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3【投資リスク】
以下では、本投資法人が発行する投資証券(以下、「本投資証券」といい、本投資法人の投資口で振替機関が取り扱う本投資口を含むものとします。)又は投資法人債券(以下、「本投資法人債券」といい、本投資法人の投資法人債で振替機関が取扱う投資法人債を含むものとします。)への投資に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。本投資証券又は本投資法人債券への投資に関する全てのリスクが以下で網羅されているものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。以下における不動産に関する記述は、不動産を主たる裏付けとする不動産関連資産についてもほぼ同様に当てはまりますが、資産の種類の違いに応じた追加的なリスクも存在します。
また、本投資法人が取得した不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産に特有のリスクについては、後記「5 運用状況/(2)投資資産/③その他投資資産の主要なもの/(イ)投資不動産物件及び信託不動産の内容」をあわせてご参照下さい。
以下に記載するリスクが現実化した場合、分配金の額が低下したり、本投資証券又は本投資法人債券の市場価格が下落したりする可能性があり、その結果として、投資した金額を回収できなくなる可能性があります。
本投資法人は、対応可能な限りにおいてこれらのリスクの発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、回避及び対応が結果的に十分である保証はありません。
本投資証券及び本投資法人債券に投資を行う者は、自らの責任において、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で本投資証券及び本投資法人債券に関する投資判断を行う必要があります。
本項に記載されている項目は、以下の通りです。
(1)一般的なリスク
(ア)金銭の分配に関するリスク
(イ)投資口及び投資法人債の売却及び換金性に関するリスク
(ウ)投資口及び投資法人債の価格変動に関するリスク
(エ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度の取扱いに関するリスク
(オ)投資口の希薄化に関するリスク
(カ)投資法人の合併に関するリスク
(2)商品設計及び関係者に関するリスク
(ア)投資口及び投資法人債の商品性に関するリスク
(イ)収入及び費用、キャッシュフローの変動に関するリスク
(ウ)総資産xxx負債比率に関するリスク
(エ)借入れ及び投資法人債に関するリスク
(オ)インサイダー取引に関するリスク
(カ)資産運用会社に関するリスク
(キ)オフィスマネジメント業務受託者等に関するリスク
(ク)本投資法人以外の関係者への依存に関するリスク
(ケ)本投資法人の運営に関与する法人の利益相反等に関するリスク
(コ)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
(サ)敷金・保証金の利用に関するリスク
(シ)本投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
(ス)売主の倒産等の影響を受けるリスク
(3)不動産に関するリスク
(ア)不動産の流動性、取引コスト等に関するリスク
(イ)不動産の欠陥・瑕疵及び契約不適合に関するリスク
(ウ)物件の取得競争に関するリスク
(エ)テナントの誘致競争に関するリスク
(オ)共有物件に関するリスク
(カ)区分所有物件に関するリスク
(キ)借地物件に関するリスク
(ク)借家物件に関するリスク
(ケ)未稼働物件(開発物件を含みます。)の取得に関するリスク
(コ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
(サ)地球温暖化対策に関するリスク
(シ)専門家報告書に関するリスク
(ス)わが国における不動産の賃貸借契約に関するリスク
(セ)火災、破裂爆発、落雷、風ひょう雪災、水災、電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故に関するリスク
(ソ)地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火、津波、液状化等に関するリスク
(タ)不動産の偏在に関するリスク
(チ)テナントの信用力及び賃料未払に関するリスク
(ツ)テナント集中に関するリスク
(テ)転貸に関するリスク
(ト)不動産に係る所有者責任に関するリスク
(ナ)不動産の運用費用等に関するリスク
(ニ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
(ヌ)民法上の組合の組合員となることに関するリスク
(ネ)不動産に関する権利関係の複雑性及び不動産登記に公信力がないことによるリスク
(ノ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
(ハ)法令の改正等に関するリスク
(ヒ)先日付の売買契約(フォワード・コミットメント)に関するリスク
(フ)資産の取得・譲渡等に関するリスク
(4)信託受益権に関するリスク
(ア)信託受益者として負うリスク
(イ)信託の受益権の流動性に関するリスク
(ウ)信託受託者に関するリスク
(5)税制等に関するリスク
(ア)配当等の額の損金算入に関する課税の特例の適用に関する一般的なリスク
(イ)過大な税負担等の発生により支払配当要件が満たされないリスク
(ウ)税務調査等による更正のため追加的な税金が発生するリスク
(エ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(オ)同族会社に該当するリスク
(カ)借入金に係る配当等の額の損金算入要件に関するリスク
(キ)投資口を保有する投資主数に関するリスク
(ク)一般的な税制の変更に関するリスク
(ケ)減損会計の適用に関するリスク
(6)自然災害、感染症の拡大等に関するリスク
(7)投資リスクに対するリスク管理体制について
(8)重要事象等に関するリスク
(1)一般的なリスク
(ア)金銭の分配に関するリスク
本投資法人は前記「2 投資方針/(3)分配方針」に記載の分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、分配の有無、金額及びその支払いは、いかなる場合においても保証されるものではありません。
(イ)投資口及び投資法人債の売却及び換金性に関するリスク
本投資証券は、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型であるため、投資主が本投資証券を換価する手段としては、投資主総会での決議に基づき本投資法人が解散し、清算される場合の残余財産分配請求xxを除き、原則としてその売却によることとなります。本投資証券は、東京証券取引所の不動産投資信託証券市場(以下、「不動産投信市場」といいます。)に上場されていますが、本投資証券が不動産投信市場に上場されていても、投資主が本投資証券の売却を希望する場合に買主が存在する保証はなく、また、価格の保証も存在しません。本投資証券の不動産投信市場における売却が困難又は不可能となった場合、投資主は、本投資証券を希望する時期及び条件で換価できない可能性があります。また、本投資法人債券については、確立された取引市場は存在しないため、買主が存在するとの保証はなく、譲渡価格の保証もありません。
また、東京証券取引所が定める上場廃止基準に抵触する場合には、本投資証券の上場が廃止される可能性があります。上場廃止後は不動産投信市場における本投資証券の売却は不可能となり、投資主の換価手段が大きく制限されます。
(ウ)投資口及び投資法人債の価格変動に関するリスク
本投資証券及び本投資法人債券の市場価格は、不動産投信市場における売買の需給等により影響を受けるほ か、金利情勢、経済情勢、戦争やテロ、伝染病の拡大(パンデミック)その他市場を取り巻く様々な要素の影響を受けます。ウクライナ危機に端を発した対ロシア経済制裁やイスラエル軍のガザ地区侵攻を含む中東情勢による影響等を原因とする原油価格の高騰や電気料金の高騰等を含む物価上昇による経済環境への各種の影響が長期的に発生しているほか、米国その他各国における政策金利等が株式市場や為替相場に影響を及ぼしており、これらの要因から、本投資証券の市場価格が影響を受ける可能性があります。また、今後、新型コロナウイルス感染症が再拡大し、又はその影響が長期間にわたる場合には、経済活動の抑制又はその長期化が生じ、金融商品市場や本投資証券の市場価格に悪影響が生じることがあります。
本投資法人は、不動産関連資産を主な投資対象としていますが、不動産の価格は、不動産市況、社会情勢その他の要因を理由として変動します。さらに不動産の流動性は一般に低く、望ましい時期に不動産を売却することができない可能性、売却価格が下落する可能性等もあります。これらの要因により本投資法人の資産の価値が下落する可能性があり、かかる資産の価値の下落が本投資証券及び本投資法人債券の市場価格の下落をもたらす可能性があります。本投資法人若しくは資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁による行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資証券及び本投資法人債券の市場価格が下落することがあります。
また、不動産投信市場に関連する法制や税制の変更、xx投資主又はxx投資法人債権者による多数の投資口又は投資法人債の売却等が本投資証券及び本投資法人債券の価格形成に影響を及ぼす可能性があります。
これらの諸要素に起因して本投資証券及び本投資法人債券の市場価格が下落した場合、投資主及び投資法人債権者が損失を被る可能性があります。
(エ)投資法人の法律上、税制上、その他諸制度の取扱いに関するリスク
投資法人に関する法律上、税制上、その他諸制度上の取扱い若しくは解釈が大幅に変更され、又は新たな法令が制定される可能性があり、それに伴い、本投資法人の現在の運用方針、運営形態等の変更が必要となる可能性があります。その結果、投資主及び投資法人債権者にとっての投資判断や手続等に影響を及ぼすほか、本投資法人の存続又は収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(オ)投資口の希薄化に関するリスク
本投資法人は、資産の取得、修繕等、本投資法人の運営に要する資金、又は債務の返済(敷金・保証金並びに借入金及び投資法人債の債務の返済を含みます。)等の資金の手当てを目的として投資口を随時追加発行する予定です。投資口が追加発行された場合、既存の投資主が有する投資口の本投資法人の全投資口に対する割合は希薄化する可能性があります。また、追加発行された投資口に対して、その保有期間にかかわらず、既存の投資主が有する投資口と同額の金銭の分配が行われる可能性があります。さらに、追加発行の結果、本投資法人の1口当たりの純資産額が影響を受けることがあり、さらには市場における投資口の需給バランスに影響を与えることになり、その結果、本投資証券の市場価格が悪影響を受けるおそれがあります。
(カ)投資法人の合併に関するリスク
本投資法人が他の投資法人と合併する場合、本投資法人の資産運用ガイドラインに定めるポートフォリオ構築方針とは異なる資産構成や、総資産xxx負債比率が上昇し資金調達条件に変化が生じることがあります。また、合併に反対する投資主又は新投資口予約権者から自己の有する投資口又は新投資口予約権をxxな価格で買い取ることを請求される可能性があり(投信法第149条の3第1項、第149条の3の2第1項、第149条の8第1項、第149条の13第1項、第149条の13の2第1項)、かかる請求がなされた場合、本投資法人の財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、本投資法人が投信法第149条の7第2項に定める簡易合併の手続により同条第1項の投資主総会の承認を受けずに合併を行う場合、本投資法人の投資主は当該合併に反対する場合においても買取請求権を行使することはできません(投信法第149条の7第2項、第149条の8第1項)。さらに、本投資法人が合併した後において期待されたメリットが得られる保証はなく、想定外の費用や負担が生じる可能性もあります。これらの結果、本投資法人の投資主及び投資法人債権者に損害を及ぼす可能性があります。
(2)商品設計及び関係者に関するリスク
(ア)投資口及び投資法人債の商品性に関するリスク
本投資法人の投資口は、株式会社における株式に類似する性質を持ちます。また、本投資法人の投資法人債は、株式会社における社債に類似する性質を持ちます。本投資法人の投資口及び投資法人債にかかる投資金額の回収や利回りは本投資法人の業務及び財産の状況並びに様々な経済状況等に影響されます。
本投資証券及び本投資法人債券は、元本の保証が行われる商品ではなく、また、換価時に投資金額以上の回収を図ることができる保証もありません。
本投資証券及び本投資法人債券は、本投資法人について破産手続その他の倒産手続が開始された場合その他信用状況が悪化した場合、その投資金額の全部又は一部の回収ができない可能性があります。
(イ)収入及び費用、キャッシュフローの変動に関するリスク
本投資法人の収益は、主として本投資法人が保有する不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産の賃料収入に依存しています。当該不動産に係る賃料収入は、不動産の稼働率の低下、賃料水準の低下、テナントによる賃料の支払債務の不履行・遅延等により、大きく減少する可能性があります。
不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産に関して締結される賃貸借契約に基づく賃料は、一般的な賃料水準であるとは限りません。特に、定期賃貸借契約が締結される場合、通常の賃貸借契約に比し、契約期間中の賃料収入の安定が期待できる反面、通常の賃貸借契約に比べて賃料が低く抑えられることがあります。
不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産に係るテナントによる賃料の支払いが遅延し、又は不履行となる場合、本投資法人は予定した収入を予定した時期に得られないことになります。
テナントが支払うべき賃料は、賃貸借契約の更新時であるか、契約期間中であるかを問わず、賃貸人とテナントの合意により減額される可能性があります。また、xxxxが賃貸人に対し、借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権を行使した場合、賃貸人の同意なしに賃料が引き下げられる可能性があります。オフィスビルに関する賃料水準が一般的に低下した場合には、このような賃料減額の可能性がより増大するとともに、新たに入居するテナントとの間で締結される賃貸借契約に基づいて支払われる賃料が従前の賃料に比して低額となり、賃料収入の減少をもたらす可能性があります。
また、上記収入の減少だけでなく、退去するテナントへの敷金の返還、多額の資本的支出、未稼働不動産の取得等はキャッシュフローを減ずる効果をもたらし、投資主への分配金額及び投資法人債権者への元利金の支払に悪影響を及ぼす可能性があります。
不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産の売却に伴う収入は、恒常的に発生するものではなく、本投資法人の運用方針や不動産市場の環境に左右されるものであって、安定的に得られる性格のものではありません。
一方、不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産に関する費用としては、減価償却費、当該不動産に関して課される公租公課、当該不動産に関してxxされた保険の保険料、水道光熱費、清掃委託費用、警備委託費用、設備管理委託費用、造作買取費用、修繕費用等があります。かかる費用の額は状況により増大する可能性があります。
このように、不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産からの収入が減少する可能性があるとともに、当該不動産に関する費用は増大する可能性があり、これら双方又はいずれか一方の事由が生じた場合、投資主への分配金額及び投資法人債権者への元利金の支払が悪影響を受けることがあります。
(ウ)総資産xxx負債比率に関するリスク
本投資法人は、総資産xxx負債比率の上限については、56%を目途としていますが、資産の取得に伴い、 56%を超えることがあります(前記「2投資方針/(1)投資方針/②投資態度/(カ)財務方針/C. 総資産xxx負債比率」参照)。総資産xxx負債比率が高まった場合、一般的に、分配可能金額が金利変動の影響を受け易くなり、その結果、投資主への分配金額が減少するおそれがあります。
(エ)借入れ及び投資法人債に関するリスク
本投資法人は、本書記載の投資方針に従い、継続的に「投資法人の課税の特例」に規定された機関投資家からの借入れ及び投資法人債の発行による資金調達を行うことを予定しています。その上限は、借入れについては1兆円、投資法人債については1兆円(但し、合計して1兆円を超えません。)とされています(前記「2投資方針/(1)投資方針/②投資態度/(カ)財務方針/B. デットファイナンス」参照)。
借入れ及び投資法人債の発行の可能性及び条件は、金利情勢その他の要因による影響を受けるため、今後本投資法人の希望する時期及び条件で借入れ及び投資法人債の発行を行うことができる保証はありません。なお、既
存の借入れの返済期限又は投資法人債の償還期限が到来した場合に、同一の借入先からほぼ同一の条件にて新規の借入れ又は新規の投資法人債の発行を行う借換え等についても、国内外の金融情勢の混乱により、金融機関の融資姿勢が慎重となった場合には、そのような借換え等ができなくなることがあります。また金利、財務制限条項等の面で従来より不利な条件にて借入れ等を行う可能性があります。
また、本投資法人が借入れ又は投資法人債の発行を行う場合において、総資産xxx負債比率に応じて投資主への金銭の分配を制約する等の財務制限条項が設けられたり、規約の変更が制限される等の可能性があり、このような制約が本投資法人の運営に支障をもたらし、又は投資主に対する金銭の分配額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、本投資法人のキャッシュフロー、金利情勢その他の理由により、本投資法人が保有する運用資産を処分しなければ借入れ及び投資法人債の返済ができなくなる可能性があります。この場合本投資法人の希望しない時期及び条件で運用資産を処分せざるを得ない状況も想定され、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
本投資法人が借入れ又は投資法人債について債務不履行となった場合、それらの債権者により本投資法人の資産に対して仮差押え等の保全処分や差押え等の強制執行が行われることがあるとともに、本投資法人に対して破産手続等の倒産手続の申立が行われる可能性があります。
(オ)インサイダー取引に関するリスク
不動産投資法人の投資口の取引が、金融商品取引法が定めるインサイダー取引の規制対象となり、発行者である投資法人の役員だけでなく、資産運用会社及びその一定の関係者(資産運用会社の親会社、及び投信法第201条第1項に規定する資産運用会社の利害関係人等のうち、一定の基準を満たす取引を行い、又は行った法人)の役職員が会社関係者として上記規制の対象者に含まれるとともに、投資法人及び資産運用会社に関連する事実が重要事実として規定されています。本投資法人の投資口につきインサイダー取引規制に違反する行為が行われた場合には、投資家の本投資法人の投資口又は不動産投信市場に対する信頼を害し、ひいては本投資法人の投資口の流動性の低下や市場価格の下落等の悪影響をもたらす可能性があります。なお、重要事実の範囲は限定されているものの、本投資法人の投資法人債についてインサイダー取引規制に違反する行為が行われた場合には、上記と同様の悪影響が生じる可能性があります。
(カ)資産運用会社に関するリスク
本投資法人にとって適切な運用資産を確保するためには、特に資産運用会社の能力、経験及びノウハウに拠るところが大きいと考えられますが、資産運用会社においてかかる業務遂行に必要な人的・財産的基礎が常に維持されるとの保証はありません。
本投資法人は、投資主総会の決議を経て資産運用会社との資産運用委託契約を解約することができます(投信法第206条第1項)。また、本投資法人は、資産運用会社が職務上の義務に違反した場合その他一定の場合には、役員会の決議により資産運用会社との資産運用委託契約を解約することができます(投信法第206条第2項)。さらに、本投資法人は、資産運用会社が投信法第199条の要件を満たさなくなったときその他一定の場合には資産運用会社との資産運用委託契約を解約しなければなりません(投信法第207条第1項)。資産運用会社との資産運用委託契約が解約された場合、本投資法人は、新たな資産運用会社に対して資産運用業務を委託しなければなりません(投信法第198条第1項)が、適切な資産運用会社との間で時機を得て新たな資産運用委託契約を締結できる保証はありません。新たな資産運用会社に業務が承継されない限り、本投資法人の収益等に悪影響が生じ、場合によっては本投資証券が上場廃止となる可能性があります。また、資産運用会社の変更は、本投資法人の借入金債務及び投資法人債の期限の利益の喪失事由となることがあります。
また、資産運用会社の株主である三井不動産株式会社は、本投資法人から物件移管業務の委託を受けているほか、本投資法人が本書提出日現在保有する不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産の多くについて不動産の管理及び運営に関する業務(オフィスマネジメント業務)の委託を受けており、今後本投資法人が取得する不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産についても原則としてオフィスマネジメント業務を行うことが予定されています。資産運用会社は、三井不動産株式会社に対する物件移管業務及びオフィスマネジメント業務の報酬につき、合理的な水準よりも高く設定することにより、三井不動産株式会社の利益を図ることが可能な立場にあります。
本投資法人は、投信法施行令第123条に定める利害関係人等に該当する三井不動産株式会社及びその他資産運用会社の株主又はそれらの関連会社等(以下、「資産運用会社関係者」といいます。)から資産を取得する可能性があります。この場合、資産運用会社は、資産運用会社関係者に有利な条件で、本投資法人にかかる資産を取得させることにより、資産運用会社関係者の利益を図ることが可能な立場にあります。
資産運用会社関係者は、自ら不動産投資、運用業務を行っており又は行うことがあるほか、資産運用業務を行う他の会社に出資を現在行っており又は将来行う可能性があります。本投資法人と資産運用会社関係者が特定の
資産の取得又は処分に関して競合する場合、資産運用会社が本投資法人の利益を優先せず、資産運用会社関係者又はその顧客の利益を優先し、その結果、本投資法人の利益を害することとなる可能性が存在します。
しかし、金融商品取引法上、資産運用会社は、本投資法人のため忠実に、かつ本投資法人に対し、善良な管理者の注意をもって本投資法人の資産の運用に係る業務を遂行することが義務づけられているほか(金融商品取引法第42条)、自己又は第三者の利益を図るため投資法人の利益を害することとなる取引を行うことが明示的に禁止されています(金融商品取引法第42条の2、第44条の3)。
(キ)オフィスマネジメント業務受託者等に関するリスク
オフィスマネジメント業務受託者である三井不動産株式会社は、原則として本投資法人が保有する不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産につき、オフィスマネジメント業務を行います。また、三井不動産株式会社は新規テナント斡旋業務も行います。オフィスマネジメント業務は、一部の業務を除きその全てがオフィスマネジメント業務再受託者である株式会社NBFオフィスマネジメントに対して再委託されます。株式会社NBFオフィスマネジメントは、既存テナント斡旋業務も行います。一般に、不動産の管理及び運営業務やテナント斡旋業務の成否は、これらの業務受託者の能力、経験及びノウハウに拠るところが大きいと考えられますが、これらの業務受託者である三井不動産株式会社や株式会社NBFオフィスマネジメントにおいてかかる業務遂行に必要な人的・財産的基礎が常に維持されるとの保証はありません。しかし、三井不動産株式会社は、オフィスマネジメント契約及びオフィスマネジメント業務再委託契約において、株式会社NBFオフィスマネジメントがオフィスマネジメント再委託業務を履行するために必要な人員及び不動産の運営管理に関するノウハウと業務システムを提供することを約束するとともに、株式会社NBFオフィスマネジメントによるオフィスマネジメント再委託業務の履行について責任を負い、かつ、株式会社NBFオフィスマネジメントの作為又は不作為を原因として本投資法人等が損害を被った場合に賠償の責を負うものとされています。
これらの業務受託者に各契約に基づく義務の違反がある場合その他一定の場合には、当該契約を解除することができますが、その場合、適切な代替の業務受託者を見つけることができない可能性があります。
オフィスマネジメント業務受託者である三井不動産株式会社は、自ら若しくはその子会社等を通じて、又は第三者から賃借しテナントに転貸する形式で、多数のオフィスビルの貸主になっています。また、複数のオフィスビルに関して、他の顧客からオフィスビルの管理及び運営業務を受託し、他の不動産投資ファンドにおいても、本投資法人が保有する不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産に係るオフィスマネジメント業務受託者と類似又は同種の業務を行う可能性があります。これらの場合、三井不動産株式会社は、本投資法人以外の者の利益を優先することにより、本投資法人の利益を害する可能性があります。
また、資産運用会社が三井不動産株式会社以外の者に対してオフィスマネジメント業務を委託する場合には、三井不動産株式会社以外のオフィスマネジメント業務受託者についても同様のリスクがあります。
(ク)本投資法人以外の関係者への依存に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に委託しています。本投資法人の円滑な業務遂行の実現のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに拠るところが大きいと考えられますが、これらの者が業務遂行に必要な人的・財政的基礎等を必ずしも維持できる保証はありません。資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者は、委託を受けた業務の執行につき金融商品取引法及び投信法上の善管注意義務及び忠実義務を負っていますが、これらの者による業務の懈怠その他義務違反があった場合には本投資法人の存続又は収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、一定の場合には、資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者との委託契約が解約されることがあります。投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者への委託が制度化されている(投信法第198条、第208条及び第117条)ため、委託契約が解約された場合には、本投資法人が新たな受託者に委託する必要があります。しかし、新たな受託者を選任できる保証はなく、速やかに選任できない場合には本投資法人の存続又は収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。また適切な資産運用会社を選任できない場合には、東京証券取引所の
「有価証券上場規程」により本投資証券が上場廃止になる可能性もあります。
このほかに、資産運用会社、本投資法人又は運用資産である信託受益権に関する信託受託者から委託を受けている業者として、オフィスマネジメント業務再受託者、統括・調整業務受託者、物件移管業務再受託者、既存テナント一般媒介業者及び調査業務受託者を兼ねる株式会社NBFオフィスマネジメントがあります。さらに、オフィスマネジメント業務受託者、調査補佐業務受託者、物件移管業務受託者、新規テナント一般媒介業者及び開発業務受託者を兼ねる三井不動産株式会社があります。また、本投資法人又は信託受託者が委託する建物管理会社等もあります。本投資法人の収益性の向上のためにはこれらの者の能力、経験及びノウハウに拠るところが大きいと考えられますが、これらの者について業務遂行に必要な人的・財産的基礎が常に維持されるとの保証はありません。これらの者について業務の懈怠その他義務違反があった場合には本投資法人の存続又は収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ケ)本投資法人の運営に関与する法人の利益相反等に関するリスク
本投資法人の一般事務受託者若しくは資産保管会社又は資産運用会社の株主若しくは資産運用会社の役職員の出向元企業等、本投資法人に現在関与し又は将来関与する可能性がある法人は、それぞれの立場において自己又は第三者の利益を図ることが可能な立場にあります。 A.三井不動産株式会社は、本書提出日現在、次のそれぞれの立場において本投資法人に関与しています。
(a)オフィスマネジメント業務受託者
(b)株式会社NBFオフィスマネジメントに対する調査補佐業務の提供者
(c)本投資法人に対する物件移管業務の提供者
(d)新規テナント斡旋業務の提供者
(e)不動産関連資産売買の仲介業者
(f)資産運用会社の株主(本書提出日現在における出資割合は46%)
(g)資産運用会社の役職員の出向元企業(本書提出日現在における常勤の出向役職員は8名)
(h)本投資法人が保有する不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産の賃借人
(i)本投資法人が保有する不動産関連資産の原所有者
(j)不動産関連資産の原所有者に対する不動産関連資産のアセットマネジメント業務受託者
(k)不動産関連資産の原所有者がファンド等である場合におけるファンドマネジメント業務受託者
(l)不動産関連資産の原所有者に対する出資者
(m)開発業務受託者
B.三井住友信託銀行株式会社は、本書提出日現在、次のそれぞれの立場において本投資法人に関与しています。
(a)資産保管会社
(b)投資主名簿等管理人及び特別口座管理事務受託者
(c)貸付人
(d)不動産関連資産売買の仲介業者
(e)資産運用会社の株主(本書提出日現在における出資割合は5%)
(f)資産運用会社の職員の出向元企業(本書提出日現在における出向職員は1名)
(g)本投資法人が保有する信託受益権に係る信託受託者
(h)第14回、第16回、第17回、第19回及び第20回無担保投資法人債に関する財務代理人、発行代理人及び支払代理人
C.住友生命保険相互会社は、本書提出日現在、次のそれぞれの立場において本投資法人に関与しています。
(a)貸付人
(b)資産運用会社の株主(本書提出日現在における出資割合は35%)
(c)資産運用会社の役職員の出向元企業(本書提出日現在における常勤の出向役職員は3名)
(d)本投資法人が保有する不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産の賃借人
(e)本投資法人が保有する不動産関連資産の原所有者
以上の各社は、現在又は将来において以上の立場又はその他の立場において本投資法人に関与する可能性がありますが、そのそれぞれの立場において、自己又は第三者の利益を図ることが可能です。また、以上の会社の子会社又は関連会社が何らかの立場(例、運用不動産の賃借人、管理業務受託者、出資者等)で本投資法人に関与する可能性があります。また、以上の各社以外の会社も、本投資法人に将来関与する可能性があり、その立場において、自己又は第三者の利益を図ることが可能です。
しかし、投信法上、一般事務受託者や資産保管会社は、本投資法人のため忠実に、かつ本投資法人に対し、善良な管理者の注意をもって事務ないし業務を遂行することが義務づけられています(投信法第118条、第209条)。また、本投資法人は、それらとの間の契約において、可能な限り、本投資法人に対する忠実義務ないし善管注意義務を課すこととしています。詳細は、後記「第二部投資法人の詳細情報/第4関係法人の状況」をご参照下さい。
(コ)本投資法人の投資方針の変更に関するリスク
本投資法人の規約に記載されている「資産運用の対象及び方針」の変更には、投資主総会の決議が必要です
(投信法第140条)が、資産運用会社が定めたより詳細な資産運用ガイドライン等については、投資主総会の承認を経ることなく変更することが可能です。そのため、本投資法人の投資主の意思が反映されないまま、これらが変更される可能性があります。
(サ)敷金・保証金の利用に関するリスク
本投資法人は、運用資産である不動産関連資産の本体をなす不動産又はその裏付けとなる不動産の賃借人が賃貸人に対し無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を投資資金として効率的に運用しています。しかし、そのような場合で賃貸借契約の中途解約により想定外の時期に敷金又は保証金の返還義務が生じた場合には、本投資法人は、敷金又は保証金の返還資金をそれらよりも調達コストの高い借入れ等により調達せざるを得なくなる可能性があります。また、敷金又は保証金の投資運用が失敗に終わり損失が生じる可能性もあります。その結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
(シ)本投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
本投資法人は、破産法、民事再生法及び投信法上の特別清算手続(投信法第164条)に服します。
本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資証券の上場が廃止され、本投資法人は解散し(投信法第143条第7号)、清算手続に入ります(投信法第150条の2第1号)。
本投資法人が清算される場合、投資主は、すべての債権者への弁済(投資法人債の償還を含みます。)後の残余財産による分配からしか投資金額を回収することができません。また、この場合、投資法人債権者は、清算手続に従って投資額を回収することになるため、投資金額の全額を回収できない可能性があります。このため、投資主及び投資法人債権者は、投資金額の全部又は一部について回収を得ることができない可能性があります。
(ス)売主の倒産等の影響を受けるリスク
一般的に、不動産関連資産を売却した後に売主が倒産手続に入った場合当該不動産関連資産の売買が管財人により否認されることがあります。また、財産状態が健全でない売主が不動産関連資産を売却した場合に当該不動産関連資産の売買が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消されることがあります(いわゆる否認及び詐害行為のリスク)。さらに、当該取引を担保取引であると法的に性格づけることにより、当該不動産関連資産は破産者である売主の破産財団を構成し、又は更生会社若しくは再生会社である売主の財産に属するとみなされることがあります(いわゆる真正譲渡でないとみなされるリスク)。
(3)不動産に関するリスク
以下に記載するリスクは、主として本投資法人が不動産を直接に取得する場合を念頭においていますが、本投資法人が不動産を主たる裏付けとする信託の受益権及びその他の資産を取得する場合であってもほぼ同様にあてはまります。
(ア)不動産の流動性、取引コスト等に関するリスク
一般的に、不動産は代替性がない上、流動性が低く、またそれぞれの物件の個性が強いため、類似の物件が類似の価格で売買されるとは限らず、不動産鑑定士による鑑定評価や関係者との交渉等、売却及び取得に多くの時間と費用を要します。本投資法人は保有する不動産からの収益獲得を主な目的としており、かかる不動産の売買に予想よりも多くの時間と費用が費やされた場合又は不動産が取得若しくは売却できなかった場合若しくは不動産売買の不成立等に伴い違約金その他の費用が発生した場合には、本投資法人の収益等につき悪影響をもたらす可能性があります。特に、不動産が共有物件又は区分所有物件である場合、土地と建物が別人の所有に属する場合等権利関係の態様によっては、取得又は売却に、より多くの時間と費用を要することがあり、場合によっては取得又は売却ができない可能性があります。また、経済環境や不動産需給関係の影響により、本投資法人が取得を希望する不動産を希望通りの時期・条件で取得できず、又は本投資法人が売却を希望する不動産を希望通りの時期・条件で売却できない可能性があり、その結果、本投資法人の投資方針に従った運用ができず、収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(イ)不動産の欠陥・瑕疵及び契約不適合に関するリスク
不動産には権利、地盤地質、建物の杭や梁等の構造、材質等に関して欠陥、瑕疵又は契約不適合等が存在している可能性があります。権利に関しては、不動産をめぐる権利義務関係の複雑性ゆえに、本投資法人が取得した権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受けたり、第三者の権利を侵害していることが後になって判明する可能性があります。また、建物の施工を請け負った建設会社又はその下請業者において、建物が適正に施工されていない場合があり得るほか、免震装置、制震装置を含む設備・装置等の強度・機能等の不具合や基準への不適合がないとの保証はありません。これらの欠陥、瑕疵又は契約不適合等により、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
資産運用会社が不動産の選定・取得の判断を行うにあたっては、対象となる不動産について専門業者からエンジニアリングレポートを取得するとともに、原則として当該不動産の売主から譲渡の時点における一定の表明及
び保証を取得しています。しかし、これらの表明及び保証の内容が真実かつ正確である保証はありませんし、エンジニアリングレポートで指摘されなかった事項や売主が表明及び保証した事項であっても、取得後に欠陥、瑕疵又は契約不適合等が判明する可能性もあります。なお、本投資法人は、不動産の売主が表明及び保証を行わない場合であっても、当該不動産を取得する可能性があります。また、本投資法人は、不動産の売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負わない場合にも、当該不動産を取得する可能性があります。その他、不動産を取得するまでの時間的制約等から、隣接地権者からの境界確定同意が取得できないまま、当該不動産を取得する可能性もあります。
隣地の所有者若しくは占有者からの境界確認書その他境界を確定させる書面が取得できない場合、又は境界標の確認ができないまま当該不動産を取得する場合には、後日、このような不動産を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有する土地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産について予定外の費用又は損失が発生する可能性があります。同様に、越境物の存在により、不動産の利用が制限され、賃料に悪影響を与える可能性や、越境物の除去費用等の追加負担が本投資法人に発生し、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
また、売主が表明及び保証を行った場合や、売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担した場合であっても、売主に対して、表明及び保証した事実が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任や瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を追及しようとしても、売主の損害賠償責任、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任の責任額や負担期間が限定されていたり、売主の資力が不十分であったり、売主が解散等により存在しなくなっている等の事情により、実効性がない可能性があります。
(ウ)物件の取得競争に関するリスク
本投資法人は、規約において、資産を主として不動産等資産に対する投資として運用することを目的とし、中長期的な観点から、運用資産の着実な成長と安定した収益の確保を目指して運用を行うことをその投資の基本方針としています(規約「資産運用の対象及び方針」Ⅰ)。しかしながら、不動産投資信託その他のファンド、大小の投資家等による不動産投資が活発化し、物件の取得競争が激化した場合に、物件がそもそも取得できず又は投資採算の観点から希望した価格で物件が取得できない等の事情により、本投資法人が利回りの向上や収益の安定化等のために最適と考える資産のポートフォリオを実現できない可能性があります。その他、本書記載の様々なリスクや要因により、本投資法人はその投資方針に従った運用ができず、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(エ)テナントの誘致競争に関するリスク
通常、不動産は、他の不動産とのテナント誘致競争にさらされているため、競合する不動産の新築、リニューアル等の競争条件の変化や、競合不動産の募集賃料水準の引下げ等により、賃料引下げや稼働率の低下を余儀なくされ、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(オ)共有物件に関するリスク
不動産が第三者との間で共有されている場合には、当該不動産の持分を譲渡する場合における他の共有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履践等、共有者間で締結される協定書又は規約等による一定の制限に服する場合があります。
共有物の管理は、共有者間で別段の定めがある場合を除き、共有者の持分の過半数で行うものとされているため(民法第252条第1項)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。また、共有物件について共有物の管理者(民法第252条の2)が選任された場合には、当該管理者の行為が、共有者が共有物の管理に関して決定した事項に違反するものであっても、共有者は当該効力の無効を善意の第三者に対抗できません(民法第252条の2第4項)。
さらに、共有者は共有物の分割請求権を有するため(民法第256条)、共有者の請求により不動産が分割される可能性があります(分割の方法は現物分割とは限りません。)。共有者間で不分割の合意(民法第256条)がある場合であっても、合意の有効期間が満了していたり、その合意が未登記であるために第三者に対抗できないことがあります。また、共有者間で不分割の合意がある場合であっても、共有者について破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は共有物の分割が行われる可能性があります(破産法第52条、会社更生法第60条、民事再生法第48条)。
共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条第1項)、他の共有者によるこれらの権利行使によって当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
共有者と共同して不動産を第三者に賃貸している場合、賃貸借契約に基づく各共有者の権利が不可分債権とみなされ、当該賃貸借契約に基づく権利の全体が当該共有者の債権者等による差押等の対象となる可能性があります。また、共有物に係る賃貸借契約に基づく敷金返還債務が共有者間の不可分債務とみなされた場合には、本投
資法人の持分に対応する部分のみならず、当該賃貸借契約に基づく敷金返還債務の全部について、本投資法人が賃借人に対して債務を負担する可能性があります。
さらに、共有者は自己の持分を原則として自由に処分することができるため、本投資法人の意向にかかわりなく不動産の共有者が変更される可能性があります。
共有者が自ら負担すべき公租公課、修繕費、保険料等の支払い又は積立てを履行しない場合、本投資法人が影響を受ける場合があります。
これらの他にも、共有物件に特有の法律上又は事実上のリスクがあり得ます。
(カ)区分所有物件に関するリスク
不動産が区分所有物件である場合には、その管理及び運営は区分所有者間で定められる管理規約に服することに加えて、区分所有権を譲渡する場合における他の区分所有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履践等、管理規約による一定の制限に服する場合があります。しかも、管理規約は、原則として区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数決によって変更できるため(建物の区分所有等に関する法律第31条)、本投資法人が議決権の4分の3を有していない場合には、区分所有物件の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
また、区分所有者は、自己の専有部分を原則として自由に処分することができるため、他の区分所有者の意向に関わりなく区分所有者が変更される可能性があります。
他の区分所有者が自己の負担すべき公租公課、修繕費、保険料等の支払い又は積立てを履行しない場合、本投資法人が影響を受ける場合があります。
さらに本投資法人の意向に関わりなく、他の区分所有者は自己の専有部分を原則として自由に賃貸その他使用収益することができ、他の区分所有者による使用収益の状況によって本投資法人が影響を受ける可能性があります。
また、不動産が区分所有物件である場合には、本投資法人及びその他の各区分所有者がそれぞれの専有部分を三井不動産株式会社に賃貸、同社が転借人にこれを転貸し、転貸部分全体から生じる賃貸収益、賃貸費用等を、本投資法人を含むすべての各区分所有者に対して、各区分所有者間の合意により定められる一定の割合に応じて収受、負担する運用方法(以下、「一元運用」といいます。)を行う場合があります。一元運用を行った場合には、本投資法人の収益は、本投資法人が保有する区分所有部分に限られず、一元運用の対象となる賃貸部分全体の運用状況に影響されるため、本投資法人の保有する区分所有部分以外の一元運用の対象の賃貸部分の運用状況が悪化した場合には、本投資法人の収益も悪化する可能性があります。
これらの他にも、区分所有物件に特有の法律上又は事実上のリスクがあり得ます。
(キ)借地物件に関するリスク
本投資法人が建物の敷地の所有権を有しないことがあります。この場合、敷地利用権について民法、借地借家法等の適用のある法令に従い対抗要件が具備されていないときは、本投資法人は、敷地利用権を敷地の新所有者に対して対抗できず、敷地の明渡義務を負う可能性があります。また、敷地利用権が解除その他の理由により消滅した場合、本投資法人は、敷地の明渡義務を負う可能性があります。さらに、建物の処分に付随する敷地利用権の処分に関して、敷地の所有者の同意等が要求されることがあります。このため、本投資法人が建物を処分できなかったり、本投資法人が希望する価格、時期等の条件で建物を処分することができない可能性があります。また、敷地の所有者の資力の悪化や倒産等により、本投資法人が差し入れた敷金・保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。本投資法人が有する敷地の所有者に対する敷金・保証金等の返還請求権について担保設定や保証はなされないのが通例です。
(ク)借家物件に関するリスク
本投資法人は、建物を第三者から賃借の上、当該賃借部分を本投資法人が保有する他の建物と一体的に又は当該賃借部分を単独で、テナントへ転貸することがあります。
この場合、建物の賃貸人の資力の悪化や倒産等により、建物の賃貸人に差し入れた敷金・保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。
加えて、本投資法人と賃貸人の間の賃貸借契約が終了し、転貸権限を喪失した場合において、本投資法人のテナントに対する債務不履行を構成する可能性があります。
(ケ)未稼働物件(開発物件を含みます。)の取得に関するリスク
本投資法人は、前記「2投資方針/(1)投資方針/②投資態度/(ウ)取得方針/C.未完成・未稼働資産」に記載の通り、原則として、引渡時点において稼働資産である不動産関連資産を取得します。しかし、本投資法人は、投資額、稼働予定時期、収益予想等を総合的に判断し、本投資法人の運用資産の運用に与える影響を
考慮の上、引渡時点において未稼働資産である不動産関連資産を取得することができます。但し、当該未稼働資産の引渡直後において引渡済の未稼働資産(稼働資産となった未稼働資産を除きます。)の契約上の取得価格の合計が、直近の決算日における本投資法人の貸借対照表上の資産総額の10%を超えない範囲に限ります。
未稼働資産はその多くが開発段階にあることも想定され、この場合、既に完成した物件を取得する場合に比べて、次に例示するような固有のリスクが加わります。
なお、次のリスクは大規模修繕、増改築や再建築の場合にも当てはまります。
①開発途中において、地中障害物、埋蔵文化財、土壌汚染等が発見されることがあり、これらが開発の遅延、変更又は中止の原因となる可能性
②工事請負業者の倒産又は請負契約の不履行により、開発が遅延、変更又は中止される可能性
③開発コストが当初の計画を大きく上回る可能性
④天変地異等により開発が遅延、変更又は中止される可能性
⑤行政上の許認可手続又は近隣対策により開発が遅延、変更又は中止される可能性
⑥開発過程において事故が生じる可能性
⑦その他予期せぬ事情により開発の遅延、変更又は中止が必要となる可能性
これら以外の理由によっても、未稼働資産からの収益等は稼働状態になった後も、予想を大きく下回る可能性があるほか、予定された時期に収益等が得られなかったり、予定されていない費用、損害若しくは損失を本投資法人が被る可能性があります。その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
なお、未稼働資産の取得にはあたりませんが、本投資法人は上記リスクを極力排除すべく、物件の開発中に物件完成引渡時の売買価格を決定して売買契約(予約を含みます。)を締結しておき、稼働資産となった後に当該物件を取得する場合があります。この場合、売買の成立に賃貸借契約の成就が停止条件として付されていない売買契約等の下では、市場環境の変化により契約締結時点において想定された期待収益及び利益が物件完成・引渡後に獲得できない可能性があります。
(コ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
運用不動産として取得した土地について産業廃棄物やダイオキシン等の有害物質が埋設されていたり、利用する地下水に有害物質が含まれている場合、当該土地及び建物の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替や洗浄等が必要となって予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。この点に関連して、土壌汚染対策法に規定する特定有害物質にかかる一定の施設を設置していた場合や、土壌の特定有害物質による汚染により人の健康にかかる被害が生じる可能性があると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の除去及び拡散の防止その他必要な措置を講じるよう命じられることがあります(土壌汚染対策法第7条)。このような場合に本投資法人に多額の負担が生じる可能性があります。本投資法人は、かかる負担について、その原因となった者に対し費用償還を請求できる可能性がありますが、仮にかかる請求が可能な場合であっても、その者の財産状況が悪化しているような場合には、本投資法人の損害を回復することができない可能性があります。その結果、本投資法人が損害を受ける可能性があります。
また、運用不動産として取得した建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材等が使用されている場合若しくは使用されている可能性がある場合又はPCBが保管されている場合等には、状況によって当該建物及びその敷地の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、かかる有害物質を除去するために建材等の全面的又は部分的交換や保管・撤去費用等が必要となり、予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。
なお、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、運用不動産の所有者は損害を賠償する義務を負う可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
また、原子力発電所の事故等により、運用不動産又はその所在周辺地域において、放射能汚染又は風評被害が発生し、当該地域における社会的ないし経済的活動が阻害され、その結果、当該運用不動産の収益性や価値が大幅に減少する可能性があります。その他、原子力発電所の事故処理に長期間を要することとなる場合、当該運用不動産の所在する地域だけでなく、不動産市場や金融市場、さらには日本経済全体も影響を受けることとなり、それがひいては本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(サ)地球温暖化対策に関するリスク
法律又は条例により、地球温暖化対策として、一定の要件を満たす不動産の所有者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量削減の義務が課されることがあります。これらの制度創設又は拡充に伴い、排出量削減のための建物改修工事や義務を達成出来ない場合の排出権の購入等の負担を負う可能性があります。
(シ)専門家報告書に関するリスク
不動産の鑑定評価額等(不動産の調査価格を含みます。)は、個々の不動産鑑定士の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまります。同じ物件について鑑定を行った場合でも、不動産鑑定士、評価方法又は調査の方法若しくは時期によって鑑定評価額等が異なる可能性があります。また、かかる鑑定の結果が、現在及び将来において当該鑑定評価額等による売買を保証又は約束するものではなく、不動産が将来売却される場合であっても鑑定評価額等をもって売却できるとは限りません。
エンジニアリングレポート(地震リスクレポートを含みます。)についても、建物の評価に関する専門家が調査した結果を記載したものにとどまり、建物に重大な欠陥、瑕疵が存在しないことを保証又は約束するものではありません。さらにエンジニアリングレポート等で特段の指摘を受けておらず、建築基準法等の行政法規が求める所定の手続を経た不動産であっても、建築基準関係法規の求める安全性や耐震強度等を有するとの保証はなく、また、不適切な設計施工等が存在し、それが当該不動産の取得後に判明する可能性もあります。
また、不動産に関して算出される地震リスクの分析における予想最大損失率(PML値)は、予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、この値も個々の専門家の分析に基づく予想値であり、将来、地震が発生した場合、予想以上の復旧費用が必要となる可能性があります。
(ス)わが国における不動産の賃貸借契約に関するリスク
日本におけるオフィスビルのテナントとの賃貸借契約の期間は2年が一般的であり、賃貸借期間経過後に契約が更新される保証はありません。また、テナントが一定期間前の通知を行うことにより賃貸借期間中であっても賃貸借契約を解約できることとされている場合も多く見受けられます。また、賃貸借契約において期間内にテナントが解約した場合の違約金について規定する場合がありますが、かかる規定が場合によっては無効とされる可能性があります。賃貸借契約の更新がなされず、又は賃貸借期間中に解約された場合、すぐに新たなテナントが入居する保証はなく、その結果、賃料収入が減少し、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。これに対し、不動産の賃貸人からの賃貸借契約の解約及び更新拒絶は、正当事由が認められる等の特段の事情がある場合を除いて原則として困難です。
定期建物賃貸借契約においては、テナントの賃料減額請求権を契約で排除することが可能です(借地借家法第 38条第7項)。また、定期建物賃貸借契約の有効期間中は契約中に定められた賃料をテナントに対して請求できるのが原則です。しかし、定期建物賃貸借契約においてテナントが早期解約した場合、残期間全体についてのテナントに対する賃料請求が場合によっては認められない可能性があります。また、定期建物賃貸借契約において契約期間中は賃料改定を行わない約束がなされた場合、一般的な賃料水準が上昇することにより、一般的な賃料水準に対する当該定期建物賃貸借契約の賃料が相対的に低下する可能性があります。
(セ)火災、破裂爆発、落雷、風ひょう雪災、水災、電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故に関するリスク
火災、破裂爆発、落雷、風ひょう雪災、水災、電気的事故、機械的事故その他偶然不測の事故等の災害により、不動産が滅失、毀損又は劣化し、その価値が影響を受ける可能性があります。本書提出日現在、本投資法人が保有する不動産に関しては、火災保険等の保険契約が締結されており、今後本投資法人が取得する不動産に関しても原則として適切な保険を付保する予定ですが、不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約でカバーされない事故が発生した場合又は保険契約に基づく支払いが保険会社により行われない場合には、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。また、火災、洪水等の偶然不測の事故によりテナントの支払能力等が悪影響を受ける可能性があります。
また、保険金が支払われた場合であっても、行政規制その他の理由により事故発生前の状態に回復させることが不可能である可能性があります。
(ソ)地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火、津波、液状化等に関するリスク
地震火災、地震破裂、地震倒壊、噴火、津波、液状化等の災害により不動産等が滅失、毀損又は劣化し、その価値が影響を受ける可能性があります。また、これらの災害に起因して、鉄道網や道路網の寸断や毀損による利便性の低下、物件の稼働を支える社会基盤(社会的インフラ)としての発電・配電設備の毀損その他の事象を原因とする電力供給不足等により、不動産等の稼働に支障が生じる可能性やテナントの支払能力等が悪影響を受ける可能性があります。なお、災害発生時の影響と保険料負担を随時比較考慮して付保方針を決定しますが、本書提出日現在、本投資法人が保有する不動産については地震保険、地震家賃保険は付保していません。
(タ)不動産の偏在に関するリスク
本投資法人は、前記「2投資方針/(4)投資制限」に記載された投資方針を定めているため、不動産等が東京都心部及び東京周辺都市部に偏在する可能性があります。したがって、特に東京都心部及び東京周辺都市部における地震その他の災害、稼働率の低下、賃料水準の下落等が、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、資産総額に占める個別の不動産の割合は、資産総額の規模が拡大する過程で一般に低下していくと考えられます。しかしながら、資産総額に占める割合が大きい不動産に関して、地震その他の災害、稼働率の低下、賃料水準の下落等の事情が発生した場合には、本投資法人の収益等又は存続に悪影響をもたらす可能性があります。
(チ)テナントの信用力及び賃料未払に関するリスク
テナントの財務状況が悪化し、又はテナントが破産手続、会社更生手続その他の倒産手続の対象となった場合には、賃料の支払いが滞る可能性があります。延滞賃料・共益費等(原状回復費用その他のテナントによる損害金を含みます。)の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超えると、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。また、テナントが倒産手続の対象となった場合には、解約制限の定めのある賃貸借契約であっても、倒産法に基づいて、管財人等により、契約が解除されることがあります。
本投資法人では、新規のテナントを入居させるに当たって、一定の信用調査を行いますが、かかる調査が完全であるとは限らず、また、入居後に財務状況が悪化することもあり、リスクを完全に防ぐことはできません。なお、後記「(ツ)テナント集中に関するリスク」もご参照下さい。
(ツ)テナント集中に関するリスク
本投資法人が保有する不動産のテナント数が少なくなればなるほど、本投資法人は特定のテナントの支払能力、退去その他の事情による影響を受けやすくなります。特に、1テナントしか存在しない不動産においては、本投資法人の当該不動産からの収益等は、当該テナントの支払能力、当該不動産からの転出・退去その他の事情により大きく左右されます。また、賃貸面積の大きなテナントが退去したときに、空室率が高くなり、他のテナントを探しその空室率を回復させるのに時間を要することがあり、その期間が長期になればなるほど、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性が高くなります。
(テ)転貸に関するリスク
賃借人に、不動産の一部又は全部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなり、また、退去させられなくなる可能性があるほか、賃借人(転貸人)から支払われる賃料が、エンドテナント(転借人)から賃借人(転貸人)に対して支払われる賃料に連動する場合、エンドテナント(転借人)の信用状態等が本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
また、賃貸借契約が合意解約された場合その他一定の場合には、転貸借契約上の敷金等の返還義務が、賃貸人に承継される可能性があります。かかる事態に備え、賃貸借契約上、賃貸借契約終了時に、賃借人(転貸人)が賃貸人に対し、受け入れた敷金等を引き渡すよう定められることが通常です。しかし、かかる引渡義務が完全に履行されなかった場合には、敷金等の返還原資は賃貸人の負担となり、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。また、賃借人(転貸人)の財務状況が悪化した場合、エンドテナント(転借人)から賃借人
(転貸人)に賃料が支払われたにもかかわらず、賃借人(転貸人)から賃貸人である本投資法人又は信託受託者への賃料の支払いが滞る可能性があります。
本投資法人が賃貸している不動産を賃借人が転貸人となり転貸している場合には、転貸条件が必ずしも賃貸条件と同一ではなく、何らかの理由で本投資法人が転借人と直接賃貸借契約関係を持つこととなった場合、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ト)不動産に係る所有者責任に関するリスク
本投資法人が保有する不動産を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、損害賠償義務が発生し、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります。特に、土地の工作物の所有者は、民法上無過失責任を負うこととされています(民法第717条)。
本書提出日現在、本投資法人が保有する不動産に関しては、施設賠償責任保険等の保険契約が締結されており、今後本投資法人が取得する不動産に関しても原則として適切な保険を付保する予定ですが、不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、受領した保険金をもってしても原状復旧ができない場合、原状復旧に時間を要する場合又は保険契約に基づく支払いが保険会社により行われない又は支払いが遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
信託不動産の場合には、信託受託者は、信託事務の遂行に関して被った損害につき、信託財産から支弁を受け
又は受益者に請求することができます。このため、信託財産からの支弁又は受益者に対する請求がなされた場合、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ナ)不動産の運用費用等に関するリスク
運用不動産につき減失、毀損又は劣化等が生じ、修繕又は建替えが必要となる場合には、かかる修繕又は建替えに関連して多額の費用を要する場合があります。また、かかる修繕又は建替えが困難又は不可能な場合には、運用不動産からの収入が減少し、運用不動産の価値が下落する可能性があります。
さらに、経済状況によっては、インフレーション、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、運用不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。
(ニ)不動産の売却に伴う責任に関するリスク
本投資法人が運用不動産を売却した場合に、運用不動産に物的又は法的な瑕疵があった場合又は種類、品質若しくは数量に関して契約の内容に適合しない場合、法令の規定に従い、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する可能性があります。特に、本投資法人は、宅地建物取引業法上のみなし宅地建物取引業者となります(宅地建物取引業法第77条の2第2項)ので、買主が宅地建物取引業者でない場合には、本投資法人の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任に関するリスクを排除できない場合があります(宅地建物取引業法第40条、第78条第2項)。
また、法令の規定以外にも、売買契約上の規定に従い、物件の性状その他に関する表明保証責任や瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負う可能性があります。
これらの法令上又は契約上の表明保証責任や瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担する場合には、買主から売買契約を解除され、あるいは、買主が被った損害の賠償をしなければならず、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
さらに、賃貸されている運用不動産の売却においては、新所有者が賃借人に対する敷金返還債務等を承継するものと解されており、実務もこれにならうのが通常ですが、旧所有者が当該債務を免れることについて賃借人の承諾を得ていない場合には、旧所有者は新所有者とともに当該債務を負い続けると解される可能性があり、予想外の債務又は義務等を負う場合があり得ます。
(ヌ)民法上の組合の組合員となることに関するリスク
民法上の組合の組合財産は、全組合員の共有に属するとされていますが(民法第668条)、組合員は、組合財産の分割請求権を有せず、組合財産に対する自らの持分の譲渡、質入れその他の処分を組合及び第三者に対抗することができません(民法第676条第1項)。また、各組合員は、組合の債務につき、損益の分担割合に応じて(又は債権者がかかる分担割合を知らない場合には各組合員に対して均等の割合で)、直接的かつ無限の責任を負担します。したがって、本投資法人が民法上の組合の組合員となった場合、出資した金額を超えて当該組合の債務について直接的な支払義務を負うことがあります。
(ネ)不動産に関する権利関係の複雑性及び不動産登記に公信力がないことによるリスク
不動産をめぐる権利義務関係も、その特殊性や複雑性ゆえに種々の問題を引き起こす可能性があります。本投資法人は運用不動産を取得するにあたって、不動産登記簿を確認する等売主の所有権の帰属に関する調査を行いますが、不動産登記にいわゆる公信力がない一方で、実際の取引において売主の権利帰属を確実に知る方法が必ずしもあるとはいえないため、本投資法人の取得後に、売主が所有者でなかったことが判明する可能性があります。また、本投資法人が取得した権利が第三者の権利の対象になっていることや第三者の権利を侵害していることが、本投資法人の取得後になって判明する可能性があります。これらの問題が発生した場合、法律上又は契約上の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任や表明保証責任を追及することが考えられますが、責任の内容、範囲及び期間に制限がある場合や責任追及が可能であっても実効性がない場合もあります。
(ノ)不動産に係る行政法規・条例等に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致させる必要があり、そのため費用等追加的な負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
また、不動産に係る様々な行政法規や各地の条例による規制が運用不動産に適用される可能性があります。例えば、一定割合において住宅を付置する義務や、駐車場設置義務、福祉配慮設備設置義務、緑化推進義務及び雨
水流出抑制施設設置義務等が挙げられます。このような義務が課せられている場合、当該不動産を処分するときや建替え等を行うときに、事実上の困難が生じたり、これらの義務を遵守するための追加的な負担が生じたりする可能性があります。更に、運用不動産を含む地域が道路設置等の都市計画の対象となる場合には、当該都市計画対象部分に建築制限が付されたり、建物の敷地とされる面積が減少し、当該不動産に関して建替え等を行う際に、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。
(ハ)法令の改正等に関するリスク
将来的に環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、不動産につき大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務等が課される可能性があります。また、消防法その他オフィスビルの管理に影響する関係法令の改正により、オフィスビルの管理費用等が増加する可能性があります。さらに、建築基準法、都市計画法の改正、新たな立法、収用、再開発、区画整理等の行政行為等により運用不動産に関する権利が制限される可能性があります。このような法令又は行政行為の変更等が本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ヒ)先日付の売買契約(フォワード・コミットメント)に関するリスク
本投資法人は、不動産の取得にあたって、売買契約の締結から一定期間経過後に決済及び物件引渡しを行う場合(以下、「フォワード・コミットメント」といいます。)があります。フォワード・コミットメントは、売買契約の締結から決済までに一定の期間があることから、その間の経済環境の変化等により、決済のための資金が調達できず、不動産を取得できない可能性や、当該物件の評価額が変動する可能性があります。また、何らかの理由により物件の取得を中止する場合には、違約金や損害賠償義務等を負担する可能性があります。これらの結 果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
なお、本投資法人が2023年3月15日付で締結したパナソニック東京汐留ビルの譲渡に係る売買契約(以下、
「譲渡契約(汐留)」といいます。)、2024年1月5日付で締結した豊洲ベイサイドクロスタワー(追加取得)の取得に係る売買契約(以下、「取得契約(豊洲)」といいます。)及び同日付で締結したつくば三井ビルディングの譲渡に係る売買契約(以下、「譲渡契約(つくば)」といいます。)は、フォワード・コミットメントに該当します。譲渡契約(汐留)及び取得契約(豊洲)については、本投資法人による各売買契約上の義務違反により当該各契約が解除された場合には、相手先に対し、各売買価格の10%に相当する違約金を支払う定めとなっています。また、譲渡契約(つくば)については、本投資法人による売買契約上の義務違反により当該契約が解除された場合には、相手先に対し、売買価格相当額を違約金として支払う定めとなっています。
(フ)資産を取得又は譲渡することができないリスク
本投資法人は、現に保有する資産の運用のみを目的とするものではなく、投資主価値の最大化に資するため、継続的に資産の取得又は譲渡に向けた検討を行います。本投資法人が新たな資産の取得又は保有する資産の譲渡を決定した後に、売買契約に定められた一定の条件が成就しない場合や、経済環境が著しく変動した場合等においては、当該資産を取得又は譲渡することができない可能性があります。この場合、本投資法人は、代替資産の取得又は譲渡のための努力を行う予定ですが、資産の取得の面では、短期間に投資に適した物件を取得することができる保証はなく、短期間に物件を取得できず、かつかかる資金を有効に運用できない場合には、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があり、また、資産の譲渡の面では、同様の条件で他の譲渡先に譲渡することができない場合には、想定していた譲渡による手取金や売却益の活用ができなくなること等により、投資主に損害を与える可能性があります。
(4)信託受益権に関するリスク
本投資法人が、不動産を主たる裏付けとする信託の受益権を取得する場合には、以下のような信託の受益権特有のリスクがあります。
(ア)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは信託の利益を享受する者ですが、他方で信託受託者による信託事務の処理上発生した信託財産に関する租税、受託者の報酬、信託財産に瑕疵又は契約不適合があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用などの信託費用については、最終的に受益者が負担することになることがあります。即ち、信託受託者が信託財産としての不動産、不動産の賃借権又は地上権を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的にはすべて受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人が、一旦、信託の受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、運用資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを信託受益者たる本投資法人が負担することになるため、かかる信託の受益権を取得する場合には、信託財産に関する物件精査を実施させ、保険金支払能力を有する保険会社を保険者、受託者を被保険者とする損害保険を付保させる等、本投資法人自ら不動産、不動産の賃借権又は地上権を取得する場合と同等の注意をもって取得する必要があります。但し、それにもかかわらず、上記のような信託費用が発生したときは、その結果、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(イ)信託の受益権の流動性に関するリスク
本投資法人が信託の受益権を運用資産とする場合で、信託受託者を通じて信託財産としての不動産を処分する場合には、既に述べた不動産の流動性リスクが存在します。また、信託の受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を契約上要求されるのが通常です。このように信託の受益権は流動性が低いというリスクが存在します。
(ウ)信託受託者に関するリスク
A. 信託受託者の倒産に関するリスク
信託法上、信託受託者が破産手続又は更生手続その他の倒産手続の対象となった場合に、信託財産が破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に属するか否かに関しては、信託法の諸規定、とりわけ信託財産の独立性という観点から、信託財産が信託受託者の破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に帰属するものとされるリスクは低いと考えられます。
但し、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された財産について信託の公示(信託の登記)が必要とされ、本投資法人はこの信託設定登記がなされるものに限り取得する予定ですが、必ずこのような取扱いがなされるとの保証はありません。
B. 信託受託者の不当な行為に関するリスク
信託受託者が何らかの債務負担を行った場合や信託契約に違反した場合において、本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。信託受託者は信託契約において原則として受益者の指図に従って行為することとされているため、そのリスクは低いと考えられますが、常にかかる指図権の行使により損害発生を予防できるとは限りません。
(5)税制等に関するリスク
(ア)配当等の額の損金算入に関する課税の特例の適用に関する一般的なリスク
税法上、一定の要件(以下、「配当等の額の損金算入要件」といいます。)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、後記「4手数料等及び税金/(5)課税上の取扱い」に記載する配当等の額を損金に算入することが認められています。本投資法人は、かかる要件を満たすよう継続して努める予定ですが、今後、本投資法人の投資主の減少、分配金支払原資の不足、法律の改正その他の要因により配当等の額の損金算入要件の全てを満たすことができない可能性があります。かかる場合、配当等の額を損金算入することができなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。なお、課税上の取扱いについては、後記「4手数料等及び税金/(5)課税上の取扱い」をご参照下さい。
(イ)過大な税負担等の発生により支払配当要件が満たされないリスク
2009年4月1日以後に終了する事業年度については、配当等の額の損金算入要件のうち、配当可能利益の額の90%超の配当等の額の支払を行うべきとする要件(以下、「支払配当要件」といいます。)においては、投資法人の税引前の会計上の利益を基礎として支払配当要件の判定を行うこととされています。したがって、会計処理と税務上の取扱いの差異等により、過大な税負担が発生した場合には、会計上の税引後の利益を基礎とする分配可能金額が税引前の利益の90%以下となること等により、上記支払配当要件を満たすことが困難となる可能性があります。なお、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額(後記「4 手数料等及び税金(5)課税上の取扱い」をご参照下さい。)を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(ウ)税務調査等による更正のため追加的な税金が発生するリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、税務当局との見解の相違等により過年度の課税所得計算について税務否認等の更正処分を受けた場合には、予想外の追加的な課税が発生することとなり、投資主への分配金の予想額の修正が必要となる場合があります。
かかる場合、上記の追加的な課税のみならず、本投資法人の当該事業年度における利益配当等の損金算入の全額が税務否認され、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や本投資法人の存続等に悪影響をもたらす可能性があります。
(エ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、その規約における投資方針において、「特定不動産の割合」を100分の75以上とすること(規
約「資産運用の対象及び方針」Ⅱ(2)⑤)としています。本投資法人は、本書提出日現在において、上記内容の投資方針を規約に定めることその他の税制上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産取得税及び登録免許税の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更され若しくは軽減措置が廃止された場合において、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(オ)同族会社に該当するリスク
配当等の額の損金算入要件のうち、事業年度終了時に同族会社のうち「投資法人の課税の特例」に定めるもの(投資法人の投資主の一人及びこれと特殊の関係にある者等が、その投資法人の発行済投資口の総口数若しくは議決権の総数の100分の50を超える数を有する場合における当該投資法人をいいます。)に該当していないこととする要件については、本投資証券が市場で流通することにより、本投資法人の意思にかかわらず、結果として満たされなくなるリスクがあります。かかる場合、配当等の額を損金算入することができなくなることにより本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配額等に悪影響をもたらす可能性があります。
(カ)借入金に係る配当等の額の損金算入要件に関するリスク
配当等の額の損金算入要件のひとつに、借入れを行う場合には「投資法人の課税の特例」に規定された機関投資家(以下本「(5)税制等に関するリスク」において「機関投資家」といいます。)のみから行うことという要件があります。したがって、本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合、機関投資家以外の者に借入れにかかる債権を譲渡された場合、又は、保証金若しくは敷金等の全部若しくは一部がテナントからの借入金に該当すると解釈された場合においては、配当等の額の損金算入要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(キ)投資口を保有する投資主数に関するリスク
配当等の額の損金算入要件のひとつに、事業年度末において投資法人の投資口が機関投資家のみにより保有されること、又は50人以上の投資主に保有されることという要件があります。しかし、本投資法人は投資主による投資口の売買をコントロールすることができないため、本投資法人の投資口が50人未満の投資主に保有される(機関投資家のみに保有される場合を除きます。)こととなる場合においては、配当等の額の損金算入要件を満たせないことになります。この結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配額や純資産額が減少する可能性があります。
(ク)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、信託の受益権その他本投資法人の運用資産に関する税制若しくは投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈が変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。また、投資口に係る税制等が変更された場合、本投資証券の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少する可能性があります。
(ケ)減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日))が、本投資法人においても適用されています。
「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。「減損会計」の適用に伴い、地価の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の損益に悪影響を及ぼす可能性があり、また、税務上は当該資産の売却まで損金を認識することができない(税務上の評価損の損金算入要件を満たした場合や減損損失の額のうち税務上の減価償却費相当額を除きます。)ため、税務と会計の差異が発生することとなり、本投資法人の税負担が増加する可能性があります。
但し、2015年4月1日以後に開始する計算期間については、会計処理と税務上の取扱いの差異が生じた場合であっても、一時差異等調整引当額の増加額を配当等の額として取扱い、損金算入することが可能になるという手当てがなされています。
(6)自然災害、感染症の拡大等に関するリスク
一般的に、自然災害や感染症等のリスク、更には気候変動などに伴うものも含め自然災害の大規模化等を本
投資法人及び資産運用会社の対応のみで回避することは困難であり、これらの感染症の拡大や自然災害等による損害が発生した場合には、本投資法人の財務状態及び経営成績に重大な悪影響が生じる可能性があります。
今後、新型コロナウイルス感染症が再拡大し、その影響が長期化する場合には、テナントの財務状況の悪化等を理由として、テナントから賃料減額請求を受けたりテナントによる賃料支払いが滞ったりする可能性があるほか、テナント退去に伴う空室リスクが顕在化する可能性や長期的にはオフィススペース需要の低下等に伴う資産価値の下落が生じる可能性があります。加えて、本投資法人の保有資産はオフィスが中心ではあるものの、保有資産の一部にホテル及び商業施設等が含まれており、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大やその長期化による売上げ低迷に伴い、これらの資産に係るテナントから賃料減額請求を受けたりテナントによる賃料支払いが滞ったりする可能性があるほか、テナント退去に伴う空室リスクが顕在化する可能性もあります。これに加えて、新型コロナウイルス感染症への対策として、予期せぬ費用負担が生じる可能性があります。
また、資産運用会社は、テレワーキングシステム等を活用した業務形態を一部取り入れていますが、これにより従前どおりの業務効率を維持できる保証はなく、資産運用会社の業務が滞り、結果として、本投資法人の資産の運用に悪影響が出る可能性があります。新型コロナウイルス感染症の流行の収束時期は依然として不透明であり、最終的な影響については予測し難いことから、上記の悪影響以外のリスクが顕在化する可能性もあり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)投資リスクに対するリスク管理体制について
上記の様々なリスクに鑑み、本投資法人及び資産運用会社は、本投資法人の資産運用に関し、以下のような体制により、投資運用に関するリスクの回避及び最小化を図っています。本投資法人及び資産運用会社は可能な限り、本投資証券及び本投資法人債への投資に関するリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、これらの措置が結果的に十分な成果を収めるとの保証はありません。
①投資法人について
本投資法人は、本書提出日現在、執行役員1名及び監督役員3名により構成される役員会により運営されています。役員会は3ヶ月に一度以上、必要に応じて随時開催し、法令及び本投資法人の役員会規則に定める承認事項の決議や業務の執行状況等の報告を行っています。これにより、資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員は的確に情報を入手し、執行役員の業務執行状況を監督できる体制となっています。同時にかかる報告により、本投資法人は、資産運用会社の利害関係人等との取引について、利益相反取引のおそれがないかの確認を行い、利益相反等に係るリスクの管理に努めています。また、本投資法人が資産運用会社の利害関係人等との間で、運用不動産の取得、譲渡又は貸借のうち一定の重要な取引を行う場合には、かかる取引の契約締結前に、本投資法人の役員会の承認に基づく本投資法人の同意を得ることとされています(投信法第201条の2)。これにより、かかる利害関係人等との間の取引について、その契約締結前に役員会が利益相反取引のおそれがないかの確認を行い、利益相反等に係るリスクの管理に努めています。
また、監督役員は必要に応じて、執行役員、一般事務受託者、資産運用会社及び資産保管会社から本投資法人の業務及び財産の状況に関する報告を求め、又は必要な調査を行うことができます(投信法第111条第2項)。
このほか、本投資法人はインサイダー取引が行われることを未然に防止するため、内部者取引管理規則を定めて、役員による本投資法人の投資口及び投資法人債の売買を禁止しています。
②資産運用会社について
資産運用会社は、上記の様々なリスクについて、複数の異なる目線から重層的な検証を行うことで実効性のあるリスク管理体制を整備し、また、コンプライアンス上の問題にも対応できる体制を整備しています。
(ア)資産運用ガイドラインの遵守等によるリスク管理
資産運用会社は、本投資法人の資産運用にあたり遵守する方針、計画として「経営方針」及び「年度運用計画」を策定しています。また、遵守すべき基準として「資産運用ガイドライン」を定めています。
資産運用ガイドラインには、資産の運用・取得・売却方針、資金の調達・運用方針、分配方針等が定められており、これらを遵守することにより、リスクの管理に努めています。
また、個別の資産の取得・運用、資金の調達・運用等にあたっては、「運用審査会議」、「コンプライアンス委員会」、「経営会議」においてこれらの基準・方針等を遵守し、リスクへの対応が図られているかの検証を行っています。
(イ)利益相反のおそれがある取引に対する取組み
資産運用会社は、資産運用に係る取引を行う上で本投資法人の利益と資産運用会社又はその利害関係
人等の利益が相反するおそれがある取引については、本投資法人ないしその投資主に対する説明責任を常に意識し、法令及び社内規程に従い、公正・公平ではない取引を未然に防止しています。
具体的には、「利害関係人等取引規程」に基づき、管理の対象となる利害関係人等の範囲を法令上の利害関係人等より広く定義し、利害関係人等との取引に関する意思決定手続、対象となる取引の範囲及び取引の基準を定め、利益相反が生じるリスクを適切に管理します。
また、利害関係人等を相手方とする不動産等資産の取得等、「コンプライアンス委員会規程」に定める一定の取引等については、コンプライアンス委員会の審議議案ないしは報告事項とすることで、利益相反取引のおそれがあるかどうかについての確認等、コンプライアンスに係る確認を行います。
(ウ)コンプライアンスに関する取組み
コンプライアンスに関しては、「コンプライアンス規程」及び「コンプライアンス・マニュアル」に基づき、年度毎の実施計画として毎年策定する「コンプライアンス・プログラム」により、達成状況の確認と問題点の把握を行っています。コンプライアンス・プログラムは、毎期首にコンプライアンス・オフィサーが各本部及び各部と協議のうえ取りまとめ、取締役会の承認を経て、コンプライアンス委員会に報告します。更に、コンプライアンス・オフィサーは、年に1回、コンプライアンス・プログラムの進捗状況について各本部及び各部から報告を受け、コンプライアンス委員会及び取締役会に報告します。
(エ)リスク管理に関する取組み
「リスク管理規程」を制定し、リスク管理の基本姿勢を定めており、管理すべきリスク項目については3ヶ月に1回以上定期的に開催する「リスク管理会議」において、「リスク管理ガイドライン」に基づく「リスクのモニタリング」が適切に行われているかどうかを確認します。なお、リスク管理会議の概要は必要に応じて資産運用会社の取締役会及び本投資法人の役員会にも報告されます。
(オ)内部監査の実施
コンプライアンス・オフィサーは内部監査業務の責任者として、「内部監査規程」に基づき定期的に内部監査を実施し、内部監査報告書を作成し、社長及び取締役会に報告します。内部監査の実施にあたっては、内部監査機能の補強・補完のため、取締役会が承認した場合は、内部監査業務を社外の第三者に委託することができます。
(カ)インサイダー取引の防止
インサイダー取引が行われることを未然に防止するため、「内部者取引管理規程」及び「コンプライアンス・マニュアル」を定めて、役職員による本投資法人の投資口及び投資法人債の売買を禁止しています。
(8)重要事象等に関するリスク
本書提出日現在、本投資法人が将来にわたって営業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他本投資法人の経営に重要な影響を及ぼす事象は存在しないと判断しています。