Contract
法規委員会研究報告第16号
監査及びレビュー等の契約書の作成について
平成29年9 月29日日本公認会計士協会
目 次
Ⅰ 総論 1
1.はじめに 1
2.本研究報告の対象及び内容 1
Ⅱ 契約書作成に関する概括的内容 2
1.契約書作成の目的 2
2.契約書と法律の関係 2
3.契約書作成の注意点 3
Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例 6
1.契約書作成に当たっての全般的事項 6
2.契約書の記載内容 10
3.監査及び四半期レビュー契約書の作成例 24
[監査及び四半期レビュー契約書の作成例] 28
様式1:個人用(会社法監査・金融商品取引法監査) 28
様式2:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用) 33
[国際会計基準(IFRS)任意適用会社の監査及び四半期レビュー契約書の作成例] 46
様式3:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用) 46
[上場会社等以外の会社で四半期報告書の提出を選択しない会社の監査契約書の作成例] 58
様式4:個人用(会社法監査・金融商品取引法監査(四半期報告書の提出を選択しない会社)) 58
様式5:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査(四半期報告書の提出を選択しない会社)、指定社員制度利用) 62
[会社法単独の監査契約書の作成例] 71
様式6:個人用(会社法監査) 71
様式7:監査法人用(会社法監査、指定社員制度利用) 75
[臨時計算書類監査の監査契約書の作成例] 83
様式8:監査法人用(臨時計算書類監査、指定社員制度利用) 83
[任意監査契約書の作成例] 90
様式9:監査法人用(会社法の規定に準じた監査、指定社員制度利用) 90
様式10:監査法人用(その他の任意監査(適正表示の枠組みの場合)、指定社員制度利用) 97
様式11:監査法人用(その他の任意監査(準拠性の枠組みの場合)、指定社員制度利用) 105
Ⅳ レビュー契約書の作成例 113
1.契約書作成に当たっての全般的事項 113
2.契約書の記載内容 113
3.レビュー契約書の作成例 119
様式12:監査法人用(レビュー、指定社員制度利用) 120
Ⅴ 合意された手続業務契約書の作成例 128
1.契約書等作成に当たっての全般的事項 128
2.契約書の記載内容(様式13及び様式14参照) 129
3.その他の実施結果の利用者から入手する合意書の記載内容(様式15参照) 132
4.合意された手続業務契約書等の作成例 134
様式13:業務依頼者との間の業務契約書(実施結果の利用者が「業務依頼者」のみの場合) 135
様式14:業務依頼者との間の業務契約書(実施結果の利用者が「業務依頼者」と「その他の実施結果の利用者」の場合) 144
様式15:その他の実施結果の利用者から入手する合意書 154
凡例
本研究報告で略称を用いる場合には、それぞれ以下を指している。
品基報1号 | 品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」 |
監基報200 | 監査基準委員会報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」 |
監基報210 | 監査基準委員会報告書210「監査業務の契約条件の合意」 |
監基報220 | 監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」 |
監基報230 | 監査基準委員会報告書230「監査調書」 |
監基報260 | 監査基準委員会報告書260「監査役等とのコミュニケーション」 |
監基報560 | 監査基準委員会報告書560「後発事象」 |
監基報580 | 監査基準委員会報告書580「経営者確認書」 |
監基報600 | 監査基準委員会報告書600「グループ監査」 |
監基報700 | 監査基準委員会報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」 |
監基報706 | 監査基準委員会報告書706「独立監査人の監査報告書における強調事項区分とそ の他の事項区分」 |
監基報800 | 監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠して作成された 財務諸表に対する監査」 |
監基報805 | 監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸表項目等に対する監査」 |
監基報900 | 監査基準委員会報告書900「監査人の交代」 |
監基報910 | 監査基準委員会報告書910「中間監査」 |
監基研3号 | 監査基準委員会研究報告第3号「監査基準委員会報告書800及び805に係るQ& A」 |
監保報82号 | 監査・保証実務委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務 上の取扱い」 |
監保報83号 | 監査・保証実務委員会報告第83号「四半期レビューに関する実務指針」 |
監保実85号 | 監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」 |
内 基 | 財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準 |
中 基 | 中間監査基準 |
四 基 | 四半期レビュー基準 |
保証実2400 | 保証業務実務指針2400「財務諸表のレビュー業務」 |
専門実4400 | 専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」 |
監基研5号 | 監査基準委員会研究報告第5号「保証業務実務指針2400に係るQ&A」 |
監保研29号 | 監査・保証実務委員会研究報告第29号「専門業務実務指針4400「合意された手続 業務に関する実務指針」に係るQ&A」 |
Ⅰ 総論
1.はじめに
公認会計士及び監査法人(以下「公認会計士等」という。)が実施する業務の契約書の作成例は、法規委員会研究報告第3号「監査及びレビュー等関連業務の契約書作成について」(平成15年
7月22日)を始まりとして、その後の変遷を経て、法規委員会研究報告第10号「財務情報の保証業務等の契約書の作成について」(以下「研究報告10号」という。)及び法規委員会研究報告第 14号「監査及び四半期レビュー契約書の作成例」(以下「研究報告14号」という。)に至っている。
しかし、公認会計士等が実施する業務が広範かつ多様化している現状を踏まえ、会員各位が当該業務の契約書の作成例を利用する際に、より分かりやすく、より使い勝手のよいものとするために、整理・統合を検討した結果、有益な契約書の作成実務に資するために一つの研究報告にまとめ直すことがより適切であると考え、研究報告10号及び研究報告14号の統合を図り、新たに法規委員会研究報告第16号「監査及びレビュー等の契約書の作成について」(以下「本研究報告」という。)として公表することとした。
本研究報告は、監査及び四半期レビュー業務、レビュー業務並びに合意された手続業務に関する契約書の作成例を提示するものであり、本研究報告の主たる目的は、各業務の契約書作成に当たって考慮すべき基本的事項を明らかにし、留意すべき点等について実務に資するガイドラインを提供することにある。したがって、本研究報告は、各業務に関する契約書を作成する実務上の参考のための一例を提示するものであって、実際の契約書の作成に当たっては、状況に応じて適宜に修正した上で契約書を作成する必要がある。
2.本研究報告の対象及び内容
本研究報告では、保証業務を行う公認会計士等に資することを目的として、保証業務の定義に合致する業務のほか、保証業務には該当しないものの、公認会計士等が実施する場合が多いと考えられる合意された手続業務について、契約書の作成例を取り上げることとした。
本研究報告が扱う業務は、(1) 監査及び四半期レビュー業務、(2) レビュー業務並びに(3) 合意された手続業務であり、契約書の作成を検討する上で、理解しておくべき各業務の種類及び内容等について、現在、我が国で行われている実務に照らして、次に説明を行う。
(1) 監査及び四半期レビュー業務
本研究報告は、株式会社に対する法定監査及び任意監査を対象としている。株式会社に対する法定監査は、具体的には、会社法の規定に基づく監査(以下「会社法監査」という。)、金融商品取引法の規定に基づく監査(財務諸表監査及び内部統制監査。以下「金融商品取引法監査」という。)を指すが、本研究報告においては、中間監査及び四半期レビューも含めている。したがって、本研究報告の文中で、内部統制監査、中間監査及び四半期レビューについて特段の言及を行っていない箇所もあるが、財務諸表監査について記載した内容に準じて取り扱う。なお、任意監査については、
Ⅲ1(3)で全般的事項を解説している。
適用される財務報告の枠組みについては、適正表示の枠組みである場合と準拠性の枠組みである場合の双方を対象としている(監基報200第12項(13))。また、監査の対象となる財務諸表については、完全な一組の一般目的の財務諸表(監基報700第3項参照)、完全な一組の特別目的の財務諸表(監基報800第2項参照)、個別の財務表又は財務諸表項目等(監基報805第1項参照)のいずれの場合も本研究報告の対象としている。ただし、本研究報告の文中では、便宜上、監査の対象と
なる財務諸表を単に「財務諸表」と記述しているが、他の名称の書類、個別の財務表又は財務諸表項目等に対する監査の場合には、適宜読み替える必要がある。
(注)学校法人監査、独立行政法人監査等のその他の監査については、本研究報告で特段言及していないが、監査契約書の作成に当たって本研究報告を参考にすることが適切と思われる。
(2) レビュー業務
本研究報告は、保証実2400に基づいて実施するレビュー業務を対象としている。
したがって、本研究報告の中では、保証実2400で用いられている語を使用している。また、国際監査・保証基準審議会(IAASB)の国際レビュー業務基準(ISRE:International Standard on Review Engagements)2400 Engagements to Review Historical Financial Statements(Revised)のAppendix 1を参考にしている。
なお、レビュー契約書の記載事項についての要求事項及び適用指針は、保証実2400において定められているが、本研究報告は、職業的専門家としての基準等を直接構成するものではなく、保証実2400を適用するための実務上の参考と位置付けられることに留意する。
(3) 合意された手続業務
本研究報告は、専門実4400に基づいて実施する合意された手続業務を対象としている。
したがって、本作成例の中では、専門実4400で用いられている語を使用している。また、国際監査・保証基準審議会(IAASB)の国際関連サービス基準(ISRS:International Standard on Related Services)4400 Engagements to Perform Agreed-Upon Procedures Regarding Financial InformationのAppendix 1や他国の基準等を参考にしている。
なお、合意された手続業務契約書の記載事項についての要求事項及び適用指針は、専門実4400において定められているが、本研究報告は、職業的専門家としての基準等を直接構成するものではなく、専門実4400を適用するための実務上の参考と位置付けられることに留意する。
Ⅱ 契約書作成に関する概括的内容
1.契約書作成の目的
契約は当事者が合意すれば成立し、契約書を取り交わさなければ契約は成立しないというものではない。
しかし、契約当事者間の誤解を防ぎ、後日紛争が発生することを防止するため、合意内容をあらかじめ文書化して当事者間で署名(又は記名押印)し、その書面を取り交わすのである。
2.契約書と法律の関係
(1) 契約自由の原則
契約の内容は、「契約自由の原則」により、基本的には当事者の自由な意思で決定することができる。契約自由の原則とは、「私人間の契約については、当該私人間の自由な意思に任せるべきである」という私的自治に基づく原則をいう。
ただし、全くの自由意思で決定できるわけではない。法律の規定を「強行規定」と「任意規定」に分類した場合、(2)で述べる強行規定に反するような契約は認められず、「契約自由の原則」
は適用されない。また、法定監査等法律等の定めに従って行う業務については、その法律の定めに従ったものとなるように契約にしなければならない。
なお、契約自由の原則に基づき、当事者間で合意があれば、強行規定に反しない限りは法律の規定よりも当事者間の合意、すなわち契約の内容が優先される。
(2) 公序良俗、強行規定に反する契約
契約当事者の合意があっても、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、下請代金支払遅延等防止法、利息制限法などの強行規定に反する場合は、その契約は無効となる。
強行規定とは、当事者の意思にかかわらず適用されるものをいう。例えば、公益に関する規定(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律など)、経済的弱者保護の規定(下請代金支払遅延等防止法、利息制限法など)、会社組織に関する規定(会社法など)などが強行規定である。
また、民法第90条に規定されている公序良俗に反した内容に合意していたとしても、その場合の契約も効力を生じない。
(3) 契約で定められていない場合
契約書に定めがない部分には、法律の規定が補充的に適用される。また、契約書に定めがない部分について、契約当事者の協議によって解決する旨が定められることがあるが、問題が生じてから協議して解決を図ることは難しい場合が多い。したがって、取引を円滑に進めるべく、取引実態に合った内容を取り決めておこうと思えば、可能な限り契約書で細部にわたって取り決めておくことが望ましい。
3.契約書作成の注意点
(1) 表題
契約書の表題は、その契約の内容を一目で把握させるために、便宜上設けられている。通常は「売買契約書」、「雇用契約書」などのように契約書の種類を記載しているが、単に「契約書」、
「覚書」という記載であっても、法的には問題ない。
一つの契約書で、金銭消費貸借契約とそれに伴う抵当権設定契約及び代物弁済予約契約を行う場合のように、契約内容が複数の事項にまたがる場合には、その主要である金銭消費貸借契約に「等」という語を付けて、「金銭消費貸借等契約書」と表示することにより、この契約書が金銭消費貸借契約を中心になされ、しかもそれに併せて付随的契約が規定されていることが分かるようにする。
なお、当事者のうち一方だけが他方に対して一方的に義務を負う契約の場合には、「覚書」、
「念書」などの表題を付けて一方が書面を他方の当事者に差し入れるという形をとることが一般的である。
(2) 前文
前文は、契約当事者や契約内容の特定等のために設けられている。具体的な契約内容は各条項で定まるため、通常は前文が法的な意味を有することはない。
前文の主要な役割は、当事者や契約内容を明らかにし、「甲」や「乙」などの略語に置き換えることにあるといえる。当事者が三者以上になる場合は、「丙」、「丁」、「戊」という順序で略語に置き換えられる。
(3) 本文作成のポイント
契約書を作成する際には、常に権利義務の主体を明確にすることが肝要であり、曖昧な表現は後日の紛争の元となる。それぞれの項目ごとに、「誰」が「誰」に対して、どのような約束をしたかを「甲は、乙に対して、×年×月×日までに○商品を引き渡す」などと明確に記載する。
なお、契約書の内容を訂正するときは、次の点に注意する。
① 訂正箇所を塗り潰さず、元の文字が読める状態で、訂正する箇所に二本線を引く。
② その横に訂正後の文章を記載する。
③ 欄外に「削除×字」や「加入×字」と書く。
④ 訂正箇所に訂正印(契約書に押した印)を押す。
(4) 作成日付と確定日付
作成年月日は、契約の成立の日を証明する記載であり、重要である。契約の有効期間を確認し、正当な権限の下に作成されているか判定する基準になるため、実際に契約書を作成した日を記載する。
契約書などの文書に確定日付を入れる場合には、公証人役場で確定日付の記載を依頼する。
(5) 契約の当事者
① どちらを甲乙とすべきか
通常、契約書においては、当事者の一方を「甲」とし、もう一方を「乙」と置き換える。どちらが甲で、どちらが乙であるかは、さほど問題ではない。
② 当事者でない者を拘束する規定の効力
契約書の当事者以外の者を拘束する条項を契約書内に入れることがある。契約書に当事者以外の者が当事者として記名押印していないのであれば、この契約書が当事者以外の者を拘束することはない。
また、法人と法人代表者個人は、異なる人格であることにも注意を要する。
③ 署名と記名押印
署名とは、手書きで自己の氏名を記載することをいう。記名とは、自己の氏名を記載することをいい、自筆でなくても構わない。パソコンで入力して記載する方法、ゴム印で記載する方法、他人に書いてもらう方法も記名に当たる。
記名の場合は、押印がなければ真正に成立したと推定されない一方、署名の場合は、押印がなくても真正に成立したと推定される。ただし、我が国においては、押印したことが「承諾した」ことの表れと一般的に考えられているため、署名の場合であっても押印を求めるべきである。
④ 署名・記名押印権者
契約書に署名(又は記名押印)することができる権限のある者は、個人と法人で異なる。個人の場合は、締結者である本人が契約書に署名し、相手方と契約書を取り交わすことに
なる。
法人の場合は、原則として、法人代表者が締結権者である。株式会社の場合には、基本的には代表取締役が対外的な契約の締結権を有する。会社の規模が拡大すると、全ての対外的
な契約を代表取締役が締結することは事実上不可能であるため、代表取締役から、契約締結に関する代理権を、会社内の一定の役職者に委譲することになる。
(6) 印紙
日常の経済取引に関して作成される契約書等の文書のうち、印紙税法上で印紙税がかかるとされている文書には、一定額の収入印紙を貼り、消印をしなければならない。印紙の消印は、契約当事者のうち一方だけでも足りる(印紙税法基本通達第64条)。また、消印に用いる印章又は署名は、契約当事者の従業員のものでもよく(印紙税法施行令第5条)、契約書に押印又は署名したものと同一でなくても構わない。
印紙の貼付の有無と契約の効力とは直接の関係はないため、印紙を貼り忘れた契約書であっても、証拠書面としての効力に影響はない。ただし、印紙税法で課税文書には収入印紙を貼付する義務があるため、収入印紙を貼付しないと印紙税法違反となり、過怠税を支払うことになる。
監査契約書については、印紙税法基本通達別表第1「課税物件、課税標準及び税率の取扱い」の第2号文書(請負に関する契約書)14(会社監査契約書)において、「公認会計士(監査法人を含む。)と被監査法人との間において作成する監査契約書は、第2号文書(請負に関する契約書)として取り扱う。」とされているため、監査契約の法的性格に関係なく、第2号文書
(請負に関する契約書)になる。したがって、記載された監査報酬額に応じた印紙税を納付することになる。報酬金額が、監査契約書締結時に妥結せず、監査報酬金額が記載されない場合は、契約金額の記載のないものとされ、200円の印紙貼付が求められる。
なお、監査契約書に自動更新条項を記載する場合は、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当することがあるので留意が必要である(印紙税法別表第一課税物件表の適用に関する通則3のイ参照)。
会計監査人就任承諾書のように、監査報告書の作成までも約するものではない契約書は、委任に関する契約書に該当するのであるから、課税文書に当たらないとされている。
後日、監査報酬金額が決定した場合に作成する、「監査報酬に関する覚書」も印紙税法上は、第2号文書(請負に関する契約書)として扱われ、記載金額に応じた印紙貼付が必要となる。監査報酬金額の変更が行われる場合には、変更金額が明らかになるように記載するとその増減額(減額の場合は記載金額なしとなる。)に対して課税されるが、変更後の金額のみを記載すると変更後の金額全体に課税される。同様に、消費税等の記載も、監査報酬金額1,000万円の場合、以下のとおり記載すれば、監査報酬金額1,000万円が印紙税の課税対象金額となる。
監査報酬 10,000,000円
消費税等 800,000円計 10,800,000円
なお、「監査報酬 10,800,000円(消費税等含む。)」と記載した場合、消費税等が区分明記されていないので、1,080万円が印紙税の課税対象金額となる。
監査契約以外の契約書の場合は、成果物の作成を目的とし、これに対して一定の金額を支払うことを約した契約書か否かで、第2号文書(請負に関する契約書)に該当するか否かが判断される。コンサルティング契約や顧問契約は、成果物の作成が目的とされない場合が多く、この場合は非課税となるが、最終的には所轄の税務署に確認するなど慎重に判断すべきである。
(7) 押印の種類
押印には、以下の種類がある。
① 印
契約書末尾に、契約の当事者が、当事者の氏名の後に署名(又は記名)とともに押印するものをいう。
② 契印と割印
契印は、契約書面が2枚以上にまたがる場合に、その各葉が一体のものであることを示すために、綴じ目をまたいで当事者全員が押印するものをいう。割印は、2通以上の独立した文書について、内容の同一性や関連性を示すために、二つ以上の文書にまたがって押印するものをいう。
③ 訂正印
契約書上の文字を訂正するために、訂正部分の余白に訂正の内容を記載して各当事者の印鑑で押印するものをいう。
④ 捨印
文字の訂正に備えて、契約書上欄余白部分にあらかじめ当事者が押印しておくものをいう。捨印があると、その頁については、後日どのような訂正もなされてしまうおそれがあるため、安易に押すべきでない。
(8) 契約書のつづり方
契約書の枚数が複数となる場合、片端をホッチキスで留めた上で、その端を別の紙に糊付けして背表紙を作り、その背表紙と契約書の境目に契印を押す。
なお、契約書の枚数が少ない場合、片端をホッチキスで留めて、見開きの間に契印を押す。
Ⅲ 監査及び四半期レビュー契約書の作成例
1.契約書作成に当たっての全般的事項
(1) 契約書の作成
監査人は、監査業務の契約条件について経営者と合意し、監査契約書その他適切な形式の合意書を作成しなければならない(監基報210第7項及び第8項)。四半期レビューについても同様である(監保報83号第13項)。
記名押印済みの監査契約書は、監査人と経営者との合意に関する要求事項への準拠を示す文書として取り扱われる(監基報230のA7項(2))。
(2) 監査契約の法的解釈
会社法上、株式会社と会計監査人との関係は、委任に関する規定に従うこと(会社法第330条)とされている(注)。金融商品取引法の規定に基づく監査契約の法的性質も会社法のそれと変わりはないものと考えられる。
なお、印紙税法上は、監査契約書は監査に係る労務の提供そのものではなく、その成果物である監査報告書の提出を目的とする等の点から、請負に関する契約書として取り扱われる(Ⅱ
3(6)参照)。
(注)委任とは、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる契約である(民法第643条)。そして、法律行為でない事務の委託が準委任とされ(民法第656条)、委任の規定を準用することとされている。他方、請負とは、「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する」もの(民法第632条)である。すなわち、労務の提供そのものではなく、労務の提供による仕事の完成を目的としており、監査のような、必ずしも委嘱者が期待する無限定適正意見の監査報告書が提出されるだけではないような契約にはなじまない。この点から、監査は、準委任契約と解されている。
(3) 任意監査について
監査を、法令で要求されるか任意で委嘱するかという観点から分類すると、法定監査と任意監査とに分けることができる。
任意監査は、公認会計士法第2条第1項業務のうち、法令で求められている業務を除く監査
(品基報1号第34-2項)をいい、各法令により監査が義務付けられていない場合に、委嘱者の個々の要請に基づいて行われる。
例えば、会社法の規定に準じた監査、金融商品取引法の規定に準じた監査は、その例である。会社法の規定に準じた監査は、会社法の規定に基づく会計監査人の監査を受ける義務は負っ ていない会社が、会計監査人設置会社において求められる計算書類等を完全な一組として作成し、当該会社の要請に基づき、会計監査人設置会社と同様の監査が実施される場合が考えられ
る。
また、金融商品取引法の規定に準じた監査は、会社等が株式公開準備のため、現在は金融商品取引法が適用されないが、将来、金融商品取引所に有価証券を上場するときなどに作成が要請される財務計算に関する書類(貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類)を完全な一組として作成し、当該会社等の要請に基づき財務諸表監査を行うような場合が考えられる。同様に、金融商品取引法の規定に準じた内部統制監査、金融商品取引法の規定に準じた四半期レビューも考えられる。
その他にも、任意監査は、監査対象、適用される財務報告の枠組み、利用目的などが異なる多様なバリエーションが考えられる。特別目的の財務諸表、個別の財務諸表又は財務諸表項目等に対する監査も、多くの場合は任意監査である。
なお、会社法上、会計監査人を設置する義務がない株式会社であっても、定款の定めにより会計監査人を置くことができるが(会社法第326条第2項)、その場合の会計監査人の監査は任意監査ではなく、会社法の規定に基づく法定監査である。
法定監査と任意監査は、いずれも財務諸表監査であり、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠する点など基本的な枠組みや本質は変わらない。しかし、法定監査では、監査の内容及び監査人の責任が監査の根拠となる法によって定められているのに対し、任意監査では、契約又は民法の一般的な規定によって規律されることに留意する。とりわけ、任意監査の委嘱者には、監査そのものに対する認識不足又は監査に対する過剰な期待が存在する可能性がある。そのような任意監査の特質から、受嘱者は、委嘱者との十分な意思疎通を図り、後日のトラブルを防止するために、監査契約書において責任の範囲、監査報告書の利用目的等を明確に記載するよう留意する。
(4) 「一般目的の財務報告の枠組み」と「特別目的の財務報告の枠組み」、「適正表示の枠組み」と「準拠性の枠組み」
① 財務報告の枠組みの分類
財務報告の枠組みは、以下の二つの視点から分類される(監基研3号Q2)。
・ 一般目的の財務報告の枠組みと特別目的の財務報告の枠組み(なお、それらに準拠して作成される財務諸表をそれぞれ、「一般目的の財務諸表」、「特別目的の財務諸表」という。)
・ 適正表示の枠組みと準拠性の枠組み
具体的な考え方は、監基研3号、特に、Q4からQ6までを参考にされたい。
② 適用される財務報告の枠組みの分類と、法定監査、任意監査
会社法監査や金融商品取引法監査における適用される財務報告の枠組みは、一般目的の財務報告の枠組みであり、適正表示の枠組みであると考えられる(監基研3号Q8)。任意監査のうち、Ⅲ1(3)で言及した会社法の規定に準じた監査や、金融商品取引法の規定に準じた監査における適用される財務報告の枠組みも、通常は同様である。
その他の監査における適用される財務報告の枠組みは、いずれの分類に該当する場合もある。傾向としては、一般目的の財務報告の枠組みは適正表示の枠組みであることが多く、特別目的の財務報告の枠組みは準拠性の枠組みであることが多い(監基研3号Q7)。
③ 監査契約書の記載内容への影響
適用される財務報告の枠組みは、監査契約書に記載することが求められている(監基報210第8項(4)。なお、Ⅲ2(4)参照)ほか、適用される財務報告の枠組みがどの分類に該当するかによって、監査契約書の作成に当たって以下に留意する必要がある。
a.監査報告書の配布又は利用制限(主に、特別目的の財務報告の枠組みの場合)
適用される財務報告の枠組みが、特別目的の財務報告の枠組みの場合は、監査報告書に配布又は利用制限を付すことが適切であると判断することがある(監基報800第14項、監基研3号Q12)。一方、一般目的の財務報告の枠組みの場合は、通常は、監査報告書に配布又は利用制限を付さない(監基研3号Q12。ただし、例外として、監基報706のA8項)。監査報告書の配布又は利用を制限することが想定されている場合には、監査契約書にも前もってその旨を記載し、合意しておくべきである(Ⅲ2(5)参照)。
b.経営者の責任や監査人の責任の表現(適正表示の枠組みか準拠性の枠組みかによる相違)適正表示の枠組みか、準拠性の枠組みかで、以下のように、監査契約書における表現が
変わる箇所がある。
適正表示の枠組み | 準拠性の枠組み | |
監査人の責任(監基報210第8項 (2))における内部統制の検討への言及(監基報700第28項(2)及び 第29項参照) | 「財務諸表の作成と適 .... 正な表示に関連する内 部統制を検討する」 | 「財務諸表の作成に関連する内部統制を検討する」 |
監査人の責任(監基報210第8項 (2))における財務諸表の表示の検討への言及(監基報700文例及 び監基報800文例参照) | 「全体としての財務諸表の表示を検討する」 | 「財務諸表の表示を検討する」 |
適正表示の枠組み | 準拠性の枠組み | |
経営者の責任(監基報210第8項 (3)。また、監基報700第23項及び第24項参照) | 「財務諸表を作成し適 .... 正に表示する」 | 「財務諸表を作成する」 |
(5) 契約書の作成形式に関する考え方
① 約款添付方式
財務諸表監査の契約書の作成形式には、全ての契約内容を契約条項として書き込む方式と約款添付方式が考えられる。本研究報告では、一般的に契約内容のボリュームが大きくかつ内容が画一的である場合に利便性がより発揮されると考えられる約款添付方式を採用して作成する例を示している。
② 内部統制監査と財務諸表監査
財務諸表監査と内部統制監査の両方を実施する場合、監保報82号では、内部統制監査は、財務諸表監査と一体となって実施される(一体監査)とされている(監保報82号第22項等)こと等から、本研究報告では、内部統制監査の契約書を財務諸表監査の契約書と一体として作成する例を示している。
③ 中間監査と年度監査
中間監査は一般的には年度監査の一環として行われるため、中間監査だけの監査契約書を作成せず、年度監査と合わせた一つの監査契約書を作成することで足りるものと考えられる。
④ 臨時計算書類の監査と計算書類等の監査
臨時計算書類に対する会計監査人の監査は、文字どおり臨時的に行われるもので、年度監査とは別個のものであり、この監査契約を年度の計算書類等に対する会社法監査の契約書の中に織り込むことは、通常、困難であると考えられるため、本研究報告では、計算書類等の監査とは別に、臨時計算書類のみを対象とする監査契約書の作成例を示すこととした。
⑤ 四半期レビューと年度監査
監保報83号によれば、四半期レビュー契約の締結について、「四半期レビューは、年度の財務諸表の監査人と同一の監査人が行うこととなり、また金融商品取引法上監査証明として規定されていることから、監査契約と同時に一体として締結することも可能である。」と規定されている。そこで、本研究報告では、監査及び四半期レビュー契約書の本文について、一体として作成例を示している。一方、監査及び四半期レビューの約款については、監査と四半期レビューでは、目的、実施する手続及び保証の程度が異なることと、異なる内容を一体として示すと明瞭性に欠けることから、それぞれの約款を分離して作成する例を示している。
(6) 締結の時期
監査契約書は、監査の開始前に締結することが有益である(監基報210のA22項、監保報83号第15項)。
(7) 継続監査
9.継続監査において、監査人は、監査業務の契約条件の変更を必要とする状況が生じてい
るかどうか、及び監査業務の現行の契約条件の再確認を企業に求める必要性があるかどう
監基報210において、継続監査に関する次の要求事項及び適用指針が示されている(監基報 210第9項・A26項)。
かを評価しなければならない。
A26.監査人は、事業年度ごとに新規の監査契約書を取り交わすことにより、契約条件を見直し、現行の契約条件を企業との間で再確認することができるため、事業年度ごとに新規の監査契約書を取り交わすことが適切であるが、場合によっては事業年度ごとに新規の監査契約書を取り交わさないことがある。しかし、以下の要因がある場合には、監査業務の契約条件を変更すること又は現行の契約条件の再確認を企業に求めることが適切である。
・ 企業が監査の目的及び範囲を誤解している兆候
・ 監査業務の契約条件の変更又は特約
・ 上級経営者の交代
・ 株主等の重要な異動
・ 企業の事業内容又は規模の重要な変化
・ 法令等の変更
・ 財務諸表の作成に採用される財務報告の枠組みの変更
・ 財務諸表監査以外の報告に関する要求事項の変更
○.契約の更新
本契約は、○○までに(注)委嘱者又は受嘱者のいずれからも終了の意思表示がない限りは、次の事業年度においても本契約と同一条件で継続するものとし、以後も同様とする。
(注)「監査報告書日までに」「監査の対象となる事業年度の末日の○日後までに」など適宜記載する。
このように、事業年度ごとに新規の監査契約書を取り交わすことが適切であるが、場合によっては、前もって、例えば次のような条項を監査契約書の「特約」の前など適宜の箇所に記載することが考えられる。
2.契約書の記載内容
(1) 受嘱者の適格要件及び利害関係
受嘱者は、被監査会社との関係において独立性を保持することが必要であり、公認会計士法をはじめ、会社法、金融商品取引法等の監査及び四半期レビューの根拠となる法律や日本公認会計士協会倫理規則にそれぞれ規定されている業務制限等に抵触しないことを、委嘱者及び受嘱者は契約書上で確認しておく必要がある。また、契約締結後においても、独立性を損なう事実の有無について、委嘱者及び受嘱者が相互に十分な情報を提供する必要があることを記載する。
利害関係、独立性その他の業務制限について、中心となる法律及び日本公認会計士協会倫理規則の規定は以下のとおりであるが、その他に関連する政令、内閣府令、日本公認会計士協会倫理規則注解、日本公認会計士協会による指針等も参照する必要がある。法令及び規則の規定を一覧できるものとして、日本公認会計士協会倫理委員会研究報告第1号「監査人の独立性チェックリスト」が参考になるが、同チェックリストが留意を求めているとおり、法令及び規則の規定を適切に解釈し遵守するという趣旨から、規定内容を直接確認されたい。
① 会社法第337条
② 公認会計士法第24条から第24条の3、第34条の11から第34条の11の5
③ 金融商品取引法第193条の2
④ 日本公認会計士協会倫理規則第13条
(2) 監査及び四半期レビューの目的及び範囲
① 監査契約書には、財務諸表監査の目的及び範囲を記載しなければならない(監基報210第
8項(1))。
② 監査の対象については、監査報告書に記載する事項と対応させて、財務諸表を構成するそれぞれの名称と、対象とする日付又は期間並びにそれらに関連する重要な会計方針の要約及びその他の説明情報について監査することを記載する(監基報700第21項・A17項参照)。
③ 法定監査を行う場合は根拠となる法令等を記載する。会社法の規定に準じた監査、金融商品取引法の規定に準じた監査についてはその旨を記載する。
④ 金融商品取引法第193条の2第1項に基づく財務計算に関する書類の監査証明を行う場合、通常は、
⚫ 年度の財務計算に関する書類の監査
⚫ 四半期に係る財務計算に関する書類の四半期レビュー
⚫ 金融商品取引法第193条の2第2項に基づく内部統制報告書の監査について記載することになる。
また、特定事業会社(企業内容等の開示に関する内閣府令第17条の15第2項)については、
⚫ 年度の財務計算に関する書類の監査
⚫ 中間期に係る財務計算に関する書類の中間監査
⚫ 内部統制報告書の監査
⚫ 第1四半期及び第3四半期に係る財務計算に関する書類の四半期レビューについて記載する。
上場会社等以外の会社で四半期報告書の提出を選択(金融商品取引法第24条の4の7第2項)しない会社については、
⚫ 年度の財務計算に関する書類の監査
⚫ 中間期に係る財務計算に関する書類の中間監査について記載することに留意する。
⑤ 内部統制監査、中間監査又は四半期レビューの目的及び範囲についても、それぞれの目的の相違に留意しながら、財務諸表監査に準じた記載を行う。
(3) 受嘱者の責任等
① 監査契約書には、監査人の責任を記載しなければならない(監基報210第8項(2))。次の項目を記載する(監基報210のA23項、監基報200第3項から第9項)。
⚫ 我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準への準拠(職業倫理に関する規定の遵守を含む。)(監基報700第27項前段参照)
⚫ 監査の基準が、財務諸表に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために監査計画を策定し、これに基づき監査を実施することを求めている旨(監基報700第27項後段参照)
⚫ 監査の性質及び限界等監査についての記載
⮚ 財務諸表の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続を実施する旨(監基報700第28項(1)参照)
⮚ 監査手続は、監査人の判断により、不正又は誤謬による財務諸表の重要な虚偽表示リスクの評価に基づいて選択及び適用される旨(監基報700第28項(2)前段参照)
⮚ 財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、リスク評価の実施に際して、監査人は状況に応じた適切な監査手続を立案するために、財務諸表の作成に関連する内部統制(適正表示の枠組みの場合は、「財務諸表の作成と適正な表示に関連する内部統制」)を検討する旨(監基報700第28項(2)後段参照)
⮚ 監査には、経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性並びに経営者によって行われた見積りの合理性を評価し、財務諸表の表示(適正表示の枠組みの場合は、「全体としての財務諸表の表示」)を検討することが含まれる旨(監基報700第28項(3)及び文例、監基報800文例参照)
⮚ 内部統制の固有の限界、監査の固有の限界についての説明(監基報200第5項・A38項・A44項からA48項・A51項等参照)
② 内部統制監査、中間監査又は四半期レビューについても、財務諸表監査に準じた記載を行う(内部統制監査について内基Ⅲ4(3)③及び監保報82号第256項(3)、中間監査について中基第三3(3)及び監基報910第26項、四半期レビューについて四基第三5(3)、監保報83号第 63項をそれぞれ参照)。
中間監査については、保証水準が年度監査ほど高くないことを明確にするため、年度監査に比べて監査手続の一部を省略した中間監査手続を実施する旨を記載する(中基第三3(3)及び監基報910第26項参照)。
四半期レビューについては、監査との相違について、四半期レビュー手続は監査に比べて限定された手続である旨、表明される結論の形式、合理的な保証を目的としない旨、監査であれば可能であったであろう全ての重要な事項を発見することを保証するものではない旨を記載する(四基第三5(3)及び監保報83号第63項。なお、監保報83号第9項から第11項参照)。
(4) 委嘱者の責任等
① 監査契約書には、経営者の責任を記載しなければならない(監基報210第8項(3))。次の項目を記載する。
⚫ 財務諸表の作成に対する責任。適正表示の枠組みの場合は、適正に表示する責任も記載する(監基報210の第4項(2)①・A11項・A15項、監基報580第9項・第11項・文例、監基報700第23項・A22項参照)。
⚫ 内部統制に対する責任(監基報210の第4項(2)②・A11項・A16項、監基報580文例、監基報700第23項・A22項参照)
⚫ 監査に必要な情報の監査人への提供(監基報210の第4項(2)③・A11項、監基報580第 10項(1)・第11項・文例参照)
⚫ 監査人に対する情報の提出時期(監基報210のA23項)その他の委嘱者の協力一般
⚫ 監査報告書日の翌日から財務諸表の発行日までの間に知ることになった事実に関する監査人に対する通知(監基報210のA23項、監基報560のA9項)
また、特別目的の財務諸表の監査では、次の事項も記載する。
⚫ 経営者が、特別目的の財務諸表の作成において財務報告の枠組みの選択肢を有する場合には、適用される財務報告の枠組みが状況に照らして受入可能なものであることを判断する責任(監基報800第12項(2)参照)
監基報580第9項及び第10項で要求される経営者の責任に係る記載事項は、監査契約書に記載されているとおりに経営者確認書に記載しなければならない(監基報580第11項)。監基報 580第9項及び第10項の要求事項について、本研究報告の契約書作成例は、監基報580の経営者確認書の記載例と整合したものとなっている。
② 内部統制監査、中間監査又は四半期レビューについても、財務諸表監査に準じた記載を行う(内部統制監査について内基Ⅲ4(3)②及び監保報82号第256項(2)、中間監査について中基第三3(2)、四半期レビューについて四基第三5(2)及び監保報83号第50項・第62項をそれぞれ参照)。
③ 金融商品取引法監査の場合には、上記のほか、受嘱者が金融商品取引法第193条の3第1項に基づき通知した委嘱者の法令違反等事実の是正その他の適切な措置をとる旨を記載する。
④ 経営者確認書の入手を予定している旨を記載する(監基報210のA23項・A13項)。
⑤ 監査契約書には、財務諸表の作成において適用される財務報告の枠組みを記載しなければならない(監基報210第8項(4))。
経営者の財務諸表作成責任の記載の箇所に、併せて記載する。例えば、株式会社の法定監査の場合は以下の記載を行う。
⚫ 「我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して計算書類及びその附属明細書を作成し適正に表示する」(会社法監査の場合)
⚫ 「我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則に準拠して財務諸表を作成し適正に表示する」(金融商 品取引法監査(財務諸表監査)の場合)
会社法に基づく計算書類と金融商品取引法に基づく財務諸表の作成方法には差異があり、単に「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」と記載するだけでは、財務報告の枠組みを明確に記載しているとは言えないことから、上記のとおり記載する。任意監査の場合の適用される財務報告の枠組みの記述については、監基研3号Q10が参考になる。
例えば、会社の取引先等との間の契約に基づいて財務諸表を作成し、当該契約において、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準の一部を適用除外とする取決めが定められている場合(特別目的の財務報告の枠組み)は、
「○○契約書第○条に定められている財務報告に関する取決めに準拠して財務諸表を作成する」
と記載する(監基報800のA2項及び文例2、監基報805文例6、監基研3号Q10参照)。
なお、準拠性の枠組みの場合は「財務諸表を作成する」と記載し、適正表示の枠組みの場合は「財務諸表を作成し適正に表示する」と記載することに留意する。
内部統制監査、中間監査又は四半期レビューについても、財務諸表監査に準じた記載を行う。
(5) 報告書等
① 監査契約書には、監査報告書の想定される様式及び内容並びに状況により想定された様式及び内容と異なる場合がある旨を記載しなければならない(監基報210第8項(5))。
監査報告書の想定される様式及び内容は、監保実85号やその他の実務指針等を参照したり、監査契約書に別紙として添付したりするなど、その様式及び内容を特定できる方法で記載する。
② 監査報告書等の利用の方法について記載する。
監査報告書等は対象である財務諸表等と一体となって利用されることが想定されており、財務諸表等と切り離されて利用されることには多大のリスクがある。また、ITの発展に伴いウェブサイト等を通じて、不特定多数の者に監査報告書等が公開される機会も多い。このため、監査報告書等のみ利用されることのないよう監査の対象となった財務諸表等と一体で利用するものであることを明記することに留意する。
また、監査人が、監査報告書にその配布又は利用制限を付す(監基報706のA8項、監基報800第14項、監基研3号Q12)ことが想定される場合は、監査契約書上で、監査報告書の配布又は利用制限等について合意しておく。
③ 監査報告書等の提出時期について、契約当事者双方の協議により決定された期日を記載する。
会社法監査の場合には、監査報告書の提出時期について、会計監査人、特定取締役、特定監査役との間で合意により定めた日を期限とする場合もある(会社計算規則第130条第1項参照)ので、その旨を記載することも考えられる。なお、特定取締役は、指名委員会等設置会社の執行役を含み(同条第4項第2号)、また、特定監査役は、監査等委員会設置会社については監査等委員、指名委員会等設置会社については監査委員が該当する(同条第5項第3号及び第4号)ことに留意する。
④ 監査報告書、内部統制監査報告書及び四半期レビュー報告書以外の報告書などの提出を予定している場合には、その内容を契約書に記載する(監基報210のA23項参照)。例えば、内部統制の改善提案書や監査発見事項の報告書等が該当する。
この場合には、必要に応じて、受嘱者は委嘱者である会社との間で、その開示等に関して事前に制限することを契約書に記載することも考えられる。
(6) 監査及び四半期レビューの見積時間数等
① 監査及び四半期レビュー計画に基づく見積時間数を記載する。ただし、別途定める旨を記載することもできる。
監査及び四半期レビューの見積時間数の記載に当たっては、次の点に留意する。
a.内部統制監査を行う場合には、財務諸表監査と同一の業務執行社員の指示・監督下で監査チームが構成され、財務諸表監査と一体となって実施され、監査計画は、両方の監査の目的を達成できるよう、一体の計画として策定しなければならないとされている(監保報 82号第53項)。したがって、内部統制監査に係るものと財務諸表監査に係るものとを明確に区分することは困難であると考えられるが、合理的に年度の財務諸表の監査と内部統制監査の見積時間数を区分することも妨げない。
b.四半期レビューと年度の財務諸表の監査を行う場合にも、明確に区分される手続はあるものの、共通する手続も多い。したがって、四半期レビューに係るものと年度の財務諸表の監査に係るものとを明確に区分することは困難であると考えられるが、合理的に年度の財務諸表の監査と四半期レビューの見積時間数を区分することも妨げない。
② 受嘱者が採用する監査手続や四半期レビュー手続、その実施時期及び従事場所等の監査計画及び四半期レビュー計画に関する事項で、あらかじめ合意が必要と判断した事項を記載する(監基報210のA23項参照)。
③ 受嘱者は、十分な監査時間・期間の確保が財務諸表の信頼性を高めるために不可欠な要素であることについて経営者の理解を得る努力が必要であり(会長通牒平成28年第1号「公認
会計士監査の信頼回復に向けた監査業務への取組」(日本公認会計士協会 平成28年1月27日))、一方、委嘱者は、監査役会等及び取締役会において、十分な監査時間や監査人から経営陣幹部へのアクセス、監査人と企業の十分な連携等を確保するための適切な態勢整備に取り組むことが求められる(「会計監査の在り方に関する懇談会」提言「-会計監査の信頼性確保のために-」(金融庁 平成28年3月6日))。
こうした背景を踏まえて、受嘱者は、①の見積時間数及び②の実施時期等について委嘱者と協議する際には、高品質な監査を実施するために十分な監査時間・期間を確保することが重要である旨を説明し、委嘱者の理解を得ることに留意する。
(7) 報酬の額及び経費の負担
① (6)の見積時間数等に基づく報酬の額、支払時期、報酬の改定及び業務を実施するために必要な経費の負担等に関して、契約当事者双方が合意した内容を記載する。ただし、契約書締結までに金額の合意がなされていない場合には、契約書には報酬の額等は別途定める旨を記載し、後日契約当事者双方が合意した内容を覚書等に記載する。
② 監査報酬は、「被監査会社に提供したサービスの対価に相応する金額を、実際に使用した時間等をもとに受取る制度とすることが合理的で」あり、「提供したサービスの対価に相応する金額」は「被監査会社からの受託業務に関与した公認会計士……その他の監査従事者の執務時間に、当該公認会計士等の請求報酬単価……を乗ずることによって、適正に計算することができる」(日本公認会計士協会「監査報酬算定のためのガイドライン」(平成15年10月)
「2.新しい監査報酬制度のあり方」)とされている。このような観点から、報酬合意時に予想していなかった事由により執務時間数が当初の見積時間数を超えることとなった場合の取扱いを記載する。
平成24年から平成25年にかけて開催された企業会計審議会監査部会は、会計不正等への対応をテーマとしており、監査における不正リスク対応基準の案の取りまとめ等が行われた。同部会では、会計不正等へ対応するためのその他の検討項目として、監査報酬を巡って、追加的な監査手続を実施するインセンティブとしての監査報酬の決定方法、タイムチャージ制の評価、米国の監査契約書との比較等も論じられた(金融庁ウェブサイトの同部会議事録第 26回(平成24年5月30日)、第27回(同年6月27日)、第31回(同年11月16日)参照)。これらの議論を踏まえ、本研究報告では、報酬は見積時間数を基礎として算出する旨、見積時間数に比べて執務時間数が超過した場合の報酬の取扱い、執務時間数が見積時間数を超過することとなった場合の会社への通知を、契約書作成例において例示している。
③ 日本公認会計士協会「監査意見表明のための委託審査要領」(最終改正 平成24年4月10日)に基づき、審査を委託する場合には、審査に要する費用を明記することが望ましい。同要領による審査以外の審査を委託する場合にも、同様に明記することが望ましい。
④ 報酬の記載の区分方法について、以下に留意する。
a.会社法監査と金融商品取引法監査の両方を実施する場合には、従来から、その業務の性質上、それぞれの報酬を区分することはしていない。金融商品取引法の規定に基づく内部統制監査及び四半期レビューについても同様に、区分しないことが多いと考えられるが、合理的に報酬を区分することも妨げない。
b.会社法で、会計監査人の報酬が関連する規定としては、事業報告に記載される会計監査人の報酬等(会社法施行規則第126条第2号)、監査役、監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)の同意の対象となる報酬等(会社法第399条)、責任の
一部免除制度を導入する場合における最低責任限度額の算定の基礎となる報酬等(会社法第425条、会社法施行規則第113条)がある。これらの会社法における規律は、会計監査人としての報酬等、すなわち会社法監査の報酬等に対するものである。
報酬の額を、会社法監査と金融商品取引法監査とで区分していない場合は、事業報告の記載や、監査役等の同意は、両者を合わせた金額を対象とすることができると考えられる。最低責任限度額については、会計監査人の責任追及等の訴えを提起された際に、会計監査人が立証責任を負うことになり、会社法監査の報酬の額を区分して立証できない場合には、金融商品取引法監査と合わせた報酬の額を基礎として最低責任限度額が算定されることとなる可能性がある。
c.公認会計士法に基づく課徴金制度(公認会計士法第31条の2、第34条の21の2)において、課徴金算定の基礎となる監査報酬相当額は、虚偽証明等がなされた会計期間と同一の会計期間内における公認会計士法第2条第1項の業務、すなわち監査証明業務の対価として支払われる金銭その他の財産の価額の総額(公認会計士法施行令第14条)とされている。つまり、課徴金算定の基礎となる監査報酬相当額は、会社法監査と金融商品取引法監査の報酬額を合計したものとなる。
(8) 業務執行社員又は指定社員若しくは指定有限責任社員の通知
① 業務を執行すべき社員(業務執行社員)の氏名を通知する旨、又は契約書にその者の氏名を記載する。
また、指定証明に係る業務を担当する社員(指定社員)の指定(公認会計士法第34条の10の4)を行った場合には、指定社員の氏名を通知する旨、又は契約書にその者の氏名の記載を行う。有限責任監査法人の場合の業務を担当する社員(指定有限責任社員)の指定(公認会計士法第34条の10の5)についても同様である。
もっとも、指定有限責任社員の通知は、指定社員の通知とは異なり、契約書等の書面によらず、電磁的方法によることもできる(公認会計士法第34条の10の4第4項、第34条の10の
5第4項、公認会計士法施行規則第22条)。
なお、個人事務所が契約する場合は、この項目は不要である。
② 指定社員の通知(有限責任監査法人における指定有限責任社員の通知を含む。この項において、以下同じ。)について、次の点に留意する。
a.指定社員の通知は特定の証明ごとに行う必要があり、また、公認会計士法ではその期限については具体的に規定されていないが、一般的には、業務着手前に行うべきものとされている(法規委員会研究報告第12号「指定社員制度に関するQ&A」(平成21年4月24日) Q8参照)。このため、通常、指定社員の通知は契約締結と併せて行うことになる。
b.指定有限責任社員の指定をした場合、証明を受けようとする者に対し、その旨を書面その他の内閣府令で定める方法により通知しなければならないこと(公認会計士法第34条の 10の5第4項)に加えて、指定を行わない証明があったときは、当該証明については全社員を指定したとみなされ(公認会計士法第34条の10の5第5項)、全社員が無限連帯責任を負うことになる。このため、有限責任監査法人へ移行した場合には、全ての証明について、証明ごとに指定有限責任社員の指定及び通知は速やかに行うことが必要と考えられる(法規委員会研究報告第8号「有限責任監査法人制度に関するQ&A」(平成20年6月10日)Q
4参照)。
3.指定有限責任社員の通知
受嘱者は公認会計士法第34条の10の5に基づき、本契約における監査(及び四半期レビュー)について、下記の社員を業務を担当する社員として指定し、本契約成立時に委嘱者に通知したものとする。
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
③ 有限責任監査法人の場合における、指定有限責任社員の通知の文言は、以下のとおりである。
(9) 委託審査
「監査意見表明のための委託審査要領」に基づき、審査を事務所内で実施できない監査事務所が審査を委託する場合には、同要領第13項に基づきその旨の記載を行い、審査担当員の氏名を契約書に記載するなどの方法により通知する。また、同要領による審査以外の審査を委託する場合にも、その旨の記載等を同様に行う。
(10) グループ監査
① グループ財務諸表の監査契約書
グループ財務諸表の監査契約書には、グループ監査に関するコミュニケーションについて以下の事項を記載する(監基報600のA18項)。
⚫ グループ監査チームと構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されない旨
⚫ 構成単位の監査人、構成単位の統治責任者及び構成単位の経営者との間の重要なコミュニケーションのグループ監査チームへの伝達
⚫ 規制当局と構成単位との間の重要なコミュニケーションのグループ監査チームへの伝達
⚫ グループ監査チームが構成単位の情報へのアクセス、構成単位の財務情報に関する作業の実施、構成単位の監査人へ作業の実施の依頼を行うことができる旨
連結財務諸表の監査のほか、個別財務諸表が複数の構成単位から作成される場合(例えば、本店、支店でそれぞれ財務情報を作成している場合)も該当する。
② 構成単位の監査人の側の監査契約書
受嘱者が、委嘱者の親会社等が作成するグループ財務諸表の構成単位の監査人(監基報600第8項(10))に該当することがある。この場合、受嘱者は、グループ監査チームから依頼を受けて、委嘱者(構成単位)の財務情報に関する作業を実施する。その上で、受嘱者(構成単位の監査人)は、作業の結果や、その他グループ監査チームが依頼した委嘱者の情報をグループ監査チームに伝達し、グループ監査チームによる監査調書の閲覧の要請に応じる等の対応を行うことになる(監基報600第29項・第39項から第41項・第49項・A53項・A56項・A57項・A59項等)。
構成単位の監査人による作業の実施に関して、関係者間での実務上の連絡や協議は、以下のように行われることが多いと考えられる。
まず、グループ監査チームが、構成単位の監査人への作業の実施の依頼の有無、作業の内容、グループ監査チームと構成単位の監査人とのコミュニケーションの内容や方法等を決定する。その際、グループ監査チームは、構成単位の財務情報に関する作業の円滑な実施のために、グループ(親会社等)との間で、必要な協力の要請や、日程、報酬の負担方法等も含めた実務的な協議を行うものと考えられる。それを踏まえ、グループ(親会社等)の側では、構成単位(子会社等)との間で、決算指示書の送付とともに、構成単位の監査人による作業の実施、それに対する協力、日程や報酬の負担方法等も含めた実務的な協議を行うことが想定される。一方、グループ監査チームの側では、構成単位の監査人に対し作業の実施の要請
(指示書の送付)を行い、必要に応じた協議を行う。そして、グループ(親会社等)からの指示・連絡を受けた構成単位(子会社等)と、グループ監査チームからの指示・連絡を受けた構成単位の監査人との間で、作業の実施に係る実務的な協議を行うことになる。
こうした協議は、構成単位の監査人が実施する作業の種類、作業の対象となる構成単位の財務情報の範囲、報酬の負担方法、それらの決定の時期、グループと構成単位の関係、グループ監査チームと構成単位の監査人の関係(同じネットワークに所属しているか。)等の事情に応じて、実務の態様は様々である。しかし、いずれにしても、委嘱者(構成単位)が、受嘱者の実施する構成単位の監査人としての作業やグループ監査チームへの報告について十分に理解していない場合には、後日のトラブルの原因になりかねない。
○.親会社の監査人との間のコミュニケーション
(1)委嘱者は、委嘱者の親会社(以下「親会社」という。)の監査人と受嘱者との間のコミュニケーションに関し、以下に掲げる事項を了解する。
① 受嘱者が、親会社の監査人の依頼により、親会社の連結財務諸表(及び内部統制報告書)の監査(以下「親会社監査」という。)のために、委嘱者の財務情報(財務報告に係る内部統制を含む。)に関する作業を実施すること。
② 受嘱者が、親会社監査のために、親会社の監査人との間でコミュニケーション(依頼された作業の結果その他の親会社の監査人からの依頼に対する報告を行うこと、及び親会社監査に関連する受嘱者の監査調書の親会社の監査人による閲覧を含む。)を行うこと。
(2)前項の作業の実施に関する報酬は、……
(注)
1 グループ財務諸表作成主体との関係が親子関係以外(その他の関係会社等)である場合、親会社等の社名を特定し具体的に記載する場合、内部統制監査・中間監査・四半期レビューの有無等に応じて、表現を修正することが考えられる。
2 報酬については、親会社等、親会社等の監査人(グループ監査チーム)、委嘱者(構成単位)、受嘱者(構成単位の監査人)等の関係者間で調整して合意した内容を記載する。例えば、本監査契約書に記載した報酬の額に含まれる旨、別途
協議する旨等の記載が考えられる。
こうした誤解を防ぎ、後日の紛争を防止するために必要な場合には、例えば以下のような条項を、監査契約書の「監査の(本業務の)目的及び範囲」の後や、「特約」の前など適宜の箇所に記載することが考えられる。ただし、以下は飽くまで一例であり、業務ごとに、その必要性や実情に応じた契約書の形式や文言を用いることが望まれる。
(11) 監査役等とのコミュニケーション
監査及び四半期レビューを実施するに当たって、受嘱者が、監査役等とコミュニケーションを行う旨(監基報260第3項及び第4項等参照)、委嘱者が受嘱者と監査役等とのコミュニケーションに十分配慮を行う旨の記載を行う。
(12) 他の公認会計士等又は外部専門家の利用
受嘱者が、監査及び四半期レビューの一部について他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。)を利用する場合がある。また、資産の評価、法律上又は税務上の判断、コンピュータシステムの評価、負債の数理計算、不正調査等については、外部専門家を利用する方が効果的かつ効率的な場合がある。外部専門家の例としては、不動産鑑定士、弁護士、税理士、システム監査人、年金数理人、不正調査の専門家等が考えられる。
これらの場合には、契約書において他の公認会計士等又は外部専門家の利用について合意し、受嘱者が他の公認会計士等又は外部専門家に対して委嘱者の情報開示をすることについて守 秘義務は解除されるようにしておく必要がある。
(13) 守秘義務その他受領情報の取扱い
① 受嘱者の一般的な守秘義務と、これが解除される以下のような正当な理由について合意する。
a.公認会計士・監査審査会の質問又は資料提出の要請等
b. 金融商品取引法第193条の3第2項に基づく法令違反等事実に関する意見の金融庁長官への申出
c.日本公認会計士協会の質問又は調査
d.後任監査人への監査業務の引継(監基報900第18項)
e.受嘱者が、監査及び四半期レビュー業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
f.受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合(これには裁判での証言、監査調書を証拠として提出する場合等が該当する。)
第○条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、……(中略)
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
(中略)
六 委嘱者の親会社等の連結財務諸表及び内部統制報告書の監査のために、受嘱者が、委嘱者の親会社等の監査人から、報告又は監査調書の査閲等の要請を受けた場合
② 受嘱者が、構成単位の監査人に該当し、グループ監査チーム(親会社等の監査人)に委嘱者の情報を報告する場合は、上記(10)②で掲げた文例の(1)を契約書に記載していれば、このような報告について委嘱者が了解したことが明らかになる。なお、前もって上記aから fと併せて、守秘義務が解除される正当な理由(監査約款第9条(様式1から8)又は同第 10条(様式9から11)、四半期レビュー約款第9条参照)として、例えば、以下のような文例で合意しておくことも考えられる。
(以下略)
③ その他、受嘱者が、証券取引等監視委員会等の求めに応じ報告を行う場合の取扱いについて、委嘱者と事前に協議しておくことが望ましい。
④ 審査を他の公認会計士等に委託する場合には、守秘義務の解除が必要となる。また、審査を受託する公認会計士等も守秘義務を負う旨を契約書に記載する。なお、自らの事務所内で審査が実施できる場合には、この記載は不要である。
⑤ 監査事務所が品質管理のために、監査業務の定期的な検証を他の公認会計士等に委託する場合(注)には守秘義務が解除される旨を契約書に記載する。また、監査業務の定期的な検証を受託する公認会計士等も守秘義務を負う旨を契約書に記載する。なお、自らの事務所内で監査業務の定期的な検証が実施できる場合には、この記載は不要である。
○.特約
(○) 監査業務の定期的な検証
委嘱者は、受嘱者が、監査に関する品質管理基準に基づき、「監査業務の定期的な検証」を他の公認会計士等に委託する場合があることを了解する。委託する場合には、事前に受嘱者は委託する他の公認会計士等の氏名及び資格を委嘱者に通知し、委嘱者の承諾を得るものとする。また、受嘱者は、当該他の公認会計士等に、監査約款第9条及び四半期レビュー約款第9条にそれぞれ規定する守秘義務
を負わせるものとする。
監査業務の定期的な検証を他の公認会計士等に委託する場合には、次に示した文例を契約書の本体の「特約」に追加する。
なお、監査契約時に「監査業務の定期的な検証」を委託する他の公認会計士等の氏名及び資格が明確な場合には、契約書本文に、「7.委託審査に関する事項」(様式1、4及び6参照)に準じて記載することも妨げない。
(注)品基報1号のA63項において、小規模な監査事務所においては、監査業務の定期的な検証や品質管理のシステムのその他の監視の手続を、監査事務所外の適切な者や他の監査事務所を利用して実施できるとされている。
⑥ 会計事務所等が所属するネットワーク内における独立性の確認や品質管理レビューについては、職業上の義務若しくは権利又は法令等の要請によるものではない。したがって、当該品質管理レビューに関する守秘義務の解除に関しては、監査契約において条項として織り込むなど、あらかじめ委嘱者の了解を得ておくことが必要となる(日本公認会計士協会「職業倫理に関する解釈指針」(最終改正 平成27年3月18日))。
⑦ 受嘱者が監査業務の過程で入手又は作成した資料、書類等の返還の要否や所有権について記載する。
⑧ 個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)の目的、その趣旨、受嘱者に課せられた守秘義務等を踏まえ、個人データの安全管理に係る取扱い等に関して委嘱者と事前に十分協議を行い、必要に応じて契約書に明記する。
(14) 契約の解除・終了
① 委嘱者又は受嘱者の責めに基づき、監査及び四半期レビューが実施不可能となった場合の契約の解除その他の解除事由、天災・事変などの場合における契約の終了、解除・終了の場合の報酬の取扱いや期限の利益の喪失等について、両者の合意が得られた事項を記載する。
なお、契約書上は相手方に対する催告を要しない解除事由に該当する場合でも、実務的には、軽微なものについては直ちに解除の意思表示を行うのではなく、相手方に対し、あらかじめ是正がされなければ解除する旨の催告をし、なお是正がされない場合に解除することになるものと考えられる。
② 後任監査人への引継の協力についても記載する。
③ 金融商品取引法監査の場合には次にも留意する。
a.解除事由として、受嘱者が、金融商品取引法第193条の3第2項に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出た場合を加えることも考えられる。
b.金融商品取引法監査の契約解除又は終了の場合における、監査公認会計士等の異動に係る臨時報告書に記載する受嘱者の意見の取扱いについて記載する。
(15) 暴力団排除条項(反社会的勢力排除条項)
平成23年10月までに、全都道府県で暴力団排除条例(以下「暴排条例」という。)が施行されている。多くの暴排条例で、努力義務として、相手方が暴力団に該当する場合の無催告解除等を内容とするいわゆる暴力団排除条項を契約書に盛り込むことが規定されている。
暴排条例施行後、事業者が契約書に暴力団排除条項を入れる実務が増加している。これを踏まえ、本研究報告の作成例でも、委嘱者と受嘱者の双方が互いに暴力団等に該当しないことを表明・確約し、相手方がそれに反した場合には催告を要さずに解除できることを内容とする暴力団排除条項を、独立した条項として加えることとした。
暴力団排除条項は、会社や監査人が自身で定めた暴力団排除のためのコンプライアンス方針や、それぞれが所在する都道府県の暴排条例に応じて、様々なバリエーションが考えられる。暴力団排除条項をどのような内容にするかを検討する際には、都道府県によっては暴排条例に対応したモデル文例が用意されていることがあるので参考にされたい。また、全国銀行協会、日本建設業連合会、不動産流通4団体(全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会、不動産流通経営協会、日本住宅建設産業協会)等の業界団体が、暴力団排除条項の例をウェブサイト等で公表している。
なお、反社会的勢力に対し毅然たる態度をとるために、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等の外部の専門機関と緊密な連携関係を構築するなど、適切に対処する必要がある。反社会的勢力の定義に関しては、反社会的勢力への企業の対応を示した「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(平成19年6月19日 犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)において、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。」とされていることに留意する。
(16) 損害の賠償
① 会社又は監査人の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償責任等に関する事項で合意したものを記載する。過失相殺、軽過失免責などの項目もこれに該当することになる。
② 会社法の責任限定
会社法監査において、会計監査人の株式会社に対する責任は、取締役等と同様に、総株主の同意がなければ免除できないが(会社法第424条)、一定の要件を満たす場合には、当該責任の一部については、次のいずれかの手続を経て免除することが可能である(会社法第425条から第427条)。
a.株主総会の特別決議(会社法第425条)
会計監査人が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合、株主総会の特別決議により、賠償責任額から最低責任限度額を控除した額について免除する手続である。
b.定款の定めに基づく取締役会決議(会社法第426条)
取締役が二人以上の監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社において、会計監査人が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合に、責任の原因となった事実の内容、当該会計監査人の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときに、取締役の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)により、賠償責任額から最低責任限度額を控除した額について免除する手続である。
c.定款の定めに基づく契約締結(会社法第427条)
会計監査人が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合に、会計監査人と責任限定契約を締結することにより株式会社の定款で定めた範囲内であらかじめ定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を責任の限度とする手続である。このような責任限定契約を締結する場合には、前もって定款の定めが必要である。
これら責任の一部免除の手続のうち、契約書に関係するのはcの手続である。そこで、本研究報告では、cの手続により責任の一部免除をする場合の契約書の作成例を示している。
(17) 裁判の管轄
監査に関する訴訟は判例が少なく、また、事案の性質上、膨大な書面と証拠の提出が必要とされる。そのような紛争の性質を念頭に置くと、東京地方裁判所のように商事事件専門部を備えた裁判所を管轄裁判所として指定しておくことが、契約当事者双方にとって便宜となることが少なくない。
(18) 株主総会による選任又は再任前の契約締結と効力発生条件に係る条項
本研究報告では、監査及び四半期レビュー契約書の本文について監査と四半期レビューを一体として作成する例を示しており、受嘱者が会社法における会計監査人として選任されること又は不再任とされないことが確定する株主総会の開催日以後に契約が締結されることを前提としている。
ただし、金融商品取引法監査及び四半期レビューに係る契約を株主総会の開催日前に締結する場合も想定される。このような場合において、監査及び四半期レビュー契約書の実務上の対応として、例えば次の二つが考えられる。
a.その後の株主総会において会計監査人に選任されなかった場合に当該契約全体が当然に終了するという解除条件(民法第127条第2項)を付加する方法
b.会社法監査の契約に係る部分については、その後の株主総会において会計監査人に選任された場合又は不再任とされなかった場合に当該契約の効力が発生することとする停止条件(民法第127条第1項)を付加するとともに、金融商品取引法監査及び四半期レビューの契約については、その後の株主総会において会計監査人に選任されなかった場合に当該契約は当然に終了するとする解除条件を付加する方法
○.効力の発生及び解除の条件
(1)1.監査及び四半期レビューの目的及び範囲に掲げる業務のうち会社法監査については、受嘱者が、委嘱者の第○○期定時株主総会において会計監査人に選任された場合又は不再任とされなかった場合に効力を生ずるものとする停止条件を付す。
(2)1.監査及び四半期レビューの目的及び範囲に掲げる業務のうち金融商品取引法監査、内部統制監査及び四半期レビューについては、受嘱者が、委嘱者の第○○期定時株主総会において会計監査人に選任又は再任されなかった場合には、委嘱者又は受嘱者の意思表示を要さず、当然に終了するものとする解除条件を付す。
(3)受嘱者は、正当な理由がある場合は、委嘱者の第○○期定時株主総会における会計監査人としての選任又は再任を承諾しないことを委嘱者に表明することができ、本契約は委嘱者又は受嘱者の意思表示を要さず、当然に解除されるものとする。
(4)(3)の定めにより本契約が解除された場合には、委嘱者は、受嘱者以外の者を会計監査人とするよう適切に対応するものとする。
(5)(2)又は(3)の定めにより本契約が終了した場合には、監査約款第14条第3項又
は四半期レビュー約款第14条第3項に準じて取り扱うものとする。
本研究報告では、契約の更新・新規の締結の場合の双方に採用可能な後者の場合の文例を参考までに掲げておく。この場合は、次に示した文例を監査及び四半期レビュー契約書本体の「特約」の後など適宜の箇所に追加する。
なお、監査及び四半期レビュー契約の新規の締結及び更新は、事務所の定める方針及び手続に従って適切に行われる必要があること(監基報220第11項)、株主総会の開催日から相当期間前に契約を締結した場合には、締結後において契約を継続できない原因となる情報を入手する可能性が生じることから、上記文例の(3)の規定を設けたとしても、受嘱者は適切に契約締結のタイミングを決定する必要があることに留意する。
3.監査及び四半期レビュー契約書の作成例
(1) 作成例の位置付け
契約書の作成例は、実務の参考のために示した一例である。
実際の契約書の作成においては、本研究報告を参考として状況に応じた適切な契約書を作成することに留意する。
(2) 作成例の種類
監査及び四半期レビュー契約書の作成例として以下の各様式を示している。
会社法の連結計算書類の監査の有無などにより修正が必要となること、特定事業会社に対しても適宜修正が必要となることに留意する。
監査法人用については、無限責任監査法人で指定社員の指定(及び通知)を行うことを前提とした作成例を示しているため、指定社員の指定(及び通知)を行わない場合又は有限責任監査法人の場合には、適宜修正が必要となることに留意する。
Ⅲ1(3)で例示した任意監査のうち、金融商品取引法の規定に準じた監査の監査契約書の様式は特に示していないが、様式1から5までの金融商品取引法監査に係る記載や様式10(監査法人用(その他の任意監査(適正表示の枠組みの場合)の指定社員制度利用))の監査約款を参考に適宜作成されたい。金融商品取引法の規定に準じた内部統制監査や四半期レビューを任意に委嘱された場合も同様である。
① 表紙等
② 監査及び四半期レビュー契約書
様式1:個人用(会社法監査・金融商品取引法監査)
様式2:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用)
③ 国際会計基準(IFRS)任意適用会社の監査及び四半期レビュー契約書(注1)様式3:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用)
④ 上場会社等以外の会社で四半期報告書の提出を選択しない会社の監査契約書様式4:個人用(会社法監査・金融商品取引法監査)
様式5:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用)
⑤ 会社法単独の監査契約書
様式6:個人用(会社法監査)
様式7:監査法人用(会社法監査、指定社員制度利用)
⑥ 臨時計算書類監査の監査契約書
様式8:監査法人用(臨時計算書類監査、指定社員制度利用)
⑦ 任意監査契約書
様式9:監査法人用(会社法の規定に準じた監査、指定社員制度利用)
様式10:監査法人用(その他の任意監査(適正表示の枠組みの場合)、指定社員制度利用)
(注2)
様式11:監査法人用(その他の任意監査(準拠性の枠組みの場合)、指定社員制度利用)(注
2)
(注1)③の国際会計基準(IFRS)任意適用会社の監査及び四半期レビュー契約書の作成例(様式3)は、一般的と考えられる次のケースを前提としている。
・ 連結計算書類については、会社計算規則第120条第1項後段の規定により指定国際会計基準で求められる開示項目の一部を省略する(監保実85号文例10参照)。
・ 四半期連結財務諸表については、国際会計基準第34号「期中財務報告」第8項で規定されている要約四半期連結財務諸表を作成する(監保報83号文例11参照)。
(注2)様式10と様式11は、適正表示の枠組みか、準拠性の枠組みかの分類によって使い分けることを想定しているが、一方、一般目的の財務報告の枠組みか、特別目的の財務報告の枠組みかの分類によって使い分ける必要はない(一般目的の財務報告の枠組みと、特別目的の財務報告の枠組みの、いずれにも対応している。)。
(3) 研究報告14号からの作成例の主な改正内容
① 全般
ア 契約書表紙及び収入印紙貼付欄を各様式共通とした。
イ 監査法人用の様式のうち、指定社員制度を利用する場合と利用しない場合の両様式を作成してきたものについては、指定社員制度を利用する場合のみ示すこととした。
ウ 臨時計算書類監査の監査契約書の様式については、監査法人用のみ示すこととした。
② 契約書本文の主な改正箇所
ア 上記①イのとおり、監査法人用の様式については、指定社員制度を利用する場合のみ示すこととしたが、会員の契約書作成実務に資するものとするため、指定社員制度を利用しない場合を注釈で記載している。
[表紙等]
表紙と収入印紙貼付欄は次のとおりであり、これに続けて後記各様式(様式1から様式11)を付ける。
(注)
○○○契約書
委嘱者
受嘱者
(注)「監査及び四半期レビュー契約書」や「監査契約書」などのように、後記各様式(様式1から様式11)の冒頭に記載の契約書の名称を入れる。
収入印紙貼付欄
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[監査及び四半期レビュー契約書の作成例]
様式1:個人用(会社法監査・金融商品取引法監査)
監査及び四半期レビュー契約書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、金融商品取引法の定める特別の利害関係のないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査及び四半期レビュー契約(以下「本契約」という。また、本契約に基づく監査及び四半期レビューを、以下「本業務」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約の監査業務に関して、また、「四半期レビュー約款」は本契約の四半期レビュー業務に関して、本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.本業務の目的及び範囲
(1)監査
受嘱者は、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の財務書類等に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
ア 会社法監査(会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項に基づく監査)
(ア) 計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注1)並びにその附属明細書
(イ) 連結計算書類、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表(注2、3a)
イ 金融商品取引法監査(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく監査)
(ア) 財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、(注3b)重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表
(イ) 連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書(注
3d)、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表(注3a)
ウ 内部統制監査(金融商品取引法第193条の2第2項に基づく監査)内部統制報告書
(2)四半期レビュー(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく四半期レビュー)
受嘱者は、独立の立場から、委嘱者の四半期連結財務諸表、すなわち、四半期連結貸借対照表、四半期連結損益計算書、四半期連結包括利益計算書、四半期連結キャッシュ・フロー計算書(委嘱者が作成する場合に限る。)(注3c、3d)及び注記に対する受嘱者の結論を表明することを目的として、四半期レビューを行う。
(注1)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。
(注2)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「連結注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び連結注記表」の箇所を「、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記」に置き換える。
(注3)次に掲げるような状況に応じて、適宜、変更し又は削除する。 a.連結計算書類又は連結財務諸表を作成しない場合
b.連結財務諸表を作成しないため、「キャッシュ・フロー計算書」を作成する場合 c.四半期連結財務諸表を作成しないため、四半期財務諸表を作成する場合
d.「(四半期)連結損益及び包括利益計算書」を作成する場合
2.本業務の対象となる事業年度
自 平成 年 月 日
第 期
至 平成 年 月 日
3.監査責任者の氏名
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
4.監査責任者以外の主な従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○
5.監査報告書等の提出時期
(1)監査
ア 会社法監査
(ア)計算書類及びその附属明細書に対するもの 平成 年 月
(イ)連結計算書類(注)に対するもの 平成 年 月イ 金融商品取引法監査
(ア)財務諸表に対するもの 平成 年 月
(イ)連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月ウ 内部統制監査
内部統制報告書に対するもの 平成 年 月
(2)四半期レビュー
ア | 第1四半期連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
イ | 第2四半期連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
ウ | 第3四半期連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(注)作成の有無又は作成される書類の名称に応じて適宜記載する。
6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課
7.委託審査に関する事項
(1)委嘱者は本業務に当たり、受嘱者が、「監査意見表明のための委託審査要領」(平成24年4月 10日 日本公認会計士協会)に基づき、他の公認会計士に審査を委託することを了解する。受嘱者は、審査担当員に、監査約款第9条及び四半期レビュー約款第9条にそれぞれ規定する守秘義務を負わせるものとする。
(2)審査担当員の氏名及び資格 公認会計士 ○ ○ ○ ○
(注)監査事務所が、「監査意見表明のための委託審査要領」による審査以外の審査を委託する場合には、「「監査意見表明のための委託審査要領」(平成24年4月10日 日本公認会計士協会)に基づき、」の記載を削除する。
8.本業務の見積時間数、従事場所、時期及び日程
(1)本業務の見積時間数
本業務の見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画及び四半期レビュー計画に従い、次のとおりとする。
監査責任者 時間
公認会計士
そ の 他 計 時間
(2)本業務の従事場所、時期及び日程
本業務の従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
9.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
8.(1)本業務の見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。なお、このうち、委託審査に要する費用は、○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)である。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査及び四半期レビュー手続の対象となる取引の増加若しくは合併買収の実施又は受嘱者が不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
10.経費の負担
11.責任限定契約
受嘱者の会社法第 423 条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な
過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第 425 条第1項に規定する最低責任限度額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。
(注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「11.責任限定契約」は削除する。
12.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成 年 月 日
委嘱者
受嘱者
様式2:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用)
監査及び四半期レビュー契約書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、金融商品取引法の定める特別の利害関係のないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査及び四半期レビュー契約(以下「本契約」という。また、本契約に基づく監査及び四半期レビューを、以下「本業務」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約の監査業務に関して、また、「四半期レビュー約款」は本契約の四半期レビュー業務に関して、本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.本業務の目的及び範囲
(1)監査
受嘱者は、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の財務書類等に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
ア 会社法監査(会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項に基づく監査)
(ア) 計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注1)並びにその附属明細書
(イ) 連結計算書類、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表(注2、3a)
イ 金融商品取引法監査(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく監査)
(ア) 財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書(注3b)、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表
(イ) 連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書(注
3d)、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表(注3a)
ウ 内部統制監査(金融商品取引法第193条の2第2項に基づく監査)内部統制報告書
(2)四半期レビュー(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく四半期レビュー) 受嘱者は、独立の立場から、委嘱者の四半期連結財務諸表、すなわち、四半期連結貸借対照表、四半期連結損益計算書、四半期連結包括利益計算書、四半期連結キャッシュ・フロー計算書(委嘱者が作成する場合に限る。)(注3c、3d)及び注記に対する受嘱者の結論を表明することを目的として、四半期レビューを行う。 (注1)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。 (注2)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「連結注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び連結注記表」の箇所を「、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記」に置き換える。 (注3)次に掲げるような状況に応じて、適宜、変更し又は削除する。 a.連結計算書類又は連結財務諸表を作成しない場合 b.連結財務諸表を作成しないため、「キャッシュ・フロー計算書」を作成する場合 c.四半期連結財務諸表を作成しないため、四半期財務諸表を作成する場合 d.「(四半期)連結損益及び包括利益計算書」を作成する場合 2.本業務の対象となる事業年度 自 平成 年 月 日 第 期 至 平成 年 月 日 3.指定社員の通知 受嘱者は公認会計士法第 34 条の 10 の4に基づき、本業務を指定証明とし、下記の社員を本業務を担当する社員として指定し、本契約成立時に委嘱者に通知したものとする。 公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間) 4.指定社員以外の主な従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○ (注)指定社員制度を利用しない場合には、以下のとおり記載する。 | ||
3.業務執行社員の氏名 公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間) |
4.業務執行社員以外の主な従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○ | ||
5.監査報告書等の提出時期 (1)監査 ア 会社法監査 (ア)計算書類及びその附属明細書に対するもの 平成 年 月 (イ)連結計算書類(注)に対するもの 平成 年 月イ 金融商品取引法監査 (ア)財務諸表に対するもの 平成 年 月 (イ)連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月ウ 内部統制監査 内部統制報告書に対するもの 平成 年 月 (2)四半期レビュー ア 第1四半期連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月イ 第2四半期連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月ウ 第3四半期連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月 (注)作成の有無又は作成される書類の名称に応じて適宜記載する。 6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課 7.本業務の見積時間数、従事場所、時期及び日程 (1)本業務の見積時間数 本業務の見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画及び四半期レビュー計画に従い、次のとおりとする。 指 定 社 員 時間 公認会計士 そ の 他 計 時間 (2)本業務の従事場所、時期及び日程 本業務の従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。 |
(注)指定社員制度を利用しない場合には、以下のとおり記載する。
8.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
7.(1)本業務の見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査及び四半期レビュー手続の対象となる取引の増加若しくは合併買収の実施又は受嘱者が不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
9.経費の負担
10.責任限定契約
受嘱者の会社法第 423 条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な
過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第 425 条第1項に規定する最低責任限度額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。
(注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「10.責任限定契約」は削除する。
7.本業務の見積時間数、従事場所、時期及び日程
(1)本業務の見積時間数
本業務の見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画及び四半期レビュー計画に従い、次のとおりとする。
業務執行社員
公認会計士
時間
そ の 他
計 時間
(2)本業務の従事場所、時期及び日程
本業務の従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
11.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成
年
月
日
委嘱者
受嘱者
(記載例)東京都○○区○○町××番××号
○ ○監査法人
代表社員 ○ ○ ○ ○ 印
指定社員
指定社員
○ ○ ○ ○ 印
○ ○ ○ ○ 印
監査約款及び四半期レビュー約款(様式1及び様式2共通)
監 査 約 款
第1条(監査の公共性)
委嘱者と受嘱者は、監査の公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行う。監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、計算書類及びその附属明細書(連結計算書類を作成する場合は、連結計算書類を含む。以下併せて「計算関係書類」という。)並びに財務諸表(連結財務諸表を作成する場合は、連結財務諸表を含む。以下同じ。)に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施する。
2.受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行う。財務報告に係る内部統制の監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき内部統制監査を実施する。
第3条(監査の性質及び限界)
委嘱者は、計算関係書類及び財務諸表(以下併せて「財務諸表等」という。)の監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 監査においては、財務諸表等の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続を実施すること。二 監査手続は、受嘱者の判断により、不正又は誤謬による財務諸表等の重要な虚偽表示リスクの評価に基
づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、委嘱者が採用した会計方針及びその適用方法並びに委嘱者によって行われた見積りの評価も含め全体としての財務諸表等の表示を検討すること。
四 受嘱者の行う財務諸表等の監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、受嘱者は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、財務諸表等の作成と適正な表示に関連する内部統制を検討すること。
五 内部統制により財務諸表等の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、財務諸表等の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 財務諸表等の作成には委嘱者の経営者による主観的な判断や評価又は不確実性が関連すること、監査証拠の入手には実務上又は法令上の限界(例えば、巧妙かつ念入りな改竄や共謀を発見できない可能性があること、強制捜査権はないこと等)があることその他の監査の固有の限界のため、監査によって財務諸表等に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないという絶対的な保証を得ることはできないこと。
2.受嘱者は、監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、書面により監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告するものとする。
3.委嘱者は、内部統制監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 内部統制監査においては、内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための手続を実施すること。
二 内部統制監査の監査手続は、受嘱者の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について委嘱者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討すること。
四 財務報告に係る内部統制の監査を実施したとしても、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があること。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して計算関係書類を作成し適正に表示すること。
二 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表を作成する場合は、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則を含む。)に準拠して財務諸表を作成し適正に表示すること。
三 我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準及び財務計算に関
する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示すること。
四 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表等を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
五 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、財務諸表等及び内部統制報告書の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 監査報告書日及び内部統制監査報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書
ウ 受嘱者から要請のある財務諸表監査及び内部統制監査のための追加的な情報
エ 監査証拠を入手するために必要であると受嘱者が判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
六 全ての取引が会計記録に適切に記録され、財務諸表等に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が監査を完了できるよう、財務諸表等、内部統制報告書及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に監査を実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者は、受嘱者が金融商品取引法に基づき通知した法令違反等事実に対し、是正その他の適切な措置をとらなければならない。
5.委嘱者の経営者は、監査報告書日の翌日から監査の対象となった財務諸表等の発行日(財務諸表等及び監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、財務諸表等に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。内部統制監査報告書日の翌日から内部統制報告書の発行日(内部統制報告書及び内部統制監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、内部統制報告書に影響を及ぼす可能性のある事実についても同様とする。
6.委嘱者は、受嘱者が監査報告書日及び内部統制監査報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準及び我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準で要求されている確認事項並びに他の監査証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(監査報告書等の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」(改正を含む。)に従い監査報告書を作成し、同委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(改正を含む。)に従い内部統制監査報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する監査報告書又は内部統制監査報告書の意見の様式や類型及び記載内容について、監査の過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループ監査に関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(連結計算書類又は連結財務諸表を作成する場合において、連結計算書類又は連結財務諸表に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。
一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施
できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が監査業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が監査を実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を監査に利用することができるものとする。
第9条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出る場合三 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
四 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合五 受嘱者が、監査業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
六 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第10条(資料等の帰属)
受嘱者が監査遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第11条(監査報告書等の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した監査報告書及び内部統制監査報告書について、監査の対象となった財務諸表等及び内部統制報告書と一体として利用しなければならない。
第12条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、監査が委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第13条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第14条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、監査着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、監査着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出た場合六 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第12条に定める独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約が解除された場合、委嘱者は、委嘱者が臨時報告書に記載する受嘱者の異動に至った理由及び経緯等に対する受嘱者の意見を臨時報告書に記載しなければならない。
7.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第9条、第11条、本条、第15条及び第16条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第15条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
第16条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。
四半期レビュー約款
第1条(四半期レビューの公共性)
委嘱者と受嘱者は、四半期レビューの公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期レビューの基準に準拠して四半期レビューを行う。四半期レビューの基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、四半期レビュー計画を策定し、これに基づき四半期レビューを実施する。
第3条(四半期レビューの性質及び限界)
委嘱者は、四半期レビューに関して次に掲げる事項を了解する。
一 四半期レビューにおいては、主として経営者、財務及び会計に関する事項に責任を有する者その他適切な者に対して実施する質問、分析的手続その他の四半期レビュー手続を実施すること。
二 四半期レビュー手続は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して実施される年度の財務諸表の監査に比べて限定された手続であること。
三 四半期レビューは、四半期財務諸表(四半期連結財務諸表を作成する場合は、四半期連結財務諸表をいう。以下同じ。)が一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、全ての重要な点において適正に表示しているかどうかについて意見を表明するものではなく、適正に表示していないと信じさせる事項が全ての重要な点において認められなかったかどうかについての結論を表明するものであること。
四 四半期レビューは、財務諸表には全体として重要な虚偽表示がないということについて合理的な保証を得るために実施される年度の財務諸表の監査と同様の保証を得ることを目的とするものでないこと。
五 内部統制により四半期財務諸表の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、四半期財務諸表の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 四半期レビューは、重要な事項がもしあれば、受嘱者に気付かせるものであるが、年度の財務諸表の監査であれば可能であったであろう全ての重要な事項を発見することを保証するものではないこと。
七 前各号に掲げる事項のため、受嘱者がたとえ適切に四半期レビュー計画を策定して適切に四半期レビューを実施したとしても、不正及び誤謬による全ての重要な虚偽表示を発見できないことがあること。
2.受嘱者は、四半期レビューの過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告する。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 我が国において一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準及び四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(四半期連結財務諸表を作成する場合は、四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則)に準拠して四半期財務諸表を作成し適正に表示すること。
二 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない四半期財務諸表を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
三 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、四半期財務諸表の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 四半期レビュー報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書ウ 受嘱者から要請のある四半期レビューのための追加的な情報
エ 証拠を入手するために受嘱者が必要であると判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
四 全ての取引が会計記録に適切に記録され、四半期財務諸表に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が四半期レビューを完了できるよう、四半期財務諸表及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に四半期レビューを実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者は、受嘱者が金融商品取引法に基づき通知した法令違反等事実に対し、是正その他の適切な措置をとらなければならない。
5.委嘱者の経営者は、四半期レビュー報告書日の翌日から四半期財務諸表の発行日(四半期財務諸表及び四半期レビュー報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、四半期財務諸表に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。
6.委嘱者は、受嘱者が四半期レビュー報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、四半期レビューの基準で要求されている確認事項及び他の証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(四半期レビュー報告書の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会報告第83号「四半期レビューに関する実務指針」(改正を含む。)に従い四半期レビュー報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する四半期レビュー報告書の結論の様式や類型及び記載内容について、四半期レビューの過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループに関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(四半期連結財務諸表を作成する場合において、四半期連結財務諸表に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。
一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って四半期レビューを実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って四半期レビューを実施できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が四半期レビュー業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が四半期レビューを実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を四半期レビューに利用することができるものとする。
第9条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出る場合三 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
四 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合五 受嘱者が、四半期レビュー業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
六 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第10条(資料等の帰属)
受嘱者が四半期レビュー遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第11条(四半期レビュー報告書の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した四半期レビュー報告書について、四半期レビューの対象となった四半期財務諸表と一体として利用しなければならない。
第12条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、四半期レビューが委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第13条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第14条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、四半期レビュー着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、四半期レビュー着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出た場合六 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第12条に定める独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に
損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約が解除された場合、委嘱者は、委嘱者が臨時報告書に記載する受嘱者の異動に至った理由及び経緯等に対する受嘱者の意見を臨時報告書に記載しなければならない。
7.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第9条、第11条、本条、第15条及び第16条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第15条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
第16条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。
[国際会計基準(IFRS)任意適用会社の監査及び四半期レビュー契約書の作成例]
様式3:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査、指定社員制度利用)
※ 連結計算書類について会社計算規則第120条第1項後段による開示一部省略、四半期連結財務諸表について国際会計基準第34号「期中財務報告」第8項による要約を行う場合
監査及び四半期レビュー契約書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、金融商品取引法の定める特別の利害関係のないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査及び四半期レビュー契約(以下「本契約」という。また、本契約に基づく監査及び四半期レビューを、以下「本業務」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約の監査業務に関して、また、「四半期レビュー約款」は本契約の四半期レビュー業務に関して、本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.本業務の目的及び範囲
(1)監査
受嘱者は、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の財務書類等に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
ア 会社法監査(会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項に基づく監査)
(ア) 計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注1)並びにその附属明細書
(イ) 連結計算書類、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結持分変動計算書、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記
イ 金融商品取引法監査(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく監査)
(ア) 財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表
(イ) 連結財務諸表、すなわち、連結財政状態計算書、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結持分変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記(注2)
ウ 内部統制監査(金融商品取引法第193条の2第2項に基づく監査)内部統制報告書
(2)四半期レビュー(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく四半期レビュー)
受嘱者は、独立の立場から、委嘱者の要約四半期連結財務諸表、すなわち、要約四半期連結財政状態計算書、要約四半期連結損益計算書、要約四半期連結包括利益計算書、要約四半期連結持分変動計算書、要約四半期連結キャッシュ・フロー計算書及び注記(注2)に対する受嘱者の結論を表明することを目的として、四半期レビューを行う。
(注1)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。
(注2)(要約四半期)連結損益計算書及び(要約四半期)連結包括利益計算書を1計算書方式で作成する場合には「(要約四半期)連結損益計算書」の名称を削除する。
(注3)その他、書類の名称や、注記等の説明情報についての記載は、状況に合わせて適宜変更する。
2.本業務の対象となる事業年度
自 平成 年 月 日
第 期
至 平成 年 月 日
3.指定社員の通知
受嘱者は公認会計士法第 34 条の 10 の4に基づき、本業務を指定証明とし、下記の社員を本業務を担当する社員として指定し、本契約成立時に委嘱者に通知したものとする。
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
4.指定社員以外の主な従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○
5.監査報告書等の提出時期
(1)監査
ア 会社法監査
(ア)計算書類及びその附属明細書に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(イ)連結計算書類(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
イ 金融商品取引法監査 | |||
(ア)財務諸表に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(イ)連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月ウ 内部統制監査
内部統制報告書に対するもの 平成 年 月
(2)四半期レビュー
ア | 第1四半期連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
イ | 第2四半期連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
ウ | 第3四半期連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(注)作成の有無又は作成される書類の名称に応じて適宜記載する。
6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課
7.本業務の見積時間数、従事場所、時期及び日程
(1)本業務の見積時間数
本業務の見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画及び四半期レビュー計画に従い、次のとおりとする。
指 定 社 員 時間
公認会計士
そ の 他 計 時間
(2)本業務の従事場所、時期及び日程
本業務の従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
8.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
7.(1)本業務の見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査及び四半期レビュー手続の対象となる取引の増加若しくは合併買収の実施又は受嘱者が不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
9.経費の負担
10.責任限定契約
受嘱者の会社法第 423 条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な
過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第 425 条第1項に規定する最低責任限度額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。
(注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「10.責任限定契約」は削除する。
11.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成 年 月 日
委嘱者受嘱者
(記載例)東京都○○区○○町××番××号
○ ○監査法人
代表社員 ○ ○ ○ ○ 印
指定社員 ○ ○ ○ ○ 印指定社員 ○ ○ ○ ○ 印
監 査 約 款
第1条(監査の公共性)
委嘱者と受嘱者は、監査の公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行う。監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、計算書類及びその附属明細書、連結計算書類、財務諸表並びに連結財務諸表(以下併せて「財務諸表等」という。)に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施する。
2.受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行う。財務報告に係る内部統制の監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき内部統制監査を実施する。
第3条(監査の性質及び限界)
委嘱者は、財務諸表等の監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 監査においては、財務諸表等の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続を実施すること。二 監査手続は、受嘱者の判断により、不正又は誤謬による財務諸表等の重要な虚偽表示リスクの評価に基
づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、委嘱者が採用した会計方針及びその適用方法並びに委嘱者によって行われた見積りの評価も含め全体としての財務諸表等の表示を検討すること。
四 受嘱者の行う財務諸表等の監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、受嘱者は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、財務諸表等の作成と適正な表示に関連する内部統制を検討すること。
五 内部統制により財務諸表等の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、財務諸表等の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 財務諸表等の作成には委嘱者の経営者による主観的な判断や評価又は不確実性が関連すること、監査証拠の入手には実務上又は法令上の限界(例えば、巧妙かつ念入りな改竄や共謀を発見できない可能性があること、強制捜査権はないこと等)があることその他の監査の固有の限界のため、監査によって財務諸表等に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないという絶対的な保証を得ることはできないこと。
2.受嘱者は、監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、書面により監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告するものとする。
3.委嘱者は、内部統制監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 内部統制監査においては、内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための手続を実施すること。
二 内部統制監査の監査手続は、受嘱者の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について委嘱者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討すること。
四 財務報告に係る内部統制の監査を実施したとしても、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があること。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して計算書類及びその附属明細書を作成し適正に表示すること。
二 指定国際会計基準で求められる開示項目の一部を省略して作成することを認めている会社計算規則第 120条第1項後段の規定により連結計算書類を作成し適正に表示すること。
三 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則に準拠して財務諸表を作成し適正に表示すること。
四 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則第93条の規定に基づき、指定国際会計基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示すること。
五 我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準及び財務計算に関
する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示すること。
六 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表等を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
七 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、財務諸表等及び内部統制報告書の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 監査報告書日及び内部統制監査報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書
ウ 受嘱者から要請のある財務諸表監査及び内部統制監査のための追加的な情報
エ 監査証拠を入手するために必要であると受嘱者が判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
八 全ての取引が会計記録に適切に記録され、財務諸表等に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が監査を完了できるよう、財務諸表等、内部統制報告書及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に監査を実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者は、受嘱者が金融商品取引法に基づき通知した法令違反等事実に対し、是正その他の適切な措置をとらなければならない。
5.委嘱者の経営者は、監査報告書日の翌日から監査の対象となった財務諸表等の発行日(財務諸表等及び監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、財務諸表等に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。内部統制監査報告書日の翌日から内部統制報告書の発行日(内部統制報告書及び内部統制監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、内部統制報告書に影響を及ぼす可能性のある事実についても同様とする。
6.委嘱者は、受嘱者が監査報告書日及び内部統制監査報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準及び我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準で要求されている確認事項並びに他の監査証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(監査報告書等の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」(改正を含む。)に従い監査報告書を作成し、同委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(改正を含む。)に従い内部統制監査報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する監査報告書又は内部統制監査報告書の意見の様式や類型及び記載内容について、監査の過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループ監査に関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(連結計算書類又は連結財務諸表に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。
一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施
できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が監査業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が監査を実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を監査に利用することができるものとする。
第9条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出る場合三 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
四 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合五 受嘱者が、監査業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
六 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第10条(資料等の帰属)
受嘱者が監査遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第11条(監査報告書等の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した監査報告書及び内部統制監査報告書について、監査の対象となった財務諸表等及び内部統制報告書と一体として利用しなければならない。
第12条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、監査が委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第13条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第14条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、監査着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、監査着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出た場合六 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第12条に定める独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約が解除された場合、委嘱者は、委嘱者が臨時報告書に記載する受嘱者の異動に至った理由及び経緯等に対する受嘱者の意見を臨時報告書に記載しなければならない。
7.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第9条、第11条、本条、第15条及び第16条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第15条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
第16条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。
四半期レビュー約款
第1条(四半期レビューの公共性)
委嘱者と受嘱者は、四半期レビューの公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる四半期レビューの基準に準拠して四半期レビューを行う。四半期レビューの基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、四半期レビュー計画を策定し、これに基づき四半期レビューを実施する。
第3条(四半期レビューの性質及び限界)
委嘱者は、四半期レビューに関して次に掲げる事項を了解する。
一 四半期レビューにおいては、主として経営者、財務及び会計に関する事項に責任を有する者その他適切な者に対して実施する質問、分析的手続その他の四半期レビュー手続を実施すること。
二 四半期レビュー手続は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して実施される年度の財務諸表の監査に比べて限定された手続であること。
三 四半期レビューは、要約四半期連結財務諸表が四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下「四半期連結財規」という。)第93条の規定により国際会計基準第34号「期中財務報告」に準拠して、全ての重要な点において適正に表示しているかどうかについて意見を表明するものではなく、適正に表示していないと信じさせる事項が全ての重要な点において認められなかったかどうかについての結論を表明するものであること。
四 四半期レビューは、財務諸表には全体として重要な虚偽表示がないということについて合理的な保証を得るために実施される年度の財務諸表の監査と同様の保証を得ることを目的とするものでないこと。
五 内部統制により要約四半期連結財務諸表の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、要約四半期連結財務諸表の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 四半期レビューは、重要な事項がもしあれば、受嘱者に気付かせるものであるが、年度の財務諸表の監査であれば可能であったであろう全ての重要な事項を発見することを保証するものではないこと。
七 前各号に掲げる事項のため、受嘱者がたとえ適切に四半期レビュー計画を策定して適切に四半期レビューを実施したとしても、不正及び誤謬による全ての重要な虚偽表示を発見できないことがあること。
2.受嘱者は、四半期レビューの過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告する。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 四半期連結財規第93条の規定により国際会計基準第34号「期中財務報告」に準拠して要約四半期連結財務諸表を作成し適正に表示すること。
二 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない要約四半期連結財務諸表を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
三 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、要約四半期連結財務諸表の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 四半期レビュー報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書ウ 受嘱者から要請のある四半期レビューのための追加的な情報
エ 証拠を入手するために受嘱者が必要であると判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
四 全ての取引が会計記録に適切に記録され、要約四半期連結財務諸表に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が四半期レビューを完了できるよう、要約四半期連結財務諸表及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に四半期レビューを実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者は、受嘱者が金融商品取引法に基づき通知した法令違反等事実に対し、是正その他の適切な措置をとらなければならない。
5.委嘱者の経営者は、四半期レビュー報告書日の翌日から要約四半期連結財務諸表の発行日(要約四半期連
結財務諸表及び四半期レビュー報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、要約四半期連結財務諸表に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。
6.委嘱者は、受嘱者が四半期レビュー報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、四半期レビューの基準で要求されている確認事項及び他の証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(四半期レビュー報告書の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会報告第83号「四半期レビューに関する実務指針」(改正を含む。)に従い四半期レビュー報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する四半期レビュー報告書の結論の様式や類型及び記載内容について、四半期レビューの過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループに関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(要約四半期連結財務諸表に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って四半期レビューを実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って四半期レビューを実施できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が四半期レビュー業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が四半期レビューを実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を四半期レビューに利用することができるものとする。
第9条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出る場合三 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
四 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合五 受嘱者が、四半期レビュー業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
六 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第10条(資料等の帰属)
受嘱者が四半期レビュー遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第11条(四半期レビュー報告書の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した四半期レビュー報告書について、四半期レビューの対象となった要約四半期連結財務諸表と一体として利用しなければならない。
第12条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、四半期レビューが委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第13条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第14条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、四半期レビュー着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、四半期レビュー着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出た場合六 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第12条に定める独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2
項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約が解除された場合、委嘱者は、委嘱者が臨時報告書に記載する受嘱者の異動に至った理由及び経緯等に対する受嘱者の意見を臨時報告書に記載しなければならない。
7.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第9条、第11条、本条、第15条及び第16条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第15条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
第16条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。
[上場会社等以外の会社で四半期報告書の提出を選択しない会社の監査契約書の作成例]
様式4:個人用(会社法監査・金融商品取引法監査(四半期報告書の提出を選択しない会社))
監 査 契 約 書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、金融商品取引法の定める特別の利害関係のないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査契約(以下「本契約」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.監査の目的及び範囲
(1)監査
受嘱者は、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の財務書類に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
ア 会社法監査(会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項に基づく監査)
(ア) 計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注1)並びにその附属明細書
(イ) 連結計算書類、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表(注2、3a)
イ 金融商品取引法監査(年度監査)(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく年度監査)
(ア) 財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、(注3b)重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表
(イ) 連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書(注
3c)、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表(注3a)
(2)金融商品取引法監査(中間監査)(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく中間監査)
受嘱者は、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の財務書類に対する意見を表明することを目的として、中間監査を実施する。
ア 中間財務諸表、すなわち、中間貸借対照表、中間損益計算書、中間株主資本等変動計算書、(注
3b)重要な会計方針及びその他の注記
イ 中間連結財務諸表、すなわち、中間連結貸借対照表、中間連結損益計算書、中間連結包括利益計算書(注3c)、中間連結株主資本等変動計算書、中間連結キャッシュ・フロー計算書、中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記(注3a)
(注1)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。
(注2)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「連結注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び連結注記表」の箇所を「、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記」に置き換える。
(注3)次に掲げるような状況に応じて、適宜、変更し又は削除する。 a.連結計算書類又は(中間)連結財務諸表を作成しない場合
b.(中間)連結財務諸表を作成しないため、「(中間)キャッシュ・フロー計算書」を作成する場合
c.「(中間)連結損益及び包括利益計算書」を作成する場合
2.監査の対象となる事業年度
自 平成 年 月 日
第 期
至 平成 年 月 日
3.監査責任者の氏名
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
4.監査責任者以外の主な監査従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○
5.監査報告書等の提出時期
(1)監査
ア 会社法監査
(ア) 計算書類及びその附属明細書に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(イ) 連結計算書類(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
イ 金融商品取引法監査(年度監査) | |||
(ア) 財務諸表に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(イ) 連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(2)金融商品取引法監査(中間監査)
ア 中間財務諸表に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
イ 中間連結財務諸表(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(注)作成の有無に応じて適宜記載する。
6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課
7.委託審査に関する事項
(1)委嘱者は本監査に当たり、受嘱者が、「監査意見表明のための委託審査要領」(平成24年4月 10日 日本公認会計士協会)に基づき、他の公認会計士に審査を委託することを了解する。受嘱者は、審査担当員に、監査約款第9条に規定する守秘義務を負わせるものとする。
(2)審査担当員の氏名及び資格 公認会計士 ○ ○ ○ ○
(注)監査事務所が、「監査意見表明のための委託審査要領」による審査以外の審査を委託する場合には、「「監査意見表明のための委託審査要領」(平成24年4月10日 日本公認会計士協会)に基づき、」の記載を削除する。
8.監査見積時間数並びに従事場所、時期及び日程
(1)監査見積時間数
監査従事者の監査見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画に従い、次のとおりとする。
監査責任者 時間
公認会計士
そ の 他 計 時間
(2)従事場所、時期及び日程
従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
9.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
8.(1)監査見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。なお、このうち、委託審査に要する費用は、○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)である。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査手続の対象となる取引の増加若しくは合併買収の実施又は受嘱者が不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
10.経費の負担
11.責任限定契約
受嘱者の会社法第423条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第425条第1項に規定する最低責任限度額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。
(注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「11.責任限定契約」は削除する。
12.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成 年 月 日
委嘱者受嘱者
様式5:監査法人用(会社法監査・金融商品取引法監査(四半期報告書の提出を選択しない会社)、指 定社員制度利用)
監 査 契 約 書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、金融商品取引法の定める特別の利害関係のないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査契約(以下「本契約」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.監査の目的及び範囲
(1)監査
受嘱者は、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の財務書類に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
ア 会社法監査(会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項に基づく監査)
(ア) 計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注1)並びにその附属明細書
(イ) 連結計算書類、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表(注2、3a)
イ 金融商品取引法監査(年度監査)(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく年度監査)
(ア) 財務諸表、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、(注3b)重要な会計方針、その他の注記及び附属明細表
(イ) 連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書(注
3c)、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表(注3a)
(2)金融商品取引法監査(中間監査)(金融商品取引法第193条の2第1項に基づく中間監査)
受嘱者は、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の財務書類に対する意見を表明することを目的として、中間監査を実施する。
ア 中間財務諸表、すなわち、中間貸借対照表、中間損益計算書、中間株主資本等変動計算書、 (注3b)重要な会計方針及びその他の注記 イ 中間連結財務諸表、すなわち、中間連結貸借対照表、中間連結損益計算書、中間連結包括利益計算書(注3c)、中間連結株主資本等変動計算書、中間連結キャッシュ・フロー計算書、中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記(注3a) (注1)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。 (注2)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「連結注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び連結注記表」の箇所を「、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記」に置き換える。 (注3)次に掲げるような状況に応じて、適宜、変更し又は削除する。 a.連結計算書類又は(中間)連結財務諸表を作成しない場合 b.(中間)連結財務諸表を作成しないため、「(中間)キャッシュ・フロー計算書」を作成する場合 c.「(中間)連結損益及び包括利益計算書」を作成する場合 2.監査の対象となる事業年度 自 平成 年 月 日 第 期 至 平成 年 月 日 3.指定社員の通知 受嘱者は公認会計士法第34条の10の4に基づき、本契約における監査証明業務を指定証明とし、下記の社員を業務を担当する社員として指定し、本契約成立時に委嘱者に通知したものとする。 公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間) 4.指定社員以外の主な監査従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○ (注)指定社員制度を利用しない場合は、次のとおり記載する。 | ||
3.業務執行社員の氏名 公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間) |
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間) 4.業務執行社員以外の主な従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○ | ||
5.監査報告書等の提出時期 (1)監査 ア 会社法監査 (ア)計算書類及びその附属明細書に対するもの 平成 年 月 (イ)連結計算書類(注)に対するもの 平成 年 月イ 金融商品取引法監査 (ア)財務諸表に対するもの 平成 年 月 (イ)連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月 (2)金融商品取引法監査(中間監査) ア 中間財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月イ 中間連結財務諸表(注)に対するもの 平成 年 月 (注)作成の有無に応じて適宜記載する。 6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課 7.監査見積時間数並びに従事場所、時期及び日程 (1)監査見積時間数 監査従事者の監査見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画計画に従い、次のとおりとする。 指 定 社 員 時間 公認会計士 そ の 他 計 時間 (2)従事場所、時期及び日程 従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。 (注)指定社員制度を利用しない場合、次のとおり記載する。 | ||
7.監査見積時間数並びに従事場所、時期及び日程 (1)監査見積時間数 監査従事者の監査見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定 |
める監査計画に従い、次のとおりとする。 業務執行社員 時間 公認会計士 そ の 他 計 時間 (2)従事場所、時期及び日程 従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。 | ||
8.報酬の額及びその支払の時期 (1)報酬の額 7.(1)本業務の見積時間数に基づき算出した報酬の額は、 ○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。) とする。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。 委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査手続の対象となる取引の増加若しくは合併買収の実施又は受嘱者が不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。 上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。 (2)支払の時期 9.経費の負担 10.責任限定契約 受嘱者の会社法第 423 条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な 過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第 425 条第1項に規定する最低責任限度額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。 (注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「10.責任限定契約」は削除する。 11.特 約 (1)裁判の管轄 本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。 |
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成
年
月
日
委嘱者
受嘱者
(記載例)東京都○○区○○町××番××号
○ ○監査法人
代表社員 ○ ○ ○ ○ 印
指定社員
指定社員
○ ○ ○ ○ 印
○ ○ ○ ○ 印
監査約款(様式4及び様式5共通)
監 査 約 款
第1条(監査の公共性)
委嘱者と受嘱者は、監査の公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行う。監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、計算書類及びその附属明細書(連結計算書類を作成する場合は、連結計算書類を含む。以下併せて「計算関係書類」という。)並びに財務諸表(連結財務諸表を作成する場合は、連結財務諸表を含む。以下同じ。)に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施する。
2.受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる中間監査の基準に準拠して中間監査を行う。中間監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、中間財務諸表(中間連結財務諸表を作成する場合は、中間連結財務諸表を含む。以下同じ。)には全体として中間財務諸表の有用な情報の表示に関して投資者の判断を損なうような重要な虚偽表示がないかどうかの合理的な保証を得るために、中間監査に係る監査計画を策定し、これに基づき中間監査を実施する。
第3条(監査の性質及び限界)
委嘱者は、計算関係書類及び財務諸表(以下併せて「財務諸表等」という。)の監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 監査においては、財務諸表等の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続を実施すること。二 監査手続は、受嘱者の判断により、不正又は誤謬による財務諸表等の重要な虚偽表示リスクの評価に基
づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、委嘱者が採用した会計方針及びその適用方法並びに委嘱者によって行われた見積りの評価も含め全体としての財務諸表等の表示を検討すること。
四 受嘱者の行う財務諸表等の監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、受嘱者は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、財務諸表等の作成と適正な表示に関連する内部統制を検討すること。
五 内部統制により財務諸表等の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、財務諸表等の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 財務諸表等の作成には委嘱者の経営者による主観的な判断や評価又は不確実性が関連すること、監査証拠の入手には実務上又は法令上の限界(例えば、巧妙かつ念入りな改竄や共謀を発見できない可能性があること、強制捜査権はないこと等)があることその他の監査の固有の限界のため、監査によって財務諸表等に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないという絶対的な保証を得ることはできないこと。
2.委嘱者は、中間監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 中間監査においては、中間財務諸表の金額及び開示について監査証拠を入手するために年度監査と比べて監査手続の一部を省略した中間監査手続を実施すること。
二 中間監査手続は、受嘱者の判断により、不正又は誤謬による中間財務諸表の重要な虚偽表示リスクの評価に基づいて、分析的手続等を中心とした監査手続に必要に応じて追加の監査手続が選択及び適用されること。
三 受嘱者は、委嘱者が採用した会計方針及びその適用方法並びに委嘱者によって行われた見積りの評価も含め中間財務諸表の表示を検討すること。
四 前項第四号ないし第六号に掲げる事項は、中間監査及び中間財務諸表についても該当すること。
3.受嘱者は、監査及び中間監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、書面により監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告するものとする。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して計算関係書類を作成し適正に表示すること。
二 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表を作成する場合は、連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則を
含む。)に準拠して財務諸表を作成し適正に表示すること。
三 我が国において一般に公正妥当と認められる中間財務諸表の作成基準及び中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間連結財務諸表を作成する場合は、中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則を含む。)に準拠して中間財務諸表を作成し有用な情報を表示すること。
四 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない財務諸表等及び中間財務諸表を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
五 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、財務諸表等及び中間財務諸表の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 監査報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書ウ 受嘱者から要請のある監査及び中間監査のための追加的な情報
エ 監査証拠を入手するために必要であると受嘱者が判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
六 全ての取引が会計記録に適切に記録され、財務諸表等及び中間財務諸表に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が監査及び中間監査を完了できるよう、財務諸表等、中間財務諸表及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に監査及び中間監査を実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者は、受嘱者が金融商品取引法に基づき通知した法令違反等事実に対し、是正その他の適切な措置をとらなければならない。
5.委嘱者の経営者は、監査報告書日の翌日から監査の対象となった財務諸表等の発行日(財務諸表等及び監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、財務諸表等に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。中間監査報告書日の翌日から中間財務諸表の発行日(中間財務諸表及び中間監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、中間財務諸表に影響を及ぼす可能性のある事実についても同様とする。
6.委嘱者は、受嘱者が監査報告書日及び中間監査報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準及び我が国において一般に公正妥当と認められる中間監査の基準で要求されている確認事項並びに他の監査証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(監査報告書等の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」(改正を含む。)に従い監査報告書及び中間監査報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する監査報告書又は中間監査報告書の意見の様式や類型及び記載内容について、監査の過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループ監査に関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(連結計算書類、連結財務諸表又は中間連結財務諸表(以下「連結財務諸表等」という。)を作成する場合において、連結財務諸表等に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が監査業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が監査を実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を監査に利用することができるものとする。
第9条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出る場合三 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
四 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合五 受嘱者が、監査業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
六 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第10条(資料等の帰属)
受嘱者が監査遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第11条(監査報告書等の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した監査報告書及び中間監査報告書について、監査の対象となった財務諸表等及び中間財務諸表と一体として利用しなければならない。
第12条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、監査が委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第13条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第14条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、監査着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、監査着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 受嘱者が、金融商品取引法に基づき委嘱者の法令違反等事実に関する意見を金融庁長官に申し出た場合六 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第12条に定める独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約が解除された場合、委嘱者は、委嘱者が臨時報告書に記載する受嘱者の異動に至った理由及び経緯等に対する受嘱者の意見を臨時報告書に記載しなければならない。
7.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第9条、第11条、本条、第15条及び第16条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第15条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
第16条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。
[会社法単独の監査契約書の作成例]
様式6:個人用(会社法監査)
監 査 契 約 書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査契約(以下「本契約」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.監査の目的及び範囲(注1)
受嘱者は、会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項に基づき、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の計算関係書類に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
(1)計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注
2)並びにその附属明細書
(2)連結計算書類、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表(注3)
(注1)連結計算書類の監査を行わない場合は次のとおりとする。
1.監査の目的及び範囲
受嘱者は、会社法第436条第2項第1号に基づき、独立の立場から、委嘱者の計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注2)並びにその附属明細書に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
(注2)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。
(注3)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「連結注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び連結注記表」の箇所を「、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記」に置き換える。
2.監査の対象となる事業年度
自 平成 年 月 日
第 期
至 平成 年 月 日
3.監査責任者の氏名
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
4.監査責任者以外の主な監査従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○
5.監査報告書の提出時期 | |||
(1)計算書類及びその附属明細書に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(2)連結計算書類(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(注)連結計算書類の監査を行わない場合は、次のとおりとする。
5.監査報告書の提出時期
平成 年 月
6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課
7.委託審査に関する事項
(1)委嘱者は本監査に当たり、受嘱者が、「監査意見表明のための委託審査要領」(平成24年4月 10日 日本公認会計士協会)に基づき、他の公認会計士に審査を委託することを了解する。受嘱者は、審査担当員に、監査約款第9条に規定する守秘義務を負わせるものとする。
(2)審査担当員の氏名及び資格 公認会計士 ○ ○ ○ ○
(注)監査事務所が、「監査意見表明のための委託審査要領」による審査以外の審査を委託する場合には、「「監査意見表明のための委託審査要領」(平成24年4月10日 日本公認会計士協会)に基づき、」の記載を削除する。
8.監査見積時間数並びに従事場所、時期及び日程
(1)監査見積時間数
監査従事者の監査見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画に従い、次のとおりとする。
監査責任者 時間
公認会計士
そ の 他 計 時間
(2)従事場所、時期及び日程
従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
9.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
8.(1)監査見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。なお、このうち、委託審査に要する費用は、○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)である。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査手続の対象となる取引の増加又は合併買収の実施等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
10.経費の負担
11.責任限定契約
受嘱者の会社法第 423 条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な
過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第 425 条第1項に規定する最低責任限度額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。
(注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「11.責任限定契約」は削除する。
12.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成
年
月
日
委嘱者
受嘱者
様式7:監査法人用(会社法監査、指定社員制度利用)
監 査 契 約 書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査契約(以下「本契約」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.監査の目的及び範囲(注1)
受嘱者は、会社法第436条第2項第1号及び会社法第444条第4項に基づき、独立の立場から、次に掲げる委嘱者の計算関係書類に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
(1)計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注
2)並びにその附属明細書
(2)連結計算書類、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結注記表(注3)
(注1)連結計算書類の監査を行わない場合は次のとおりとする。
1.監査の目的及び範囲
受嘱者は、会社法第436条第2項第1号に基づき、独立の立場から、委嘱者の計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注2)並びにその附属明細書に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
(注2)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。
(注3)会社計算規則第57条第3項の規定に基づき、「連結注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び連結注記表」の箇所を「、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及びその他の注記」に置き換える。
2.監査の対象となる事業年度
自 平成 年 月 日
第 期
至 平成 年 月 日
3.指定社員の通知
受嘱者は公認会計士法第34条の10の4に基づき、本契約における監査証明業務を指定証明とし、下記の社員を業務を担当する社員として指定し、本契約成立時に委嘱者に通知したものとする。
公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)公認会計士 ○ ○ ○ ○(当該事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
4.指定社員以外の主な監査従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○
5.監査報告書の提出時期 | |||
(1)計算書類及びその附属明細書に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(2)連結計算書類(注)に対するもの | 平成 | 年 | 月 |
(注)連結計算書類の監査を行わない場合は、次のとおりとする。
5.監査報告書の提出時期
平成 年 月
6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課
7.監査見積時間数並びに従事場所、時期及び日程
(1)監査見積時間数
監査従事者の監査見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画に従い、次のとおりとする。
指 定社 員 時間
公認会計士
そ の 他 計 時間
(2)従事場所、時期及び日程
従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
8.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
7.(1)監査見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査手続の対象となる取引の増加又は合併買収の実施等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
9.経費の負担
10.責任限定契約
受嘱者の会社法第 423 条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な
過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第 425 条第1項に規定する最低責任限度額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。
(注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「10.責任限定契約」は削除する。
11.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成 年 月 日
委嘱者受嘱者
(記載例)東京都○○区○○町××番××号
○ ○監査法人
代表社員 ○ ○ ○ ○ 印
指定社員
指定社員
○ ○ ○ ○ 印
○ ○ ○ ○ 印
監査約款(様式6及び様式7共通)
監 査 約 款
第1条(監査の公共性)
委嘱者と受嘱者は、監査の公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行う。監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、計算書類及びその附属明細書(連結計算書類を作成する場合は、連結計算書類を含む。以下併せて「計算関係書類」という。)に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施する。
第3条(監査の性質及び限界)
委嘱者は、監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 監査においては、計算関係書類の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続を実施すること。
二 監査手続は、受嘱者の判断により、不正又は誤謬による計算関係書類の重要な虚偽表示リスクの評価に基づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、委嘱者が採用した会計方針及びその適用方法並びに委嘱者によって行われた見積りの評価も含め全体としての計算関係書類の表示を検討すること。
四 受嘱者の行う監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、受嘱者は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、計算関係書類の作成と適正な表示に関連する内部統制を検討すること。
五 内部統制により計算関係書類の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、計算関係書類の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 計算関係書類の作成には委嘱者の経営者による主観的な判断や評価又は不確実性が関連すること、監査証拠の入手には実務上又は法令上の限界(例えば、巧妙かつ念入りな改竄や共謀を発見できない可能性があること、強制捜査権はないこと等)があることその他の監査の固有の限界のため、監査によって計算関係書類に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないという絶対的な保証を得ることはできないこと。
2.受嘱者は、監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、書面により監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告するものとする。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して計算関係書類を作成し適正に表示すること。
二 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない計算関係書類を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
三 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、計算関係書類の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 監査報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書ウ 受嘱者から要請のある監査のための追加的な情報
エ 監査証拠を入手するために必要であると受嘱者が判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
四 全ての取引が会計記録に適切に記録され、計算関係書類に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が監査を完了できるよう、計算関係書類及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に監査を実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者の経営者は、監査報告書日の翌日から監査の対象となった計算関係書類の発行日(計算関係書類及び監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、計算関係書類に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。
5.委嘱者は、受嘱者が監査報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準で要求されている確認事項及び他の監査証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(監査報告書の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」(改正を含む。)に従い監査報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する監査報告書の意見の様式や類型及び記載内容について、監査の過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループ監査に関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(連結計算書類を作成する場合において、連結計算書類に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。
一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が監査業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が監査を実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を監査に利用することができるものとする。
第9条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
三 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合四 受嘱者が、監査業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
五 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第10条(資料等の帰属)
受嘱者が監査遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第11条(監査報告書の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した監査報告書について、監査の対象となった計算関係書類と一体として利用しなければならない。
第12条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、監査が委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第13条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第14条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、監査着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、監査着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第12条に定める独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第9条、第11条、本条、第15条及び第16条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第15条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
第16条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。
[臨時計算書類監査の監査契約書の作成例]
様式8:監査法人用(臨時計算書類監査、指定社員制度利用)
監 査 契 約 書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査契約(以下「本契約」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.監査の目的及び範囲
受嘱者は、会社法第441条第2項に基づき、独立の立場から、委嘱者の臨時計算書類、すなわち、臨時貸借対照表、臨時損益計算書、重要な会計方針及びその他の注記に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
2.監査の対象となる臨時会計年度
自 平成 | 年 | 月 | 日 |
至 平成 | 年 | 月 | 日 |
3.指定社員の通知
受嘱者は公認会計士法第34条の10の4に基づき、本契約における監査証明業務を指定証明とし、下記の社員を業務を担当する社員として指定し、本契約成立時に委嘱者に通知したものとする。
公認会計士 ○ ○ ○ ○
(当該臨時会計年度が属する事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
公認会計士 ○ ○ ○ ○
(当該臨時会計年度が属する事業年度を含む継続関与会計期間○会計期間)
4.指定社員以外の主な監査従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○
5.監査報告書の提出時期
平成 年 月
6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課
7.監査見積時間数並びに従事場所、時期及び日程
(1)監査見積時間数
監査従事者の監査見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画に従い、次のとおりとする。
指 定社 員 時間
公認会計士
そ の 他 計 時間
(2)従事場所、時期及び日程
従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
8.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
7.(1)監査見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査手続の対象となる取引の増加又は合併買収の実施等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
9.経費の負担
10.責任限定契約
受嘱者の会社法第 423 条第1項の責任について、受嘱者が職務を行うにつき善意でかつ重大な
過失がないときは、○○,○○○,○○○円又は会社法第 425 条第1項に規定する最低責任限度
額のいずれか高い額をもって、受嘱者の委嘱者に対する損害賠償責任の限度とする。
(注)責任限定契約に関する定款の定めがない場合は「10.責任限定契約」は削除する。
11.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成
年
月
日
委嘱者
受嘱者
(記載例)東京都○○区○○町××番××号
○ ○監査法人
代表社員 ○ ○ ○ ○ 印
指定社員
指定社員
○ ○ ○ ○ 印
○ ○ ○ ○ 印
監 査 約 款
第1条(監査の公共性)
委嘱者と受嘱者は、監査の公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行う。
監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、臨時計算書類に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施する。
第3条(監査の性質及び限界)
委嘱者は、監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 監査においては、臨時計算書類の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続を実施すること。
二 監査手続は、受嘱者の判断により、不正又は誤謬による臨時計算書類の重要な虚偽表示リスクの評価に基づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、委嘱者が採用した会計方針及びその適用方法並びに委嘱者によって行われた見積りの評価も含め全体としての臨時計算書類の表示を検討すること。
四 受嘱者の行う監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、受嘱者は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、臨時計算書類の作成と適正な表示に関連する内部統制を検討すること。
五 内部統制により臨時計算書類の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、臨時計算書類の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 臨時計算書類の作成には委嘱者の経営者による主観的な判断や評価又は不確実性が関連すること、監査証拠の入手には実務上又は法令上の限界(例えば、巧妙かつ念入りな改竄や共謀を発見できない可能性があること、強制捜査権はないこと等)があることその他の監査の固有の限界のため、監査によって臨時計算書類に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないという絶対的な保証を得ることはできないこと。
2.受嘱者は、監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、書面により監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告するものとする。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して臨時計算書類を作成し適正に表示すること。
二 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない臨時計算書類を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
三 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、臨時計算書類の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 監査報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書ウ 受嘱者から要請のある監査のための追加的な情報
エ 監査証拠を入手するために必要であると受嘱者が判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
四 全ての取引が会計記録に適切に記録され、臨時計算書類に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が監査を完了できるよう、臨時計算書類及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に監査を実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者の経営者は、監査報告書日の翌日から監査の対象となった臨時計算書類の発行日(臨時計算書類及び監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、臨時計算書類に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。
5.委嘱者は、受嘱者が監査報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準で要求されている確認事項及び他の
監査証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(監査報告書の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」(改正を含む。)に従い監査報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する監査報告書の意見の様式や類型及び記載内容について、監査の過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループ監査に関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(連結計算書類を作成する場合において、連結計算書類に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。
一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が監査業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が監査を実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を監査に利用することができるものとする。
第9条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
三 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合四 受嘱者が、監査業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
五 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第10条(資料等の帰属)
受嘱者が監査遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第11条(監査報告書の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した監査報告書について、監査の対象となった臨時計算書類と一体として利用しなければならない。
第12条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、監査が委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第13条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第14条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、監査着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、監査着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第12条に定める独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第9条、第11条、本条、第15条及び第16条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第15条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
第16条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。
[任意監査契約書の作成例]
様式9:監査法人用(会社法の規定に準じた監査、指定社員制度利用)
監 査 契 約 書
委嘱者
受嘱者
委嘱者と受嘱者とは、会社法所定の会計監査人の欠格事由のないこと、公認会計士法上の著しい利害関係その他の同法の業務制限に当たらないこと、及び日本公認会計士協会倫理規則に基づく独立性の保持を確認し、次のとおり監査契約(以下「本契約」という。)を締結する。
なお、本契約書に添付の「監査約款」は本契約と一体を成すものとして、委嘱者と受嘱者とにおいて効力を有するものである。
1.監査の目的及び範囲
受嘱者は、会社法第436条第2項第1号の規定に基づく監査に準じて、独立の立場から、委嘱者の計算書類、すなわち、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表(注)並びにその附属明細書に対する意見を表明することを目的として、監査を実施する。
(注)会社計算規則第57条第3項の規定に準じて、「個別注記表」と題する計算関係書類を作成しない場合は、「及び個別注記表」の箇所を「、重要な会計方針及びその他の注記」に置き換える。
2.監査の対象となる事業年度
自 平成 年 月 日
第 期
至 平成 年 月 日
3.指定社員の通知
受嘱者は公認会計士法第34条の10の4に基づき、本契約における監査証明業務を指定証明とし、下記の社員を業務を担当する社員として指定し、本契約成立時に委嘱者に通知したものとする。
公認会計士 ○ ○ ○ ○公認会計士 ○ ○ ○ ○
4.指定社員以外の主な監査従事者の氏名及び資格公認会計士 ○ ○ ○ ○
5.監査報告書の提出時期等 (1)提出先 | ||
(2)提出部数 (3)提出時期 平成 | 年 | 部 月 |
6.受嘱者との連絡に当たる委嘱者の役職員の氏名及び役職名又は所属部課
7.監査見積時間数並びに従事場所、時期及び日程
(1)監査見積時間数
監査従事者の監査見積時間数(以下「見積時間数」という。)については、受嘱者が定める監査計画に従い、次のとおりとする。
指 定社 員 時間
公認会計士
そ の 他 計 時間
(2)従事場所、時期及び日程
従事場所、時期及び日程については、受嘱者の申出に従い、別途協議する。
8.報酬の額及びその支払の時期
(1)報酬の額
7.(1)監査見積時間数に基づき算出した報酬の額は、
○○,○○○,○○○円(消費税等を除く。)
とする。委嘱者は、報酬の額に消費税等相当額を加えた額を受嘱者に支払う。
委嘱者の内部統制の不備、経営組織の改編、監査手続の対象となる取引の増加又は合併買収の実施等、見積時間数を算定した時点で想定していなかった事由を原因として執務時間数が見積時間数を超える見込みとなった場合には、受嘱者は、委嘱者に遅滞なく通知し、当該原因となった事由、それによる受嘱者が実施すべき手続への影響等について説明する。
上記の場合には、必要となる業務実施者の経験や能力及び増加した執務時間数に基づき、報酬額の改定について双方誠意をもって協議を行うものとする。
(2)支払の時期
9.経費の負担
10.特 約
(1)裁判の管轄
本契約に関し訴訟の必要が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(2)その他
本契約締結の証として本契約書2通を作成し当事者各1通を保有する。
平成
年
月
日
委嘱者
受嘱者
(記載例)東京都○○区○○町××番××号
○ ○監査法人
代表社員 ○ ○ ○ ○ 印
指定社員
指定社員
○ ○ ○ ○ 印
○ ○ ○ ○ 印
監 査 約 款
第1条(監査の公共性)
委嘱者と受嘱者は、監査の公共性を認識し、互いに協力して、信義を守り誠実に本契約を履行するものとする。
第2条(受嘱者の責任)
受嘱者は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行う。
監査の基準で求められているとおり、受嘱者は、職業倫理に関する規定を遵守し、計算書類及びその附属明細書(以下併せて「計算書類等」という。)に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得るために、監査計画を策定し、これに基づき監査を実施する。
第3条(監査の性質及び限界)
委嘱者は、監査に関して次に掲げる事項を了解する。
一 監査においては、計算書類等の金額及び開示について監査証拠を入手するための手続を実施すること。二 監査手続は、受嘱者の判断により、不正又は誤謬による計算書類等の重要な虚偽表示リスクの評価に基
づいて選択及び適用されること。
三 受嘱者は、委嘱者が採用した会計方針及びその適用方法並びに委嘱者によって行われた見積りの評価も含め全体としての計算書類等の表示を検討すること。
四 受嘱者の行う監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、受嘱者は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、計算書類等の作成と適正な表示に関連する内部統制を検討すること。
五 内部統制により計算書類等の重要な虚偽表示リスクを低減することはできるが、内部統制には、人為的なミスや間違いが起こる可能性、又は共謀や経営者が不当に内部統制を無効化する可能性などの固有の限界があり、計算書類等の重要な虚偽表示リスクを完全になくすことはできないこと。
六 計算書類等の作成には委嘱者の経営者による主観的な判断や評価又は不確実性が関連すること、監査証拠の入手には実務上又は法令上の限界(例えば、巧妙かつ念入りな改竄や共謀を発見できない可能性があること、強制捜査権はないこと等)があることその他の監査の固有の限界のため、監査によって計算書類等に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないという絶対的な保証を得ることはできないこと。
2.受嘱者は、監査の過程で識別した内部統制の重要な不備を、適時に、書面により監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」という。)に報告するものとする。
第4条(委嘱者の責任)
委嘱者の経営者は、次に掲げる責任を有する。
一 我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準及び会社計算規則に準拠して計算書類等を作成し適正に表示すること。
二 不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない計算書類等を作成するために、経営者が必要と判断する内部統制を整備及び運用すること。
三 受嘱者に以下を提供すること。
ア 記録、文書及びその他の事項等、計算書類等の作成に関連すると委嘱者が認識している全ての情報を入手する機会
イ 監査報告書日までに開催される株主総会及び取締役会の議事録並びに重要な稟議書ウ 受嘱者から要請のある監査のための追加的な情報
エ 監査証拠を入手するために必要であると受嘱者が判断する、委嘱者の役員及び従業員への制限のない質問や面談の機会
四 全ての取引が会計記録に適切に記録され、計算書類等に反映されること。
2.委嘱者は、予定されている日程どおりに受嘱者が監査を完了できるよう、計算書類等及び全ての関連する情報を受嘱者が適時に利用できるようにしなければならない。
3.委嘱者は、受嘱者が効率的かつ適切に監査を実施できるよう受嘱者に全面的に協力し、関係部署(関係会社等を含む。)に対し周知を図らなければならない。
4.委嘱者の経営者は、監査報告書日の翌日から計算書類等の発行日(計算書類等及び監査報告書が第三者に入手可能となる日をいう。)までの間に知るところとなった、計算書類等に影響を及ぼす可能性のある事実を受嘱者に通知しなければならない。
5.委嘱者は、受嘱者が監査報告書日に、委嘱者の経営者から経営者確認書を入手することを了解する。経営者確認書には、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準で要求されている確認事項及び他の監査証拠を裏付けるために必要な確認事項並びに経営者が責任を果たした旨を記載するものとする。
第5条(監査報告書の様式及び内容)
受嘱者は、日本公認会計士協会が公表した監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」(改正を含む。)に準じて監査報告書を作成する。
2.委嘱者は、前項にかかわらず、受嘱者が、提出する監査報告書の意見の様式や類型及び記載内容について、監査の過程で判明した事項に基づき、状況に応じて変えることができることを了解する。
第6条(グループ監査に関するコミュニケーション)
委嘱者は、委嘱者の構成単位(連結計算書類を作成する場合において、連結計算書類に含まれる財務情報の作成単位となる企業又はその他の事業単位をいう。以下同じ。)に関するコミュニケーションについて、次に掲げる事項を了解する。
一 受嘱者と構成単位の監査人との間のコミュニケーションは制約されないこと。
二 構成単位の監査人と構成単位の経営者又は構成単位の監査役等その他の統治責任者との間で、内部統制の重要な不備に関するものを含め、重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
三 規制当局と構成単位との間で財務報告事項に関連する重要なコミュニケーションが行われた場合には、受嘱者に対してもその内容が伝達されること。
四 受嘱者が必要と認めた範囲において、次の事項を実施すること。
ア 構成単位の情報を入手すること、並びに構成単位の経営者、構成単位の監査役等その他の統治責任者及び構成単位の監査人(受嘱者が求める関連する監査調書を含む。)へ接すること。
イ 構成単位の財務情報に関して作業を実施すること、又は構成単位の監査人へ作業の実施を依頼すること。
第7条(監査役等とのコミュニケーション)
受嘱者は、委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施する。
2.委嘱者は、受嘱者が委嘱者の監査役等と連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行って監査を実施できるように、十分配慮を行う。
第8条(他の公認会計士等又は外部専門家の利用)
委嘱者は、受嘱者が監査業務を行うに当たり、他の公認会計士等(受嘱者が所属するネットワーク内におけるネットワーク・ファームを含む。以下同じ。)を利用する場合があることを了解する。
2.受嘱者が監査を実施する過程で、外部専門家の利用が必要と判断した場合には、外部専門家を監査に利用することができるものとする。
第9条(監査と不正、誤謬及び違法行為)
委嘱者は、計算書類等の監査が委嘱者の役員又は使用人の不正、誤謬又は違法行為(以下「不正等」という。)を発見し指摘することを直接の目的とするものでないことを確認する。
2.委嘱者は、委嘱者の役員又は使用人の不正等で計算書類等の重要な虚偽表示の原因となる又はそのおそれのあるものを知ったときは、速やかに受嘱者に報告するものとする。
3.受嘱者は、監査の実施過程において、委嘱者の役員又は使用人の不正等を識別した場合又は不正等が存在する可能性があることを示す情報を入手した場合、速やかに、適切なレベルの役職者に報告するなど適切に対応するものとする。
4.委嘱者は、内部統制を整備及び運用し、従業員について監督責任を尽くすなど、不正等を防止するための組織を維持する義務があることを了解する。委嘱者が内部統制の整備及び運用又は従業員の監督責任を怠ったために発生した不正等は委嘱者の責任であり、受嘱者は責任を負わない。
5.受嘱者は、委嘱者の代表者又は経理担当役員が自己、他の役員又は使用人の不正等を知った場合又は重大な過失により知らなかった場合には、当該不正等を知った時又は知り得るべき時以降に発生又は拡大した委嘱者の損害についても責任を負わない。
第10条(守秘義務)
受嘱者は、業務上知り得た委嘱者及びその関係者の情報(以下「秘密情報」という。)を正当な理由なく他に漏らし、又は盗用してはならない。ただし、以下の情報は秘密情報から除くものとする。
一 委嘱者から開示された時点で、既に公知となっていたもの
二 委嘱者から開示された後で、受嘱者の責めに帰すべき事由によらず公知となったもの三 委嘱者から開示された時点で、既に受嘱者が保有していたもの
四 受嘱者が、守秘義務を負うことなく第三者から正当に開示されたもの
2.委嘱者は、前項の正当な理由に、次の場合を含むことを了解する。
一 受嘱者が、公認会計士法に基づく公認会計士・監査審査会の求めに対する報告又は資料の提出等を行う場合
二 受嘱者が、日本公認会計士協会の会則等に基づき同協会の質問又は調査に応じる場合
三 受嘱者が、監査業務の引継のために、後任監査人(監査人予定者を含む。)に情報を提供する場合四 受嘱者が、監査業務において他の公認会計士等又は外部専門家を利用する場合
五 受嘱者が、訴訟、調停又は審判等において職業上の利益の擁護のため必要な場合
第11条(資料等の帰属)
受嘱者が監査遂行上入手若しくは作成した委嘱者に関する諸資料、又は質問若しくは確認に対する回答書等で委嘱者に対して返還を予定していないものについては、受嘱者の所有とする。
第12条(監査報告書の利用)
委嘱者は、受嘱者の作成した監査報告書について、監査の対象となった計算書類等と一体として利用しなければならない。
第13条(独立性の保持に関する情報提供)
委嘱者と受嘱者は、監査が委嘱者と独立の立場を損なう利害及び独立の立場に疑いを招く外観を有する者によっては成し得ないことを理解し、本契約締結後においても、法令の特別の利害関係等及び日本公認会計士協会倫理規則の独立性を損なう事実の有無について相互に十分な情報を提供しなければならない。
第14条(反社会的勢力の排除)
委嘱者及び受嘱者は、相手方に対し、自らが、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロ又は特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、及び次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ本契約有効期間にわたって該当しないことを確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること。
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること。
三 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること。
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること。
五 役員又は経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること。
2.委嘱者及び受嘱者は、自ら又は第三者を利用して次の各号のいずれに該当する行為も行わないことを確約する。
一 暴力的な要求行為
二 法的な責任を超えた不当な要求行為
三 取引に関して、脅迫的な言動をし、又は暴力を用いる行為
四 風説を流布し、偽計を用い又は威力を用いて相手方の信用を毀損し、又は相手方の業務を妨害する行為五 その他前各号に準ずる行為
第15条(契約の解除・終了)
次の各号に該当する場合、受嘱者は委嘱者に対し、何らの催告をすることなく本契約を直ちに解除することができる。この場合において、委嘱者は、監査着手前においては既に支払った報酬の返還を要求せず、監査着手後においては契約した報酬の全額を受嘱者に支払うものとする。なお、委嘱者は、本項に基づき本契約が解除された場合、契約書本文に定められた支払の時期にかかわらず、受嘱者が請求した報酬の全額を直ちに支払うものとする。
一 委嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合
二 委嘱者が、法令、定款その他の遵守すべき規則又は規程を遵守しない場合
三 委嘱者が、その資産の保有等に関する適切な内部統制の整備又は法的若しくは物理的な措置をとらない場合
四 委嘱者の役職員が受嘱者の業務遂行に誠実に対応しない場合等、受嘱者の委嘱者に対する信頼関係が著しく損なわれた場合
五 委嘱者の破産手続開始の申立て、再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあった場合
2.受嘱者の責めに基づき本契約の履行が不可能となったときは、委嘱者は本契約を解除することができる。この場合において、受嘱者は、既に受領した報酬を委嘱者に返還するものとする。
3.委嘱者及び受嘱者の責めに帰すことができない事由等により本契約の履行が不可能となったときは、本契約は終了するものとし、報酬の取扱いについては双方協議の上決定又は解決するものとする。第13条に定め
る独立性を損なう事実が生じたことにより本契約を解除することになった場合も同様とする。
4.前三項にかかわらず、委嘱者又は受嘱者は、相手方が、前条各項の表明又は確約に違反した場合には、何らの催告をすることなく、本契約を直ちに解除することができる。この場合において、当該解除をした者は、相手方に対して損害を賠償することは要さない。また、当該解除をされた者は、かかる解除により相手方に損害を生じさせたときは、相手方に対して全ての損害を賠償するものとする。さらに、報酬については、当該解除をされた者の責めに基づき本契約の履行が不可能になった場合の解除に準じて、本条第1項又は第2項を適用する。
5.本契約の解除又は終了の場合、受嘱者は、監査人予定者の指定に関する通知書を入手したときは、必要と認められた事項について十分な引継を行う。この場合において、委嘱者は、受嘱者が引継を行うために要した費用を負担する。
6.本契約において裁判の管轄を定めた場合の当該裁判の管轄、第10条、第12条、本条、第16条及び第17条の定めは、本契約終了後もなお有効に存続するものとする。
第16条(損害の賠償)
委嘱者又は受嘱者は本契約に基づく義務の履行を怠ったときは、相手方に対し、その損害を賠償する。
2.受嘱者は、本契約の履行に伴い生じた委嘱者の損害について、受嘱者に悪意又は重大な過失があった場合を除き、損害賠償責任を負わない。
3.前二項において受嘱者が委嘱者に対して損害賠償責任を負う事由に関し、委嘱者又はその役員若しくは幹部社員に過失があった場合には、受嘱者の損害賠償の責任又はその金額を定める際に斟酌し減免するものとする。
第17条(その他)
本契約に定めのない事項又はその解釈に疑義が生じた事項については、双方誠意をもって協議して解決するものとする。
2.前項の協議が整わない場合には、日本公認会計士協会紛議調停委員会に対し、文書をもって調停を請求することができる。