最初に簡単に御説明いたします。お手元にiPadがございますが、ホームボタンを押していただきますと資料が御覧いただける状態になっております。画面上中央付近にある 共有ボタンが青くなっていれば、発表者と皆様方の画面が同期され、同じ表示が共有されます。発表者と同じ資料を見たい場合には共有モード、違う資料を見たい場合には個人 モードに切り換えて御使用ください。資料の切り換えは、一番右端に資料が重なっているようなボタンがございますが、そちらで行います。御不明点がありましたら、近くの事...
消費者契約に関する検討会第3回 議事録
消費者庁消費者制度課
第3回 消費者契約に関する検討会
1.日 時:令和2年2月10日(月)16:00~17:57
2.場 所:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室
3.議 題
(1)いわゆる「つけ込み型」勧誘に関する取消xxの規律について等
(2)意見交換
4.出席者
(委員)
xxxx委員(座長)、xx委員、xx委員、xx委員、楠委員、xx委員、xx委員、髙橋委員、xx委員、xx委員、xx委員、xx委員、xxxx委員、xx委員
(事務局)
xxxxx、xx消費者制度課長、xx政策企画専門官
(オブザーバー)
国民生活センター、法務省、最高裁判所
○xx消費者制度課長 それでは、定刻でございますので、第3回「消費者契約に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様には、御多忙のところ御出席たまわりまして、ありがとうございます。
本日は、xxxx委員、xxxx委員のお二方が御欠席ということで御連絡を頂戴しております。
それでは、以降の進行はxxxxにお願いいたします。
○xxxx 本日もよろしくお願いいたします。
議題は前回から引き続き、いわゆる「つけ込み型」勧誘に関する検討になります。
まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○xx消費者制度課長 本日の検討会は、ペーパーレス会議システムを利用いたします。
最初に簡単に御説明いたします。お手元にiPadがございますが、ホームボタンを押していただきますと資料が御覧いただける状態になっております。画面上中央付近にある共有ボタンが青くなっていれば、発表者と皆様方の画面が同期され、同じ表示が共有されます。発表者と同じ資料を見たい場合には共有モード、違う資料を見たい場合には個人モードに切り換えて御使用ください。資料の切り換えは、一番右端に資料が重なっているようなボタンがございますが、そちらで行います。御不明点がありましたら、近くの事務局までお尋ねいただければと思います。
本日の資料ですが、議事次第に記載のとおりでございまして、資料1から5までと、参考資料として前回の資料をおつけしております。
以上でございます。
○xxxx ありがとうございます。
それでは、議事に入りたいと思います。
本日は、xx委員、xx委員、xx委員、オブザーバーである国民生活センターから資料を御提出いただいていますので、それぞれ説明いただきたいと思います。
○xxxx まず、資料1についてxx委員から説明をお願いします。恐縮ですが、意見交換の時間を確保するために約10分でお願いいたします。
○xx委員 ありがとうございます。
前回の検討会で、経済学の立場からどのように取消しや望ましい取引そのものを考えたらよろしいかということを若干申し上げまして、その中で、非常にざっくりとした話であるのですが、事業者、消費者ともに得をするというのが経済学的に見て望ましい取引であって、そうでない場合は契約締結後であっても取り消される、ないしは取り消すべきだというようなことを申し上げました。それを前回は余りにも大まかな話でしたので、今回はその議論をもう少し正確にお伝えできればということで、2枚プリントを用意いたしました。
まず概論でありますが、これは先ほど申し上げた、両方が得をするとはどういうことか説明したものであります。一般的には、経済学においては生産者余剰、これは事業者利益と呼んでもいいのですが、それから消費者余剰と呼ばれるもの、両方を増加させるかどうかで判断されます。事業者余剰があれば事業者が得をしている。消費者余剰があれば消費者が得をしていると考えるわけですが、その消費者余剰というのはどう計算されるかというと、経済学で重要な概念として支払意思額、Willingness to Pay(WTP)と言われるものですが、それと支払額を比べて、支払意思額のほうが多ければ消費者余剰がある、つまり消費者が得をしていると考えます。このWTP、支払意思額というのは、財とかサービスをここまでなら払っていいと考える。つまり、自身によっての金銭価値でありまして、ここまでだったら出してもいいなという最大の額であります。
もちろん支払額が低ければ低いほど消費者余剰は増加します。つまり、この式の値は大きくなるわけですね。逆に、支払額がWTPを上回る場合というのはこの式がマイナスになります。負になりますので、そうすると、合理的な消費者であればそのような財は購入しないということになります。しかしながら、個人は必ずしもいつも合理的というわけでございませんので、判断力低下、浅慮、幻惑といったような心理状況により、消費者余剰がマイナスになるような契約、つまり消費者が損をするような契約を結んでしまう可能性がございます。そのような契約は、両方が得をしなければいけない、つまり、消費者余剰と生産者余剰、事業者利益が両方ともプラスでなければいけないということからすると、その原則には反しますので、そのような契約は取り消すべきだと考えます。つまり、契約を無効にすべき状況というのは、消費者が自分の支払意思額(WTP)より高い価格を支払う契約が締結されてしまった場合であります。
合理的な、かつ自由意思を持った消費者というのは、そのような契約をそもそも結びませんので、つまり、契約を無効とすべき状況というのは、最初が、消費者は自由意思で契約できるが何らかの理由で判断力が低下し、ないしは十分ではなく、自分のWTPが判断できないか支払額が判断できないことにより、消費者余剰がマイナスになるような契約を結んでしまった。つまり、自分が損に
なるような契約を結んでしまったというような状況が一つ考えられます。
もう一つは、消費者は合理的なのですが、脅迫とか強制などによって自由意思が奪われて、本人は支払額がWTPを上回っている、つまり損をする契約であることが分かっているにもかかわらず契約を結ばされた場合、これも取消しの対象となると考えられます。
今まで議論がございました「つけ込み型」勧誘を例にとれば、上記1のケースは主に困惑類型Ⅱ、合理的判断ができない事情を利用して事業者が不当な契約を結ばせた場合であるとか、それから、2のケースは困惑類型Ⅰ、そもそも困惑するような状態、消費者が自由意思を持てないような状況を作ったと考えますと、困惑類型Ⅱが資料にございます2のケースに当てはまるのだと考えられます。
この観点からすると、事業者が判断力低下を知り得たかとか、事業者が判断力低下を作出したか、ないしは「浅慮」、「幻惑」、「誤信」、「混乱」といった消費者の心理状況というのは、契約の不当性や無効にするかの直接的な基準ではないのです。つまり、こうしたことによって、あくまで消費者が自分自身のWTP、支払意思額や支払額を正しく判断できていたか。自分が損するような、消費者余剰がマイナスになるような契約を結ばされていたかというような判断材料として、あくまでこういった要素が使われるということになります。
次のページを御覧ください。前回も少し申し上げたところで、幾つか御意見をいただきまして、それに対して我々がどう考えるかというのを簡単に御説明させていただきます。
まず、効率性概念、経済学による効率性という話と、それからxxとか不当とはどういう関係にあるかということでありますが、基本的には別個であります。つまり、経済学者からすると、xxな取引とは何なのだ、不当な取引とは何なのだというのを分かりやすく説明していただけると、この効率性概念との関係がよりはっきりするな、そうすると議論がしやすくなるなということであります。ただし、事業者、消費者の双方が得をするというのは、私からしますと、xx性の一部ではないかと。つまり、どちらかが損をする取引があって、それがxxであるというのはどのような状況なのかなというのは、逆に経済学をやっている人間からすると興味があるところであります。
ここから下は大体、支払意思額とは何ぞやというものに尽きるのですが、もう一つ、Q2では、支払意思額というのは主観的な評価なので、第三者が直接観察できないのではないかという問題です。これは前回、xx委員から御指摘いただいた点です。それはそのとおりということですが、消費者余剰がプラスかマイナスかという判断は、実はWTP、支払意思額を完全に分かっている必要はないのです。これがプラスかマイナスか、つまり、消費者が得をするか損をする
かということだけが分かればいいので、どれだけ得をするか、どれだけ損をするかというのは、基本的には余り考えなくてよいということになります。
いずれにしても、判断力低下とか、さっきも重なりますが、「浅慮」、「幻惑」、「誤信」、「混乱」といった消費者の心理状況というのは、これがプラスかマイナスか判断する、つまり消費者余剰がプラスかマイナスか判断するために使われるというのが経済学的な見方となります。
それから、これもどなたかから御指摘があったと思うのですが、契約締結後に消費者の自己都合で取消し可能であれば、事業者に不当な損害を生むのではないかという点であります。これは締結時点で合理的な消費者にとって得な契約であれば、事後的に消費者が損をしたとしても、その契約は取り消すべきではありません。例えば宝くじを例にとると、外れた宝くじは損になります。当たった宝くじは得になります。これは事後的な観点から、損したから、当たらなかったから、その分宝くじを買ったお金を払い戻せと言うのはおかしいのです。なぜかと申しますと、経済学的に言うと、まず、合理的な消費者であれば、宝くじを買った時点で、高額当せんするかもしれないという夢の対価として払っていると考えますので、消費者余剰は実現していると考えます。さらに、外れくじの払い戻しを許してしまったら、生産者余剰、つまり事業者利益がマイナスになってしまうので、そもそもそういう取引は効率的でないということになります。
したがって、特に不確実性が内在しているような財・サービスの場合は、契約締結時において、専門的な言葉を使うと、期待値において消費者余剰が正であれば、プラスであれば、その契約は取り消す必要がないということになります。
関連して、事業者が消費者の支払意思額が分からない、契約後無効になったらたまったものではないという話も当然あるわけですが、それはそのとおりです。ただし、経済学の効率性というのは、事業所利益と同時に消費者余剰も見ますから、事業者の利益が減るからこういう取消しはいかぬというのは議論としては間違っていると言わざるを得ない。その両方を見なければいけない。消費者の余剰、つまり得をするかと、生産者の利益を両方見て、両方が上がっているかどうかというのを見るのが経済学的な見方であります。
最後に、消費者の不注意まで事業者の責任にされ、契約が無効になるのは不xxではないかということでございますが、これまでの議論は少し単純過ぎるところがありまして、それは、合理的な消費者は自身の支払意思額を完全に知っていると仮定しておりました。実際には、合理的な消費者でさえ、ある程度時間をかけて注意して、その製品が何であるか、仕様書・契約内容を読まないと支払意思額が分からない場合もあります。このような場合にはどう考えるか
というと、どの程度消費者に注意責任があり、どの程度事業者に説明責任があるのかというような考え方をします。経済学では、支払意思額把握のためのコストはどちらが大きいのか。消費者が注意するコストのほうが大きいのか、事業者が説明するコストのほうが大きいのかと考えて、コストが低いほうがそのコストを負担すべきだと考えます。
こうした観点からすると、事業者が商品の内容や支払額を明確に説明したにもかかわらず、心身ともに健康な消費者がちょっとした不注意によって自身に損害をもたらす契約を結んでしまったというような場合には、その契約は無効にしないほうがよいと考えます。なぜならば、こういう契約を無効にすると、消費者がそもそも注意をせずに、内容をよく確認せずに商品を購入してしまうということが起こるからです。逆に、事業者が安価に明快な説明を行うことが可能だったにもかかわらず十分な説明をしなかった場合、これは意図的に紛らわしい説明を行った場合を含むのですが、その場合には消費者余剰がマイナスになるような、つまり、消費者が損をするような契約は無効にすべきであります。
ここで合理的ということを使ったので、認知症であるとかそのような、そもそも合理的判断ができない人はこの枠内でどう考えるかというと、そういう人は注意コストが極めて高い。合理的判断が不可能な人は注意コストが無限大であると考えますので、そういう場合は必ず事業者側に説明責任があり、かつ、消費者が損をするような契約は事後的にも取り消すべきだというような結論になります。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。
それでは、引き続き、資料2についてxx委員から説明をお願いいたします。前回御提出いただいた資料の補足でもありますので、恐縮ですけれども、約5分でお願いいたします。
○xx委員 全国消費生活相談員協会のxxでございます。
現行法において解決に当たりまして、どのような苦慮をしているか。消費生活相談として件数が多く、典型的な事例を用いて御説明いたします。
次のページになります。
事例1は新聞の訪問販売です。契約当事者は79歳、契約をした記憶がないということから判断力の低下が分かります。判断力が低下していたことによって、日常新聞を読まないにもかかわらず、長期契約をしてしまったともいえる事例
です。
現行法では解決が難しいと思われている点ですが、まず「帰ってください」などを告げたかどうか、本人が覚えていないため、不退去とは言えません。また、2紙を重複して契約している点は過量ですが、通常の分量を著しく超えることを知りながらと言えるかどうかは争いが生じる可能性があります。さらに、生計に著しい支障とまでは言えるかどうか、これも争いが生じると考えております。
次のページでございます。
事例2です。前回御紹介したものですが、投資関連の学習教材としてUSBを購入した事例です。信頼できる友人からの勧誘で、人間関係を利用されています。また、長時間の勧誘です。
現行法で難しい点は、長時間勧誘が続いたということは、つまり難色を示していたことは推測できますが、「帰りたい」などの発言やそぶりがなければ、退去妨害があったとは言えません。また、契約したのは学習教材であり、直接的な財産上の利益ではないことから、断定的判断の提供と言えるかどうかも疑問です。学習教材にごく一般的な投資に関するイロハ的なものが示されていると、およそ実際のところは勧誘トークにあるような利益を得ることはできないと思われても、消費生活センターにおいては、この学習教材が役に立たない、つまり、不実告知であることを立証することは容易ではありません。
それでは、次のページでございます。
事例3です。これも前回紹介したものでございます。いわゆるオーディション商法などと言われる事例です。あたかも願望が実現するような説明で高揚感をあおられています。
しかし、願望は絶対に実現しないとまでは言い切れませんから、不実告知と言うのは難しい場合があります。また、スカウトされるといったようなことですが、これも直接的な財産上の利益とは言えませんので、断定的判断の提供には当たらないと考えられています。おだてられて、うれしくなって契約していますから、退去妨害があったとも言えません。
それでは、最後のページでございます。
現行法において取消しをすることが困難な主な状況につきまして、まとめてみました。
事実と異なることを明確に告げられているわけではない。あるいは、利益になる事実も不利益になる事実も明確には告げられていない場合があります。しかし、曖昧な表現であっても、消費者に対しては思い込みを抱かせる説明となっています。
次に、断定的に効果・効能を告げられてはいるが、断定的判断の提供が消費
者の財産上の利益と限定された場合には該当しない例。特に、若年者に多いエステ、美容医療、語学教室、各種セミナー、レッスン等で見受けられます。
また、当該消費者にとって過量であることを知りながら勧誘したかどうかが不明瞭な場合であったり、服飾品、健康関連商品等の分類上は同じであっても、同種の商品としてくくることができるかどうか争われる場合があります。
また、消費者が事業者に対して、「お帰りください」であるとか「帰ります」と告げたり、そぶりを示すことは容易ではありません。多くの消費者は、相手のペースに巻かれて口を挟むことができなかった、言い出せる雰囲気ではなかったと言っています。これが消費者の実像です。
いわゆるデート商法では、関係が破綻すると告げられないようにするために、告げられる前に契約を締結してしまうのであって、販売員は消費者が好意を寄せていることを意識し、甘い言葉をかけ、思わせぶりをしているのが実態です。
以上のように、現行法では対応できない被害があります。こういったものにつきまして、今回御提案いただいているような取消しができれば、被害救済にはつながると思っています。ただし、その要件立てというところで今議論しているわけですが、できるだけ多くのこういった消費者の実態、実像に合わせた形で、合理的な判断ができる消費者であれば問題ないわけですが、そうではない消費者が多数いて、多数被害に遭っているということを踏まえて検討していただきたいと考えております。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。
xx委員から資料3を御提出いただいていますが、これは前回検討しました判断力に関する規定についての御意見ですので、後ほど御説明をいただくことにいたします。
そこで、資料4について、国民生活センターから説明をお願いいたします。恐縮ですが、約10分でお願いいたします。
○国民生活センター ありがとうございます。
国民生活センター相談情報部のxxと申します。本日は、相談現場での法律の活用に関することと、消費者契約法改正に関連して、現行法では対応が難しかったあっせん事例を2つ御紹介できればと考えています。
また、本日はあっせん事例の結果につきましても御説明ができればと考えておりますが、センシティブな内容も含まれますので、この場限りとさせていただいて、議事録への記載もできれば非公開とさせていただければと考えており
ます1。どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、資料の2ページ目から5ページ目までが国民生活センターの概要に関する資料でございますが、ここの部分は簡潔に御説明をさせていただければと思います。
2ページ目は組織概要でございまして、国の機関である国民生活センターであることが書いてあります。
3ページ目以降ですけれども、国民生活センターの使命と行動指針ということで、いわゆるミッションですとか業務方針について、ここでまとめているというもので、この方針に従って業務を日々行っているということです。
4ページ目以降が、実際に国民生活センターが行っている業務でございまして、消費者トラブルに関するさまざまな業務を行っていまして、本日はこの中の相談業務についての御説明ということでお話をしていきたいと思っています。
5ページ目が実際の相談業務の種類ですが、さまざまなアプローチから相談を受けて、消費者と実際にお話をして、場合によっては事業者にも御連絡をして対応しているところです。この業務の中で、本日事例を紹介するあっせんという業務について御説明ができればと思っています。
6ページに移りまして、相談現場で行うあっせんということで、あっせん事例の紹介の前に、あっせんとは何かについて御説明ができればと考えています。
6ページは経済企画庁の通知を記載させていただいておりますが、かみ砕いてお伝えしますと、消費者トラブルの解決のために、消費者と事業者の間に入って、消費者側の情報力ですとか交渉力の格差を是正した上で、xx中立な立場で話合いのお手伝いをする。これをあっせんと呼び、業務として相談の内容に応じて行っているところです。
7ページに移りまして、あっせんに入る場合の大まかな基準をポイントとして掲載しております。記載がありますように、情報力、交渉力の格差が著しい場合、代表的には高齢者のトラブルですとか未xx者のトラブル、こういったものはあっせんに入ろうという指針で対応を行っていると。そのほか複雑な事案で、消費者自身も理解ができていないような契約、かつ自主交渉では難しいだろうというものについてはあっせんに入る。あとは契約金額や支払金額が非常に大きいというケース。これは場合によっては弁護士会の御紹介をすることもありますが、あっせんするポイントの一つにもしております。あとは若干抽象的でありますが、誰が見てもひどい深刻なケース、悪質なケース、新手の事例だというようなケースをあっせんに入るポイントとして持っております。た
1 運営要領(第2回資料5)第5項に基づき、あっせん事例の結果を説明した箇所は非公表としている。
だ、この誰が見てもひどいというのは主観等が入っておりますので、これを具体化するときに消xxの趣旨ですとか条文等を見ながら検討に当たっているというような状況です。
続いて、8ページ目以降ですけれども、法律活用時の注意点と限界ということで記載しておりまして、大きく分けてこの3つを注意して常に検討しているところです。
事実関係の確認と法律の当てはめ、効果についてということで、これはあっせんに入る場合以外でも、相談業務全般で気をつけることでもございます。1つ目は事実関係に争いがあるのかと、争いがある場合に消費者側で立証可能か、立証責任はどちらにあるのかというところをポイントとして検討します。
もう一つは事実関係が確定した場合、両者の争いのない事実が分かったという場合に、法律の適用範囲について争いがあるものなのか。お互い考え方、主張が異なるものなのかということ、もしくはその可能性があるのかというようなところをポイントに検討しています。
最後は民事効と行政処分と刑事罰がセットになっているかというところで、前提として押さえておきながら、あっせん等に入っております。
9ページ目以降が実際の注意点なのですけれども、やはり難しい場合が当然ございまして、トラブル解決が難しくなってしまう要素の一つとしてこのケースを紹介しています。勧誘の際の事実について、「言った、言わない」の水掛け論になってしまう場合には、消費者側で立証することは、録音等を取っていない限りは難しいというところで、トラブルの解決は難しい傾向にあるというのをポイントとして押さえながらやっています。
続いて10ページ目、ここはちょっとポイントになる部分だと思うのですが、事実関係が確認できたとしても、法律の適用について争いになる場合があります。
矢印のところは若干極論的な部分になるのですけれども、法律の一般的な限界として、最終的には裁判をしない限りはどちらの考えが正しいかというのが決まらない場合がありまして、ここはひとつ相談現場での限界、特徴があると考えています。ただ、この部分を考慮した上で、あっせんの際には、お互いの主張をぶつけ合うというようなスタイルではなくて、いかにお互いが納得できる解決ができるか、そういった観点で話し合いのお手伝いをしているところです。この部分は裁判と異なる特徴の一つだと考えています。
11ページ目は法律の効果の問題でして、直接セットになっている場合はそれほど多くはないのですけれども、行政処分ですとか刑事罰がセットになっている場合には、民事効のみではないというところで、ここの部分は有力な交渉材料になる場合があるということです。
それらを踏まえまして、12ページ以下が相談事例になりまして、1つ目は軽度の認知症高齢者が購入したドル建て、外貨建ての一時払い終身保険ということで、この事例は2019年8月に受けたもので、やはり高齢者のトラブルが多い傾向にある事例の一つです。
内容につきましては、軽度の認知症の診断を受けた母が、証券会社に株の売却について連絡したことをきっかけに4000万円の両替、これは厳密には証券会社との取引なので為替取引をしているのですけれども、この取引をして米ドル建ての一時払い終身生命保険を契約していたと。息子さんからの相談なのですけれども、息子さんが母に聞いたところ、認知症と家族に言われると証券会社の担当者には伝えていたと。ただ、軽度の認知症の母一人に保険を販売したことについて苦情を申し出たところ、家族立会い不要の申告の記憶があると反論されたと。原状回復してほしいと。このお金の使い道についても、施設に入所することを検討していて、株は売却して費用に充てようというような形で、家族で話していたという事例でございます。
13ページに方針を簡単に書いてあるのですけれども、契約当事者である80歳代女性の聞き取りもさせていただき、意向の確認、どういう使い道だったのかというところとか、この契約をどうされたいかというところも確認をしました。あとは、本件はまれなケースなのですけれども、契約当時、物事の判断には援助を要する軽度の認知症であったということが記載された診断書を入手することができました。その後、適合性の問題など幾つかの問題もありましたが、そこは今回のケースでは詳細には記載せず、認知症の部分について焦点を当てて御説明ができればと思っています。こういったものを内容として、生命保険会社、証券会社に対して為替差損、ドル建てにした関係で差損が生じてしまっていましたので、そこの原状回復も含めて解約・返金交渉を行ったという事例です。
もう一つ、事例2ということで御紹介できればというのが美容医療に関する話でございまして、当日の高額施術を勧められた包茎手術というケースでございます。
こちらは、ネットを見て10万円から20万円で手術ができると思いクリニックに赴いたところ、炎症やかゆみもなくなる、手術するなら早目のほうがよい、今日これから手術できるがどうかなどと勧められ、医師の診察を受けたと。ただし、診察は5分から10分程度のもので、ここに記載があるように、「皮が厚い」ですとか、「ぶつぶつがある」ですとか、「ヒアルロン酸を入れたほうがいい」というような簡潔な説明だけだったと。そして、再びカウンセラーと話をすることになり、「仮性寄りのカントン包茎だ」と言われて、高額な施術方法を勧められた。そして、「不自然な仕上がりにしないためにやったほうがい
い」と言われまして、約100万円の手術料金を提示された事例です。
その後、次のページに移りまして、高額だと思ったが、自分の陰茎の状態が悪いから高額になってしまったのだろうと思い、仕方なく、手術内容確認書というものがあらかじめ用意されていたのですが、みずからの意思により、本日手術を受けることを希望したことに間違いありませんという欄にチェックをして契約して、当日手術を受けて帰宅したと。
ただ、やはり手術後、本当に必要な手術だったのか、後遺症が残るのではないかという形でとても不安になり、高額な契約を軽率に結んでしまったことを非常に後悔していると。今からせめて手術料金の減額は可能だろうかというような御相談が2019年1月にあったというものです。
こちらの処理の方針なのですけれども、美容医療に関する平成25年の通知というものがございまして、16ページです。即日施術の必要性が医学上認められない場合には、即日施術を強要すること等の行為は厳に慎まれるべきであるというような考え方ですとか、消費者契約法の情報提供義務の趣旨等を活用して減額交渉を行った事例です。
消xxの活用の種類なのですけれども、説明義務ですとか不利益事実の不告知に関する趣旨というのは、事業者からも話を聞くことができて再現性がある程度あるものでございまして、現場でも活用しやすい傾向にありまして、こういった形で活用して、交渉に臨んだというものです。
加えて、「浅慮」についての事例ということで、今回この事例2を紹介しておりますが、今までの議論の中で利益を失ってしまう、逸失してしまうという恐れがあることで焦ってしまって契約してしまうパターンと、契約しないと状況が悪化する恐れがあるパターンとに分けられると考えていまして、今回はその後者、この整形手術をしないと、炎症ですとかかゆみの部分が解消されないというところで不安に思われて、契約してしまったパターンだろうと考えております。
そのほか、今後運用のところでポイントになる部分かもしれませんが、「あらかじめみずからの意思により本日手術を受けることを希望する」というような文言が記載された書面が用意されており、その書面にチェックをするという形で事業者は消費者の希望を確認しているところなのですが、本人の申出では、仕方なくという気持ちでチェックしているというところで、ここもポイントの一つに今後なるのかもしれないと考えています。
続いて、17ページ以降が消費者契約法に望むことということで2つ書いておりまして、1つ目が当事者間のガイドラインとしての機能、もう一つが消費生活センターでの指針としての機能ということで書かせていただいています。
18ページ目にガイドラインとしての機能について少し説明を入れておりまし
て、事例1のように判断力の低下した消費者が行った契約など、取消し要件が改正によって明確化されれば、考え方の違いによる争いが解消される可能性があるのではないかと考えています。また、事業者の対応についても安定化が期待できるのではないかと考えています。現在の民法レベルでは、意思能力がないということで、恐らく無効というような話をすると考えているのですけれども、やはり民法レベルだと内容が難しいですとか、条文からではなかなか導けないというところで、事業者によって対応に差異が生じてしまっているのではないかなと考えています。
我々も、両者が納得した上で解決するというところを目指しておりますので、ここで生命保険会社からは理解や納得が得られて解約ということになったと考えていますが、証券会社からは、ここの部分について理解が得られなかったというところで、このような結果になってしまったのかなと考えておりまして、消費者契約法にてこの部分が明確化されれば、共通認識として、この取引であれば取消しだということが広く認識されれば、相談現場でもより多くの事業者から理解が得やすくなって、結果、解決につながるのではないかなと考えています。
「ただし」以下は、今までの議論でもお話のあった部分かとは思うのですけれども、細かく要件を規定してしまうと、脱法的な勧誘等が起こる恐れもあるので、そこには注意しながら臨むことができればと思っております。
19ページ目がもう一つの機能として望むことでして、消費生活センターでの指針としての機能ということで書いています。
事例2は直接民事効に結びつく有効な法律が少ない中で、消xxの趣旨も活用して、一定の解決が見られたというケースです。ただ、「浅慮」の部分についてより明確化されれば、もう少し違った結果になっていたかもしれないと考えています。
そして、法律について、ほかに適用となる法律がない場合に交渉材料とするためのよりどころとして消xxが相談現場で活用されているということで、問題のある勧誘行為が複数類型化されれば、指針づくりにも大いに役立つのではないかと考えておりまして、この観点からも、さらなる改正がなされることを望んでおります。
長くなってしまいましたが、以上でございます。
○xxxx ありがとうございました。
それでは、ただいま補足いただきました御意見等も踏まえまして、意見交換
に入りたいと思います。
まず、前回の積み残しになっていました「困惑」に関する規定について検討を行いたいと思います。前回の事務局資料を本日は参考資料1としていますが、そのうちの22ページから26ページになります。御意見、御質問等がありましたら御発言をお願いしたいと思いますが、その際、これまで挙手をお願いしていたのですけれども、見落としを防ぐために、皆様のお名前が書かれた名札を立てていただく形にしたいと思います。御協力よろしくお願いいたします。
それでは、いかがでしょうか。xx委員。
○xx委員 xxでございます。
「困惑」に関する規定の、特に資料25ページについて御意見申し上げます。前回、資料3を出させていただき、その3ページに意見を書いておりますが、その中では、ここで例として提案されております「締結しないことを著しく困難」とか「契約を締結するしかないと思う」については、消費者側の事情であって、いかなる行為が不当な行為として取り消され得るのか明確ではないということを、特に、リスクの認識を通じてニーズ喚起を行う保険・保証・警備保障などを例に申し上げたところで、基本的に受け皿規定を設けることには反対というお話をさせていただきました。
そのほかにも、判断力の低下の状況などの消費者の事情や、当該消費者の収入・資産の状況、世帯構成、生活習慣、趣味などをもとにした消費者側のニーズは非常に多種多様であり、また、時と場面でも変わると考えています。このため、これらを完全に事業者側が把握することは不可能だと考えますし、また、判断力が低下しているとか、消費者のニーズに合っているということを要素として、ニーズに合っていない場合には取消しという、そのような要件を設定するのでは、最終的には抽象的な規律にとどまってしまうと考えています。
取消しの規律が抽象的なものになると、企業の社会的責任を意識するような事業者は、トラブルになったときの対応のコスト等は結構かかることもあり、トラブルにならないよう謙抑的、抑制的に事業活動を内部規律して活動することになって、消費者の選択の機会や新しい商品の提案を控えることになりかねないと考えています。一方、いわゆる悪徳事業者は、抽象的な規律だと違法行為が明確でないため、グレーゾーンを狙った勧誘が引き続き行われるのではないかということがあり、消費者被害の抑制に具体的にどうつながっていくのか、懸念されると考えています。
一方で、抽象的な規律であっても裁判例の積み重ねを待てばいいというお考えもあると思います。それも一つの考え方だと思うのですが、今回、困惑類型全体の受け皿規定の1つとして「合理的な判断ができない事情を利用」する類
型が提案されています。その一番の対象と考えられる認知症の方々を考えますと、認知症は75歳以上で急増すると言われております。一方、日本の平均寿命は男性が81歳強、女性が87歳強です。また、民事訴訟の第xxの審理期間は平均9カ月とされているようで、裁判をするとなると準備から終わるまで1年以上かかる。平均寿命の話をしましたが、75歳以上で急増する認知症の方々に「訴訟をすればいいではないか」ということで本当にいいのか、残りの人生を訴訟で1年、2年かけるのがいいのかと思うこともあり、高齢者の個々の事案の解決については、抽象的な規律は、裁判の積み重ねを待つという意味では迅速性に欠けるのではないかと思いますし、裁判例の積み重ね自体に時間がかかるということから、ますます進んでいく高齢社会への対応として期待するにも、時間がかかるのではないかと思っております。
また、高齢社会白書によると、平成29年の全世帯に占める65歳以上の方がおられる世帯の割合は47%と言われており、そのうちの58.9%、全世帯の4分の
1以上が65歳以上の単身または夫婦のみの世帯とされています。約1400万世帯がこれに当たるそうですが、この中にも認知症の方はおられると思います。このような高齢の方が消費者被害に遭った場合に、消費者相談ですとか弁護士相談にこれらの方々だけで行かれるということは考えがたいのではないか。親族のうちどなたかが仕事を休むなどして付き添うことになると思いますが、そうすると御本人、御家族ともに相当の時間や負担がかかることが想像できますし、まして裁判となると、それ以上の負担がかかると思っております。
適正な判断能力を有さない方々の保護については、xx後見制度の利用促進ということに加えて、さまざまな社会的な対応が模索されていると考えています。それらの方々が安心して暮らせる社会をいかにつくるかという観点から、消費者契約法の役割や規律の在り方を考えることも必要と考えています。
これまで何度か申し上げている認知症バリアフリーなどとの関係では、認知症の方への丁寧な対応が求められています。契約時に適切な行為をするということだと思っていますが、それらとの関係では、やはり事業者の行為の不当性、
「こういうことをするから取消しなのだ」ということがはっきりする規律とすることが必要と考えています。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。
xx委員。
○xx委員 xxxxxxxx。
今のxx委員のお話で、事業者さんの側から見れば、はっきりとした明確な規律ということも大変理解できるところですが、実際のところ、規律をどうし
たらいいかということです。まず、ニーズの喚起というところでおっしゃったところですけれども、保険会社さんであれば、最近は非常に災害が多いですので、災害に遭ったときに大変ですよということで若干不安にさせるということ、これはどうしたものかというところだと思いますが、これは仕方がない部分があり、実際、人は必ずxxxは死にますし、地震もめったには来ない場合もありますが、必ずや来るときがあるわけで、これはいたずらに不安をあおっているような話ではないということです。
一方、先ほど国民生活センターさんから御紹介いただきました包茎の事例。実際多くの場合は、そのような包茎の手術をする必要がない、ほとんど思い込みのこともあります。これは非常にプライベートな問題ですから、多分に思い込みのところがあるわけで、これにつけ込んでいるというところで、このリスク、不安に対する説明というのは、保険会社との契約とは質が違う部分があると思います。
一般の消費者の取引というのは、多様な事業者さんが多様な消費者と取引をするので、どこに最大公約数的な規律を設けるかというのは悩ましいところですが、やはりこのあたりはしっかりと切り分けをした形で、現実の消費者被害を救済するにはどうしたらいいかというところに視点を移して考えたいと私は考えております。
それから、確かに明確にすればいいところはあるわけですが、必ずやそれをすり抜ける人たちがいるというのもこれまでの現実です。本来、法規制は余りないほうがいいとは思うわけですが、どんどん法規制が厳しくなってくるという現状を見ますと、明確にすればするほど、さらにすり抜けを防止するための何か規定を設けるか、あるいは受け皿規定を設けるということを考えざるを得ないのかなと思っております。
訴訟の点でございますが、確かに訴訟の中での積み上げというのは時間がかかります。しかしながら、一方、国センさんの先ほどのペーパーでも一つの指針になるということをお話しいただきました。こういった法律があれば、消費生活センターの場であるとか、国センさんもされていますけれども、さまざまなADRの場であっても、これを一つの考え方、立法趣旨に基づいて、どう考えたらいいかということにつながるのではないかと思います。
そういった中で、そこを押してまでも裁判をして勝つという自信のある事業者の方は訴訟で、となるかもしれませんけれども、そこはやはりなかなか厳しいところがある。では、何とかここで合意をしませんかというところで、最終的には互譲の精神といいますか、歩み寄りで解決しているというのが、消費生活センターの現場では多数ございます。
高齢者の場合は訴訟になじみません。こういった場合は、やはり現状を見つ
つ、その方にとってどこが一番いい着地点か。それは消費生活センターや事業者さんにとっても同じですので、指針ということを考えると、積み重ねであるための訴訟が必要なのであれば、今の提案の消費者契約法は向かないということについては、少し柔軟な考え方をしてもよいと考えております。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 まず、訴訟の件、私は弁護士ですけれども、一言だけ言いますと、裁判例の中で積み重ねられてきた結論というのは後で必ず役に立ちます。確かに最初に訴訟を起こす人は、解釈がはっきりしない中でやっていくので大変なのかもしれませんが、それが裁判で何らか基準ができて明確になっていくと、後続する被害者の方は、それで短期間で救われるということにもなりますし、交渉、あっせんの現場でも、それをうまく活用していただければ、xxかつ迅速な解決ができると思います。
それはさておき、こういった受け皿規定といいますか、隙間をなくす規定というのは、私は必要だと考えておりますので、今回事務局で提案された、考え方はいろいろあるかもしれませんが、いずれも積極的に賛成をいたします。現行法で規定があるからいいというわけではなくて、やはり隙間がどうしてもつくられてきます。
「困惑」に限らない話ですけれども、「誤認」の話でいきますと、現行法では不実告知、不利益事実の告知がありますが、これをよく知っていて、うまくすり抜ける悪質といいましょうか、業者は分かっていますので、先行行為はあやふやにしておく。あるいは不実告知はあやふやにしておく。幾らでもすり抜けるような事案が生まれてきます。現に、新聞で話題になった生命保険の関係でも、恐らく事案によっては先行行為の不利益事実の不告知や不実告知がきちんと認定できない、あるいは、そんなこと言っていないというケースが多々あろうかと思います。これは新聞報道では「甘い客」と言われているようですけれども、勧誘員を信頼していますからね。郵便局の人がまさかというような思いもありますし、そういった人を狙って独居高齢者の方が被害に遭っているという実態があります。これは現行法では解決できませんし、何らかの潜脱防止規定がないと、どうしても隙間が出ていくように私は思います。
それから、悪質な事業者に限定しますけれども、うまくすり抜けるというのは、例えば勧誘の仕方がどんどん進化していくというパターンもあると思います。前回、無料お試しだけれども定期購入だった事案、こちらもちょっと誤認類型的なものではありますが、もともとのホームページでは、最初は「無料お試し」だったのです。無料お試しだけれども定期購入という、何かよく分から
ない。お試しというのは普通、日本語で考えると試供品ですよね。サンプル品。サンプル品が定期購入で次々と来るなんて普通は思いませんので、お試しである限りは、それが無料である限りは、そこで一旦効果を試せるはずだと。そこはよく考えると、不実告知に明らかに近い。これはやばいと「お試し」を外すのです。「無料」だけ強調していきます。日本語としてはよく分からなくなってくるのですけれども。利益を誘導して、しかも不実告知なのかよく分からない。はっきり分からないけれども、注意すべき定期購入というところから目をそらしていくというような事案です。
こういった日々勧誘方法が進化していくような実態もあります。そういったものを捕捉していくという意味では、やはり潜脱を防止するある程度包括的な規定というものが必要になってくると、現場を見ていると痛感しておるところでございます。
行為類型、困惑類型でも、今回、期待をあおる行為として類型化されていますけれども、前回、平成30年につくった、好意の感情を利用する、これも明らかに事業者は破綻の告知を潜脱してきます。うまく破綻の告知という認定がされないよう、それから、好意の感情というのも、うまくそこをごまかしながらやっていく。こういった事例をいつまでも後追い後追いで作っていくのはどうなのかなというのが、現場の相談、あるいは訴訟の現場を見ている者としては痛烈に実感しているところでございます。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 ありがとうございます。
先ほどxx委員が3のところで「つけこみ型」の取消しの包括規定に反対するとおっしゃいましたが、私はやはり消費者の立場から、25ページに書かれていますように、消費者庁さんの提案に賛成をしたいと思います。今回ここに出 席するに当たりまして、久しぶりに平成30年に改正されたときに参議院の消費者問題に関する特別委員会で出されました附帯決議を読み返しましたけれども、そこにはいわゆる「つけ込み型」、不当勧誘取消権の創設について、必要な措置を講ずることとも書いてありますので、やはりその点からも、ぜひ皆さんで 積極的に創設に向けての御議論を進めていただきたいと思います。
今回、xx委員からもまた具体的な事例を、現行では解決しにくいというような点もきちんと明確に書いていただいておりますし、これをぜひ進めていただきたいと思っております。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 ちょっと先ほどの報告を敷衍するような形になると思うのですが、先ほどのxx委員のお話を聞きまして、やはり包括規定はあったほうがいいな という思いを強くしたところでございます。
3点コメントとしてございまして、まず1点目が、包括規定があることによって訴訟のコストが増えるというのが分かりづらいというところがありまして、それが1点。
もう1点が、事業者にとっては消費者に対して提供するサービスとか商品が 保守的になって、消費者も損するかもしれないという話がございましたが、まさに「つけ込み型」まがいに取られないように、真っ当な事業者がそう思われないような新しい商品を開発すべきでして、そのための、今の法制がそういうインセンティブを事業者に対してそいでいるという側面もあると思いますので、そこは事業者側もそういう努力をすることによって、社会全体として効率的な 取引が増えるということはあるのではないかと思いました。
3点目ですが、3点目はまた後でします。
○xxxx 分かりました。
それでは、xx委員、お願いします。
○xx委員 私は心理学というポジションからの話なので、皆さんとはちょっと違った物の見方をしているのかもしれないのですけれども、前回と今回とずっとつないで話を聞いていて思うことを広げて話をさせてもらいますと、まず、今の議論になっている包括という問題ですけれども、私は賛成の方なのですが、それなぜかというと、今までの議論に関わるところなのですけれども、何か概念の整理がうまくいっていないように思います。例えば判断力という言葉が出てきましたけれども、判断力というのは私たちが考えると普通、論理能力という問題と知識不足という問題の2つだろうと思うのですね。そのどちらの話をしているのかが、この言葉を使った言い方によって判断すると、どちらもあるなと思うのです。例えば論理能力という意味では、未発達の子供であるとか認知症、さらには知的障害者ということが代表的だろうと思うし、それよりも広いのは知識不足だろうと思うのです。先ほどの事例にもあるような、自分が今まで経験したことのないようなものを買ったり手術を受けたりといったような購入や契約といった問題は、誰もがそういう意味では知識不足になりがちな状態であるということになると思うのです。そういう意味で、判断力というのはこの2つの視点から押さえるということ。
そしてもう少し言うと、つけ込むというのも何につけ込むのかというところでは、そういった個人特性とその人が抱えている事情と、そのどちらなのかというところも整理しておくことによって、包括がうまくいくのだろうと思うのです。そこら辺がぐちゃぐちゃになっているような気がします。個人特性とい
う意味では、今ほど申し上げたような判断力が恒常的にないような人ということになるし、ほかにも例えば説明がつかないような体調不良や、つまり科学的な知識を幾ら駆使しても分からないような状態ですね。それから、病気を抱えている、身内に不幸が起きているといったような特殊な事情が人間には必ず起きると思うのですが、そんなときにつけ込んでくる。つまり、ストレスの高い状態につけ込んでくるという事案があるわけでして、そういった点を考えると、個人特性よりも実は事情のほうが多いかもしれないという気がするのです。そこを整理しながら、どちらなのか整理していかないと、どうも見誤るような気がします。
そういう意味では「困惑」という話なのですけれども、ここも先回の「浅慮」とか「困惑」という概念、どうも僕もうまく整理がいっているように思えないのですね。心理学というのは人間の体の身体的な元気か病気かみたいなパワーの問題で、頭が使えるか使えないかという問題もありますし、感情が不安定になっていて、うまく頭が働かないこともあるし、知識がないことによって判断できないこともある。この総合的な結果によって、私たちは深く熟慮できる、あるいはできない、つまり「浅慮」になるという現象が起きるのですね。
これは行動経済学も関わるわけですけれども、ヒューリスティックという概念があるわけですが、要するにそれは浅慮か熟慮かという人間には2モードがあるということを示唆した研究なわけなので、そういう意味では、熟慮できない状態に陥れるような悪質なメルクマールは何なのかという点を整理していくことが必要だろうと思います。
つまり、今まさに問題になっている「困惑」における退去妨害というものがあるとするならば、明示することが、例えば「帰って」と言えなかったとしても、誰に言われたら言えないのかなと私は考えるのですけれども、やはり権力的に非常に上位で、自分の生活を著しく左右できるような相手だったとか、あるいは命の恩人のようなもので、恩や義理を強く感じられる相手であるとか、その人との関係が悪くなると大きな人生の損害が明瞭に分かっているようなときとかというような整理をしていく上で、そこにはもうある程度の取消し権が与えられてもいいのではないかなと考えています。
あともう一つだけ申し上げたいのは、こういったさまざまな悪質性の総合力という問題が今まで議論できていないと思うのです。実は一つ一つに分析して分けていくと、それぐらいなら個人の責任でしょうと問えるようなものも、2つ、3つ、4つと重なっていくことによって、どうにも対抗できなかった、適応できなかったということが一般的だと思います。いわゆる合併症のようなものですね。また別の科学的な言い方をすると、乾電池を直列つなぎにするのか並列つなぎにするのかのようなものですけれども、こういったものは直接つな
ぎで単純に足し算よりももっと、例えば指数関数みたいにぐっとパワーアップしてしまう可能性もあると思うのです。となると、一つ一つでどうのこうのといっても、なかなか手当てがうまくいかない。つまり、総合力をどうするのかという点も大事な視点ではないかなと思います。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。 xx委員、補足ですか。お願いします。
○xx委員 短く補足です。xx委員の御発言に対するコメントの一つで、消費者救済のところで社会全体でいろいろな取組が必要だというお話だったのですが、まさにそれがうまくいっていないから我々はここにいるのではないかなと感じたということを付け加えさせていただきます。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 私自身は手続法の人間ですので、実体的にどのような事案において消費者が救済されるべきかということそのものについて確たる主張を持っているということではないのですけれども、仮に現在設けられている規定の下では法の適用がないというような事例において、しかし、なお救済すべき事案が存在するという認識に立ったといたしますと、そうした現行法の規定からこぼれ落ちている事案を救済するための受け皿規定の創設ということは十分に考えられる合理的な選択肢ではないかと考えております。
その際、確かに当該規定の適用に係るような事案の全てが訴訟によって解決されなければならないということであるとすれば、訴訟の負担や時間的な問題ということは大きな問題だろうと思いますけれども、その点については2点ほどコメントさせていただきたいと思います。1点は、相対的にある程度明確な要件の規定を設けて、現行法もそのような規定を持っているわけですけれども、その下でも例えば事実関係について深刻な主張の対立があるといったような形で、最終的には訴訟によらなければ決着がつかないというような事案が生ずることを100%防ぐことはできないと思われますので、その点はある意味では程度の問題なのではないかと思われます。
また、先ほども御指摘ありましたけれども、ある程度抽象的な要件の規定でありましても、場合によってはあっせん、あるいはADRの場で有効に作用するということも、およそ期待できないとまでは言えないと思われますので、そうした場面で有効に活用することも一部ではあり得、他方、訴訟に行かなければならない場合については確かに時間がかかる場合が多いということがあり、その負担が大きいということでありますけれども、この点は私自身に宿題が返って
くるような形になりますが、訴訟手続における解決の実効性、救済の実効性については、これまでも例えば消費者裁判の特例法のような形での取組が積み重ねられてきたということで、そうした努力は今後とも続けられなければならないのだろうと考えております。
もう一点付け加えさせていただきますと、一方で消費者の救済の必要ということがあるわけですけれども、これはxx委員からも御指摘ありましたように、他方で余りに抽象的な規定が設けられることによって、それが事業活動に悪影響を及ぼすのではないかという視点は当然持っていてよいものではないかと思われますので、そうした悪影響がどの程度現実的に懸念されるのか。また、それに対する対応というものを、例えば規定の文言の調整などでどうした形ですることができるのかという点についても、併せてこれは当然検討していくべき課題だろうと考えております。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 2度目で申し訳ありません。
私が申し上げたことに対しいろいろ御意見をいただいておりますが、申し上げたいことについて、もう少し丁寧にお話します。まず、賛成、反対でこの法律ができ上がるようなものではなく、この場では、要件をどうするかを議論することが必要だと思っています。では、どういった要件を考えるかというときに、今、25ページにある消費者庁の2つの御提案が前提になっていて、これは消費者側の事情しか考慮していないのではないか、また、消費者の「内心こう思った」ということを前提に、それだけで取消すものになっていないか。また、脆弱性を知りながら「乗じ」ということをどう具体的に要件とするかという点で、「契約を締結するしかないと思うような行為」という場合、その「契約を締結するしかないと思うような行為」とは何か。そこが抽象的なものになると、結局、事業者としてはどのような行為が取り消されるのか分からない。そのため、「事業者の行為を具体的に要件としないと、事業者としては受け入れられません。したがって反対です。」と申し上げており、具体的なものがないまま賛成か反対かとなっても、そうですねとは申し上げられないと思っています。
○xxxx ありがとうございました。
前の資料の25ページ以下を見ますと、まず、受け皿規定の創設とありまして、これについてはかなりたくさんの御意見をいただきましたが、次のページに行政規制との連携というものもありまして、これについても御意見をお出しいただけるならばありがたく思います。その点を含めていかがでしょうか。
では、xx委員。
○xx委員 何度も申し訳ありません。26ページに各種「業法違反を参酌する」と書かれていますが、こちらについても反対です。
前回資料3の3ページ以下では大きくは、各種業法違反は不法行為による損害賠償の対象と考えられているのではないか、また、「参酌」の意味が曖昧ではないかということを申し上げました。そのほか、具体的に以下に申し上げるような点で問題が生じると考えています。
例として、保険の話で恐縮ですが、保険業法の監督規制の中には、例えば、約款の変更の認可(保険業法123条)、無登録募集の禁止(同法275条)、情報提供義務(同法294条)、そして保険業法300条1項1号から8号と9号の委任規定で禁止行為を定めています。「参酌」によりこれらへの違反を取消しとするか否かという議論になると思いますが、保険契約法の分野では、保険業法違反の場合に直ちに私法的効果が生じるわけではないということを前提に、私法の枠組みの中で、解釈や立法で適切な解決を図ってきたという歴史があります。
例えば、約款の変更の認可(同法123条)に関して、最判昭和45年12月24日では、主務大臣の認可なく変更された普通保険約款について「その約款に基づいて保険契約を締結したとしても、その変更が保険業者の恣意的な目的に出たものでなく、変更された条項が強行法規や公序良俗に違反しあるいは特に不合理なものでない限り、変更後の約款に従った契約もその効力を有するものと解するのが相当である」とされています。
また、無登録募集については、xxxx先生の『保険法(上)』239ページから240ページにありますが、「従来の学説上無登録募集であることのゆえに保険契約が無効となるものではないとすることに異論はない。」「無保険者の保険募集ではあれ、保険募集人による募集の結果として保険契約者との間で有効に保険契約が成立した以上は、保険会社も業法283条1項の不法行為責任を負う」とされています。
また、保険業法300条1項2号、3号に、健康状態に関してお客様から告知をいただく際の告知妨害や不告知慫慂に関する規定があります。一方、平成22年施行の保険法では、保険媒介者の告知妨害・不告知教唆に関する規定が新設されています。生命保険では保険法55条2項2号、3号および3項になります。これらは内容的には同じで、要するに告知妨害・不告知慫慂(教唆)をしてはいけないということですが、その私法的な効果をどう考えるかという話です。保険法による改正前の商法では会社の過失不知という解除権阻却事由があり、告知妨害・不告知慫慂もそれに準ずるものとして解釈で対応してきたものを、保険法では具体的に立法で対応しています。この規定は、正しい告知をすれば保険契約に加入できなかったことを前提に、告知妨害・不告知慫慂を解除権阻却事由として規定することで保険契約者等を保護するとともに、保険契約者等
による告知義務違反と告知妨害等との間に因果関係がない場合は解除を認めることとして、適切な解決を図ったものと立法担当官の解説で言われています。
なお、この規定は片面的強行規定とされており、保険法のこの規定は保険金支払まで求めているため、約款で告知妨害・不告知慫慂の場合は取消しと規定すると片面的強行規定違反となると思います。この規定を参酌したとき、消費者契約法の効果がどのように出てくるのか分からないと考えています。
また、長くなり恐縮ですが、300条1項5号には特別利益の提供の禁止に関する規定があります。これは、例えば、お客様に保険加入のお礼として何か差し上げてはいけませんというものですが、特定の保険契約者等に対して特別の利益を提供する行為は、当該保険契約者等を直接に害するものではないが、その保険契約集団における保険契約者間の平等性、xx性を損なうものであることから禁止行為とされているとされています。これを参酌した場合に取消しとなるか否かは、実際に取り消されるかどうかは別としても、よく分かりません。
さらに、保険法という私法の規定が適用されると考えられる保険・共済の根拠法として、保険業法、農業協同組合法、水産業協同組合法、中小企業等協同組合法、消費生活協同組合法、この農協法から消費生活協同組合法までは消費者契約法施行令が定める「消費者の利益の擁護に関する法律」に含まれますが、ほかにもPTA・青少年教育団体共済法などがあります。
これらの法律では、同じ行為でも、禁止事項か否か、法律で禁止しているか委任省令か、また、法律で禁止する事項でも罰則があるかどうかなど、各根拠法でまちまちです。また、保険業法294条1項に相当する情報提供義務の規定があるのは農協法だけです。
このように、保険・共済に共通する私法である保険法が適用されるものであっても、業法が違うという中で、消費者契約法で業法違反を参酌した結果、保険では駄目だが共済では良いということが同じ勧誘行為で出てき得るのかどうか。同じ行為でも取消しの可否が違うということであれば、何がどう参酌された結果なのか、また、「業法違反の行為は直ちに取消し」ということであれば、共済と保険という業法の違いだけで同じ勧誘行為に消費者契約法上異なる結果が出ると懸念しており、参酌の結果何が取消になるのか明らかではないと考えています。
したがって、業法規定の参酌ということは難しく、我々もどうしたら良いかよく分からないということがあると思っています。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 まず、どういう形にするか分からないのですけれども、業法違反
を考慮要素にしながら取消しを認めるということが必要だと考えております。ですので、今回出された提案、趣旨なのか違反の参酌なのか、これはこれからの検討課題ですけれども、こういったことを要素として、取消しというレベルで民事効果を与えることは、これもやはり事実を見ていると、非常に必要だと思っております。
先ほど、例えば損害賠償の中で、参酌されるわけではないですけれども、そこでの解決があるではないかというような、もしそういう御趣旨、ちょっと違ったらすみません。そういう解決方法があるからということであれば、実務を知っている人間からすると、これはよくないというか、駄目だと思います。損害賠償というのはあくまで後から被害に遭った人が主張するものであって、しかも、かなりハードルの高い立証責任が課されます。そういったものを、弁護士費用もかけて、いろいろなコストをかけて、それから時間もかけて、最高裁まで行ったら何年かかるか分かりません。そういったものを被害に遭った人の負担で解決ができるからいいのではないかということは、私はどうしても賛成することができないのです。その裏で、その訴訟をした人がどれだけ苦労したのか。それから、訴訟を断念した人たちがどれだけいるのかということを考える必要があります。
それからすると、やはりもう少し早い段階で契約の拘束力から解放するというルール、これが取消権ということですけれども、最終的にその取消しが有効なのか、無効なのか。いろいろな考慮要素から、裁判規範でそういう要件をつけて、最終的に判断が必要ということであれば、それはそれで訴訟になっていくのはやむを得ないと思っていますが、少なくとも多大な立証負担が必要であるとか、最初の段階、早い段階で拘束力を受けないという主張ができるのかという、ここの違いは、実務の民事訴訟では大きな違いとなって表れてきますので、取消しという民事効果を付与するということは、損害賠償ができるということとは切り離して、その導入の要件を議論する必要があるかなと思っています。
それから、業法の違反のレベルは違うと思います。どの規定に違反するかということで、それはどういったレベルのものを違反したら取り消しという効果に結びつけるかということを議論していけばいいだけで、何でもかんでも形式的な違反があったら取消しというわけではないと思います。
現状を見ていきますと、例えば、何度も言いますけれども、無料お試しなどというのは景xx違反には該当しますが、取消しというルールがない。それで消費者の利益は保護されているのかというと、そんなことはないですね。消費者庁がどんどん行政処分を出していますが、実際に私も消費生活センターの相談員さんの助言弁護士という形でやっていますが、幾ら交渉したところで応じ
てくれません。処分例があるではないですかと幾ら言ったところで応じません。そうすると、その被害者は救済されないのですよ。行政規定があって、何らか業者の方が不利益を受けるでしょう。でも、その被害に遭った人は救済されないです。行政処分の対象になるとか罰則がある、明らかに重要な違反行為があるということであれば、それは損害賠償できるからいいじゃないですかではなくて、取消し、早い段階での民事的契約の拘束力からの解放ということを認めることが必要だと思います。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 アジアインターネット日本連盟のxxです。
業法の趣旨の参酌のほうに議論が行ってしまったのですけれども、包括規定のところも含めて、前回時間切れで申し上げることができなかったので、改めて申し上げます。
事業者団体としましては、包括規定の件につきましては、意見募集の意見にもありますように、xx委員からも御発言がありましたけれども、予見可能性が損なわれ、事業者が必要以上に抑制的な対応をせざるを得ない局面も想定されますので、慎重に検討すべきだと考えております。先ほど議論がありましたように、事業者側からすれば、やはり業法の参酌のことも含めて慎重に考えてくださいと言わざるを得ないわけで、一方で消費者の利益を代表される方は、あったほうがいいですよというお立場なのかと思うのですけれども、いずれにしても、この辺は具体的にどういう要件になっていくのかということを議論していかないと議論が深まらないのかなと思うのですが、それのさらなる前提として、前回も申し上げたのですけれども、今、日本の社会が抱えている重要でかつ、今取り組まないといけないような喫緊の課題というのは一体どういう消費者のトラブルがあって、それらに対応するために、なぜ包括規定だとか業法の趣旨の参酌が必要なのかということをもう一度改めて整理いただかないと、なかなか議論が深まっていかないのかなという気がしております。
特に私は研究会の段階では参加しておりませんので、どのような深い議論があったのか分からないのですけれども、今日も国センから幾つかの事例が御紹介されたり、消費生活相談での事例紹介もあったのですけれども、事務局の御紹介いただいている事例も含めて、もちろん一つ一つの点の事例としてはあると思うのですけれども、それらがいわゆる社会的なインパクトとしてどれぐらいのマグニチュードを持ったような事例であるのか。かつ、それらの事例に関して、現行法の規定でなぜ対応ができないのか等について、もう一度改めて検討した上で議論していかないと、なかなか立法事実というようなところまで積
み上がっていかないのではないかなと思いますので、ぜひその点、引き続きお願いしたいと思っております。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。xx委員。
○xx委員 ありがとうございます。業法の点について申し上げたいと思います。
もともと、業法の話というのは、次のような趣旨と理解しています。現在の在り方というものが損害賠償だけでは対処できないという事情があります。損害ですとその立証も必要ですし、何が損害なのかという点があります。またそもそも言えば、問題事象が契約に拘束力を認めるための素地が欠けているのではないかということからスタートしているならば、損害賠償の道とともに、それとは別にといいますか、取消し、あるいは契約の拘束力からの解放の道が必要だろうという認識があるところ、現行の規定の中では、さまざまな問題に対しての隙間があったり、あるいはどうしても後追いになっているという事情があります。さらには改正によって非常に努力が重ねられてきましたけれども、それがかえって複雑になっていて、それぞれの規定の相互関係が分からなかったりといったような問題も出ていることを考えますと、ある程度の抽象性を持った受け皿的な規定というものが必要であると考えられます。
ただ、そうしたときに、では事業者としてはどうしたらいいのかと、かえってこれから最も伸ばしていくべきような事業者が、そのプラクティスを抑制しかねないではないかという懸念に対して、その行為指針というものをどのように明確化したらいいのかという問題が存在します。ある程度抽象的な規定と申しましたけれども、具体化の手法はもちろん裁判によって具体化していくというルートがありますけれども、それだけではないということで、例えばガイドラインですとか、業界での一定のソフトロー的なものですとか、あるいはしばしば言及される解説ですとか、いろいろな方法がある中で、そのうちの1つが業法ということなのだと思います。ですから、ある程度の抽象性、その中で一体それをどう具体化したらいいのかという要請に対して応える1つの方策として考えられるのが、この業法の参酌ということになります。
これ自体は決して珍しいことではなくて、そもそも不法行為責任を発生させるのかということ自体も、業法違反であれば全て発生させるということではないわけで、どういうものが民事的にも損害賠償の引き金となる義務違反ということになるのかという考慮自体は現行法でも行われているわけです。
さらには、契約の効力のところも90条などの問題に関連しまして、取締規定の問題と言われるものがありますけれども、90条そのものの話としても、各種
の業法の違反というものも1つの要素として取り込んで90条を判断するという枠組み自体が現在普及しているわけですので、こういったものは既にあるわけです。それを90条の公序良俗や709条の故意過失よりももう少し具体化した、しかし、それなりの抽象的な規律が設けられたときに、そこに勘案してくるということなわけです。
こういう趣旨を参酌するというような規定が設けられると、事業者としてはどうしたらよいのか分からないという御指摘をxx委員がされたわけですけれども、おっしゃることの意味は恐らく2段階あって、1つは、契約締結のときにどうしたらいいのか分からないというのは、取消権を与えられなければ業法は無視してよいということではないと思いますので、業法としてこういう規制を遵守すべきだとされているならば、良質な事業者としてはまさにそれは、いずれにしても守るわけですので、守らなくていいかどうかということが取消しとつながるわけではないですので、これまで言われてきたこのような抽象的な規定が置かれると、一体契約締結をしていいのかどうかと、そこにブレーキがかかるという話ではないのだろうと思います。
事業者がお困りになるとすると、むしろ事後に消費者から、それは取消しではないですかと言われて、果たして取消しに応じるような場面かどうかという判断のところで、どう考えたらいいのかという問題が出てくるという、そこだと思いますけれども、それは損害賠償を求められたときにそもそも不法行為になるのかというときの判断でも同じような話が出てくるわけです。ですから、事業者にとっての困難さというのは局面を分けて考えていく必要があるのだろうと思います。
それから、種々保険業法や保険関係で出していただいたお話ですが、これは非常に貴重な話だと思います。そういった中でどういうものが取り込まれていく話なのかという切り分けの一つの手がかりとして、例えば保険業法であればというお話としてとても参考になると思われます。ですから、登録をしているかどうかというのは関係がないし、約款の認可を得ているかどうかということも、そのプロセスについては直接関係ないのではないかというような形で、どういうものが入ってき、入ってこないのか。例えば保険業法を手がかりにしたときにはこう考えられるということを明らかにしていくことで、それが他の場合についても妥当する、手がかりとなるわけです。さらに言うと、保険業法さえ守っていれば大丈夫という話でもないですし、業法の規制がないところはおよそ何をやってもいいという話ではないわけです。業法の規制がないようなビジネスというのは幾らでもあるわけですので。しかし、そういったところへの手がかりにもなるという面も出てくると思いますので、まさにxx委員が問題として指摘してくださったようなことを今後検討し、切り分けをしていくこと
が必要になってくるのではないかと考えます。
なお、告知義務などの話は保険者から解除できるかという話ですので、取消しの話とは違ってくるので、もともとの入り口のところで大分違ってくるだろうというような切り分けも必要ではないかと思っております。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。楠委員。
○楠委員 消費者契約法は初めてなので、「困惑」という概念が今でも分からなくてちょっと困惑しているのですけれども、あらゆる取引は、恐らく情報の非対称性というものがあって、自分よりも得意な人に何かをお願いするということがほとんどだと思うのです。なので、必ずしも困惑していなかったとしても、誤った判断をすることというのはしょっちゅうあるのではないか。その中で通常の取引として認められるものもあれば、きちんと救済していかなくてはいけない種類の取引もあるだろう。それを今、「困惑」であったり「過量」といった形で概念化しているのだと思うのですけれども、恐らく、包括規定といったときに非常に抵抗が強いのは、何でもかんでも含まれるように聞こえてしまうので、事業者としては判断のしようがないという御意見も出ているのだと思うのです。
やはりどういった取引を取り消せるようにすべきかというところをきちんと概念化していくことが重要だと思っていまして、先ほど論理能力の不足や知識不足みたいな個々の論点も出てきておりましたけれども、取引の両者の関係性であったりとか、それぞれ双方で持っている期待のレベルというのは異なっている。それは恐らく消費者に対して過剰な期待を持たせたり、あるいはミスリーディングするような表現があるということもあるでしょうし、そのときに売る側がどれだけの予見可能性を持ってそういった取引を持ちかけているのかというところも、個々の事例によっていろいろなケースがあるだろうと思うのです。包括と言ったときに、具体的に、抽象的な考えでもいいのですけれども、どういった取引を救済すべきであるという原理原則の部分をもうちょっと明確にしていけると、事業者の方もそこまで反対するというだけではなくて、何がしか、この場合はこういう取引もあるから認められるべきだといった各論ができるようになってくるのではないかと思いました。
○xxxx どうもありがとうございました。
議論は文字通り尽きないところでして、まだまだ検討できるところですけれども、ほかに検討すべき事項もありますので、本日は、この点についてはここまでとさせていただいて、頂きました御意見について事務局で整理をして、次回お示しするということでよろしいでしょうか。
では、事務局からお願いいたします。
○xx消費者制度課長 どうも御意見いただきましてありがとうございました。いろいろと御意見頂戴いたしましたけれども、xx委員の御意見、あるいは
xx委員も同趣旨の御意見をおっしゃっていたかと思いますが、要するに具体的な要件立てをどうするのかというところについて、もう少し私どもとしては、さらに検討させていただきたいと思います。
包括規定という言い方が少し誤解を呼ぶ言い方だったのかもしれませんが、資料の25ページにございますように、私どもとしては、類型化した上での受け皿規定であるというものでございまして、その受け皿規定の趣旨としては、何人かの委員から同様の御指摘がありましたけれども、潜脱の防止という点に私どもとしては力点を置いてはどうかということを考えてございます。
今日の国民生活センターのプレゼンテーションでもありましたし、xx委員の御指摘にもあったかと思いますが、やはり巧妙な勧誘というのが、要するに既存の規制の要件をうまく逃れるケースがあり、そういった場合にどう対応するかというのは、今に始まった問題ではありませんが、要件を明確化して、明確な規定を設ければ設けるほどそういったリスクが生じるという点は、やはり消費者契約法の立ち位置、消費者契約に関する包括的な民事ルールであるということも考えますと、そういった受け皿規定について検討をせざるを得ないのではないかと私どもとしては認識しているところであります。
1点、xx委員の資料の中にもありますし、先ほども御指摘があったのですけれども、私どもの25ページのこういうことが考えられるとお示しているものが消費者側の事情であるという御指摘があったことに対してだけ、私どもとして申し上げますと、これは消費者側の事情ではなくて、むしろ事業者側の事情としてお示ししたつもりであります。どういうことかと申しますと、例えば現行の不退去・監禁というのがございますが、これは事業者側の行為類型として切り出したものでございまして、そのほかにいろいろと取消事由として困惑類型Ⅰ、Ⅱという形でありますが、とりわけ困惑類型Ⅰとして整理したものはいずれも事業者側の事情を切り出して規定を設けたものであり、そういったものの受け皿規定として25ページのものを考えたものでございまして、ここで「消費者が契約を締結しないことを取引上の社会通念に照らして」という言い方をしていますが、この消費者といいますのは一般的な抽象的な消費者という趣旨のつもりであります。一般的な消費者であれば、不退去や監禁があれば契約を締結しないことが困難な状態になっているのではないかと。その原因となる不退去や監禁その他のいろいろな行為があるのではないかという趣旨の規定が今の困惑類型Ⅰだと理解しておりますので、これは事業者側の行為類型を受け皿規定として何かくくるとしたらこんな感じかなと。
この消費者というのは、個々の消費者というよりは、一般的な消費者であればこうでしょうというふうに考えるのではないかというような趣旨でありまして、考えるのではないかという点は確かに消費者の事情かもしれませんが、そういうふうに考えさせているのは事業者の行為であるという意味では、これは消費者の事情というよりは事業者側の事情として私どもとしてはお示ししたつもりのものであります。
若干(2)の合理的な判断ができない事情を利用しつつというところの消費者の脆弱性で、あえてこういう書き方しかしておりません。今、現行法で消費者の脆弱性としてあるのは、社会経験上の不足と加齢その他による判断力の著しい低下というものでありまして、xx先生がおっしゃったように、それ以外でもさまざまな事情によって、例えばいろいろと個人的な事情とかも含めてというお話、身内の不幸とかがあります。それはよく従前から言われているところでありまして、そういうのをどこまで拾えるかというのは非常に難しいところではございますが、ここの消費者の脆弱性という消費者となりますと、一般的な消費者というよりはバリエーションが出てくるのは確かでございます。そうしますと、その部分については、やはり個別性が高くなってくる要素はあるのかなと思いますが、いずれにしましても、そういった脆弱性があるということを事業者が認識した上での一定の勧誘行為ということで、切り分けてはどうかというものでございます。
ただ、どういった場合に取り消せるかという、原理原則というさっきの楠委員のお話がございました。その点をもう少し分かりやすいようにするとか、そういった工夫の余地はあろうかと思いますので、今日の御意見も参考にしながらさらに検討を進めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○xxxx ありがとうございました。
続きまして、前回検討しました判断力に関する規定と、時間があればですが、
「浅慮」、「幻惑」に関する規定について改めて検討を行いたいと思います。まず、前回いただいた御意見を事務局に整理していただきましたので、事務
局から御説明をお願いいたします。
○xxxxx それでは、資料5について御説明させていただきます。どうぞよろしくお願いします。時間がかなり限られておりますので、前半は大幅に割愛させていただこうと思います。最初に事務局による提案を整理して、その後は主な意見の概要という形をまとめさせていただきました。詳細につきまして
は既に議事録を公表しておりますので、そちらを御参照ください。
7ページ目からは前回の整理を踏まえつつ、新たに事例を整理したところになります。若干補足しておりまして、そこは赤字にしております。具体的には、まず9ページで、xx委員の御指摘を受けまして生命保険の不適切勧誘の事案を付け加えておりますのと、11ページに参りまして、今日も話題になりました定期購入をめぐるトラブルについて事案を御紹介させていただいております。
最後の2ページが、今回、前回の御議論を踏まえてさらに御議論いただきたいと思っているところでございますので、この点を少し御紹介させていただければと思っております。まず判断力に関する規定のうち、事業者の行為態様につきまして、行為の悪質性を客観的な要件として明確にすべきではないかという御指摘をいただきました。
右側のほうで、生命保険の不適切勧誘について御紹介しておりますけれども、一応の情報提供は行われていると言えるところでして、判断力が著しく低下している消費者につけ込むというところに本質があることに照らしますと、そこの左側の囲みにありますように、事業者の勧誘行為を特定のものに限定するよりは、判断力の著しい低下を知りながら勧誘をしたというところに、事業者の行為態様の不当性を捉えるべきではないかということで問題提起をさせていただいております。
もう一つが次のページでございまして、前回事務局から契約内容につきまして、消費者の生計に著しい支障を生じさせる契約という要件を設ける案をお示ししましたが、これに対しては、そこの四角にありますように、救済すべき事案が救済できなくなってしまうのではないかという御指摘をいただきました。この点につきましては、矢印の下になりますけれども、新たに判断力の規定を設ける場合には、消費者の生計に著しい支障を生じさせる契約を対象とした上で、では、それ以外についてどうするのかという部分については、既にあります過量契約取消権の同種性の要件を緩和することで対応することが考えられないかとしております。過量契約取消権については右側で御説明しているところでして、同種の物について、当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超える契約については、それが1回のみの契約であったとしても、いわゆる次々販売だったとしても、取り消すことができるというルールですけれども、そこでは「同種」、同じ種類ということが要件になっております。
そうしますと、例えばというところに書いてありますとおり、洋服やバッグ、ネックレスといった場合には、同種と言えるのかどうかというところが問題になり得るところでございますので、例えば、同一の用途、使用目的のもとで利用されるといった形で同種性の要件を弱め、過量契約取消権の救済範囲を広げることによって対応できないかというところで、今回このような提案をさせて
いただきました。
私からは以上になります。
○xxxx ありがとうございました。
判断力に関する規定につきましては、xx委員から資料3を御提出いただいています。前回御提出いただいた資料の補足でもありますので、恐縮ですが、約5分で御説明をお願いいたします
○xx委員 1点誤字の修正をお願いします。最後のページで要件を考えておりまして、「社会的経済的事情に照らして著しく」、「不」が抜けていますので、「不適当」でございます。「不適当であるため、消費者の利益を阻害するものであるとき」。これは、もととなる条文は電気通信事業法、19条とありますが、19条か20条だったか複数でこういう規定があると思いますが、こういった要件立てが既に、業法ですけれども、法律の中にあるということを紹介しております。同じような規定の仕方は放送法やガス事業法、各種ライフライン系ですかね。こういった表現の仕方があるので、御参考くださいということでございます。
事務局提案がありますので、これに対する考え方、これは私のこの資料の2枚目、第2のところでございます。基本的にこうした方向の規定を設けることは賛成しておりますので、これをもう少し詰めていく必要があるかなと思います。
最終的に契約内容ですね。対象となるものや事業者の行為態様はともかくとして、結ばれる契約内容の不当性をどう考えるか、ここがポイントになろうかと思います。現行法では過量契約があるので、これで救済できないものを救済していこうという方向は賛成というか、望ましい方向であるxxと思います。ただ、前提となる現行法の過量契約取消権の解釈の仕方がどうなのかなというところがありまして、日弁連が出しているコンメンタールでは、現行法でもかなり広く救えるはずだという理解をしております。特に検討事項の2の最終ページで例として、例えば洋服やバッグ、ネックレス、こういったものを同種ではないとしても救うべきというところは、私は、解釈の仕方についてはちょっと反対をしております。こういったものは同種の解釈で、上に逐条解説の規範が出ておりますが、ここで十分同種として認定できると。身につける装飾品というもので、同種性は現行法でも十分肯定できる事案と考えております。ですので、それでは救えないものを要件化していく必要があるかと思います。
もう一つ、現行の過量契約においても、1回契約に限られず、次々契約でも
いいですけれども、質的なものをどう捉えるか。質的なものについても、過量性は私は肯定できると考えておりますし、日弁連のコンメンタールでもそのような解説がされております。その上で、それでは救えないものをどう切り分けていくかということが必要だと考えておりますので、そういった方向で要件を検討していく必要があるという意見をつけた上で、賛成をいたします。
それから、第1のところは前回議論になった動機の錯誤のところですが、民法の研究者でもない私がこんなことを言うのも口幅ったいのですけれども、趣旨としましては、現行法ではない新法ですね。新しい民法の動機の錯誤と同じようなことであろうと思います。ただ、新民法においても解釈が統一されていないというか、95条の2項で動機の錯誤ですけれども、「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り」、取消しが認められている。ここの「基礎とされていることが表示」ということの意味内容については見解に争いがありまして、表示を意思表示と意味して、契約の内容になっているところまで必要だという考え方をするのであれば、消費者契約法においては狭過ぎると思います。
ここについては、単に事実行為でいいという考え方もあったり、あるいは2ページ目の下の注釈のところで紹介していますけれども、当該事情がxxでなかった場合、法律行為による拘束を意欲しないことについて、表意者のことですね。これを相手方が認識ないし認識可能性していれば、動機の錯誤の取消しを認めてもいいのではないかという解釈がございます。消費者契約の場面では、この解釈によろうということを明確化するという方向でございます。要件を変えるというよりは、解釈の明確化というところで、それほどドラスティックな改正というわけではなかろうかと思っております。
前提として言い忘れましたけれども、真意が把握できるのか、その人が何を考えているかどうか把握できるのかというような議論が前回ございましたが、これは対象となる人を余りにも十把ひとからげに考え過ぎなのかなと考えております。判断力が著しく低下、不足しているということであれば、本当の真意は何だろうということが問題にはなり得ますけれども、生命保険の事案、かんぽ生命の事案を挙げさせていただきましたが、独居高齢者だけれども、日常生活は送れている。判断力が不足はしているけれども、著しくとまでは言えない。こういった人たちの真意というのを把握することは、私は可能だと思います。こういった人も従属関係といいましょうか、この人は信頼できるということで契約をしてしまった。しかし、よく考えるとおかしい契約だったので、真意をきちんと把握すれば、そこが合致していないということを言える場面は十分あると思います。こういった場面で、先ほど言った民法においての動機の錯誤において、表示まで必要ではない。相手方の認識ないし認識可能性で十分だとい
う解釈をとるということは、消費者契約においては十分必要な考え方ではないかなと思っております。
以上です。
○xxxx ありがとうございました。
本来ですと、ここから判断力に関する規定及び「浅慮」、「幻惑」に関する規定について御検討をお願いするところですが、既に残り時間が10分となっていまして、大変苦慮しているところです。錯誤については私も申し上げたいことがたくさんあるのですけれども、そこはおいておきたいと思いますが、ただ、この点に関しましては、私のほうで、前回、お手を挙げていただいていたのに御指名するのを見落としてしまった方がお一人おられますので、その方の御意見のみこの場で頂戴して、その上でこの問題、つまり判断力に関する規定と「浅慮」、「幻惑」に関する規定についての検討は次回に回させていただくということでよろしいでしょうか。不手際で大変申しわけありません。
それでは、前回、お手を挙げていただいていましたxxxx委員、よろしくお願いいたします。
○xxxx委員 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。この検討会と直接関係しているかどうかというのが、私自身、自信が持てなかったもので、恐る恐る手を挙げていたので、恐らく気づかれなかったのだろうと、私自身の問題だろうと思います。
私はもともと専門が憲法学と情報法ですので、この問題について専門ということではないわけですが、情報との観点で少しお話をさせていただくと、事業者が知りながらというこの要件について、オンライン上の取引の場合には、いわゆるプロファイリングによって当該消費者の認知傾向とか脆弱性が分かっているという場合があり得るわけですので、そういう場合には要件を充足するという場合が多いように思われます。ケンブリッジ・アナリティカの事件などでも、この前、元ケンブリッジ・アナリティカの社員というか従業員の方が日経のインタビューで、やはり行動経済学とか心理学の手法を使っていて、あれは要するにフェイクニュースに対して脆弱な人に対してフェイクニュースを送っていたということになるわけです。そういう意味で、オンライン取引の場合には、データ上、相手がどういう状況にあるかということが分かっていることがあり得るので、その記録を踏まえれば、この要件を満たしているかどうかというのが比較的分かるのではないかというのが1点目です。
これはxxxにもしかしたら補足していただけることがあるかもしれません
が、2点目は非オンラインの対面取引の場合です。これは私自身、発想としては、いわゆる捜査機関の取調べの可視化の問題に近いのですけれども、今はもうスマートフォンを多分どちら側も持っている。高齢者の方は別かもしれませんけれども、そういう意味では交渉の様子を動画で撮影するということもあり得るのではないかと思っております。これは動画を加工するという可能性もありますので、この点でどういうふうに正確性を担保するのかということが非常に重要なポイントになるかもしれませんけれども、要するに、言った言わないという問題は、そういった動画の撮影である程度防げるようにも思います。これは最近、学生も動画面接などというのがかなり一般化しているわけですから、そういうデータというものを積極的にも使っていくことがあり得るのではないでしょうか。
これはプライバシーの問題とか、先ほどの動画の正確性の問題、いろいろあると思いますけれども、ちょっとそういうことを考えました。
もう一つ、最後ですけれども、事業者が電話などで通話の記録を録音している場合がかなりあるのではないかと思います。私自身もかつて経験があるのですが、言った言わないになりまして、その通話の記録を出してくれというか、教えてくれみたいなこと言ってもやはり出さないということがあるのですけれども、この通話の記録というものに対するアクセスを消費者側にも認めるべきなのではないかと思います。こういったデータを、今後のデータトランスフォーメーションが言われている社会ですので、うまく使っていくことで、あるいは組み合わせていくことで消費者の保護を図っていくという考え方もあり得るのではないかということでした。
ありがとうございます。
○xxxx 大変貴重な御意見をありがとうございました。
それでは、先ほども申し上げましたとおり、私の不手際で本日検討すべきことをかなり積み残すことになってしまいましたけれども、本日の会議終了時間が迫ってまいりましたので、本日はここまでとさせていただければと思います。
事務局のほうから何かございますか。
○xx消費者制度課長 本日も貴重な御意見を頂戴しましてありがとうございました。
次回、本日の続きということでお願いできればと思いますが、3月16日月曜日の13時から、場所は今日と同じでございますが、中央合同庁舎4号館4階の共用第4特別会議室で予定をしております。議題としましては、本日の積み残
しと、今、xxxx先生からもございましたが、オンライン取引における消費者保護に関する規律ということで検討をお願いできればと思っております。
以上でございます。
○xxxx ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。