Contract
大阪大学医学部附属病院 治験に係わる標準業務手順書
平成18年4月1日作成平成19年4月1日改訂平成19年9月1日改訂平成20年4月1日改訂
目 次
治験の原則
第1章 目的と適用範囲
第1条 治験の申請等
第2章 病院長の業務
第2条 治験の申請等
第3条 治験実施の承認等第4条 契約書
第5条 治験の継続
第6条 実施計画書等の変更
第7条 実施計画書からの逸脱等第8条 重篤な有害事象の発生
第9条 新たな安全性に関する情報の入手第10条 治験の中止、中断及び終了等
第11条 直接閲覧
第3章 審査委員会
第12条 審査委員会及び事務局の設置第13条 審査委員会の運営
第14条 治験の継続
第4章 責任者の業務
第15条 責任者の要件
第16条 被験者となるべき者の選定第17条 手続き等
第18条 実施等
第19条 医薬品の使用 第20条 副作用等報告 第21条 症例報告書等 第22条 治験の中止等 第23条 責任者等の変更
第24条 被験者の同意の取得第25条 被験者に対する医療
第26条 実施計画書からの逸脱等
第5章 医薬品等の管理
第27条 医薬品等の管理
第6章 記録等の保存
第28条 記録等の保存責任者第29条 記録等の保存期間
第7章 治験事務x
x 験 の x x
大阪大学医学部附属病院で行われる医薬品等の臨床研究(以下「治験」という。)は、次に掲げる原則に則って実施されなければならない。
1.治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則、薬事法、同施行令、同施行規則、GCP省令、GCP省令に関する通知、GPSP省令及びGPSP省令に関する通知、大阪大学受託研究(治験)取扱規程(以下「治験取扱規程」という。)及び大阪大学医学部附属病院治験審査委員会規程(以下「審査委員会規程」という。)を遵守して行われなければならない。
2.治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
3.被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
4.医薬品等に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
5.治験は科学的に妥当でなければならず、実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
6.治験は、大阪大学医学部附属病院治験審査委員会(以下「審査委員会」という。)が事前に承認した実施計画書等を遵守して実施しなければならない。
7.被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師が常に負うべきである。
8.治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。
9.全ての被験者より、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
10.治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い及び保存しなければならない。
11.被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
12.医薬品等の製造、取扱い、保管及び管理は、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準
(GMP)に準拠して行うものとする。医薬品等は審査委員会が事前に承認した実施計画書を遵守して使用するものとする。
13.治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムが、運用されなければならない。
14.治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合は、過失によるものであるか否か問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。
第1章 目的と適用範囲
(目的と適用範囲)
第1条 本手順書は、GCP及び薬発第430号(平成9年3月27日),薬食審査発第092
1001号(平成18年9月21日),治験取扱規程第10条及び審査委員会規程に基づいて、治験の実施に必要な手続きと運営に関する手順、審査委員会の運営に関する手続き及び記録 の保存方法を定めるものである。
2 本手順書は、医薬品等の製造販売承認申請又は承認事項一部変更承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行う治験に対し適用する。
3 医薬品等の再審査申請、再評価申請等の際提出すべき資料の収集のための製造販売後臨床試験を行う場合には、本手順書において、「治験」とあるのは「製造販売後臨床試験」と読み替えるものとする。
第2章 病院長の業務
(治験の申請等)
第2条 病院長は、事前に治験責任医師(以下「責任者」という。)となるべき者より提出された治験業務分担者指名リスト(様式2)に基づき、関連の重要な業務の一部を分担させる者を予め指名するものとする。病院長が指名した治験業務分担者指名リスト(様式2)は、責任者となるべき者及び委託者に各1部を提出し、その写を保存するものとする。
2 病院長は、責任者となるべき者と委託者との文書による合意が成立した後、委託者より、治験実施申込書(様式3)により申込みを受けた場合には、第13条6項に定める資料(以下「審査資料等」という。)を提出させるものとする。
(治験実施の承認等)
第3条 病院長は、責任者及び委託者に対して治験の実施を承認する前に、審査資料等及び治験審査依頼書(様式9)を審査委員会に提出し、治験の実施について審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は、審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、又は審査資料等について何らかの修正を条件に実施を承認する決定を下し、その旨を治験審査結果報告書(様式10)により通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示・決定を、治験審査結果報告書(様式
10)の写とともに治験実施に関する通知書(様式11)により、責任者及び委託者に通知するものとする。
3 病院長は、審査委員会が、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき責任者及び委託者が審査資料等を修正した場合は、治験実施計画書等修正報告書(様式12)及び該当する審査資料等を提出させるものとする。また、治験実施計画書等修正報告書(様式12)の写と該当する審査資料等を審査委員会に提出し、修正事項の確認を行うものとする。
4 病院長は、審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を承認することはできない。病院長は、治験の実施を承認できない旨の病院長の決定及びその理由を、治験審査結果報告書(様式10)の写とともに治験実施に関する通知書(様式11)により、責任者及び委託者に通知するものとする。
(契約書)
第4条 病院長は、治験取扱規程第8条に基づき、治験契約書(様式13)により契約締結するものとする。
2 責任者は、契約内容を確認し、治験契約書の写に記名・捺印又は署名するものとする。
3 治験契約の内容を変更する場合は、治験取扱規程第12条に基づき、治験変更契約書(様式17)により契約締結するとともに、責任者は前項の規定に従うものとする。
(治験の継続)
第5条 病院長は、実施中の治験において少なくとも年1回、責任者に治験実施状況報告書(様式21)を提出させ、その写及び治験審査依頼書(様式9)を審査委員会に提出し、継続について審査委員会の意見を求めるものとする。
2 病院長は、審査委員会の審査結果に基づく病院長の指示・決定を、治験審査結果報告書(様式10)の写とともに治験実施に関する通知書(様式11)により、責任者及び委託者に通知するものとする。修正を条件に承認する場合は、第3条第3項に準じるものとする。
3 病院長は、審査委員会が実施中の治験の継続審査において、審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく病院長の指示・決定及びその理由を、治験審査結果報告書(様式10)の写とともに治験実施に関する通知書(様式11)により、責任者及び委託者に通知するものとする。
4 病院長は、委託者より審査委員会の継続審査の結果を確認するために審査資料等の入手を求める旨の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(実施計画書等の変更)
第6条 病院長は、治験の実施期間中に審査資料等審査委員会の審査資料等が追加、更新又は改訂された場合は、委託者及び責任者より治験実施計画書等変更申請書(様式22)及びそれらの該当する審査資料等のすべてを速やかに提出させるものとする。
2 病院長は、責任者及び委託者より治験実施計画書等変更申請書(様式22)の提出があった場合には、治験の継続の可否について、審査委員会の意見を求め、病院長の指示・決定を、治験審査結果報告書(様式10)の写とともに、治験実施に関する通知書(様式11)により、責任者及び委託者に通知するものとする。
(実施計画書からの逸脱等)
第7条 病院長は、責任者又は治験分担医師(以下「分担者」という。)が被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない理由により実施計画書から逸脱を行った場合には、責任者より実施計画書からの逸脱の報告書(様式23)を可能な限り早急に、病院長及び委託者に提出させるとともに、審査委員会の意見を求め、病院長の指示・決定を、治験審査結果報告書(様式10)の写とともに治験の実施に関する通知書(様式11)により、責任者に通知し、委託者と文書による合意を得なければならない。
2 病院長は、責任者又は分担者が重大な実施計画書からの逸脱を行った場合には、速やかに責任者に、適切な処置及び防止策を講じさせるとともに、実施計画書からの逸脱の報告書(様式23)を病院長及び委託者へ提出させなければならない。また、病院長は、審査委員会にその旨を報告するものとする。
なお、重大な実施計画書からの逸脱とは、治験の実施に重大な影響を与え、又は被験者の危険を増大させるような治験のあらゆる変更をいう。
3 病院長は、責任者又は分担者が、本条第1項及び第2項以外の実施計画書からの逸脱を行った場合には、責任者より実施計画書からの逸脱の報告書(様式23)を提出させるものとする。
(重篤な有害事象の発生)
第8条 病院長は、責任者又は分担者より重篤な有害事象発生の報告があった場合は、治験の
継続の可否について、審査委員会の意見を求め、病院長の指示・決定を治験審査結果報告書
(様式10)の写とともに治験実施に関する通知書(様式11)により、責任者及び委託者に通知するものとする。
(新たな安全性に関する情報の入手)
第9条 病院長は、委託者及び責任者より新たな安全性に関する報告書(様式24)に基づき、被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある重大な新たな安全性に関する情報(以下「重大な新たな安全性に関する情報」という。)を入手した場合は、治験の継続の可否について審査委員会の意見を求め、病院長の指示・決定を治験審査結果報告書(様式
10)の写とともに、治験実施に関する通知書(様式11)により責任者及び委託者に通知するものとする。
なお、重大な新たな安全性に関する情報とは、以下のものをいう。
(1) 他施設で発生した重篤で予測できない副作用
(2) 予測できる重篤な副作用の発現頻度の増加
(3) 生命を脅かすような疾患に使用される医薬品等が、その効果を有さないなどの情報
(4) 変異原性、がん原性あるいは催奇形性など、被験者に重大な危険を示唆する成績
(治験の中止、中断及び終了等)
第 10 条 病院長は、責任者が治験を中止、中断又は終了し、その旨を治験中止・中断・終了報告書(様式27)により報告してきた場合は、治験の中止、中断又は終了を確認し、審査委員会と委託者に文書により通知するものとする。
2 病院長は、委託者が治験の中止又は中断を決定し、治験中止・中断報告書(様式28)によ
り通知してきた場合は、速やかにその旨を責任者及び審査委員会に文書により通知するものとする。
3 病院長は、委託者より医薬品等に係る製造販売承認取得、開発中止あるいは再審査又は再評価終了を医薬品等の製造販売承認取得及び開発の中止・中断報告書(様式29)により通知があった場合は、審査委員会及び責任者に報告するものとする。
(直接閲覧)
第11条 病院長は、委託者によるモニタリング及び監査並びに審査委員会及び規制当局による調査に協力しなければならない。これらの場合には、モニター、監査担当者、審査委員会又は規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての関連記録を直接閲覧に供するものとする。なお、病院長は、これらによる調査が適切かつ速やかに行われるよう協力する。
第3章 審査委員会
(審査委員会及び事務局の設置)
第12条 病院長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査・審議を行わせるため、審査委員会規程に基づいて審査委員会を院内に設置するものとする。
2 病院長は、委託者より本業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合は、これに応ずるものとする。
3 病院長は、審査委員会の業務の円滑化を図るため、審査委員会規程に基づき事務局として臨床試験部を設置するものとする。
(審査委員会の運営)
第13条 審査委員会は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査・審議を行うものと
する。
2 決定は次の各号のいずれかによる。
(1) 承認する
(2) 修正の上で承認する
(3) 却下する
(4) 既に承認した事項を取り消す(治験の中止又は中断を含む)
3 審査委員会は、審議終了後速やかに病院長に治験審査結果報告書(様式10)により報告し、以下の事項を記載するものとする。
(1) 治験に関する委員会の決定
(2) 決定の理由
(3) 修正条件がある場合は、その条件
(4) 審査委員会の名称と所在地
(5) 審査委員会がGCPに基づき組織され、活動している旨を審査委員会が自ら確認し保証する旨の陳述
4 審査委員会は、修正を条件に治験の実施を承認し、その点につき責任者及び委託者が審査資料等を修正した場合には、治験実施計画書等修正報告書(様式12)及び該当する審査資料等を病院長より入手し、修正事項の確認を行うものとする。
5 審査委員会は、その責務の遂行のために、次の最新の資料を病院長より入手しなければならない。
(1) 実施計画書(責任者と委託者が合意したもの)
(2) 症例報告書(責任者と委託者が合意したもの)
(3) 同意文書及びその他の説明文書(以下「同意文書等」という。)(責任者が委託者の協力を得て作成したもの)
(4) 被験者の募集手順(広告等)に関する資料(募集する場合)
(5) 医薬品等の概要書
(6) 被験者の安全等に係わる報告
(7) 被験者への支払いに関する資料(支払いがある場合)
(8) 被験者の健康被害に対する補償に関する資料
(9) 責任者の履歴書及び分担者の履歴書
(10) 予定される治験の費用に関する資料
(11) 治験の現況の概要に関する資料(継続審査の場合)
(12) 開発業務受託機関の業務範囲に関する資料(該当する場合)
(13) その他審査委員会が必要と認める資料
6 審査委員会は、次の事項についてそれぞれの事態の緊急性に応じて速やかに調査・審議し、記録を作成する。
(1) 治験を実施することの倫理的、科学的及び医学的見地からの妥当性に関する事項
① 医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができる等、当該治験を適切に実施できること。
② 責任者及び分担者が当該治験を実施する上で適格であるか否かを最新の履歴書により検討すること。
③ 治験の目的、計画及び実施が妥当なものであること。
④ 被験者の同意を得るに際しての同意文書等の内容が適切であること。(同意文書等の記載内容が、被験者に理解しやすく、かつ十分な説明がなされているか、定められた説明事項が適切な表現で記載されているか否かについて審議する。)
⑤ 被験者の同意を得る方法が適切であること。(特に被験者の同意取得が困難な場合は非
治療的な治験、緊急状況下における救命的治験及び被験者が同意文書等を読めない場合にあっては、厚生省GCP答申7-2-2、7-2-3、7-2-4及び7-2-5に示された内容が説明又は遵守されているかについて審議する。)
⑥ 被験者への健康被害に対する補償の内容が適切であること。(医療機関、責任者又は委託者の過失によるものであるか否かを問わず被験者の損失が補償されるか否かを審議する。)
⑦ 予定される治験の費用が適切であること。
⑧ 被験者に対する支払いがある場合は、その内容・方法が適切であること。(支払いがある場合は、支払いの方法、その時期、金額等が同意文書等に記述されていること、その内容が適正であるか否かを審議する。)
⑨ 被験者の募集手順(広告等)がある場合は、募集の方法が適切であること。
(2) 治験実施中又は終了時に行う調査・審議事項
① 被験者の同意が適切に得られていること。
② 以下にあげる実施計画書の変更の妥当性を調査・審議すること。
イ 被験者に対する緊急の危険を回避するなど医療上やむを得ない事情のために行った実施計画書からの逸脱又は変更
ロ 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす、あらゆる変更
③ 治験実施中に本院で発生した重篤な有害事象について検討し、当該治験の継続の可否を審議すること。
④ 重大な新たな安全性に関する情報について検討し、当該治験の継続の可否を審議すること。
⑤ 治験の実施状況について少なくとも1年に1回以上調査すること。
⑥ 治験の終了、治験の中止又は中断及び開発の中止を確認すること。
(3) その他審査委員会が求める事項
7 審査委員会は、審議及び採決に参加した委員名簿(各委員の資格及び職名を含む)に関する記録及び審議記録を作成し保存するものとする。
8 審査委員会は、責任者に対して審査委員会が治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示・決定が文書で通知される前に被験者を治験に参加させないように求めるものとする。
(治験の継続)
第14条 審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で、治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。
なお、必要に応じて治験の実施状況について調査し、必要な場合は、病院長に意見を文書で通知するものとする。
2 審査委員会は、承認済の治験について、治験期間内の軽微な変更の場合は、迅速審査を行うことができる。
また、迅速審査の対象か否かの判断は審査委員会委員長が行い、第13条第2項に基づき判定し、第13条第3項及び第4項に基づき病院長に報告し、次回の審査委員会において迅速審査の内容と判定を報告する。
なお、軽微な変更とは以下のものをいう。
(1) 変更により生ずる危険性が、被験者の日常生活における危険性又は通常行われる理学的あるいは心理学的検査における危険性より高くない変更。
ただし、何らかの身体的侵襲を伴う検査を伴う変更は除く。
(2) 実施中の各治験における、分担者の変更。
(3) 実施症例数の変更
(4) 治験の期間が1年を超えない場合の治験契約期間の延長
(5) その他、審査委員会委員長が認めるもの。
第4章 責任者の業務
(責任者の要件)
第15条 責任者は、以下の要件を満たさなくてはならない。
(1) 責任者は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者でなければならない。また、責任者は、このことを証明する最新の履歴書(様式1)及び分担者を置く場合は、当該分担者の履歴書(様式1)を、委託者に提出するものとする。
(2) 責任者は、委託者と合意した実施計画書、最新の医薬品等の概要書、製品情報及び委託者が提供するその他の文書に記載されている医薬品等の適切な使用法に、十分精通していなければならない。
(3) 責任者は、薬事法及びGCPを熟知し、これを遵守しなければならない。
(4) 責任者は、別に定める大阪大学医学部附属病院医薬品等臨床研究受託に係わるモニタリング・監査に関する手順書により、モニタリング及び監査を受入れなければならない。
(5) 責任者は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
(6) 責任者は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
(7) 責任者は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の分担者及び治験協力者(以下「協力者」という。)等の適格なスタッフを確保でき、また、適切な設備を利用できなければならない。
(8) 責任者は、治験関連の重要な業務の一部を分担者又は協力者に分担させる場合は、治験業務分担者指名リスト(様式2)を作成し、予め病院長に提出し、その指名を受けなければならない。
(9) 責任者は、分担者及び協力者に実施計画書、医薬品等及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
(被験者となるべき者の選定)
第16条 責任者は次に掲げるところにより、実施計画書の被験者となるべき者を選定しなくてはならない。
(1)人権保護の観点から及び治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、責任者及び分担者との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮し、治験に参加を求めることの適否を慎重に検討すること。
(2) 同意能力を欠く者については、当該治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としないこと。
(3) 社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合は、特に慎重な配慮を払わなくてはならないこと。
(手続き等)
第17条 責任者は、治験依頼の申し出があった場合は委託者との合意を行った後、診療科長等に承認を受け、治験実施申込書(様式3)に同意すること。
2 責任者は、実施計画書及び症例報告書について委託者と合意する前に、委託者より提供される実施計画書案、症例報告書案及び最新の医薬品等の概要書その他必要な資料・情報に基づ
き委託者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討すること。実施計画書及び症例報告書が改訂される場合も同様である。
3 責任者は、委託者が治験の申請を行う前に、委託者の協力を得て、被験者より治験の参加に関する同意を得るために用いる同意文書等を作成する。
(実施等)
第18条 責任者は、治験実施前及び治験期間を通じて、責任者が提出すべき審査資料等を最新のものにすること。該当する審査資料等が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに病院長に提出すること。
2 責任者は、審査委員会が当該治験の実施を承認し、これに基づく病院長の指示・決定が治験実施に関する通知書(様式11)で通知され、契約が締結される前に、被験者を治験に参加させてはならない。
3 責任者は、審査委員会が治験の実施又は継続を承認し、又は何らかの修正を条件に治験の実施又は継続を承認し、これに基づく病院長の指示・決定が治験の実施に関する通知書(様式
11)で通知された後に、その指示・決定に従って治験を開始又は継続すること。又は審査委員会が実施中の治験に関して承認した事項を取消し(治験の中止又は中断を含む)、これに基づく病院長の指示・決定が治験実施に関する通知書(様式11)で通知された場合は、その指示・決定に従うこと。
4 責任者は、第26条第1項で規定する場合を除いて、実施計画書を遵守して治験を実施すること。
5 責任者は、治験の実施期間中に審査資料等が追加、更新又は改訂された場合は、その内容を確認し治験実施計画書等変更申請書(様式22)及び該当する審査資料等の全てを速やかに提出するとともに、変更の可否について病院長の指示・決定を治験実施に関する通知書(様式
11)により受けること。
(医薬品の使用)
第19条 責任者は、医薬品等を使用する際には承認された実施計画書を遵守した方法のみで使用すること。
2 責任者は、医薬品等の正しい使用法を各被験者に説明・指示し、当該医薬品等にとって適切な間隔で、各被験者が説明された指示を正しく守っているか否かを確認すること。
(副作用等報告)
第20条 責任者は、実施中の治験において少なくとも年1回、病院長に治験実施状況報告書(様式21)を提出すること。
2 責任者は、治験実施中に重篤な有害事象が発生した場合は、速やかに病院長及び委託者に文書で報告するとともに、治験の継続の可否について、病院長の指示・決定を治験実施に関する通知書(様式11)により受けること。
(症例報告書等)
第21条 責任者は、実施計画書の規定に従って正確な症例報告書を作成し、記名捺印又は署名し、委託者に提出すること。また、分担者が作成した症例報告書については、それらが委託者に提出される前にその内容を点検し、問題がないことを確認した上で記名捺印又は署名するものとする。
(治験の中止等)
第22条 責任者は、治験の中止、中断又は終了した場合は、速やかに病院長に治験中止・中断・
終了報告書(様式27)を提出すること。
2 責任者は、治験が何らかの理由で中止又は中断された場合には、被験者に速やかにその旨を通知し、被験者に対する適切な治療、事後処理、その他必要な措置を講じること。
(責任者等の変更)
第23条 責任者は、異動等のやむを得ない事情により治験を継続できない場合には速やかに委託者、診療科長等と協議のうえ後任の責任者を決定し、診療科長等及び委託者より、治験責任医師変更申請書(様式25)、後任の責任者より、治験業務分担者指名リスト(様式2)、履歴書(様式1)及び後任の責任者と委託者との実施計画書等の合意文書の写を病院長に提出すること。
2 責任者は、分担者を異動等により変更する場合は、治験契約事項変更要望書(様式15)、治験業務分担者指名リスト(様式2)、及び分担者を追加する場合は、当該分担者の履歴書(様式1)を速やかに病院長に提出すること。
3 責任者は、協力者を異動等により変更する場合は、治験業務分担者指名リスト(様式2)及び治験協力者変更申請書(様式26)を速やかに病院長に提出すること。
(被験者の同意の取得)
第 24 条 責任者及び分担者は、治験の実施にあたっては、あらかじめ被験者(被験者が未xx、意識障害者等の場合はその後見人、配偶者、親権者、扶養義務者又は保護義務者等本人に代わって同意をなし得る者)にGCP等に定める適法な説明文書等を用いて十分に説明し、治験の参加について自由意思による同意を治験参加の同意書(様式20-1、20-2)により得るものとする。なお、治験参加に伴う交通費等の負担軽減がある場合は、そのことについて十分説明し、交通費等の負担軽減費用の受け取りについても、この同意書により併せて得るものとする。
2 同意書には、説明を行った責任者又は分担者並びに被験者が各自日付を記入し、記名捺印又
は署名するものとする。なお、協力者が補足的な説明を行った場合には、当該協力者も同様とする。
3 責任者又は分担者は、治験実施にあたっては、あらかじめ前2項による説明文書等及び同意書の写しを被験者に交付しなければならない。また、被験者が治験に参加している間に、説明文書等が改訂された場合も、その都度、同様としなければならない。
4 責任者、分担者及び協力者は、治験への参加又は治験への参加の継続に関し、被験者に強制したり又は不当な影響を及ぼしてはならない。
5 同意文書等及び説明に関して口頭で提供される情報には、被験者に権利を放棄させるかそれを疑わせる語句、又は責任者、分担者、協力者、医療機関、委託者の法的責任を免除するかそれを疑わせる語句が含まれていてはならない。
6 同意文書等及び説明に関して口頭で提供される情報は、被験者が理解可能で、可能な限り非専門的な言葉が用いられていなければならない。
7 責任者又は分担者は、同意を得る前に、被験者が質問をする機会と、治験に参加するか否かを判断するのに十分な時間を与えなければならない。その際、当該責任者、分担者又は補足的説明者としての協力者は、全ての質問に対して被験者が満足するよう答えなければならない。
8 被験者の同意に関連し得る重大な新たな情報が得られた場合は、責任者は、速やかに当該情報に基づき同意文書等を改訂し、予め審査委員会の承認を得なければならない。また、責任者又は分担者は、すでに治験に参加している被験者に対しても、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思を確認するとともに、改訂された同意文書等を用いて改めて説明し、治験への参加の継続について被験者より自由意
思による同意を文書で得なければならない。
9 治験に継続して参加するか否かについての被験者の意思に影響を与える可能性のある情報が得られた場合は、責任者又は分担者は、当該情報を速やかに被験者に伝え、治験に継続して参加するか否かについて被験者の意思を確認しなければならない。
この場合、当該情報が被験者に伝えられたことを文書に記録しなければならない。
10 被験者の同意取得が困難な場合、非治療的治験を実施する場合、緊急状況下における救命的治験の場合及び被験者が同意文書等を読めない場合については、GCP答申7-2-2、
7-2-3、7-2-4及び7-2-5を遵守する。
(被験者に対する医療)
第25条 責任者は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
2 病院長及び責任者は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、責任者又は分担者は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合は、被験者にその旨を伝えなければならない。
3 責任者又は分担者は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
4 被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合は、被験者は、その理由を明らかにする必要はないが、責任者又は分担者は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
(実施計画書からの逸脱等)
第26条 責任者又は分担者は、被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない場合又は治験の事務的事項(例えば、電話番号の変更)に関する変更を除き、委託者との事前の文書による合意及び審査委員会の事前の審査に基づく文書による承認を得ることなく、実施計画書からの逸脱又は変更を行ってはならない。
また、責任者は被験者の緊急の危険を回避するためのものである等医療上やむを得ない理由により、実施計画書からの逸脱又は変更を行った場合には、実施計画書からの逸脱の報告書(様式23)により逸脱又は変更の内容及び理由並びに実施計画書の改訂が適切な場合は、その案を可能な限り早急に委託者並びに病院長及び病院長を経由して審査委員会に提出してその承認を得るとともに、病院長の了承及び病院長を経由して委託者の合意を文書で得なければならない。
2 責任者又は分担者は、承認された実施計画書から逸脱した行為を全て記録しなければならない。また、責任者は、その理由等を説明した記録を作成して委託者に提出し、その写を保存しなければならない。
3 責任者は、責任者又は分担者が、重大な実施計画書からの逸脱を行った場合には、速やかに適切な処置及び防止策を講じるとともに、実施計画書からの逸脱の報告書(様式23)を病院長及び委託者に提出しなければならない。
4 責任者は、責任者又は分担者が、本条第1項及び第3項以外の実施計画書からの逸脱を行った場合には、速やかに適切な処置及び防止策を講じるとともに、実施計画書からの逸脱の報告書(様式23)を病院長及び委託者に提出するものとする。
第5章 医薬品等の管理
(医薬品等の管理)
第27条 病院長は、医薬品等保管責任者として薬剤部長を指名し、病院内で実施される治験の
医薬品等を管理させるものとする。ただし、当該治験が医薬部外品又は医療機器にかかるものであるときは、診療科長等を医薬品等保管責任者に指名し、医薬部外品又は医療機器を管理させるものとする。
なお、医薬品等保管責任者は必要に応じて医薬品等管理補助者を指名し、医薬品等の保管、管理を行わせることができる。
2 医薬品等保管責任者は、委託者が作成した医薬品等の取扱い及び保管・管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書及びGCPを遵守し適正に医薬品等を保管・管理する。
3 医薬品等保管責任者は、委託者が医薬品等の提供をする際、医薬品等引渡書(様式18)により受入れするものとする。
4 医薬品等は、薬剤部又は診療科等において医薬品等保管責任者が適切に保管し、医薬品等受払簿(様式19)により正確に管理を行うものとする。
5 医薬品等保管責任者は、治験を中止し、又は終了したときは、費消した医薬品等を除き、遅滞なく委託者に返還するものとする。
第6章 記録等の保存
(記録等の保存責任者)
第28条 病院長は、保存すべき記録等の保存責任者を次のとおり指名するものとする。
(1) 治験薬等に関する文書:薬剤部長
(2) 医薬部外品又は医療機器に関する文書:当該治験にあたる診療科及び中央診療施設の長
(3) レントゲンフィルム等:放射線部長
(4) 診療録及び同意書:事務部長
(5) 病院情報システムのデータ:医療情報部長
(6) 実施中の治験に関する症例報告書等の責任医師が作成すべき文書:責任医師
(7) 契約書、審査委員会、医療機関の長(病院長)及びその他の治験等に関する文書:臨床試験部長
2 保存責任者は、保存中の記録が直接閲覧に供される場合、これに自ら立ち会うあるいは適当なものを指名して立ち会わせるものとする。
(記録等の保存期間)
第 29 条 病院長は、保存すべき記録等を次の各号に定める期間まで保存するものとする。ただし、委託者がこれよりも長期間の保存期間を必要とするときには、保存期間及び保存方法について協議するものとする。
(1)(治験の場合) 当該医薬品等に係る製造販売承認取得日(開発中止の場合は中止決定日から 3 年が経過した日)又は、治験の中止若しくは終了日から 3 年が経過した日のいずれか遅い日
(2) (製造販売後臨床試験の場合)当該医薬品等に係る再審査又は再評価終了日 (3)(製造販売後調査の場合)当該医薬品等に係る再審査又は再評価終了日より5年間
(4) 病院長は、委託者より前項にいう医薬品等に係る製造販売承認取得、開発中止あるいは再審査又は再評価終了の連絡を受けるものとする。
2 保存責任者は、保存すべき記録等が前項に定める期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるよう措置を講じるものとする。
第7章 治験事務局
(治験事務局の設置及び業務)
第 30 条 病院長は、治験の実施に関する事務を行うものを指定し、治験事務局として臨床試験部を設けるものとする。なお、臨床試験部は、審査委員会に関する事務局を兼ねるものとする。
2 臨床試験部は、以下の者で構成する。
(1) 部長:病院長が指名する者
(2) 副部長:病院長が指名する者
(3) 部門員:臨床試験部長が必要と認めた者 若干名
3 臨床試験部業務に関する必要な事項は別に定めるものとする。
以上