令和4 年10 月28 日 キリン通信 ( VOL .951)
令和4 年10 月28 日 キリン通信 ( VOL .951)
労働契約法の概要
労働契約法は、労働者と使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立・変更されるという「合意の原則」等労働契約に関する基本的事項を定めています。この法律は、就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等に対応し、個別の労働者及び使用者の労働関係が良好なものとなるようにルールを整えることにより、労働者の保護を図りつつ、個別の労働契約の安定に資することを目的として、平成20 年3 月1 日から施行され、
平成24 年8 月に一部改正されました。
1.労働基準法との違い
労働基準法は、罰則をもって担保する労働条件の基準(最低労働基準)を設定しており、労働基準監督官による監督指導及び罰則により最低労働基準の履行が確保されるものですが、労働契約法については労働基準監督官による監督指導及び罰則による履行確保は行われず、具体的には、法律の趣旨及び内容の周知と、法律に規定する事項に関する個別労働関係紛争について、都道府県労働局長による助言及び指導、紛争調整委員会によるあっせん等が行われます。
2.労働契約法の主な内容
(1) 労働契約の締結
労働者と使用者では交渉力に差があることや契約内容が不明なことが多いことを踏まえ、次の事項を規定する。
・ 対等の立場の合意原則を明確化
・ 均衡考慮及び仕事と生活の調和への配慮を規定
・ 情報の提供等により契約内容の理解を促進
・ 契約内容をできるだけ書面で確認
・ 安全配慮
(2) 労働契約の変更
就業規則の変更については、手続しかルールがなく、内容のルールは判例に任されていることを踏まえ、次の事項を規定する。
・ 合意原則の明確化
・ 一方的に就業規則の変更により労働者に不利益な変更ができないこと
・ 労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情を考慮して、就業規則の変更が合理的な場合は労働条件が変更されること
(3) 労働契約の継続・終了
懲戒、解雇等をめぐる紛争が多発していることを踏まえ、次の事項を規定する。
・ 解雇の権利濫用は無効(労働基準法から移行)
・ 懲戒の権利濫用は無効 等
(4) 有期労働契約
契約期間中の解雇や契約更新の繰り返しなど、有期労働契約者が不安定な状態にあることを踏まえ、次の事項を規定する。
・ 契約期間中はやむを得ない事由がある場合でなければ、解雇できないことを明確化
・ 契約期間が必要以上に細切れにならないよう、使用者に配慮を求める
・ 同一の使用者との有期労働契約が通算して5 年を超える労働者の期間の定めのない労働契約への転換
・ 有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めすることが解雇と社会通念上同視できる場合は、従前の労働契約の内容で更新したものとみなす。
・ 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
キリン社会保険労務士事務所
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