Contract
総合病院 釧路赤十字病院 治験業務手順書
(目的と適用範囲)
第1条 本手順書は、厚生省令第28号(平成9年3月27日)及び薬発第430号(平成9年3月27日)並びに薬食審査発第0722014号(平成16年7月22日)に基づいて、治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順を定めるものである。
2 本手順書は、医薬品の製造(輸入)承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対して適用する。
3 製造販売後臨床試験に対しては、厚生省令第28号第56条に準じ、「治験」等とあるのを「製造販売後臨床試験」等と読み替えることにより、本手順書を適用する。
(治験依頼の申請等)
第2条 病院長は、事前に治験責任医師より提出された治験分担医師・治験協力者リスト(様式2)に基づき、治験関連の重要な業務の一部を分担させる者の了承を行う。病院長が了承した治験分担医師・治験協力者リスト(様式2)は、xxを治験責任医師に提出し、病院長はその写を保存するものとする。病院長又は治験責任医師は、その写を治験依頼者に提出する。
2 病院長は、治験に関する治験責任医師と治験依頼者との文書による合意が成立した後、治験依頼者及び治験責任医師に治験依頼書(様式3)とともに履歴書(様式1)、治験実施計画書等の審査に必要な資料、及び最新の治験審査委員会の審査資料を提出させるものとする。
3 病院長は、治験期間中、治験審査委員会の審議対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合、治験依頼者から提出された文書については、治験責任医師及び治験審査委員会に、また治験責任医師から提出された文書については、治験依頼者及び治験審査委員会に当該文書の全てを提出させるものとする。
(治験実施の了承等)
第3条 病院長は、治験責任医師に対して治験の実施を了承する前に、治験審査依頼書(様式4)、履歴書(様式 1)、治験実施計画書等の審査の対象となる文書を治験審査委員会に提出し、治験の実施について治験審査委員会の意見を文書にて求めるものとする。
2 病院長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は治験実施計画書・症例報告書の見本
(ただし、治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は治験実施計画書の提出のみでよい)、同意文書、説明文書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
3 病院長は、治験審査委員会が、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき治験責任医師及び治験依頼者が治験実施計画書を修正した場合には、治験実施計画書等修正報告書(様式6)及び該当する資料を提出させるものとする。また、治験実施計画書等修正報告書(様式6)の写と該当する資料を治験審査委員長に提出し、治験審査委員長は修正事項の確認を行う。
4 病院長は、治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合には、治験の
実施を了承することはできない。病院長は、治験の実施を了承できない旨の病院長の決定を、治験審査結果通知書(様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
5 病院長は、治験依頼者から治験審査委員会の審査結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(治験実施の契約等)
第4条 病院長は、治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後、治験依頼者と治験契約書(様式22)により契約を締結し、双方が記名又は署名し、捺印と日付を付すものとする。
2 治験依頼者が必要とした場合、治験責任医師は、契約内容の確認のため受託に関する契約書に記名・捺印又は署名し、日付を付すものとする。
3 治験審査委員会が修正を条件に治験の実施を承認した場合には、第3条第3項の治験実施計画書等修正報告書(様式6)により治験審査委員長が修正したことを確認した後に、治験契約書(様式22)により契約を締結するとともに、治験責任医師は本条前項に従うものとする。
4 病院長は、治験依頼者から治験契約書(様式22)の内容の変更のため、治験責任医師から治験に関する変更申請書(様式10)が提出された場合には、必要に応じ治験審査委員会の意見を聴いた後、治験変更契約書(様式23)を締結するとともに、治験責任医師は本条第2項に従うものとする。
5 契約書に定める通知の内容は下記のものとする。
(1) 治験依頼者は次の情報を治験責任医師と病院長に通知する(GCP省令第20条第2項に該当する。以下同様。)。
ア 重篤で予測できない副作用(製造販売後臨床試験の場合は、重篤な副作用及び「使用上の注意」から予測できない重篤でも軽微でもない副作用)
イ 治験薬及び医療用医薬品の有効性、安全性に関する重大な情報
ウ 治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思に影響を与える可能性のある情報
(2) 治験依頼者は、次のことを病院長に通知する(GCP省令第24条第2項及び第3項)。 ア 治験を中止、中断する際、その旨及び理由
イ 本治験により収集された治験成績に関する資料を治験薬に係る医薬品製造承認申請書に添付しないことを決定した際、その旨及び理由
(3) 病院長は、次の治験審査委員会の意見を治験責任医師及び治験依頼者に通知する(GCP省令第32条第 6項)。
ア 治験実施の妥当性への意見
イ 治験が長期(1年を越える)の場合、治験の継続の妥当性への意見 ウ 重篤な副作用発現の際における治験の継続の妥当性への意見
エ その他薬物の有効性・安全性に関する重大な情報への意見
オ 被験者の意思に影響を与える可能性が認められたために、治験責任医師がその説明文書を改訂したことに対する意見
カ その他病院長が必要と認めたことへの意見
(4) 病院長は、治験責任医師からの次の情報を治験審査委員会及び治験依頼者に通知する(GCP省令第40
条第3項及び第4項)。
ア 治験の中止、中断の際、その旨及び理由 イ 治験終了の際、その旨及び結果の概要
(5) 治験責任医師は、重篤な有害事象を病院長及び治験依頼者に通知する(GCP省令第48条第2項)。
(治験の継続)
第5条 病院長は、実施中の治験において最低1年に1回以上の頻度で、治験責任医師に治験実施状況報告書 (様式11)を提出させ、治験審査依頼書(様式4)及び治験実施状況報告書(様式11)の写を治験審査委員会に提出し、治験の継続について治験審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は、治験審査委員会の審査結果に基づく病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。修正を条件に承認する場合には、第3条第3項に準じるものとする。
3 病院長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づく病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
4 病院長は、治験依頼者から治験審査委員会の継続審査等の結果を確認するために審査に用いられた治験実施計画書等の文書の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
5 病院長は、以下の場合治験審査委員会に治験継続の適否について意見を聴くものとする。また、治験審査委員会の審査結果及び病院長の治験に関する決定を、治験責任医師及び治験依頼者に文書にて通知するものとする。
1) 治験責任医師が、治験の実施に重大な影響を与え、被験者の危険を増大させるような変更を行う場合又は行った場合
2) 治験責任医師又は治験分担医師が、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のため治験実施計画書からの逸脱又は変更を行う場合又は行った場合
3) 治験責任医師より重篤な有害事象の報告を受け、それが ア)予測できない重篤な副作用の場合
イ)ア)以外の重篤な有害事象で、病院長が、治験審査委員会の意見を聴くことが必要と判断した場合
4) 治験依頼者から、重篤で予測できない副作用が病院長に報告された場合
5) 治験依頼者から、被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与える情報を得た場合
・予測できる重篤な副作用の発現頻度の増加
・生命を脅かすような疾患に使用される治験薬がその効果を有さない等の情報
・変異原性、がん原性あるいは催奇形性等の被験者に重大な危険を示唆する成績
(治験実施計画書の変更)
第6条 病院長は、治験期間中、治験審査委員会の審査対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合には、治験責任医師又は治験依頼者から、それらの当該文書のすべてを速やかに提出させるものとする。
2 病院長は、治験依頼者及び治験責任医師より、治験に関する変更申請書(様式10)の提出があった場合に
は、治験の継続の可否について治験審査委員会の意見を求め(様式4)、病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
(治験実施計画書からの逸脱)
第7条 病院長は、治験責任医師より被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために行った緊急の危険を回避するための治験実施計画書からの逸脱に関する報告書(様式8)の提出があった場合には、治験審査委員会の意見を求め(様式4)、病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書 (様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。また、当該逸脱に関する通知書(様式9)を治験依頼者から入手し、その写を治験責任医師に提出するものとする。
(重篤な有害事象の発生)
第8条 病院長は、治験責任医師より重篤な有害事象に関する報告(様式12-1、12-2)があった場合には、治験責任医師が判定した治験薬との因果関係及び予測性を確認する。また、重篤な副作用の場合には、治験の継続の可否について、治験審査委員会の意見を求め(様式4)、病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書(様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
(重大な安全性に関する情報の入手)
第9条 病院長は、治験依頼者より新たな安全性情報等に関する報告書(様式16)を入手した場合には、治験の継続の可否について治験審査委員会の意見を求め(様式4)、病院長の指示及び決定を、治験審査結果通知書 (様式5)により、治験責任医師及び治験依頼者に通知するものとする。
なお、被験者の安全又は当該治験の実施に影響を及ぼす可能性のある重大な情報には、以下のものが含まれる。
① 他施設で発生した重篤で予測できない副作用
② 重篤な副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が治験薬概要書から予測できないもの
③ 死亡又は死亡につながるおそれのある症例のうち、副作用によるもの又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症によるもの
➃ 副作用又は治験薬及び市販医薬品の使用による感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したことを示す研究報告
⑤ 治験の対象となる疾患に対し効能又は効果を有しないことを示す研究報告
⑥ 副作用又は感染症によりがんその他の重大な疾病、障害又は死亡が発生するおそれがあることを示す研究報告
⑦ 当該被験薬と同一成分を含む市販医薬品に係わる製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他の保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
(治験の中止、中断及び終了)
第10条 病院長は、治験依頼者が治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発中止を決定し、その旨を通知
してきた場合には、治験責任医師及び治験審査委員会に対し、速やかにその旨を文書の写により通知するものとする。なお、通知の文書には、中止または中断についての詳細が説明されていなければならない。
また、治験責任医師から治験終了(中止・中断)報告書(様式17)を提出させ、その報告書の写により治験依頼者及び治験審査委員会にそれぞれ通知するものとする。
2 病院長は、治験責任医師が治験を中止又は中断し、その旨を治験終了(中止・中断)報告書(様式17)にて報告してきた場合には、その報告書の写により、治験依頼者及び治験審査委員会にそれぞれ通知するものとする。なお、通知の文書には、中止または中断についての詳細が説明されていなければならない。
3 病院長は、治験責任医師が治験終了(中止・中断)報告書(様式17)にて治験の終了を報告してきた場合には、その報告書の写により、治験依頼者及び治験審査委員会にそれぞれ通知するものとする。
(直接閲覧)
第11条 病院長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受け入れるものとする。これらの場合には、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じ、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供するものとする。
(治験審査委員会及び治験審査委員会事務局の設置)
第12条 病院長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査及び審議を行わせるため、治験審査委員会を院内に設置する。
2 病院長は、治験審査委員会の委員を指名し、治験審査委員会と協議の上、治験審査委員会の運営の手続き及び記録の保存に関する業務手順を定めるものとする。なお、治験依頼者から、治験審査委員会の業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応ずるものとする。
3 病院長は、自らが設置した治験審査委員会委員となることはできない。
4 病院長は、治験審査委員会の業務の円滑化を図るため、治験審査委員会の運営に関する事務及び支援を行う者を指名し、治験審査委員会事務局を設置するものとする。
(治験責任医師の要件)
第13条 治験責任医師は、以下の要件を満たさなくてはならない。
(1) 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうることを証明する最新の履歴書(様式1)及びGCPに規定する要件を満たすことを証明したその他の資料を、治験依頼者に提出するものとする。
(2) 治験責任医師が、治験審査委員会の意見に基づき病院長が了承した治験実施計画書及びGCPに従い治験を実施する。
(3) 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会並びに国内外の規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は国内外の規制当局の求めに応じて、原資料等のすべての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
(4) 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去
の実績等により示すことができなければならない。
(5) 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
(6) 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
(7) 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験分担医師・治験協力者リスト(様式2)を作成し、予め病院長に提出し、その了承を受けなければならない。
(8) 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
(治験責任医師の責務)
第14条 治験責任医師は次の事項を行う。
(1) 治験責任医師は、治験実施計画書及び症例報告書の見本(ただし、治験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は治験実施計画書の提出のみでよい)の内容については、治験依頼者と合意する。
(2) 治験責任医師は、治験の実施、継続及び承認事項の取消し(治験の中止、中断を含む)について、治験審査委員会の審査結果に基づく病院長の指示、決定に従う。
(3) 治験責任医師は、治験審査委員会の継続審査を受けるため、治験の現況を最低1年に1回又は治験審査委員会の求めに応じてそれ以上の頻度で病院長に治験実施状況報告書(様式11)にて報告する。
(4) 治験責任医師は、治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療及び事後処理を保証する。
(5) 治験責任医師は、治験分担医師に記載させた症例報告書については、治験責任医師が、内容を確認して記名捺印又は署名する。
(6) 治験責任医師は、治験が終了したことを治験終了(中止・中断)報告書(様式17)にて病院長に報告する。また、治験の中止・中断の場合も同様の手続きを行う。
(被験者の同意の取得)
第15条 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、被験者に対して説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について自由意思による同意を文書により得るものとする。
2 同意文書には、説明を行った治験責任医師又は治験分担医師並びに被験者が記名捺印又は署名し、各自日付を記入するものとする。なお、治験協力者が補足的な説明を行った場合には、当該治験協力者も記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者が治験に参加する前に、前項の規定に従って記名捺印又は署名と日付が記入された同意文書の写を被験者に渡さなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、説明文書が改訂された場合は、その都度新たに本条第1項及び第2項に従って同意を取得し、記名捺印又は署名と日付を記入した同意文書の写及び説明文書を被験者に渡さなければならない。
4 治験責任医師、治験分担医師及び治験協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。
5 説明文書及び説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、当院若しくは治験依頼者の法的責任を免除するかそれを疑 わせる語句が含まれていてはならない。
6 口頭及び文書による説明には、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
7 治験責任医師又は治験分担医師は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該治験責任医師、治験分担医師又は補足的説明者としての治験協力者は、すべての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
8 被験者の同意に関連し得る新たな重要な情報が得られた場合には、治験責任医師は、速やかに当該情報に基づき説明文書を改訂し、予め治験審査委員会の承認を得なければならない。また、治験責任医師又は治験分担医師は、すでに治験に参加している被験者に対しても当該情報を速やかに伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、説明文書を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者から自由意思による同意を文書で得なければならない。
注)重大な安全性に関する情報の入手 本手順書第9条参照
9 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合には、治験責任医師又は治験分担医師は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
10 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合については、GCP省令第50条第2項及び第3項、第52条第3項及び第4項並びに第55条を遵守する。
(被験者に対する医療)
第16条 治験責任医師は、治験に関連する医療上のすべての判断に責任を負うものとする。
2 病院長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関した臨床上問題となるすべての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(治験実施計画書からの逸脱等)
第17条 治験責任医師又は治験分担医師は、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、治験実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。ただし、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ないものである場合又は治験の事務的事項(例えば、電話番号の変更)のみに関する変更である場合には、この限りではない。
2 治験責任医師又は治験分担医師は、承認された治験実施計画書から逸脱した行為をすべて記録しなければならない。
3 治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために行った治験実施計画書からの逸脱以外の逸脱については、速やかに治験依頼者に報告しなければならない。
4 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない事情のために、治験依頼者との事前の文書による合意及び治験審査委員会の事前の承認なしに治験実施計画書からの逸脱又は変更を行うことができる。その際には、治験責任医師は、逸脱又は変更の内容及び理由を記した報告書(様式8)並びに治験実施計画書の改訂が適切な場合には、その案を、可能な限り早急に治験依頼者並びに病院長及び病院長を経由して治験審査委員会に提出してその承認を得る(様式5)とともに、病院長の了承(様式5)及び病院長を経由して治験依頼者の合意を文書(様式9)で得なければならない。
(治験薬の管理)
第18条 治験薬の管理責任は、病院長が負うものとする。
2 病院長は、治験薬を保管・管理させるため薬剤部長を治験薬管理者とし、病院内で実施されるすべての治験の治験薬を管理させるものとする。
なお、治験薬管理者は必要に応じて治験薬管理補助者を指名し、治験薬の保管・管理を行わせることができる。
3 治験薬管理者は、治験依頼者が作成した治験薬の取扱い及び保管・管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書に従って、また、GCPを遵守して適正に治験薬を保管、管理する。
4 治験薬管理者は次の業務を行う。
1) 治験薬を受領し、治験薬受領書を発行する。
2) 治験薬の保管、管理及び払い出しを行う。
3) 治験薬管理表及び治験薬出納表を作成し、治験薬の使用状況及び治験進捗状況を把握する。
4) 被験者からの未使用治験薬の返却記録を作成する。
5) 未使用治験薬(被験者からの未使用返却治験薬、使用期限切れ治験薬及び欠陥品を含む。)を治験依頼者に返却し、未使用治験薬返却書を発行する。
6) 上記1)~5)に係る記録を保存する。
7) その他、第3項の治験依頼者が作成した手順書に従う。
5 治験薬管理者は、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与されていることを確認する。
6 治験薬管理者は、原則として薬剤部で治験薬を管理するが、救命治療の治験等の場合、病棟等で治験責任医師の下に管理させることができる。
(治験事務局の設置及び業務)
第19条 病院長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、治験事務局を設けるものとする。なお、治験事務局は治験審査委員会事務局を兼ねるものとする。
2 治験事務局は、病院長の指示により、次の業務を行うものとする。
1) 治験審査委員会の委員の指名に関する業務(委員名簿の作成を含む。)
2) 治験依頼者に対する必要書類の交付と治験依頼手続きの説明
3) 治験依頼書及び治験審査委員会が審査の対象とする審査資料の受付
4) 治験審査結果報告書に基づく、治験審査結果通知書の作成と治験依頼者及び治験責任医師への通知書の交付(治験審査委員会の審査結果を確認するために必要とする文書の治験依頼者への交付を含む。)
5) 治験契約に係わる手続き等の業務
6) 治験終了(中止・中断)報告書の受領及び治験終了(中止・中断)通知書の交付
7) 記録の保存
8) 治験の実施に必要な手続きの作成
9) その他治験に関する業務の円滑化を図るために必要な事務及び支援
(記録の保存責任者)
第20条 病院長は、医療機関において保存すべき必須文書の保存責任者を指名するものとする。
2 病院長又は治験の記録の保存責任者は、医療機関において保存すべき必須文書が第21条第1項に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じるものとする。
(記録の保存期間)
第21条 病院長は、医療機関において保存すべき必須文書をファイルし、1)又は2)の日のうち後の日あるいは3)までの間保存するものとする。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。
1) 当該被験薬に係る医薬品についての製造(輸入)承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日から3年が経過した日)
2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
3) 製造販売後臨床試験の場合には、再審査又は再評価の終了した日後5年間が経過した日
(附則)
2004年10月07日 施行
2005年05月23日 一部改訂
2009年03月18日 一部改訂
2011年09月16日 一部改訂
2012年05月28日 一部改訂