(ウ)PM会社に関するリスク
3【投資リスク】
以下において、本投資口及び投資法人債(以下「本投資法人債」といい、短期投資法人債を含むことがあります。)への投資に関するリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。但し、以下は本投資法人への投資に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。また、本書に記載の事項には、特に本投資法人及び本資産運用会社の目標及び意図を含め、将来に関する事項が存在しますが、別段の記載のない限り、これら事項は本書提出日現在における本投資法人及び本資産運用会社の判断、目標、一定の前提又は仮定に基づく予測等であって、不確実性を内在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
以下に記載のいずれかのリスクが現実化した場合、本投資口又は本投資法人債の市場価格が下落し、本投資口又は本投資法人債の投資家は、投資した金額の全部又は一部を回収できないおそれがあります。本投資法人は、可能な限りこれらリスクの発生の回避及びリスクが発生した場合の対応に努める方針ですが、回避できるとの保証や対応が十分であるとの保証はありません。
本投資口及び本投資法人債に投資を行う際は、以下のリスク要因及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上、各投資家自らの責任と判断において行う必要があります。
(1)リスク要因
本項に記載されている項目は、以下のとおりです。
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)換金性・流動性に関するリスク
(イ)市場価格変動に関するリスク
(ウ)金銭の分配・自己投資口の取得等に関するリスク
(エ)投資主の権利が株主の権利と同一でないことに係るリスク
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
(イ)投資法人の制度に関するリスク
(ウ)ヒューリックグループへの依存に関するリスク
(エ)インサイダー取引規制に関するリスク
③ 投資法人の運用資産:原資産である不動産特有のリスク
(ア)不動産から得られる賃料収入に関するリスク
(イ)不動産の瑕疵及び契約不適合に関するリスク
(ウ)PM会社に関するリスク
(エ)費用に関するリスク
(オ)専門家報告書等に関するリスク
(カ)マーケットレポートへの依存に関するリスク
(キ)不動産の毀損・滅失・劣化に関するリスク
(ク)取得・売却時の不動産流動性に関するリスク
(ケ)建築基準法等の既存不適格に関するリスク
(コ)共有物件に関するリスク
(サ)区分所有建物に関するリスク
(シ)借地xxに関するリスク
(ス)底地物件に関するリスク
(セ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
(ソ)不動産の所有者責任に関するリスク
(タ)転貸に係るリスク
(チ)マスターリースに関するリスク
(ツ)次世代アセット・プラス(有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテル)に対する投資の特性及びテナント(オペレーター)に関するリスク
(テ)将来における法令等の改正に関するリスク
(ト)テナントによる不動産の使用に基づく価値減損に関するリスク
(ナ)売主の倒産等の影響に関するリスク
(ニ)開発物件に関するリスク
(ヌ)資産の組入れ・譲渡等に関するリスク
(ネ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
(ノ)敷金・保証金の利用に関するリスク
(ハ)地球温暖化対策に係るリスク
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
(ア)信託受益者として負うリスク
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
(ウ)信託受託者に関するリスク
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
⑤ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
⑥ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
⑦ 減損会計の適用に関するリスク
⑧ 一時差異等調整引当額の戻入れにより利益の分配が減少するリスク
⑨ 税制に関するリスク
(ア)導管性要件に関するリスク
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
(エ)一般的な税制の変更に関するリスク
⑩ その他
感染症の拡大、自然災害等に関するリスク
① 投資法人が発行する投資口及び投資法人債に関するリスク
(ア)換金性・流動性に関するリスク
本投資口については、投資主からの請求による投資口の払戻しを行わないクローズド・エンド型です。したがって、本投資口の換金・投資回収には、上場している金融商品取引所を通じて又は取引所外にて第三者へ売却する必要があります(その他、本投資法人の清算・解散による残余財産分配請求xxによる場合があります。)。
また、東京証券取引所が定める上場廃止基準に抵触する場合には本投資口の上場が廃止され、投資主は保有する本投資口を取引所外において相対で譲渡する他に換金の手段はありません。これらにより、本投資口を低廉な価格で譲渡しなければならない場合や本投資口が譲渡できなくなる場合があります。なお、本投資法人が本投資法人債を発行した場合について、本投資法人債には、確立された取引市場が存在せず、買主の存在も譲渡価格も保証されていません。
(イ)市場価格変動に関するリスク
本投資口の市場価格は、金利動向や為替xxxの金融環境変化、市場環境や将来的な景気動向、内外の投資家による本投資口に関する売買高、他の金融商品との比較、地震、津波、液状化等の天災を含む不動産取引の信用性に影響を及ぼす社会的事象等(注1、2)によって影響を受けることがあります。
また、本投資法人は、不動産等及び不動産対応証券を主な投資対象としており、本投資口の市場価格は、不動産の評価額の変動、不動産市場の趨勢、不動産の需給関係、不動産需要を左右することのある企業を取り巻く経済環境、法令・会計・税務の諸制度の変更等、不動産関連市場を取り巻く要因による影響を受けることがあります。 加えて、本投資法人は、その事業遂行のために必要に応じて資金を調達しますが、その資金調達が新投資口の発行により行われる場合には、本投資口1口当たりの分配金・純資産額が希薄化することがあります。
これらの事象により、またそれ以外の状況のため、市場での本投資口の需給バランスが影響を受け、本投資口の市場価格が影響を受けることがあります。
また、本投資法人若しくは本資産運用会社、又は他の投資法人若しくは他の資産運用会社に対して監督官庁等による行政指導、行政処分の勧告や行政処分が行われた場合にも、本投資口の市場価格が下落することがあります。
(注1)不動産取引の信用性に影響を及ぼす社会的事象等には、新型コロナウイルス感染症の拡大も含まれており、これら感染症に関しては、後記「⑩ その他/感染症の拡大、自然災害等に関するリスク」をご参照ください。
(注2)2022年2月以降のロシア連邦によるウクライナへ軍事侵攻により、各種の経済環境への悪影響が発生しており、これらの影響を注視する米国連邦準備制度理事会(FRB)及び欧州中央銀行(ECB)による米国・欧州市場での利上げもあり、米国・欧州の証券市場を含む金融市場への影響がないとはいえず、また、円安が進行し、更には投資口価格動向への悪影響がないとの保証もありません。
(ウ)金銭の分配・自己投資口の取得等に関するリスク
本投資法人はその分配方針に従って、投資主に対して金銭の分配を行う予定ですが、本投資法人による分配の有無、金額及びその支払は、いかなる場合においても保証されません。特に、想定している不動産等の取得又は売却が行われない場合やその時期に変更が生じた場合のほか、資産から得られる賃料収入の低下、損失の発生、現金不足等が生じた場合などには、予想されたとおりの分配を行えない可能性があります。
本投資法人は、投資主価値の向上につながると判断した場合には役員会の決定に基づき自己投資口の取得を行うことがありますが、現時点において自己投資口の取得を決定した事実はなく、また、取得の決定が保証されるものではありません。また、役員会で自己投資口の取得について決定が行われた場合でも、実際に投資口の取得が行われる保証はなく、また、行われた場合でも役員会で決定された上限に至るまで行われる保証はありません。加えて、取得した自己投資口は相当の時期に処分又は消却をしなければならず、必ずしも投資法人にとって有利な時期及び価格で処分できる保証はありません。
(エ)投資主の権利が株主の権利と同一でないことに係るリスク
本投資法人の投資主は、投資主総会において議決権を行使し、規約の変更又は役員の選任等の重要事項の意思決定に参画できるほか、本投資法人に対して投信法で定められた権利の行使を行うことができますが、かかる権利は株式会社における株主の権利とは同一ではありません。例えば、金銭の分配に係る計算書を含む本投資法人の計算書類等は、役員会の承認のみで確定し(投信法第131条第2項)、投資主総会の承認を得る必要はなく、また、投資主総会は決算期毎に招集されるものではありません。また、投資主総会に出席せず、かつ議決権を行使しないときは、当該投資主はその投資主総会に提出された議案(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除き、また、執行役員、監督役員及び会計監査人の解任(投信法第104条第1項)、規約の変更(投信法第140条)(但し、みなし賛成に関連する規定の制定又は改廃に限ります。)、解散(投信法第143条第3号)、資産の運用に係る委託契約の解約に対する同意(投信法第205条第2項)又は資産の運用に係る委託契約の解約(投信法第206条第1項)に係る議案についても除きます。)について賛成するものとみなされます(投信法第93条第1項、規約第14条第
1項)。
② 投資法人の組織及び投資法人制度に関するリスク
本投資法人は、投信法に基づいて設立される社団(投信法第2条第12項)であり、一般の法人と同様の組織運営上のリスク及び投資法人制度固有のリスクが存在します。
(ア)投資法人の組織運営に関するリスク
本投資法人の組織運営上の主なリスクは、以下のとおりです。 a.役員の職務遂行に関するリスク
投信法上、投資法人の業務を執行し投資法人を代表する執行役員及び執行役員の職務の執行を監督する監督役員は、投資法人に対して善良な管理者としての注意義務(以下「善管注意義務」といいます。)を負い、また、法令、規約及び投資主総会の決議を遵守し投資法人のためxxに職務を遂行する義務(以下「xx義務」といいます。)を負います。しかし、これらの義務が遵守されないおそれは完全には否定できません。また、本資産運用会社の主要な役職員の多くは、スポンサーであるxxxxxxからの転籍者又は出向者です。
b.投資法人の資金調達に関するリスク
本投資法人は資金調達を目的として、借入れ及び投資法人債を発行することがあり、規約上、借入金と投資法人債を合わせた限度額は2兆円とされ、また、借入れを行う場合、借入先は、適格機関投資家(但し、租税特別措置法第67条の15に規定する機関投資家に限ります。)に限るものと規定されています。
借入れ又は投資法人債の発行を行う際には様々な条件、例えば財務制限、第三者に対する担保提供の制限、担保提供義務、xx義務、現金等の留保義務その他本投資法人の業務に関する約束や制限等が要請されます。このような約束や制限等の結果、本投資口又は本投資法人債の市場価格に悪影響が生じることがあります。また、借入れ及び投資法人債の発行は、金利実勢、本投資法人の財務状況、経済環境のほか、借入先や投資家の自己資本規制その他の法的・経済的状況等の多くの要因に従って決定されるため、本投資法人が
必要とする時期及び条件で行うことができるとの保証はありません。本投資法人が既存の借入れの返済資金及び投資法人債の償還資金を新たな借入れ等で調達することを予定していたにもかかわらず、かかる調達ができない場合には、既存の借入れ等の返済ができないことにより債務不履行となる可能性があります。
なお、本投資法人は、本書提出日現在、借入れに関する基本合意書に基づき一定の金融機関との間で資金借入れを行っており、借入時における担保提供は設定されていませんが、資産・負債等に基づく一定の財務指標上の数値を維持すること等の財務制限が設定されています。
借入れに当たり、税法上の導管性要件(後記「⑨税制に関するリスク/(ア)導管性要件に関するリスク」をご参照ください。)を満たすためには、本投資法人は、その借入先を機関投資家(租税特別措置法第 67条の15第1項第1号ロ(2)に規定するものをいいます。)に限定することが要請され、借入先は現実には限定されています。また、本投資法人の保有不動産の全部又は一部が資金の借入先に対して担保に供された場合、担保対象となる保有不動産の処分及び建替等は、制限を受けることとなります。その結果、本投資法人が必要とする時期及び条件で保有不動産の処分や建替等ができないおそれがあります。また、本投資法人の保有不動産の売却等により借入金の期限前返済を行う場合には、期限前返済コスト(違約金等)がその時点における金利情勢によって決定される場合がある等、予測しがたい経済状況の変化により本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。本投資法人が資金を調達しようとする場合、借入れのほか、投資法人債の発行又は新投資口の発行の方法によることがあります。投資法人債の発行を行う場合、一般に、前述したものをはじめとする様々な財務制限条項や誓約事項が規定されることがあります。また、投資法人債の発行及び条件は、信用格付業者からの格付や市場環境の影響を受けるおそれがあり、本投資法人の必要とする時期及び条件で発行できないおそれがあります。新投資口の発行を行う場合、投資口の発行価格はその時々の市場価格により左右され、場合により、本投資法人の必要とする時期及び条件で発行できないおそれがあります。
本投資法人は、資産の取得に際し、投資口の発行による資金調達のほか、適格機関投資家からの借入れ又は投資法人債による資金調達を行うことが通例です。しかしながら、本投資法人が希望する条件による投資口発行・貸出し・投資法人債発行がなされるとの保証はありません。また、借入れ又は投資法人債による資金調達に際しては、資金調達の準備を開始した後、それらの実行日までの間に金利が著しく変更される等のおそれがあり、そのような場合、投資主に損害を与える可能性があります。
また、借入れによる資金調達を予定どおり行った後においても、本投資法人の資産の売却等により借入資金の期限前返済を行う場合には、期限前返済コスト(違約金等)が発生する場合があります。この場合、このコストはその発生時点における金利情勢によって決定される場合がある等、予測し難い経済状況の変更により投資主に損害を与える可能性があります。
c.投資法人が倒産し又は登録を取り消されるリスク
本投資法人は一般の法人と同様に、債務超過に至る可能性を否定することはできません。本投資法人は、現行法上、破産法(平成16年法律第75号、その後の改正を含みます。以下「破産法」といいます。)、民事再生法(平成11年法律第225号、その後の改正を含みます。以下「民事再生法」といいます。)及び投信法上の特別清算手続の適用を受けます。
また、本投資法人は、投信法に基づいて投資法人としての登録を受けていますが、一定の事由が発生した場合に投信法に従ってその登録が取り消される可能性があります(投信法第216条)。その場合には、本投資口の上場が廃止され、本投資法人は解散し、清算手続に入ります。本投資口及び本投資法人債は金融機関の預金と異なり、預金保険等の対象ではなく、本投資口につき、当初の投資額が保証されているものではありません。本投資法人が清算される場合、投資主は、全ての上位債権者への償還の後でしか投資額を回収できません。したがって、清算手続において、投資主は投資額の全部又は一部につき償還を受けられないことがあります。また、本投資法人債の債権者は清算手続に従って投資額を回収することになるため、債権全額の償還を受けられる保証はありません。
(イ)投資法人の制度に関するリスク
投資法人の制度上の主なリスクは以下のとおりです。 a.業務委託に関するリスク
投資法人は、資産の運用以外の営業行為を行うことができず、使用人を雇用することはできません。また、本投資法人は、投信法に基づき、資産の運用を本資産運用会社に、資産の保管を資産保管会社に、一般事務を一般事務受託者に、それぞれ委託しています。したがって、本投資法人の業務執行全般は、本資産運用会社、資産保管会社及び一般事務受託者の能力や信用性に依存することになります。金融商品取引法上、資産運用会社となるためには投資運用業の登録を行う必要があり、資産保管会社は信託業を兼営する銀行等一定の要件を満たすものに資格が限定されており、一般事務受託者については、本投資法人の設立時及び設立後に新たに行う一般事務受託者との契約締結時に、不適当なものでないことの調査が執行役員及び監督役員により行われています。しかし、それぞれの業務受託者において、今後業務遂行に必要とされる人的・財産的基盤が損なわれた場合や、これらの業務受託者が金融商品取引法及び投信法により本投資法人に対して負う善管注意義務やxx義務に反する行為を行った場合には、その結果、投資家が損害を受ける可能性があります。
また、投信法上、資産の運用、資産の保管及び一般事務に関しては第三者へ委託することが義務付けられているため、本資産運用会社、資産保管会社又は一般事務受託者が、倒産手続等により業務遂行能力を喪失する場合には、倒産に至った業務受託者等に対して本投資法人が有する債権の回収に困難が生じるだけでなく、本投資法人の日常の業務遂行に影響を及ぼすことになります。また、委託契約が解約又は解除された場合において、本投資法人の必要とする時期及び条件で現在と同等又はそれ以上の能力と専門性を有する第三者を選定し業務を委託できないときには、本投資法人の収益等が悪影響を受けるおそれがあるほか、本投資口が上場廃止になる可能性があります。
b.資産の運用に関するリスク
投資法人は、投信法上、資産運用会社にその資産の運用に関する業務を委託しなければならないとされており、本投資法人は、その資産の運用成果につき、その資産の運用を委託する本資産運用会社の業務遂行能力に依存することになります。本資産運用会社についての主なリスクは以下のとおりです。
(ⅰ)資産運用会社の運用能力に関するリスク
一般に、資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務を負い、また、投資法人のためにxx義務を負いますが、運用成果に対して何らの保証を行うものではありません。また、資産運用会社となるためには投資運用業の登録を行う必要があり、金融商品取引法及び投信法に定める監督を受け、その信用力の維持には一定限度の制度的な裏付けがありますが、その運用能力が保証されているわけではありません。
本資産運用会社による本投資法人の資産の運用は、金融商品取引法及び投信法の適用を受けるほか、上場規則の適用を受けることとなり、これらの規制の上で、期待どおりの運用を行い、収益を上げることができる保証はありません。なお、本投資法人のスポンサーであるxxxxxxが過去に示した業績ないし運用実績や、本投資法人が取得する予定の資産の過去の収益状況は、本投資法人の将来の業績や運用実績を予測させ又はこれを何ら保証するものではありません。
(ⅱ)資産運用会社の行為に関するリスク
一般に、資産運用会社は、投資法人に対し善管注意義務を負い、また、投資法人のためにxx義務を負い、さらに資産運用会社の行為により投資法人が損害を被るリスクを軽減するため、金融商品取引法及び投信法において業務遂行に関して行為準則が詳細に規定されています。しかし、本資産運用会社のスポンサー等の利害関係人と本投資法人との間で取引等を行うに際して、本資産運用会社が、かかる行為準則に違反したり、適正な法的措置を行わない場合には、本投資法人に損害が発生する可能性があります。なお、本資産運用会社自身も自ら投資活動を行うことは法令上禁止されているものではありません。そのような場合に、本資産運用会社が自己又は第三者の利益を図るため、本投資法人の利益を害することとなる取引を行わないとの保証はありません。
(ⅲ)資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更に関するリスク
本資産運用会社は、本投資法人の規約に基づいて投資運用業を遂行するため、本資産運用会社の社内規程である運用ガイドラインにおいて、投資対象資産に関する取得・維持管理・売却の方針及び財務上の指針を定めていますが、その内容は本投資法人の規約に反しない限度で投資主総会の承認を得ることなく適
宜見直し、変更されることがあります。そのため、投資主の意思が反映されないまま運用ガイドラインが変更される可能性があります。また、本資産運用会社は、運用ガイドラインに従いその業務を適切に遂行するため、一定の社内体制を敷いていますが、かかる社内体制について効率性・機能性その他の観点から今後その変更を行わないとは限りません。このような、本資産運用会社における投資方針・社内体制等の変更によって、本投資法人の資産運用の内容が変更され、その結果、当初予定されていた収益を上げられない可能性があります。
(ウ)ヒューリックグループへの依存に関するリスク
xxxxxxは、本投資法人の主要な投資主及び本資産運用会社の100%株主であるだけではなく、本投資法人に対して自ら又はヒューリックグループ企業を通じてスポンサーサポートを提供する会社です。また、ヒューリックは、本資産運用会社の主要な役職員の転籍元又は出向元です。
これらの点に鑑みると、本投資法人は、ヒューリックを中心とするヒューリックグループと密接な関連性を有しています。また、本投資法人及び本資産運用会社の役職員等の人材面でヒューリックグループへの依存度が高くなっています。
したがって、本投資法人が、ヒューリックグループから本書提出日現在と同一の関係を維持できなくなった場合又は業務の提供を受けられなくなった場合には、本投資法人に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。また、ヒューリックグループの業績が悪化した場合や、ヒューリックグループのブランド価値が風評等により損なわれた場合、ヒューリックグループの経営戦略の変更があった場合等にも、本投資法人に重大な悪影響が及ぶ可能性があります。
ヒューリックは、スポンサーサポート契約に基づき、自ら又はヒューリックグループ企業のいずれかが適格不動産(本投資法人の投資基準に適合すると合理的に想定される不動産等)を売却しようとする場合、本資産運用会社に対し、当該不動産等に係る情報を提供し、優先交渉権を付与するものとされていますが、本投資法人への売却を義務づけるものではありません。また、本投資法人の投資対象の一部(注)については、スポンサーが本投資法人と同様にスポンサーサポートを提供する私募リートに第一順位の優先交渉権が与えられ、本投資法人の優先交渉権は第二順位とされており、投資対象の一部について私募リートが優先して物件の取得を検討できるとされます(かかる優先交渉権の詳細については、上記「2 投資方針/(1)投資方針/④ 成長戦略/(イ)外部成長戦略/(ⅰ)優先交渉権の付与」をご参照ください。)。その結果、本投資法人の取得機会がその範囲で減少し、本投資法人において望ましいと考えるポートフォリオの構築や収益性の実現がしにくくなる可能性があります。
(注)東京コマーシャル・プロパティのうち東京23区以外に所在する「オフィス」、並びに次世代アセット・プラスのうち想定月額利用料が市場相場における高価格帯に属する施設以外の「有料老人ホーム」及びオフィス、商業施設、有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテル以外で、将来にわたって堅実な需要が見込まれ長期的に安定した収益の獲得や、中長期的な投資主価値の最大化に資すると本投資法人が判断する資産です。
また、ヒューリックは、自ら若しくはヒューリックグループ企業が出資し、又は、スポンサー若しくはヒューリックグループ企業の意向を受けて不動産等のアセットマネジメント業務を受託しているアセットマネジメント会社が管理する特別目的会社が保有し若しくは今後開発し保有することになる適格不動産を売却しようとする場合、本資産運用会社に対し、一定の場合を除き、当該不動産等に係る情報を遅くとも第三者に対して情報提供するのと同時に提供するものとされており、また、第三者が売却を予定する不動産等に係る情報を入手した場合、当該不動産等が適格不動産に該当し、かつ本投資法人への売却が適当な不動産等であると合理的に判断されるときは、一定の場合を除き、本資産運用会社に対し、速やかにかかる情報を通知するよう努めるものとされていますが、必ずしも本資産運用会社がかかる情報の提供を受ける機会が保証されているものではありません。
前記に加え、スポンサーサポート契約の有効期間は、契約締結日から3年間とされ、自動更新されることとされていますが、契約の更新がなされない等により契約が終了した場合又は契約内容が変更された場合、スポンサーから従来どおりのスポンサーサポートが受けられなくなるおそれがあります。
さらに、本投資法人は、資産運用活動全般を通じて、ヒューリックグループを含む利害関係者との間で事業及び取引機会を提供される可能性又はそれを提供する可能性があります。この場合、利害関係者が、本投資法人の投資家の利益に反する行為を行わないよう、本投資法人は、投資家の利益を害することがないよう適切と考えられる体制を整備しています。しかし、これらの体制が有効に機能しないことがあった場合には、本投資法人の投資家の利益に反する取引が行われ、投資家に損害が発生する可能性があります。なお、かかる利益相反リスクに対する方策については後記「(2)リスクに対する管理体制」をご参照ください。
(エ)インサイダー取引規制に関するリスク
上場投資法人等については、金融商品取引法上、インサイダー取引規制が導入されています。また、上場投資法人等に係るインサイダー取引規制を踏まえ、金融商品取引法上、上場投資法人の資産運用会社の役職員が職務上知り得た上場会社等に係る重要事実の公表前における、他人に利益を得させ、又は当該他人の損失の発生を回避させる目的での上場会社等に係る未公表の重要事実の伝達及び取引推奨も禁止されています。
本投資法人及び本資産運用会社は、社内規程において、その役職員が本投資法人の投資口の取引等を行うことを原則として禁止しています。但し、一定の要件を満たす持投資口会を通じて一定の計画に従い継続的に上場投資法人の投資口の買付けを行う場合は、インサイダー取引規制の例外とされており(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第59条第1項第8号の2)、当該社内規程上も、上記要件を全て満たす持投資口会(以下「本持投資口会」といいます。)を通じて、本投資法人及び本資産運用会社の役職員が本持投資口会の定める規約その他の運営細則に従い本投資法人の投資口の買付けを行うことが認められています。本投資口会の詳細については、上記「1 投資法人の概況/(7)資産運用会社従業員等投資口所有制度の内容」をご参照ください。
また、本投資法人及び本資産運用会社は、その役職員が職務上知り得た上場会社等に係る重要事実の公表前における、他人に利益を得させ、又は当該他人の損失の発生を回避させる目的での上場会社等に係る未公表の重要事実の伝達及び取引推奨の禁止を内部規則に追加する等、内部規程の整備と強化を行っています。
しかしながら、こうした法規制や内部態勢の整備と強化にもかかわらず、本投資法人、本資産運用会社その他の内部者が本投資法人や投資口に関する未公表の内部情報を知りつつかかる投資口の取引を行うことがないとの保証はなく、その場合には、投資家の信頼又は市場における信頼を損ね又は喪失する可能性があり、その結果、本投資法人の投資家が不利益を受けるおそれがあります。
③ 投資法人の運用資産:原資産である不動産特有のリスク
本投資法人は、国内の不動産及び不動産を信託する信託の受益権を主要投資対象としており、これらの原資産となる不動産等については、以下のリスクがあります。
(ア)不動産から得られる賃料収入に関するリスク
本投資法人の主な収益は、本投資法人が直接(又は信託を通じて間接的に)保有する不動産等の賃料収入に依存しています。不動産等の賃料収入は以下を含む様々なリスクにより影響を受けることがあります。
a.不動産等の稼働・解約等に関するリスク
我が国におけるオフィスビルの賃貸借契約では、契約期間を2年とし、その後別段の意思表示がない限り自動的に更新されるとするものが多く見られます。しかし、契約期間が満了する際、常に契約が更新されるとの保証はありません。また、契約期間の定めにかかわらず、テナントによる一定期間前の通知により期日前解約を認める旨を定めている場合が多いです。賃貸借契約が更新されず又は契約期間中に解約された場合、直ちに新たなテナントが入居するとの保証はなく、その結果、賃料収入が減少する可能性があります。なお、賃貸借契約において契約期間中に賃借人が解約した場合の違約金について規定することがあります が、そのような規定は状況によってはその全部又は一部が無効とされ、その結果、本投資法人に予定外の費
用負担が発生する可能性があります。
定期賃貸借契約の有効期間中は契約中に定められた賃料をテナントに対して請求できるのが原則です。しかし、定期賃貸借契約においてテナントが早期解約した場合、残存期間全体についてのテナントに対する賃料請求が場合によっては認められない可能性があります。
b.不動産等の賃借人の信用力及び賃料未払いに関するリスク
賃借人の財務状況が悪化した場合、賃貸借契約に基づく賃料支払が滞る可能性があるほか、延滞賃料、原状回復費用その他の損害金等の債務の合計額が敷金及び保証金で担保される範囲を超える状況となる可能性があります。特に、賃料収入のうち一つのテナントからの賃料収入の割合が高い場合、賃料収入に与える影響が大きくなります。
c.賃借人による賃料減額のリスク
賃貸人は、不動産等の賃借人が支払うべき賃料につき、賃料相場の下落その他の様々な事情により賃料減額に応じることを余儀なくされることがあります。また、建物の賃借人は、定期建物賃貸借契約で賃料減額請求権を排除する特約がある場合を除いては借地借家法(平成3年法律第90号、その後の改正を含みます。以下「借地借家法」といいます。)第32条により賃料減額請求を行うことができます。当事者間で協議が整わない場合には、賃貸人は減額を相当とする裁判が確定するまでテナントに対して賃貸人が相当と考える賃料の支払を請求することができますが、その間に賃貸人が実際に支払を受けた賃料の額が後に裁判で認められた額を超える場合には、当該超過額に年1割の利息を付して賃借人に返還しなければなりません。
これに対し、一定の要件を充たす場合には、いわゆる定期建物賃貸借として、借地借家法第32条の賃料増減額請求権を排斥する当事者間の合意は有効とされます。この場合には賃料の減額請求がなされないため、通常の賃貸借契約に比較して契約期間中の賃料収入の安定が期待できます。しかし、借室の供給が多く、賃料の上昇が多く望めないような状況では賃借人がこのような条件に合意する見返りとして賃料を低く設定することを求める傾向があるほか、逆に一般的に賃料水準が上昇したときにも賃貸人は賃料の増額を求められません。
d.テナント集中に関するリスク
本投資法人の保有する不動産等のうち一又は複数が少数のテナントにて賃借され、その結果、当該テナントの資力、退去、利用状況等により、当該不動産等の収益が大きく影響を受けるおそれがあります。特に、かかるテナントが賃料の減額を要求する場合はもちろん、退去する場合には、一度に多額の資金の返還を余儀なくされ、かつ、大きな面積の空室が生じるため、一時的に当該不動産等の収益が急激に悪化することがあります。
また、広い面積を一度に賃借するテナントを誘致するには時間がかかることがあり、場合によっては賃貸条件を緩和することを求められ、その誘致期間と条件次第では、本投資法人の収益が悪影響を受けるおそれがあります。
本投資法人は、その保有資産及び取得を予定している資産(以下「保有資産等」といいます。)に関し、一つのテナントに対し一棟全体を賃貸することがあり、その場合に既存テナントが退去したときは、その立地及び構造から代替テナントとなりうる者が少ないために、空室期間が長期化することや、代替テナント確保のために賃料水準を下げざるを得なくなることがあり、その結果、賃料収入が大きな影響を受ける可能性があります。
e.変動賃料に関するリスク
固定賃料に加えて、不動産等のテナントの収益等に応じた変動賃料の支払を伴う場合には、不動産等のテナントの収益等の減少が賃料総額の減少につながり、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、変動賃料の支払を伴う賃貸借契約において、変動賃料の計算の基礎となる売上等の数値について、賃貸人がその正確性について十分な検証を行えない場合があり得る上、テナントが売上等をより低位に計上し、変動賃料の金額を恣意的に引き下げようとする可能性も否定できません。その結果、本来支払われるべき金額全額の変動賃料の支払がなされず、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
f.不動産の偏在に係るリスク
本投資法人は、前記「2 投資方針/(1)投資方針」記載の投資方針に基づき、東京都及び東京都近郊の主要都市を中心とするポートフォリオを構築していく方針であるため東京都及び東京都近郊の主要都市における地震その他の災害や、地域経済の悪化、稼働率の低下、賃料水準の下落等により本投資法人の収益等が悪影響を受けるおそれがあります。
(イ)不動産の瑕疵及び契約不適合に関するリスク
不動産には権利、地盤地質、構造等に関して欠陥、瑕疵(工事における施工の不具合や施工報告書の施工データの転用・加筆等がなされているものを含みますが、これらに限りません。)若しくは当該資産が通常有すべき性状を欠く状態又は当事者間の契約において通常若しくは特別に予定された品質や性状等を欠く状態(以下そのような状態を「契約不適合」といいます。)等が存在している可能性があります。かかる瑕疵又は契約不適合には、例えば、建物の構造、用いられる材質、地盤、特に土地に含有される有毒物質、地質の構造等に関して、当事者間の契約において通常若しくは特別に予定されていない欠陥や瑕疵等が存在する場合があり得るほか、不動産には様々な法規制が適用されているため、法令上の規制違反の状態をもって瑕疵又は契約不適合とされることもあり得ます。また、建物の施工を請け負った建設会社又はその下請業者において、建物が適
正に施工されない場合があり得るほか、建築資材の強度・機能等の不具合や基準への不適合がないとの保証はありません。権利に関しては、不動産をめぐる権利義務関係の複雑性ゆえに、本投資法人が取得した権利が第三者の権利や行政法規等により制限を受けたり、第三者の権利を侵害していることが後になって判明したりする可能性があります。これらの欠陥や瑕疵又は契約不適合等により、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)(以下「民法改正法」といいます。)による民法改正
(以下「民法改正」といい、民法改正前の民法を「旧民法」、民法改正後の民法を「新民法」といいます。)の施行日である2020年4月1日より前に締結された不動産の売買契約においては、旧民法の規定が適用され
(民法改正法附則第34条第1項等)、特約で排除されていない限り、その対象となる不動産に隠れた瑕疵があった場合には、売主は、旧民法第570条により買主に対して瑕疵担保責任を負います。また、2020年4月1日以降に締結された不動産の売買契約においては、新民法が適用され、その対象となる不動産が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合には、特約で排除されていない限り、売主は、買主に対して契約不適合による担保責任を負います。
本資産運用会社が不動産等の選定・取得の判断を行うにあたっては、対象となる不動産等について専門業者からエンジニアリングレポートを取得するとともに、原則として当該不動産等の売主から譲渡の時点における一定の表明及び保証を取得しています。しかし、これらの表明及び保証の内容が真実かつ正確である保証はありませんし、エンジニアリングレポートで指摘されなかった事項や売主が表明及び保証した事項であっても、取得後に欠陥、瑕疵又は契約不適合等が判明する可能性もあります。なお、本投資法人は、不動産等の売主が表明及び保証を行わない場合や、不動産等の売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負わない場合にも、当該不動産等を取得する可能性があります。その他、不動産等を取得するまでの時間的制約等から、隣接地権者からの境界確定同意が取得できないまま、当該不動産等を取得する可能性もあります。
本投資法人は不動産等を取得するにあたって、不動産登記簿を確認する等売主の所有権の帰属に関する調査を行いますが、不動産登記にいわゆる公信力がない一方で、実際の取引において売主の権利帰属を確実に知る方法があるとは必ずしもいえないため、本投資法人の取得後に、売主が所有権者でなかったことが判明する可能性があります。また、本投資法人が取得した権利が第三者の権利の対象になっていることや第三者の権利を侵害していることが、本投資法人の取得後になって判明する可能性があります。
また、売主が表明及び保証を行った場合や、売主が瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負担した場合であっても、売主に対して、表明及び保証した事実が真実でなかったことを理由とする損害賠償責任や瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を追及しようとしても、売主の損害賠償責任、瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任の責任額や負担期間が限定されていたり、売主がSPC(特別目的会社)である等売主の資力が不十分であったり、売主が解散等により存在しなくなっている等の事情により、実効性がない可能性があります。
不動産信託受益権においても、直接の売買対象である不動産信託受益権又はその原資産である不動産に隠れた瑕疵又は契約不適合があった場合については、上記と同様のリスクがあります。そこで、不動産の信託契約及び受益権譲渡契約において、売主に信託設定日等において既に存在していた原資産である不動産の瑕疵若しくは契約不適合について瑕疵担保責任若しくは契約不適合による担保責任を負担させ、又は売主から一定の事実に関する表明及び保証を取得することがあります。しかし、このような責任を負担させても上記のように実効性がない場合及びそもそも責任を負担させなかった場合には、当該不動産の実質的所有者である本投資法人がこれを負担することになり、予定しない補修費用等が発生し、本投資法人の収益が悪影響を受ける可能性があります。また、当該瑕疵又は契約不適合の程度によっては、補修その他の措置を執ったとしても、不動産の資産価値の減耗を防ぐことができない可能性があります。
なお、投資法人及び信託会社は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号、その後の改正を含みます。以下「宅地建物取引業法」といいます。)上、宅地建物取引業者とみなされ(同法第77条第2項、第77条の2第
2項)、投資法人又は信託会社が宅地建物取引業者でない者に対して不動産を売却する場合には、宅地建物取引業法上、不動産の売主として民法上負う瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を完全に排除することができません(同法第40条)。したがって、本投資法人又は不動産信託受託者が不動産の売主となる場合には一定限度の瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負うことになる場合があります。
(ウ)PM会社に関するリスク
一般に、建物の保守管理を含めた不動産等の管理業務全般の成否は、PM会社の能力・経験・ノウハウを含めたその業務遂行能力に強く依拠することになります。管理委託先を選定するに当たっては、当該PM会社の能力・経験・ノウハウを十分考慮することが前提となりますが、そのPM会社における人的・財産的基盤が今後も維持されるとの保証はありません。本投資法人は、直接保有する不動産に関して本投資法人が委託したPM会社につき、業務懈怠又は倒産事由が認められた場合、管理委託契約を解除すること、また、不動産を信託する信託の受益権を保有する場合には原資産である不動産に関して信託受託者が委託したPM会社につき、受益者とし
ての指図権を行使し信託受託者を通じて同様に解除することはできますが、PM会社が交代する場合、後任のPM会社が任命されるまではPM会社不在又は機能不全のリスクが生じるため、当該不動産等の管理状況が悪化するおそれがあります。
(エ)費用に関するリスク
不動産の維持管理には、経済状況によって、インフレーション、水道光熱費等の費用の高騰、不動産管理や建物管理に係る費用、備品調達等の管理コスト及び各種保険料等のコストの上昇、租税公課の増大その他の理由により、不動産の運用に関する費用が増加する可能性があります。
なお、新民法においては、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、若しくは賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき、又は②急迫の事情がある場合、賃借人が修繕権を持つものとされています(新民法第607条の2)。かかる修繕権を賃貸借契約上特約で排除していない場合、予期しない金額で賃借人が賃貸人のコントロールの及ばない修繕を行い、本投資法人が修繕費用の請求を受けるおそれがあります。
(オ)専門家報告書等に関するリスク
不動産の鑑定評価額及び不動産価格調査の調査価格は、個々の不動産鑑定士等の分析に基づく、分析の時点における評価に関する意見を示したものにとどまり、客観的に適正な不動産価格と一致するとは限りません。同じ物件について鑑定、調査等を行った場合でも、不動産鑑定士等、評価方法又は調査の方法若しくは時期、収集した資料等の範囲等によって鑑定評価額、調査価格の内容が異なる可能性があります。また、かかる鑑定、調査等の結果は、現在又は将来において当該鑑定評価額や調査価格により当該不動産の売買が可能であると保証又は約束するものではありません。
建物環境リスク評価書及び土壌汚染リスク評価書も、個々の調査会社が行った分析に基づく意見の表明であり、評価方法、調査の方法等によってリスク評価の内容が異なる可能性があります。また、かかる報告書は、専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、土壌汚染等の環境上の問題が存在しないことを保証又は約束するものではありません。
エンジニアリングレポート、地震リスク評価報告書等についても、建物の状況及び構造に関して専門家が調査した結果を記載したものにすぎず、不動産に欠陥、瑕疵又は契約不適合が存在しないことを保証又は約束するものではありません(不動産の欠陥、瑕疵又は契約不適合に関するリスクについては、前記「(イ)不動産の瑕疵及び契約不適合に関するリスク」をご参照ください。)。また、各調査会社が試算した修繕費用は、あくまでも調査会社の意見であり、その内容の妥当性、正確性が保証されているものではありません。また、不動産に関して算出される地震PMLは、個々の専門家の分析に基づく予想値であり、損害の予想復旧費用の再調達価格に対する比率で示されますが、将来、地震が発生した場合、予想以上の多額の復旧費用が必要となる可能性があります。
その他、不動産に関しては様々な専門家が国家又は民間団体の資格認定を受けて業務を遂行していますが、全ての専門家が常に過誤無くあらゆる業務を遂行できるとの保証はありません。たとえば、国土交通省住宅局建築指導課は、2013年7月22日、「指定確認検査機関等の処分について」との文書を公表し、国土交通大臣の指定確認検査機関が、確認審査において過失により法令に適合しない建物の確認済証を交付した事例で行政処分を科しています。本資産運用会社は、外部の資格を有する専門家の判断や報告に依拠して、本投資法人による資産取得を行いますが、その専門家の判断や報告が後に誤っていたとされるおそれがあり、その場合、本投資法人は重大な悪影響を受けるおそれがあります。
(カ)マーケットレポートへの依存に関するリスク
本投資法人は、物件の取得や売却に際し、様々な情報を得て投資判断を行いますが、その際、第三者である専門家によるマーケットレポートでの分析を得て投資判断の材料とする場合があります。しかしながら、マーケットレポートは、第三者によるマーケット分析を示したもので、個々の調査会社の分析に基づく意見ないし判断であり、また、一定の前提に基づく、当該分析の時点での評価ないし意見に留まります。したがって、そのレポートの内容が、本来存在する客観的な判断や正確な情報であるとの保証はなく、かつ、将来の想定が現実の結果と一致しないこともあります。加えて、同じ物件の調査分析でも、調査分析を行う会社や専門家の相違により、あるいは分析方法や調査の方法と時期の相違により、マーケットレポートでの分析の結果が異なる可能性があります。
(キ)不動産の毀損・滅失・劣化に関するリスク
火災、地震、液状化、津波、暴風雨、洪水、落雷、竜巻、戦争、暴動、騒乱、テロ等(以下併せて「災害等」といいます。)により不動産が滅失、劣化若しくは毀損し、又は周辺環境の悪化等の間接被害により、その価値又は収益が影響を受ける可能性があります。このような場合には、滅失、劣化又は毀損した個所を修復するため一定期間建物の不稼働を余儀なくされ、又は建替え若しくは修繕が困難であること等により、賃料収入が減少し若しくは得られなくなり、又は当該不動産の価値が下落する可能性があります。不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、保険契約で補填されない災害等が発生した場合又は保険契約に基づく保険会社による支払がほかの何らかの理由により行われず、減額され若しくは遅れる場合には、本投資法人に悪影響を及ぼす可能性があります。また、保険金が支払われた場合でも、行政上の規制その他の理由により事故発生前の状態に回復させることが事実上困難である可能性があります。
加えて、災害等とりわけ広い地域に被害をもたらす大地震・大津波が発生した場合、本投資法人の保有する不動産のうち複数の建物が同時に災害等の影響を受ける可能性があるほか、不動産の利用を支える電力やガス・水道のほか、道路港湾施設等の社会基盤(社会インフラ)が毀損し、そのため不動産の利用が制限されるなどの間接的な悪影響が発生するおそれは否定できません。本投資法人は、保有資産等について、専門家による地震リスク診断に基づき地震保険の付保の要否を検討・判断しますが、その結果、地震保険を付保しないこととした物件については、地震又は地震を原因とする火災・津波・液状化等の災害により損害が生じた場合に、保険によりこれを回復することはできません。また、地震保険を付保した場合でも、対人的被害の賠償については保険でカバーされないこともあり、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生する可能性もあります。
(ク)取得・売却時の不動産流動性に関するリスク
一般に、不動産の有する特徴として、特に地理的位置の固定性、不動性(非移動性)、永続性(不変性)、個別性(非同質性、非代替性)等が挙げられます。また、前記の特性の他に、取引当事者の属性や取引動機等の取引事情等によってもその価格が影響される等の特性もあります。これらの特性のために、不動産は、国債・長期預金等の金融商品等に比べ一般的に流動性が相対的に低い資産として理解されています。そして、それぞれの不動産の個別性が強いため、売買において一定の時間と費用を要しますし、その時間や費用の見積もりが難しく、予想よりも多くの時間と費用が費やされ、その結果、不動産を取得又は売却できない可能性があります。さらに、不動産が共有物件又は区分所有物件である場合、土地と建物が別個の所有者に属する場合等、権利関係の態様が単純ではないことがあり、また、土地の使用に必要な土地所有者による貸与等の同意が想定どおりに取得できない等の可能性もあります。
経済環境や不動産需給関係の影響によって、取得を希望する物件を希望どおりの時期・条件で取得できず、又は売却を希望する物件を希望どおりの時期・条件で売却できない可能性もあります。これらの結果、本投資法人はその投資方針に従った運用ができず、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
その他、不動産等を取得するまでの時間的制約等から、隣接地権者からの境界確定同意が取得できない場合、後日、このような不動産等を処分するときに事実上の障害が発生する可能性や、境界に関して紛争が発生し、所有敷地の面積の減少、損害賠償責任の負担等、これらの不動産等について予定外の費用や損失が発生する可能性があります。同様に、越境物や地中埋設物の存在により、不動産等の利用が制限されたり賃料に悪影響を与える可能性や、それらの除去費用等の追加負担が発生することで本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
(ケ)建築基準法等の既存不適格に関するリスク
建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の施行又は適用の際、原則としてこれらの規定に適合しない現に存する建物(現に建築中のものを含みます。)又はその敷地については、当該規定が適用されない扱いとされています(いわゆる既存不適格)。しかし、かかる既存不適格の建物の建替え等を行う場合には、現行の規定が適用されるので、現行の規定に合致させる必要があり、そのため費用等追加的な負担が必要となる可能性があり、また、現状と同規模の建築物を建築できない可能性があります。例えば、駐車場の付置義務、住宅の付置義務、福祉施設の付置義務等のほか、不動産等を含む地域が現時点又は将来において、道路等の都市計画の対象となる場合には、建築制限が付されたり、敷地面積が減少したりする可能性があります。
(コ)共有物件に関するリスク
本投資法人が保有する不動産等が第三者との間で共有されている場合には、当該不動産等の持分を譲渡する場合における他の共有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履践等、共有者間で締結される協定書又は規約等による一定の制限に服する場合があります。
共有物の管理は、共有者間で別段の定めがある場合を除き、共有者の持分の過半数で行うものとされているため(民法第252条)、持分の過半数を有していない場合には、当該不動産等の管理について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
さらに、共有者は共有物の分割請求権を有するため(民法第256条)、共有者の請求により不動産等が分割される可能性があり、その場合の分割の方法によっては、本投資法人が金銭による価格賠償しか受けられない可能性があります。共有者間で不分割の合意(民法第256条)がある場合であっても、この合意の効力は最大
5年であり、合意の有効期間が満了したり、その合意が未登記であるために第三者に対抗できないことがあります。また、共有者間で不分割の合意がある場合であっても、共有者について破産手続、会社更生手続又は民事再生手続が開始された場合は共有物の分割が行われる可能性があります(破産法第52条、会社更生法(平成 14年法律第154号、その後の改正を含みます。以下「会社更生法」といいます。)第60条、民事再生法第48条)。
他の共有者の共有持分に抵当権又は根抵当権が設定された場合には、共有物が分割されると、共有されていた不動産全体について、当該共有者(抵当権設定者)の持分割合に応じて当該抵当権の効力が及ぶことになると考えられています。したがって、本投資法人が保有する不動産である共有持分には抵当権が設定されていなくても、他の共有者の共有持分に抵当権が設定された場合には、分割後の本投資法人の不動産についても、他の共有者の持分割合に応じて、当該抵当権の効力が及ぶこととなるリスクがあります。
共有者はその持分の割合に応じて共有物の全体を利用することができるため(民法第249条)、他の共有者によるこれらの権利行使によって当該不動産の保有又は利用が妨げられるおそれがあります。
共有者と共同して不動産等を第三者に賃貸している場合、賃貸借契約に基づく各共有者の権利が不可分債権とみなされ、当該賃貸借契約に基づく権利の全体が当該共有者の債権者等による差押等の対象となる可能性があります。また、共有物に係る賃貸借契約に基づく敷金返還債務が共有者間の不可分債務とみなされた場合には、本投資法人の持分に対応する部分のみならず、当該賃貸借契約に基づく敷金返還債務の全部について、本投資法人がテナントに対して債務を負担する可能性があります。
さらに、共有者は自己の持分を原則として自由に処分することができるため、本投資法人の意向にかかわりなく不動産等の共有者が変更される可能性があります。
共有者が自ら負担すべき公租公課、修繕費、保険料等の支払又は積立てを履行しない場合、本投資法人が影響を受ける場合があります。
(サ)区分所有建物に関するリスク
区分所有建物とは建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号、その後の改正を含みます。以下
「区分所有法」といいます。)の適用を受ける建物で、単独所有の対象となる専有部分(居室等)と共有となる共用部分(エントランス部分等)及び建物の敷地部分から構成されます。本投資法人が保有する不動産等が区分所有物件である場合には、管理規約が定められていない場合を除き、その管理及び運営は区分所有者間で定められる管理規約に服することに加えて、区分所有権を譲渡する場合における他の区分所有者の先買権又は優先交渉権、譲渡における一定の手続の履践等、管理規約による一定の制限に服する場合があります。しかも、管理規約は、原則として区分所有者及びその議決権の各4分の3以上の多数決によって変更できるため
(区分所有法第31条)、本投資法人が議決権の4分の3を有していない場合には、区分所有物件の管理及び運営について本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
また、区分所有者は、自己の専有部分を原則として自由に処分することができるため、他の区分所有者の意向に関わりなく区分所有者が変更される可能性があり、新たな区分所有者の資力や属性等によっては、当該不動産の価値や収益が減少する可能性があります。
区分所有法上、各区分所有者は管理規約に別段の定めがない限り、その持分に応じて共用部分の負担に任ずることとされ、これに反して他の区分所有者が自己の負担すべき公租公課、修繕費、保険料等の支払又は積立てを履行しない場合、本投資法人が影響を受ける場合があります。
区分所有建物では、専有部分と敷地利用権(敷地利用権とは、区分所有建物の専有部分を所有するために区分所有者が敷地に関して有する権利をいいます。)の一体性を保持するため、管理規約で別段の定めがない限り、専有部分と敷地利用権を分離して処分することが禁止されます。敷地権(敷地権とは、敷地利用権をもとに、区分所有建物の敷地になっている土地について建物と一体化されている権利をいいます。)の登記がなさ
れていない場合には、善意の第三者に対する分離処分は有効になります。また、区分所有建物の敷地が数筆に分かれ、区分所有者が、それぞれその敷地のうちの一筆又は数筆の土地について、単独で所有権、賃貸借等を敷地利用権(いわゆる分有形式の敷地利用権)として有している場合には、分離して処分することが可能とされています。このように、専有部分とそれに係る敷地利用権が分離して処分された場合、敷地利用権を有しない専有部分の所有者が出現する可能性があり、区分所有建物と敷地の権利関係が複雑になり、不動産に関する流動性に悪影響を与える可能性があります。
使用貸借権やそれに類似した利用権設定関係の合意は、区分所有法上、新たな区分所有建物の買受人等の特定承継人(当該敷地のみを譲り受けた第三者も含みます。)に対して効力を生じる(区分所有法第8条、第54条)合意とは解されない債権的合意であるため、理論上、特定承継人が合意の存在を無視して、敷地の一部の所有権(又は共有権)に基づき、その敷地を無償で利用している他の区分所有者に対して区分所有建物の明渡しを請求できないとは言い切れません。このような区分所有建物と敷地の関係を反映して、区分所有建物の場合には、不動産に関する流動性に悪影響を与える可能性があります。
さらに本投資法人の意向に関わりなく、他の区分所有者は自己の専有部分を原則として自由に賃貸その他使用収益することができ、他の区分所有者による使用収益の状況によって本投資法人が影響を受ける可能性があります。
(シ)借地権等に関するリスク a.借地権等に関するリスク
本投資法人は、敷地利用権(土地の賃借権、転借権等)と借地権設定地上の建物に投資することがありますが、このような物件は、土地建物ともに所有する場合に比べ、特有のリスクがあります。
まず、敷地利用権は、永久に存続するものではなく、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、又は普通借地権の場合は期限の到来時に借地権設定者側が更新を拒絶しかつ借地権設定者側に更新を拒絶する正当な事由がある場合には消滅します。また、借地権者側に地代不払等の債務不履行があれば解除により終了することもあります。借地権が消滅すれば、建物買取請求権が確保されている場合を除き、建物を取り壊して土地を返還しなければなりません。仮に、建物買取請求が認められても本投資法人が希望する価格で買い取られる保証はありません。
さらに、敷地が売却され、又は抵当権の実行により処分されることがありますが、この場合に、本投資法人が借地権について民法又は借地借家法等の法令に従い対抗要件を具備しておらず、又は競売等が先順位の対抗要件を具備した担保権の実行によるものである場合、本投資法人は、譲受人又は買受人に自己の借地権を主張できないこととなります。
また、借地権が土地の賃借権である場合には、これを取得し、又は譲渡する場合には、賃貸人の承諾が必要です。かかる承諾が速やかに得られる保証はなく、また、得られたとしても承諾料の支払を要求されることがあります。その結果、本投資法人が希望する時期及び条件で建物を処分することができないおそれがあります。また、本投資法人が借地権を取得するに際して保証金を差し入れた場合において、借地を明け渡す際に、敷地所有者の資力が保証金返還に足りないときは、保証金の全部又は一部の返還を受けられないおそれがあります。あるいは、敷地利用権の契約更新時に敷地の所有者へ更新料の支払を余儀なくされることがあります。
上記に加えて、建築基準法に基づく制度により、敷地利用権として隣接地等の余剰容積が移転されている場合があり(以下「空中権」といいます。)、借地権と同様に期間満了又は建物の滅失等により空中権が消滅する場合があります。
b.借家物件等に関するリスク
本投資法人は、建物(区分所有権等を含みます。)について建物の所有者(共有者等を含みます。)(以下本文節において「建物賃貸人等」といいます。)から賃借権その他の使用権の設定を受け、当該建物につき、本投資法人が直接若しくは信託受託者を通じて保有する建物の持分等と一体的に又は単独でテナントへ転貸することがあります。
この場合、テナントから収受する賃料の額が、本投資法人から建物賃貸人等へ支払う賃料相当額を下回る場合には、かかる差額相当分につき、本投資法人に損失が生じ、これらの結果、本投資法人が悪影響を受ける可能性があります。
また、建物賃貸人等から賃借権その他の使用権の設定を受けるにあたり、敷金及び保証金等を差し入れる場合があります。建物賃貸人等の資力の悪化や倒産等により、建物賃貸人等に差し入れた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない可能性があります。
加えて、民法上、本投資法人が建物賃貸人等との間で直接又は信託受託者を通じて締結した賃貸借契約が
何らかの理由により終了した場合、原則として、本投資法人又は当該信託受託者とテナントの間の転貸借契約も終了するとされているため、テナントから、転貸借契約の終了に伴い損害賠償請求等がなされる可能性がないとはいえません。
c.共同賃貸に関するリスク
本投資法人が直接又は信託受託者を通じて保有する建物の持分等と一体的に他の共有者等と共同でテナントへ賃貸することがあります。この場合、前記「(コ)共有物件に関するリスク」に記載のとおり、共有物に係る敷金返還債務が共有者間の不可分債権とされることがあります。そのため、共同賃貸人の資力の悪化や倒産等により、共同賃貸人に差し入れられた敷金及び保証金等の全額又は一部が返還されない場合には、本投資法人は、本投資法人の持分に対応する部分を超えてテナントに対してかかる返還を行うことを余儀なくされる可能性があり、その際、返還に応じた敷金等相当額を資力の悪化した共同賃貸人から回収できるとの保証はありません。
(ス)底地物件に関するリスク
本投資法人は、第三者が賃借してその上に建物を所有している土地、いわゆる底地を取得することがあります。借地権は、定期借地権の場合は借地契約に定める期限の到来により当然に消滅し、普通借地権の場合には期限到来時に本投資法人が更新を拒絶しかつ本投資法人に更新を拒絶する正当事由がある場合に限り消滅します。借地権が消滅する場合、本投資法人は借地権者より時価での建物買取を請求される場合があります(借地借家法第13条、借地法(大正10年法律第49号、その後の改正を含みます。)第4条)。普通借地権の場合、借地権の期限到来時に更新拒絶につき前記正当事由が認められるか否かを本投資法人の物件取得時に正確に予測することは不可能であり、借地権者より時価での建物買取を請求される場合においても、買取価格が本投資法人の希望する価格以下である保証はありません。
また、借地権者の財務状況が悪化した場合又は破産手続、再生手続若しくは更生手続その他の倒産手続の対象となった場合、借地契約に基づく土地の賃料の支払が滞る可能性があり、この延滞賃料の合計額が敷金及び保証金等で担保される範囲を超える場合は投資家に損害を与える可能性があります。借地契約では、多くの場合、賃料等の借地契約の内容について、定期的に見直しを行うこととされています。賃料の改定により賃料が減額された場合、投資家に損害を与える可能性があります。借地権者は借地借家法第11条に基づく土地の借賃の減額請求をすることができ、これにより、当該底地から得られる賃料収入が減少し、投資家に損害を与える可能性があります。
(セ)有害物質又は放射能汚染等に関するリスク
本投資法人が取得した土地について産業廃棄物やダイオキシン等の有害物質が埋設されている場合、当該土地及び建物の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。また、かかる有害物質を除去するために土壌の入替や洗浄等が必要となって予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。この点に関連して、土壌汚染対策法に規定する特定有害物質に係る一定の施設を設置していた場合や、土壌の特定有害物質による汚染により人の健康にかかる被害が生じる可能性があると認められる場合には、その土地の所有者、管理者又は占有者等は、かかる汚染の除去及び拡散の防止その他必要な措置を講じるよう命じられることがあります(土壌汚染対策法第7条)。このような場合に本投資法人に多額の負担が生じる可能性があります。もっとも、本投資法人は、かかる負担について、その原因となった者に対し費用償還を請求できる可能性がありますが、仮にかかる請求が可能な場合であっても、その者の財産状況が悪化しているような場合には、本投資法人の損害を回復することができない可能性があります。その結果、本投資法人が損害を受ける可能性があります。
また、本投資法人が取得した建物の建材等にアスベストその他の有害物質を含む建材等が使用されている場合若しくは使用されている可能性がある場合又はPCBが保管されている場合等には、状況によって当該建物及びその敷地の価値に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、かかる有害物質を除去するために建材等の全面的又は部分的交換や保管・撤去費用等が必要となり、予想外の費用や時間が必要となる可能性があります。なお、かかる有害物質によって第三者が損害を受けた場合には、不動産等の所有者は損害を賠償する義務を
負う可能性があります。その結果、本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
さらに、原子力発電所の事故等により、不動産等又はその所在周辺地域において、放射能汚染又は風評被害が発生し、当該地域における社会的ないし経済的活動が阻害され、その結果、当該不動産等の収益性やその価値が大幅に減少する可能性があります。その他、原子力発電所の事故処理に長期間を要することとなる場合、当該不動産等の所在する地域だけでなく、不動産市場や金融市場、さらには日本経済全体も影響を受けることとなり、それがひいては本投資法人の収益等に悪影響をもたらす可能性があります。
(ソ)不動産の所有者責任に関するリスク
本投資法人が保有する不動産等を原因として、第三者の生命、身体又は財産等を侵害した場合に、第一次的にはその占有者、そしてその占有者が損害の発生を防止するに必要な注意を行っていた場合には、その所有者が損害の賠償義務を負うため、結果的に本投資法人が予期せぬ損害を被る可能性があります(民法第717条)。
本投資法人は、その運用資産に関して原則として適切な保険を付保する予定ですが、不動産の個別事情により保険契約が締結されない場合、保険契約で支払われる上限額を上回る損害が発生した場合、受領した保険金をもってしても原状復旧ができない場合、原状復旧に時間を要する場合又は保険契約に基づく支払が保険会社により行われない又は支払が遅れる場合には、本投資法人は悪影響を受ける可能性があります。
(タ)転貸に係るリスク
a.転借人に係るリスク
本投資法人は、その保有する不動産等につき、転貸を目的として賃借人に一括して賃貸することがあります。このように、賃借人に不動産等の全部又は一部を転貸させる権限を与えた場合、本投資法人は、不動産等に入居するテナントを自己の意思により選択できなくなったり、退去させられなくなる可能性があります。また、賃借人の賃料が転借人から賃借人に対する賃料に連動する場合、転借人の信用状態等が、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.敷金等の返還義務に係るリスク
賃貸借契約が合意解約された場合その他一定の場合には賃貸人が転貸人の地位を承継し、転貸人の転借人に対する敷金等の返還義務が賃貸人に承継される可能性があります。
(チ)マスターリースに関するリスク
本投資法人は、賃貸する不動産をマスターリース会社に賃貸し、マスターリース会社が転貸人としてテナントに転貸する場合があります。本投資法人がマスターリース契約を締結する場合、テナント(マスターリースの場合、「テナント」とは実際の利用者(転借人)を指します。以下同じです。)は基本的にマスターリース会社の口座に賃料を入金することになりますが、このような場合、マスターリース会社の財務状態が悪化した結果、マスターリース会社がテナントから受領した賃料について、本投資法人への支払が滞る可能性があります。
また、マスターリース契約上、マスターリース会社の倒産や契約期間満了等によりマスターリース契約が終了した場合、本投資法人が所有者として、テナントとの間の転貸借契約及び旧マスターリース会社のテナントに対する権利及び義務等を承継することが必要となる場合があります。このような場合、本投資法人がテナントに対して、賃貸人たる地位を承継した旨を通知する前に、テナントが旧マスターリース会社に賃料等を支払った場合、本投資法人はテナントに対して賃料請求ができないおそれがあり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ツ)次世代アセット・プラス(有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテル)に対する投資の特性及びテナント(オペレーター)に関するリスク
a.有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテルのオペレーターに関するリスク
本投資法人が投資する次世代アセット・プラスのうち、有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテルは、テナントがオペレーターとして一定のサービスを提供します。そこで、業法規制・ノウハウ・財務体質等の各種要請から、テナント候補となりうる事業体は限定されることとなります。したがって、テナントによる運営管理が適切に行われなかった場合又はテナントに一定の交代事由が生じた場合であっても、機動的にテナント交代ができず、結果的に、当該物件及び本投資法人のレピュテーションを損ない、ひいては、本投資法人の収益及び市場価格に悪影響を及ぼすおそれがあります。また、必要に応じて取得時及び取得後も定期・不定期にテナントの事業及び財務に係るデューディリジェンスを実施しますが、テナントの協力が得られない場合やテナントから入手した運営状況等の情報が不正確な場合があり、その結果、テナントの運営状況の把握が困難となり、本投資法人の収益及び当該物件の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
他方で、次世代アセット・プラスのうち、有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテルは原則としてテナントと長期の賃貸借契約を締結するため、退去する可能性は比較的低いと考えられますが、万一退去
した場合には、賃貸面積が広いこと、テナント向けの個別仕様の物件が多いこと及び代替テナントとなりうる者が限定されていることから、代替テナントが入居するまでの空室期間が長期化する可能性があります。その結果、当該物件の稼働率が大きく低下すること、あるいは代替テナント確保のために賃料水準を引き下げざるを得なくなること等賃貸借契約の条件が不利となることがあり、本投資法人の収益及び当該物件の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は、本書提出日現在の有料老人ホームの介護事業者の財務基盤、実績、業容、社内態勢等に鑑み、当面、バックアップオペレーターを選任し、介護事業者の運営に係るバックアップをあらかじめ用意すべきとの必要性は低いものと考えています。しかしながら、オペレーターの業務運営に支障が生じた場合、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
b.物件の汎用性に関するリスク等
次世代アセット・プラスのうち、有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテルは、建物の構造、間取り、付帯施設、立地、建築基準法による用途制限等の点で、テナント又はオペレーターのニーズに応じて、その業務特性を反映した建物の構造や設備を有することが一般的です。したがって、将来テナントやオペレーターが退去した際には、その建物を、オフィスや住居等の用途に容易に転用が可能でないことが一般的です。したがって、次世代アセット・プラスのうち、有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテルの用途の変更には、多額の費用が掛かり、又は転用自体が困難な場合があり、また、用途が限定されることで購入先が限られて想定した価格で売却できない可能性があります。その結果、本投資法人の収益等が悪影響を受ける可能性があります。
なお、本書提出日現在、有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテルのほか、オフィス、商業施設、有料老人ホーム、ネットワークセンター及びホテル以外で、将来にわたって堅実な需要が見込まれ長期的に安定した収益の獲得や、中長期的な投資主価値の最大化に資すると本投資法人が判断する資産を次世代アセット・プラスと位置づけていますが、将来において、社会的ニーズの高まりがあると本投資法人が判断する場合には、次世代アセット・プラスの具体的範囲は拡大し又は変化することがあります。
c.有料老人ホームに係る入居一時金に関するリスク
有料老人ホームにおいては、介護事業者は入居者から一定の入居一時金を収受する場合があり、入居一時金は有料老人ホーム毎に決められている償却期間・償却率によって償却され、入居者が償却期間内に退去する場合には、残存額が返還されることになります。本投資法人は、有料老人ホームを保有し介護事業者に賃貸する形式で運用を行っているため、有料老人ホームの物件を取得するに際し、入居契約及び入居一時金の返還債務を承継することは想定されません。したがって、有料老人ホームは介護事業者により管理されることとなりますが、介護事業者の事業内容及び財務内容が悪化した場合において、入居者が介護事業者に対してのみならず、本投資法人に対しても入居一時金残額の返還を求める等、本投資法人としては、法的には許容できない対応を求めてこないとの保証はありません。
d.有料老人ホームに係る制度改正に関するリスク
有料老人ホームに関連する法令、ガイドラインの改正や介護保険等の制度改正等が有料老人ホームの運営や競争環境に影響を及ぼし、本投資法人が保有する施設の収益に影響を及ぼし、ひいては当該施設の資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
e.テナント(オペレーター)が行うホテル営業に関するリスク
本資産運用会社は、その社内規程である運用ガイドラインにおいて「ホテル」を次世代アセット・プラスの一つとして位置づけています。
ホテルからの賃料収入はテナント(オペレーター)が行うホテルの営業収益に依拠しており、不動産運用収入がホテル賃借人やホテル運営受託者のホテル運営(さらにホテル賃借人やホテル運営受託者によるホテル運営がホテル運営支援会社のノウハウ等)に依拠している場合があり、それらの運営能力如何による影響を受けることがあるほか、賃料の支払の安定性、特にホテルの収益等に応じた変動賃料を設定した賃貸借契約の場合にはその変動賃料部分については、運用資産からのホテル収益に大きく左右されます。
ホテル事業は、主として宿泊売上に依存しており、不定期顧客との随意かつ一時契約による営業がその大部分を占めます。特に、ホテル収益に関しては過去における収益状況と将来の収益状況が異なる可能性が比較的高いといえます。
また、一般的にホテル事業は労働集約的・資本集約的な事業であることから、固定費負担が重く損益分岐点が高いため、売上上昇時の収益性の向上が見込みやすい反面、売上減の場合の利益落ち込みのリスクが比較的高いといえます。
海外旅行を含む、観光地間の競争や、同地域内におけるホテル間の競争は激しく、新規に開業するホテル
との競争を含め、ホテル業界は競争による影響を強く受けます。
ホテル業界は、国内外の経済、景気、市場動向といった一般景気変動の影響を強く受けるほか、ビジネス顧客の動向、立地周辺の観光施設やイベントの状況等にも左右される観光客の動向の影響を強く受けます。また、消費者の消費性向を含むライフスタイルの変化や、消費者の嗜好性の変化による影響を受ける可能性があります。
戦争やテロなどの不安定な社会情勢を含むカントリーリスク、地震や風水害など不測の自然災害、伝染病・疫病の国内外における流行のほか、公共交通事業者のストライキ等といったトラブルや、交通運賃の上昇、天候不順などの外的要因により、ホテル業界は長期間にわたり悪影響を受ける可能性があります。
f.ホテル施設及び設備等の維持に関するリスク
ホテルでは、固定資産に区分される建物、付属設備等だけでなく、FF&E(Furniture, Fixture& Equipment)と呼ばれる家具、什器、備品、装飾品及び厨房機器等の償却資産についても、その定期的な更新投資がホテルの競争力維持のために不可欠となります。また、ホテルにはトータルのグレードとイメージがあり、これを維持するために相応の資本的支出が求められる場合があります。
施設及び設備の運営維持費、並びにその更新投資の負担がホテルの売上等に比べ過大な場合、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があり、また、施設及び設備の更新投資がホテルの売上又はホテル収益の増加につながらず、期待どおりの効果が得られない場合があります。また、テナントが運営維持費や更新投資を負担する場合であっても、当該ホテルのテナントがグレード等維持のために必要な施設維持運営費を負担しない場合、ホテルの資産価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
(テ)将来における法令等の改正に関するリスク
消防法(昭和23年法律第186号、その後の改正を含みます。)等その他不動産の建築・運営・管理に影響する関係法令や条例の改正等により、不動産等の管理費用等が増加する可能性があります。また、建築基準法、都市計画法、大規模小売店舗立地法(平成10年法律第91号、その後の改正を含みます。)等の行政法規の改正等、新たな法令等の制定及びその改廃、又は、収用、再開発、区画整理等の事業により、不動産等に関する権利が制限される可能性があります。さらに、エネルギーや温室効果ガス削減を目的とした法令、条例等の、将来環境保護を目的とする法令等が制定・施行され、追加的な費用負担が発生したり、大気、土壌、地下水等の汚染に係る調査義務、除去義務、損害賠償義務、所有者としての無過失責任等が課されたりする可能性があります。
(ト)テナントによる不動産の使用に基づく価値減損に関するリスク
テナントによる不動産等の利用状況により、当該不動産等の法令等への適合性に問題が生じ、又は当該不動産等の資産価値や、本投資法人の収益に悪影響が及ぶ可能性があります。また、テナントの属性によっては、運用資産である不動産等のテナント属性が悪化し、これに起因して建物全体の賃料水準が低下する可能性があります。
なお、本投資法人は、かかるリスクを低減するため、PM会社を通じてテナントの不動産等の利用状況の調査を行っていますが、個々のテナントの利用状況を完全に監督できる保証はなく、また、本投資法人の承諾なしにテナントによる転貸借や賃借権の譲渡がなされるおそれもあり、かかるリスクが現実化しないという保証はありません。
(ナ)売主の倒産等の影響に関するリスク
一般に、不動産等を売却した後に売主が倒産手続に入った場合、当該不動産等の売買又は売買についての対抗要件具備が当該売主の管財人により否認される可能性があります。また、財産状態が健全でない売主が不動産等を売却した場合、当該不動産等の売買が当該売主の債権者により詐害行為を理由に取り消される可能性があります。
上記否認の問題は、売主の前所有者(本投資法人から見て前々所有者等)が倒産した場合にも生じ得ます。すなわち、本投資法人が、不動産等を取得した際に、前所有者である売主が前々所有者から否認を主張される原因があることを認識していた場合には、かかる否認の効力が転得者である投資法人にも及ぶことになります
(破産法第170条、会社更生法第93条、民事再生法第134条)。
また、売買取引を担保付融資取引であると法的に性格づけることにより、依然としてその目的物が売主(又は倒産手続における管財人ないし財団)に属すると解される可能性があり、特に担保権の行使に対する制約が、破産手続等に比較して相対的に大きい会社更生手続においては深刻な問題となり得ます。
(ニ)開発物件に関するリスク
本投資法人は、建物竣工を条件として竣工前の物件の購入につき合意する場合があり、竣工を条件として予め開発段階で売買契約を締結する場合には、既に竣工済みの物件を取得する場合に比べて、次のようなリスクが加わります。
a.開発途中において、災害等により、又は工事における事故その他の予期し難い事由の発生により、あるいは地中障害物、埋蔵文化財若しくは土壌汚染等の発見により、開発が遅延、変更又は中止されるリスク
b.工事請負業者の倒産若しくは請負契約の不履行により、又は行政上の許認可手続の遅延等により、開発が遅延、変更又は中止されるリスク
c.竣工後のテナントの確保が当初の期待を下回り、見込みどおりの賃貸事業収入を得られないリスク d.上記の事由その他により開発コストが当初の予想を大幅に上回り、又はその他予期せぬ事情により開
発が遅延、変更若しくは中止されるリスク
上記のリスクが顕在化した場合には、開発物件からの収益等が本投資法人の予想を大きく下回る可能性があります。また、予定された時期に物件の引渡しを受けられないおそれや予定どおりの収益をあげられないおそれがあります。さらに、予定外の費用や損失を本投資法人が被る可能性があり、その結果、本投資法人の収益等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、本投資法人は法令及び規約に従い、建物の増築、建替えその他開発行為を行うことがあります。この場合、建物竣工を条件として竣工前の物件を購入する場合に想定される上記の開発リスク類似のリスクが生じることがあります。
(ヌ)資産の組入れ・譲渡等に関するリスク
本投資法人は、その資産ポートフォリオの拡大(すなわち外部成長)とその収益の拡大ないし質の向上(すなわち内部成長)を目指して活動しており、常に新たな資産取得に向けた市場調査や物件情報の入手に努め、また、潜在的な売主又は買主や関係権利者との間での物件取得又は譲渡に向けた検討や交渉等も行っており、したがって、今後、本書に記載された資産以外の新たな資産の取得を決定し、あるいは物件の売却や交換のほか、新たな資産取得又は譲渡に向けたその他の手法を利用する可能性があります。その際、資産取得又は譲渡の決定は、本書提出日から間もない時点で適時開示により公表される場合もありえます。
実際に物件取得を行う旨合意し適時開示を行った場合にも、内装工事や修繕、物件の特性、売主その他の権利者との協議の結果として、実際の引渡し・資産運用の開始までに一定期間を要することがあり、その他、売主との間で締結した不動産又は信託受益権の売買契約において定められた一定の条件が成就しない等又はその他の理由により、取得を決定した資産を予定した期日に取得することができない場合があります。物件取得の合意から引渡しまでの間に、経済環境が著しく変動した場合等においては、当該資産を購入することができないおそれも否定できません。それらの結果、本投資法人は、取得を決定した資産につき、予定した収益を上げることが困難となるおそれがあります。
(ネ)フォワード・コミットメント等に関するリスク
本投資法人は、不動産等の取得にあたって、先日付での売買契約であって、契約締結日から1ヶ月以上経過した後に決済・物件引渡しを行うこととしているもの及びその他これに類する契約(以下「フォワード・コミットメント」といいます。)を締結することがあります。フォワード・コミットメントは、契約締結から決済までに一定の期間があることから、その間の経済環境の変化等により決済のための資金が調達できず、不動産等を取得できない可能性があります。また、本投資法人側の理由により物件の取得を中止した場合には、違約金や損害賠償義務等を負担する可能性もあります。これらの結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ノ)敷金・保証金の利用に関するリスク
本投資法人は、不動産等のテナントが賃貸人に対し無利息又は低利で預託した敷金又は保証金を運用資産の取得資金の一部として利用する場合があります。しかし、テナントとの交渉等により、本投資法人の想定よりもテナントからの敷金及び保証金の預託額が少なくなり、又は賃貸借契約の中途解約により、預託期間が短くなる可能性があります。この場合、必要な資金を借入れ等により調達せざるを得なくなり、その結果、本投資法人の収益に悪影響をもたらす可能性があります。
(ハ)地球温暖化対策に係るリスク
現在及び将来において、法令や条約等により、地球温暖化対策として、一定の不動産等の所有者や利用者に温室効果ガス排出に関する報告や排出量制限の義務が課されることがあり、またその規制が今後さらに強化される可能性があります。これらの規制の結果、テナントの事業が制約され又は費用等の負担が増す可能性があるほか、本投資法人の保有する建物の改修や施設拡充を実施したり、排出権や再エネクレジットを取得する等の負担につながるおそれもあります。これらの場合、本投資法人の収益は悪影響を受けるおそれがあります。
④ 投資法人の運用資産:信託の受益権特有のリスク
本投資法人が、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、以下のような信託の受益権特有のリスクがあります。
なお、以下、2007年9月30日施行の信託法(平成18年法律第108号、その後の改正を含みます。)を「新信託法」といい、同日施行の信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成18年法律第109号、その後の改正を含みます。以下「信託法整備法」といいます。)による改正前の信託法(大正11年法律第62号、その後の改正を含みます。)を「旧信託法」といい、信託契約に別段の定めがない限り、2007年9月30日より前に効力を生じた信託契約については、信託財産についての対抗要件に関する事項を除き、旧信託法が適用されます(信託法整備法第2条)。
(ア)信託受益者として負うリスク
信託受益者とは信託の利益を享受するものですが、他方で、旧信託法の下では、受託者が信託事務の処理上発生した信託財産に関する租税、受託者の報酬、信託財産に瑕疵があることを原因として第三者が損害を被った場合の賠償費用等の信託費用については、最終的に受益者が負担することになっています(旧信託法第36条第2項)。すなわち、信託受託者が信託財産としての不動産を所有し管理するのは受益者のためであり、その経済的利益と損失は、最終的には全て受益者に帰属することになります。したがって、本投資法人が不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を取得する場合には、信託財産に関する十分なデューディリジェンスを実施し、保険金支払能力に優れる保険会社を保険者、受託者を被保険者とする損害保険を付保すること等、本投資法人自ら不動産を取得する場合と同等の注意をもって取得する必要があり、一旦不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する信託の受益権を保有するに至った場合には、信託受託者を介して、原資産が不動産である場合と実質的にほぼ同じリスクを受益者たる本投資法人が負担することになり、その結果、本投資法人の収益又は存続に悪影響を及ぼすおそれがあります。新信託法の下では、旧信託法第36条第2項が廃止され、原則として信託受益者がこのような責任を負うことはなくなりましたが、信託受益者と信託受託者の間で信託費用等に関し別途の合意をした場合には、当該合意に従い信託受益者に対し信託受託者から信託費用等の請求がなされることがあり(新信託法第48条第5項、第54条第4項)、その場合には同様に本投資法人の収益等に悪影響が生じる可能性があります。
(イ)信託受益権の流動性に関するリスク
本投資法人が信託受益権を保有し、信託受託者を通じて信託財産としての不動産を処分する場合には、既に述べた不動産の流動性リスクが存在します。また、信託受益権を譲渡しようとする場合には、信託受託者の承諾を契約上要求されるのが通常です。さらに、不動産、不動産の賃借権又は地上権を信託する場合の信託受益権については金融商品取引法上の有価証券とみなされますが、譲渡に際しては債権譲渡と同様の譲渡方法によるため(新信託法第94条)、株券や社債券のような典型的な有価証券ほどの流動性があるわけではありません。また、信託受託者は原則として瑕疵担保責任又は契約不適合による担保責任を負っての信託不動産の売却を行わないため、本投資法人の意思にかかわらず信託財産である不動産の売却ができなくなる可能性があります。
(ウ)信託受託者に関するリスク a.信託受託者の破産・会社更生等に関するリスク
信託法上、受託者が倒産手続の対象となった場合に、信託財産が破産財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に属するか否かに関しては、旧信託法の下では、明文の規定はないものの、同法の諸規定、とりわけ信託財産の独立性という観点から、登記等の対抗要件を具備している限り、信託財産が受託者の破産
財団又は更生会社の財産その他受託者の固有財産に帰属するリスクは極めて低いと判断されます。新信託法においては、信託財産は信託受託者の固有財産に属しない旨が明文で規定されています(新信託法第25条第
1項、第4項及び第7項)。但し、信託財産であることを破産管財人等の第三者に対抗するためには、信託された不動産に信託設定登記をする必要がありますので、不動産を信託する信託の受益権については、この信託設定登記がなされるものに限り本投資法人は取得することとしています。しかしながら、必ずこのような取扱いがなされるとの保証はありません。
b.信託受託者の債務負担に伴うリスク
信託財産の受託者が、信託目的に反して信託財産である不動産を処分した場合、あるいは信託財産である不動産を引当てとして、何らかの債務を負うことにより、不動産を信託する信託の受益権を財産とする本投資法人が不測の損害を被る可能性があります。かかるリスクに備え、旧信託法及び新信託法は信託の本旨に反した信託財産の処分行為の取消権を受益者に認めていますが、本投資法人は、常にかかる権利の行使により損害を免れることができるとは限りません。
(エ)信託受益権の準共有等に関するリスク
信託受益権が準共有されている場合、単独で保有する場合には存在しない種々の問題が生じる可能性があります。旧信託法の下では所有権以外の財産権の準共有については、所有権の共有に関する規定が可能な限り準用されます(民法第264条)。新信託法の下では信託受益者が複数の場合の意思決定の方法に関する明文規定があり(新信託法第105条以下)、信託受益権が準共有されている場合にもかかる規定の適用があるものと解されるため、所有権の共有に関する民法の規定に優先してかかる規定がまず適用されます。
旧信託法の下では、準共有者間で別段の定めをした場合を除き、準共有されている信託受益権の変更に当たる行為には準共有者全員の合意を要し(民法第251条)、変更に当たらない管理は、準共有者の準共有持分の過半数で決定する(民法第252条)ものと考えられます。したがって、特に本投資法人が準共有持分の過半数を有していない場合には、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
一方、新信託法の下では、信託契約において意思決定の方法が定められていない場合、一定の行為を除き、準共有者の全員一致によることになるものと解されます(新信託法第105条第1項本文)。この場合には、他の準共有者全員が承諾しない限り、当該不動産の管理及び運営についての信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができないこととなります。また、信託契約において別の意思決定の方法が定められている場合でも、当該方法が本投資法人の意向を反映するような形で定められているとは限らず、同様に信託受益者の指図に本投資法人の意向を反映させることができない可能性があります。
準共有持分の処分については、旧信託法及び新信託法いずれの下でも、準共有者は、信託受託者の承諾を得ることを条件として、自己の準共有持分を自己の判断で処分することができます。したがって、本投資法人の意向にかかわりなく他の準共有者が変更される可能性があります。準共有者の間において信託契約とは別の協定書等において、準共有者が準共有持分を処分する場合に他の準共有者に先買権若しくは優先交渉権を与え、又は一定の手続の履践義務等が課されることがあります。この場合は、本投資法人の知らない間に他の準共有者が変動するリスクは減少しますが、本投資法人がその準共有持分を処分する際に制約を受けることになります。
信託受益権の準共有者が信託受託者に対して有する信託交付金の請求権及び信託受託者に対して負担する信託費用等の支払義務は、別段の合意のない限り、準共有される財産に関する債権債務として不可分債権及び不可分債務であると一般的には解されています。したがって、他の準共有者の債権者が当該準共有者の準共有持分の割合を超えて信託交付金請求権全部を差し押さえ、又は他の準共有者が信託受託者からの信託費用等の請求をその準共有持分の割合に応じて履行しない場合に、本投資法人が請求された全額を支払わざるを得なくなる可能性があります。不動産自体が共有されている場合と同様、これらの場合、本投資法人は、差し押さえられた信託交付金請求権のうち自己の準共有持分に応じた金額の支払や支払った信託費用等のうち他の準共有者の準共有持分に応じた金額の償還を当該他の準共有者に請求することができますが、当該他の準共有者の資力の如何によっては、支払又は償還を受けることができない可能性があります。
⑤ 匿名組合出資持分への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、不動産に関する匿名組合出資持分への投資を行うことがあります。本投資法人が出資する匿名組合では、本投資法人の出資を営業者が不動産等に投資しますが、当該不動産等に係る収益が悪化した場合、当該不動産等の価値が下落した場合や匿名組合に係る不動産等が想定した価格で売却できない場
合等には、当該匿名組合出資持分より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により損害を被る可能性があります。また、匿名組合出資持分については契約上譲渡が禁止若しくは制限されている場合があり、又は、確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、本投資法人が譲渡を意図しても、適切な時期及び価格で譲渡することが困難な場合があります。また、匿名組合出資持分への投資は、営業者が開発する新規物件に係る優先交渉権の取得を目的として行われることがありますが、かかる優先交渉権により当該新規物件を取得できる保証はありません。
⑥ 特定目的会社の優先出資証券への投資に関するリスク
本投資法人はその規約に基づき、資産流動化法に基づく特定目的会社がその資産の2分の1を超える額を不動産等に投資することを目的とする場合、その優先出資証券への投資を行うことがあります。かかる優先出資証券への投資を行う場合にも、本投資法人は、税法上の導管性要件(後記「⑨税制に関するリスク/(ア)導管性要件に関するリスク」をご参照ください。)に抵触することなく保有する意向です。また、規約に基づき中長期の安定運用を目標としているため、取得した優先出資証券につき短期間でその売却を行うことは意図していません。但し、売却する方が本投資法人にとってより経済的な合理性があると判断される場合、その売却を行うことがあります。
しかしながら、優先出資証券については確立された流通市場が存在しないため、その流動性が低く、したがって売却を意図してもその売却が困難な場合があり、又は、予定より低い価額での売買を余儀なくされる可能性があります。また、特定目的会社の投資する不動産に関する収益が悪化した場合や当該不動産の価値が下落した場合又は特定目的会社の開発する不動産が予想した価格で売却できない場合、さらには導管体である特定目的会社において意図されない課税が生じた場合等には、当該特定目的会社の発行する優先出資証券に投資した本投資法人が当該優先出資証券より得られる運用益や分配される残余財産の減少等により損害を被るおそれがあります。また、優先出資証券の発行をした特定目的会社が自ら土地又は土地の賃借権を取得してその上に建物を建築する場合もあり、そのような場合には、前記「③投資法人の運用資産:原資産である不動産特有のリスク/(ニ)開発物件に関するリスク」に記載のリスクがあります。
⑦ 減損会計の適用に関するリスク
固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成 15年10月31日)が、2005年4月1日以後開始する事業年度より強制適用されることになったことに伴い、本投資法人においても第1期営業期間より「減損会計」が適用されています。「減損会計」とは、主として土地・建物等の事業用不動産について、収益性の低下により投資額を回収する見込みが立たなくなった場合に、一定の条件のもとで回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理のことをいいます。
今後の不動産市場の動向及び運用資産の収益状況等によっては、会計上減損損失が発生し、本投資法人の財務状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 一時差異等調整引当額の戻入れにより利益の分配が減少するリスク
本投資法人が貸借対照表の純資産の部に一時差異等調整引当額を計上している場合、一時差異等調整引当額の計上は、会計と税務における損益の認識のタイミングの調整のために行われるものであるため、当該引当額の計上に起因した税会不一致が解消したタイミングでその戻入れが求められます。当該戻入れは本投資法人の利益をもって行われることから、当期未処分利益が一時差異等調整引当額の戻入れに充当される結果、分配可能金額が減少する可能性があります。
なお、純資産控除項目(主に繰延ヘッジ損益のマイナス)に起因する一時差異等調整引当額に関しては、その戻入れの原資となる利益が過年度から繰り越されるため、当該戻入れによって当期の利益に対応する利益分配金が減少することはありません。
⑨ 税制に関するリスク
(ア)導管性要件に関するリスク
税法上、投資法人に関する課税の特例規定により、一定の要件(導管性要件)を満たした投資法人に対しては、投資法人と投資主との間の二重課税を排除するため、利益の配当等を投資法人の損金に算入することが認められています。
投資法人の主な導管性要件 | |
支払配当要件 | 配当等の額が配当可能利益の額の90%超であること (利益を超えた金銭の分配を行った場合には、金銭の分配の額が配当可能額の 90%超であること) |
国内50%超募集要件 | 投資法人規約において、投資口の発行価額の総額のうちに国内において募集される投資口の発行価額の占める割合が50%を超える旨の記載又は記録があるこ と |
借入先要件 | 機関投資家(租税特別措置法第67条の15第1項第1号ロ(2)に規定するものをいいます。次の所有先要件において同じです。)以外の者から借入れを行っ ていないこと |
所有先要件 | 事業年度の終了の時において、発行済投資口が50人以上の者によって所有され ていること又は機関投資家のみによって所有されていること |
非同族会社要件 | 事業年度の終了の時において、投資主の1人及びその特殊関係者により発行済投資口の総口数あるいは議決権総数の50%超を保有されている同族会社に該当 していないこと |
会社支配禁止要件 | 他の法人の株式又は出資の50%以上を有していないこと(匿名組合出資を含 み、一定の海外子会社の株式又は出資を除きます。) |
本投資法人は、導管性要件を満たすよう努める予定ですが、今後、下記に記載した要因又はその他の要因により導管性要件を満たすことができない可能性があります。本投資法人が導管性要件を満たすことができなかった場合、利益の配当等を損金算入することができなくなり、本投資法人の税負担が増大する結果、投資主への分配金額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
a.会計処理と税務処理との不一致によるリスク
会計処理と税務処理との不一致(税会不一致)が生じた場合、会計上発生した費用・損失について、税務上その全部又は一部を損金に算入することができない等の理由により、法人税等の税負担が発生し、配当の原資となる会計上の利益は減少します。支払配当要件における配当可能利益の額(又は配当可能額)は会計上の税引前利益に基づき算定されることから、多額の法人税額が発生した場合には、配当可能利益の額の90%超の配当(又は配当可能額の90%超の金銭分配)ができず、支払配当要件を満たすことが困難となる可能性があります。なお、2015年度税制改正により、交際費、寄附金、法人税等を除く税会不一致に対しては、一時差異等調整引当額の分配により法人税額の発生を抑えることができるようになりましたが、本投資法人の過去の事業年度に対する更正処分等により多額の追徴税額(過年度法人税等)が発生した場合には、法人税等は一時差異等調整引当額の対象にならないため、支払配当要件を満たすことができないリスクは残ります。
b.資金不足により計上された利益の配当等の金額が制限されるリスク
借入先要件に基づく借入先等の制限や資産の処分の遅延等により機動的な資金調達ができない場合には、配当の原資となる資金の不足により支払配当要件を満たせない可能性があります。
c.借入先要件に関するリスク
本投資法人が何らかの理由により機関投資家以外からの借入れを行わざるを得ない場合又は本投資法人の既存借入金に関する貸付債権が機関投資家以外に譲渡された場合、あるいはこの要件の下における借入金の定義が税法上において明確ではないためテナント等からの預り金等が借入金に該当すると解釈された場合においては、借入先要件を満たせなくなる可能性があります。
d.投資主の異動について本投資法人のコントロールが及ばないリスク
本投資口が市場で流通することにより、本投資法人のコントロールの及ばないところで、所有先要件あるいは非同族会社要件が満たされなくなる可能性があります。
(イ)税務調査等による更正処分のため、導管性要件が事後的に満たされなくなるリスク
本投資法人に対して税務調査が行われ、導管性要件に関する取扱いに関して、税務当局との見解の相違により更正処分を受け、過年度における導管性要件が事後的に満たされなくなる可能性があります。このような場合には、本投資法人が過年度において行った利益の配当等の損金算入が否認される結果、本投資法人の税負担が増大し、投資主への分配金額等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(ウ)不動産の取得に伴う軽減税制が適用されないリスク
本投資法人は、規約において、特定不動産(不動産、不動産の賃借権若しくは地上権又は不動産の所有権、土地の賃借権若しくは地上権を信託する信託の受益権をいいます。)の価額の合計額の本投資法人の有する特定資産の価額の合計額に占める割合を100分の75以上とすること(規約第28条第5項)としています。本投資法人は、上記内容の投資方針を規約に定めること、及びその他の税法上の要件を充足することを前提として、直接に不動産を取得する場合の不動産流通税(登録免許税及び不動産取得税)の軽減措置の適用を受けることができると考えています。しかし、本投資法人がかかる軽減措置の要件を満たすことができない場合、又は軽減措置の要件が変更された場合には、軽減措置の適用を受けることができない可能性があります。
(エ)一般的な税制の変更に関するリスク
不動産、不動産信託受益権その他本投資法人の資産に関する税制若しくは本投資法人に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、公租公課の負担が増大し、その結果、本投資法人の収益に悪影響を及ぼす可能性があります。また、投資口に係る利益の配当、資本の払戻し、譲渡等に関する税制又はかかる税制に関する解釈・運用・取扱いが変更された場合、本投資口の保有又は売却による投資主の手取金の額が減少し、又は税務申告等の税務上の手続面での負担が投資主に生じる可能性があります。
⑩ その他
感染症の拡大、自然災害等に関するリスク
感染病が発生し、それが拡大及び長期化した場合には、外出機会や交流機会の減少に伴う様々な社会活動及び経済活動への悪影響が生じる可能性があります。ホテル及び商業施設においては、感染症の拡大や長期化による売上げ低迷に伴い、テナントからの賃料支払いが停滞し又は賃料減額請求が行われる可能性がありえるほか、テナント退去に伴う空室リスクが顕在化するおそれもあります。その結果、本投資法人の財務状態及び経営成績に悪影響が出る可能性があります。
また、上記の他、一般に、自然災害や感染症等のリスク、更には昨今の気候変動などに伴う自然災害の大規模化等を本投資法人のみで回避することは困難であり、これら感染症の拡大や自然災害等による損害が発生した場合には、本投資法人の財務状態及び経営成績に多大な悪影響が発生する可能性があります。
(2) リスクに対する管理体制
本投資法人は、前記に記載した各々のリスクに関し、本投資法人自らが投信法及び関連法規に定められた規則を遵守するとともに、本資産運用会社において適切な社内規程の整備を行い、併せて必要な組織体制を敷き、役職員に対する遵法精神を高めるための教育等の対策を講じています。
具体的な取り組みは、以下のとおりです。
(ア)投資法人について
本投資法人は、執行役員1名及び監督役員2名(注)により構成される役員会により運営されています。役員会は3ヶ月に一度以上、必要に応じて随時開催され、法令及び本投資法人の「役員会規程」に定める決議事項の決議や本資産運用会社及び本投資法人の執行役員の業務の執行状況等の報告が行われます。これにより、本資産運用会社又はその利害関係人等から独立した地位にある監督役員が業務の執行状況を監督できる体制となっています。
また、監督役員は必要に応じて本資産運用会社及び資産保管会社等から本投資法人の業務及び財産の状況に関する報告を求め、又は必要な調査を行うことができるものとされています。
そして、本投資法人は、「内部者取引管理規程」を制定し、本投資法人の役員によるインサイダー取引の防止に努めています。同規程では、本投資法人の役員は、本投資法人の発行する投資口及び投資法人債について、原則として売買等を行ってはならないものとされ、本投資法人の役員でなくなった後も1年間は、同規程の定めに従わなければならないものとされています。但し、一定の要件を満たす持投資口会を通じて一定の計画に従い継続的に上場投資法人の投資口の買付けを行う場合は、インサイダー取引規制の例外とされており
(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第59条第1項第8号の2)、同規程上も、本持投資口会を通じて、本投資法人の役員が本持投資口会の定める規約その他の運営細則に従い本投資法人の投資口の買付けを行うことが認められています。本投資口会の詳細については、上記「1 投資法人の概況/(7)資産運用会社従業員等投資口所有制度の内容」をご参照ください。
(注)本投資法人は、2023年4月13日開催の役員会において、2023年5月24日開催予定の第6回投資主総会に2023年6月1日付で監督役員3名を選任する旨の議案を付議することを決定しました。
(イ)資産運用会社について
本資産運用会社は、各種リスクを適切に管理するために、社内規程として「リスク管理規程」を制定し、重大なリスクが生じた場合には、遅滞なく取締役会に報告する旨定めています。
加えて、利益相反リスクに対しては、本投資法人の利益が害されることを防止するために、「利害関係者取引規程」を制定し、厳格な利益相反対応ルールを設定しています。
また、本資産運用会社は、コンプライアンスに関して、法令等遵守の徹底を図るため、「コンプライアンス規程」及び「コンプライアンス・マニュアル」を制定するとともに、具体的な法令等遵守を実現させるための実践計画である「コンプライアンス・プログラム」を策定し、これに従って法令等遵守の実践に努めます。
さらに、本資産運用会社は、業務の適正性の確保と効率的運営を図るため、「内部監査規程」を制定し、適切な自己点検制度の確立を図っています。
そして、本資産運用会社は、「インサイダー取引防止規程」を制定し、本資産運用会社の役員及び従業員その他本資産運用会社の業務に従事する全ての者(以下「役職員等」といいます。)によるインサイダー取引の防止に努めています。同規程では、本資産運用会社の役職員等は、本投資法人の発行する投資口及び投資法人債について、原則として売買等を行ってはならないものとされ、本資産運用会社の役職員等でなくなった後も
1年間は、同規程の定めに従わなければならないものとされています。但し、一定の要件を満たす持投資口会を通じて一定の計画に従い継続的に上場投資法人の投資口の買付けを行う場合は、インサイダー取引規制の例外とされており(有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第59条第1項第8号の2)、同規程上も、本持投資口会を通じて、本資産運用会社の役職員等が本持投資口会の定める規約その他の運営細則に従い本投資法人の投資口の買付けを行うことが認められています。本投資口会の詳細については、上記「1 投資法人の概況
/(7)資産運用会社従業員等投資口所有制度の内容」をご参照ください。
以上のように、本投資法人及び本資産運用会社は投資リスクに関する管理体制を整備していますが、このような体制が常に有効に機能する保証はありません。管理体制が有効に機能しないことによりリスクが顕在化した場合、本投資法人又は投資家に損失が生じるおそれがあります。