。
(注1)不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により大きく減少する可能性があるほか、市場環境の影響も受
けやすく、また、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されること等により減少する可能性があります。さらに、賃借人の財務状況が悪化した場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があるほか、この延滞賃料、原状回復費用その他の損害金等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況となる可能性があります。特に、新型コロナウイルス等の感染症が、本投資法人の保有する不動産又はその所在周辺地域において発生した場合や感染の拡大に伴う政府の方針・措置により、当該不動産の閉鎖又は運営停止をせざるを得ない可能性があります。当該感染症等の拡大や流行の長期化による賃借人の売上の減少や財務状況の悪化に伴い、賃借人による賃料減額請求が行われたり、賃料支払いが滞ったりする可能性があるほか、テナント退去に伴う稼働率の低下が顕在化する可能性があります。また、近時の働き方改革によるオフィスの分散や新型コロナウイルス感染症による在宅勤務等のテレワークなどの進展により、オフィスにおける執務室の在り方や整理統合を進めるテナント企業もあり、また、固定費圧縮を念頭においた一部テナントの需要減退の傾向もあり、これが今後の不動産の稼働率や賃料水準に悪影響を与えないとの保証はありません。テナントは、定期賃貸借契約においてxxで排除されている場合を除き、賃料が不相当に高い場合には借地借家法に基づく賃料減額請求権を行使することができます。したがって、賃料水準が今後も維持される保証はなく、賃料改定又は賃料減額請求により賃料が減額されることにより不動産に係る賃料収入が減少する可能性があります。
(注2)賃貸借契約において、保証人を要求することがありますが、民法改正後の民法下において、かかる保証人が法人でない場合であって、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約である場合、当該保証契約は個人根保証契約に該当し、以下の制約を受けることとなります。すなわち、個人根保証契約に該当する場合、保証債務の上限額として極度額を定めなければならず、これを定めない場合には当該保証の効力が生じません。また、保証人の死亡や破産手続開始決定等が個人根保証の元本確定事由となり、この結果、保証人は元本確定後に発生する賃料債務について保証債務を負わないこととなります。さらに、主債務者には、保証人に対する契約締結時の一定の事項に係る情報提供義務等が課され、これらの違反により、保証人が当該事項について誤認をし、それによって保証契約の申込み又はその承諾の意思表示をした場合であって、債権者がかかる情報提供義務違反を知り又は知ることができた場合には、保証人は保証契約を取り消すことができます。期限の利益を喪失した場合における情報提供義務に違反がある場合には、債権者は、期限の利益を喪失した時から情報提供通知を現に行うまでの遅延損害金に係る保証債務の履行を請求できなくなります。
(注3)民法改正後の民法においては、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、若しくは賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情がある場合、賃借人が修繕権を持つものとされています。かかる修繕権を賃貸借契約上特約で排除していない場合、予期しない金額で賃借人が賃貸人のコントロールの及ばない修繕を行うおそれがあり、かかる費用の請求を受けるおそれがあります。
(ノ)PM会社に関するリスク
本投資法人は、建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理の委託先として、その資質、経験、ノウハウ、テナント・リレーション等を総合的に勘案して選定する方針としていますが、選定したP M会社における業務遂行能力が低下した場合等においては、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化
等により本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注)。
(注)建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理は、本投資法人の収益性を確保する観点から重要ですが、その良否は、建物を管理するPM会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、その結果、PM会社の業務遂行能力に大きく依拠することになります。また、選定したPM会社における人的・財産的基盤が今後とも優良であるとの保証はありません。したがって、PM会社の業務遂行能力が低下した場合やPM会社が交替する場合には、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等により本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(ハ)少数のテナントやシングル・テナントに関するリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、一部の少数のテナント又は単一のテナントに物件全体を賃貸することがあります。このような物件においては、様々な要因により、賃料収入が大きく減少するリスクや一度に多額の支出を余儀なくされるリスクがあります(注1)。
さらに、このようなシングル・テナント又は少数の核となる大規模テナントに賃貸する物件においては、当該テナントとの合意に基づき、物件の自由な売却その他の処分が制限される場合があります(注
2)。かかる合意がなされている場合、本投資法人が希望した時期及び条件で取得及び売却することができない可能性や不動産の評価額が減殺される可能性があります。
(注1)少数のテナントやシングル・テナント物件においては、既存テナントの営業状況又は財務状況が悪化し、賃料支払
が遅延したり、物件から退去した場合に、当該物件の稼働率が大きく減少し、代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなり、賃料収入に大きな影響を及ぼす可能性があり、さらに敷金等の返還のため一度に多額の資金の支出を余儀なくされる可能性もあります。また、新たなテナントの要望にあわせ本投資法人の負担で大規模な工事を行わざるを得なくなる可能性もあります。特に、特定のテナントのニーズに合わせて開発されるビルド・トゥ・スーツにおいて、これらのリスクが顕著となる可能性があります。
(注2)シングル・テナント又は少数の核となる大規模テナントに賃貸する物件においては、当該テナントとの間で、優先購入権や処分禁止に関する合意(その内容は様々です。)がなされることがあり、物件の所有権又はこれらを信託財産とする信託の受益権を第三者に売却しようとする場合に、当該テナントに優先購入権が与えられている等により、物件の自由な売却その他の処分が制限される場合があります。
(ヒ)特定の物件への依存度が高いことに係るリスク
本投資法人のポートフォリオは、比較的大型の物件により構成されていて、全体の10%超を占める物件も存在しています(詳細については、後記「5 運用状況/(2)投資資産」をご参照ください。)。したがって、そのうちのいずれかの物件が何らかの理由で毀損、滅失若しくは劣化し、又はオペレーションが困難となる事由が生じた場合、さらにはその主要なテナントの営業状況又は財務状況が悪化したり、物件から退去した場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(フ)敷金及び保証金に関するリスク
不動産賃貸においては、賃借人が多額の敷金及び保証金を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することが多く、本投資法人は、今後、これらの資金を資産の取得資金や資産の運用に係る支出の一部として活用することを想定しています。しかし、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも賃借人からの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があります。この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヘ)転貸に関するリスク a.転借人に関するリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、転貸を目的として賃借人に賃貸することがあります
(注)。このように、賃借人に不動産の全部又は一部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があります。また、賃借人の賃料が転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、転貸を目的として賃借人に賃貸する場合、賃借人の財務状態の悪化により、賃借人の債権者が賃借人の転借人に対する賃料債権を差し押さえる等により、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注)投資対象となる不動産において、PM会社等が当該不動産の所有者である本投資法人又は信託受託者との間でマスタ
ーリース契約を締結してマスターリース会社となり、そのうえでエンドテナントに対して転貸する場合があります。
b.敷金等の返還義務に関するリスク
転貸借関係における賃貸借契約が合意解約された場合その他一定の場合には本投資法人が転貸人の地位を承継し、転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が本投資法人に承継される可能性があります。
(ホ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産を取得するに当たり、いわゆるフォワード・コミットメント等(先日付の売買契
約であって、契約締結から一定期間経過した後に決済・物件引渡しを行うことを約する契約)を行うことがあります。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない等の理由により、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注)。
(注)フォワード・コミットメント等において、買主の事情により不動産売買契約が解約された場合には、買主は債務不履
行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。
(マ)地球温暖化対策に関するリスク
法律又は条例により、地球温暖化対策として、一定の不動産の所有者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量制限の義務が課されることがあります。これらの制度の創設又は拡充に伴い、排出量削減のための建物改修工事を実施したり、排出xxを取得する等の負担を余儀なくされる可能性があります。
(ミ)開発物件に関するリスク
開発中の段階で売買契約を締結する場合には、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約どおりの引渡しを受けられない可能性があるほか、入居率において不確実性が存在する可能性があります。この結果、当該物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
本投資法人が、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、以下のような信託の受益権特有のリスクがあります(注)。
(注)以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号、その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、従前
の信託法(大正11年法律第62号。信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号、その後の改正を含みます。以下「信託法整備法」といいます。)による改正を含みません。)を「旧信託法」といいます。信託契約に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託契約については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法整備法第2条)。
(ア)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは信託の利益を享受するものですが、一旦不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、原資産が不動産、不動産の賃借権又は地上権である場合と実質的にほぼ同じリスクを受益者たる本投資法人が負担することになり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。
(注)旧信託法のもとでは、受託者が信託事務の処理上発生した信託財産に関する租税、受託者の報酬、信託財産に瑕疵が
あることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等の信託費用については、最終的に受益者が負担することになっています(旧信託法第36条第2項)。すなわち、信託受託者が信託財産としての不動産を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的には全て受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人が不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、信託財産に関する十分なデューディリジェンスを実施し、保険金支払能力に優れる保険会社を保険者、受託者を被保険者とする損害保険をxxすること等、本投資法人自ら不動産を取得する場合と同等の注意をもって取得する必要があり、一旦不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、原資産が不動産、不動産の賃借権又は地上権である場合と実質的にほぼ同じリスクを受益者たる本投資法人が負担することになります。他方、新信託法のもとでは、旧信託法第36条第2項が廃止され、原則として信託受益者がこのような責任を負うことはなくなりましたが、信託受益者と信託受託者の間で信託費用等に関し別途の合意をした場合には、当該合意に従い信託受益者に対し信託受託者から信託費用等の請求がなされることがあり(新信託法第48条第5項、第54条第4項)、その場合には同様に本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
本投資法人が信託受益権を保有し、信託受託者を通じて信託財産としての不動産を処分する場合には、既に述べた不動産の流動性リスクが存在します。また、信託受益権を譲渡しようとする場合には、契約上、信託受託者の承諾が必要とされるのが通常です。さらに、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する場合の信託受益権については金融商品取引法上の有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため(新信託法第94条)、株券や社債券のような典型的な有価証券と同等の流動性があるわけではありません。また、信託受託者は原則として瑕疵担保責任を負っての信託財産である不動産の売却を行わないため、本投資法人の意思にかかわらず信託財産である不動産の売却ができなくなる可能性があります。
(ウ)信託受託者に関するリスク a.信託受託者の破産・会社更生等に関するリスク
信託法上、信託受託者が倒産手続の対象となった場合に、登記等の対抗要件を具備している限り、信託財産が信託受託者の破産財団又は更生会社の財産その他信託受託者の固有財産に帰属するリスクは極めて低いと判断されます(注)。但し、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があります。したがって、本投資法人は、不動産を信託する信託の信託受益権については、信託設定登記がなされるものに限り投資を行う予定です。しかしながら、必ずこのような取扱いがなされるとの保証はありません。
(注)信託財産が破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に属するか否かに関しては、旧信託法のもとでは、
xxの規定はないものの、同法の諸規定、とりわけ信託財産の独立性という観点から、上記のとおりと解されています。新信託法においては、信託財産は信託受託者の固有財産に属しない旨がxxで規定されています(新信託法第25条第1項、第4項及び第7項)。
b.信託受託者の債務負担に伴うリスク
信託受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うこととなった場合には、信託受益者である本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注)。
(注)かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を受益者に認めてい
ますが、本投資法人は、常にかかる権利の行使により損害を免れることができるとは限りません。
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、準共有されている信託受益権の信託財産である不動産の管理及び運営については、準共有者全員の承諾がない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります(注1)。また、信託契約において別の意思決定の方法が定められている場合でも、当該方法が本投資法人の意向を反映するような形で定められている保証はなく、同様に信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
準共有持分の処分については、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります(注2)。一方で、準共有者の間において信託契約とは別の協定書等において、準共有者が準共有持分を処分する場合に他の準共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履行義務等が課されることがあります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の準共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその準共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
また、他の準共有者の債権者が当該準共有者の準共有持分の割合を超えて信託交付金請求権全部を差し押さえ、又は他の準共有者が信託受託者からの信託費用等の請求をその準共有持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が請求された全額を支払わざるを得なくなる可能性があります(注3)。不動産自体が共有されている場合と同様、これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた信託交付金請求権のうち自己の準共有持分に応じた金額の支払や支払った信託費用等のうち他の準共有者の準共有持分に応じた金額の償還を当該他の準共有者に請求することができますが、当該他の準共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。
(注1)旧信託法のもとでは所有権以外の財産権の準共有については、所有権の共有に関する規定が可能な限り準用されま
す(民法第264条)。新信託法のもとでは信託受益者が複数の場合の意思決定の方法に関するxx規定があり(新信託法第105条以下)、信託受益権が準共有されている場合にもかかる規定の適用があるものと解されるため、所有権の共有に関する民法の規定に優先してかかる規定がまず適用されます。旧信託法のもとでは、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有されている信託受益権の変更に当たる行為には準共有者全員の合意を要し(民法第 251条)、変更に当たらない管理は、準共有者の準共有持分の過半数で決定する(民法第252条)ものと考えられます。したがって、本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。一方、新信託法のもとでは、信託契約において意思決定の方法が定められていない場合、一定の行為を除き、準共有者の全員一致によることになるものと解されます(新信託法第105条第1項本文)。
(注2)旧信託法及び新信託法いずれのもとでも、準共有者は、信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができます。
(注3)別段の合意のない限り、信託受益権の準共有者が信託受託者に対して有する信託交付金の請求権は不可分債権と解されるおそれがあり、また、信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、不可分債務であると一般的には解されています。
⑤ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が出資する匿名組合では、本投資法人の出資を営業者が不動産に投資しますが、当該不動産に係る収益が悪化した場合、当該不動産の価値が下落した場合や匿名組合に係る不動産が想定した価格で売却できない場合等には、当該匿名組合出資持分より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により、本投資法人に損害
が発生する可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されている場合があり、又は、確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、希望した価格や時期その他の条件で譲渡できる保証はありません。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が開発する新規物件に係る優先交渉権の取得を目的として行われることがありますが、かかる優先交渉権により当該新規物件を取得できる保証はありません。
⑥ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社の優先出資証券への投資を行うことがありますが、特定目的会社の投資する不動産に関する収益が悪化した場合や当該不動産の価値が下落した場合又は特定目的会社の開発する不動産が予想した価格で売却できない場合、さらには導管体である特定目的会社において意図されない課税が生じた場合等には、本投資法人が投資した当該優先出資証券より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により、本投資法人に損害が発生する可能性があります。また、優先出資証券については確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、希望した価格や時期その他の条件で譲渡できる保証はありません(注)。
(注)本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社がその資産の2分の1を超える額を不動産に投資す
ることを目的とする場合、その優先出資証券への投資を行うことがあります。かかる優先出資証券への投資を行う場合には、本投資法人は、導管性要件(導管性要件の詳細については、後記「⑦ 税制等に関するリスク/(ア)導管性要件に関するリスク」をご参照ください。)に抵触することなく保有する意向です。
⑦ 税制等に関するリスク
(ア)導管性要件に関するリスク
税法上、投資法人に関する課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。
投資法人の主な導管性要件 | |
支払配当要件 | 配当等の額が配当可能利益の額の90%超であること (利益を超えた金銭の分配を行った場合には、金銭の分配の額が配当可能額の 90%超であること) |
国内50%超募集要件 | 投資法人規約において、投資口の発行価額の総額のうちに国内において募集され る投資口の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載又は記録があること |
借入先要件 | 機関投資家(租税特別措置法第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定するものをいいます。次の所有先要件において同じです。)以外の者から借入れを行ってい ないこと |
所有先要件 | 事業年度の終了の時において、発行済投資口が50人以上の者によって所有されて いること又は機関投資家のみによって所有されていること |
非同族会社要件 | 事業年度の終了の時において、投資主の1人及びその特殊関係者により発行済投資口(その投資法人が有する自己の投資口を除きます。)の総口数あるいは議決 権総数の50%超を保有されている同族会社に該当していないこと |
会社支配禁止要件 | 他の法人の株式又は出資(匿名組合に対する出資を含みます。)の50%以上(割合の判定に当たっては、匿名組合を通じて間接的に保有する株式等を含めま す。)を有していないこと(一定の海外子会社を除きます。) |
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、下記に記載した要因又はその他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が導管性要件を満たすことができなかった場合、利益の配当等を損金算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配金額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.会計処理と税務処理との不一致によるリスク
会計処理と税務処理との不一致(税会不一致)が生じた場合、会計上発生した費用・損失について、税務xxx全部又は一部を損金に算入することができない等の理由により、法人税等の税負担が発生し、配当の原資となる会計上の利益は減少します。支払配当要件における配当可能利益の額(又は配当可能額)は会計上の税引前利益に基づき算定されることから、多額の法人税額が発生した場合には、配当可能利益の額の90%超の配当(又は配当可能額の90%超の金銭分配)ができず、支払配当要件を満たすことが困難となる可能性があります。なお、2015年度税制改正により、交際費、寄附金、法人税等を除く税会不一致
に対しては、一時差異等調整引当額の分配により法人税額の発生を抑えることができるようになりましたが、本投資法人の過去の事業年度に対する更正処分等により多額の追徴税額(過年度法人税等)が発生した場合には、法人税等は一時差異等調整引当額の対象にならないため、支払配当要件を満たすことができないリスクは残ります。
b.資金不足により計上された利益の配当等の金額が制限されるリスク
借入先要件に基づく借入先等の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の原資となる資金の不足により支払配当要件を満たせない可能性があります。
c.借入先要件に関するリスク
本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合又は本投資法人の既存借入金に関する貸付債権が機関投資家以外に譲渡された場合、あるいはこの要件のもとにおける借入金の定義が税法上において明確ではないためテナント等からの預り金等が借入金に該当すると解釈された場合においては、借入先要件を満たせなくなる可能性があります。
d.投資主の異動について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、所有先要件あるいは非同族会社要件が満たされなくなる可能性があります。
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において行った利益の配当等の損金算入が否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配金額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約において、特定不動産(不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の本投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合を100分の75以上とすること(規約第29条第3項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めること、及びその他の税法上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置(詳細については、後記「4 手数料等及び税金/(5)課税上の取扱い/② 投資法人の税務/
(イ)不動産流通税の軽減措置」をご参照ください。)の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更された場合には、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(エ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
(オ)減損会計の適用に関するリスク
本投資法人においても、企業会計の基準・慣行に従い「減損会計」が適用されることから、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。
(注)固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年
8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、平成17年4月1日以降に開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第
1期計算期間より「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。なお、平成27年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
⑧ その他
(ア)資産を組み入れ又は譲渡することができないリスク
本投資法人は、現在保有する資産のみを投資対象とする投資法人ではなく、上場以来、外部成長、すなわち、その資産ポートフォリオの拡大や、内部成長、すなわち、その質の向上を図り、これをもって、中長期的な安定運用を目指し運用行為を行っています。本書の日付現在も、常に新たな資産取得に向けた市場調査や資産売却情報を入手することがあり、また、潜在的な売主又は買主や関係権利者との間での資産の取得又は譲渡等に向けた検討や交渉等も行うことがあります。したがって、本投資法人は、今後、新たな資産の取得を決定し、あるいは資産の売却や交換等の決定に向けた活動を行うことがあります。かかる決定がなされた場合には、引続き適時開示に努めますが、かかる資産取得又は譲渡等の決定が、本書提出から間もない時点で公表される場合もあり得ます。
また、実際に物件取得又は売却を行う旨合意し適時開示を行った場合にも、内装工事や修繕、資産の特性、売主又は買主等の権利者との協議の結果、実際の引渡し・資産運用の開始までに一定期間を要することがあります。物件取得又は売却の合意から引渡しまでの間に、経済環境が著しく変動した場合等においては、当該資産を購入又は売却することができないおそれも否定できず、その結果、予定した収益を上げることが困難となるおそれがあります。そのため、本投資法人は、資産を予定どおりの条件と時期において購入し取得することができず、又は資産を予定どおりの条件と時期において譲渡することができず、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
また、本投資法人が信託受益権として取得予定の資産の一部については、本投資法人による取得に先立ち信託が設定される場合があります。しかし、何らかの理由により、取得予定の資産が予定どおり信託されない可能性があります。このような場合、停止条件付信託受益権譲渡契約の停止条件が成就しないとされるため、本投資法人が当該取得予定の資産を取得することができず、その結果、投資主に損害が発生する可能性があります。
(イ)本投資法人の資金調達(金利環境)に関するリスク
本投資法人は、租税特別措置法に規定する機関投資家である金融機関からの借入れをこれまで行っていて、また今後も行うことがあります。しかしながら、本投資法人が必要とする額及び条件による貸出しの実行が金融機関から常になされるとの保証はありません。本投資法人が想定する条件及び時期において借入れができるとの保証もありません。これら想定外の事象が借入れにおいて発生したことにより、借入金利が著しく変更され、資金の借入れに時間を要し、又は取得予定の資産を購入することが遅れることが生じたときには、投資主に損害が発生する可能性があります。
(ウ)投資法人の合併に関するリスク
本投資法人が他の投資法人と合併した場合には、本資産運用会社の運用ガイドラインに定めるポートフォリオ構築方針とは異なる資産構成となる可能性や、LTVが悪化し資金調達条件に変化が生じることがあります。また、投信法上、合併に反対する投資主又は新投資口予約権者から自己の有する投資口又は新投資口予約権をxxな価格で買い取ることを請求される可能性があり、かかる請求がなされた場合、本投資法人の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、本投資法人が投信法に定める簡易合併の手続により投資主総会の承認を受けずに合併を行う場合、本投資法人の投資主は当該合併に反対する場合においても買取請求権を行使することはできません。さらに、本投資法人が合併した後においても期待された効果が得られる保証はなく、想定外の費用や負担が生じる可能性のほか、合併の条件によっては本投資法人の投資主の持分が希薄化される可能性もあります。
これらの結果、本投資法人の投資主及び投資法人債権者に損害を及ぼす可能性があります。
(エ)内部留保の活用に関するリスク
本投資法人は、内部留保を保有していて、法令等の定めにより分配金に加算するほか、機動的な資本調達や物件取得又は物件売却による損失発生やテナント退去による一時的な賃料の減少による分配金への悪影響の緩和、さらには税務と会計の取扱いの不一致により生ずるおそれのある課税への対応のために活用し、中長期的観点に立ったポートフォリオの戦略的運営と成長を目指す方針です(以下「内部留保の活用方針」といいます。)。しかしながら、投資法人に関する内部留保に係る会計処理又は取扱いに関する解釈、運用又は取扱いが変更された場合、内部留保の金額が変更される可能性及び内部留保の活用が困難になる等本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、内部留保のうち負ののれん発生益に由来する一時差異等調整積立金はキャッシュの裏付けのない会計上の利益であるため、内部留保の活用方針は、分配可能なキャッシュの額による制約を受けます。本投資法人は、内部留保の取崩予定額を公表することがあり(以下、公表した内部留保の取崩予定額を「公
表済内部留保取崩予定額」といいます。)、公表済内部留保取崩予定額を分配すべく、本投資法人のキャッシュ・マネジメントに最大限留意しますが、本投資法人が金銭の分配を行う時点において公表済内部留保取崩予定額分のキャッシュが存在するという保証はなく、公表済内部留保取崩予定額よりも低い金額が実際の内部留保からの取崩額となる可能性があります。また、公表済内部留保取崩予定額の分配が可能であっても、公表済内部留保取崩予定額までの分配を行わない可能性もあります。
さらに、本投資法人は、内部留保の活用方針に基づく運用上の施策や、想定外の損失の発生等により、公表済内部留保取崩予定額以上の取崩を行う可能性があります。その場合、本投資法人の想定以上に内部留保が減少することとなり、将来的に、内部留保の活用方針が重大な影響を受ける可能性や、公表済内部留保取崩予定額の分配を行うことができなくなる可能性があります。
(2)リスクに対する管理体制
本投資法人は、前記に記載した各々のリスクに関し、本投資法人自らが投信法及び関連法規に定められた規則を遵守するとともに、本資産運用会社において適切な社内規程の整備を行い、併せて必要な組織体制を敷き、役職員に対する遵法精神を高めるための教育等の対策を講じています。
具体的な取り組みは、以下のとおりです。
① 投資法人について
本投資法人は、執行役員1名以上及び監督役員2名以上により構成される役員会により運営されます。役員会は3か月に1回以上、必要に応じて随時開催され、法令及び本投資法人の「役員会規程」に定める決議事項の決議や本資産運用会社及び本投資法人の執行役員の業務の執行状況等の報告が行われます。これにより、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員が業務の執行状況を監督できる体制となっています。
また、監督役員は必要に応じて本資産運用会社及び資産保管会社等から本投資法人の業務及び財産の状況に関する報告を求め、又は必要な調査を行うことができるものとされます。
なお、執行役員は、本投資法人の資産運用会社の代表取締役が兼職しています。
そして、本投資法人は、「インサイダー取引防止規程」(注)を制定し、本投資法人の役員によるインサイダー取引の防止に努めています。
(注)「インサイダー取引防止規程」では、本投資法人の役員は、本投資口及び投資法人債について売買等を行ってはならないもの
とされ、本投資法人の役員でなくなった後も1年間は、同規程の定めに従わなければならないものとされています。
② 資産運用会社について
本資産運用会社は、各種リスクを適切に管理するために、社内規程として「リスク管理規程」を制定し、顧客又は本資産運用会社に重大な影響を及ぼす可能性が顕在化し又は顕在化する可能性が高まった場合には、直ちに所属部室長を経由し、リスク管理統括責任者たるコンプライアンス室長及び代表取締役社長に情報伝達を行うとともにリスク管理統括責任者たるコンプライアンス室長は遅滞なく取締役会に報告する旨定めています。
加えて、利益相反リスクに対しては、本投資法人の利益が害されることを防止するために、「利害関係者取引規程」を制定し、厳格な利益相反対応ルールを設定しています。
また、本資産運用会社は、コンプライアンスに関して、法令等遵守の徹底を図るため、「コンプライアンス規程」及び「コンプライアンス・マニュアル」を制定するとともに、具体的な法令等遵守を実現させるための実践計画である「コンプライアンス・プログラム」を策定し、これに従って法令等遵守の実践に努めます。
さらに、本資産運用会社は、業務の適正性の確保と効率的運営を図るため、「内部監査規程」を制定し、適切な自己点検制度の確立を図っています。
そして、本資産運用会社は、「インサイダー取引防止規程」(注)を制定し、本資産運用会社の役員及び従業員その他本資産運用会社の業務に従事する全ての者(以下「役職員等」といいます。)によるインサイダー取引の防止に努めています。
(注)「インサイダー取引防止規程」では、本資産運用会社の役職員等は、本投資口及び投資法人債について、法令又は内規等で許
容される場合を除き、売買等を行ってはならないものとされ、本資産運用会社の役職員等でなくなった後も1年間は、同規程の定めに従わなければならないものとされています。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに関する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は本投資法人投資主若しくは本投資法人債権者に損失が生じるおそれがあります。