(ツ)PM会社に関するリスク
3【投資リスク】
(1)リスク要因
以下において、本投資口及び本投資法人の発行する投資法人債(以下、本「3 投資リスク」において「本投資法人債」といい、短期投資法人債を含むことがあります。)への投資に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。但し、以下は本投資口及び本投資法人への投資に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これらの事項は本書の日付現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
以下に記載のいずれかのリスクが現実化した場合、本投資口又は本投資法人債の市場価格が下落し、本投資口又は本投資法人債の投資家は、投資した金額の全部又は一部を回収できないおそれがある他、本投資法人の純資産額の低下、その他財務状況の悪化による分配金の額が低下する可能性があります。本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避できるとの保証や対応が十分であるとの保証はありません。
本投資口及び本投資法人債に投資を行う際は、以下のリスク要因及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上、各投資家自らの責任と判断において行う必要があります。
本項に記載されている項目は、以下のとおりです。
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)換金性・流動性に関するリスク
(イ)市場価格変動に関するリスク
(ウ)金銭の分配に関するリスク
(エ)投資主の権利が株主の権利と同一でないことに関するリスク
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
(イ)投資法人の制度に関するリスク
(ウ)三井不動産等との連携に関するリスク
(エ)資産運用会社におけるインサイダー取引規制に関するリスク
③ 投資法人の運用資産:原資産である不動産特有のリスク
(ア)不動産の価格変動、流動性等に関するリスク
(イ)物流施設を重点投資の対象としていることによるリスク
(ウ)投資対象にインダストリアル不動産が含まれていることによるリスク
(エ)不動産の偏在に関するリスク
(オ)不動産の瑕疵及び契約不適合に関するリスク
(カ)土地の境界等に関するリスク
(キ)建物の事件・事故又は天災地変に関するリスク
(ク)建築基準法等の規制に関するリスク
(ケ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
(コ)埋立地に関するリスク
(サ)不動産の所有者責任に関するリスク
(シ)共有物件に関するリスク
(ス)借地権に関するリスク
(セ)売主の倒産等の影響に関するリスク
(ソ)専門家報告書等に関するリスク
(タ)マーケットレポートへの依存に関するリスク
(チ)収入及び支出に関するリスク
(ツ)PM会社に関するリスク
(テ)少数のテナントやシングル・テナントに関するリスク
(ト)特定の物件への依存度が高いことに係るリスク
(ナ)敷金及び保証金に関するリスク
(ニ)転貸に関するリスク
(ヌ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
(ネ)地球温暖化対策に関するリスク
(ノ)開発物件に関するリスク
(ハ)xxx発電設備が付帯した物件に関するリスク
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
(ア)信託受益者として負うリスク
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
(ウ)信託受託者に関するリスク
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
⑤ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
⑥ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
⑦ 税制等に関するリスク
(ア)導管性の維持に関する一般的なリスク
(イ)過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ウ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
(エ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
(オ)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
(カ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税金が発生するリスク
(キ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(ク)一般的な税制の変更に関するリスク
(ケ)減損会計の適用に関するリスク
⑧ 海外不動産への投資に関するリスク
(ア)海外不動産等の取得及び管理運用に関するリスク
(イ)投資対象地域に関するリスク
(ウ)外国為替についての会計処理に関するリスク
(エ)海外不動産等への減損会計の適用に関するリスク
(オ)外国法人税の発生により分配金が減少するリスク
⑨ その他
(ア)取得予定資産を組み入れることができないリスク
(イ)本投資法人の資金調達(金利環境)に関するリスク
(ウ)過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)換金性・流動性に関するリスク
本投資口へ投資した後、換金・投資回収を行う際、本投資口につき、取得時の価格より低廉な価格で譲渡することを余儀なくされ、又は希望した時期と条件では譲渡できない場合があります(注)。また、本投資法人債には確立された取引市場が存在せず、買主の存在も譲渡価格も保証されていません。そのため、希望する時期や価格で売却することができず、その償還期限前に換金することが困難となる可能性があり、これにより損害を被る可能性があります。
(注)本投資口は、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型です。したがって、本投資口の換金・投資回収には、上場している金融商品取引所を通じて又は取引所外にて第三者へ売却する等の必要があります。また、投資家の希望する時期や条件で取引できる保証も、常に買主が存在するとの保証もなく、譲渡価格を保証する第三者も存在しません。更に、東京証券取引所が定める上場廃止基準に抵触する場合には本投資口の上場が廃止され、投資主は保有する本投資口を取引所外において相対で譲渡する他に換金の手段はありません。
(イ)市場価格変動に関するリスク
本投資口及び本投資法人債は金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではなく、本投資口につき、当初の投資額の回収が保証されているものではありません。本投資口の市場価格は、様々な要因により変動し、例えば、金融情勢(注1)、不動産市況(注2)、本投資法人による新投資口の追加発行(注
3)、その他市場を取り巻く様々な要因(注4、5)の影響を受けて変動することがあります。
(注1)本投資口の市場価格は、金利動向や為替xxxの金融環境の変化のほか、投資口の売買高及び需給バランス、不動産投資信託証券以外の金融商品に対する投資との比較における優劣、不動産投資信託証券市場以外の金融商品市場の変動、市場環境や将来的な景気動向等の金融情勢による影響を受け、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。このほか、戦争やテロといった社会情勢による悪影響が生じることがあります。
ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻が長期化し、資源・エネルギー需給や食料供給につき世界的に悪影響を受けることで物価上昇の要因となっており、我が国企業の経済活動が制約されるおそれがあるほか、それらが更なる経済活動や国民生活への悪影響を及ぼさないとの保証はありません。また、米国・欧州の証券市場を含む金融市場や外国為替市場への影響が生じ、これらにより、本投資口の市場価格が悪影響を受け、下落することがあります。
(注2)本投資口の市場価格は、一般的な不動産の評価額の変動、不動産市場の趨勢、不動産の需給関係、不動産需要を左右することのある企業を取り巻く経済環境、法令・会計・税務の諸制度の変更等、不動産関連市場を取り巻く要因によ
る影響を受け、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注3)本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が新投資口の発行又は新投資口予約権の無償割当てにより行われ、本投資口1口当たりの分配金の減少・純資産額が希薄化する場合には、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注4)例えば、本投資法人又は本資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資口の市場価格が下落することがあります。更に、他の投資法人又は他の資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、その悪影響が不動産投資信託証券市場に及ぶことを通じて、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注5)世界的な感染病の拡大(パンデミック)及びその長期化により、業務の停滞や経済活動への悪影響が生じることがあり、新型コロナウイルス感染症による悪影響が引き続き生じる可能性がありえます。本投資法人の保有資産である物流施設等は長期での賃貸借契約を基本としており、経済活動の停滞が直ちに業績に悪影響を及ぼすとは考えにくいですが、経済活動の停滞が継続することで中長期的に業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、今後の感染症の拡大や、その影響の長期化の懸念が広がることで、日本経済全体のみならず、世界的にも市場の株価全体が悪影響を受けるおそれもあり、それにより本投資口の市場価格が悪影響を受け、下落することがあります。
(ウ)金銭の分配に関するリスク
本投資法人による分配の有無、金額及びその支払いは、いかなる場合においても保証されるものではありません(注)。
(注)本投資法人はその分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、特に、想定している不動産等の取得又は売却が行われない場合やその時期に変更が生じた場合のほか、資産から得られる賃料収入の低下、損失の発生、現金不足等が生じる場合があり、したがって、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。
また、本投資法人は、利益の範囲内で行う金銭の分配に加え、前記「2 投資方針/(1)投資方針/
② 効率的なキャッシュマネジメント」に記載の方針に従い、原則として毎期継続的に利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)を行う方針ですが、利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)が行われるとの保証はありません(注)。
(注)本投資法人は、投信協会の諸規則に定める額を上限として、本投資法人が決定した金額を利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)として、利益の範囲内で行う金銭の分配に加えて分配することができます。また、本投資法人は、法令に定める投資法人に係る課税の特例規定における要件を満たすため又は本投資法人における法人税等の課税の発生を抑えるために、本投資法人が決定した金額を、利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)として、利益の範囲内で行う金銭の分配に加えて分配をすることができます。
なお、本投資法人は、当面の間は、当該営業期間におけるFFO(但し、不動産売却益等を除きます。)の70%に相当する金額を目処とした継続的な利益超過分配を、利益分配に加えて原則として毎期継続的に行う方針です。しかしながら、経済環境、不動産市場及び賃貸xxxの動向、保有資産の状況並びに本投資法人における当該営業期間の減価償却費に占める利益超過分配の割合、LTVの水準及び余剰現預金の状況等を勘案し、継続的な利益超過分配を行わない場合もあります。更に、長期的な保有資産の維持管理を継続する観点から、上記の金銭の分配を実施した場合、当該営業期間の減価償却費相当額から当該営業期間の利益超過分配の額を控除した金額が、建物状況調査報告書に記載された資本的支出相当額を12年で平均した金額の6ヶ月相当額の2倍の金額を下回る場合においては、分配金額が利益分配相当の総額を下回らない限度において利益超過分配の額を減額するものとし、利益超過分配を実施しない場合もあります。また、安定的な財務運営を継続する観点から、上記の金銭の分配を実施した場合に鑑定LTVが60%を超える場合においては、利益超過分配を実施しないものとします。これらの場合、投資主が利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)を踏まえて期待した投資利回りを得られない可能性があります。また、利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)の実施には手元資金の減少を伴うため、突発的な事象等により本投資法人の想定を超えて資本的支出等を行う必要が生じた場合に手元資金の不足が生じる可能性が相対的に大きくなることや、機動的な物件取得にあたり資金が不足する可能性が相対的に大きくなることがあります。
また、投資法人の利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)に関する投信協会の規則等につき将来新たな改正が行われる場合には、改正後の投信協会の規則等に従って利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)を行う必要があることから、これを遵守するために、利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)の額が本書記載の方針による金額と異なる可能性や、利益を超える金銭の分配(出資の払戻し)を一時的に、又は長期にわたり行うことができなくなる可能性があります。
(※)「鑑定LTV」は、前記「2 投資方針/(1)投資方針/② 効率的なキャッシュマネジメント」において定義されます。
(エ)投資主の権利が株主の権利と同一でないことに関するリスク
本投資法人の投資主は、法令上の一定の権利を有していますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは同一ではありません(注)。
(注)本投資法人の投資主は、投資主総会において議決権を行使し、規約の変更や役員の選任等の重要事項の意思決定に参画できるほか、本投資法人に対して投信法で定められた権利の行使を行うことができます。しかし、株式会社における場合と異なり、投資法人においては、役員会の承認のみをもって金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等が確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認は必要とされていません。また、投資主総会は決算期毎に招集されることも想定されていません。また、投資主総会が開催された場合にも、ある投資主がその総会に出席せず、かつ議決権を行使しないときは、当該投資主は当該投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第14条第1項)。
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人制度固有のリスクが存在します。
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。
a.役員の職務遂行に関するリスク及びインサイダー取引規制に関するリスク
本投資法人の執行役員及び監督役員は、法令上、善管注意義務及びxx義務を負いますが、それらの義務が遵守されるとの保証はありません(注1)。本投資法人の執行役員及び監督役員が、法規制(注2)や内部管理体制(注3)にもかかわらず、本投資法人や投資口に関する未公表の内部情報を知りつつ本投資口の取引を行う可能性があります。また、これらの者が、本投資法人に係る未公表の重要事実を第三者に伝達し又はその売買等を推奨する可能性があります。これらの場合には、投資家の信頼又は市場における信頼を損ね又は喪失する可能性があり、その結果、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注1)投信法上、投資法人の業務を執行し投資法人を代表する執行役員及び執行役員の職務の執行を監督する監督役員は、投資法人に対して善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のためxxに職務を遂行する義務(以下「xx義務」といいます。)を負います。しかし、これらの義務が遵守されるとの保証はありません。
(注2)本投資口は、金融商品取引法で定める、いわゆるインサイダー取引規制の適用を受けます。
(注3)本投資法人は内部規程を設け、執行役員及び監督役員がかかる取引を行うことを制限しています。
b.投資法人の資金調達及び金利変動に関するリスク
本投資法人は、資金調達を目的として、新投資口を発行することがありますが、新投資口の発行価格はその時々の市場価格により左右されることから本投資法人が必要とする時期及び条件で新投資口を発行できるとの保証はありません。
また、新投資口の発行の方法によるほか、本投資法人は、資金調達を目的として、借入れの実施及び投資法人債の発行を行うことがありますが、本投資法人が必要とする時期及び条件で借入れ及び投資法人債を発行できるとの保証はありません(注1)。
なお、本投資法人が借入れ及び投資法人債を発行するにあたっては限度額や借入先等に関する制限があり(注2)、また、その資金調達に際し財務制限条項等の制約を受けることがあるため(注3、4)、その結果、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
更には、資金調達に際して受ける制約のため、本投資法人が希望した価格や時期その他の条件で保有不動産の処分や建替等ができないおそれもあります(注5)。
加えて、本投資法人が、借入金につき期限前返済を行う場合、その時点における金利情勢により、期限前返済コスト(違約金等)が発生するなど、予測しがたい経済状況の変化により本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。本投資法人は、財務指標のうちLTVの上限を60%としていますが、新たな運用資産の取得等に伴い、一時的にLTVはその上限を超えることがあります。LTVの値が高まれば高まるほど、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受け易くなり、その結果投資主への分配金額が減少するおそれがあります。
また、本投資法人は、金利変動の影響を軽減するため、変動金利と固定金利のスワップ取引及び長期借入れや返済期限の分散化等の取組みを行う予定です。しかし、これらの取組みによっても金利変動の影響を軽減できない場合があり、その場合には、本投資法人の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注1)借入れ及び投資法人債の発行は、政府や日本銀行における資金・通貨の供給政策、経済環境、市場動向、金利実勢、本投資法人の収益及び財務状況のほか、借入先や投資家の自己資本規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因に従って決定されるため、本投資法人が必要とする時期及び条件で行うことができるとの保証はありません。また、借入れについて返済期限が到来した場合に、同一の借入先からほぼ同一の条件で新規の借入れを行う借換えについても、かかる借換えができないことや、金利、担保提供、財務制限条項等の点でより不利な条件での借入れを余儀なくされることがあります。借入れ、投資法人債の発行又は新投資口の発行の方法によるほか、投資口予約権の無償割当て(いわゆるライツ・オファリング)での資金調達方法も投信法上は可能とされますが、ライツ・オファリングでの資金調達が本投資法人において適切な資金調達手法であるとの保証はありません。
(注2)本投資法人は資金調達を目的として、借入れ及び投資法人債を発行することがあり、規約上、借入金と投資法人債を合わせた限度額は1兆円と定められています。また、借入れにあたり、税法上の配当等の額の損金算入要件(いわゆる導管性要件)(詳細については、後記「⑦ 税制等に関するリスク/(ア)導管性の維持に関する一般的なリスク」をご参照ください。)を満たすためには、本投資法人は、その借入先を機関投資家(但し、租税特別措置法(昭和32年法律第26号。その後の改正を含みます。)(以下「租税特別措置法」といいます。)第67条の15に規定する機関投資家に限ります。)に限定することが要請されるため、借入先は事実上、制限されています。
(注3)借入れ又は投資法人債の発行を行う際には様々な条件、例えば財務制限、第三者に対する担保提供の制限、担保提供義務、現金等の留保義務その他本投資法人の業務に関する約束や制限等が要請されます。このような約束や制限等の結果、本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があり、それにより本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注4)本投資法人は、本書の日付現在、借入れに関する基本合意書に基づき、資金借入れを行っており借入時における担保及び保証は設定されていませんが、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の一定の数値を維持すること等の財務制限条項や一定の場合の担保提供義務等が規定されています。
(注5)本投資法人の保有不動産の全部又は一部が資金の借入先に対して担保に供された場合、担保対象となる保有不動産の処分及び建替等は、制限を受けることとなります。その結果、本投資法人が希望した時期及び条件で保有不動産の処分や建替等ができないおそれがあります。
c.投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
本投資法人は倒産手続の対象となり(注1)、また投信法上の登録を取り消されることがあり(注
2)、これらの場合、本投資口の上場が廃止されます。また、本投資法人が解散し、清算手続に入る場合、投資主は、すべての債権者への償還の後でなければ、その投資額を回収できません。したがって、清算手続において、投資主は投資額の全部又は一部につき償還を受けられないことがあります。また、本投資法人債の債権者は清算手続に従って投資額を回収することになるため、債権全額の償還を受けられる保証はありません。
(注1)投資法人は一般の法人と同様に、債務超過に至る可能性があり、本投資法人は、現行法上、破産法(平成16年法律第 75号。その後の改正を含みます。)(以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号。その後の改正を含みます。)(以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続の適用を受けて倒産手続に入ることがあります。
(注2)本投資法人は、投信法に基づき投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。
(イ)投資法人の制度に関するリスク
投資法人の制度上の主なリスクは、以下のとおりです。
a.業務委託に関するリスク
本投資法人の業務を受託する者において、必要な業務が適正に遂行できない事態が生じた場合には、本投資法人の業務に支障が生じ、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります
(注)。
(注)投資法人は、資産の運用以外の営業行為を行うことができず、資産の運用、資産の保管及び一般事務の第三者への委託が義務付けられており、また、使用人を雇用することはできません。そこで、本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。したがって、本投資法人の業務執行全般は、これらの業務受託者(本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者を併せて、以下「業務受託者」といいます。)の能力や信用性に依存することになります。金融商品取引法上、資産運用会社となるためには投資運用業の登録を行う必要があり、資産保管会社は信託業を兼営する銀行等一定の要件を満たすものに資格が限定されており、一般事務受託者については、本投資法人の設立時及び設立後に新たに行う一般事務受託者との契約締結時に、不適当なものでないことの調査が執行役員及び監督役員により行われています。しかし、それぞれの業務受託者において、今後、業務遂行に必要とされる人的・財産的基盤が損なわれた場合や、これらの業務受託者が金融商品取引法及び投信法により本投資法人に対して負う善管注意義務やxx義務に反する行為を行った場合には、本投資法人に対し、適時適切な業務の提供ができないこととなり、その結果、投資法人の業務に悪影響を及ぼす可能性があります。また、業務受託者が、倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合には、倒産に至った業務受託者に対して本投資法人が有する債権の回収に困難が生じるだけでなく、本投資法人の日常の業務遂行に影響を及ぼすことになります。更には、業務受託者との委託契約が解約又は解除された場合において、本投資法人の必要とする時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し業務を委託できないときには、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があるほか、本投資口が上場廃止になる可能性があります。
b.資産の運用に関するリスク
投資法人は、投信法上、資産運用会社にその資産の運用に関する業務を委託しなければならないとされており、本投資法人は、その資産の運用成果につき、その資産の運用を委託する本資産運用会社の業務遂行能力に依存することになります。本資産運用会社についての主なリスクは、以下のとおりです。
(ⅰ)資産運用会社の運用能力に関するリスク
本資産運用会社は、本投資法人の資産の運用にあたり、投信法、金融商品取引法及び東京証券取引所が定める上場規則の適用を受けることとなるほか、法令xx管注意義務及びxx義務を負った資産の運用を行いますが、これらをもって、運用成果に対して何らの保証を行うものではなく、またその運用能力を保証するものでもありません(注)。
(注)本資産運用会社が、資産の運用を行うためには投資運用業の登録を行う必要があり、金融商品取引法及び投信法に定める監督を受けます。
(ⅱ)資産運用会社の行為に関するリスク
本資産運用会社の親会社である三井不動産及びそのグループ会社(以下「三井不動産等」といいます。)を含む利害関係人等と本投資法人との間で取引を行うに際して、本資産運用会社が、金融商品取引業者及び資産運用会社としての行為準則に違反したり、適正な法的措置を行わない場合には、本投資法人に損害が発生する可能性があります(注1、2)。本資産運用会社は、利害関係人等との取引により投資主又は投資法人債権者の利益が害されることのないよう適切と考えられる体制を整備しています。しかし、これらの体制が有効に機能しない場合には、投資主又は投資法人債権者の利益に反する取引が行われ、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。なお、かかる利益相反リスクに対する方策については後記「(2)リスクに対する管理体制」をご参照ください。
また、本資産運用会社自身も自ら投資活動を行うことは法令上禁止されておらず、本資産運用会社が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引を行わないとの保証はありません。
(注1)本資産運用会社の主要な役職員の多くは、三井不動産からの出向者です。
(注2)資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務及びxx義務を負い、更に資産運用会社の行為により投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、金融商品取引法及び投信法において業務遂行に関して行為準則が詳細に規定されています。
(ⅲ)資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更に関するリスク
本資産運用会社は、本投資法人の規約に基づいて投資運用業を遂行しますが、本資産運用会社において定めた投資方針・社内体制等の変更により、本投資法人の資産運用の内容が変更され、その結果、当初予定されていた収益を上げられない可能性があります(注)。
加えて、本投資口について支配権獲得その他を意図した取得が行われた場合にも、投資主総会での決議等の結果として本投資法人の運用方針、運用形態等が他の投資主の想定しなかった方針、形態等に変更される可能性があります。
(注)本資産運用会社は、本投資法人の規約に基づいて投資運用業を遂行するため、本資産運用会社の社内規程である運用ガイドラインにおいて、投資対象資産に関する取得・維持管理・売却の方針及び財務上の指針などの投資方針等を定めていますが、その内容は本投資法人の規約に反しない限度で投資主総会の承認を得ることなく、適宜、見直し、変更されることがあります。そのため、投資主の意思が反映されないまま変更される可能性があります。また、本資産運用会社は、運用ガイドラインに従いその業務を適切に遂行するため、一定の社内体制を敷いていますが、かかる社内体制について効率性・機能性その他の観点から今後も随時その見直しがなされる場合があります。
(ウ)三井不動産等との連携に関するリスク
三井不動産等は、本投資法人との間で各種の密接な関係を有しています(注1)。したがって、本投資法人が、三井不動産等との間で本書の日付現在と同一の関係を維持できなくなった場合又はサービス、助言等の提供を受けられなくなった場合には、本投資法人に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、三井不動産等の業績が悪化した場合や、三井不動産等の市場での信頼や評価(レピュテーション)が風評等により損なわれた場合等にも、本投資法人に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。
三井不動産は優先情報提供に関する契約に基づき、三井不動産が保有・運用する情報提供対象不動産
(注2)を売却しようとする場合、一定の場合を除き、本資産運用会社に対し、当該不動産に係る売却情報を提供するものとされていますが、本投資法人への売却を義務づけるものではありません。
優先情報提供に関する契約の有効期間は、2016年8月1日から2026年7月31日までとされ、更新拒絶の通知がない限り自動更新されることとされていますが、契約の更新がなされない等により契約が終了した場合、三井不動産からの情報の提供が受けられなくなるおそれがあります。
(注1)具体的には、三井不動産は本投資法人の投資主であり、本資産運用会社の株主であり、テナント・リーシング及びプロパティ・マネジメント業務の受託者であり、マーケット・リサーチ等の分野をはじめとする各種の助言の本資産運用会社への提供者であり、本資産運用会社の主要な役職員の出向元であるほか、本投資法人は、「MFLP」ブランドの使用許諾を三井不動産から受けるなど、本投資法人は、三井不動産等と強く連携し、多くのサポートを受けています。本投資法人と三井不動産との間の商標使用許諾契約の詳細については、後記「第二部 投資法人の詳細情報/第3 管理及び運営/1 資産管理等の概要/(5)その他」をご参照ください。
(注2)「情報提供対象不動産」とは、三井不動産又は三井不動産が出資や金銭の拠出等を行う不動産ファンドが保有する不動産等のうち、三井不動産が三井不動産の裁量により本投資法人に売却する可能性があると判断するものをいいます。
(エ)資産運用会社におけるインサイダー取引規制に関するリスク
本資産運用会社の役職員その他の内部者が、法規制(注1)や内部管理体制(注2)にもかかわらず、本投資法人や投資口に関する未公表の内部情報を知りつつ本投資口の取引を行う可能性があります。また、これらの者が、本投資法人に係る未公表の重要事実を第三者に伝達し又はその売買等を推奨する可能性があります。これらの場合には、投資家の信頼又は市場における信頼を損ね又は喪失する可能性があり、その結果、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります。
(注1)本投資口は、金融商品取引法で定める、いわゆるインサイダー取引規制の適用を受けます。
(注2)本資産運用会社は内部規程を設け、その役職員がかかる取引を行うことを制限しています。
③ 投資法人の運用資産:原資産である不動産特有のリスク
本投資法人は、主として不動産等を投資対象とし、また物流施設に重点投資する投資法人であり、そのため、以下のリスクがあります。
(ア)不動産の価格変動、流動性等に関するリスク
本投資法人がその運用の対象とする不動産は、一般に、価格変動にさらされているほか(注1)、相対的に他の資産に比較し流動性は低いため(注2)、本投資法人は、常にその投資方針に従った運用ができるとの保証や収益を上げられるとの保証はありません。
(注1)不動産も、それ以外の資産と同様、経済状況の変動等によりその市場価格は変動します。特に、需要の変動や競争激化など市場環境の動向や、投資採算の観点から、希望した価格や時期その他の条件での物件取得ができず、又は物件取得資金を調達できない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考えるポートフォリオの組成や、物件の取得による外部成長を達成できない可能性があります。また、本投資法人が不動産を取得した後にこれらを処分する場合にも、投資採算の視点から希望した価格や時期その他の条件で売却できない可能性があります。
(注2)不動産は、流通市場の発達した有価証券と比較すると、相対的に流動性が低いという性格を有しています。また、売買時に相当の時間と費用をかけてその物理的状況や権利関係等を詳細に調査(デュー・ディリジェンス)したにもかかわらず、本投資法人の取得後、当該不動産の物理的状況や権利関係等について重大な欠陥や瑕疵等が発見された場合には、流動性が更に低下したり、売買価格が下落したりする可能性があります。
(イ)物流施設を重点投資の対象としていることによるリスク
前記「2 投資方針/(1)投資方針」に記載のとおり、本投資法人は、先進的物流施設について引き続き底堅い需要が継続するものと考えており、物流施設、特に三井不動産クオリティを備えた先進的物流施設に対して重点的に投資を行っていく方針です。しかしながら、先進的物流施設について、希少性が高く需要が供給を上回る状態が今後とも持続する保証はありません(注1)。その場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は、上記以外にも主たる投資対象を物流施設とすることに伴う特有のリスクを抱えています(注2)。
(注1)電子商取引市場の拡大等を背景とした消費物流の潜在的需要等の先進的な物流施設に対する需要を高めていると考えられる要因に変動が生じ、又は先進的な物流施設の供給が想定以上に増加し競合状況に変化が生じることなどにより、先進的な物流施設について需要が供給を上回る状態が変動する可能性があります。
(注2)周辺環境や主要な輸送手段変化などの要因により、本投資法人が投資対象としている物流施設のテナント需要が後退した場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、当該物流施設の周辺の市街地化により、共同住宅・戸建住宅や学校・病院等の公益施設の建設が近隣で行われ、周辺環境が変動し、テナントの操業に支障が発生することがあります。その結果、テナント需要が後退する可能性があります。
また、現状の船舶、鉄道、航空機、自動車による物流輸送の役割が、技術革新や、インフラの利便性の変化、環境関連法規の制定による規制等により大きく変化し、それぞれを主要な輸送手段とする物流施設の役割が衰退することとなった場合、テナント需要が低下する可能性があります。
更に、本投資法人が投資対象としている物流施設には海外への輸出又は海外からの輸入拠点として使用される物件も含まれることから、それらの物件のテナント需要は、為替相場や経済情勢にも左右される可能性があります。
その他、景気減速により物流業界全体における全般的な景気が悪化した場合や今後の物流市場の変化に伴い、テナントのニーズそのものが変化した場合には、本投資法人の収益に悪影響が生じる可能性があります。物流施設スペースの供給過剰若しくは需要の低下又は賃料水準の低下等物流施設に関する市況悪化により物流施設が不採算となる可能性や、他の物流施設との競争の状況、物流施設への潜在的テナントの誘致力並びに既存物流施設の保守、改修及び再開発能力等によっても、本投資法人の収益は左右されます。
更には、用途指定・用途制限、収用及び再開発等に関連する法令及び税法等の改正により、これらに関する規制が変更又は強化され、物流施設運営に影響を与える場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、港湾労働法(昭和63年法律第40号。その後の改正を含みます。)(以下「港湾労働法」といいます。)に規定する港湾に所在する物流施設については、港湾労働法その他関係法令の適用を受け、また一定の事業慣行の影響を受けるため、テナントの人件費及び営業費用が他の地域に比べ高くなる場合があり、テナントの事業への悪影響を通じ本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
上記のほかにも、本投資法人が物流施設を投資対象としていることから、その建物の特性、適用規制、テナント特性等に起因して、特有のリスクが生じ、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)投資対象にインダストリアル不動産が含まれていることによるリスク
特定の又は特殊な用途に適合するように建設されたインダストリアル不動産は、用途の変更が困難である場合が多く、また、物件の特性から賃借人となりうる者が限定されることになります。したがって、既存の賃借人が退去した場合、代替賃借人が入居するまでの非稼働期間が長期化する可能性があります。また、あるインダストリアル不動産の周辺地域の宅地化・市街地化、周辺のインフラの利便性の低下、将来の生産活動、物流及び交通・通信・エネルギーその他のインフラのあり方の変化による特定のインダストリアル不動産の用途適合性の低下、喪失等を理由として当該不動産のインダストリアル不動産としての価値が損なわれ、その結果、当該インダストリアル不動産に対する賃貸需要が後退し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、インダストリアル不動産は、他の種類の不動産に比べ、立地、用途及び構造等が特殊であり、売り手及び買い手ともに限定される傾向があるため、一般的に流動性が低く、本投資法人が希望した時期及び条件でインダストリアル不動産を売却できない可能性があります。上記のほかにも、本投資法人がインダストリアル不動産を投資対象としていることから、その建物の特性、適用規制、テナント特性等に起因して、特有のリスクが生じ、これらが本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(エ)不動産の偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針/③ ポートフォリオ構築方針」に記載の方針に基づき資産の運用を行いますが、その結果、本投資法人の運用資産である物流施設は、一定地域に偏在しており、今後もその見込みです。したがって、一定地域の物流マーケットの変動や物流施設等における収益環境等の変化が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注)本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針/③ ポートフォリオ構築方針」に記載の方針に基づき資産の運用を行う結果、本投資法人の運用資産は、特に首都エリア(xxx、神奈川県、xx県、埼玉県及び茨城県)及び関西エリア(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県及び滋賀県)に偏在することが見込まれます。
(オ)不動産の瑕疵及び契約不適合に関するリスク
本投資法人が取得する不動産(不動産信託受益権の原資産たる不動産を含みます。以下同じです。)に一定の欠陥や瑕疵があった場合又は種類、品質若しくは数量に関して契約の内容に適合しない場合、本投資法人に損害が発生する可能性があります(注1、2、3、4、5)。これらの欠陥や瑕疵は、取得前にその物理的状況や権利関係等を詳細に調査(デュー・ディリジェンス)したにもかかわらず、取得後に判明する可能性もあります。加えて、我が国の法制度上、不動産登記にはいわゆる公信力がありません。したがって、不動産登記簿の記載を信じて取引した場合にも、買主は不動産に係る権利を取得できないことや予想に反して当該不動産に第三者の権利が設定されていることがあり得ます。このような場合、本投資法人は売主等に対して法律上又は契約上許容される限度で責任を追及することとなりますが、その実効性があるとの保証はなく、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注1)かかる瑕疵又は契約不適合が存在する場合として、権利、地盤、地質、構造等に関する欠陥や瑕疵があります。また、建物の施工を請負った建設会社又はその下請業者において、建物が適正に施工されない場合があり得るほか、建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合がないとの保証はありません。更に、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵又は契約不適合とされることもあり得ます。
(注2)民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)(以下「民法改正法」といいます。)による民法改正(以下「民法改正」といい、民法改正前の民法を「旧民法」といいます。)が施行された2020年4月1日より前に締結された不動産の売買においては、旧民法の規定が適用され(民法改正法附則第34条第1項等)、本投資法人が旧民法の適用される特定の不動産の売買契約において買主であった場合において、不動産に係る物理的又は法的な瑕疵があり、それが隠れたものであるときは、本投資法人は、瑕疵があることを知った日から1年以内に売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。旧民法下では、不動産の売買においては、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、旧民法第570条により買主に対して瑕疵担保責任を負うとされていたためです。しかし、上記期間制限を超えて瑕疵担保責任を追及することはできません。これに対し、民法改正法が施行された2020年4月1日以降に締結された不動産の売買においては、改正後の民法が適用され、その対象となる不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合には、特約で排除されていない限り、売主は、買主に対して契約不適合による担保責任を負うことになります。買主は、契約不適合を知った時から1年以内に、売主に対して契約不適合であることについて通知をした場合、責任を追及することができ、また、売主が不動産の引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときには、かかる期間制限なく、契約不適合による担保責任を追及することができます。買主は、契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものである場合を除き、責任の追及として、契約不適合が売主の責めに帰すべき事由によるものであるか否かを問わず、履行の追完請求権や代金減額請求権を行使することができます。また、買主は、不履行の程度が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、契約を解除することができます。更に、買主は、契約不適合について売主の責めに帰すべき事由がある場合、履行利益も含み得る損害賠償責任を追及することができます。したがって、本投資法人が特定の不動産の買主となる場合、上記に従い、本投資法人は売主に対して契約不適合による担保責任を追及することができますが、上記一定の場合を除き期間制限を超えて責任を追及することはできません。
(注3)上記に加え、本投資法人が買主であるときに、売主が既に解散・清算されている場合、又は売主が倒産し、若しくはその主要な資産が本投資法人に売却した不動産のみであったためにその資力が十分でない場合には、買主である本投資法人は、実際には売主との関係において上記の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任による保護を受けることができず、本投資法人に損害が発生することになります。また、個別の事情により、売買契約上売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する期間又は補償金額を限定し、又はこれを全く負わない旨の特約をすることがあります。本投資法人は、状況によっては、売主に対して一定の事項について表明・保証を要求する場合もありますが、売主が表明・保証した事項が真実かつ正確であるとの保証はなく、表明・保証は法律上の制度ではないため、売主が行う表明・保証の対象、これに基づく補償責任の期間又は補償金額が一定範囲に限定される場合があり、また、売主が解散し、又は無資力になっているために実効性がない場合もあります。
(注4)不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産に隠れた瑕疵又は契約不適合があった場合については、上記と同様のリスクがあります。不動産の信託契約及び受益権譲渡契約においても、売主に信託設定日等において既に存在していた原資産である不動産の瑕疵又は契約不適合について瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担させ、又は一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても、上記のように実効性がない場合があり、また、そもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である本投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当該瑕疵又は契約不適合の程度によっては、補修その他の措置をとったとしても、不動産の評価額が下落するおそれがあります。
(注5)本投資法人又は不動産信託受託者が不動産の売主となる場合には一定限度の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負うことになる場合があります。投資法人は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号。その後の改正を含みます。)(以下「宅地建物取引業法」といいます。)上宅地建物取引業者とみなされ(宅地建物取引業法第77条の2第2項)、投資法人が宅地建物取引業者でない者に対して不動産を売却する場合には、民法改正の前後を問わず宅地建物取引業法上、不動産の売主として民法上負う瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を完全に排除することができません(宅地建物取引業法第40条)。
(カ)土地の境界等に関するリスク
我が国においては、土地の境界が曖昧であることが稀ではありません。そこで、土地の境界が曖昧なために予想外の費用又は損失が発生する可能性があります(注1)。同様に、越境物の存在により、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります(注2)。
(注1)土地の境界が曖昧な不動産において、隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等の本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注2)越境物の存在により、不動産の利用が制限され賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(キ)建物の事件・事故又は天災地変に関するリスク
建物は、事件・事故又は地震・津波・火山活動や風水害等の天災地変(以下、本項において「天災地変等」といいます。)によって、毀損、滅失又は劣化する可能性があります。このような場合には、毀損、滅失した個所を修復するため予期せぬ費用が発生するばかりでなく、一定期間建物が稼働不能となることを余儀なくされ、賃料収入が減少して、費用が増加することで本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、完全な修復が行われたか否かにかかわらず、不動産の評価額が下落するおそれもあります。
本投資法人は、建物に関する災害・事故等による損害を補償する火災保険(特約による利益補償としての財産保険、家賃保険を含むことがあります。)又は賠償責任保険等を付保していますが、災害・事故等のリスクが顕在化した場合に、保険金によって、必ずしも原状回復を行うことができるとは限りません
(注1)。
加えて、天災地変等がとりわけ広い地域に被害をもたらす大地震・大津波が起こった場合もすべてのケースにおいて損害が保険等でカバーされるとは限りません(注2)。
また、天災地変等が起こった場合、本投資法人の保有する物流施設に大きな影響がなかったとしても、物流活動を支える鉄道網や道路網の寸断や毀損による利便性の低下、あるいは地盤の液状化等により、テナントの事業活動に大きな支障が生じる可能性があるほか、天災地変等により、物件の稼働を支える社会基盤(社会的インフラ)としての発電・配電設備が毀損して電力供給能力の低下が発生し、これによる電力供給不足等により物流施設の稼働に大きな支障が生じる可能性もあります。それらの結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注1)火災保険又は賠償責任保険等を付保することによって、災害・事故等のリスクが顕在化した場合にも、保険金をあてることで、原状回復を行うことが一定程度期待できます。しかしながら、個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない災害や事故等が発生する可能性等があります。また、通常の火災保険では地震による火災はカバーされていません。更に、保険会社が保険金を完全に支払わず、又は支払が遅れる可能性もあります。保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により、建物を災害・事故等の発生前の状態に回復させることができない可能性があります。
(注2)天災地変とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震・大津波が起こった場合、本投資法人の保有する複数の建物が同時に天災地変の影響を受ける可能性があります。本投資法人は、保有資産及び今後取得する資産について、専門家による地震リスク診断に基づき地震保険の付保の要否を検討・判断しますが、その結果、地震保険を付保しないこととした物流施設については、天災地変によりこれらの資産に損害が生じた場合に、保険によりこれを回復することはできません。また、地震保険を付保することとした物流施設であっても、すべてのケースにおいて損害が保険でカバーされるとは限りません。
(ク)建築基準法等の規制に関するリスク
建物は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準等を定める建築基準法の規制に服します。また、建物は、様々な規制の下にあり、国の法令のほか、各地方公共団体の条例や行政規則等(建築基準法と併せて、以下「建築基準法等」と総称します。)による規制を受けることもあります(注1)。そして、建築基準法等は、随時改正・変更されています。
また、その建築時点(正確には建築確認取得時点)においては、建築基準法等の規制上適格であった建物でも、その後の建築基準法等の改正に基づく規制の変更により、変更後の規制のもとでは不適格になることがあります(注2)。このような場合には、不動産の評価額が下落するおそれがあります。
以上のほか、土地収用法(昭和26年法律第219号。その後の改正を含みます。)や土地区画整理法(昭和 29年法律第119号。その後の改正を含みます。)のような私有地の収用・制限を定めた法律の改正等により、不動産の利用、用途、収用、再開発、区画整理等に規制が加えられ、又はその保有、管理、処分その他の権利関係等に制限が加えられることがあり、その結果、関連する費用等が増加し、又は不動産の評価額が下落するおそれがあります。
(注1)例えば、駐車場の付置義務、住宅の付置義務、福祉施設の付置義務等のほか、これらの義務に関連して、建物の新築・増築に際して地方公共団体等と協議する義務等を課されることがあります。また、道路指定により敷地面積・容積率が結果として減少することもあります。
(注2)例えば、建築基準法は、耐震基準について1981年6月にいわゆる新耐震基準を採用し、それ以降に建築されるべき建物にはそれ以前とは異なる耐震基準が適用されています。法規制の変化により、かつて法令に適合していながら後日適合しなくなった建物を「既存不適格」と呼ぶことがあります。既存不適格の建物は、これを改築したり、建替えたりしようとする際に、従前の建物と同等の建ぺい率・容積率・高さ・設備等を維持できなくなり、追加の設備が必要とされ、又は建替自体が事実上困難となる可能性があります。
(ケ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
本投資法人が取得した土地について産業廃棄物やダイオキシン等の有害物質が埋蔵されている場合、当該土地やその上の建物の価格に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替や洗浄が必要となる場合には、予想外の費用が発生する可能性があります。更に、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
特に、本投資法人が主たる投資対象とする物流施設の立地する地域は、工場跡地等の土壌汚染が懸念される地域であることが多く、上記リスクは他の物件を取得する場合に比して相対的に高いものとなります
(注1)。
また、本投資法人が取得した建物にアスベストその他の有害物質を含む建材等が使用されている場合若しくは使用されている可能性がある場合、又はPCBが保管されている場合等にも、同様の問題があります
(注2)。
更に、原子力発電所の事故等により、不動産又はその所在周辺地域において、放射能汚染又は風評被害が発生し、当該地域における社会的ないし経済的活動が阻害され、その結果、当該不動産の使用収益性やその評価額が大幅に下落するおそれがあります。
また、環境関連法令につき、将来不動産に関して規制が強化され、不動産の所有者に大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務が課され、又は過失がなくても責任を問われることとなる可能性があります。
(注1)土壌汚染等に関しては、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号。その後の改正を含みます。)に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の状況について調査報告を命じられ、又は当該汚染の除去、当該汚染の拡散の防止その他必要な措置を講ずべきことを命じられることがあります。この場合、本投資法人に多額の負担が生じる可能性があり、また、本投資法人は支出を余儀なくされた費用についてその原因となった者やその他の者から常に償還を受けられるとは限りません。
(注2)本投資法人が取得した建物にアスベストその他の有害物質を含む建材等が使用されている場合、若しくは使用されている可能性がある場合、又はPCBが保管されている場合等には、当該不動産の評価額が大幅に下落するおそれがあります。また、かかる有害物質を除去するために建材の全面的又は部分的交換が必要となる場合には予想外の費用が発生する可能性があります。更に、有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人がかかる損害を賠償する義務を負担する可能性があります。
(コ)埋立地に関するリスク
本投資法人の保有資産に埋立地に所在する不動産が含まれる場合、土地に有害物質が含まれているリスクや災害等により被害を受けるリスクがあります(注1、2)。これらの理由により当該不動産が被害を受けた場合、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があるほか、当該不動産の評価額が下落するおそれがあります。
(注1)埋立地に所在する不動産には、埋立に使用した土壌に有害物質が含まれている等の理由により、土地に有害物質が含まれている可能性があります。当該土地に有害物質が含まれる場合のリスクの詳細については、前記「(ケ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク」をご参照ください。
(注2)埋立地は沿岸部に所在することも多く、津波、高潮その他の災害、海面上昇等による被害を受ける可能性があります。更に、埋立地の地盤は、軟弱である可能性があることから、当該土地上の建物について、不等沈下その他の沈下を生じる可能性があるほか、地震の際には液状化による沈下や毀損等の被害を生じる可能性もあります。かかる災害が生じた場合のリスクの詳細については、前記「(キ)建物の事件・事故又は天災地変に関するリスク」をご参照ください。
(サ)不動産の所有者責任に関するリスク
本投資法人の不動産の設置又は保存に瑕疵があり、それを原因として、第三者に損害を与えた場合には、直接又は不動産信託受託者を通じて間接的に、本投資法人が損害賠償義務を負担するおそれがあります(注1)。
本投資法人は、その運用資産に関し、賠償責任保険その他の適切な保険等を付保する方針ですが、すべてのケースにおいて損害が保険等でカバーされるとは限りません(注2)。
(注1)土地の工作物(建物を含みます。)の設置又は保存に瑕疵があり、そのために第三者に損害を与えた場合には、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合には、その所有者が損害の賠償義務を負うとされ、この所有者の義務は無過失責任とされています(民法第717条)。
(注2)個々の不動産に関する状況により保険契約が締結されない可能性、保険金の上限額を上回る損害が発生する可能性、保険でカバーされない損害が発生する可能性等があります。また、保険会社が保険金を完全に支払わず、又は支払が遅れる可能性もあります。
(シ)共有物件に関するリスク
本投資法人が保有する不動産が第三者との間で共有されている場合には、当該不動産の持分を譲渡する場合における他の共有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履行義務等、共有者間で締結される協定書又は規約等による一定の制限に服することがあります。
また、不動産を単独で所有している場合に比べ、共有不動産は、法的に様々な側面で制約を伴います。まず、共有不動産において、特に本投資法人が持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管
理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります(注1)。また、他の共有者によって、本投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります(注2)。
共有不動産を賃貸する場合、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部の差し押さえを行うおそれがあるなど、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります
(注3)。
更に、不動産を共有する場合、他の共有者から共有物の分割請求(民法第256条)を受けるおそれがありますが、その場合、本投資法人の意向にかかわらず、当該共有不動産を分割せざるを得なくなるなどの可能性があります(注4)。
共有者は、自己の共有持分を自由に処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の共有者が変更される可能性があります。
また、本投資法人の不動産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、分割後の本投資法人の不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶ可能性があります(注5)。
以上のとおり、共有不動産については、単独所有の場合と比べて上記のような制限やリスクがあり、その結果、流動性が低くなるおそれや不動産の評価額が減殺されるおそれがあります。
(注1)共有者間で別段の定めをした場合を除き、共有物の変更に当たる行為には共有者全員の合意を要し(民法第251条)、変更に当たらない管理は共有者の持分の過半数で決定する(民法第252条)ものとされています。
(注2)共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるかかる権利行使によって、本投資法人の当該不動産の利用が妨げられる可能性があります。
(注3)共有不動産を賃貸する場合、賃料債権は不可分債権と解されるおそれがあり、また、敷金返還債務は不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の共有者(賃貸人)の債権者が当該共有者の持分の割合を超えて賃料債権全部を差し押さえ、又は他の共有者がテナントからの敷金返還債務をその持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が敷金全額を返還せざるを得なくなる可能性があります。これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた賃料のうち自己の持分に応じた金額の支払や返還した敷金のうち他の共有者の持分に応じた金額の償還を当該他の共有者に請求することができますが、当該他の共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることがで
きない可能性があります。共有不動産に課税される固定資産税等の公租公課、共有不動産の修繕費、保険料等にも、他の共有者が債務を履行しない場合につき、同様の問題があります。
(注4)他の共有者から共有物の分割請求(民法第256条)を受け、他の共有者から共有物の分割請求が権利の濫用等として排斥されない場合で、現物による分割が不可能である場合又は著しくその価値を損なうおそれのある場合は、本投資法人の意向にかかわらず、裁判所により共有物全体の競売を命じられる可能性があります(民法第258条第2項)。共有者間で不分割の合意をすることは可能ですが(民法第256条)、合意の有効期間は5年以内とされています。しかも、不動産に関する不分割特約は、その旨の登記をしなければ当該不動産の共有持分の譲受人等第三者に対抗できないことがあります。また、共有者において、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は、特約があっても、管財人等は分割の請求をすることができます。但し、共有者は、破産手続、会社更生手続又は民事再生手続の対象となった他の共有者の有する共有持分を相当の対価で取得することができます(破産法第52条、会社更生法第60条、民事再生法第48条)。
(注5)他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。
(ス)借地権に関するリスク
本投資法人は借地権(土地の賃借権及び地上権)と借地権設定地上の建物(以下「借地物件」といいます。)に投資することがありますが、借地物件は、土地建物ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、借地権は、期限の到来等の事由により(注1)又は借地権者側に地代不払等の債務不履行等を原因として解除されることにより消滅します。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して敷地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても本投資法人が希望した価格で買い取られる保証はありません。
更に、敷地等が売却され、又は抵当権の実行により処分される場合において、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できない可能性があります(注2)。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、本投資法人が希望した価格や時期その他の条件で建物を処分することができないおそれがあります(注3)。
また、本投資法人が借地権を取得するに際して保証金を預託することもあり得ますが、敷地を返還する際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。
上記に加えて、建築基準法に基づく制度により、敷地利用権として隣接地等の余剰容積が移転されている場合があり(以下「空中権」といいます。)、借地権と同様に期間満了又は建物の滅失等により空中権が消滅する場合があります。
(注1)敷地利用権は、土地の賃借権の場合も地上権の場合も、永久に存続するものではありません。敷地利用権のうち、普通借地権の場合は期限の到来時に借地権設定者側に更新を拒絶する正当な事由がある場合には消滅することとなります。また、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅します。特にこのように期限の到来により当然に消滅する定期借地権を敷地利用権とする借地物件の場合、投資主価値の向上に資するか否かを様々なファクター(例えば、残存期間の長短、残存期間満了時までに十分な投資回収が得られるか、期間満了時の建物等の除却損の悪影響、敷地の底地部分を取得しないことでの投資リターンの有利性等)を考慮要素として本投資法人は投資を行うか否かを慎重に判断します。しかしながら、投資判断を実施した時点で想定した上記各種ファクターが想定どおりに投資主価値の向上に資する結果をもたらすとの保証はありません。その結果、借地物件(特に定期借地権付き借地物件)については、敷地利用権消滅時までに、本投資法人が想定した投資リターン等を十分に得られないおそれがあります。
(注2)敷地又はこれに面する道路が売却され、又は抵当権の実行により処分されると、本投資法人が借地権について民法又は借地借家法(平成3年法律第90号。その後の改正を含みます。)(以下「借地借家法」といいます。)等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、又は競売等が先順位の対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合には、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できません。
(注3)借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し又は譲渡するに際し、賃貸人の承諾が必要とされますが、かかる承諾が速やかに得られる保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払を要求されることがあります。その結果、本投資法人が希望した価格や時期その他の条件で建物を処分することができないおそれがあります。
(セ)売主の倒産等の影響に関するリスク
本投資法人が不動産を取得した直後に、売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産の売買契約等が否認されるなどにより本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注1)。倒産手続が開始されない場合であっても、売主の財務状況が劣悪である場合には、当該不動産に係る売買契約が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。
また、上記否認の問題は、売主の前所有者(本投資法人から見て前々所有者等)が倒産した場合にも生じ得ます(注2)。
本投資法人においては、売主等の財務状況等も十分に検討した上で投資を決定しますが、売主又はその前所有者に関する正確な財務情報が入手できる保証はなく、上記リスクが現実化することにより、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注1)本投資法人が不動産を取得した直後に、売主について破産手続、民事再生手続、会社更生手続等の倒産手続が開始された場合、当該不動産の売買契約又はその対抗要件具備行為は、倒産した売主の管財人等により否認される可能性があります。この場合、不動産は、破産財団等に取戻される一方で、本投資法人が売主に支払った売買代金等の返還請求権は、倒産手続における平等弁済の対象となり、著しく低い金額しか回収できないことがあります。また、売主につき倒産手続が開始された場合、裁判所又は管財人等が、本投資法人を買主とするある売買取引を、担保付融資取引の性質を持つ取引であると法的に評価し、その結果、当該不動産がなおも売主(倒産手続であればその財団等)に属すると判断することがあります。この場合には、本投資法人は、あたかも当該不動産についての担保権者であるかのように取り扱われ、担保権(とみなされた権利)の行使に対する制約を受けることとなります。特に、会社更生手続では、担保権の実行は会社更生手続に従って行われ、弁済金額が切下げられることとなるなど、担保権の実行を手続外で行える破産手続等に比較して、本投資法人により大きな損害が発生する可能性があります。
(注2)本投資法人が、不動産を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である本投資法人にも及ぶことになります(破産法第170条、会社更生法第93条、民事再生法第134条)。
(ソ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価を示したものに留まり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません(注
1)。また、かかる鑑定及び価格調査の結果は、現在及び将来において当該鑑定評価額や調査価格による売買を保証又は約束するものではなく、不動産が将来売却される場合であっても当該鑑定評価額又は当該調査価格をもって売却されるとは限りません。
建物の構造、耐震性、法令や条例の適合状況、有害物質等の有無、隣地との境界等に関するER(エンジニアリング・レポート)や地震リスク評価報告書についても、専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に土壌汚染等の環境上の問題又は欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではありません(注2)。
また、不動産の地震リスク分析の結果算出されるPML値も個々の専門家の分析に基づく予想値にすぎません。PML値は、予想損失額の再調達価格に対する比率で示されますが、将来地震が発生した場合、予想以上に多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
その他、不動産に関しては、様々な専門家が国家又は民間団体の資格認定を受けて業務を遂行していますが、すべての専門家が常に過誤なくあらゆる業務を遂行できるとの保証はありません。本資産運用会社は、資格を有する外部の専門家の判断や報告に依拠して、本投資法人による資産取得を行いますが、その専門家の判断や報告が後に誤っていたとされるおそれがあり、その場合、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(注1)不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格における、その評価の目的・方法は、必ずしも転売や再取得の場合における市場価格を算出することではありません。したがって、同じ不動産について鑑定等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額や調査価格が異なる可能性があります。
(注2)ER(エンジニアリング・レポート)や地震リスク調査評価報告書は、個々の専門家が行った分析に基づく意見の表明であり、評価方法、調査の方法等によってその内容が異なる可能性があります。また、かかる報告書は、専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に土壌汚染等の環境上の問題又は欠陥、瑕疵等が存在しないことを保証又は約束するものではなく、本投資法人による取得後に、取得した不動産に欠陥や瑕疵等が判明する可能性があります。
(タ)マーケットレポートへの依存に関するリスク
本投資法人は、物件の取得や売却に際し、第三者である専門家によるマーケットレポートでの分析を投資判断の材料とする場合があります。しかしながら、マーケットレポートは、個々の専門家の分析に基づく意見の表明であり、客観的に適正なエリア特性、需要と供給、マーケットにおける位置づけ等と一致するとは限りません(注)。
(注)同じ物件について調査分析を行った場合でも、調査分析会社、分析方法又は調査方法若しくは時期によってマーケットレポートの内容が異なる可能性があります。特に物流施設に関する情報はオフィスビルや住宅に比べるとサンプル数が少ない等、投資判断に必要なすべての情報が網羅されているわけではありません。
(チ)収入及び支出に関するリスク
本投資法人の収入は、本投資法人が取得する不動産の賃料収入に主として依存します。不動産に係る賃料収入は、様々な要因により減少する可能性があります(注1)。
一方、本投資法人の主要な営業費用は減価償却費、固定資産税や都市計画税等の固定的な費用で構成されており、賃料収入が減少した場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、退去するテナントへの敷金及び保証金の返還、多額の資本的支出、不動産の取得等に要する費用、その他不動産に関する支出が状況により増大する可能性があります(注2)。
更に、賃貸借契約上、賃借人が解約権を留保している場合等には、契約期間中であっても賃貸借契約が終了する場合があります。また、契約期間が満了する際、常に契約が更新されるとの保証はありません。これらの場合、稼働率が低下し、不動産に係る賃料収入が減少することがあります。賃貸借契約において、賃貸借契約が更新される際の更新料、契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金に関して敷金・保証金の没収について規定することがありますが、かかる規定は状況によってはその全部又は一部が無効とされ、その結果、本投資法人に予想外の収入の減少をもたらす可能性があります。
(注1)不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下等により大きく減少する可能性があるほか、市場環境の影響も受けやすく、また、賃借人との協議や賃借人からの請求等により賃料が減額されること等により減少する可能性があります。更に、賃借人の財務状況が悪化した場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があるほか、この延滞賃料、原状回復費用その他の損害金等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況となる可能性があります。本投資法人の主たる投資対象である物流施設に関するテナントとの賃貸借契約の期間は、比較的長期間であることが一般的ですが、このような契約においても、賃料等の賃貸借契約の内容について、定期的に見直しを行うとされていることがあります。また、テナントは、定期賃貸借契約において明文で排除されている場合を除き、賃料が不相当に高い場合には借地借家法に基づく賃料減額請求権を行使することができます。したがって、本書の日付現在の賃料が今後も維持される保証はなく、賃料改定又は賃料減額請求により賃料が減額されることにより不動産に係る賃料収入が減少する可能性があります。
(注2)民法改正後の民法においては、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、若しくは賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情がある場合、賃借人が修繕権を持つものとされています。かかる修繕権を賃貸借契約上特約で排除していない場合、予期しない金額で賃借人が賃貸人のコントロールの及ばない修繕を行うおそれがあり、かかる費用の請求を受けるおそれがあります。
(ツ)PM会社に関するリスク
本投資法人は、建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理の委託先として、その資質、経験、ノウハウ、テナントリレーション等を総合的に勘案し、原則として、三井不動産をPM会社に選定する方針としていますが、選定したPM会社における業務遂行能力が低下した場合等においては、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等により本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注)。
(注)建物の保守管理、テナントの管理を含めた不動産の管理は、本投資法人の収益性を確保する観点から重要ですが、その良否は、建物を管理するPM会社の能力、経験、ノウハウによるところが大きく、その結果、PM会社の業務遂行能力に大きく依拠することになります。本投資法人は、原則として、三井不動産をPM会社に選定する方針としていますが、選定したPM会社における人的・財産的基盤が今後とも優良であるとの保証はありません。したがって、PM会社の業務遂行能力が低下した場合やPM会社が交替する場合には、当該不動産の管理状況が悪化し、収益の悪化等により本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
(テ)少数のテナントやシングル・テナントに関するリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、一部の少数のテナント又は単一のテナントに物件全体を賃貸することがあります。このような物件においては、様々な要因により、賃料収入が大きく減少するリスクや一度に多額の支出を余儀なくされるリスクがあります(注1)。
更に、このようなシングル・テナント又は少数の核となる大規模テナントに賃貸する物件においては、当該テナントとの合意に基づき、物件の自由な売却その他の処分が制限される場合があります(注2)。かかる合意がなされている場合、本投資法人が希望した時期及び条件で取得及び売却することができない可能性や不動産の評価額が減殺される可能性があります。
(注1)少数のテナントやシングル・テナント物件においては、既存テナントの営業状況又は財務状況が悪化し、賃料支払が遅延したり、物件から退去した場合に、当該物件の稼働率が大きく減少し、代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなり、賃料収入に大きな影響を及ぼす可能性があり、更に敷金等の返還のため一度に多額の資金の支出を余儀なくされる可能性もあります。また、新たなテナントの要望に合わせて本投資法人の負担で大規模な工事を行わざるを得なくなる可能性もあります。特に、特定のテナントのニーズに合わせて開発されるビルド・トゥ・スーツ型物流施設において、これらのリスクが顕著となる可能性があります。
(注2)シングル・テナント又は少数の核となる大規模テナントに賃貸する物件においては、当該テナントとの間で、優先購入権や処分禁止に関する合意(その内容は様々です。)がなされることがあり、物件の所有権又はこれらを信託財産とする信託の受益権を第三者に売却しようとする場合に、当該テナントに優先購入権が与えられている等により、物件の自由な売却その他の処分が制限される場合があります。
(ト)特定の物件への依存度が高いことに係るリスク
本投資法人が投資対象とする物流施設は相対的に大規模かつ高額な資産であるため、本投資法人のポートフォリオは、特定の物件への依存度が高くなる傾向があり得ます。したがって、そのうちのいずれかの物件が何らかの理由で毀損、滅失若しくは劣化し、又はオペレーションが困難となる事由が生じた場合、更にはその主要なテナントの営業状況又は財務状況が悪化したり、物件から退去した場合には、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ナ)敷金及び保証金に関するリスク
不動産賃貸においては、賃借人が多額の敷金及び保証金を長期間にわたって無利息又は低利で賃貸人に預託することが多く、本投資法人は、今後、これらの資金を資産の取得資金や資産の運用に係る支出の一部として活用することを想定しています。しかし、賃貸市場の動向、賃借人との交渉等により、本投資法人の想定よりも賃借人からの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は預託期間が短くなる可能性があります。この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ニ)転貸に関するリスク a.転借人に関するリスク
本投資法人は、その保有する不動産につき、転貸を目的として賃借人に賃貸することがあります。このように、賃借人に不動産の全部又は一部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなる可能性や、退去させられなくなる可能性があります。また、賃借人の賃料が転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、転貸を目的として賃借人に賃貸する場合、賃借人の財務状態の悪化により、賃借人の債権者が賃借人の転借人に対する賃料債権を差し押さえる等により、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります。
b.敷金等の返還義務に関するリスク
転貸借関係における賃貸借契約が合意解約された場合その他一定の場合には本投資法人が転貸人の地位を承継し、転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が本投資法人に承継される可能性があります。このような場合、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ヌ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産を取得するにあたり、いわゆるフォワード・コミットメント等(「先日付の売買契約であって、契約締結から一定期間経過した後に決済・物件引渡しを行うことを約する契約」をいいます。)を行うことがあります。フォワード・コミットメント等の場合には、契約締結後、決済・物件引渡しまでに一定の期間があるため、その期間における市場環境の変化等により本投資法人が不動産取得資金を調達できない等の理由により、売買契約を解約せざるを得なくなった場合には、違約金等の支払により、本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注)。
(注)フォワード・コミットメント等において、買主の事情により不動産売買契約が解約された場合には、買主は債務不履行による損害賠償義務を負担することとなります。また、損害額等の立証にかかわらず、不動産売買価格に対して一定の割合の違約金が発生する旨の合意がなされることも少なくありません。
(ネ)地球温暖化対策に関するリスク
法律又は条例により、地球温暖化対策として、一定の不動産の所有者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量制限の義務が課されることがあります。これらの制度の創設又は拡充に伴い、排出量削減のための建物改修工事を実施したり、排出権等を取得する等の負担を余儀なくされる可能性があります。
また、物流施設のテナントの事業はトラック輸送に大きく依存しているため、地方公共団体の自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質の総量規制等の規制が強化された場合、テナントの費用が増加する結果、物流施設に対する需要が縮小する可能性があります。
(ノ)開発物件に関するリスク
本投資法人は、運用ガイドラインにおいて、未稼働の不動産は、原則としてその投資対象としていませんが、例外的に未稼働の不動産への投資を検討する場合があります。未稼働の段階で売買契約を締結する場合には、様々な事由により、開発が遅延し、変更され、又は中止されることにより、売買契約どおりの引渡しを受けられない可能性があるほか、入居率において不確実性が存在する可能性があります。この結果、未稼働物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、収益等が全く得られなかったり、又は予定されていない費用、損害若しくは損
失を本投資法人が負担し若しくは被る可能性があり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)太陽光発電設備が付帯した物件に関するリスク
本投資法人の保有資産には太陽光発電設備が付帯している物件が含まれており、保有資産における当該太陽光発電設備は売電事業者に対して賃貸されています。当該売電事業者との賃貸借契約上、賃料については、売電事業者による売電事業の売電収入に連動する変動賃料制となっています。したがって、本投資法人の賃料収入は売電事業者の売電事業の成果により影響を受けることになります。
売電事業については、天候、売電事業者間の競争環境、売電事業に関する国の施策及び規制その他様々な要因によるリスクを伴い、これらの要因により、当該売電事業者による売電事業の売電収入が減少した場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
本投資法人が、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、以下のような信託の受益権特有のリスクがあります(注)。
(注)以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号。その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、同日施行の信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号。その後の改正を含みます。)(以下
「信託法整備法」といいます。)による改正前の信託法(大正11年法律第62号。その後の改正を含みます。)を「旧信託法」といい、信託契約に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託契約については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法整備法第2条)。
(ア)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは信託の利益を享受するものですが、一旦不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、原資産が不動産、不動産の賃借権又は地上権である場合と実質的にほぼ同じリスクを受益者たる本投資法人が負担することになり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。
(注)旧信託法の下では、受託者が信託事務の処理上発生した信託財産に関する租税、受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等の信託費用については、最終的に受益者が負担することになっています(旧信託法第36条第2項)。すなわち、信託受託者が信託財産としての不動産を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人が不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、信託財産に関する十分なデュー・ディリジェンスを実施し、保険金支払能力に優れる保険会社を保険者、受託者を被保険者とする損害保険を付保すること等、本投資法人自ら不動産を取得する場合と同等の注意をもって取得する必要があり、一旦不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、原資産が不動産、不動産の賃借権又は地上権である場合と実質的にほぼ同じリスクを受益者たる本投資法人が負担することになります。他方、新信託法の下では、旧信託法第36条第2項が廃止され、原則として信託受益者がこのような責任を負うことはなくなりましたが、信託受益者と信託受託者の間で信託費用等に関し別途の合意をした場合には、当該合意に従い信託受益者に対し信託受託者から信託費用等の請求がなされることがあり(新信託法第48条第5項、第54条第4項)、その場合には同様に本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
本投資法人が信託受益権を保有し、信託受託者を通じて信託財産としての不動産を処分する場合には、既に述べた不動産の流動性リスクが存在します。また、信託受益権を譲渡しようとする場合には、契約上、信託受託者の承諾が必要とされるのが通常です。更に、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する場合の信託受益権については金融商品取引法上の有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため(新信託法第94条)、株券や社債券のような典型的な有価証券と同等の流動性があるわけではありません。また、信託受託者は原則として瑕疵担保責任を負っての信託財産である不動産の売却を行わないため、本投資法人の意思にかかわらず信託財産である不動産の売却ができなくなる可能性があります。
(ウ)信託受託者に関するリスク a.信託受託者の破産・会社更生等に関するリスク
信託法上、信託受託者が倒産手続の対象となった場合に、登記等の対抗要件を具備している限り、信託財産が信託受託者の破産財団又は更生会社の財産その他信託受託者の固有財産に帰属するリスクは極めて低いと判断されます(注)。但し、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要があります。したがって、本投資法人は、不動産を信託する信託の信託受益権については、信託設定登記がなされるものに限り投資を行う予定です。しかしながら、必ずこのような取扱いがなされるとの保証はありません。
(注)信託財産が破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に属するか否かに関しては、旧信託法の下では、明文の規定はないものの、同法の諸規定、とりわけ信託財産の独立性という観点から、上記のとおりと解されています。新信託法においては、信託財産は信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第1項、第4項及び第7項)。
b.信託受託者の債務負担に伴うリスク
信託受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、又は信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うこととなった場合には、信託受益者である本投資法人に予想外の損害が発生する可能性があります(注)。
(注)かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を受益者に認めていますが、本投資法人は、常にかかる権利の行使により損害を免れることができるとは限りません。
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、準共有されている信託受益権の信託財産である不動産の管理及び運営については、準共有者全員の承諾がない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります(注1)。また、信託契約において別の意思決定の方法が定められている場合でも、当該方法が本投資法人の意向を反映するような形で定められている保証はなく、同様に信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
準共有持分の処分については、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります(注2)。一方で、準共有者の間において信託契約とは別の協定書等において、準共有者が準共有持分を処分する場合に他の準共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履行義務等が課されることがあります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の準共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその準共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
また、他の準共有者の債権者が当該準共有者の準共有持分の割合を超えて信託交付金請求権全部を差し押さえ、又は他の準共有者が信託受託者からの信託費用等の請求をその準共有持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が請求された全額を支払わざるを得なくなる可能性があります(注3)。不動産自体が共有されている場合と同様、これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた信託交付金請求権のうち自己の準共有持分に応じた金額の支払や支払った信託費用等のうち他の準共有者の準共有持分に応じた金額の償還を当該他の準共有者に請求することができますが、当該他の準共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。
(注1)旧信託法の下では所有権以外の財産権の準共有については、所有権の共有に関する規定が可能な限り準用されます
(民法第264条)。新信託法の下では信託受益者が複数の場合の意思決定の方法に関する明文規定があり(新信託法第 105条以下)、信託受益権が準共有されている場合にもかかる規定の適用があるものと解されるため、所有権の共有に関する民法の規定に優先してかかる規定がまず適用されます。旧信託法の下では、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有されている信託受益権の変更に当たる行為には準共有者全員の合意を要し(民法第251条)、変更に当たらない管理は、準共有者の準共有持分の過半数で決定する(民法第252条)ものと考えられます。したがって、本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。一方、新信託法の下では、信託契約において意思決定の方法が定められていない場合、一定の行為を除き、準共有者の全員一致によることになるものと解されます
(新信託法第105条第1項本文)。
(注2)旧信託法及び新信託法いずれの下でも、準共有者は、信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができます。
(注3)別段の合意のない限り、信託受益権の準共有者が信託受託者に対して有する信託交付金の請求権は不可分債権と解されるおそれがあり、また、信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、不可分債務であると一般的には解されています。
⑤ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が出資する匿名組合では、本投資法人の出資を営業者が不動産に投資しますが、当該不動産に係る収益が悪化した場合、当該不動産の価値が下落した場合や匿名組合に係る不動産が想定した価格で売却できない場合等には、当該匿名組合出資持分より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により、本投資法人が営業者に出資した金額を回収できない等、本投資法人に損害が発生する可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されている場合があり、又は、確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、希望した価格や時期その他の条件で譲渡できる保証はありません。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が開発する新規物件に係る優先交渉権の取得を目的として行われることがありますが、かかる優先交渉権により当該新規物件を取得できる保証はありません。
⑥ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、資産の流動化に関する法律(平成10年法律第105号。その後の改正を含みます。)(以下「資産流動化法」といいます。)に基づく特定目的会社の優先出資証券への投資を行うことがありますが、特定目的会社の投資する不動産に関する収益が悪化した場合や当該不動産の価値が下落した場合又は特定目的会社の開発する不動産が予想した価格で売却できない場合、更には導管体である特定目的会社において意図されない課税が生じた場合等には、本投資法人が投資した当該優先出資証券より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により、本投資法人に損害が発生する可能性があります。また、優先出資証券については確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、希望した価格や時期その他の条件で譲渡できる保証はありません(注)。
(注)本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社がその資産の2分の1を超える額を不動産に投資することを目的とする場合、その優先出資証券への投資を行うことがあります。かかる優先出資証券への投資を行う場合には、本投資法人は、税法上の配当等の額の損金算入要件(以下「導管性要件」といいます。)(導管性要件の詳細については、後記「⑦ 税制等に関するリスク/(ア)導管性の維持に関する一般的なリスク」をご参照ください。)に抵触することなく保有する意向です。
⑦ 税制等に関するリスク
(ア)導管性の維持に関する一般的なリスク
税法上、導管性要件を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4 手数料等及び税金/(5)課税上の取扱い」に記載する配当等の額を投資法人の損金に算入することが認められています。導管性要件のうち一定のものについては、計算期間毎に判定を行う必要があります(以下「継続的導管性要件」といいます。)が、本投資法人において継続的導管性要件が今後ともすべての計算期間において必ず満たされるとの保証はありません。本投資法人の投資主の異動・減少、借入金の借入先、分配金支払原資の制限・不足、法律の改正その他の要因により導管性要件を満たすことができない計算期間が生じた場合、本投資法人の税負担が増大するため、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があり、その結果、本投資口の市場価格に悪影響が生じることがあります(注)。
なお、課税上の取扱いについては、後記「4 手数料等及び税金/(5)課税上の取扱い」をご参照ください。
(注)現行税法上、導管性要件を満たさなかったことについてやむを得ない事情がある場合の救済措置が設けられていないため、後記「(エ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク」に記載する同族会社化の場合等、本投資法人の意図しないやむを得ない理由により要件を満たすことができなかった場合においても、配当等の額を損金算入できなくなります。
(イ)過大な税負担の発生により支払配当要件が満たされないリスク
継続的導管性要件の一つに、租税特別措置法施行令(昭和32年政令第43号。その後の改正を含みます。)(以下「租税特別措置法施行令」といいます。)に規定する配当可能利益の額の90%超の金銭の分配を行うことという要件(以下「支払配当要件」といいます。)があります。支払配当要件においては、投資法人の税引前の会計上の利益を基礎として判定を行うこととされているため、会計処理と税務上の取扱いの差異等により、過大な税負担が発生した場合等には、この要件を満たすことが困難となる計算期間が生じる可能性があります(注)。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配金等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注)2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(後記「4 手数料等及び税金/(5)課税上の取扱い」をご参照ください。)を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ウ)借入れに係る導管性要件に関するリスク
継続的導管性要件の一つに、投資法人が租税特別措置法に規定する機関投資家以外の者から借入れを行っていないことという要件があります。本投資法人が何らかの理由により上記機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、機関投資家以外の者に借入れにかかる債権を譲渡された場合、又は、保証金若しくは敷金の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合には、この要件を満たすことが困難となる計算期間が生じる可能性があります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配金等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(エ)同族会社要件について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
継続的導管性要件の一つに、租税特別措置法施行令で定める同族会社に該当しないことという要件があります(注)。本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、公開買付等により、この要件を満たすことが困難となる計算期間が生じる可能性があります。本投資法人が同族会社要件を満たさなくなった場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより税負担が増大し、投資主への分配金等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(注)継続的導管性要件のうち、計算期間末において同族会社のうち租税特別措置法施行令で定めるものに該当していないこと
(発行済投資口の総数又は一定の議決権総数の50%超が1人の投資主グループによって保有されていないこと等)とする要件があります。
(オ)投資口を保有する投資主数について本投資法人のコントロールが及ばないことによるリスク
継続的導管性要件の一つに、計算期間末において投資法人の投資口が租税特別措置法に規定する機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資主に保有されることという要件があります。しかし
ながら、本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資法人の投資口が50人未満の投資主により保有され(上記の機関投資家のみに保有される場合を除きます。)、この要件を満たすことが困難となる計算期間が生じる可能性があります。かかる要件を満たさなくなった場合、配当等の額を損金算入できなくなることにより税負担が増大し、投資主への分配金等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(カ)税務調査等による更正処分のため、追加的な税金が発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違により過年度の課税所得計算について追加の税務否認項目等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することとなり、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(キ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、本書の日付現在において、一定の内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産取得税及び登録免許税の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができなくなる可能性があります。
(ク)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、信託の受益権その他投資法人の運用資産に関する税制若しくは投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資口に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による手取金の額が減少する可能性があります。
(ケ)減損会計の適用に関するリスク
本投資法人においても、企業会計の基準・慣行に従い「減損会計」が適用されることから、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。
(注)固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)が、 2005年4月1日以降に開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第1期計算期間より「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(詳細については、後記「4 手数料等及び税金/(5)課税上の取扱い」をご参照ください。)を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
⑧ 海外不動産への投資に関するリスク
(ア)海外不動産等の取得及び管理運用に関するリスク
本投資法人の規約上、海外不動産等を取得することが許容されており、本投資法人は、将来、海外不動産等を取得することがあります。本資産運用会社は、海外不動産等の取得・管理運用の経験を有しておらず、実際に海外不動産等の取得・管理運用を行う際には、日本国内における一般的な取扱いとの相違等のため、不測の事態が発生し、想定する海外不動産等の取得を実行できず、又は取得した海外不動産等につき管理運用上の問題が発生する可能性があり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(イ)投資対象地域に関するリスク
本投資法人は、海外不動産等への投資を行うに際し、また投資の後において、海外不動産等の所在する国又は地域(所在国)の政府による統制、複数の管轄権での課税、外国為替規制、海外不動産等への投資から生じる収益を日本国内に送金することができないリスク、投資対象不動産等の所在国の政治・経済・文化・宗教その他の社会情勢の変化や悪化、税法を含む各種法令等の改正、為替レートの変動、金融市場や経済環境が世界的に悪化することに伴うリスク等にさらされるおそれがあります。かかる国際的要因に伴うリスクが現実化する場合には本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
更に、日本と海外不動産等の所在国との関係が悪化した場合には、本投資法人の当該所在国での事業が制限又は禁止される可能性があり、本投資法人は、これらのリスクを適切に管理できない場合、本投資法
人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、日本と諸外国との間の関係の悪化により、海外不動産の価値に悪影響が生じるおそれがあります。また、所在国において、紛争等が生じ、現地の不動産の価値が減損するおそれがあります。
(ウ)外国為替についての会計処理に関するリスク
本投資法人は、海外不動産等への投資に関して外貨建ての取引を行う場合があります。そのような取引では為替レートの変動に係るリスクを有しており、為替レートの変動は本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。外国通貨に対して円高が進んだ場合、海外不動産等への投資に関して発生する外貨建て取引の円換算額が目減りし、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、海外不動産等への投資に関して外貨建て資産及び負債が発生する場合には、それらの一部の項目は、財務諸表作成のために決算時の為替レートにより円換算されます。これらの項目は、為替変動により本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(エ)海外不動産等への減損会計の適用に関するリスク
海外不動産等への投資についても、国内不動産と同様、減損会計の適用を受けます。減損会計の適用に関するリスクについては前記「⑦ 税制等に関するリスク/(ケ)減損会計の適用に関するリスク」に記載のとおりです。
(オ)外国法人税の発生により分配金が減少するリスク
本投資法人は海外不動産等の所有権を直接又は信託等を通じて取得する場合、投資先である現地において法人税等を負担する可能性があります。また、本投資法人が海外不動産保有法人を通して海外不動産等へ投資する場合、現地の法令に基づき、海外不動産保有法人において不動産の賃貸収益や売却益に対して法人税等が課税される可能性があります。この場合、本投資法人は海外不動産保有法人から課税後の配当
(又は利子)を受け取ることになりますが、海外不動産保有法人所在国の税制等により、当該配当(又は利子)に源泉税が課される可能性があります。本投資法人が現地で負担した法人税等及び配当(又は利子)に課された源泉税(以下「外国法人税」といいます。)は、投資主へ支払う利益の範囲内で行う金銭の分配に係る源泉所得税の額から控除する取扱い(以下「控除外国法人税の額の控除」といいます。)になっていますが、控除外国法人税の額の控除はその源泉所得税の額を限度とするため、多額の外国法人税が発生した場合には源泉所得税の額から控除しきれない可能性があります。また個人投資主が、NISA(ニーサ)口座で利益の範囲内で行う金銭の分配を受け取る場合にはそもそも源泉徴収されないので、控除外国法人税の額の控除の適用もありません。外国法人税が利益の範囲内で行う金銭の分配に係る源泉所得税の額から控除しきれない場合には、分配金の手取額がその分減少する可能性があります。
⑨ その他
(ア)取得予定資産を組み入れることができないリスク
本投資法人は、本投資法人が今後取得を予定する資産(以下「取得予定資産」といいます。)について契約を締結したとしても、購入できるとの保証はなく、取得予定資産を購入することができない場合、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります(注)。
(注)本投資法人は、本書の日付現在保有する資産の運用のみを目的としているものではなく、ポートフォリオの質の向上、ひいては投資主価値の最大化に資するため、規約及び運用ガイドラインに基づき、新たな資産取得に向けた市場調査や情報の入手並びに資産譲渡の実現可能性の把握等に努めており、また、必要に応じ、資産取得又は資産譲渡の検討や関係者との協議を行っています。したがって、今後、本投資法人の行う資産の運用において、本投資法人が本書の日付現在保有する資産以外の資産の取得、又はこれらの一部の譲渡を行うことがあり得ます。しかしながら、契約締結後取得予定資産取得までの間に、かかる契約に定められた一定の条件が成就しないことにより、取得予定資産を購入することができず、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。また、本投資法人が信託受益権として取得予定の資産の一部については、本投資法人による取得に先立ち信託が設定される場合があります。しかし、何らかの理由により、取得予定資産が予定どおり信託されない可能性があります。このような場合、停止条件付信託受益権譲渡契約の停止条件が成就しないとされるため、本投資法人が当該取得予定資産を取得することができず、その結果、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
(イ)本投資法人の資金調達(金利環境)に関するリスク
本投資法人は、本書の日付現在、一定の金融機関から借入れを行っています。また、今後も取得予定資産の取得資金に充当する等の目的のため、一定の金融機関から借入れを行うことが考えられます。しかしながら、各予定金融機関における与信審査等の内部手続を経るため、本投資法人が必要とする額及び条件による貸出しの実行がなされる保証はありません。本投資法人が取得予定資産を購入するまでに借入金利が著しく変更される等、資金の借入れに時間を要し、取得予定資産を購入することが遅れることで、投資主又は投資法人債権者に損害が発生する可能性があります。
(ウ)過去の収支状況が将来の本投資法人の収支状況と一致しないリスク
本投資法人が取得予定資産の売主等から入手した取得予定資産に係る過去の収益状況は、本投資法人の将来の業績や運用実績を予測させ又はこれを何ら保証するものではありません(注)。
(注)本投資法人は、売主その他の関係者から取得予定資産の過去の収支状況に係る情報を入手することがあります。しかし、これらは、本投資法人に適用のある会計原則に従って会計監査等の手続を経たものではなく、現所有者等から提供を受けた参考としての情報にすぎません。特に契約形態が大きく異なる場合、比較可能性の低い情報となる場合があります。また、当該情報は不完全であるおそれがあるほか、その正確性も担保されていない情報です。したがって、本投資法人が、取得予定資産を取得した後に、本投資法人に適用のある会計原則に従ってそれらの収支を作成し会計監査済み財務諸表を作成した場合、当該会計監査済みの収支は上記情報に基づく収支とは大幅に異なるおそれがあります。
(2)リスクに対する管理体制
本投資法人は、前記に記載した各々のリスクに関し、本投資法人自らが投信法及び関連法規に定められた規則を遵守するとともに、本資産運用会社において適切な社内規程の整備を行い、併せて必要な組織体制を敷き、役職員に対する遵法精神を高めるための教育等の対策を講じています。
具体的な取り組みは、以下のとおりです。
(ア)投資法人について
本投資法人は、執行役員1名及び監督役員2名により構成される役員会により運営されています。役員会は3ヶ月に一度以上、必要に応じて随時開催され、法令及び本投資法人の「役員会規則」に定める決議事項の決議や本資産運用会社及び本投資法人の執行役員の業務の執行状況等の報告が行われます。これにより、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員が業務の執行状況を監督できる体制となっています。
また、監督役員は必要に応じて本資産運用会社及び資産保管会社等から本投資法人の業務及び財産の状況に関する報告を求め、又は必要な調査を行うことができます。
そして、本投資法人は、「内部者取引管理規則」(注)を制定し、本投資法人の役員によるインサイダー取引の防止に努めています。
(注)内部者取引管理規則では、本投資法人の役員は、本投資口及び投資法人債について売買等を行ってはならないものとされ、本投資法人の役員でなくなった後も1年間は、同規則の定めに従わなければならないものとされています。
(イ)資産運用会社について
本資産運用会社は、各種リスクを適切に管理するために、社内規程として「リスク管理規程」を制定し、重大なリスクが生じた場合には、遅滞なく取締役社長に報告する旨定めています。
加えて、利益相反リスクに対しては、本投資法人の利益が害されることを防止するために、「利害関係者取引規程」を制定し、厳格な利益相反対応ルールを設定しています。
また、本資産運用会社は、コンプライアンスに関して、法令等遵守の徹底を図るため、「コンプライアンス規程」及び「コンプライアンス・マニュアル」を制定するとともに、具体的な法令等遵守を実現させるための実践計画である「コンプライアンス・プログラム」を策定し、これに従って法令等遵守の実践に努めます。
更に、本資産運用会社は、業務の適正性の確保と効率的運営を図るため、「内部監査規程」を制定し、適切な自己点検制度の確立を図っています。
そして、本資産運用会社は、「インサイダー取引防止規程」(注)を制定し、本資産運用会社の役員及び従業員その他本資産運用会社の業務に従事するすべての者(以下「役職員等」といいます。)によるインサイダー取引の防止に努めています。
(注)インサイダー取引防止規程では、本資産運用会社の役職員等は、本投資口及び投資法人債について、売買等を行ってはならないものとされ、本資産運用会社の役職員等でなくなった後も1年間は、同規程の定めに従わなければならないものとされています。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに関する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資主若しくは投資法人債権者に損失が生じるおそれがあります。