保全管理命令. 破産手続開始の申立て後まもなく保全管理命令が発せられることがある。これは,破産手続開始決定までの間に,将来破産財団となるべき財産の管理を保全管理人に命じる裁判所の命令である。保全管理命令は,債務者が法人である場合にのみ,法人自身の手による財産の管理及び処分が失当であるときに限り発せられる。保全管理命令の有効期間は破産手続開始決定までである(91条1項)。本来,破産手続開始の申立てがなされても,裁判所が未だ破産手続開始決定をしていない以上,債務者の財産の管理処分権は債務者にあるはずであるが,保全管理命令が発せられると,その時点から,債務者の財産の管理処分権は債務者から奪われて保全管理人に与えられる(93条1項本文)。保全管理人は言わば破産管財人の先取りの機関である。