Contract
業務実施契約における契約管理ガイドライン
2023 年 10 月
調達・派遣業務部
業務実施契約(単独型)の契約管理については、「業務実施契約(単独型)における契約管理ガイドライン(2021 年 12 月)」を参照してください。
目 次
(3) 契約締結時の合意事項及び業務計画書等の確認(0号打合簿) 24
(4) コンサルタント業務従事月報(月報)(実費精算契約) 26
(3) 契約締結時の確認事項と業務計画書等の確認(0号打合簿) 58
(4) コンサルタント業務従事月報(月報)(ランプサム契約) 59
別添資料1 コンサルタント業務従事月報(月報)の様式について 65
別添資料6 2023 年 10 月以前の公示案件に適用する場合の留意事項 84
はじめに
本ガイドラインは、独立行政法人国際協力機構(JICA)が発注する「業務実施契約」の契約の履行に必要となる契約管理について定めています。
「業務実施契約」が主に対象とする開発途上国の事業は、一般的に、ある程度の 変動要素や不確定要素が存在します。業務を取り巻く環境の変化等に対し、時には、契約内容の変更も含めて、柔軟に対応することが求められます。「業務実施契約」 では、「発注者」と「受注者」の権限の一部を、実務上の責任者である「監督職員」と「業務xx者」に委任することで、「監督職員」と「業務xx者」とが共同で、 柔軟かつ迅速に対応ができるようにしています。
また、「業務実施契約」には、業務の性格、見込まれる変動要素や不確定要素の大きさ等によって、「実費精算契約」と「ランプサム契約」の2つの契約方式があります。本ガイドラインは3章構成とし、第1章は「業務実施契約」に共通する
「契約管理の基本的な考え方と枠組み」について、第2章は「実費精算契約の契約管理手続き」について、第3章は「ランプサム契約の契約管理手続き」について解説します。はじめて「業務実施契約」を担当する方は、まず第1章を読んで基本的な考え方を理解してください。そのうえで、担当する業務の契約方式に応じた該当部分をお読みください。
本ガイドラインに基づき、契約管理を適切に行っていただき、業務に期待される成果を実現し、より大きな開発効果の創出につなげてください。
本ガイドラインは2023年10月以降の公示案件に適用します。それ以前に公示した案件については2023年11月より適用しますが、一部適用外となるものがありますので「別添資料6 2023年10月以前の公示案件に適用する場合の留意事項」をご確認ください。
【本ガイドラインの構成】
第1章:契約管理の基本的な考え方と枠組み 第2章:実費精算契約における契約管理手続き
第1章 契約管理の基本的な考え方と枠組み
本章では、はじめに「契約管理の考え方と基本的な枠組み」について解説します。次に「実費精算契約」と「ランプサム契約」の契約の性質と相違点について解説します。
1. 契約管理と基本文書
(1) 契約管理
契約管理の主な業務は、次の2つです。
1.「契約内容」に基づき、業務を適正に実施することを管理・監督すること
「受注者」は、「契約内容」に基づいて、業務を適正に実施し完了すること(「契約の適正な履行の確保」)が求められます。これに対し、「発注者」は、「受注者」による業務の実施を監督し、「業務xx者」に対して必要な指示や協議を行います。また、「発注者」と「受注者」は、業務の適正な実施に当たり、本ガイドラインはじめ各種ガイドラインで定める必要な手続きを行います。
2.業務を取り巻く環境の変化等に対し必要に応じ「契約内容」を適切に見直すこと
「業務実施契約」が対象とする業務は、開発途上国において、その政府機関等をカウンターパート(C/P)1として行う業務であり、業務を取り巻く環境の変化等に応じて、契約内容を変更することも場合により必要です。
「契約内容の変更」の頻度は、その業務に伴う変動要素や不確定要素によって当然のことながら異なります。変動要素が限定的で、「業務内容」や「契約金額」をあらかじめ確定する「ランプサム契約」を適用している場合であれば、原則は「契約内容の変更」がないことを前提としますので、「契約内容の変更」を行うことは限定的です。一方、「業務内容」や「契約金額」があらかじめ確定できない「実費精算契約」では、「契約内容の変更」を前提とし、その変更の対応が重要になります。
(2) 契約管理の対象
契約管理の対象となる「契約内容」は、次の3つです。
1. 業務内容等(いつまでに(期限)、何を(業務内容)、どのように(実施方法))
2. 経費(いくらで(契約金額と内訳、支払計画))
3. 業務従事者(誰が)
なお、本ガイドラインでは、狭義の「業務内容(何を)」に対し、xxの「業務内容(いつまでに、何を、どのように)」を「業務内容等」と記載することで区別します。また、「2.契約金額と内訳」と「3.業務従事者」は、「1.業務内容」を実施するための投入という関係にあります。
1 ODA 事業を共同で実施する相手国政府/関係機関の人員をいう。
(3) 契約管理の基本文書
契約管理が根拠にするものは、第一に契約書です。契約書は、表1-1に示すよ うに、契約書本体、約款(業務実施契約約款)、附属書(Ⅰ~Ⅲ)の3つから構成さ れています。しかし、契約管理を行うためには、これだけでは十分ではありません。契約書が規定する内容をさらに詳細化した4つの文書(業務計画書、契約金額詳細 内訳書、支払計画書、業務従事者名簿)が、契約書を補完しています(「補完文書」)。これらを併せて、契約書の約款では「本契約及びその他関係書類(「契約書等」)」と しています。本ガイドラインでは、これらを便宜的に、契約管理の「基本文書」と 呼ぶことにします。
表1-1:基本文書の構成
文書名称 | |
契約書 | 契約書本体(案件個別の履行期間、契約金額) |
業務実施契約約款(業務実施契約の共通契約ルール) | |
共通仕様書(業務実施契約共通の業務の仕様)【附属書Ⅰ】 | |
特記仕様書(個別業務の仕様)【附属書Ⅱ】 | |
契約金額内訳書【附属書Ⅲ】 | |
契約書の補完文書(補完文書) | 業務計画書 |
契約金額詳細内訳書 | |
支払計画書 | |
業務従事者名簿 |
「1.(1)契約管理」では、契約管理の主な業務は、①「契約内容」に基づいて業務を実施し、②必要に応じ「契約内容」を変更すること、であると説明しました。この「契約内容」を定めるものが「基本文書」となります。契約内容の3つの内訳(「業務内容等」、「経費(契約金額と内訳)」、「業務従事者」)と基本文書との関係を図1-1に示します。
図 1-1:契約管理の枠組み
2. 発注者と受注者、監督職員と業務xx者
「業務実施契約」では、「発注者」と「受注者2」とが、その権限の一部を「監督職員」と「業務xx者」に委任することで、契約内容(基本文書)の変更に柔軟に対応できるようにしています。ここでは、「発注者」「受注者」「監督職員3」「業務xx者」について解説します。
なお、本ガイドラインでは、業務を補佐する担当者も含めて「監督職員」「業務xx者」「契約担当課長」で代表させて記載しています。
(1) 発注者と受注者
「業務実施契約」における「発注者」と「受注者」は、契約書の署名者であり、
「発注者」は JICA 契約担当役理事、「受注者」は受注企業等の代表者になります。契約書の変更では、①契約金額の変更、②業務内容の重大な変更(特記仕様書の作業項目の追加等)、③履行期間の変更は、「発注者」と「受注者」の権限とされています(業務実施契約約款第7条)。
(2) 監督職員
「監督職員」は、通常は JICA 案件担当課長(JICA 在外事務所主管案件は JICA在外事務所次長)が担い、基本文書、特に業務計画書に基づき業務が適切に実施されているかを確認し、「業務xx者」に対して必要な指示や協議を行うなど、「受注者」による契約の適正な履行を監督します。特に①業務内容、②契約金額の内訳、
③業務従事者について、「発注者」から委任された権限の範囲内で、「業務xx者」と変更を合意する権限を有しています(業務実施契約約款第6条)。
(3) 業務xx者
「業務xx者」は、「受注者」の業務従事者チームを総括管理する者が担い、契約変更が必要と考えられる契約内容の変更等を除き、「受注者」の権限を有し(業務実施契約約款第7条)、「監督職員」と協力して、契約の適正な履行を確保します。
なお、「プロポーザル」において、その配置を提案した場合に限り、副業務xx者を置くことができます。副業務xx者は、業務xx者の権限を代理で執行することが可能です(業務実施契約約款第 7 条)。
3. 契約内容の変更と権限
「発注者」と「受注者」が契約書を、軽微な変更も含めて、その都度変更するこ とは、事務コストや迅速性の観点で合理的ではありません。「発注者」と「受注者」から権限を委任された範囲内であれば「監督職員」と「業務xx者」が「打合簿」 を交わすことで対応できるようにし、さらに軽微な変更については、「受注者の裁 量」としています。
契約内容の変更に関する権限の階層は、次の3つです。
2 「受注者」は、正しくは契約締結以後の呼称であり、契約交渉時は「第一交渉権者」ですが、本ガイドラインでは「受注者」で表記を統一しています。
3 「監督職員」は、正しくは契約締結以後の呼称であり、契約交渉時は「JICA 案件担当課長(JICA 在外事務所主管案件では案件担当次長)」ですが、本ガイドラインでは「監督職員」で表記を統一しています。
1. 発注者/受注者による契約書の変更等(「契約変更等」)
2. 監督職員/業務xx者の打合簿による変更等(「打合簿による変更等」)
3. 受注者の裁量による軽微な変更等(「受注者の裁量」)
これをまとめたものが図1-2と表1-3です。この権限の階層には、契約内容の変更だけでなく、本ガイドラインで定める「受注者(業務xx者)」からの報告の確認、業務を分割して契約する場合の継続契約の締結方針等も含め「契約変更等」
「打合簿による変更等」としています。
図1-2:発注者、受注者、監督職員、業務xx者の関係
表1-3:権限の階層
【打合簿】
「監督職員」と「業務xx者」との間の打合せ事項(指示、承諾、協議、確認)4を記録として残すものが「打合簿」です。「監督職員」と「業務xx者」は、本ガイドラインを含む各種ガイドラインで必要とされる報告を承諾・確認する場合や、契約内容を変更する場合は必ず「打合簿」を作成します(契約管理上必須の打合簿です)。「受注者」にとっては、事前の合意を証明する文書となります。本ガイドラインでは、契約管理上必須の打合簿について説明します。
一方、契約管理上は必須でなくとも、業務管理上必要であれば、「監督職員」と「業務xx者」の判断で、打合簿を作成することができます。
「監督職員」と「業務xx者」は、「発注者」と「受注者」から委任されている権限の範囲をよく理解し、契約変更が必要な変更(業務内容の大幅な変更、契約金額や履行期間の変更)を、打合簿だけで済ませないよう注意してください。
同様に、「受注者」は「受注者の裁量」の範囲をよく理解し、「監督職員」と打合簿による承諾・確認が必要な事項を「受注者」だけの判断で進めないようにしてください。
4(1)指示 監督職員が受注者(業務xx者)に対し、監督職員等の所掌権限に係る方針、基準、計画等(以下
「所掌権限事項」という。)を示し、実施させることをいう。(2)承諾 受注者(業務xx者)が監督職員等に所掌権限事項を報告し、監督職員が所掌権限に基づき了解することをいう。(3)協議 所掌権限事項について、監督職員等と受注者(業務xx者)が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう。(4)確認 監督職員等が、受注者の裁量に属する事項について、その方向性を確かめること、又は発注者の判断を支援するため発注者の権限にする事項についてあらかじめ確かめることをいう(業務実施契約共通仕様書第3条)。
4. 監督職員と業務xx者の主な業務
上記1~3までを踏まえ、「監督職員」と「業務xx者」の主な業務をまとめると、次の2つになります。
1. 「監督職員」と「業務xx者」は、「基本文書」、特に「業務計画書」どおりに業務が実施されているかを管理・監督することが主要業務になります。
「業務xx者」は、業務の実施を適切に管理し、「監督職員」は「業務xx者」による業務の実施を監督します。両者は密接な連絡を取り合い、業務の進捗共有に努めます。「業務xx者」は「コンサルタント業務従事月報(「月報」)」により業務の進捗状況を毎月報告し、「監督職員」はそれを確認し、必要に応じて「業務xx者」と協議し、必要に応じ指示します。
2. 「監督職員」と「業務xx者」は、業務を取り巻く状況に変化等があった場合には、必要に応じて、「契約内容/基本文書」を適切に変更できるようにします。両者は、その権限の範囲内であれば「打合簿」を交わすことで変更することができます。その権限を越えて、契約書の変更が必要な場合には、
「発注者」と「受注者」による契約書の変更(「契約変更」)を行うための必要な手続きをとります。なお、「実費精算契約」と「ランプサム契約」では、「契約内容の変更」の考え方が異なりますので、第2章/第3章を参照してください。
5. 実費精算契約とランプサム契約
「業務実施契約」には、契約の性質によって、「実費精算契約」と「ランプサム契約」の2つの契約方式があります。両方式の概要は表 1-4 のとおりです。
「実費精算契約」は、「受注者」に過度なリスクを負わせることなく、業務を取り巻く環境の変化等に柔軟に対応できる反面、事務コスト(契約内容の変更、精算)が大きいという性質があります。一方、「ランプサム契約」は、「受注者」が一定のリスクを許容する反面、「受注者」にとって、投入(業務従事者、経費)は自由裁量となります。
表1-4:実費精算契約とランプサム契約
実費精算契約 | ランプサム契約 | |
概要 | 契約締結時に支払金額は確定せず、最終的に業務に要した実費 (「発注者」が承諾したもの) に、「受注者」の報酬を加算して 契約金額内で支払金額を決定する 契約方式。 | 契約締結時に支払金額を確定し、業務の完了(成果品の完成)に対して確定額を支払う契約方式。 |
対象業務 | 業務内容をあらかじめ確定できな い、あるいは、変動要素や不確定要素が大きい業務。 | 業務内容があらかじめ確定でき、 成果(成果品)が明確で、変動要素や不確定要素が小さい業務。 |
原則、企画競争(QBS 方式)(注)の案件 | 原則、一般競争入札(総合評価落 札方式)又は企画競争(QCBS方式)(注) |
例えば、開発途上国の政府機関の能力向上を、相手国政府機関と共同で定期的に業務内容を見直しながら、数年間という長期にわたって行うような業務は、「実費精算契約」が適しています。 | 例えば、調査内容や報告書(成果品)の記載内容が明確である調査業務、内容・人数・期間が明確 な研修業務などは、見込まれる変動要素や不確定要素が小さければ、 「ランプサム契約」が適していま す。 | |
特徴 | 契約内容の変更を前提とする(契約内容の変更手続きが必要) | 契約内容に変更がないことを前提とする(ただし、当初の業務実施上の条件から大幅な変更が生じた 場合は契約変更も可能) |
精算は必要 | 精算は不要 | |
「発注者」による投入(業務従事者、経費)の確認が必要。 「受注者」は、業務従事者の従事計画と実績を毎月報告(月 報)し、「発注者」が確認。 | 「成果管理」であり、「発注者」による投入(業務従事者、経費)の確認は不要。 「受注者」は、業務従事者を同時に他案件にも配置できる(ダブル アサインが可能)。 |
注:選定方式は、次表を参照。
コンサルタント等契約における各種選定方式及び概要一覧
選定方式 | 概要 | |
企画競争 | QBS5方式 | 競争参加者が提出するプロポーザルに基づき、その企 画、技術の提案、競争参加者の能力等を総合的に評価し ます。ただし、「業務実施契約」では、評価点が第1位と第2位以下との差が僅少である場合に限り、提出された 見積価格を加味して評価しています。 |
QCBS6方 式 | 競争参加者が提出するプロポーザルに基づき、その企 画、技術の提案、競争参加者の能力等を総合的に評価した技術評価点と、見積書の見積額に基づいた価格評価点 の総合点により評価・選定を行います。 | |
単独型 | 競争参加者が提出する簡易プロポーザルに基づき、その 企画、技術の提案、競争参加者の 1 名の能力等を総合的に評価します。 | |
一般競争入札 (総合評価落札方式) | 競争参加者が提出する技術提案書7に基づき、その企画、技術の提案、競争参加者の能力等を総合的に評価した技術評価点と、入札書に記載された入札金額に基づいた価 格評価点との総合点により落札者を決定します。 |
5 Quality based Selection
6 Quality- and Cost- based Selection
7 一般競争入札では慣例的にプロポーザルを技術提案書と呼びます。
6. 契約管理に関する文書
「監督職員」及び「業務xx者」は、以下に掲げる文書を常に整理し、契約実施中は、いつでも参照できるようにしてください。特に、基本文書をよく理解し、「業務開始時の合意事項」(0 号打合簿)に十分留意してください。
契約管理に関する文書
1.基本文書
① 契約書(契約書本体、約款(業務実施契約約款)、附属書Ⅰ~Ⅲ)
② 業務計画書
③ 契約金額詳細内訳書
④ 支払計画書
⑤ 業務従事者名簿
2.打合簿(0 号打合簿を含む)
3.契約関連ガイドライン
① 業務実施契約における契約管理ガイドライン(本ガイドライン)
② コンサルタント等契約における経理処理ガイドラン
③ コンサルタント等契約における現地再委託契約ガイドライン
④ コンサルタント等契約における研修・招へい実施ガイドライン
⑤ コンサルタント等契約における物品・機材の調達・管理ガイドライン
⑥ コンサルタント等契約における報告書の印刷・電子媒体に関するガイドライン
⑦ 独立行政法人国際協力機構関係者の倫理等ガイドライン
4.コンサルタント業務従事月報(様式1)
5.その他関係書類
第2章 実費精算契約における契約管理
本章では、「実費精算契約」における契約管理について説明します。はじめに契約管理の基本的な考え方を解説します。次に具体的な契約管理手続きを説明します。
なお、「ランプサム契約」については第3章を参照ください。
1. 契約管理の基本的な考え方(実費精算契約)
実費精算契約の「契約管理の基本的な考え方」は次のとおりです。
実費精算契約の契約管理の基本的な考え方
1. 実費精算契約のメリットは、業務を取り巻く環境の変化等に対して、業務に期待される成果を生み出せるよう、契約内容を柔軟に変更して対応できることです。変更内容の軽重に応じて、誰に変更の権限があるかを理解し、それに基づいて対応することが契約管理では重要です。
2. 契約変更 契約変更が必要なものは次の3つです。
① 業務内容の大幅な変更(特記仕様書の作業項目の追加・削除等)
② 履行期間の変更
③ 契約金額の変更(増額となる場合は必ず必要です。減額となる場合は、特記仕様書の作業項目の削除に伴う減額の場合は契約変更、そうでなければ、その金額の大きさと残存する履行期間を勘案して判断します。)
3. 業務内容等の変更 上記2.以外で、「発注者」と「受注者」で契約交渉時に合意した業務内容等(業務内容、指示する数量及び成果品の提出時期)を変更する場合は、「監督職員」と「業務主任者」とが打合簿を交わすことで変更できます。それ以外の変更は「受注者の裁量」とします。
4. 業務従事者の変更 業務主任者/副業務主任者の交代を除き、業務計画書に基づき、誰を業務従事者として選定し、どう配置するかは「受注者の裁量」とします。ただし、「発注者が期待する質を伴った業務の実施」に負の影響を及ぼすような「裁量権の乱用」は認められません。「監督職員」は月報で業務従事者の配置計画や業務の進捗を確認し、「裁量権の乱用」の蓋然性が高いと判断する場合は、「業務主任者」と協議し、必要に応じ業務従事者の変更も含め配置計画の見直しを指示します。
5. 経費(契約金額と内訳、支払計画)の変更 「受注者」は、契約締結時に提示した見積総額の範囲内であれば、契約金額の内訳の変更(費目間流用)を、その裁量で行うことができます。「受注者」に広く裁量を認めることから、状況の変化に伴い経費が増加することがあっても、受注者として契約金額に収めるよう最大限工夫してください。その上で、どうしても契約金額内での対応が困難であると「発注者」が認める場合には契約変更します。なお、経費の総額が契約金額を超過していることが事後に判明しても、遡及して契約金額を増額することはしません(契約金額を上限として精算します)。
6. 3者打合簿 「監督職員」と「業務主任者」が打合簿を交わす場合に、①契約変更や別契約締結に関するもの、②精算・支払に関するもの、③将来の契約変更や契約解除等の方針に関するもの、については「契約担当課長」も確認します。なお、「監督職員」、「業務主任者」、「契約担当課長」の3者が確認する打合簿を「3者打合簿」と呼びます。
表2-1 契約管理業務と権限(実費精算契約)
2. 契約管理手続き(実費精算契約)
番号 | 項 目 | 概 要 |
(1) | 「発注者」は、「受注者(契約交渉時は、交渉順位 1 位の者)」と、契約内容である業務内容 (特記仕様書)、見積内訳(契約金額内訳書)、支払計画(前金払、部分払等)、業務従事予定の従事計画と格付等について契約交渉を行いま す。 | |
- | 契約締結 | 契約交渉で合意が得られた段階で、契約書案を 作成し「業務実施契約」を締結します。 |
- | 渡航手続き等 | 業務対象国へ渡航する際の手続き、海外旅行保険、安全対策、健康管理については「コン サルタント等にかかる渡航手続き・安全対策について(依頼) | JICA について - JICA)」に 取りまとめています。 |
(2) | 「監督職員」と「業務主任者」との間の打合せ事項(指示、承諾、協議及び確認)を記録として残します。「監督職員」と「業務従事者」に委任された権限の範囲内であれば、打合簿を取り 交わすことで、契約内容を変更できます。 | |
(3) | 契約書の補完文書(業務計画書、契約金額詳細内訳書、支払計画書、業務従事者名簿)、契約交渉において協議・確認した事項(契約開始時の合意事項)について、契約締結から 10 営業日 以内に 0 号打合簿を取り交わします。 | |
(4) | 「業務主任者」は月毎にコンサルタント業務従事月報(月報)を作成し、業務の進捗状況等を 「監督職員」に報告します。 | |
(5) | 「業務主任者」は、新規に業務従事者を配置する場合、業務従事者名簿を更新して提出し、「監督職員」と「契約担当課長」は格付、所属先 (専任技術者か補強か)、航空券クラスを確認し ます。 | |
(6) | 業務内容等、経費(契約金額と内訳、支払計 画)、業務従事者で変更の必要が生じた場合には、契約変更あるいは打合簿の取り交わしによ って変更します。 | |
(7) | 契約書(履行期間、契約金額、特記仕様書)の変更の必要が生じた場合、事前に 3 者打合簿で変更内容を確認します。打合簿を取り交した後 に契約を変更します。 |
(8) | 契約締結時に定額計上とした未確定業務について、契約実施中に業務内容と予算額を確定し、当該業務完了後は残額を確定します。予算額を確定する際に、入札や複数見積等により価格の妥当性を確認でき、金額を確定できる場合は、ランプサム方式を適用し精算不要とすることができます(金額を確定できない場合は、実費精算方式を適用します)。なお、使途が予め明確な定額計上については、予算額のみを確定しま す。 | |
(9) | 再委託業務を行う場合、「業務主任者」は再委託先の選定結果と契約概要を「監督職員」に報告 します。 | |
(10) | 機材調達業務を行う場合、単価が 160 万円を超えるときは、「業務主任者」は調達先の選定結果と契約内容を「監督職員」に報告します。また、「業務主任者」は、貸与物品リストを作成し物品を管理するとともに、供与機材は相手国政 府実施機関等へ譲渡します。 | |
(11) | 本邦研修・招へい業務を行う場合は、「技術研修等支援業務契約」を別途締結します。業務完了後は、「業務主任者」は業務完了報告書を「監督 職員」に提出します。 | |
(12) | 為替変動や航空賃の価格上昇により増額の必要性が生じた場合、「業務主任者」は契約金額の範囲内で最大限工夫して対応します。それでも業務に重大な影響があり、やむを得ない場合は、 「監督職員」に報告し対応を相談します。 | |
(13) | 不可抗力(洪水、暴動等)8が発生し、予定通りの業務が困難となった場合、「監督職員」と「業務主任者」は、その対処方法を協議し、契約内 容の変更を行います。 | |
(14) | 長期にわたる契約の場合、複数期に分けて契約する場合があります。先行契約が終了する前に継続契約について協議し、合意内容を 3 者打合 簿で確認して、「継続契約」を締結します。 | |
(15) | 精算に先立って、「業務主任者」は「一般業務費支出実績総括表」を作成し、「監督職員」と業務 に要した一般業務費の支出を確認します。 |
8業務実施契約約款第 12 条参照。
(16) | 「発注者」は業務完了届提出の翌日から起算して 10 営業日以内に確認検査を行い、結果を 「受注者」に通知します。 | |
(17) | JICA では、多様な人材の活用を促進するため、2 名で 1 つの担当業務を行うことができ ることも認めます。 |
(1) 契約交渉
「発注者」は、「受注者(契約交渉時は、交渉順位 1 位の者)」と、契約内容である業務内容(特記仕様書)、見積内訳(契約金額内訳書)、支払計画(前金払、部分払等)、業務従事予定の従事計画と格付等について契約交渉を行います。
「業務実施契約」では、「発注者」は業務内容を「特記仕様書案」として提示し、
「受注者9」から「プロポーザル」として提案を受けます。しかしながら、「特記仕 様書案」だけで「発注者」が意図する業務のイメージの全体を正確に伝えることは 難しいため、「発注者」と「受注者」は、契約交渉時に業務内容と業務実施の方法論 を協議・確認し、互いの理解を合わせるようにします。「発注者」はその結果を踏まえて、必要に応じ「受注者」の提案を取り込んで「特記仕様書」を作成し、「受注者」は「特記仕様書」に基づき実施方法を記載した「業務計画書」を作成します。これ が「契約管理」の基礎となります。
図2-1:特記仕様書確定までのプロセス
「発注者」と「受注者」は、契約交渉では、次の点を特に確認します。
ア. 上限額を超える別提案・別見積があった場合の取扱いイ. 業務内容・実施方法の認識合わせ
ウ. 発注者の指示項目(発注者が指定する数量、成果品の提出期限)エ. 経費に関する確認
オ. 業務従事者の従事計画及び格付の確認
9 契約交渉段階では、正しくは「受注者」ではなく「第一契約交渉権者」ですが、本ガイドラインでは「第一契約交渉権者」も含めて一貫的に「受注者」と表記します。
ア. 上限額を超える別提案・別見積があった場合の取扱い
企画競争において、「発注者」が企画競争説明書で提示された契約の上限額を超える別提案・別見積が「受注者」からあれば、「監督職員10」は、その必要性・妥当性を検討し、予算手当も考慮のうえ、提案を受け入れるか否かを判断します。「監督職員」は判断結果を契約交渉時に「受注者」に伝え、提案を受け入れる場合には、特記仕様書において作業項目の追加や作業項目の記載内容の見直しを行います。併せて「監督職員」は必要に応じて追加予算を確保します。
なお、別見積において、契約交渉時もしくは契約履行途中に複数見積書等にて価格の妥当性が確認でき、金額を確定できるようであれば、ランプサム方式とすることが可能です。
イ. 業務内容・実施方法の認識合わせ
「監督職員」と「受注者」は次の点を確認します。
1. 「監督職員」と「受注者」は、特記仕様書及び業務計画書の作成のプロセスにおいて、業務内容(作業項目)と実施方法について認識を一致させるようにしてください。
2. 「受注者」はプロポーザルの提案を踏まえ、業務内容及び業務方法を明確にするという観点で、必要があれば特記仕様書案からの変更を「監督職員」に提案します。「監督職員」は、「受注者」の提案も踏まえ、特記仕様書を作成し、契約締結前に「受注者」と確認します。
3. 「監督職員」は、業務計画書に反映すべき点があれば「受注者」にコメントします。「受注者」は、「監督職員」のコメントも踏まえ、業務計画書を作成し、「監督職員」と確認します。なお、実施方法によっては、必要な業務従事者の人月に大きく影響する場合もあるため注意してください。
4. 「監督職員」と「受注者」は、業務実施上の条件、想定される契約業務履行上のリスクについても確認し、「業務内容や実施方法」についても特に合意事項として残すべきものがあればそれも加え、「業務開始時の合意事項」(0号打合簿)に記載します。
10 契約交渉段階では、正しくは「監督職員」ではなく「案件担当課長(または監督職員予定者)」ですが、本ガイドラインでは一貫的に「監督職員」と表記します。
ウ. 発注者の指示項目
「監督職員」と「受注者」は、次の点を確認します。
1. 発注者が指示する数量
「発注者」が特記仕様書案で指定している数量(成果品の部数、現地国内研修や現地セミナー等の規模に関する数量、機材の数量等)について、プロポーザルの提案等も踏まえて、最終的な数量を確認します。
2. 成果品(中間成果品も含めて)等の提出期限
特記仕様書案で提示した成果品等の提出期限を確認します。
エ. 経費に関する確認事項
「監督職員」「契約担当課長」と「受注者」は、次の点を確認します。
1. 定額計上の費目
経費の性格から価格競争の対象とすることが望ましくない経費及び競争参加者の提案内容によって金額が大きく変動する可能性がある経費については、予め JICA が定めた当該経費の額を「定額計上」として見積りに計上するよう指示し、本体見積価格から当該経費の見積りを分離し、価格評価の対象外とすることがあります。定額計上の費目については、企画競争説明書の「見積書作成にかかる留意事項」に記載されていますが、定額を超える別提案を認めています。定額の金額のまま計上して契約をするか、あるいは、「受注者」の見積(別見積)による積算を採用するかを契約交渉で決定します。「受注者」の見積による積算を採用する費目があれば、定額計上の費目から外します。
2. 追加支出の可能性がある経費
開発途上国における業務の実施過程において、追加的な経費の発生の可能性が想定される場合には、「監督職員」と「受注者」は、あらかじめ確認しておきます。これが追加経費の可否の判断の根拠になります。例えば、業務実施過程で、新たに執務スペースの確保が必要となる場合、その前提として、①相手国政府機関の C/P が執務室を提供することが相手国実施機関との討議議事録(R/D: Record of Discussions)に確約されていたため、経費を計上しなかったのか、
②「受注者」が所有する現地事務所を活用する想定をしていたため、経費を計上しなかったのかにより、判断が異なります。前者は契約変更の検討が可能ですが、後者は困難です。
3. 支払計画の確認
「発注者」と「受注者」は、前金払・部分払等の支払計画を確認します。支払計画書の作成にあたっては「コンサルタント等契約における経理処理ガイドライン」(以下「経理処理ガイドライン」)11を参照ください。特に、履行期間が 12
ヵ月を越える場合の前金払については、12 ヵ月分の 10 分の 4 を上限とするため、注意してください。
11 「別添資料5:コンサルタント等契約における支払いの請求について」、「別添資料6:複数の前金払と部分払が混在する場合の取扱い」
オ. 業務従事者の従事計画及び格付の確認
「監督職員」と「受注者」は、次の点を確認します。
1. 業務従事者の従事計画における担当業務の格付
「監督職員」は、業務従事者の従事計画に関し、各担当業務に求められる役割や業務内容と「業務従事者の格付の目安」13 とを照らし合わせ、その格付の妥当性を確認します。「発注者」が想定する担当業務の業務内容と「受注者」の提案の内容に大幅な乖離がない限り、原則として、「受注者」の提案を尊重します。
契約締結時に未確定であった業務従事者については、業務従事者が確定した場合、その格付は、契約交渉時に確定した格付を超えることはできません(契約を複数の期に分けて締結する場合でも、継続する契約において、格付を上げることはできません)。
2. 業務従事予定者の格付認定等
「監督職員」は、業務従事予定者について、各担当業務の格付に求められる経験・能力を有するかを確認し、格付を認定します。また、「契約担当課長」は、業務所属(従事者の専任の技術者か補強か)、航空券クラスを確認します。
3. 業務従事者の配置に関する留意事項
業務従事者の配置(人月や渡航回数の振替等)については、「受注者の裁量」ですが、「監督職員」は、特定時期(相手国政府・実施機関への調査結果の説明、セミナー開催、C/P との年次協議等)の「業務主任者」の現地派遣や中心的な業務従事者の長期現地滞在など、特に指示しておく必要がある場合には、「受注者」と確認しておきます。
(2) 打合簿
「監督職員」と「業務主任者」との間の打合せ事項(指示、承諾、協議及び確認)を記録として残します。「監督職員」と「業務従事者」に委任された権限の範囲内であれば、打合簿を取り交わすことで、契約内容を変更できます。
打合簿を作成する際の基本ルールは次のとおりとします。様式については「別添 資料3 打合簿の様式について」、具体事例については「参考資料 打合簿等事例集」を参照してください。
① 打合簿は、「監督職員」と「業務主任者」との2者で交わしますが、以下の「契約担当課長が確認する事項」に該当する打合簿は、「契約担当課長」も確認します(「3者打合簿」)。
「契約担当課長」が確認する事項
1. 契約締結時の合意事項と業務計画書等の確認
2. 契約変更や別契約(継続契約)に関するもの
3. 支払計画の変更
4. 定額計上の予算額の確定(ランプサム方式)
5. 業務内容の変更(大幅な変更を除く)【ランプサム契約のみ※】
6. 一般業務費支出総括表の確認【実費精算契約のみ】
7. 契約変更や契約解除などの方針に関するもの(不可抗力等)
※ ランプサム契約は、原則、契約内容の変更を想定していませんが、やむを得ず業務内容の変更に伴って契約金額も変更せざるを得ない状況が発生した場合は契約変更が必要なため、「契約担当課長」も確認するものとします。
② 打合簿の作成は、当該事態が発生する前に行うこととし、「打合簿」の承認日は、
「監督職員」が確認・承諾した日、「契約担当課長」が内容を確認する 3 者打合簿の場合は、「契約担当課長」が確認を終えた日とします。
③ 「業務主任者」の権限を代理で執行することが可能な業務従事者として、「副業務主任者」が指名されることがありますが、打合簿は業務主任者名で作成(副業務主任者の代理押印は可能)します。
④ 打合簿には、合意する内容のみを簡潔に記載します。特定の文書を確認・承諾する場合には別添します。必要に応じて補足資料/参考資料を添付します。
(3) 契約締結時の合意事項及び業務計画書等の確認(0号打合簿)
契約書の補完文書(業務計画書、契約金額詳細内訳書、支払計画書、業務従事者名簿)、契約交渉において協議・確認した事項(契約開始時の合意事項)について、契約締結から 10 営業日以内に 0 号打合簿を取り交わします。
「業務主任者」は、以下の文書を打合簿に添付して「監督職員」に提出します。
「契約担当課長」も内容を確認します【3 者打合簿】。
ア. 業務計画書
イ. 契約金額詳細内訳書ウ. 支払計画書
エ. 業務従事者名簿
オ. 契約開始時の合意事項(発注者が指示する項目(数量、成果品等の提出期限)、経費/業務従事者の従事計画/業務実施上の条件等に関する合意事項)
ア. 業務計画書【監督職員の確認事項】
「業務計画書」は、特記仕様書等を踏まえて作成され、プロポーザル等にも記載されている以下の項目(共通仕様書第6条)が記載されます(様式任意)。
【業務計画書】
契約約款第 2 条に規定する業務計画書には、次の各号の記述を含めるものとする。
(1) 業務の概要
(2) 業務の実施方針
(①業務実施の基本方針、②業務実施の方法、③業務フローチャート、④作業工程計画、⑤要員計画、⑥その他(イ 再委託業務の内容、ロ 機材調達計画、ハ その他必要事項)
(3) 受注者の業務実施体制
「業務計画書」は、「発注者」と「受注者」で予め合意された業務の具体的内容 及び実施の方法論を示すもので、①業務計画書に基づき業務が実施されているか、
②変更があるのであればその変更は適切なものかを確認することが契約管理の主要業務です。このため、「監督職員」と「業務主任者」は、業務計画書の内容を十分に把握、理解しておく必要があります。
イ. 契約金額詳細内訳書【監督職員、契約担当課長の確認事項】
「業務主任者」は、将来の契約金額の変更にかかる協議の際の基礎として、当初契約時点の「契約金額詳細内訳書」(最終見積書をベースにしたもの)を打合簿に添付して「監督職員」に提出します。
ウ. 支払計画書【監督職員、契約担当課長の確認事項】
「業務主任者」は、支払計画書を、打合簿に添付して「監督職員」に提出します。支払計画書の様式・記載方法については「別添資料4 支払計画書の様式」を参照してください。
エ. 業務従事者名簿【監督職員、契約担当課長の確認事項】
「業務主任者」は、将来の業務従事者の変更にかかる協議の際の基礎として、業務従事者名簿(未確定の業務従事者は担当業務と格付、航空券クラスを記載)を打合簿に添付して「監督職員」に提出します。
オ. 契約開始時の合意事項【監督職員、契約担当課長確認事項】
契約開始時の合意事項
監督職員と業務主任者は、業務の開始に当たって、以下の内容について確認した。
1. 発注者が指示する項目ア. 発注者が指示する数量
イ. 成果品(中間成果品を含む)等の提出期限
2. 経費に関する合意事項
ア. 定額計上の費目
イ. 追加支出の可能性がある経費
3. 業務従事者の従事計画に関する合意事項
(業務主任者等の現地配置について、特に指示する場合には記載する。)
4. 業務実施上の条件等に関する合意事項
(業務実施上の条件、業務内容や実施方法の詳細についての合意事項、想定される契約業務履行上のリスクを記載する。)
5. その他
以上
「業務主任者」は、契約交渉時に「監督職員」と確認した合意事項を「契約開始時の合意事項」として打合簿に添付して提出します。「契約開始時の合意事項」の例を以下に示しますので参考にしてください。
番号 | 項目 | 数量 |
1 | 成果品の部数 | ●冊 |
2 | 現地セミナー | ●人×●日×●回 |
番号 | 項目 | 提出期限 |
1 | ドラフト・ファイナル・レポート | ●年●月●日 |
2 | ファイナル・レポート | ●年●月●日 |
番号 | 項目 | 定額計上額 |
1 | ||
2 |
番号 | 項目 | 概要 |
1 | 事務所賃料等 | 事務所スペースは先方実施機関が提供予定だが、提供がない/活動に十分なスペースではない場合には、契約変更し、事務所賃料及び付随する通信費等 を追加計上する。 |
2 | 現地再委託費( 全国 対象交通量調査) | 相手国政府と調査仕様の協議・確定した段階で、契 約変更し追加計上する。 |
(4) コンサルタント業務従事月報(月報)(実費精算契約)
「業務主任者」は月毎にコンサルタント業務従事月報(月報)を作成し、業務の進捗状況等を「監督職員」に報告します。
「業務主任者」は月初めに月報(実費精算契約は様式1-1)を「監督職員」に提出します。JICA 在外事務所(兼轄国の事務所、支所を含む)にも共有してください。月報による報告事項は以下のとおりです。
ア. 業務の進捗報告
1. 当該月に実施された作業内容
2. 業務全体及び個々の作業項目の進捗状況(当初計画と比較した進捗または遅延の状態、遅延の場合は原因と対策を記載)
3. 業務遂行上の懸案事項や提案等
「業務主任者」は、月報の「本月の業務進捗の概要」に、当該月に実施した業務 内容と進捗状況を記載し、「監督職員」に報告します。記載項目は特に定めませんが、次の内容を含めるようにしてください。なお、業務の進捗を報告するものであり、 契約管理上の手続きの記載は不要です。
イ. 業務従事者の「従事計画/実績」報告
「業務主任者」は、「業務従事者の従事計画/実績表」(様式1-3)を「監督職員」に提出し、次の内容を報告します。
1. 上記ア.の業務の実施に要した人月の報告
2. 業務従事者の最新の配置計画の報告
なお、「業務主任者」は、「業務従事者の最新の配置計画」の報告において、次の場合には、事前に「監督職員」に説明してください。
1. 業務主任者/副業務主任者の人月の変更
2. 大項目間(報酬と直接経費)の費目間流用
<監督職員による確認>
業務従事者の配置は「受注者の裁量」としますが、これは「発注者が期待する業務の実施の質が確保できる体制」であることが前提となります。「発注者が期待する質を伴った業務の実施」に負の影響を及ぼすような「裁量権の乱用」は認められません。「監督職員」は、業務従事者の配置計画や業務の進捗を確認し、「裁量権の乱用」の蓋然性が高いと判断する場合は、「業務主任者」と協議し、必要に応じ業務従事者の変更を含めて配置計画の見直しを指示します。
ウ. 翌月の現地渡航予定
「業務主任者」は、翌月に渡航を予定する業務従事者名と予定期間を記載します。
エ. 年度毎の渡航実績の報告
JICA の事業統計上必要なため、「受注者」は業務従事者の年度毎の業務従事者渡航実績の提出をお願いします。業務従事者の従事計画/実績表に記載します。
(5) 新規配置業務従事予定者の報告/確認
「業務主任者」は、新規に業務従事者を配置する場合、業務従事者名簿を更新して提出し、「監督職員」と「契約担当課長」は格付、所属先(専任技術者か補強か)、航空券クラスを確認します。
「業務主任者」は業務従事者名簿を更新し、「監督職員」に次の文書を提出します。
1. 打合簿
2. 業務従事者名簿
3. 業務従事予定者経歴書12(打合簿には添付しません。)
4. 格付認定確認書(様式2―1)(4号以上の者)
5. 給与水準確認書(様式2-2)及び根拠資料(「給与水準」の直接確認による格付認定)
なお、各文書の作成において、「業務主任者」は次の点に留意してください。
① 上記2の業務従事者名簿は、新規に配置される者がわかるようにしてください。
② 上記4及び5は「別添資料2 業務従事予定者の格付認定について」を参照してください。
「監督職員」と「契約担当課長」は次の点を確認します。
ア. 業務従事予定者の格付の確認(格付認定)【監督職員の確認事項】
「業務実施契約」では、業務の難易度に応じて必要とされている格付の目安を公表13しています。実際に配置される業務従事者が、必要な専門性や該当する格付が求める能力を有しているかを「監督職員」が認定します(これを「格付認定」と呼
12 「コンサルタント等契約におけるプロポーザル作成ガイドライン」の様式 4-5(その1)(評価対象業務従事予定者経歴書)を準用する。
13 プロポーザル作成ガイドライン別添資料5調達・派遣業務部が契約又は委嘱する案件の業務主任者及び業務従事者に適用する格付基準
びます)。格付認定の方法は、①JICA 事業の実績に基づく格付認定、②「業務従事者の格付の目安」に基づく格付認定、③「給与水準」の直接確認による格付認定、の3つがあります。詳細は「別添資料2 業務従事予定者の格付認定について」を参照してください。
イ. 業務従事者の所属先【監督職員、契約担当課長の確認事項】
【監督職員の確認事項】
業務従事者は、「受注者」の経営者又は雇用者(所属先の「専任の技術者(「専任技術者」)であることを想定していますが、担当業務の専門性等の観点から専任の技術者以外の者(他社等からの「補強」)を従事させることが望ましいと「受注者」が判断する場合には可能としています。ただし、補強の業務従事者の配置には上限目途が設定されています。「受注者」が上限目途を越えて補強の業務従事者を配置しようとする場合には、「業務主任者」は事前に「監督職員」に報告し、業務の質の担保に影響を与えない旨を説明してください。上限目途は、「業務主任者以外の業務従事者」については、「受注者」が共同事業体でない場合は、全業務従事者数の4分の3まで、共同企業体である場合は、共同企業体の代表者及び構成員ごとに、業務従事者数の2分の1までとしています。
【契約担当課長の確認事項】
「契約担当課長」は、業務従事予定者の雇用保険番号等により、所属先(専任技 術者か補強か)」を確認します。また、格付と渡航先から航空券クラスを確認します。
(6) 契約内容の変更(実費精算契約)
業務内容等、経費(契約金額と内訳、支払計画書)、業務従事者で変更の必要が生じた場合には、契約変更あるいは打合簿の取り交わしによって変更します。
契約内容の変更については、「表2-1契約管理業務と権限(実費精算契約)」に基づき、契約内容の次の3つの内訳に沿って、具体的に解説します。
1. 業務内容等(いつまでに(期限)、何を(業務内容)、どのように(実施方法))
2. 経費(いくらで(契約金額と内訳、支払計画))
3. 業務従事者(誰が)
ア. 業務内容等(いつまでに、何を、どのように)
(ア) 業務内容の変更
特記仕様書に作業項目を追加・削除する等の大幅な変更がある場合は、契約変更が必要です。
大幅な変更でない業務内容の変更は、「監督職員」と「業務主任者」とが、打合簿を取り交わすことで合意することができます。ただし、大幅な変更でなくても、「契約金額の増加」や「履行期間の延長」を伴う業務内容の変更は、契約変更が必要です。
表2-2 業務内容の変更と契約変更
(イ) 発注者が指示する数量の変更
0 号打合簿で確認した「発注者が指示する数量」(例:最終報告書の冊数、セミナーや研修・招へいの受入人数、調達する機材の数量等)について、事業の進捗や事業を取り囲む環境の変化等によって変更が必要になった場合には、「監督職員」と
「業務主任者」が打合簿を取り交わすことで変更することができます。
それ以外の数量(0 号打合簿に記載のないもの)については「受注者の裁量」で変更が可能です。
(ウ) 実施方法の変更
業務計画書記載の業務方法、手法、手順の確定・変更については、「発注者」が特記仕様書で定めているものを除けば、「受注者の裁量」となります。
(エ) 履行期間の延長
止むを得ない理由により、履行期間内に、業務が完了できない場合には、履行期間を延長します。履行期間を変更する場合には契約変更が必要です。
(オ) 履行期間内における成果品(中間成果品を含む)等の提出期限の延長
履行期間内であれば、成果品(中間成果品を含む)等の提出期限を延長する必要 が生じた場合、「監督職員」と「業務主任者」が打合簿を交わすことで、変更するこ とができます。ただし、履行期間を延長する必要がある場合、契約変更は必要です。
イ. 経費(いくらで)
(ア) 契約金額の変更
契約金額を増額する場合には必ず「契約変更」が必要です。
契約金額が減額になる場合は、特記仕様書の作業項目の削除に伴うものであれば
「業務内容の大幅な変更」に該当するため「契約変更」が必要です。それ以外の経費の減額は、減額する金額が大きい場合には、残存する履行期間を勘案して判断します。
表2-3 契約金額の変更と契約変更
(イ) 費目間流用
契約金額の増額を伴わない契約金額の内訳の変更(「費目間流用」と呼びます)は、原則、「受注者の裁量」とします。ただし、「定額計上の残額」を使用する場合は、 打合簿による「監督職員」の承諾が必要です。
【費目間流用】
契約金額の増額を伴わない契約金額の内訳の変更は、「費目間流用」と呼びます。これは、他の費目で余剰となった経費を、業務実施上不足している費目において、契約書の契約金額内訳に示されている当該費目の金額を超えて支出することです。契約金額の内訳は、契約金額内訳書(契約書附属書Ⅲ)及び契約金額詳細内訳書に記載されています。
定額計上とした費目を除く「費目間流用」は「受注者の裁量」とします。なお、定額計上した費目については、残額が確定している場合に限って、「業務主任者」と「監督職員」が打合簿を取り交わすことで、「費目間流用」に使用することができます。
「受注者」は、費目間流用の結果、業務の途中で、契約金額が不足するようなことがないように十分に注意してください。「発注者」と「受注者」との間であらかじめ契約金額を変更(増額)しないままで、費目間流用の結果、予算が不足するような事態が生じた場合には、「受注者」は自らの負担により業務を完了することが求められます。
(参考)費目の構成
費目(大項目) | 費目(中項目) | 費目(小項目) |
直接経費 | 旅費(航空賃) | |
旅費(その他) | 日当・宿泊料等、戦争特約保険料、特 別手当 | |
一般業務費 | ①特殊傭人費、②車両関連費、③セミナー等実施関連費、④事務所関連費、 ⑤旅費・交通費、⑥施設・設備等関連 費、⑦資料等翻訳費、⑧雑費 | |
通訳傭上費・報 告書作成費 | ||
機材費 | 機材購入費、機材借料・損料、機材送 料 | |
再委託費 | 現地再委託費、国内再委託費 | |
国内業務費 | 技術研修費、招へい費 | |
報酬 |
(ウ) 支払計画の変更
支払計画を変更する場合には(前金払や部分払の追加・削除、支払予定時期の変更等)、「業務主任者」は、変更後の支払計画書(案)を作成し、「監督職員」「契約担当課長」と確認します【3 者打合簿】。
前金払や部分払を追加・削除する際は、「別添資料4 支払計画書の様式」、「『経理処理ガイドライン』別添資料6:複数の前金払と部分払が混在する場合の取扱い」を参照にしてください。
「監督職員」は、変更後の支払計画書に基づき「調達・契約管理システム」上で支払計画を変更します。
ウ.業務従事者の変更
(ア) 業務主任者/副業務主任者の変更(交代)
業務主任者/副業務主任者の変更(交代)は原則認めていませんが、やむを得ない理由により交代が必要な場合は、「監督職員」が打合簿により承諾することができます。
業務主任者/副業務主任者の配置自体は変わらないものの、やむを得ない理由(定 年退職等)で業務主任者/副業務主任者が自社の専任技術者でなくなる(補強として 扱われる)場合があれば、「業務主任者/副業務主任者の交代」と同様に、「監督職員」が打合簿で承諾します。
「業務主任者」は、「監督職員」に次の文書を提出し、その交代理由と後任者の適格性を説明してください。「監督職員」は交代の可否を判断し、併せて、後任者の格付を認定します(「別添資料2 業務従事予定者の格付認定について」を参照してください)。
業務主任者/副業務主任者の交代時に提出する書類
1. 打合簿
2. 業務従事者名簿
3. 格付認定確認書
4. 交代理由及び代替を予定する候補者の経歴書(受注者名による発注者宛文書としてください。打合簿には添付しません。)
「契約担当課長」は、後任の業務主任者/副業務主者について、業務従事予定者の雇用保険番号等により所属先(専任技術者か補強か)を確認し、また、格付と渡航先から航空券クラスを確認します。
(イ) 業務主任者/副業務主任者以外の業務従事者の変更
業務主任者/副業務主任者以外の業務従事者の変更(交代・追加、未確定業務従事者の確定)は「受注者の裁量」とします。
ただし、業務従事者の変更に伴い、新規の業務従事予定者を配置する場合には、
「(5)新規配置業務従事予定者の報告/確認」のとおり、「監督職員」と「契約担当課長」は、業務従事予定者の格付、所属先(専任技術者か補強か)、航空券クラスを確認します。
(ウ) 配置計画の変更
業務従事者の配置計画の変更は、「受注者の裁量」とします。具体的には、以下のとおりです。
業務従事者の配置に係る受注者の裁量の範囲
受注者の裁量として、契約金額の範囲内で、以下のことが可能です。
⚫ 人月の振替
⚫ 渡航回数の振替
⚫ 総人月の増加
⚫ 総渡航回数の変更
(7) 契約変更
契約書(履行期間、契約金額、特記仕様書)の変更の必要が生じた場合、事前に
3 者打合簿で変更内容を確認します。打合簿を取り交した後に契約を変更します。
契約変更は以下の手順で行います。
① 「発注者(監督職員)」と「受注者(業務主任者)」は契約内容の変更を協議します。
② 上記協議を踏まえ、「業務主任者」は「打合簿(案)」を作成し「監督職員」が確認したうえで、「契約担当課長」に提出します。
③ 「契約担当課長」が確認を終えた日付を承認日として、正式に「打合簿」を 3 者で交わします。受注者は、「打合簿」に基づき、合意した変更内容の業務に着手することができます。
④ 「監督職員」は、契約変更により契約金額が変更(増額)する場合には、必要な予算を確保するとともに、「調達・契約管理システム」上で支払計画を修正します。
⑤ 「契約担当課長」は、「打合簿」に基づき、契約変更手続きを行います。なお、契約変更手続きが短期間で複数回発生することが見込まれる場合、手続きの 効率化の観点から、当面(3 か月を目途とします)は「打合簿」にて合意の みし、その後に一括して契約変更を行うこともできるものとします。
なお、契約変更に関する打合簿の作成については、「別添資料3 打合簿の様式について」及び「参考資料 打合簿等事例集」を参照してください。
【契約変更での対応範囲】
コンサルタント等契約での業務は途上国における業務であり、契約当初想定していた作業条件が確保できない事態や、現地での状況が大きく変化する事態が頻繁に発生し、結果、業務量や必要経費が増加し、契約変更が必要とされることがあります。一方、新規に発生する業務の内容及び作業量によっては、現行の「受注者」との間での契約変更ではなく、新たに別の新規案件として公示し、応募者を募ることが適当な場合もあります。
契約変更として対応するか、新規案件として公示するかについては、案件ごとに個別具体的に判断することとなりますが、以下の場合は、必ずしも契約変更での対応は妥当ではないと考えますので、留意してください。
契約変更が妥当ではないと考えられるケース
1. 追加される業務内容が、既存契約の業務内容の関連業務と位置付けられない場合、又は業務従事者に求められる専門性が異なる場合
2. 単純な工事の発注や機材の調達を新たに追加する場合(本来的にはJICA が直接発注を行います)
3. 追加される業務規模が著しく大きい場合
(8) 定額計上
契約締結時に定額計上とした未確定業務について、契約実施中に業務内容と予算額を確定し、当該業務完了後は残額を確定します。予算額を確定する際に、入札や複数見積等により価格の妥当性を確認でき、金額を確定できる場合は、ランプサム方式を適用し精算不要とすることができます(金額を確定できない場合は、実費精算方式を適用します)。なお、使途が予め明確な定額計上については、予算額のみを確定します。
(ア) 定額計上した未確定業務の確定/定額計上の予算額の確定/残額の確定
契約締結時に定額計上としていた未確定業務については、業務の概要が固まった段階で、業務内容と予算額を確定することが必要です。
業務内容の確定にあたっては、「業務主任者」が打合簿を作成して「監督職員」が確認します。未確定業務の例としては、現地再委託によるパイロットプロジェクトや現地調査、現地国内研修、セミナー、機材調達などがあります。
予算額の確定にあたっては、「業務主任者」は、見積根拠資料を取り付けます(ただし、店頭やインターネットで価格の確認・比較が可能なもので単価が10 万円以下については添付不要です)。入札や複数見積等により価格の妥当性を確認でき、金額を確定できる場合は、ランプサム方式とし、精算不要とすることができます。ただし、金額を確定できない場合(価格の妥当性を確認できない場合や金額の変動が見込まれる場合)は、実費精算方式を適用し、精算を行います。
以下、定額計上のランプサム方式と実費精算方式の場合に分けて解説します。
なお、定額計上部分をランプサム方式として精算不要とするか、実費精算方式で精算するかは、本体契約がランプサム契約か実費精算契約かには関係しません。
【1】定額計上のランプサム方式
定額計上の予算額の確定において、金額を確定できる場合はランプサム方式を適用することが可能です。この場合、「予算額の確定」は「確定金額の確認」を意味します。ランプサム方式を適用する場合は「契約担当課長」も確認します【3 者打合簿】。なお、同時に残額も確定されます。本体契約が実費精算契約の場合、「業務主任者」は「監督職員」の承諾があれば、残額を同費目内での増額や費目間流用に充てることができます。一方、本体契約がランプサム契約の場合、残額はそのまま精算します(残額を使用することはできません)。
定額計上にランプサム方式を適用する場合、業務内容の確定時期と予算額の確定時期がずれる場合があります(例えば入札を行う場合など)。その場合には、「監督職員」と「業務主任者」が2者で打合簿を取り交わし業務内容の確定を先行して行い、金額が確定した段階で、契約担当課長も含めて3 者で確定金額を確認します【3者打合簿】。
また、「業務主任者」は、定額計上の当初の設定金額では、必要な支出が賄えないことが明らかになった場合、「監督職員」と対応を協議し、契約金額の増額が真に必要な場合は、契約変更を行います。定額計上の業務完了後に不足額が判明した場合は、契約変更で遡及して不足額を補填することはしません。
業務の完了を以て、打合簿で確認された確定金額を支払います。
【2】定額計上の実費精算方式
定額計上の予算額の確定において実費精算方式を適用する場合、予算の見込み額を確認し予算額(上限額)を設定します。従って、実費精算方式では「予算額の確定」は「予算の上限額の設定」を意味します。監督職員と業務主任者との間で「予算額の確定(上限額の設定)」の打合簿を取り交わします。
業務の進捗につれて、実際の経費が変動する場合もあるかもしれませんが、打合 簿で設定した上限額を超えない範囲であれば、再度打合簿で確認する必要はありま せん。一方、上限額を超える場合は、定額計上の当初の設定金額の範囲内であれば、打合簿で予算額を設定し直すことが可能です。
また、「業務主任者」は、定額計上の当初の設定金額では、必要な支出が賄えないことが明らかになった場合、「監督職員」と対応を協議し、契約金額の増額が真に必要な場合は、契約変更を行います。定額計上の業務完了後に不足額が判明した場合は、契約変更で遡及して不足額を補填することはしません。
定額計上については、残額を確定する必要があります。「業務主任者」は残額が確定した時点で打合簿を作成し「監督職員」が確認します。本体契約が実費精算契約の場合、「業務主任者」は、「監督職員」の承諾があれば、確定された残額を、同費目内での増額や費目間流用に充てることができます。一方、本体契約がランプサム契約の場合、残額はそのまま精算します(残額を使用することはできません)。
図2-2 定額計上した未確定業務の確定/予算額の確定/残額の確定の業務フロー
(イ) 使途が明確な定額計上の予算額の確定
定額計上の中には、未確定業務を伴わない場合もあります。使途は明確であるものの、「発注者」側で数量または単価を予め設定することが困難であったため、その費用を定額計上として設定するような場合です(例えば、大量の収集資料を現地語から英語に翻訳する必要があるものの、その規模を予め想定することができない場合などです)。その場合は、予算額の確定のみを行います。予算額の確定の手続きは、上記(ア)のとおりです。
(9) 再委託(現地再委託、国内再委託)
再委託業務を行う場合、「業務主任者」は再委託先の選定結果と契約概要を「監督職員」に報告します。
ア. 現地再委託
現地再委託は、業務対象国において、現地業者等に対し、業務の一部を契約により実施させることです。現地再委託については、「コンサルタント等契約における現地再委託契約ガイドライン」に基づき実施してください。同ガイドラインでは、公共調達における公正性、競争性、透明性の重要性を指摘しつつ、具体的な調達方法については、「受注者」の責任で適切に判断するとの立場で記載されています。調達方法(入札とするか、見積合わせとするか等)や契約形態(Lump-sum Contractか、Time-based Contract か等)について、原則、事前に「監督職員」が指示することはありません。
現地再委託の実施過程において、「監督職員」は以下の事項の確認を行います(国内再委託の場合も同様です)。
(ア) 再委託契約の業務概要の確認
特記仕様書において再委託業務の概要を規定せず、契約締結時点で定額計上としていた場合には、業務が確定した時点で、「業務主任者」は、業務内容と予算額を確定するために打合簿を作成し、「監督職員」と確認します。予算額の確定には、見積根拠資料も添付してください。詳細は定額計上の項目を参照してください。☞定額 計上
なお、特記仕様書に再委託の業務概要が記されており、その概要に基づいた経費が契約金額内訳書に記載されている場合(すなわち未確定業務ではない場合)は、監督職員が契約履行途中で具体的な再委託契約の業務内容を再確認することはありません(打合簿の作成は不要です)。
(イ) 入札を行う場合の立会
「受注者」が再委託契約の選定に際し入札を行う場合には、原則、JICA 在外事務所の所員等が立会うこととします。
(ウ) 選定経緯と契約内容(調達経緯説明書)の確認
「業務主任者」は、再委託契約相手先と契約締結後、選定経緯と契約概要(契約書を添付)を「調達経緯説明書(現地再委託)」(様式任意)にまとめて打合簿に添付し「監督職員」に提出します。なお、英文以外の契約書については、英文又は和文の仮訳を添付してください。
「業務主任者」は、「調達経緯説明書(現地再委託)」の写しを JICA 在外事務所
(兼轄国の事務所、支所を含む。)にも提出します。
「実費精算契約」の場合、「業務主任者」は「監督職員」確認後の打合簿を精算報告書に添付します(「ランプサム契約」の場合は対応不要です)。
(エ) 再委託契約の成果品の確認(必要がある場合のみ)
「監督職員」が業務全体の履行を確認するために必要と判断する場合、再委託業務の成果品を確認します。
(オ) 再委託の追加
特記仕様書の既存の作業項目の範囲内で、新規に業務を再委託する必要が生じた場合、契約金額の範囲内であれば、「監督職員」と「業務主任者」とで協議し打合簿を交わすことで再委託を追加で行うことができます。
一方、「特記仕様書に作業項目を追加する」場合、あるいは、「再委託の追加に伴い契約金額の増額が必要である」場合は、契約変更が必要です。
イ. 国内再委託
国内再委託は、日本国内の業者等に対し、業務の一部を契約により実施させることです。国内再委託についても、「コンサルタント等契約における現地再委託契約ガイドライン」の手続きを準用することとします。国内再委託について、相当程度高度な分析・解析等を必要とする場合など、特定の業者との随意契約が必要となる場合には、契約交渉において、その委託内容・金額等を協議します。(同ガイドラインの
「第3 国内再委託への準用」を参照)。
(10)機材調達・管理
機材調達業務を行う場合、「業務主任者」は調達先の選定結果と契約内容を「監督職員」に報告します。また、「業務主任者」は、貸与物品リストを作成し物品を管理するとともに、供与機材は相手国政府実施機関等へ譲渡します。
機材調達・管理については、「コンサルタント等契約における物品・機材の調達 ・管理ガイドライン」に基づき実施します。
同ガイドラインでは、公共調達における公正性、競争性、透明性の重要性を指摘 しつつ、具体的な調達方法については「受注者」の責任で適切に判断するとの立場 で記載されています。調達方法(入札とするか、見積合わせとするか等)について、原則、事前に「監督職員」が指示をすることはありません。
機材調達及びその管理の過程において、以下の確認を行います。ア. 調達する機材の確認
「受注者」は、「企画競争説明書/入札説明書での指示」及び「契約交渉(企画競
争の場合)」の結果を踏まえ、契約金額詳細内訳書に調達すべき機材リストとその概要を記載します。また、その概要に基づいた経費を契約金額詳細内訳書に記載します。
契約締結時点で定額計上とし、機材リストとその仕様が確定していない場合は、機材リストとその仕様が確定した時点で、「業務主任者」は、業務内容と予算額を確定するため、打合簿を作成し、「監督職員」と確認します。予算額の確定には、見積根拠資料も添付してください(ただし、店頭やインターネットで価格の確認・比較が可能なもので単価が 10 万円以下については添付不要です)。☞定額計上
イ. 入札を行う場合の立会
「業務主任者」が機材の現地調達に際し入札を行う場合には、原則、JICA 在外事務所の所員等が立会い、必要に応じて「監督職員」に報告を行います。打合簿の作成は行いません。
ウ. 選定経緯と契約内容(調達経緯説明書)の確認
「業務主任者」は、単価が 160 万円を超える機材調達を行う場合には、契約相手先と契約締結後、機材調達先の選定経緯と契約概要(契約書を添付)を「調達経緯説明書(機材調達)」(様式任意)にまとめて打合簿に添付し「監督職員」に提出します。なお、英文以外の契約書については、英文又は和文の仮訳を添付してください。
「業務主任者」は、「調達経緯説明書(機材調達)」の写しを JICA 在外事務所(兼轄国の事務所、支所を含む。)にも提出します。
「実費精算契約」の場合は、「受注者」は「監督職員」確認後の打合簿を精算報告書に添付します(「ランプサム契約」の場合は対応不要です)。
エ. 調達した機材の確認
調達した機材については、供与機材(機材調達後に、相手国政府機関に速やかに譲渡するもの)を除き、JICA に所有権があります。
「業務主任者」は、消耗品の扱いを受ける物品14を除き、JICA に所有権がある機材については、「貸与物品リスト」を作成し、月報に添付し「監督職員」へ提出してください。「貸与物品リスト」は、月報同様に JICA 在外事務所(兼轄国の事務所、支所を含む。)にも提出してください。
供与機材の場合は、「業務主任者」は、調達後速やかにこれを相手国政府実施機関等に譲渡し、当該機関の長又はそれに準ずる者の署名入りの受領書を取り付けてください。「業務主任者」は、受領書の原本を「監督職員」へ提出してください。「実費精算契約」の場合は、「業務主任者」はその写しを精算報告書に添付します(「ランプサム契約)の場合は対応不要です)。
オ. 調達機材の品目の追加
調達機材の品目の追加する必要が生じた場合(業務内容の変更)は、契約金額の範囲内であれば、「監督職員」と「業務主任者」とで協議し打合簿を交わすことで、調達機材を追加することができます。
ただし、調達機材の品目の追加に伴い、契約金額の増額が必要である場合は、契約変更が必要です。
(11)本邦研修・招へい
本邦研修・招へい業務を行う場合は、「技術研修等支援業務契約」を別途締結します。業務完了後は、「業務主任者」は業務完了報告書を「監督職員」に提出します。
研修・招へい受入業務については、「コンサルタント等契約における研修・招へ い実施ガイドライン」に基づき実施してください。
14 消耗品とは①単価 5 万円以上かつ使用可能期間が 1 年未満のもの、又は②単価 5 万円未満かつ使用可能期間が 11 年未満のものです。
(12)為替変動や航空賃の価格上昇による影響
為替変動や航空賃の価格上昇により増額の必要性が生じた場合、「業務主任者」は契約金額の範囲内で最大限工夫して対応します。それでも業務に重大な影響があり、やむを得ない場合は、「監督職員」に報告し対応を相談します。
為替変動や航空賃の価格上昇による経費の増加については、契約金額の範囲内で
「受注者」側の責任で調整するのが原則です。経費支出の裁量を広く「受注者」に 認めていることから、「発注者」としては、安易に「やむを得ずかかった経費なので、精算対象とする。」との判断はできません。
一方、急激な為替変動や航空賃の価格上昇により、「受注者」の最大限の努力にも 関わらず、業務に重大な影響があると考えられる場合には、為替変動や航空賃の上 昇による具体的影響(不足見込み額含む)、対応策等について「監督職員」に速やか に報告・相談してください。その結果、「監督職員」が契約金額の増額がやむを得ないものと判断する場合には、「監督職員」と「業務主任者」は打合簿を取り交わして、
「契約担当課長」に提出し【3者打合簿】、契約変更をします。
なお、契約終了間際になってからの事後的な相談には応じられませんので、ご注意ください。
(13)不可抗力
不可抗力(洪水、暴動等)15が発生し、予定通りの業務が困難となった場合、「監督職員」と「業務主任者」は、その対処方法を協議し、契約内容の変更を行います。
ア. 不可抗力発生の第一報
不可抗力が発生した場合には、「業務主任者」は、どのような連絡手段であれ、可能な限り速やかに「監督職員」まで第一報をしてください。その後、①不可抗力の内容、②不可抗力が業務に与える影響(暫定的な判断で可)を報告してください。
イ. 応急的対応に係る経費の確認
応急的な対応に係る経費については、以下の費用を原則発注者側の負担とします。追加経費については、まずは費目間流用で対応し、その後、契約金額増額のための 契約変更の手続きを行います。当該経費に係る積上げについては、「監督職員」と
「業務主任者」で打合簿を交わし、「契約担当課長」が確認します。(「ランプサム契約」の場合は、費目間流用という考えはありませんので、打合簿に基づき契約変更を行います。)
不可抗力時の応急的な対応に係る発注者側負担事項
1. 待機期間に要した「直接人件費」及び「日当・宿泊費」
2. 現地業務地からの避難のために要した「交通費」の増加分
3. 機材が損害を受けた場合の機材の補修費又は代替機材購入費のための「機材費」(保険付保による保険金分を除く。)
4. その他類似する費用で、合理的に妥当と判断される経費
ウ. 業務復帰計画
不可抗力が終息し、中断した現地業務を再開する場合、作業工程・要員計画の再設定や復帰に必要な追加業務人月・直接経費等の確定が必要となります。「監督職員」と「業務主任者」は業務復帰計画を協議・確認のうえ打合簿を作成し、「契約担当課長」も確認します【3者打合簿】。不可抗力が終息せず、業務の大幅な縮小(実質的 な中止)を行わざるを得ない場合は、原則として、「監督職員」と「業務主任者」で 協議して 3 者打合簿を取り交わし、業務の大幅な縮小にかかる契約変更を行い、契 約を完了させることとなります。契約変更に際してのJICA の基本的な考え方を整理 すると以下のとおりです。
15業務実施契約約款第 12 条参照
不可抗力が終息しない場合の取扱い
1.業務工程上既に終了している部分については、これらを変更契約において成果(品)として規定することにより、業務完了の確認根拠と位置付け、成果
(品)の合格をもって、経費支払いの対象とする。
2.業務工程上着手中の準備業務については、作業継続により一定の成果(品)が得られることを条件に、当該業務を継続し、経費支払いの対象とする。
3.業務工程上着手中の現地業務については、若干の工程延長により一定の成果
(品)が得られることを条件に、当該業務を継続し、経費支払いの対象とする。
4.その他、不可抗力への応急的対応に係る経費を契約金額に盛り込む。
(14)継続契約
長期にわたる契約の場合、複数期に分けて契約する場合があります。先行契約が終了する前に継続契約について協議し、合意内容を 3 者打合簿で確認して、「継続契約」を締結します。
継続契約については、「監督職員」と「業務主任者」とで、以下の点を協議・確認のうえ、打合簿(様式3-3)を作成し、変更内容を反映した特記仕様書(案)、見積書(案)、支払計画書(案)を添付して、「契約担当課長」に提出します【3 者打合簿】。
ア. 契約交渉時の業務内容または契約金額の変更の有無の確認
業務を取り巻く環境の変化等により、業務内容を見直す状況が発生する、あるいは、業務の進捗状況等を勘案して各期で予定していた作業項目を入れ替えた方が効率的であるなど、該当する期の業務内容を、当初契約締結時から変更する必要が生じることがあります。その場合には、「監督職員」と「業務主任者」は、その必要性・妥当性を確認します。
また、業務内容に変更はないものの、為替変動、航空運賃や物価の高騰、効果的な業務遂行のための数量変更等により、当初見積書から契約金額が増額になる場合には、受注者は他の費目での減額を検討し当初見積見積書の金額内に収めることを先ずは検討してください。その上で、「監督職員」と「業務主任者」は、増額の要否を協議します。
イ. 先行契約の一般業務費の支出の計上の有無の確認
先行契約の一般業務費の支出のうち、次のものについては継続契約で精算することを認めますので、打合簿で確認します。なお、打合簿で確認していない支出は精算の対象と認めませんので注意してください。
① 水道光熱費及び電話代
現地での水道光熱費や電話代は、使用した時期より支払いの請求が遅れる(翌月請求等)ことが一般的です。このような原因で、精算報告書作成までに証拠書類が整わない場合、当該金額を継続契約において計上、精算することを認めます。
② その他の一般業務費
先行する契約期間と継続契約の契約期間の間で(JICA との契約が存在しない期間に)支出される経費は、原則精算の対象外ですが、以下の一般業務費について、現地商習慣において中断が極めて困難、あるいは継続して契約した方が廉価である場合は、これら経費の継続契約での計上、精算を認めます。
🞏 雑費(インターネットの年間契約等の通信・運搬関連の費用)
🞏 特殊傭人費
🞏 車両関連費
🞏 事務所関連費
🞏 施設・設備等関連費
(15)一般業務費支出実績総括表の確認
精算に先立って、「業務主任者」は「一般業務費支出実績総括表」を作成し、「監督職員」と業務に要した一般業務費の支出を確認します。
「業務主任者」は、業務完了(一部業務完了も含む)後、支払を請求するに先立って、「監督職員」が一般業務費の支出が業務に伴う適切なものであったことを確認できるよう、「一般業務費支出実績総括表」を作成します。「監督職員」に加え、「契約担当課長」も確認します。【3者打合簿】
それぞれ確認すべき留意点を以下に記載します。
<業務主任者>
「業務主任者」は、「一般業務費支出実績総括表」の作成にあたっては、直接経費の支出について、「『経理処理ガイドライン』Ⅲ「直接経費」に規定する用途を踏まえて、個別支出が、これらに適合しているかを確認してください。
特に次ページの「直接経費の個別支出に関する留意事項」に、「業務実施契約」で支出できない品目についてまとめていますので、これらの支出を含まないよう注意してください。
<監督職員>
「監督職員」は、一般業務費支出実績総括表に記載の支出が契約業務に関連した支出であることを確認します。
また、次ページの「直接経費の個別支出に関する留意事項」を踏まえ、「業務実施契約」で支出できない品目がないかにも注意してください。
<契約担当課長>
「契約担当課長」は、「『経理処理ガイドライン』で規定される用途を明らかに超 えて支出されている』あるいは「業務とは明らかに無関係な支出」がないかを確認します。
「監督職員」が確認済の支出であっても、「契約担当課長」が、「『経理処理ガイド ライン』で規定される用途を明らかに超えて支出されている』あるいは「業務とは 明らかに無関係な支出」と判断する品目については、「監督職員」及び「業務主任者」に説明を求め、その結果によっては、支出の対象として認めない場合があります。
直接経費の個別支出に関する留意事項
⚫ 業務従事者及び現地傭人・C/P が日常業務及び日常生活で使用するコピー用紙、モバ イルプリンタ、インクカートリッジ、パソコン周辺機器(USB メモリー等)や文房具、日用品(トイレットペーパー、石鹸・洗剤、ミネラルウォーター、合鍵、 一般医薬品等)、名刺などは対象となりません(セミナー等実施関連費及び事務所関連費に区分されるものは各費目に計上してください。)。
⚫ 図書は、C/P 等への指導・共用するものであれば認めますが、業務従事者が業務の参考にする図書は認めません。
⚫ 昼食代はセミナー等を全日開催した場合に計上可能ですが、夕食代やアルコール類の計上は認めません。
⚫ 会議費(会食費用)の計上は認めません。
⚫ 現地傭人を除く業務従事者の「少額交通費」に位置づけられる支出については、日当に含まれるため、直接経費への計上は認めません。少額交通費の範囲は、領収書 1 枚につき 1,000 円未満の支出を目途とします。
⚫ 相手国政府が提供する事務所にかかる水道光熱費は原則相手国政府の負担としますが、財政事情等が困難な国・地域(IDA 融資適格国16や国連開発計画委員会が認定する後発開発途上国17をいう。以下、「一般業務費の特例を認める国・地域」という。)に限り、水道光熱費の計上を認めます。
⚫ 一般業務費の特例を認める国・地域に限り、プロジェクト施設への電気・ 水道等の引き込み及び道路整備等に係る経費及び供与機材の据付経費を施設・設備等関連費として計上することができます。
⚫ 技術協力においては、業務従事者の活動に関連して生じた、カウンターパート(C/P)の旅費(第三国研修への参加に要する旅費は除く)、C/P の給与、 C/P の超過勤務手当の計上は原則認めていませんが、次の場合には認める場合がありますので、企画競争説明書等の記載を確認してください。
⮚ 一般業務費の特例を認める国・地域での技術協力においては、次の費目を認めます。
✓ C/P の旅費
✓ C/P の超過勤務に係る手当(雑費として計上)
⮚ 紛争及び武力衝突が継続している国・地域並びに紛争終結後あるいは和平・停戦合意締結後に新政府主導で実施される国家再建への支援を実施している国においては、C/P の給与が実施機関から十分に支給されていない場合、給与補填することを認めることがあります。その場合の経費は、雑費として計上します。
⚫ 衛星携帯電話については、紛争影響国・地域における活動等、必要と判断される場合に限り、通信機器のレンタル料、契約料、通話料を認めます。
16 「http://ida.worldbank.org/about/borrowing-countries」参照。
17 「ldc_list.pdf (un.org) 」参照。
⚫ 業務従事者や現地傭人・C/P が日常的に使用するパソコン、タブレットやデジタルカメラについては、購入費も損料の計上も認めません。これらについては、自ら用意してください。 ただし、現地で大規模な解析作業を行うなど、一般的な業務とは異なる用途で使用される場合にはその限りではありません。
⚫ プロジェクト事務所に設置する場合であっても、冷蔵庫、 洗濯機、乾燥機、電子レンジ等の生活家電は支払い対象としません。
以上
(16)検査・支払い
「発注者」は業務完了届提出の翌日から起算して 10 営業日以内に確認検査を行い、結果を「受注者」に通知します。
「受注者」は、業務完了時(又は部分払の対象とするため部分的な業務を完了した時)、業務完了届(部分払の際は業務部分完了届)と最終成果品(部分払いの際は中間成果品)を、「発注者」に提出します(実際の提出先は「監督職員」になります)。
最終成果品の場合は「自己評価及び契約管理に関する要望について」(様式5)
(「資料5 自己評価の様式」参照)も提出します。「業務主任者」は、自らが履行した業務の結果について「自己評価」に記載し、併せて、JICA の契約管理に関して改善すべき点等があれば、ご指摘ください。
JICA 検査職員(JICA 案件担当部長、JICA 在外事務所主管案件ではJICA 在外事 務所長)は「監督職員」からの実績評価報告18及び「業務主任者」からの自己評価 を踏まえ、成果品の内容を確認した上で、履行された業務を検査(合否を判断)し、検査結果を契約担当役理事名の文書をもって「受注者」に通知します。
(17)ダイバーシティへの配慮
JICA では、多様な人材の活用を促進するため、2 名で 1 つの担当業務を行うことができることも認めます。
JICA では、多様な人材の活用を促進するため、担当業務の人月を 2 名の従事者で柔軟に対応できるような業務従事者の配置を認めます。これにより、個人的理由の制約により長期配置が困難であった人材の活用が可能になるとともに、突然の私的事項による従事者交代等の事態を避けることができ、業務への影響も 2名体制のメリットを活かして最小限に抑えることができます。
「受注者/業務主任者」は、契約交渉時であれ業務実施中であれ、希望があれば提案してください。
18 実績評価とは、業務の質的向上を目的として、「受注者」の業務履行の質を評価し、記録し、コンサルタント等の適切な選定に反映する制度です。
3. JICA 在外事務所の役割
JICA 在外事務所(「支所」を含む)の役割について解説します。「業務主任者」は
JICA 在外事務所とよく連携を図りながら、業務を進めてください。
① JICA 在外事務所は、技術協力事業や各種調査等の業務をモニタリングします。事業の目標や活動内容を変更する必要が生じた場合に、C/P機関と協議を行うのは、主にJICA 在外事務所となります。
② JICA 在外事務所は、日常的にC/P機関とコンタクトし、現地事情にも通じています。「業務主任者」は、現地で業務を遂行するに当たっては、業務の進捗状況や発生している課題について JICA 在外事務所へ報告するとともに、業務の方向性について意見交換をしてください。「監督職員」は、「業務主任者」とC/P機関及び JICA 在外事務所との間での意見交換を尊重しながら、契約管理や業務管理を行ってください。
③ JICA 在外事務所は、「業務主任者」とそのチームに対して便宜供与をする他、安全管理や相手国政府機関に係る既存情報、当該国の税制(VAT免税手続き等)や法制度(現地傭人に係る法的枠組み)などについて、適切に
「業務主任者」に情報提供します。加えて、JICA 在外事務所は、現地再委託や機材の現地調達の場合の入札会への参加、現地再委託契約に係る事実確認や第三者抽出検査、調達された機材の「業務主任者」による物品管理状況の確認、実績評価に係る情報提供なども行います(なお、現地再委託は「コンサルタント等契約における 現地再委託契約ガイドライン」、機材調達・管理は「コンサルタント等契約における物品・機材の調達・管理ガイドライン」を参照してください)。
④ 「業務主任者」は、業務計画書、月報などは業務対象国(兼轄国の事務所含む)のJICA 在外事務所にもメールにて共有してください。
⑤ JICA 在外事務所主管の案件では、JICA 在外事務所の「監督職員」は、必ず本部窓口担当者(関連部署の担当者等)を確保し、「業務主任者」へ通知して下さい。
4. 業務従事者等の安全対策について
「発注者」と「受注者」は、契約約款第11 条(安全対策措置等)のとおり、業務従事者等の安全確保に最大限協力して努めることとしています。
(1) 安全対策措置
「発注者」は安全対策の一環として、事業を実施している国ごとに「安全対策措置(渡航措置及び行動規範)」を定めています。併せて、国ごとの「安全対策マニュアル」を作成していますので、「安全対策措置」を踏まえた具体的な対策を検討する際に参考としてください。
<コンサルタント等にかかる渡航手続き・安全対策について(依頼)>
安全対策措置は以下のJICA のウェブサイトからも入手可能です。入手方法は、以 下のウェブサイトからログインID及びパスワードを申請のうえ、情報をダウンロ ードして閲覧ください。もしくは、JICA 安全管理部(JICA 安全対策情報申請窓口) jicast@jica.go.jp へ「件名:JICA 国別安全対策情報に係る問い合わせ」としてメー ルでお問い合わせください。
JICA 国別安全対策情報
https://www.jica.go.jp/about/safety/rule.html
(2) 安全対策研修の受講
現地に渡航する業務従事者は、安全対策研修を受講してください。ただし、提供 されている研修素材の言語を理解できない者については、この限りではありません。詳しくは以下をご参照ください。
JICA 安全対策研修・訓練
https://www.jica.go.jp/about/safety/training.html
(3) 渡航に伴い実施する事項
現地の治安状況等により、JICAの安全対策措置を変更している場合もあるため、必ず国別「安全対策措置」の最新状況をご確認ください。
第3章 ランプサム契約における契約管理
本章では、「ランプサム契約」における契約管理について説明します。はじめに契約管理の基本的な考え方を解説します。次に具体的な契約管理手続きを説明します。
なお、「実費精算契約」については第 2 章を参照ください。
1. 契約管理の基本的な考え方(ランプサム契約)
ランプサム契約の契約管理の基本的な考え方は次のとおりです。ランプサム契約の契約管理における基本的な考え方
1. 「ランプサム契約」は、あらかじめ「業務内容」と「契約金額」を確定し、
「業務の完了/成果品の完成」に対して契約金額を支払う契約です。その契約管理方法は「成果管理」であり、「発注者」が投入(業務従事者の人月実績、経費の用途・内訳など)の確認を行う「投入管理」は行いません。「発注者」と「受注者」は、成果を生み出すプロセスとしての業務の進捗状況を管理・監督します。
2. 契約内容の変更 「ランプサム契約」では、原則、契約内容は変更しないことを前提としており、安易に業務を変更することできません。ただし、公示時点で前提としていた状況が大幅に変更になった場合など真にやむを得ない場合は、契約内容も変更可能です。その際、次の場合は契約変更が必要です。
① 業務内容の大幅な変更(特記仕様書記載の作業項目の追加・削除等)
② 履行期間の変更
③ 契約金額の変更(「ランプサム契約」では「契約金額」をあらかじめ確定していて精算がないため、経費は、増額のみならず減額する場合も、その金額の大きさに関わらず、すべからく契約変更が必要です。)
3. 業務従事者 原則、業務従事者の選定と配置は「受注者の裁量」であり、「発注者」は、業務従事者の格付・航空券クラスや配置を確認しません。ただし、業務務主任者/副業務主任者の変更(交代)は「監督職員」の承諾が必要です
(打合簿)。
4. 経費(契約金額と内訳) 「契約金額」はあらかじめ確定しており、経費の使い方は「受注者の裁量」であるため、「発注者」は支出内容を確認しません。ただし、契約金額の一部に実費精算部分があれば、「発注者」は、その予算額及び支出額を確認します。
5. 3者打合簿 「監督職員」と「業務主任者」が打合簿を交わす場合に、①契約変更や別契約締結(継続契約)に関するもの、②支払(支払計画の変更、定額計上のランプサム方式の適用)に関するもの、③将来の契約変更や契約解除等の方針に関するものについては「契約担当課長」も確認します。なお、「監督職員」、「業務主任者」、「契約担当課長」の3者が確認する打合簿を「3者打合簿」と呼びます。
2. 契約管理手続き(ランプサム契約)
番号 | 項 目 | 概 要 |
(1) | 「発注者」は、「受注者」と、契約内容・条件について、契約交渉(企画競争(QCBS 方式))または契約条件等の確認(一般競争入札(総合 評価落札方式))を行います。 | |
- | 契約締結 | 契約交渉で合意が得られた段階で、契約書案を 作成し「業務実施契約」を締結します。 |
- | 渡航手続き等 | 業務対象国へ渡航する際の手続き、海外旅行保険、安全対策、健康管理については「コン サルタント等にかかる渡航手続き・安全対策について(依頼) | JICA について - JICA)」に 取りまとめています。 |
(2) | 「監督職員」と「業務主任者」との間の打合せ事項(指示、承諾、協議及び確認)を記録として残します。契約内容の軽微な変更は、打合簿 を取り交わすことで行うことができます。 | |
(3) | 契約書の補完文書(業務計画書、契約金額詳細内訳書、支払計画書、業務従事者名簿)、契約交渉において協議・確認した事項(契約開始時の合意事項)について、契約締結から 10 営業日 以内に 0 号打合簿を取り交わします。 | |
(4) | 「業務主任者」は月毎にコンサルタント業務従事月報(月報)を作成し、「監督職員」に、業務 の進捗状況等を報告します。 | |
(5) | 「ランプサム契約」では、原則、契約内容の変更は想定していません。ただし、公示時点で前提としていた状況が大幅に変更になった場合など止むを得ない場合には、契約変更あるいは打 合簿を取り交わすことで対応します。 | |
(6) | 「ランプサム契約」では「業務内容」及び「契約金額」をあらかじめ確定していますので、原則、契約変更は行いません。ただし、公示時点で前提としていた状況が大幅に変更になった場合など真に止むを得ない場合には、契約変更することも可能です。事前に 3 者打合簿で変更内 容を取り交わし、契約を変更します。 |
(7) | 契約締結時に定額計上とした未確定業務について、契約実施中に業務内容と予算額を確定し、当該業務完了後は残額を確定します。予算額を確定する際に、入札や複数見積等により価格の妥当性を確認でき、金額を確定できる場合は、ランプサム方式を適用し精算不要とすることができます(金額を確定できない場合は、実費精算方式を適用します)。なお、使途が予め明確な定額計上については、予算額のみを確定しま す。 | |
(8) | 再委託業務を行う場合、「業務主任者」は再委託先の選定結果と契約内容を「監督職員」に報告 します。 | |
(9) | 機材調達業務を行う場合、「業務主任者」は調達先の選定結果と契約内容を「監督職員」に報告します。また、「業務主任者」は「貸与物品リスト」を作成し物品を管理するとともに、供与機 材は相手国政府実施機関等へ譲渡します。 | |
(10) | 本本邦研修・招へい業務を行う場合は、「技術研修等支援業務契約」を別途締結します。業務完了後は、「業務主任者」は業務完了報告書を「監 督職員」に提出します。 | |
(11) | 不可抗力(洪水、暴動等)19が発生し、予定通りの業務が困難となった場合、「監督職員」と 「業務主任者」は、その対処方法を協議し、契 約内容の変更を行います。 | |
(12) | 長期にわたる契約の場合、複数期に分けて契約する場合があります。先行契約が終了する前に継続契約について協議し、合意内容を 3 者打合 簿で確認して、「継続契約」を締結します。 | |
(13) | 「発注者」は業務完了届提出の翌日から起算して 10 営業日以内に確認検査を行い、結果を 「受注者」に通知します。 |
19業務実施契約約款第 12 条参照。
(1) 契約交渉/契約条件等の確認
「発注者」は、「受注者」と、契約内容・条件について、契約交渉(企画競争
(QCBS 方式))または契約条件等の確認(一般競争入札(総合評価落札方式))を行います。
<企画競争(QCBS 方式)の場合>
「発注者」は業務内容を「特記仕様書案」として提示し、「受注者20」から「プロポーザル」として提案を受けます。「発注者」と「受注者」は、契約交渉(企画競争
(QCBS 方式))時に、業務内容と実施方法論を協議・確認し、契約実施中に認識の齟齬が生じないよう、互いの理解をすり合わせます。「発注者」はその結果を踏まえて、「特記仕様書」を作成し、「受注者」は「特記仕様書」に基づき実施方法を記載した「業務計画書」を作成します。これが「契約管理」の基礎となります。
図3-1:業務開始までのプロセス(QCBS 方式)
<一般競争入札(総合評価落札方式)の場合>
「発注者」は業務内容を「特記仕様書」として提示し、「受注者21」から「技術提案書22」として提案を受けます。「発注者」と「受注者」は、質問/回答を通じて特記仕様書が指示する業務内容と業務実施の方法論の認識を合わせます。入札後は、契約条件等の確認を通じて、契約実施中に認識の齟齬が生じないよう、互いの理解をすり合わせ、必要に応じて「契約開始時の合意事項」(0 号打合簿)に確認内容を記載します。「受注者」は「特記仕様書」及び確認内容に基づき実施方法を記載した「業務計画書」を作成します。これが「契約管理」の基礎となります。
20 契約交渉段階では、正しくは「受注者」ではなく「第一契約交渉権者」ですが、本ガイドラインでは「第一契約交渉権者」も含めて一貫的に「受注者」と表記します。
21 契約交渉段階では、正しくは「受注者」ではなく「第一契約交渉権者」ですが、本ガイドラインでは「第一契約交渉権者」も含めて一貫的に「受注者」と表記します。
22 一般競争入札では慣例的にプロポーザルを技術提案書と呼びます。
図3-2:業務開始までのプロセス(一般競争入札(総合評価落札方式))
企画競争(QCBS 方式)及び一般競争入札(総合評価落札方式)いずれの場合も、契約交渉/契約条件等の確認においては、「発注者」と「受注者」は、次の点を確認 します。
ア. 企画競争説明書で提示された契約の上限額を超える別提案・別見積があった場合の取扱い(企画競争(QCBS 方式)のみ)
イ. 業務計画書に反映すべき点の確認ウ. 経費に関する合意事項
エ. 業務従事者に関する合意事項
ア. 上限額を超える別提案・別見積があった場合の取扱い(企画競争(QCBS 方式)のみ)
「受注者」から企画競争説明書で提示された契約の上限額を超える別提案・別見積があれば、「監督職員23」は、その必要性・妥当性を検討し、予算手当も考慮のうえ、提案を受け入れるか否かを判断します。「監督職員」は判断結果を契約交渉時に
「業務主任者」に伝え、提案を受け入れる場合には、特記仕様書において作業項目の追加等を行います。併せて「監督職員」は必要に応じて追加予算を確保します。
別見積であっても、契約交渉時もしくは契約履行途中に複数見積書等にて価格の妥当性が確認でき、金額を確定できるようであれば、ランプサム方式とすることが可能です。金額を確定することが困難な場合は、その部分は「実費精算方式」として精算対象にします。
イ. 業務内容・実施方法の認識合わせ
「監督職員」と「受注者」は次の点を確認します。
23 契約交渉段階では、正しくは「監督職員」ではなく「案件担当課長(または監督職員予定者)」ですが、本ガイドラインでは一貫的に「監督職員」と表記します。
1.「監督職員」と「受注者」は、契約条件等の確認、業務計画書の作成のプロセスにおいて、業務内容(作業項目)と実施方法について認識を一致させるようにしてください。なお、認識を一致させる中で、特記仕様書に記載されている業務内容・実施方法について、より明確にする必要があると両者が判断するものについては、「業務開始時の合意内容」(0 号打合簿)に記載します。
2.「監督職員」は、業務計画書に反映すべき点がれば「受注者」にコメントします。「受注者」は、「監督職員」のコメントも踏まえ、業務計画書を作成し、0 号打合簿で「監督職員」と確認します。なお、実施方法によっては、必要な業務従事者の人月に大きく影響する場合もあるため注意してください。
3.「監督職員」と「受注者」は、業務実施上の条件、想定される契約業務履行上のリスクについても確認し、必要あれば、「業務開始時の合意内容」(0 号打合簿)に記載します。
ウ. 経費に関する合意事項
「実費精算契約」を参照。☞「第2 章2.(1)エ 経費に関する確認事項」
エ. 業務従事者の従事計画に関する確認事項
業務従事者間の人月や渡航回数の振替、現地業務と準備業務の人月の振替等については、「受注者の裁量」ですが、「監督職員」は、特定時期(相手国政府への調査結果の説明、セミナー開催、C/P との年次協議等)の「業務主任者」の現地派遣や中心的な業務従事者の長期現地滞在など、特に指示しておく必要がある場合には、
「受注者」と確認しておきます。
(2) 打合簿
「実費精算契約」を参照。☞「第2 章2.(2)打合簿」
(3) 契約締結時の確認事項と業務計画書等の確認(0号打合簿)
「実費精算契約」を参照。☞「第 2 章2.(3)契約締結時の合意事項及び業務 計画書等の確認(0号打合簿)」
(4) コンサルタント業務従事月報(月報)(ランプサム契約)
「業務主任者」は月毎にコンサルタント業務従事月報(月報)を作成し、「監督職員」に、業務の進捗状況等を報告します。
「業務主任者」は、月初めに月報(ランプサム契約用:様式1-2)を「監督職員」に提出します。JICA 在外事務所(兼轄国の事務所、支所を含む。)にもメールで共有してください。月報の記載内容は、以下ア~ウの3つです。月報の様式と記載方法は「別添資料1 コンサルタント業務従事月報(月報)の様式について」を参照してください。
ア. 業務の進捗報告
「業務主任者」は、月報の「本月の業務進捗の概要」に、当該月の業務内容と進捗状況を記載し、「監督職員」に報告します。記載項目は特に定めませんが、次の内容を含めるようにしてください。なお、業務の進捗を報告するものであり、契約管理上の手続きの記載は不要です。
1. 当該月に実施された作業内容
2. 業務全体及び個々の作業項目の進捗状況(当初計画と比較した進捗または遅延の状態、遅延の場合は原因と対策を記載)
3. 業務遂行上の懸案事項や提案等
イ. 翌月の現地渡航予定
「業務主任者」は、「翌月の現地渡航予定」で、翌月に渡航を予定する業務従事者名と予定期間を報告します。
ウ. 年度毎の渡航実績の報告
「業務主任者」には、JICA の事業統計整備に必要なため、業務従事者の年度毎の業務従事者渡航実績(様式1-4)の提出をお願いします。「業務主任者」は、①業務期間が年度を跨がないものについては、履行期間中で最後の月報において、②業務期間が年度を跨るものについては、(各年度の最終月である)3 月の月報(4 月初旬に提出)及び履行期間中で最後の月報において、業務従事者の渡航実績表を添付してください。
(5) 契約内容に関する変更(ランプサム契約)
「ランプサム契約」では、原則、契約内容の変更は想定していません。ただし、公示時点で前提としていた状況が大幅に変更になった場合など止むを得ない場合には、契約変更あるいは打合簿を取り交わすことで対応します。
「ランプサム契約」はあらかじめ「業務内容」と「契約金額」が確定している契約方式ですので、「業務内容」と「契約金額」の変更には安易に変更することはできません。それゆえに、次の 2 点を十分理解しておいてください。
1.「業務内容」を変更する場合には、公示時点で前提としていた状況が大幅に変更になったなど、真にやむを得ない場合であるかを判断する必要があります。また、「監督職員」と「業務主任者」が取り交わす「業務開始時の合意事項」(0 号打合簿)に記載された業務実施上の条件や想定されるリスク等は、契約内容の変更の判断の根拠になります。
2.「契約金額」については、「ランプサム契約」は精算がないため、わずかな減額であっても、すべからく契約変更が必要になります。「業務内容」の変更に伴い経費が増減する場合は、「実費精算契約」のように打合簿による合意はできず、契約変更が必要になります。
そのうえで、契約内容の変更について、「表3-1契約管理業務と権限(ランプサ ム契約)」に基づき、具体的に解説します。
1.業務内容等(いつまでに(期限)、何を(業務内容)、どのように(実施方法))
2.経費(いくらで(契約金額と内訳、予算計画))
3.業務従事者(誰が)
ア. 業務内容等
(ア) 業務内容の変更
大幅な変更(特記仕様書に作業項目を追加・削除する等)がある場合は、契約変更が必要です。大幅な変更でなくても、「契約金額の増額又は減額」や「履行期間の延長」を伴う業務内容の変更は、契約変更が必要です。
すなわち、「監督職員」と「業務主任者」は、打合簿を取り交わすことで変更することができる業務内容の変更は、契約金額にも履行期間にも影響を与えない「業務内容の変更(大幅な変更を除く)」に限られます。
(イ) 実施方法の変更
業務計画書記載の業務方法、手法、手順の確定・変更については、「発注者」が特記仕様書で定めているものを除けば、「受注者の裁量」となります。
(ウ) 履行期間の延長
止むを得ない理由により、履行期間内に、業務が完了できない場合には、履行期間を延長します。履行期間を変更する場合には契約変更が必要です(事情により履行期間を短縮する場合も契約変更が必要です)。
(エ) 履行期間内の成果品(中間成果品を含む)等の提出期限の延長
履行期間内であれば、成果品(中間成果品を含む)等の提出期限を延長する必要が生じた場合には、「監督職員」と「業務主任者」が打合簿を交わすことで変更することができます。ただし、履行期間を延長する必要がある場合、契約変更は必要です。
イ. 経費(契約金額と内訳)の変更
(ア)契約金額の変更
「ランプサム契約」では、増額/減額に関わらず、契約金額を変更する場合は、すべからく契約変更が必要です。
(イ)支払計画の変更
「実費精算契約」を参照。☞「第2 章2.(7)イ.(ウ)支払計画の変更」
ウ. 業務従事者の変更
(ア) 業務主任者/副業務主任者の変更(交代)
業務主任者/副業務主任者の交代は原則認めていませんが、やむを得ない理由により交代が必要な場合は、「監督職員」が打合簿により承諾することができます。
業務主任者/副業務主任者の配置自体は変わらないものの、やむを得ない理由(定 年退職等)で業務主任者/副業務主任者が自社の専任技術者でなくなる(補強として 取り扱われる)ような場合があれば、「業務主任者/副業務主任者の変更」と同様に、
「監督職員」が打合簿で承諾します。
「受注者(業務主任者)」は、次の書類を用意し「監督職員」に送付し、業務主任者/副業務主任者の交代理由と後任者の適格性を説明し、「監督職員」は交代の可否を判断します。
1. 打合簿
2. 業務従事者名簿
3. 交代理由及び代替を予定する候補者の経歴書(受注者名による発注者宛文書とし、打合簿には添付しない。)
「契約担当課長」は、後任の業務主任者/副業務主者について、業務従事予定者の
雇用保険番号等により所属先(専任技術者か補強か)を確認します。なお、ランプサム契約の場合には、業務従事者の格付、航空券クラスは確認しません。
(イ)業務主任者/副業務主任者以外の業務従事者の変更
業務主任者/副業務主任者以外の業務従事者の変更は「受注者の裁量」とします。 業務従事者の変更に伴い新規に配置する業務従事予定者があれば、「業務主任者」は、更新した業務従事者名簿を打合簿に添付して、該当者の経歴書とともに「監督職員」
「契約担当課長」に提出してください。「契約担当課長」は、業務従事予定者の雇用
保険番号等により、所属先(専任技術者か補強か)のみを確認します。なお、ランプサム契約の場合には、業務従事者の格付、航空券クラスは確認しません。
(ウ)業務従事者の配置計画の変更
業務従事者の配置計画の変更は、「受注者の裁量」とします。なお、ランプサム契約の場合、「監督職員」は配置計画/実績は確認しません。
(6) 契約変更(ランプサム契約)
「ランプサム契約」では「業務内容」及び「契約金額」をあらかじめ確定していますので、原則、契約変更は行いません。ただし、公示時点で前提としていた状況が大幅に変更になった場合など真に止むを得ない場合には、契約変更することも可能です。事前に 3 者打合簿で変更内容を取り交わし、契約を変更します。
「公示時点で前提として状況が変更になった場合の想定事例を参考に示しておきます。
また、「監督職員」と「業務主任者」が取り交わす 0 号打合簿(「業務開始時の合意事項」)に記載された業務実施上の条件や想定されるリスク等は、契約内容の変更の判断の根拠になります。
公示時点で前提としていた状況が変更になった場合の想定事例
(例1) 公示時点で想定していなかった作業項目が契約開始後に必要であることが判明した。
(例2) 現地調査の結果、追加の作業項目が必要になった。
(例3) C/P 機関が準備する前提だった執務スペース等が確保されず、受注者側での手配が必要になった。
(例4) 治安理由等で現地渡航を限定的に想定していたが、現地渡航できるようになった。
(例5) やむを得ない理由により履行期間が延長した結果、維持コストが増加した。
→現地傭人、事務所費用など恒常的に経費がかかっているものは追加可能。ただし、業務従事者の人月増は単純な履行期間延長の場合は認めない。
(例6) やむを得ない理由により業務内容を変更した結果、当初の積算時の想定と異なる事態が生じ、契約金額に増減が生じた。
例えば、複数国を対象とする調査における対象国の変更変更前:A 国B 国 C 国
変更後:A 国B 国 D 国
なお、航空賃及び為替変動による契約金額増額は原則不可であるが、あまりに大きな価格変動や為替の変動があり、契約金額内での対応が明らかに困難な場合は、「発注者」と「受注者」で協議する。
(7) 定額計上
「実費精算契約」を参照。☞「第2章2.(8)定額計上」
(8) 再委託(現地再委託、国内再委託)
「実費精算契約」を参照。☞「第2章2.(9)再委託」
(9) 機材調達・管理
「実費精算契約」を参照。☞「第2章2.(10)機材調達・管理」
(10)本邦研修・招へい
「実費精算契約」を参照。☞「第2章2.(11)本邦研修・招へい」
(11)不可抗力
「実費精算契約」を参照。☞「第2章2.(13)不可抗力」
(12)継続契約
「実費精算契約」を参照。☞「第2章2.(14)継続契約」
(13)検査・支払い
「実費精算契約」を参照。☞「第2章2.(16)検査・支払い」
3. JICA 在外事務所の役割
「実費精算契約」を参照。☞「第2章3.JICA 在外事務所の役割」
4. 業務従事者等の安全対策について
「実費精算契約」を参照。☞「第2章4.業務従事者等の安全対策について」
別添資料1 コンサルタント業務従事月報(月報)の様式について
コンサルタント業務従事月報(月報)の報告内容と必要な様式を整理したものが次表です。「業務主任者」は月報の作成にあたり、適切な様式を使用してください。
月報の報告内容と様式
報告内容 | 実費精算契約 (様式1-1) | ランプサム契約 (様式1-2) | |
1 | 業務の進捗報告 | ● | ● |
2 | 業務従事者の従事計画 /実績表 | ● (様式1―3) | |
3 | 翌月の現地渡航予定 | ● | ● |
4 | 業務従事者の渡航実績表 | ● (様式1-3) | ● (様式1-4) |
様式1-1
監督職員
20**年**月**日
独立行政法人国際協力機構
監督職員 ○○○○○ 殿
契約案件名:
【実費精算契約】コンサルタント業務従事月報( 年 月分)
【受注者名】
業務主任者 ○○○○○ ㊞
標記案件の業務従事内容について、以下のとおり報告します。
1.本月の業務進捗の概要別添1のとおり。
2.業務従事者の従事計画/実績表別添2のとおり。
3.翌月の現地渡航予定
氏名(担当名)●年●月●日~●年●月●日氏名(担当名)●年●月●日~●年●月●日
以上
別添1:本月の業務進捗の概要(様式は任意)別添2:業務従事者の従事計画/実績表
(注)1 業務主任者は、契約期間の月毎に本業務従事月報を作成し、監督職員へ提出してください(メールベースで在外事務所へも送付してください。)。
2 本月報により報告のあった内容については、必要に応じ監督職員より確認を行う場合があります。
3 別添2には、業務計画書作成時点での「業務従事計画」と現時点での業務従事実績及び今後の従事計画を記入してください。
様式1-2
監督職員
20**年**月**日
独立行政法人国際協力機構
監督職員 ○○○○○ 殿
契約案件名:
【ランプサム契約】コンサルタント業務従事月報(
年
月分)
【受注者名】
業務主任者 ○○○○○ ㊞
標記案件の業務従事内容について、以下のとおり報告します。
1.本月の業務進捗の概要別添1のとおり。
2.翌月の現地渡航予定
氏名(担当名)●年●月●日~●年●月●日氏名(担当名)●年●月●日~●年●月●日
以上
別添1:本月の業務進捗の概要(様式は任意)
(注)1 業務主任者は、契約期間の月毎に本業務従事月報を作成し、監督職員へ提出してください(メールベースで在外事務所へも送付してください。)。
2 本月報により報告のあった内容については、必要に応じ監督職員より確認を行う場合があります。
【様式1-3】業務従事者の従事計画/実績表(実費精算契約)
別添資料2 業務従事予定者の格付認定について
1.格付認定方法
業務従事予定者の格付認定の方法は次の3つとします。
① JICA 事業の実績に基づく格付認定
JICA 事業において、過去に同じ分野で同等以上の格付により業務を受注している実績があれば、必要な能力を有すると判断します。
② 「業務従事者の格付の目安」13 に基づく格付認定
「監督職員」は、業務従事予定者の経歴書及び「受注者(業務主任者)」からの説明を基に、「業務従事者の格付の目安」に照らし、当該業務を遂行する経験・能力があるかを判断します。「監督職員」が経験・能力的に明らかな支障は認められないと判断する場合は、「受注者(業務主任者)」が提案した格付で承諾します。
原則は「受注者(業務主任者)」の提案を尊重しますが、「監督職員」は、明らかに経験・能力が不足すると判断する場合は、「受注者(業務主任者)」と協議します。「受注者(業務主任者)」と十分協議し、コンサルタントチームの協業体制の中で業務上支障なければ、当該業務従事予定者の格付のみを適切なものに変更しま す。当該業務従事予定者の経験・能力の不足が、業務の遂行に大きな支障をもたらす蓋然性が高いと判断される場合には、「監督職員」は「受注者(業務主任者)」に業務従事者の見直しを指示します。
③ 「給与水準」の直接確認による格付認定
既に所属企業・団体等でその能力が評価され、当該格付の報酬単価の算定根拠として想定されている直接人件費月額を超える直接人件費を企業・団体等が負担している場合は、当該格付を認定します。その場合には、「受注者(業務主任者)」は
「給与水準確認書(様式 2-2)」及び根拠書類(直近3か月相当の当該業務従事者への給与明細書等)を「監督職員」に提出します。
認定基準は「当該業務従事者への支給額(基本給及び各種手当)と事業主が負担する法定福利費(健康保険料、年金保険料、雇用保険料等)の合計額が、直近3か月にわたり直接人件費月額を超えていること(2022 年度以降は「国内業務/国内業務主体」における直接人件費基準額とする)」とします。ただし、受注者で賞与等を上記合計額に含めることも可とします(詳細は、給与水準確認書を参照してください)。
なお、直接人件費単価が年度によって変動しますので、契約締結時の年度のものを必ず使用してください。
2.格付認定確認書
格付認定にあたっては、「受注者(業務主任者)」は、業務従事予定者の経歴書を補足するため、格付認定確認書(様式2-1)を作成します。理由欄で格付理由
(次の①~③)を選択し、根拠欄に根拠となる事実を記載してください。
① 過去にJICA 事業で同等以上の格付の実績がある。
② 経験・実績・資格等から、必要な技術水準にあると判断される。
③ 当該格付に相当する給与水準にあると判断される。
【様式2-1】業務従事者の格付認定確認書
根拠欄は次を参考に記載してください。
(1)格付理由①の場合
該当する案件名と格付を「根拠欄」に記載してください。
<記載例>
JICA「・・・・・・業務(担当分野名)」(3号)
(2) 格付理由②の場合
国内・海外の類似業務経験、資格、特筆すべき功績など、当該格付の妥当性を示す根拠を「根拠欄」に記載してください。
<記載例>
⚫ 当該分野では 20 年以上の国内の業務経験が豊富(国交省・・・業務等)
⚫ 技術士の資格を有し、類似業務経験(ADB・・・・担当・・・・)が ある
(3) 格付理由③の場合
根拠欄は「別添給与水準確認書のとおり(●号)」とし、給与水準確認書(様式2
-2)と根拠資料を添付してください。
様式2-2
給与水準確認書
担当分野:
氏名:契約年度(注1)
申請格付
(注1)契約時の報酬単価の適用年度を記入してください。
(注2)給与明細等における基本給を記入しててください。
(注3)給与明細等における手当(役職手当、資格手当、通勤手当、家族手当、扶養手当等)の合計額を記入してください。ただし、時間外手当、休日出勤、出張手当は含めないでください。
(注4)健康保険、雇用保険、厚生年金、介護保険等、事業主負担額の合計額を記入してください。
(注5)給与明細書に記載の対象給与額だけでは直接人件費に達しないものの、前年の賞与の合計金額を12で除した金額、時間外手当(割増賃金を除く)、社会保険以外の事業主負担額(退職金積立等)の合計を加算することで、直接人件費に達する場合には、これらを合計額に加算することを認めます。その場合には、「その他」に、これらの合計額を記載し備考欄にその内訳を記載し、給与明細書に加えて、前年度の全ての賞与明細書、時間外手当の内訳(割増賃金以外の時間外手当を示すもの)、社会保険以外の事業主負担の支払を証するものを追加で添付してください)。
(注6)前月、前々月、前々々月の合計額のうち最小額が表示されます。
●● | ||
国際 | 太郎 | |
2022 | ||
3 |
前月 | 前々月 | 前々々月 | |
基本給相当額(注2) | ¥800,000 | ¥800,000 | ¥800,000 |
諸手当(注3) | ¥146,800 | ¥146,800 | ¥146,800 |
事業主負担額(注4) | ¥115,861 | ¥115,861 | ¥115,861 |
その他(注5) | ¥0 | ¥0 | ¥0 |
合計額 | ¥1,062,661 | ¥1,062,661 | ¥1,062,661 |
対象給与額(注6) | ¥1,062,661 | |
直接人件費 | ¥1,024,000 | |
格付の判定 | 認定可 | |
備考: |
別添資料3 打合簿の様式について
打合簿については、契約管理上必須の打合簿については、つぎのとおり3つに類型化します。
1.【様式3-1】打合簿(契約変更なし)
2.【様式3-2】打合簿(契約変更あり)
3.【様式3-3】打合簿(継続契約)
1.の「打合簿(契約変更なし)」(様式3-1)は、打合簿のみで合意が完結するものです。
それ以外の2.及び3.の打合簿は、打合簿作成以後に、「発注者」と「受注者」との間で、契約変更や新規に契約締結の手続きが発生するもので、契約変更、継続契約に区分しています。
さらに、1.の「打合簿(契約変更なし)」では、その内容に応じて 17 に区分します。
これらを一覧表にまとめたものが次表です。
打合簿の具体事例は、「参考資料 打合簿等事例集」を参照にしてください。
表:打合簿の種類と内容区分
【様式3-1】打合簿(契約変更なし)
①打合簿番号 | 打合簿の管理を容易にするため、通し番号を記載します。 |
②内容区分 | 内容区分の選択により「契約担当課長の確認欄」も自動的に選択 されます。 |
③合意内容 | 理由と合意(変更等)内容を簡潔に記載します。 |
④金額の増減 | 「合意内容」に伴い発生する金額の増減(概算)を記載します。 ※実費精算契約のみで使用し、ランプサム契約では使用しません。 |
⑤定額計上の残額の使用 | 「定額計上の残額の使用」の有無を選択します。「有」の場合は、「備考欄」に対象となる定額計上の費目を記載します(例: ●●(費目名)の残額を使用)。 ※実費精算契約のみで使用し、ランプサム契約では使用しません。 |
⑥備考 | 合意内容の補足情報を記載します。資料を添付する場合はその旨 を記載します(例:別添:●●(資料名))。 |
なお、契約金額を増額する必要がある場合は、契約変更が必要なため「打合簿
(契約変更)」を使用してください(「打合簿(契約変更なし)」は使用しないでください。
【様式3-3】打合簿(継続契約)
別添資料4 支払計画書の様式
支払計画書は、「支払条件」と「支払計画」の2つから構成されています。
「支払条件」は、業務実施契約約款に定められた第 16 条(前金払)と第 17 条
(部分払)を補完し、一部上書き修正するもので、具体的には、①部分払の対象業務の設定、②履行期間が 12 か月を超える場合の前金払や部分払の取扱い24、の 2つを規定します。
「支払計画」は、請求予定(支払内容、回数、支払予定時期及び金額)です。
24 経理処理ガイドラインの「別添資料5:コンサルタント等契約における支払いの請求について」及び「別添資料6:複数の前金払と部分払が混在する場合の取扱い」を参照。
様式4-1
支払計画書
1.支払条件【部分払が有る場合は次のとおり記載し、なければ削除する】 業務実施契約第 17 条に関し、その一部については、以下のとおりとする。
第 1 条(部分払)
業務実施契約約款第 17 条第 1 項に定める部分払の対象とする一部業務については、以下の各号のとおりとする。
<記載例>
【調査業務の場合】
(1)第1回部分払:インテリム•レポートの作成(中間成果品:インテリム•レポート)
(2)第2回部分払:ドラフト•ファイナル•レポートの作成(中間成果品:ドラフト•ファイナル•レポート)
【業務実施•支援業務の場合】
(1)第1回部分払:○年○月~○年○月までの業務の実施(報告書:第1回業務進捗報告書)
(2)第2回部分払:○年○月~○年○月までの業務の実施(報告書:第2回業務進捗報告書)
2.支払計画
<記載例>
番号 | 支払内容 | 支払予定時期 | 支払予定金額 | 契約金額の割合 | その他 (成果品等) |
1 | 前金払 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の 40% | |
2 | 部分払 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の30% | ドラフト•ファイナ ル•レポート |
3 | 精算払 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の 30% |
以上
契約金額の割合についての補足説明
✓ 部分払額は、実費精算契約の場合は、請求時期にならないと正確な数字を算出することはできませんので、想定する割合及び支払予定額を目安として記載します。前金払の場合の上限数値とは意味が異なります。
✓ 精算払額は、最低でも契約金額の 10%の割合としてください。
✓ ランプサム契約の場合は、支払計画で定めた「契約金額の割合」「支払予定金額」が確定割合•金額になります。
様式4-2
支払計画書
1.支払条件
業務実施契約第 16 条及び第 17 条に関し、その一部については、以下のとおりとする。
第 1 条(前金払の上限額)
本契約においては、業務実施契約約款第 16 条に規定する前金払については、同
条第 1 項ただし書の規定にしたがって、以下の各号のとおり分割した請求を認めるものとする。
<記載例>
(1)第1回(契約締結後)前金払:契約金額の●%を上限とする。
(2)第2回(契約締結後13ヶ月以降)前金払:契約金額の●%を上限とする。
(3)第3回(契約締結後25ヶ月以降)前金払:契約金額の●%を上限とする。
2.前項第1号に規定する第1回前金払については、次条の第1項第1号に規定する第1回部分払に先行して請求するものとし、当該部分払の請求を行った後の第1回前金払の請求は認めない。
3.第1項第2号に規定する第2回前金払については、次条の第1項第2号に規定する第2回部分払に先行して請求するものとし、当該部分払いの請求を行った後の第2回前金払の請求は認めない。
第 2 条(部分払)
業務実施契約約款第 17 条第 1 項に定める部分払の対象とする一部業務については、以下の各号のとおりとする。
<記載例>
【調査業務の場合】
(1)第1回部分払:インテリム•レポートの作成(中間成果品:インテリム•レポート)
(2)第2回部分払:ドラフト•ファイナル•レポートの作成(中間成果品:ドラフト•ファイナル•レポート)
【業務実施•支援業務の場合】
(1)第1回部分払:○年○月~○年○月までの業務の実施(報告書:第1回業務進捗報告書)
(2)第2回部分払:○年○月~○年○月までの業務の実施(報告書:第2回業務進捗報告書)
2 前項第1号に規定する第1回部分払については、第 17 条第 7 項の規定にかかわらず、次の式により算出した金額を部分払金の上限とする。
【第1回部分払の契約金相当額】×9/10 - 【第1回前金払支払額】
3 第1項第2号に規定する第2回部分払については、第 17 条第 7 項の規定にかかわらず、次の式により算出した金額を部分払金の上限とする。
【第2回部分払の契約金相当額】×9/10 - 【第2回前金払支払額】
(部分払の回数分だけ記載します。)
2.支払計画
<記載例>
番号 | 支払内容 | 支払予定時期 | 支払予定金額 | 契約金額の割合 | その他 (成果品等) |
1 | 前金払 1 回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | |
2 | 部分払 1回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | 第 1 回業務進捗 報告書 |
3 | 前金払 2回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | |
4 | 部分払 2 回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | 第 2 回業務進捗 報告書 |
5 | 部分払 3回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | 第 3 回業務進捗 報告書 |
6 | 精算払 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% |
以上
契約金額の割合についての補足説明
✓ 部分払額は、実費精算契約の場合は、請求時期にならないと正確な数字を算出することはできませんので、想定する割合及び支払予定額を目安として記載します。前金払の場合の上限数値とは意味が異なります。
✓ 精算払額は、最低でも契約金額の 10%の割合としてください。
✓ ランプサム契約の場合は、支払計画で定めた「契約金額の割合」「支払予定金額」が確定割合•金額になります。
様式4-3
支払計画書
1.支払条件
業務実施契約第 16 条及び第 17 条に関し、その一部については、以下のとおりとする。
第 1 条(前金払の上限額)
本契約においては、業務実施契約約款第 16 条に規定する前金払については、同
条第 1 項ただし書の規定にしたがって、以下の各号のとおり分割した請求を認めるものとする。
<記載例>
(1)第1回(契約締結後)前金払:契約金額の●%を上限とする。
(2)第2回(契約締結後13ヶ月以降)前金払:契約金額の●%を上限とする。
(3)第3回(契約締結後25ヶ月以降)前金払:契約金額の●%を上限とする。
【部分払が有る場合には第 2 条を追加する】
第 2 条(部分払)
業務実施契約約款第 17 条第 1 項に定める部分払の対象とする一部業務については、以下の各号のとおりとする。
<記載例>
【調査業務の場合】
(1)第1回部分払:インテリム•レポートの作成(中間成果品:インテリム•レポート)
(2)第2回部分払:ドラフト•ファイナル•レポートの作成(中間成果品:ドラフト•ファイナル•レポート)
【業務実施•支援業務の場合】
(1)第1回部分払:○年○月~○年○月までの業務の実施(報告書:第1回業務進捗報告書)
(2)第2回部分払:○年○月~○年○月までの業務の実施(報告書:第2回業務進捗報告書)
2.支払計画
<記載例>
番号 | 支払内容 | 支払予定時期 | 支払予定金額 | 契約金額の割合 | その他 (成果品等) |
1 | 前金払 1 回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | |
2 | 部分払 1回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | |
3 | 部分払 2 回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | 第 2 回業務進捗 報告書 |
4 | 部分払 3回目 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% | 第 3 回業務進捗 報告書 |
5 | 精算払 | ●年●月●旬 | *********円 | 契約金額の●% |
以上
契約金額の割合についての補足説明
✓ 部分払額は、実費精算契約の場合は、請求時期にならないと正確な数字を算出することはできませんので、想定する割合及び支払予定額を目安として記載します。前金払の場合の上限数値とは意味が異なります。
✓ 精算払額は、最低でも契約金額の 10%の割合としてください。
✓ ランプサム契約の場合は、支払計画で定めた「契約金額の割合」「支払予定金額」が確定割合•金額になります。
様式5
20○○年○○月○○日
部署名:
部長(所長) 殿
案件名:
自己評価及び契約管理に関する要望について本件業務完了に際し、以下のとおり報告します。
1.業務に係る自己評価
(1)成果に関する事項25
(2)実施プロセスに関する事項26
2.契約監督に関する要望
(1)監督職員の指示、承認、協議及び確認27
(2)業務内容の変更28
3.契約締結時点を振り返っての気付き29
4.その他契約に関する要望等30
以上
別添資料5 自己評価表の様式
受注者名 |
| 印 |
業務主任者 |
| 印 |
25 特記仕様書及び業務計画書の記載に基づいた各作業項目(調査/計画/設計/技術移転等)に
おける工夫、成果品の質や技術移転の成果、先方へのインパクト等を具体的に記載してください。
26 業務の履行管理に関する自己評価。業務計画の円滑な実施や状況に応じた柔軟な変更を行ったか?関係者とのコミュニケーションは十分だったか?現地での実施体制・本邦の支援体制(若手人材の育成に係る体制、業務管理グループの体制を含む。)は機能していたか?を記載してください。
27 業務実施の基本方針や報告書案に対する監督職員の指示、承認、協議及び確認は適時、適切(明確かつ一貫性のある)に行われたか?また、これらは必要に応じて、適時、打合簿として記録されたか?を記載してください。
28 業務の内容(特記仕様書及び業務計画書)は、業務上の必要性に応じて、適時、適切に変更されたか?また、必要に応じ、適時、適切に契約変更されたか?を記載してください。
29 特記仕様書の内容、契約条件(人月、C/Pの便宜供与等)などについて、契約締結時点で配慮しておくべきだった事項があれば記載してください。
30 機構の契約制度全般に関し、コメント、要望等があれば記載してください。
別添資料6 2023 年 10 月以前の公示案件に適用する場合の留意事項
2023年10月以前の公示案件で、本ガイドラインを適用する場合には、次の点に留意してください。
1. 2023 年 11 月以降に確定する業務従事者(交代者含む)については本ガイドラインに記載する格付認定方法を適用します(既に格付が確定している業務従事者については本ガイドラインに記載する認定方法による格付の見直しは行いません)。
2. 現地再委託費、旅費(航空賃)は、締結した契約書に準拠し、契約金額を超えても精算可としている案件については、費目間流用の対象外とします。なお、継続契約で改正後の契約書雛形を適用する案件についてはこの限りではありません。
以上