岡山県ベトナムビジネスサポートデスク(I-GLOCAL Lam Yen Linh)
ベトナムにおける労働契約書の締結・修正・補則及び解除に関する留意点
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1. はじめに
労働契約とは、労働条件、労使関係における当事者各々の権利と義務に関する被雇用者と雇用者との間の合意である。労働契約の内容については、労働法、集団労働協定約及び社会道徳に違反していないことを前提として、被雇用者と雇用者間の合意の基で自由に取り決めや修正が可能である。
ただし、契約締結前及び労働契約に基づく業務の履行中に両当事者が契約の内容を修正、補則、または契約を解除したい場合には、労働法に違反しないよう留意すべきことがいく
つかある。本稿をもって、労働契約の締結及び解除に関する留意点について説明する。
2. 労働契約の締結についての留意点:
a. 契約の種類:
- 無期限労働契約
- 有期限労働契約(12 ヶ月以上 36 ヶ月未満)
- 季節的な業務、又は特定業務を履行するための 12 ヶ月未満の有期限労働契約
b. 労働契約の形式:
労働契約は下記の通り 2 種類の形式がある。
- 文書による契約の締結。この場合、契約書を 2 部作成し、被雇用者と雇用者が 1 部ずつ所持しなければならない。
- 口頭での契約の締結。期間が 3 ヵ月未満の一時的な仕事の場合、口頭で労働契約を締結す ることができる。口頭で労働契約を締結する場合でも、両当事者が法律の規定に遵守しなければならない。
c. 労働契約について合意する際の留意点:
- 職業と勤務地:被雇用者と合意した職業の内容及び勤務地を明確に記載しなければならない。複数の勤務地がある場合、被雇用者がそれらの内、主に勤務する勤務地を記載する。
- 勤務時間・休憩時間:契約では、1 日及び 1 週間の勤務時間、勤務開始・終了時間(シフト勤務の場合も含む)、1 週間の勤務日数、時間外労働の有無及び時間外労働に関する賃金等の規定。また、週休制、年次休暇、私的な休暇、無給休暇などの休日に関する規定も定める必要がある。
- 給与:契約では両当事者が合意した給与、手当、給与の支払形式と期日、賞与、福利厚生、昇給制度などを記載しなければならない。
- 労働契約期間:労働契約の期間及び開始・終了時期(有期限労働契約、季節的な業務、又は特定業務を履行するため 12 ケ月未満の有期限労働契約の場合)、労働契約の開始時期(無期限労働契約の場合)
3. 労働契約の修正・補則の留意点:
労働契約の履行中、被雇用者または雇用者が労働契約の内容を修正・補則することが可能である。一方の当事者が労働契約内容の修正・補則 を求める場合、修正・補則の必要とされる内容について、少なくとも 3 営業日前に相手方に通知しなければならない。
両当事者が合意した場合、労働契約の修正・補則は労働契約に附録として添付するか、もしくは新たな労働契約書を作成する。実際に、他の条項に影響を与えないように労働契約の条項の一部を修正・補則する場合、両当事者が契約に附録を添付する場合が多い。労働契約の内容が更新された場合には、両当事者が新たな労働契約を締結する。
4. 契約解除の留意点:
労働契約を解除できる場合は下記の通りである:
1. 契約期間が終了した場合。
2. 契約に規定された業務が完了した場合。
3. 両当事者が契約の解除に合意した場合。
4. 被雇用者が定年退職の年齢になった場合。(男性 満 60 歳、女性 満 55 歳)労働法第 187条(労働法については下記の参考資料を参照)の規定に基づいて、被雇用者が社会保険の加入期間の条件を満たした場合、定年後に年金の支給を受けることができる。
5. 裁判所の判決、決定に基づいて、被雇用者が懲役等の刑罰を受けた、もしくは死刑となった場合。
6. 被雇用者が死亡した、裁判所から民事行為能力を失った、もしくは失跡したと判断された場合、または死亡したという認定決定書が出された場合。
7. 個人である雇用者が死亡した、裁判所から民事行為能力を失った、もしくは失 跡したと判断された場合、または死亡したという認定決定書が出された、個人ではない 雇用者が活動を終了した場合。(会社の閉鎖や倒産などの場合)
8. 被雇用者が、労働法第 125 条 3 項の規定に基づく規律違反で解雇された場合。
9. 被雇用者が、労働法第 37 条の規定に基づき労働契約を一方的に解除した場合。
10.雇用者が労働法第 38 条の規定に基づき、一方的に労働契約を解除した場合。雇用者が組織の変更、経済上の問題により企業の吸収・合併・分割を行った場合。
上記の 8、9、10 の場合については被雇用者と雇用者間において労働争議が発生する可能性が高いので、注意が必要である。
また、雇用者は労働契約を一方的に解除する際、以下の期間で被雇用者に事前通告をしなければならない。
a)無期限労働契約の場合は少なくとも 45 日前
b)有期限労働契約の場合は少なくとも 30 日前
c)12 ヶ月未満の季節的業務、又は特定業務の労働契約の場合は少なくとも 3 営業日前 他の労働契約解除の場合:規律違反で解雇される、または組織構造・生産技術の変更及
び経済的な理由で被雇用者を解雇する場合には企業は事前通告をする必要は特にない。
また、労働契約を解除する際には、被雇用者及び雇用者は次のような責任を果たす必要がある。
・両当事者は、労働契約を解除した日から 7 日以内に、各当事者の権利に係る各事項を清
算する責任を負う。特別な場合、この期間を延長することができるが 30 日を超えてはならない。
・雇用者は、被雇用者から預かった社会保険手帳およびその他の書類の確認手続きを行い、返還する責任を負う。
・企業が活動を停止、解散、破産した場合は、締結された労働協約や労働契約に基づき、被雇用者の賃金、解雇手当、社会保険、医療保険、失業保険およびその他の権利を優先的に清算する。
5. おわりに
被雇用者だけでなく雇用者にとっても、労働契約は非常に重要である。労働契約では両 当事者の権利及び義務が明確に記載されている必要があり、それぞれの権利を守ることや、労働契約の不法な一方的解除とならないように法律の規定に留意する必要がある。
参考資料:
2012 年労働法 10/2012/QH13 号(日本語版)
xxxxx://xxx.xxxx.xx.xx/xxxxxxx/xxxxxxx/000/xxxxx/xx00xx00000x0xxx‐att/legal_34.pdf
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