自然条件、設計変更、工事範囲(scope of work)の変更、法律の改廃等、多様な不確定要因 がある。これらは契約当事者にとって予見できないリスクであり、契約当事者が、そのすべ てを制御することは不可能である。このように大きな不確実性やリスクが介在する場合、生 起しうるすべての状況に対応しうる契約を記述することは不可能である。むしろ、契約内容 を詳細に記述しない不完備契約(各状況に対して講じるべき行動が具体的に記述されてい...
国際建設プロジェクトと契約紛争
xx xx
【日本の建設請負契約におけるxxx】
日本の建設請負契約において、発注者と請負者の間で契約履行に関する紛争が発生することはほとんどない。一方で、海外工事においては、しばしば契約紛争が発生する。契約マネジメントの不備や交渉能力の不足により、海外建設工事により多額の損失が発生した事例は事欠かない。
日本国内における建設請負契約の特殊性は、契約の前提となっているxxxにあると言われる。日本の建設業法第18条は、建設請負契約の原則として「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいてxxな契約を締結し、xxに従い誠実にこれを履行しなければならない」としている。これはまさしく民法第1編第1条基本原則
「権利の行使及び義務の履行はxxに従ひ誠実に之を為すことを要す」という精神をそのまま映したものである。すなわち、契約当事者間の相互信頼を基盤とするxxxに基づいて、契約遂行に付随して生じる紛争・対立を解決しようとする。しかし、国際建設プロジェクトでは、価値観や倫理観が異なる当事者の間で契約が締結される。このような建設プロジェクトは、そもそもxxxそのものが成立しない。xxxが有効に機能しない場合、日本的な方法で契約紛争を解決することは不可能である。
ところで、xxxが問題になるのは、建設請負契約が契約として完全でない(不完備性と呼ぶ)ためである。契約が完全であれば、そもそも契約当事者の間にxxxというものを持ち込まなくても良い。建設工事は一般に規模が大きく複雑で、契約図書の数も膨大となる。建設工事には地質条件、自然条件、設計変更、工事範囲の変更、法律の改廃等、多様な不確定要因がある。これらは契約当事者にとって予見できないリスクであり、これらのリスクより生じるすべての状況を契約の中に記述することは不可能である。
伝統的な契約は「申し込み」に対し「約因」の存在の下で「受諾」すれば契約が成立するとともに、その内容は将来生起する全ての状態に対して記述されており確定しているという基本的な立場に立っている。しかし、建設プロジェクト契約は他の売買契約等と異なり、契約当事者間でリスクの負担、費用の帰属等に関し疑義が生じ、紛争に発展することが頻繁に起こる。建設プロジェクト契約の特徴は、契約履行時にその不完備な部分を契約当事者が交渉しながら補っていくことを予定している(契約変更の再交渉を許す)点にあ る。このような特徴を持つ契約は不完備契約と呼ばれる。
【不完備契約としての建設プロジェクト契約】
伝統的な契約理論は、将来に生起しうる事象に対する当事者達の合意事項をできるだけ 完全に契約条項に含むべきであるという立場に立ってきた。しかし、建設工事には地質条件、
自然条件、設計変更、工事範囲(scope of work)の変更、法律の改廃等、多様な不確定要因 がある。これらは契約当事者にとって予見できないリスクであり、契約当事者が、そのすべ てを制御することは不可能である。このように大きな不確実性やリスクが介在する場合、生 起しうるすべての状況に対応しうる契約を記述することは不可能である。むしろ、契約内容 を詳細に記述しない不完備契約(各状況に対して講じるべき行動が具体的に記述されてい ないような契約)とならざるを得ない。不完備契約では、リスクが起こった時点で、契約当 事者が契約内容の変更に合意することを認める。各状況と対応した詳細な契約内容を記述 するかわりに、リスク分担や契約変更のルールが契約の中に記述される(xxx 2001a)。当 然のことながら、建設プロジェクト契約は建設工事に関わる極めて多くの契約事項を集x xしたものであり、工事内容の全てに対して契約変更を認めることは効率的ではない。事実、建設プロジェクト契約には、契約変更が認められていない契約事項も数多い。「いずれの契 約事項を契約変更の対象とすべきか」は、対象とするリスクの性質に依存する。不完備契約 では、リスクが生起した場合、1)誰が損失を負担するのか、2)契約変更を認めるか否か、 というルールが重要となる。
契約遂行上生じた紛争を解決する上で、紛争の原因となっている契約事項の内容を「当事者以外の第 3 者が客観的に確認することが可能かどうか」が問題となる。工事価格や工期等、契約書に明記されているいくつかの契約事項に関しては、それが遵守されているか否かを裁判において立証することが可能である。しかし、建設工事に付随する多くの不確定要因や投資内容は契約の中に具体的な契約事項として明記されていない。また、専門家でない第 3 者が不確定要因の実現値を客観的に観測できない場合も少なくない。この場合、裁判所や
第 3 者がこれらの実現値に基づいて紛争を仲裁することが困難となる。このような要因は、観察可能であるが立証不可能であると呼ばれる。
【建設プロジェクト契約に関わるリスク】
建設プロジェクトは、発注者が事業を計画し、調査・設計することにより始まる。建設会社は入札公告で与えられた資料に基づいて建設費を見積り、入札書類を提出する。入札の結果、落札した建設会社が受注者となる。受注者は施工準備、施工を経て工事を完成させる。発注者の支払は契約締結直後に始まり、工事中の支払いを経て、工事完成後一定の期間内に完了する。各段階が部分的に重複することもあるが、建設プロジェクト契約に関わるリスクは極めて多岐に亘る。
リスクの分担方法を決定する場合、契約当事者のうち「誰がそのリスクの発生を制御しう る立場にいるのか」が重要となる。言い換えれば、それぞれのリスクに対して影響を及ぼす 当事者の行動(ハザード)を特定化することが重要となる。発注者に起因するハザードがあ るリスクとしては、建設プロジェクト契約以前に発生する社会リスクや発注者の行動がペ リルとなる契約リスクがある。これらのリスクは発注者自身が「起こりうる損失発生の直接 の原因(ペリル)」に関与すると同時に当事者の行動がハザードの原因になっている。しかし、
発注者による事前の入念な調査・計画・設計及び周辺住民との合意形成を通じて、この種のリスクをある程度制御することが可能である。一方、受注者にハザードがあるリスクとしては、受注者自身がペリルとなる契約リスク(労働災害リスク、性能リスク、瑕疵担保リスクなど)が該当する。経済リスクの中には、受注者は資材、資金等の調達先または調達のタイミングを工夫することにより、損害の大きさをある程度制御することが可能であるリスクが存在する。また、下請/材料業者の倒産リスクは、業者選定の際に受注者がその財務状況を検討する立場にあり、受注者がハザードとなるリスクに分類できる。なお、許認可リスク、第 3 者による物的人的被害リスク、他の契約者による傷害リスク、特許/著作権リスクなどは、当事者が自己責任の下に管理すべきリスクであり、ハザードを発注者、受注者のどちらかに一意的に帰属させることはできない。
建設リスクの中には、上述の他に、xxxxがいずれの契約当事者に起因するかが明瞭でないリスクが存在する。不可抗力リスク、上位計画の変更リスク、法令・税制改廃リスク、通貨規制リスクがこれに該当する。
【リスク事象とリスク分担原則】
リスク分担の問題は、「リスクにより発生した損失をどちらの契約当事者に帰属させるべきか」という問題である。契約法におけるリスク分担は「もし、そのリスク事象が発生することを事前に予見できていた場合、契約当事者等がどのようにその費用を分担するだろうか」を問う問題に帰着する。言い換えれば、まず 1)「契約当事者の内、どちらの主体がそのリスクを防ぐ、あるいは減らすのにより適した立場にいるか」を問うべきであり、あるいは、2)もしそのリスクを防ぐことができなければ、「どちらの当事者がそのリスクから身を守るのに適した立場にいるか」を問うべきである。
ここから、次に示す2つのリスク分担の基本原則が導かれる。すなわち、第 1 にリスクはリスクの大きさと確率をより正確に評価し、それを制御できる主体が負担すべきである(第 1 原則と呼ぶ)。さらに、いずれの当事者もリスクを評価、制御できない場合には、2)そのリスクをより容易に引き受けることができる主体が負担すべきである(第2原則と呼ぶ)。
このリスク分担原則に従えば、xxxxの原因となっている当事者が明確な場合には、ハザードを制御し得る当事者が負担すべきであるという第1原則が適用される。一方、xxxxが契約当事者に帰属しない場合、より大きなリスクを負担できる当事者(公共プロジェクトの場合は発注者)が負担すべきであるという第2原則が適用される(xxx 2001a)。
【契約変更ルール】
建設プロジェクト契約が一度締結されれば、どちらの当事者も他方の当事者の同意がない限り契約内容を変更できない。しかし、契約締結後に契約内容の変更が生じる可能性がある。建設プロジェクト契約では、契約変更を認めることにより契約当事者達双方の利益が増加する場合において契約変更が正当化される。逆に、一方の契約当事者が取引余剰の引き上
げる目的で行う契約変更は正当化できない。したがって、本来受注者が負担すべきリスク事象に関して生じた損失は受注者自身が負担すべきであり契約変更は認められない。一方、1)リスク分担の第 1 原則により発注者が負担すべきリスク、2)リスク分担の第2原則によりリスク負担能力が大きい主体が負担すべきリスクが契約変更の対象となる。ただし、事業破綻、物価変動、不可抗力リスクなどは、発注者、受注者のいずれにもハザードが介在する、もしくは不可抗力に起因して生じるリスクであり、このようなりリスクに関しては、契約の中で契約変更後の費用負担ルールが記述されることになる。
【FIDIC におけるクレームと建設紛争】
多くの海外建設工事で用いられる FIDIC (Federation Internationale Des Ingenieurs Conseils)の国際契約約款では、工事中に初期契約の内容と異なる状況が発生した場合、受注者は契約内容の変更を発注者(その代理者としてのエンジニア)に通告し、両者は契約変更をめぐって交渉に入る。建設プロジェクト契約が不完備契約である以上、受注者がクレームを自覚しその意図をエンジニアに通告することは受注者にとって正当な権利である。
発注者と受注者の問に状況と契約変更に関する共通認識が形成され、双方の当事者がそのことを相互確認している限りにおいて効率的な契約変更が可能である。しかし、当事者間に認識の不一致や情報の非対称性が存在する場合には、契約変更をめぐって契約紛争が発生する。あるいは第3者より、変更内容について詳細に知り得るという情報の非対称性が存在する。あるいは、エンジニアや第3者が契約内容の変更を完全に把握することが困難であることから、エンジニアや第3者が誤った判断を導く可能性もある。このような契約変更の不完全性が存在するため、受注者が通告するクレームの中に論拠のあまりないもの、エンジニアや第3者の誤りを期待したクレームが含まれる可能性を否定できない(xxx2001b)。
建設プロジェクト契約紛争の場合、請負者が通告したクレームに対して、xxxxxと請負者の間で十分な協議がなされる。クレームをめぐって紛争が生じるのは、エンジニアと請負者の間で初期契約の内容や契約変更に関する解釈の違いが原因となっている場合が多い。したがって、まったく根拠を持たない言いがかりクレームが建設プロジェクト契約紛争に発展する場合はほとんどない。むしろ、クレームの正当性をめぐって紛争が発展する。このため、紛争解決の効率化の視点にたてば、クレームが紛争までに発展することに意義があるかどうかが問題となる。言い換えれば、クレームに多少ともメリットはあるものの、交渉費用、仲裁費用を支払っても紛争に発展させる意義があるかどうかが問題となる。
海外工事では、メリットの少ないクレームが紛争に発展する場合が少なくない。このような契約紛争は以下のような理由で発生すると考えられる。すなわち、1)請負者とエンジニア・仲裁人の間に情報の非対称性があり、仲裁において請負者に有利な判定がでる可能性がある。2)仲裁に発展すれば発注者にも費用が発生するため、発注者が紛争の発展
を期待しない場合がある。この時、交渉過程の中で和解が成立すれば請負者が和解利得を獲得できる。このように紛争解決過程が完全には機能しない場合、メリットの少ないクレームまでが紛争に発展する可能性がある。
【建設仲裁】
FIDIC では、エンジニアの査定や決定に不満なクレームは紛争解決条項に基づいて、再度エンジニアの決定に委ねられなければならない。xxxxが提出されエンジニアにより棄却された場合に紛争となる。この決定は紛争が仲裁に委ねられ裁決が下るまで、両当事者にとって最終的かつ拘束力をもつ。FIDIC 約款の基となった英国の ICE 約款、及び FIDIC 初版から 4 版(1987 年版)までの約款では、エンジニアに工事監理・契約管理という発注者の代理人としての業務、中立・xxな査定・決定者、最後に準司法的裁定者という複数の責務を果たすことが求められていた。一方、エンジニアは発注者に雇用され、かつ工事契約の準備段階における設計や契約図書作成に関わったコンサルタントがそのままエンジニアになることが一般的である。
このような契約構造の中ではたしてエンジニアが中立・xxを保つことが出来るかどうかが疑問視された。この問題を克服するために、1999 年版の FIDIC 約款では DAB(Dispute Adjudication Board)を設置することを規定している。エンジニアとは別に建設工事の最初の段階より、発注者と受注者の双方が契約履行開始と同時に DAB を設定する。DAB のメンバーは当該建設工事に関する専門知識と豊富な経験を有する人材から選定する。DAB は工事の開始と同時に契約図書を精読し、発生問題を初期段階で把握し、紛争が発生した場合には中立的な裁定者として紛争解決のための決定を行う。DAB を雇用するための費用は発注者と受注者の双方が折半する。紛争当事者は DAB の決定に従うか、それでも不満な場合には仲裁人による最終解決が図られる。発注者、受注者のいずれかが仲裁人による判断を求めない限り、DAB の判断が最終決定となる。
一方、アメリカ合衆国では、発注者と受注者の双方が契約履行開始と同時にDRB (Dispute Review Board)を設定する場合が多い。DAB の場合と同様に、DRB は契約時点から工事の進捗状況を観測し、紛争が生じた場合には中立的な裁定者として紛争解決に関して勧告を行う。DAB の決定は(仲裁に発展しない限り)最終決定として拘束力を持つが、 DRB の判断は勧告(recommendation)であり、拘束力を持たない。しかし、DRB、DAB のいずれの方式も、紛争の効率的な解決方法として期待されている。
以上見てきたように、国際建設プロジェクトでは、発注者と受注者の間で契約の解釈についてしばしば対立が生じる。しかし、エンジニアを間に挟んで敵対し合う契約形態、契約履行ではなく、当事者が如何に協力し合って契約を遂行し、工事コストを抑え、工事遅延を防ぎ、紛争を予防するかを真剣に考え、実行する時代が来ていると理解すべきであろう。DAB やDRB の導入、パートナリング(複数の利害相反する人々がチーム構成員となってプロジェクトを実施する方式)やアライアンス(発注者と受注者が,双方によりよい
成果を得る協同的アプローチのもとでプロジェクトに取り組む方式)の採用、ECI (Early Contractor Involvement)方式(設計段階から施工者が参画し、施工の実施を前提として設計に対する技術協力を行う方式)などの新しい試みが導入されている。国際建設プロジェクト契約のみならず、国内の工事契約においてもこれらの新しい契約形態や紛争解決手続きを今以上に採用する価値が十分あると考える。
【追記:日本の契約約款】
日本の公共工事標準請負契約約款(平成 29 年版)(The Standard Form of Agreement and General Conditions of Government Contract for Works of Building and Civil Engineering Construction,以下GCW と略す)も、FIDI と同様に、1)外生的リスクの分担ルールに関しては大きな差異はなく,2)少なくとも理念的には望ましいリスク分担ルールを採用している。GCW においても請負者が追加的支払を請求する権利を認めている。この点では、 GCW と FIDIC において大きな差異はない。一方、追加的支払を得るための手続きに関しては大きな差異が見られる。GCW には、クレーム条項は存在しないが、請負者が契約変更に関して発注者と交渉する権利を認めている。例えば、GCW 第 23 条では『工期の変更については甲乙協議して定める.』と規定している。合意に至らなかった場合には紛争解決が直ちに第 3 者である調停人、又は紛争審議会のあっせん、又は調停あるいは仲裁に委ねられる.現実的には,発注者側が契約変更を決定するという立場に立っている。GCWには、契約変更の立証責任に関する規定が存在していない。発注者側が契約変更の内容を過不足なく規定できるという前提に立っており、請負者側の立証責任の必要性を認めていない。この前提が成立する限り,FIDIC が求めるような立証手続きを経る必要性もなく、契約変更の効率性も達成できる。なお、公共事業の場合、発注者は会計検査院に対して契約変更の正当性を立証する責務を負う。しかし、公費使途の効率性に関する検証を目的とするものであり、請負者に対する立証ではない。
xxx(xx 2001)は、GCW が想定しているように発注者側に契約変更に関する立証能力がある場合と FIDIC が想定しているように発注者側に立証能力がない場合のそれぞれに対して、最適な不完備契約構造(初期契約の構造,契約変更ルール)を理論的に導出している。その結果、発注者側の立証能力に関するそれぞれの前提に立てば、GCW、FIDICはともに最適な不完備契約方式であることを理論的に証明している。言い換えれば、 GCW、FIDIC は、制度の維持費用や紛争解決費用などの取引費用を無視すれば、それが用いられる契約環境が成立している限り、それぞれ望ましい契約方式なのである。
GCW では発注者側が契約変更に対する十分な立証能力があり、発注者側の請負者が十分に納得のいくような契約変更を設計できることが前提である。発注者側に十分な立証能力が備わっている限りGCW は効率的な契約方式であり、しかも交渉費用を大幅に節約できるという利点がある。また、発注者側に十分な立証能力が備わっていれば、発注者と請負者の間に長期的な信頼関係を樹立することも可能だろう。すなわち、発注者に十分な契
約変更能力があることが契約当事者間にとっての共有知識となれば、このことにより両者間に信頼関係が成立する環境を作り出すことができる。しかしながら、発注者側に十分な立証能力がない場合や両者の間にxxxがない場合には、その限りではない。
一方、FIDIC による多くの海外建設事業では、契約変更による取引費用が膨大となる傾向がある。FIDIC は発注者に契約変更に関する立証能力がなくても適用可能な建設契約方式である。しかし、発注者に立証能力が欠如する場合、契約遂行において受注者が戦略的に行動するという内生的リスクが発生する可能性が高まる。また、発注者側による事前の入念な調査・設計により地盤リスク等の外生的リスクを減少できる利点を無視できない。むしろ、発注者と請負者の双方に契約変更に関する立証能力が十分にあり、契約当事者間に信頼関係が樹立されていれば、GCW により契約変更の効率化が達成できる可能性がある。
FIDIC、GCW は,それが前提とする条件が成立する限り効率的な契約方式であり、例えば、国際的標準としていずれか1つの方式に統一されるべきものではない。それぞれの契約約款がより効果を発揮し得る適用範囲が存在する。特に、過去の豊富な工事実績を有する建設工事においては、GCW により効率的な建設契約を締結できる。また、発注者側に立証能力がある場合でも、請負者側に立証責任を帰属させたような契約変更手続きを設計することも可能だろう。このような契約変更ルールに関して、継続的に検討することが必要である。
【参考文献】
1) xxxx,xxxx,xxxx,xxxx:建設請負契約の構造と社会的効率性,土木学会論文集, No. 688/IV-53,pp. 89-100, 2001.
2) xxxx,xxxx,xxxx:建設請負契約におけるリスク分担,土木学会論文集,No.693/VI53, pp.205-217, 2001a.
3) xxxx,xxxx,xxxx:建設契約紛争における和解と仲裁,土木学会論文集,No.693/VI53,
pp.231-243, 2001b.