判決日 勤務先 雇用形態 項目 判断 再高裁 R2.10.13 大阪薬科大 アルバイト職員(フルタイム勤務)欠勤期間含め3年在籍 契約最長5年迄 賞与 × 有給の病気休暇 × R2.10.13 メトロコマース 契約社員(フルタイム勤務)約10年間勤務65歳定年で契約終了 退職金*裁判官の補足・反対意見有 × R2.10.15 日本郵政 期間雇用社員時給制の契約社員等 10年以上勤務 扶養手当年末年始勤務手当年始の祝日給有給の夏期冬期休暇有給の病気休暇 ○○○○○ 地裁 R2.10.28...
判決日 | 勤務先 | 雇用形態 | 項目 | 判断 | |
再高裁 | R2.10.13 | 大阪薬科大 | アルバイト職員(フルタイム勤務) 欠勤期間含め3年在籍 契約最長5年迄 | 賞与 | × |
有給の病気休暇 | × | ||||
R2.10.13 | メトロコマース | 契約社員(フルタイム勤務) 約10年間勤務65歳定年で契約終了 | 退職金 *裁判官の補足・反対意見有 | × | |
R2.10.15 | 日本郵政 | 期間雇用社員 時給制の契約社員等 10年以上勤務 | 扶養手当 年末年始勤務手当年始の祝日給 有給の夏期冬期休暇有給の病気休暇 | ○ ○ ○ ○ ○ | |
地裁 | R2.10.28 | 自動車学校 | 再雇用嘱託 | 基本給 | ○ |
令和2年冬号
Smile通信 vol.11 ~同一労働同一賃金関連~ xxxxx管理事務所
最高裁判所は2020年10月、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を禁止した労働契約法20条に係る訴訟について相次いで判決を下しています。本号では、この判決を取り上げます。今後有期契約労働者の労働条件に影響する事も考えられます。
判決一覧 |
判断○=不合理を認定 判断×=不合理を認定せず |
解説 退職金・賞与の格差「不合理とは評価できず」 私傷病の休暇は判決割れる |
退職金・賞与 仕事内容や配置転換の有無などを正社員と比較して「不支給は不合理でない」と判断 正社員への登用制度がある事も考慮され、退職金や賞与は、正社員としての職務を遂行できる人材の確保や定着を図る目的が含まれると位置づけられた。 なお、退職金については、裁判官の補足意見と反対意見が付された。補足意見として、退職金制度の構築に関し、社会経済情勢の動向や経営状況にも左右されるものと言え、使用者の裁量判断を尊重する余地は比較的大きいものとされた。また反対意見として、継続勤務に対する功労補償は契約社員にも一部あてはまると付記された。 手当・休暇 支給要件の趣旨は期間雇用社員にも妥当するとして「与えられないのは不合理」と判断 ♦扶養手当・・・家族がいる従業員の生活設計を手助けし、長期勤務につなげてもらう趣旨 ♦年末年始勤務手当・・・年末年始の最繁忙期に勤務したことへの対価 ♦有給の夏冬期休暇(年次有給休暇にプラスして)・・・休暇の目的は労働から離れる機会を与え心身の回復を図ること ♦有給の病気休暇(年次有給休暇にプラスして)・・・私傷病の療養に専念される事を通して継続的な雇用確保する目的 (大阪薬科大訴訟では、長期雇用を前提として勤務を予定しているものとは言い難いと、不合理と認定されず)上記の他、上告不受理により住宅手当、勤続褒賞などの労働条件の相違が不合理とされた。 再雇用者の基本給(名古屋地裁判決) 「定年前の基本給の6割を下まわるのは不合理」と線引きを示した 仕事内容や責任が正社員と変わらないことを前提としたものの、基本給のあり方に踏み込んでおり、企業に待遇見直しを迫る司法判断と言える。企業は基本給や賞与を引き下げる場合、仕事内容や責任範囲の変化を踏まえバランスの取れた金額設定とする必要がある。 |
最高裁判決の見方 |
最高裁は過去の訴訟で、手当等について「各賃金項目の性質や趣旨を個別に見極める」との枠組みを示していた。 今回の判決から、賞与や退職金は、長期に渡る勤続とそれによる職務遂行能力の向上を促す役割として、長期的に育成する正社員に絞った支給には合理性があると解釈したと読み取れる。また手当や休暇についても今回の判決で、これが定着したと言える。 いずれも、従来の枠組みを踏襲したものと考えられる。 |
今後の対策 |
最高裁は、処遇制度や職務内容の実態といった個別の事情を見極めて判断を示している。 判決に照らして、非xxで働く人に退職金や賞与を払わなくても良いと、一般化はできない。待遇格差があれば、曖昧な理由で処遇に差を付けることは認められず、「明確な説明ができるか」という視点で再確認する必要がある。 |