第2条 本手順書は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年3月27日厚生省令28号)並びに「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改 正する省令」(平成15年6月12日厚生労働省令106号)(以下、「GCP省令」という)、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」(平成9年3 月27日薬発第430号)、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行について」(平成16年6月12日医薬発第0612001号)「医薬...
国立がんセンター治験審査委員会標準業務手順書
第1版 平成14年 1月 1日第2版 平成17年 1月 4日
第1章 治験審査委員会
(治験審査委員会)
第1条 国立がんセンター受託研究取扱規程に基づき設置された受託研究審査委員会をもって、GCP省令第27条の治験審査委員会とする。なお、受託研究審査委員長(以下「委員長」という。)が治験審査委員会委員長を務める。
(目的と適用範囲)
第2条 本手順書は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年3月27日厚生省令28号)並びに「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令」(平成15年6月12日厚生労働省令106号)(以下、「GCP省令」という)、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」(平成9年3月27日薬発第430号)、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令の施行について」(平成16年6月12日医薬発第0612001号)「医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について」(平成16年7月22日薬食審査発0722014号)、「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)の内容」(平成9年3月13日中央薬事審議会答申)に基づいて、治験審査委員会の運営に関する手続き及び記録の保存方法を定めるものである。
2 本手順書は、医薬品の製造(輸入)承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
(治験審査委員会の責務)
第3条 治験審査委員会は、すべての被験者の人権、安全及び福祉を保護しなければならない。
2 治験審査委員会は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
3 治験審査委員会は、倫理的及び科学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について審査を行わなければならない。
(治験審査委員会の設置及び構成)
第4条 治験審査委員会は、総長が指名する者計13名をもって構成する。なお、総長は治験審査委員会の委員にはなれないものとする。
(1)委員長及び副委員長:各副院長(原則1年交替)
(2)職指名の委員:研究所副所長、研究所支所長、中央病院看護部長
(3)総長が指名する委員:若干名2名
(4)医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の委員職指名の委員:各運営局次長
(5)実施機関と利害関係を有しない委員:4名
2 前項(3),(5)の委員の任期は2年とするが、再任は妨げない。
(治験審査委員会の業務)
第5条 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、次の最新の資料を総長から入手しなければならない。
1)治験実施計画書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)
2)症例報告書(治験責任医師と治験依頼者が合意したもの)
3)説明同意文書(治験責任医師が治験依頼者の協力を得て作成したもの)
4)被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
5)治験薬概要書
6)被験者の安全等にかかる報告
7)被験者への支払いに関する資料(支払いがある場合)
8)被験者の健康被害に対する補償に関する資料
9)治験責任医師の履歴書及び治験責任医師がGCP省令第42条に規定する用件を満たすことを証明したその他の資料並びに治験分担医師の履歴書
10)予定される治験費用に関する資料
11)治験の現況の概要に関する資料(継続審査などの場合)
12)その他治験審査委員会が必要と認める資料
2 治験審査委員会は、次の事項について調査審査し、記録を作成する。
(1)治験を実施することの倫理的、科学的及び医学的見地からの妥当性に関する事項
・医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等、当該治験を適切に実施できること。
・治験責任医師及び治験分担医師が当該治験を実施する上で、適格であるか否かを最新の履歴書により検討すること。
・治験の目的、計画及び実施が妥当なものであること。
・被験者の同意を得るに際しての説明同意文書の内容が適切であること。
・被験者の同意を得る方法が適切であること。
・被験者への健康被害に対する補償の内容が適切であること。
・予定される治験費用が適切であること。
・被験者に対する支払いがある場合には、その内容・方法が適切であること。
・被験者の募集手順(広告等)がある場合には、募集の方法が適切であること。
(2)治験実施中又は終了時に行う調査・審査事項
・被験者の同意が適切に得られていること。
・以下にあげる治験実施計画書の変更の妥当性を調査・審査すること。
① 被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った治験実施画書からの逸脱又は変更
② 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす治験に関するあらゆる変更
・治験実施中に当病院で発生した重篤な副作用について検討し、当該治験の継続の可否を審査すること。
・被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な情報について検討し、当該治験の継続の可否を審査すること。
注)重大な情報
① 他施設で発生した重篤で予測できない副作用
② 重篤な副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が治験薬概要書から予測できないもの。
③ 死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、副作用によるもの又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症によるもの。
④ 副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
⑤ 治験の対象となる疾患に対し効能もしくは効果を有しないことを示す研究報告
⑥ 副作用又は感染症によりがんその他の重大な疾病、障害又は死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
⑦ 当該被験薬と同一成分を含む市販医薬品に係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
・治験の実施状況について少なくとも1年に1回以上審査すること。
・治験の終了、治験の中止又は中断及び開発の中止を確認すること。
(3)その他治験審査委員会が求める事項
3 治験審査委員会は、治験責任医師に対して治験審査委員会が治験の実施を承認し、これに基づく総長の指示及び決定が文書で通知され、契約締結されるまで被験者を治験に参加させないように求めるものとする。
(治験審査委員会の運営)
第6条 治験審査委員会は、原則として月1回(第4週の月曜日)開催する。但し、総長から緊急に意見を求められた場合には、委員長は随時委員会を招集することができる。委員長が必要ないと判断した場合は、この限りではない。但し、以下の場合には必ず委員会を開催することとする。
1)新規課題または継続課題の案件がある場合
2)予備調査委員会に諮った案件(計画変更等)がある場合
3)有害事象のうち重篤または緊急性の高い案件がある場合
2 GCP省令第28条3項の治験審査委員会の事務は治験審査委員会事務局として治験事務局が行うものとする。
3 治験審査委員会における審査・報告事項等を円滑に行うために、委員長は医学、薬学の専門的立場からの妥当性と実行性などの予備調査を受託研究審査予備調査会に依頼することができる。
4 治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも
1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。
なお、必要に応じて治験の実施状況について調査し、必要な場合には、総長に意見を文書で通知するものとする。
5 治験審査委員会の開催に当たっては、治験審査委員会事務局から原則として3週間前に文書で委員長及び各委員に通知するものとする。
6 治験審査委員会は、以下の要件を満たす会議においてのみ、その意志を決定できるものとする。
1)少なくとも7人以上の委員が参加していること。
2)第4条第1項(4)の委員が少なくとも1名参加していること。
3)第4条第1項(5)の委員が少なくとも1名参加していること。
7 採決に当たっては、審査に参加した委員のみが採決への参加を許されるものとする。
8 当該治験の治験依頼者と関係のある委員(治験依頼者の役員又は職員、その他の治験依頼者と密接な関係を有する者)及び治験責任医師と関係のある委員(治験責任医師本人、治験分担医師又は治験協力者)は、その関与する治験ついて情報を提供することは許されるが、当該治験に関する事項の審査及び採決への参加はできないものとする。
9 委員長が特に必要と認める場合には、委員以外の特別の分野の専門家を委員会に出席させて意見を聞くことができる。
10 採決は出席した委員全員の合意を原則とする。
11 意見は次の各号のいずれかによる。
(1)承認する
(2)修正の上で承認する
(3)却下する
(4)既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む)
(5)保留する
12 総長は治験審査委員会の審査結果について意義ある場合には、理由書を添えて治験審査委員会に再審査を請求することができる。
13 治験審査委員会は、審査及び採決に参加した委員名簿(各委員の資格及び職名を含む)に関する記録及び審査記録を作成し保存するものとする。
14 治験審査委員会は、審査終了後速やかに総長に、治験審査結果通知書(様式5)により報告する。治験審査結果通知書(様式5)には、以下の事項を記載するものとする。
・審査対象の治験課題名及び審査事項
・審査した資料
・審査日
・参加委員名
・治験に関する委員会の決定
・決定の理由
・修正条件がある場合は、その条件
・治験審査委員会の決定に対する異議申し立て手続き
・治験審査委員会の名称と所在地
・治験審査委員会がGCPに従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認し保証する旨の陳述
15 治験審査委員会は、承認済の治験について、治験期間内の軽微な治験実施計画書等の変更、治験継続の適否、緊急の危険回避の場合を除く治験実施計画書逸脱に関する妥当性、その他について迅速審査を行うことができる。迅速審査の対象か否かの判断は委員長が行う。
ここで軽微な変更とは、変更により生ずる危険性が、被験者の日常生活における危険性又は通常行われる理学的あるいは心理学的検査における危険性より高くない変更をいう。何らかの身体的侵襲を伴う検査を伴う変更は除かれる。
迅速審査は、委員長が行い、本条第11項に従って判定し、第14項に従って総長に報告する。但し、委員長の判定結果が本条第11項(3),(4),(5)の場合には治験審査委員会において通常の審査を行う。委員長は、次回の治験審査委員会で迅速審査の内容と判定を報告する。
なお、委員長が当該迅速審査の対象となる治験の関係者である場合は、副委員長又は他の委員を指名して代行させる。
第2章 受託研究審査予備調査会
(受託研究審査予備調査会)
第7条 治験審査委員会における審査等を円滑に行うために、委員長は、医学、薬学の専門的立場からの妥当性と実効性などの予備調査を行うことが出来る。
2 予備調査のために、予備調査会を置く。
3 予備調査会は、委員長の指名した職員により構成し、予備調査会に予備調査会班長を置く。予備調査会班長は、予備調査会常任委員が輪番で務める。必要な事項は、委員長が定めた国立がんセ
ンター受託研究審査予備調査会規程による。
4 予備調査会班長は、治験審査委員会に出席し、予備調査意見を述べる。
(予備調査会の役割)
第8条 予備調査会は、治験審査委員会に係る審査・報告事項について、委員長から調査依頼された資料に基づき医学、薬学、その他の専門的立場からの妥当性と実効性などの予備調査を行うとともに、予備調査会班長は調査結果を治験審査委員会に報告しなければならない。
(予備調査会の構成及び運営)
第9条 予備調査会に常任委員及び指名委員を置く。常任委員及び指名委員は委員長が指名する。
2 予備調査会は常任委員4名1組で4班を組織し、原則班ごとに常任委員は輪番で①班長、②研究デザインの妥当性等の調査、③研究実行上の課題(試験の実現性)等の調査、④患者説明文書等及び国立がんセンターで研究を行うことの妥当性等の調査の役割を月ごとに分担する。
3 指名委員は、申請された研究の種類により、各自専攻する分野に該当する班に加わり、専門的立場から調査を行う。
4 治験に関する予備調査は、委員長から調査依頼された案件を一件ごとに、原則4班が1班・2班
・3班・4班の順で順繰りに調査を担当し、各班は稟議で調査を行う。但し、委員長が必要と判断する場合は会議を開催する。
5 班長は、調査申請課題ごとに調査意見をまとめ、研究代表者に文書で回答を求める。
6 予備調査会の範囲が、医学、薬学以外に及ぶこととなった場合は、予備調査会班長は、予備調査委員以外から意見を聴くことが出来る。
7 予備調査会班長は、調査結果に研究代表者からの回答を添え、調査書を作成する。
8 予備調査会班長は、調査書の作成に会議の開催が必要と認めた場合は、委員長に提言する。
9 委員長は、必要により予備調査会を開催する。会議に招集する予備調査委員は委員長の指名する者とする。
(予備調査基準)
第10条 調査申請された研究の調査基準は、薬事法の臨床試験の基準(以下「GCP省令」という。)及び関係するガイドラインの基準と同等またはそれ以上のレベルで調査用紙及びプロトコール
(案)のチェック項目を用いて行う。
(継続・終了課題の研究成果等の調査)
第11条 予備調査会においては、委員長の命を受けて各研究課題の契約期間に基づき、治験責任医師から研究内容の継続及び終了等にかかる報告書の内容などを調査するものとする。なお研究者による口頭の説明が必要な場合は求めることができるものとする。
(1)研究報告書及び治験実施状況報告書
契約期間毎に作成する。研究の継続、中止、変更、延期等にかかる調査の対象となるものであり、研究結果の概要等が記載されたものであること。
(2)重篤な副作用等の報告書
報告が義務づけられている重篤な副作用等の報告については、承認されたプロトコールの規定に従い、報告書を作成する。治療経過等を詳細に記載し、治験担当医師及び治験の実施責任医師等の結論と研究の継続等に関する意見が記載されたものであること。
(3)治験実施計画書等の変更
依頼者と実施計画書及び症例報告書等の改訂又は修正が合意した場合はその案。
(4)治験実施計画書からの逸脱等
被験者の緊急の危険を回避するためのものであるなど医療上やむを得ない事情のために、依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承諾なしに実施計画書からの逸脱又は変更を行った場合は、可能な限り早急に逸脱又は変更の内容及び理由並びに実施計画書の改訂が適切な場合はその案。
第3章 治験審査委員会事務局
(治験審査委員会事務局の業務)
第12条 治験審査委員会事務局は、委員長の指示により、次の業務を行うものとする。
1)治験審査委員会の開催準備
2)治験審査委員会の審査等の記録(審査及び採決に参加した委員の名簿を含む)の作成
3)治験審査結果通知書(様式5)の作成及び総長への提出
4)記録の保存
治験審査委員会で審査の対象としたあらゆる資料、議事要旨(Q&Aを含む)、治験審査委員会が作成するその他の資料等を保存する。
5)その他治験審査委員会に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
第4章 記録の保存
(記録の保存責任者)
第13条 治験審査委員会における記録の保存責任者は治験審査委員会事務局長(本手順書第6条2項に従い、治験審査委員会事務局長は治験事務局長が行うものとする。)とする。
2 治験審査委員会において保存する文書は以下のものである。
(1)当業務手順書
(2)委員名簿(各委員の資格を含む)
(3)委員の職業及び所属のリスト
(4)提出された文書
(5)会議の議事要旨(審査及び採決に参加した委員名簿を含む)
(6)書簡等の記録
(7)その他必要と認めたもの
(記録の保存期間)
第14条 治験審査委員会における保存すべき必須文書は、1)又は2)の日のうち後の日までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。
1)当該被験薬に係る製造(輸入)承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日)
2)治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 治験審査委員会は、総長を経由して、治験依頼者より前項にいう承認取得(様式17A-1又は17B-1)あるいは開発中止(様式17A-2又は17B-2)の連絡を受けるものとする。