労働条件分科会(第 181 回) 参考資料 No.6 令和4年 10 月 26 日
労働条件分科会(第 181 回) | 参考資料 No.6 |
令和4年 10 月 26 日 |
労働契約関係の明確化に関する現在の法制度等(本日の論点関連)
○労働契約法(平成 19 年法律第 128 号) 抄
(目的)
第1条 この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
(労働契約の原則)
第3条 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、xxに従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
(労働契約の内容の理解の促進)
第4条 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。
(労働契約の成立)
第6条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
第7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第 12 条に該当する場合を除き、この限りでない。
(労働契約の内容の変更)
第8条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第 10 条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第 12 条に該当する場合を除き、この限りでない。
(就業規則の変更に係る手続)
第 11 条 就業規則の変更の手続に関しては、労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)第 89 条及
び第 90 条の定めるところによる。
(就業規則違反の労働契約)
第 12 条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
(法令及び労働協約と就業規則との関係)
第 13 条 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第 10 条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。
(出向)
第 14 条 使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。
(懲戒)
第 15 条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
(解雇)
第 16 条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
〇「労働契約法の施行について」の一部改正について(平成 30 年 12 月 28 日基発 1227 第 17号) 抄
第2 総則(法第1章関係)
3 労働契約の原則(法第3条関係)
(3) 均衡考慮の原則(法第3条第2項関係)
法第3条第2項は、労働契約の締結又は変更に当たり、均衡を考慮することが重要であることから、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者が、労働契約を締結し、又は変更する場合には、就業の実態に応じて、均衡を考慮すべきものとするという「均衡考慮の原則」を規定したものであること。
4 労働契約の内容の理解の促進(法第4条関係) (1) 趣旨
労働契約は、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者の合意のみにより成立する契約 (諾成契約)であるが、契約内容について労働者が十分理解しないまま労働契約を締結又は変更し、後にその契約内容について労働者と使用者との間において認識の齟齬が生じ、これが原因となって個別労働関係紛争が生じているところである。労働契約の内容である労働条件については、労働基準法第 15 条第1項により締結時における明示が義務付けられているが、個別労働関係紛争を防止するためには、同項により義務付けられている場面以外においても、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者が契約内容について自覚することにより、契約内容があいまいなまま労働契約関係が継続することのないようにすることが重要である。
このため、法第4条において、労働契約の内容の理解の促進について規定したものであること。
(2) 労働者の理解の促進(法第4条第1項関係)
ア 法第4条第1項は、労働条件を提示するのは一般的に使用者であることから、使用者は労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について労働者の理解を深めるようにすることを規定したものであること。
イ 法第4条第1項は、労働契約の締結前において使用者が提示した労働条件について説明等をする場面や、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が広く含まれるものであること。これは、労働基準法第 15 条第1項により労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時より広いものであること。
ウ 法第4条第1項の「労働者に提示する労働条件」とは、労働契約の締結前又は変更前において、使用者が労働契約を締結又は変更しようとする者に提示する労働条件をいうものであること。
エ 法第4条第1項の「労働契約の内容」は、有効に締結又は変更された労働契約の内容をいうものであること。
オ 法第4条第1項の「労働者の理解を深めるようにする」については、一律に定まるものではないが、例えば、労働契約締結時又は労働契約締結後において就業環境や労働条件が大きく変わる場面において、使用者がそれを説明し又は労働者の求めに応じて誠実に回答すること、労働条件等の変更が行われずとも、労働者が就業規則に記載されている労働条件について説明を求めた場合に使用者がその内容を説明すること等が考えられるものであること。
(3) 書面確認(法第4条第2項関係)
ア 法第4条第2項は、労働者及び使用者は、労働契約の内容について、できる限り書面で確認することについて規定したものであること。
イ 法第4条第2項は、労働契約が締結又は変更されて継続している間の各場面が広く含まれるものであること。これは、労働基準法第 15 条第 1 項により労働条件の明示が義務付けられている労働契約の締結時より広いものであること。
ウ 法第4条第2項の「労働契約の内容」については、(2)エと同様であること。
エ 法第4条第2項の「(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)」は、期間の定めのある労働契約が締結される際に、期間満了時において、更新の有無や更新の判断基準等があいまいであるために個別労働関係紛争が生じていることが少なくないことから、期間の定めのある労働契約について、その内容をできる限り書面により確認することが重要であることを明らかにしたものであること。
「期間の定めのある労働契約に関する事項」には、労働基準法施行規則(昭和 22 年厚生省
令第 23 号)第5条において、労働契約の締結の際に使用者が書面により明示しなければならないこととされている更新の基準が含まれるものであること。ただし、労働者が次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができること。
① ファクシミリを利用してする送信の方法
② 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電
気通信(電気通信事業法(昭和 59 年法律第 86 号)第2条第1号に規定する電気通信をいう。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
なお、法第4条第1項等法の他の規定における「労働契約の内容」についても、期間の定めのある労働契約に関する事項は含まれるものであること。
オ 法第4条第2項の「できる限り書面により確認する」については、一律に定まるものではないが、例えば、労働契約締結時又は労働契約締結後において就業環境や労働条件が大きく変わる場面において、労働者及び使用者が話し合った上で、使用者が労働契約の内容を記載した書面を交付すること等が考えられるものであること。
第3 労働契約の成立及び変更(法第2章関係)
2 労働契約の成立(法第6条・第7条関係) (1) 法第6条
イ 内容
(オ) 法第6条に「合意することによって成立する」と規定されているとおり、労働契約は、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者の合意のみにより成立するものであること。したがって、労働契約の成立の要件としては、契約内容について書面を交付することまでは求められないものであること。
3 労働契約の内容の変更(法第8条関係) (2) 内容
イ 法第8条に「合意により」と規定されているとおり、労働契約の内容である労働条件は、労働契約の締結当事者である労働者及び使用者の合意のみにより変更されるものであること。したがって、労働契約の変更の要件としては、変更内容について書面を交付することまでは求められないものであること。
6 就業規則違反の労働契約(法第 12 条関係) (1) 趣旨
就業規則は、労働条件を統一的に設定するものであり、法第7条本文、第 10 条本文及び第
12 条においては、一定の場合に、労働契約の内容は、就業規則で定めるところとなることを規定しているところである。
一方、就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた場合及び就業規則の変更によっては変更されない労働条件を合意していた場合には、それぞれ、法第7条ただし書及び第 10 条ただし書によりその合意が優先されることとなるものであるが、就業規則を下回る個別の合意を認めた場合には、就業規則の内容に合理性を求めている法第7条本文及び第 10 条本文の規定の意義が失われ、個別労働関係紛争をも惹起しかねないものである。
このため、個別労働関係紛争の防止にも資するよう、法第 12 条において、就業規則を下回
る労働契約の効力について規定したものであること。
(2) 内容
ア 法第 12 条は、就業規則を下回る労働契約は、その部分については就業規則で定める基準まで引き上げられることを規定したものであること。
イ 法第 12 条の「就業規則」については、2(2)イ(エ)と同様であること。
ウ 法第 12 条の「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約」とは、例えば、就業規則に定められた賃金より低い賃金等就業規則に定められた基準を下回る労働条件を内容とする労働契約をいうものであること。
エ 法第 12 条は、就業規則で定める基準以上の労働条件を定める労働契約は、これを有効とする趣旨であること。
オ 法第 12 条の「その部分については、無効とする」とは、就業規則で定める基準に達しない部分のみを無効とする趣旨であり、労働契約中のその他の部分は有効であること。
カ 法第 12 条の「無効となった部分は、就業規則で定める基準による」とは、労働契約の無効となった部分については、就業規則の規定に従い、労働者と使用者との間の権利義務関係が定まるものであること。
キ なお、労働基準法第 93 条については、法附則第2条による改正により、「労働契約と就業規則との関係については、労働契約法第 12 条の定めるところによる」旨を規定したところであり、これは、改正前と同内容であること。
○労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号) 抄
(この法律違反の契約)
第 13 条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
(労働条件の明示)
第 15 条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
(退職時等の証明)
第 22 条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
(作成及び届出の義務)
第 89 条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
(作成の手続)
第 90 条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
2 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
(法令及び労働協約との関係)
第 92 条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
2 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。
(労働契約との関係)
第 93 条 労働契約と就業規則との関係については、労働契約法(平成 19 年法律第 128 号)第
12 条の定めるところによる。
(法令等の周知義務)
第 106 条 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第 18 条第2項、第
24 条第1項ただし書、第 32 条の2第1項、第 32 条の3第1項、第 32 条の4第1項、第 32
条の5第1項、第 34 条第2項ただし書、第 36 条第1項、第 37 条第3項、第 38 条の2第2
項、第 38 条の3第1項並びに第 39 条第4項、第6項及び第9項ただし書に規定する協定並
びに第 38 条の4第1項及び同条第5項(第 41 条の2第3項において準用する場合を含む。)
並びに第 41 条の2第1項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
(記録の保存)
第 109 条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間五年間保存しなければならない。
第 120 条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第 14 条、第 15 条第1項若しくは第3項、第 18 条第7項、第 22 条第1項から第3項
まで、第 23 条から第 27 条まで、第 32 条の2第2項(第 32 条の3第4項、第 32 条の4
第4項及び第 32 条の5第3項において準用する場合を含む。)、第 32 条の5第2項、第
33 条第1項ただし書、第 38 条の2第3項(第 38 条の3第2項において準用する場合を
含む。)、第 39 条第7項、第 57 条から第 59 条まで、第 64 条、第 68 条、第 89 条、第
90 条第1項、第 91 条、第 95 条第1項若しくは第2項、第 96 条の2第1項、第 105 条
(第 100 条第3項において準用する場合を含む。)又は第 106 条から第 109 条までの規定に違反した者
○労働基準法施行規則(昭和 22 年厚生省令第 23 号) 抄
第5条 使用者が法第 15 条第1項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第1号の2に掲げる事項については期間の定めのある労働契約であつて当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第4号の2から第 11 号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。
一 労働契約の期間に関する事項
一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項七 安全及び衛生に関する事項
八 職業訓練に関する事項
九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項十 表彰及び制裁に関する事項
十一 休職に関する事項
2 使用者は、法第 15 条第1項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはならない。
3 法第 15 条第1項後段の厚生労働省令で定める事項は、第1項第1号から第4号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。
4 法第 15 条第1項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。一 ファクシミリを利用してする送信の方法
二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和59 年法律第86 号)第2条第1号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
第6条の2 法第 18 条第2項、法第 24 条第1項ただし書、法第 32 条の2第1項、法第 32
条の3第1項、法第 32 条の4第1項及び第2項、法第 32 条の5第1項、法第 34 条第2項
ただし書、法第 36 条第1項、第8項及び第9項、法第 37 条第3項、法第 38 条の2第2
項、法第 38 条の3第1項、法第 38 条の4第2項第1号(法第 41 条の2第3項において準
用する場合を含む。)、法第 39 条第4項、第6項及び第9項ただし書並びに法第 90 条第1項に規定する労働者の過半数を代表する者(以下この条において「過半数代表者」とい
う。)は、次の各号のいずれにも該当する者とする。
x x第 41 条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
二 法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であつて、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと。
2 前項第1号に該当する者がいない事業場にあつては、法第 18 条第2項、法第 24 条第1
項ただし書、法第 39 条第4項、第6項及び第9項ただし書並びに法第 90 条第1項に規定する労働者の過半数を代表する者は、前項第2号に該当する者とする。
3 使用者は、労働者が過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
4 使用者は、過半数代表者が法に規定する協定等に関する事務を円滑に遂行することができるよう必要な配慮を行わなければならない。
第 52 条の2 法第百六条第一項の厚生労働省令で定める方法は、次に掲げる方法とする。一 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
二 書面を労働者に交付すること。
三 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること
第 56 条 法第 109 条の規定による記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次のとおりとする。
一 労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日二 賃金台帳については、最後の記入をした日
三 雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日四 災害補償に関する書類については、災害補償を終わつた日
五 賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日
2 前項の規定にかかわらず、賃金台帳又は賃金その他労働関係に関する重要な書類を保存すべき期間の計算については、当該記録に係る賃金の支払期日が同項第2号又は第5号に掲げる日より遅い場合には、当該支払期日を起算日とする。
3 前項の規定は、第 24 条の2の2第3項第2号イ及び第 24 条の2の3第3項第2号イ
に規定する労働者の労働時間の状況に関する労働者ごとの記録、第 24 条の2の4第2項
(第 34 条の2の3において準用する場合を含む。)に規定する議事録、年次有給休暇管理簿
並びに第 34 条の2第 15 項第4号イからヘまでに掲げる事項に関する対象労働者ごとの記録について準用する。
〇労働基準法通達
【施行規則第5条第1項の趣旨】
(一) 本条は、使用者が法第 15 条の規定により、労働者に対して明示すべき労働条件の範囲を定めているのであって、労働基準法にいう労働条件の定義を規定したものではないこと。
(二) 本条にいう「明示」は常時十人以上の労働者を使用する事業においては、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えないこと。
(三) 本条第4号の2から第 11 号までに掲げる事項については、使用者がこれらに関す る定めをしない場合においては、これを明示することを要しないことに留意すること。
(昭和 29 年 6 月 29 日基発 355 号、昭和 63 年 3 月 14 日基発 150 号、平成 11 年 3 月 31
日基発 168 号)
【賃金に関する事項以外の書面の交付により明示すべき事項】
使用者が労働契約の締結の際に書面により明示すべき事項として、次の事項を追加したものであること。
(一)労働契約の期間に関する事項
期間の定めのある労働契約の場合はその期間、期間がない労働契約の場合はその旨を明示しなければならないこと。
(二)就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りるものであるが、将来の就業場所や従事させる業務を併せ網羅的に明示することは差し支えないこと。
(三)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
当該労働者に適用される労働時間等に関する具体的な条件を明示しなければならないこと。
なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、所定労働時間を超える労働の有無以外の事項については、勤務の種類ごとの始業及び終業の時刻、休日等に関する考え方を示した上、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものであること。
(四)退職に関する事項
退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければならないこと。
なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものであること。
(平成 11 年 1 月 29 日基発 45 号)
【書面により明示すべき賃金に関する事項】
書面によって明示すべき事項は、賃金に関する事項のうち、労働契約締結後初めて支払われる賃金の決定、計算及び支払の方法並びに賃金の締切り及び支払の時期であること。具体的には、基本賃金の額(出来高払制による賃金にあっては、仕事の量(出来高)に対する基本単価の額及び労働時間に応じた保障給の額)、手当(労働基準法第二四条第二項本文の規定が適用されるものに限る。)の額又は支給条件、時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増賃金について特別の割増率を定めている場合にはその率並びに賃金の締切日及び支払日であること。
また、交付すべき書面の内容としては、就業規則等の規定と併せ、前記の賃金に関する事項が当該労働者について確定し得るものであればよく、例えば、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えないこと。この場合、その就業規則等を労働者に周知させる措置が必要であることはいうまでもないこと。
(昭和 51 年 9 月 28 日基発 690 号、昭和 63 年 3 月 14 日基発 150 号、平成 11 年 3 月 31 日
基発 168 号)
【労働契約締結時の解雇事由の明示】
使用者が労働契約の締結に際し書面の交付により明示すべき労働条件として、「退職に関する事項」に「解雇の事由」が含まれることを則において明らかにすることとしたものであること。
なお、当該明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるものであること。
(平成 15 年 10 月 22 日基発 1022001 号)
【退職手当に関する事項】
規則第五条の改正は、退職手当に関する就業規則の法定記載事項を明記したことに伴い、明示しなければならない労働条件として退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項を規定したものであること。
(昭和 63 年 1 月 1 日基発 1 号、昭和 63 年 3 月 14 日基発 150 号、平成 11 年 3 月 31 日基発
168 号)
【始業・終業の時刻等が勤務態様等により異なる場合】
一 同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則に勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻を規定しなければならない。
二 しかしながら、パートタイム労働者等のうち本人の希望等により勤務態様、職種等の別ごとに始業及び終業の時刻を画一的に定めないこととする者については、就業規則には、基本となる始業及び終業の時刻を定めるとともに、具体的には個別の労働契約等で定める旨の委任規定を設けることで差し支えない。
なお、個別の労働契約等で具体的に定める場合には、書面により明確にすること。三 前二項の適用については、休憩時間及び休日についても同様である。
(昭和 63 年 3 月 14 日基発 150 号、平成 11 年 3 月 31 日基発 168 号)
【就業規則の記載事項】
(1)趣旨
解雇をめぐる紛争を未然に防止する観点から、就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」には「解雇の事由」が含まれることを法律上明らかにしたものであること。
(平成 15 年 10 月 22 日基発 1022001 号)
【退職手当に関する事項の明記】
(イ) 法第八十九条の改正は、退職手当の支払払条件、方法等を労使間で明らかにするため、退職手当に関する就業規則の法定記載事項を明記したものであること。
(昭和 63 年 1 月 1 日基発 1 号、平成 11 年 3 月 31 日基発 168 号)
【周知方法①】
(1) 周知は、以下のいずれかの方法により行わねばならないものであること。イ 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
ロ 書面を労働者に交付すること。
「書面」には、印刷物及び複写した書面も含まれるものであること。
ハ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
この方法によって周知を行う場合には、法令等の内容を磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、当該記録の内容を電子的データとして取り出し常時確認できるよう、各作業場にパーソナルコンピューター等の機器を設置し、かつ、労働者に当該機器の操作の権限を与えるとともに、その操作の方法を労働者に周知させることにより、労働者が必要なときに容易に当該記録を確認できるようにすることとすること。
(2) 使用者は、就業規則の変更等周知させるべき事項の内容に変更があった場合にも、当該変更後の内容を労働者に周知させなければならないものであること。
(平成 11 年 1 月 29 日基発 45 号)
【事業場及び作業場の意義】
(問) 第百七条及び第百八条に各事業場とあるが定義は如何。又は第百六条に作業場とxxxxx区別如何。
(答) 事業場とは、事業に属する人的物的施設の存する場所的な範囲をいう。作業場とは、事業場内において密接な関連の下に作業の行われている個々の現場をいい、主として建物別等によつて判定すべきものである。
(昭和 23 年 4 月 5 日基発 535 号)
【周知方法②】
(問) 就業規則等の周知方法について、労働者の請求があった場合に見せる方法でも、当該事業場に備え付けているものと解してよいか。
(答) 従来どおり、就業規則等を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあることが
「周知させる」ための要件である。
(平成 11 年 3 月 31 日基発 169 号)
【一部の労働者に適用される別個の就業規則についての意見聴取】
同一事業場において一部の労働者についてのみ適用される就業規則を別に作成することは差し支えないが、当該一部の労働者に適用される就業規則も当該事業場の就業規則の一部分であるから、その作成又は変更に際しての方第九十条の意見の聴取については、当該事業場の全労働者の過半数で組織する労働組合又は全労働者の過半数を代表するものの意見を聞くことが必要である。
なお、これに加えて、使用者が当該一部の労働者で組織する労働組合等の意見を聞くことが望ましい。
(昭和 23 年 8 月 3 日基収 2446 号、昭和 24 年 4 月 4 日基収 410 号、昭和 63 年3月 14 日基
発 150 号)
○労働組合法(昭和 24 年法律第 174 号) 抄
(基準の効力)
第 16 条 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。この場合において無効となつた部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。