審議会の民事訴訟法(IT化関係)部会におきまして、閲覧等の制限決定があった場合の当事者の秘密の保持義務についての規律を整備するということが検討されておりますの で、もし仮に一般的な形でそういう規律が導入されたといたしますと、消費者が当事者の場合にも当然それが適用されるということになりまして、その限度では秘密保持義務的 なものが前提となることになるのかなと考えております。ですので、その辺りの議論との兼ね合いということもあるかと考えております。
消費者契約に関する検討会第16回 議事録
消費者庁消費者制度課
第16回 消費者契約に関する検討会
1.日 時:令和3年4月2日(金)9:00~11:59
2.場 所:オンライン開催
3.議 題
(1)「平均的な損害の額」について
(2)消費者契約の条項の開示について
(3)情報提供の努力義務における考慮要素について
4.出席者
(委員)
xxxx委員(座長)、xx委員、xx委員、xx委員、楠委員、xx委員、xx委員、髙橋委員、xx委員、xx委員、xx委員、xx委員、xx委員、xxxx委員、xxxx委員、xx委員
(事務局)
xxxxx、xx消費者制度課長、xx課長補佐、xxxxx、
(オブザーバー)
国民生活センター、法務省、最高裁判所
○xxxx
おはようございます。それでは、第16回「消費者契約に関する検討会」を開催いたします。本日も、委員の皆様には御多忙のところ御出席いただきましてありがとうございます。
本日の議題は、議事次第記載のとおり、3点を取り上げます。なお、本日はxx委員、xx委員が途中で御退席と御連絡をいただいています。まず、事務局から接続と資料の確認をお願いいたします。
○xxxxx
※接続確認を行う。
最後に、資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですが、議事次第に記載のとおり、資料1消費者契約の条項の開示についてと、資料2情報提供の努力義務における考慮要素についての2点です。また、参考資料としまして第15回の事務局資料もお付けしております。資料は、以上でございます。
○xxxx
それでは、議事に入りたいと思います。まず、事務局から参考資料「平均的な損害の額」についての論点Ⅲを説明していただき、その後、委員の間で意見交換を行いたいと思います。それでは、説明をお願いいたします。
○xxxxx
それでは、事務局から「平均的な損害の額」の論点Ⅲについて御説明をさせていただきます。今回、論点Ⅲとして「立証責任の負担を軽減する特則の導入」に関して御説明をさせていただきます。
21ページに移りまして、ここは前回までの第6回、第9回と同じような内容ですけれども、前回から時間が空きましたので改めて御説明させていただきます。「平均的な損害の額」は、基本的に事業者で設定しておりまして、算定根拠に関する情報というのは、主として事業者が所持していると考えられます。そのため、消費者に基本的に立証責任があるとされておりますが、どのような情報、資料があるかということが分からず、立証困難に陥っているのではないかという考えを記載しております。
それを踏まえて今まで検討してきた内容が次のページでございまして、22ページへ移ってください。1点目は積極否認の特則というものでございまして、特徴だけ申し上げますと、一番下の青囲みですけれども、消費者が「平均的な損害の額」を
主張して、それを事業者が否認をする場合には、現行の民事訴訟法ですと積極否認という形で理由をつけて否認をすれば良いとなっているところを、特則を設けまして算定根拠の辺りまで説明していただくというような規律を御提案していたところでございます。
続いて23ページに移りまして、情報だけではなく根拠資料も必要ということですので、文書提出命令の特則を設けて算定根拠に関する資料を出していただくという新しい規律を検討していたところでございます。
こちらの御提案に関する御意見が次の24ページでして、提出義務を認め得るという御意見をいただいた一方で、慎重な御意見としては、やはり営業秘密への配慮は避けては通れず、当然必要となってくるという御意見と、2点目ですけれども、消費者にはいろんなタイプの方が存在するということも踏まえて、利用主体を限定するという方向性が考えられるのではないかという御提案もいただいたところです。
3点目、いわゆる濫訴の危険というものかと思われますけれども、先ほど御提案した特則は特許法を参考にしているところですが、特許の場合は特許権者が権利の詳細を知っているため合理的な主張がなされると思われるが、それと同じようなことがこの消費者契約法第9条第1号の場面でも起こるのかという辺りのところの問題提起をいただいたという認識をしております。
そちらを踏まえまして25ページになりまして、検討の方向性の1つとしては、この特則2つの利用者を、消費者と適格消費者団体の両方が利用する、特に利用主体に制限を設けずに、懸念されている営業秘密の保護に関しては秘密保持義務や秘密保持命令を設ける、濫訴に関しても濫訴防止規定を設けることによって法的に担保してはどうかというのが今回の御提案です。
続いて、26ページですけれども、もう一つの方向性としましては利用主体を適格消費者団体に両方の特則とも限定してしまうという方向性もあるのではないかと考えております。適格消費者団体の役員・職員等に関しましては、秘密保持義務が既に消費者契約法25条において課されておりますし、ガイドライン等である程度担保ができているというところですので、営業秘密の保護というのはこれでも図れるのではないかということを御提案しているところです。
続いて27ページにまいりまして、利用主体を限定する理由のところですけれども、慎重な御意見のところであった濫訴の懸念のところ、特許法との比較ですけれども、適格消費者団体においては差止訴訟等の訴訟に提起する場合には、彼らの理事会な どでその主張に正当性があるのかどうかという点をきちんと検討した上で訴訟提 起が行われておりますので、きちんと合理的な根拠をもっての訴訟がなされるとい うことが予想されますので、そういう意味では適格消費者団体という形で限定する ということをもって濫訴の防止というものが図れるのではないかということを考 えているところです。
それを踏まえまして28ページ、今回の提案になりますけれども、特則の内容自体は第6回、第9回でお話をさせていただいた積極否認の特則、文書提出命令の特則、ともに同じでございます。ただ、括弧のところですけれども、上記1、2を設けるにあたって、消費者については秘密保持義務や秘密保持命令、濫訴防止の規定というのをちゃんと設けてはどうかという点と、※印で「検討事項」と書いておりますけれども、これらの利用主体を適格消費者団体に限定すべきかどうかというところに関して今回御意見を頂戴できればというふうに思っております。
事務局より、参考資料の説明は以上となります。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、まず、論点Ⅲ「立証責任の負担を軽減する特則の導入」について、委員の皆様から御意見や御質問をいただきたいと思います。
私のほうからアイウエオ順で指名をさせていただき、一通り御発言いただいた後、ほかの委員の御発言に対して御意見や御質問があれば発言していただく機会を設 けたいと思います。なお、発言される委員におかれましては、円滑な進行のため、およその目安ですけれども、2分以内で御説明いただきますよう御協力のほどよろ しくお願いいたします。
いつもどおり3つのグループに分けたいと思います。第1グループがxx委員、xx委員、xx委員、楠委員、xx委員、第2グループがxx委員、髙橋委員、xx委員、xx委員、xx委員、第3グループがxx委員、xx委員、xxxx委員、xxxx委員、xx委員とさせていただきます。
それでは、まず第1グループからで、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
ありがとうございます。資料の28ページの御提案に賛成です。
検討事項として挙げられております、利用主体を適格消費者団体に限定するべきかという点につきましては、消費者についてその秘密保持義務、秘密保持命令、濫用防止規定を設けるということはもちろん十分考えられると思いますけれども、その実効性確保ですとか、あるいはその点についての十分な信頼が得られないと必ずしも動かないというようなことも懸念されますので、そうだとしますと適格消費者団体に限定するということがまずはよろしいのかなと思っております。
その場合の懸念といたしまして、訴訟形態が限定されてしまうということがあります。私自身は適格消費者団体が今、行えることというのは基本的に差止めなのですけれども、それ以外の面でも様々に消費者の訴訟に援助をしていくというか、加わっていくということがあり得て、そういう形で適格消費者団体が加わっていくと
きには、さらにこの特則の利用というものができていいのではないかとも考えております。ただ、それを置くとしまして、今回の平均的損害の問題は基本的には約款の問題ですので、かなりのところ、差止め関連で対応できる部分もあるのかなとは思っているところです。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私も、28ページに掲げてある今回の提案について基本的には賛成したいと考えておりますが、何点か、さらにコメントさせていただければと思います。
ここで実質的な問題として出てきておりますのは、一番大きいところとしては営業秘密の保護をどう考えるのかという点かと思います。その点に関しまして、利用主体の限定でありますとか、あるいは秘密保持義務等の手当ということが考えられているわけですけれども、これは細かい条文の文言等の話になるのかもしれませんが、類似の規律が設けられている特許法などの規定を見ますと、ただし書等で除外規定が設けられている。明らかにすることができない相当の理由があるときはこの限りではないといった類いの規定が設けられているところで、それに加えてさらに秘密保持命令等の制度が設けられているということですので、こちらの制度で仮に秘密保持義務等が前提になるとしましても、なおその相当の理由があるときに除外するという旨の規定を設けなくて良いかどうかということは一つの論点として残るのかなという感じがしております。
それから、消費者について、秘密保持命令というのはもしかするとあり得るのかもしれないですけれども、それとともに一般的な秘密保持義務というようなことも資料では言及がされているということですが、裁判所が具体的に命令をして秘密保持命令をするというのは特許法にも例があることで考えられると思いますけれども、一定の類型の訴訟で消費者が原告になったような場合に、自動的に消費者に何らかの公法上の義務が課されるというようなことが考えられるのかというと、一般の訴訟当事者の場合でも営業秘密等が問題となることがあり得るわけですけれども、その場合、当然に秘密保持義務が課されるということではないという前提だといたしますと、消費者の場合だけそうした公法上の義務がいきなり課されるというのはやや違和感がある規律になるのかなという感じもいたしまして、もし考えるのであれば裁判所の命令で秘密保持命令にするということが考えられるのかなという感じがいたします。
ただ、他方で営業秘密の関係でありますと、訴訟記録の関係で閲覧等の制限がかけられるということがあり得るところですけれども、この点に関しまして現在法制
審議会の民事訴訟法(IT化関係)部会におきまして、閲覧等の制限決定があった場合の当事者の秘密の保持義務についての規律を整備するということが検討されておりますので、もし仮に一般的な形でそういう規律が導入されたといたしますと、消費者が当事者の場合にも当然それが適用されるということになりまして、その限度では秘密保持義務的なものが前提となることになるのかなと考えております。ですので、その辺りの議論との兼ね合いということもあるかと考えております。
最後に、利用主体につきまして、適格消費者団体に限定するというのが一つの方向ではあり得るかと思いますけれども、とりわけ積極否認の特則に関しましては、もともと民事訴訟規則でも否認の場合の理由を述べるということが求められているところで、今回想定されている規定、規律についても直接の制裁が特にあるということでないといたしますと、特段、適格消費者団体に限定するということではなくて、積極否認の特則については一般的な規律として導入するということも十分考えられるかなという気がしております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
積極否認や文書提出命令の特則について、事務局の御提案に賛成であります。 秘密保持が重要である場合については、適格消費者団体や秘密保持命令によって
担保されているということで妥当であると考えます。また、それでも事業者が情報を開示したくないという場合には、裁判所が事業者にある程度不利な決定をする、すなわち、キャンセル料を減額するといったことによって、事業者にとって真に大きな価値のある営業秘密は事業者が開示しないという選択を行い、それほど価値のない営業秘密については開示することによって比較的高いキャンセル料を取ることができるということになれば、全体として商取引の効率性に照らして望ましい情報開示がなされるのではないかと考えます。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、楠委員、お願いいたします。
○楠委員
事務局の提案、2つの点に関して賛成をいたします。
一方でちょっと気になっているのは、2の文書提出命令において「平均的な損害の額」の立証に必要な書類の提出を命じるという場合に、この「平均的な損害の額」の立証にどういった書類が必要になるかというところでして、いわゆる原価の計算
だけで十分なのかという話になりますと、前回、第15回においても代替性があるかどうか。そこで仮にキャンセルされたものが期限内にまた販売される可能性があるかというところになると、恐らく取引実態などにも踏み込んで提出を求める必要が出てくるかもしれない。
そこをどの範囲で認めていくか。また、守秘義務の関係もありますので、適格消費者団体に限定するというのは現実的だとは思うのですけれども、そういった「平均的な損害の額」の立証そのものについてかなり専門性が求められるということもあるので、そういった方でないと、なかなか見たとしても立証は難しいのではないかというところが気になっておりまして、いずれにしても、どの範囲で提出をするかというところはきちんと考えていく必要はあるのかなと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
ありがとうございます。私も28ページの事務局提案には賛成なのですけれども、消費者について秘密保持義務ですとか命令、それから濫訴防止の規定を設けるということについては、もう少し慎重に議論をしてほしいと思っております。
こういうことが消費者契約法に入れば、訴訟を起こすというところから躊躇してしまうというような少し萎縮効果を生んでしまうのではないかという懸念があります。確かに、事業者にとっては大切な秘密の保持ということも担保しなければいけないと思うのですけれども、そこで知り得たことを訴訟以外で利用しないというようなことの書きぶりはもう少し違う表現といいますか、違うことで担保できるようなことがないかなと考えております。具体的には分からなくて申し訳ないです。
それから、利用主体のところに関しては適格消費者団体が妥当だと思うんですけれども、訴訟を起こす場合には個人ですとか、あとは弁護士を通じて起こす場合もありますので、適格消費者団体だけに限定するということはいかがなものかと思っております。もっと広く利用できるようにしていただきたいというのが今の私の考えです。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。ここまでのところで、特に御質問はなかったように思いますので、続けて第2グループのほうへ移らせていただきます。それでは、xx委員からお願いいたします。
○xx委員
私は前回も申し上げましたけれども、平均的な損害の額の算定は非常に難しい。各企業の経営戦略上の問題もあって、なかなか開示するというのは企業によって難しい問題を含んでいると考えます。
それで、今回の事務局案では、仮に利用主体を適格者団体に限定して特則を導入するということにしておりますけれども、本当に秘密保持命令が確実に担保できるのかどうか。その点についてかなり不安があります。一旦、営業秘密が漏えいすれば事業者、特に経営基盤の脆弱な我々中小小規模企業は回復不可能なダメージを負うおそれが非常に高い。仮に御提案のあった特則を導入する場合についても、あくまでも消費者、または適格消費者団体の合理的かつ相応の理由があると裁判所が判断する場合に限定して、更に、資料の開示先についても裁判所に限定すべきであると考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○髙橋委員
私も、28ページの御提案には基本的に賛成でございます。
問題になっております営業秘密の保護あるいは濫訴の対応に関して主体の制限の担保、主体を制限するということでそのような心配が全て担保できるかと言われますと、確実にそうだと言えるかというところに若干不安はあるのですけれども、しかし、このような形で対応するというのが一つの説明としてはあり得るのだろうと思っています。
それで、1点違う点としては、前回もお話のあった論点の2の実体的なほうの説明義務と、今回の特に積極否認の特則との関係というものがうまく説明できているかというところはちょっと確認したほうがいいかなとは思っているところです。つまり、積極否認のほうは訴訟上での手続ということになりますので、この訴訟上の手続とは別に実体的にも説明義務があるとしたら、その実体法はどうなるのか。これは論点Ⅱの問題かもしれませんけれども、その辺りは若干気になっているところではございますが、今回は論点Ⅲに関しては基本的には賛成ということで考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私も、この事務局案に賛成です。
1つ、少し心配なことは、消費者に義務が加重されることによって委縮して、これが効果的に使われることがあまりなくなってしまうことです。
それから、適格消費者団体につきましては資料の27ページに書いてありますように、正当性等を検討した上で訴訟提起の判断を行っているわけでして、既に適格消費者団体は秘密保持義務が課されている中でやっているので、ここまでやれば御懸念はないのではないかと思っております。
それで、特則の利用主体を適格消費者団体に限定すべきかということですが、訴訟形態が限定されてしまうという点では、本来は消費者もできることが望ましいと思いますが、現状を考えてみますと、まずは適格消費者団体がこの主体になることは一つの大きな前進だと思っています。ただし、今回の消費者契約法の議論とは外れますけれども、適格消費者団体の活動というものがまだまだ一般の国民には知られていないところがあると思いますので、これは適格消費者団体の活動の活性化、またはその支援ということと両輪としてやっていかないと、なかなか実効性がないと考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
よろしくお願いいたします。少し長くなりますが、御容赦いただければと思います。
論点Ⅲ「立証責任の負担を軽減する特則の導入」に関する消費者庁資料28ページの御提案については、強く反対いたします。
知的財産基本法では、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権などの「知的財産権」とともに、営業秘密を「知的財産」と定義しており、国民経済の健全な発展及び豊かな文化の創造や我が国産業の国際競争力の強化及び持続的な発展を図るため、知的財産の創造、保護及び活用に関する施策を推進するものとされています。つまり、営業秘密は、競争の観点から保護されれば足りるというものではありません。
そして、営業秘密は、「秘密であることに価値があり、公開が前提とされる特許等では保護しにくい」と言われていますが、このことは、2002年7月の知的財産戦略大綱において、「営業秘密の保護強化」が図られる一方、「知的財産の保護の強化」として「証拠収集手続の拡充」が上げられつつも、「知的財産関連訴訟における侵害行為の立証の容易化を図るために、知的財産関連訴訟の特性を踏まえた証拠収集手続の更なる機能強化について、証拠に関する憲法上の裁判公開原則の下での営業秘密の保護を含め、総合的な観点から検討を行い、所要の措置を講ずる。」と
されたことにも表れています。
そのため、ほかの法律にもあるとは思いますが、積極否認の特則については、「相当の理由」による除外の規律を含め、特許法104条の2、不正競争防止法6条だけでなく、少なくとも著作xx114条の2、種苗法36条に、文書提出命令の特則については、「正当な理由」による除外や「正当な理由」の有無の確認の手続に関する規律を含め、特許法105条、不正競争防止法7条だけでなく、少なくとも独占禁止法80条、著作xx114条の3、種苗法37条に、秘密保持命令に関する規定については、目的外利用の禁止を含め、特許法105条の4、不正競争防止法10条だけでなく、少なくとも独占禁止法81条、著作xx114条の6、種苗法40条にも規定が置かれるほか、商標法 39条、意匠法41条では、特許法におけるそれらの規定が準用されています。
また、これらに加えて、少なくとも特許法105条の6、これには商標法39条、意匠法41条による準用を含みますが、不正競争防止法12条、独占禁止法83条、著作xx 114条の8、種苗法42条では、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等に関する規定が、また、特許法105条の7、不正競争防止法13条、種苗法43条では、当事者尋問等の公開停止に関する規定が置かれています。
これらの規定は、いずれも、秘密であることに価値がある営業秘密について、知的財産権などの侵害が争われる訴訟における証拠収集手続の機能強化と営業秘密の保護のバランスを取るものとして設けられています。
一方、資料25ページ、26ページで挙げられている消費者契約法25条は、「適格消費者団体の役員、職員若しくは専門委員又はこれらの職にあった者は、正当な理由がなく、差止請求関係業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」と定めていますが、それは、第三者への提供を禁じるものと考えられ、資料26ページには
「目的外利用することができず」と書かれていますが、特許法105条の4などのように、「当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用」すること、すなわち、目的外利用の禁止までxxで定めるものではありません。
また、消費者契約法25条の秘密保持義務の違反の効果として、消費者契約法50条で罰則が定められていますが、そこでは「百万円以下の罰金」とされる一方、秘密保持命令違反の効果として罰則を定める特許法200条の3、不正競争防止法21条、独占禁止法94条の3、著作xx122条の2、種苗法70条、商標法81条の2、意匠法73条の2では、いずれも「五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科する。」とされており、同じ営業秘密を同じように漏らしたとしても、罰則が大きく異なることとなっています。
なお、資料の27ページにおいて「理事会等で主張の正当性等を検討した上で訴訟提起の判断を行っており、合理性のない訴訟提起は行われない」とされていますが、これにより営業秘密の保護が法律の効果として図られるのかということについては、否定的に考えざるを得ません。
このように、今回の御提案は、営業秘密の保護に関し、文書提出命令の特則において正当な理由の有無を確認する手続を踏まないまま営業秘密を含む文書の提出を命ずることができることをはじめとして、知的財産xxの侵害訴訟において営業秘密の保護を図るために一般的に設けられている各規律や罰則と比べても、秘密であることに価値のある営業秘密の保護について、その方法、内容ともに大きく欠けるものとなっており、また、これまで申し上げてきたことが全く考慮されておらず、実質的に立証責任を転換するのと変わらないものとなっています。
また、これまで、商品・サービスの価格設定は消費者の多様なニーズに対応するため多様化しており、事業者が同じ商品・サービスについて、条件を変えるなどにより複数の料金設定をすることが行われており、このようなケースでは条件の全てが価格設定の要素となっており、解約料の水準も、必ずしも損害の発生を前提にあらかじめ定めているものではないと申し上げてきましたが、論点Ⅱも含めて、御提案ではそのような新しい商品・サービスや商品・サービスの価格設定の多様化について全く考慮されておらず、そのような商品・サービスについて、その解約料の水準だけを取り出して「平均的な損害の額」における考慮要素」や「「平均的な損害の額」に関する立証負担」を議論し、御提案のような規律を適用することとなれば、事業者は商品・サービスの価格構造を明らかにせざるを得なくなったり、新しい商品・サービスの提供や多様な価格設定ができなくなり、その結果、消費者も、ニーズに応じた多様な商品・サービスの提供が受けられなくなりかねません。
したがって、冒頭申し上げたとおり「立証責任の負担を軽減する特則の導入」に関する消費者庁資料28ページの御提案については、強く反対いたします。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
強い反対の後で大変言いにくいのですけれども、やはり私は消費者の立場しか分かりませんので、その立場からいたしますと、今までの状態がよくないから改善しようとしているわけでありまして、現状のままで反対するということのほうに反対したいと思います。つまり、結論は事務局案に賛成するという立場です。
消費者心理というのは、訴訟そのものに非常に抵抗感があるのが一般的ですし、問題になっている営業秘密ということの意味は分かるだろうけれども、それを振りかざして、算定根拠みたいなものがちゃんと説明されないままでいきますと、例えば訴訟になったとしても、その営業秘密が壁になって、結局は立証できないのではないかと思うだろうと推測します。ですから、今のままではとにかく消費者にはかなり不利だろうと思いますので、うまくそこの壁を低くしていただく、という意味
で賛成したいと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。ここまでのところでも、御質問は特にあったようには思われませんでしたので、引き続き、第3グループに移りたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、xx委員からお願いいたします。
○xx委員
私も、今回事務局が提案していただいた内容に基本的に賛成いたします。
附帯決議に戻りますが「立証に必要な資料は主として事業者が保有しており、消費者にとって立証が困難になっているという現実があり、そのため消費者の立証責任の負担軽減のための必要な法改正を行うこと」、これが附帯決議で要請されている事項でございます。その手段を検討するのが本検討会の使命でございますので、何らかその要請を満たすための手段を示す必要があります。今回、事務局が提案していただいた内容というのは、私は必要最小限度のものだと考えております。せめてこれくらいは導入する必要があると考えております。
それから、利用主体を適格消費者団体に限定するということは、附帯決議の要請にはやはり反すると思います。その意味では、反対をいたします。消費者が当事者となる訴訟で利用できる制度を導入しなければ、消費者の立証負担を軽減するための必要な法改正にはなりませんので、そういう意味では今回提案していただいている「消費者又は適格消費者団体から申立てがあったとき」といった立てつけのほうに賛成をするという趣旨でございます。
それから、営業秘密の保護の関係ですけれども、今回提案されている消費者団体は既に秘密義務が法定されているため、新たな規律は不要であるという、この内容に私も賛成いたします。それで、消費者が当事者となる場合の手当ですけれども、秘密保持義務、秘密保持命令というのは確かにあり得る制度だとは思いますが、ただ、これに過度に義務を加重するというは問題があると考えております。先ほどもどなたか委員からありましたけれども、萎縮効果もあると考えますので、秘密保持を前提にするにしても、本当に秘密に値する情報なのかどうかをちゃんと場面、場面で吟味して、本当に必要ならば一定の義務は必要でしょうけれども、そうでないものまで全般に義務を課すようなことがあってはならないと考えますし、またその効果が加重なものであってもよろしくないと考えております。
最後に、この枠組みは全体的なバランスをもう一度考える必要があると思います。本来は、損害賠償条項を作って特約を課す事業者に立証負担があるというのが当た り前のことだと考えております。それにもかかわらず消費者側に立証負担を負わせ るという、ある意味、一旦消費者に不利な状況が作られておりその中で、不利に負
わされている立証負担を軽減する方策を作るのであれば、やはり営業秘密というものをそれほど加重に強調するべきではないと思います。ある条項が料金ではなくてあえて解約、損害賠償として設定されているのであれば、その解約金額が適正か否か、しかもそれが訴訟において問題となるような限定された場面で、最低限その根拠を示すというのは、ある意味当然のことだと思います。その当然のことがきちんと果たされるような法制度をバランスよく作っていただきたいというのが私の意見でございます。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私は、28ページの利用主体を適格消費者団体に限定した上で特則を導入するという事務局の御提案に賛成したいと思います。
もう既に多くの委員から言われていることですが、このような特則の必要性というものについては不当な条項というものが実際に存在する以上はあるであろうというふうに考えます。その上で、その営業秘密の保護に関しては実効性のある形でその秘密保持義務違反等にサンクションを与えるという点からしますと、利用主体を適格消費者団体に限定した上で義務違反に対しては厳しくサンクションを課すというような形がやむを得ないのではないかというふうに考えております。
他方で、やはりこれが不当な条項の問題であるという以上は、ある程度専門性が高くなったところで、事業者と適格消費者団体が交渉によって適切な条項を採用するように議論をしていくということが、消費者全体のためにも利益になるかと考えます。ですので、個別の消費者がその不当性を争うという形ではなくて、事業者対適格消費者団体の訴訟を中心にして不当条項の不当性というものを判断していくという方向に持っていくという意味でも、このような利用主体を限定した形での特則の導入ということに賛成したいと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xxxx委員、お願いします。
○xxxx委員
この問題は、私が関与するようになってからでもかなり長い議論がされてきたところでありまして、最初は立証責任の転換という話から始まったと記憶しておりますけれども、今回事務局が御提案になられたものというのはそれが収れんしていった結果として、私の目から見ればかなり穏当なものになっており、基本的には賛成
できるのではないかと考えております。
また、他方で事業者の方々が御心配になる営業秘密の保護ということはやはり非常に重要な問題だと私も思っておりまして、そこに対する配慮というのは引き続き必要なのではないかと思います。その観点から言うと、まず第1にその検討事項として具体的に挙がっている特則の利用主体を適格消費者団体に限定すべきかという点については、これは前にも申し上げたかと思いますが、私はやはり限定するという方向で考えるべきではないかと思っております。消費者とはいえ、それはまさに様々な消費者がいるわけでありまして、非常に極端なことを言えばライバル企業の従業員だって、それは契約を締結すれば消費者になるわけですので、積極否認については確かに制裁等はないとはいえ、この22ページの例に挙がっているように、具体的な価格、費用、金額が入ったような事柄を相手方に主張することを求めるというところからすると、やはりなかなか一般消費者に対して全てそれを認めるというのは難しいのではなかろうかと思っています。特許の議論でも、私が記憶している限りでは、職務発明の訴訟についてやはりそういう開示、秘密保持義務を課して開示するという制度が検討されたことがあると記憶されていますが、やはりそのときでも一般労働者に対してまでそのような開示を求めるというのは、幾ら秘密保持義務があっても難しいのではないかというような議論になっていたのではないかと記憶していまして、なかなか一般消費者では難しいのだろうと思っています。
他方、適格消費者団体ということであれば、これは今までの立法事実といいますか、適格消費者団体の活動の経緯を見ても、当初はやはり適格消費者団体であっても濫用的な提訴、あるいはそういう警告等が懸念されていたと思うのですが、現状の運用を見ると、私はやはりそういうことが事実として起こっていないというのは非常に重要なことかと思っておりまして、そういう意味では適格消費者団体に限定をして導入するという方向が妥当なのではないかと思っています。
それからもう一点は、秘密保持義務の関係であります。仮に適格消費者団体に限定した場合に、資料の25ページの最後の※印だと「既に秘密保持義務等が法定されているため、新たな規律を設ける必要はないと思われる」と記載されていますけれども、xx委員だったかと思いますが、御指摘されたとおり、これはかなりいわゆる訴訟法上の秘密保持義務とは異なるものなのではないかと思っております。その手続等も異なりますし、xx委員が御指摘だったと思いますが、法定刑等も相当異なるものになっております。そういう意味では、消費者契約法25条があるからといって秘密保持義務の制度が要らないかということについては、なお慎重な検討が必要になるだろうと思います。
ただ、他方で、特許と完全に同じでなければいけないのかというと、そこもやや疑問があって、特許等で想定されている典型的な営業秘密と、この消費者契約法の中で開示が想定される営業秘密というのはややレベルが違うようにも思われます。
そういう意味で、全く同じ制度が必要かどうかというところまではあれですけれども、しかしながら、検討はこの25条があるからそれでいいだろうという話では必ずしもないだろうというふうには私も思っております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xxxx委員、お願いします。
○xxxx委員
私も、利用主体を限定した上で事務局の御提案に賛成したいと思います。
理由はもう既に先生方に非常に詳しく述べていただいたので、新たに付け加えることはございません。私からは以上とさせていただきたいと思います。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
これまでの検討会の発言を繰り返す形になり、大変恐縮なのですけれども、そもそも積極否認の特則を設ける必要性につきましては、それを裏づけるような裁判例は示されていないと認識しております。
本来「平均的な損害の額」の算定根拠について、事業者側の主張・立証が曖昧な場合には求釈明の申立てをすればよく、従来の訴訟手続では足りないとする理由は必ずしもこの検討会では示されていないと思います。また、文書の提出に関しましても、消費者側は「平均的な損害の額」を否定するだけの疎明をし、事業者側にも反論の余地を与えるべきであり、すなわち裁判所の訴訟指揮に委ねるべきであると考えており、特則を設ける必要性については疑問を感じております。
今回の事務局の御提案につきましては、他の委員の方々からも御指摘がありましたけれども、前回までは事業者の営業秘密に該当する可能性がある情報が開示され得るため、営業秘密の保護への配慮が必要になると考えられるとした上で、積極否認の特則につきましては相当の理由が認められる場合であったり、文書提出命令の特則につきましては正当な理由が認められる場合であったりについても考慮した上で議論されてきました。しかし、今回の御提案を拝見すると、そうした配慮は示されていないと思います。
したがいまして、今回の御提案だけを踏まえれば、営業秘密が含まれているか否かを問わず「平均的な損害の額」の算定根拠を明らかにし、あるいは裁判所の命令があれば書類を提出しなければならない場合が出てまいります。特許法に比べて、企業が営業秘密を開示しなければならない場合が拡大しているようにも思われま
す。加えて、営業秘密の保護といった観点につきましては、特許法に比べて弱いと感じております。適格消費者団体に関しては、今も御議論がございましたけれども
「既に秘密保持義務等が法定されているため、新たな規律を設ける必要はないと思われる」との記載も事務局提案にございますが、訴訟追行以外で利用できないようにするとの規律は現時点では存在しないと認識しております。適格消費者団体の職員が第三者に情報を提供するという可能性は低いとは思いますけれども、目的外利用をされる可能性は排除されないと思っており、果たして現行の規律だけで十分と言えるかは疑問です。
また、消費者については事務局の御説明ですと、秘密保持義務、または秘密保持命令及び濫用防止規定を設けるとされておりますが、前回までの議論でもありましたように、消費者の中には様々な方がおられます。秘密であることに価値がある営業秘密の保護がこれで十分確保されるのか、疑問があるところです。
最後に、現在消費者庁事務局の皆様がどういった全体像を描いておられるのか、ちょっと見えにくくなっているのかなという印象を持っております。この特則に関する御提案が他の論点とどのような関わりにあるのか、理解が及びにくくなっております。また、この特則に関する御提案は差止訴訟以外にも、先日から検討が始まった消費者裁判手続特例法を用いた被害回復にも使われ得るということであれば、大変波及の大きい論点だと思いますので、全体像をお示しいただくべきではないかと考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。以上で、一通り御意見を伺ったところです。
私なりに少し整理をしますと、今もお話がありましたように、そもそもこのような特則を設ける必要性があることが実証的に示されているのかという御疑問が示されていましたけれども、他方で、本来、解約に伴う損害賠償の額が適正かどうか、それも訴訟で問題になるような限定された場面では、このような条項を定める事業者が根拠を示すのは当然のことではないか、という御指摘もありました。これは従来からも指摘されているところですが、改めて確認されたところです。
その上で、利用主体に関しては、様々な御意見がありましたけれども、かなり多くの方が、やはり適格消費者団体に限定するのが現実的ではないかという御意見ではなかったかと思います。特に、問題の性格から、ある程度専門性の高い事柄が問題になるわけで、事業者と適格消費者団体とが適切な条項を採用するように議論していくという点でも、限定していく必要性があるのではないかということが示されていました。
そして、積極否認の特則と文書提出命令の特則という2つの提案があるわけですけれども、方向としては、今申し上げたように、適格消費者団体に限定するのが現
実的ではないかという御意見とともに、積極否認の特則に関しては直接制裁がないということからすると、団体に限定する理由があるのかという御指摘もあったところです。しかし、他方で、やはり附帯決議を受けて議論しているわけであって、その趣旨からすると、適格消費者団体に限定して消費者を外すことについては問題があるのではないかという御指摘もあったところです。
これらの議論と重なるといいますか、最も直結して問題になるのが、営業秘密の保護をどう図るかという点で、消費者について秘密保持義務、秘密保持命令、濫用防止規定を設けるという案が示されているわけですけれども、消費者一般について秘密保持命令はまだあり得るとしても、一般的な公法上の秘密保持義務を課していくのは問題がやはり大きいのではないか、萎縮効果もあり得るという御指摘もあったところでした。そこで、消費者を外し、仮に適格消費者団体に限定するとしても、本当にこの営業秘密の保護を十分に担保できるかどうか、この点については大きな不安があるという御指摘が事業者の側から示されていたように思います。
少なくとも文書提出命令に関してはということかもしれませんが、やはり文書提 出命令だけではないかもしれないと思いますけれども、裁判所が開示することに合 理的、あるいは相応な理由がある場合に限定すべきだという御意見もありましたし、少なくとも知的財産法における営業秘密の保護に比べて、この保護を担保する規律 が消費者契約法第25条では十分ではないのではないかという御指摘も何人かの方 からされていたところです。そうだとしますと、仮にそれを前提にするとしまして も、では、どこまでその営業秘密の保護の担保を図れば足りるかということに問題 が移る可能性がありますが、特許法などと完全に同じでなければならないか、特許 法で問題のある典型的な営業秘密の保護と、消費者契約法で典型的な営業秘密の保 護とではやはりレベルが違うのではないか、それを踏まえて、法定刑なども含めて かもしれませんが、検討する余地があるのではないか、という御指摘もあったとこ ろです。不十分で、全てフォローできているかどうか分かりませんが、以上のよう な意見の分布ではなかったかと思います。
それでは、ここから先は、御意見、御質問を御希望される方はお申し出いただければと思います。今回は、挙手をクリックしていただけますと御発言を希望されているかどうか分かります。ただ、円滑な進行のために、御発言に際しましては、できれば1分程度で御説明いただきますよう御協力のほどお願い申し上げます。
それでは、挙手機能をお使いいただけますでしょうか。xx委員が、挙がっているような、消えているような、やや分かりにくいのですが。
○xx委員
挙げたんですけれども、うまく挙がらなかったのですが、挙げました。失礼いたしました。
○xxxx
分かりました。では、xx委員、お願いします。
○xx委員
伺っておりまして、消費生活相談の場で消費者と話していますと、消費生活相談員も同じなのですが、何と表現していいか分からないのですが、なぜこのように高いキャンセル料なのでしょうかというような、入口の部分でまず疑問が生じているわけです。
そこで、例えば事業者のほうが、いついつからこれは準備をしておかなくては間に合わなくて、既に準備済みであるとか、そういう話を聞くと、そうなんですかというふうにだんだん理解をしていって話合いが進む状況ですが、その段階で営業秘密ということでおっしゃっていただきますと、話が終わってしまうということで問題になっていると感じております。
私ども、消費者が知りたいというのはクリエイティブな創造的な部分、特許に関 わる部分、著作権に関わるような部分ではなくて、そういったキャンセル料をお示 しいただくのは、どういうことからきているんですか、という素朴な質問でござい ます。その回答の中に附随して、特別な調達ルートを考えているとか、そういうこ とがあれば、それが営業秘密に当たるのかもしれませんけれども、消費者があくま でも知りたいのは、クリエイティブな部分、著作xxに関わる部分ではなく、そう いった金額を示すためには、どういうような考えをされているかというところです。専門的なことは分かりませんが、特許法等の例を出して御説明いただいていること から、とても高度な話になってしまっていますが、もっと素朴なところで消費者は 困っているということを、もう一度考えていただきたいと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。ほかに御発言のお申し出はありますでしょうか。xx委員、お願いいたします。
○xx委員
今、xx委員がおっしゃったこととの関係ですが、前回の論点Ⅱの説明義務に関して、「平均的な損害の額」を説明できるかという問題はありますが、「解約料の考慮要素」を御説明することについてまで否定しているつもりはなく、今回の論点
Ⅲは、それとは別の、訴訟の中でどういうやり取りをしていくかという立証負担の軽減の訴訟法上の問題と考えています。
そして、これまで特許法を参考に議論されていますが、今回、商標法や著作xx
などでも同じ規律になっていることをお示ししています。特許法では技術的・システム的なものがイメージされるので、それを前提に、今回は違ってもよいとされると問題があると考え、ほかの法律もあげさせていただきました。したがって、営業秘密の保護について、全体のバランスを考える上においては、今回御提案の2つの特則に関するものだけでなく、他の法律では他の規定もあると申し上げましたが、どんな体系で営業秘密を保護していく必要があるのか、また、どういうものであれば保護できるのかということを御議論いただきたいと思っています。
今回の消費者庁の御提案は、2つの特則に関するものだけで、また、xx委員もおっしゃっていたとおり、全体像がわからない中での議論になっているところがあり、これは事務局へのお願いになりますが、今後は、規律の全体像が見える形で資料を作っていただければと思います。
○xxxx
ありがとうございます。
私から少しxx委員に確認をさせていただきたい点がありますが、よろしいでしょうか。今、御指摘いただきましたように、特許法だけではなく、知的財産法及び競争法も含めて営業秘密の保護について一定の規律が行われていて、それとのバランスもよく考えてほしいということでした。仮にそのようなバランスを考えて、適格消費者団体に限るという前提かもしれませんが、一定の営業秘密保護を担保するための規律を設けるとして、その上で今回、積極否認の特則と文書提出命令の特則の2つが提案されているわけですが、この2つの間に何か質の違いはあるとお考えでしょうか。例えば、文書提出命令の特則は、そのような担保がされたとしてもなお問題はあるけれども、積極否認の特則についてはどうなのか。その点を確認させていただければと思うのですが、いかがでしょうか。
○xx委員
第9回で申し上げましたが、文書提出命令の特則では、「文書や記録の提出」になりますので、そこに書かれている内容が問題となりますが、積極否認の特則では、説明すべきことを説明すればいいという側面があるので、「文書や記録の提出」と
「説明」では、差があると考えています。
ただ、営業秘密には、技術的なもののようにそのまま同じ商品ができてしまうようなものから、販売方法のようにノウハウをまねされると優位性を失うものまでさまざまなものがありますが、説明であっても、これはとても重要な内容だというものまで説明しなければならないとなると、積極否認の特則であっても問題があるということになります。その点は、どういう内容の説明が求められるかという、個別の案件の内容によって変わってくると考えています。
したがって、「消費者の主張を否認する」場合は直ちに「その算定根拠を明らかにしなければならない」というご提案については、「相当の理由」を確認する手続が少なくとも必要と考えていますし、文書提出命令の特則については、よりハードルが高いと考えています。
○xxxx
どうもありがとうございました。ほかの委員の方々、よろしいでしょうか。
それでは、ほかに検討すべき事項もございますので、この論点につきましては本日はここまでとさせていただいて、御意見については事務局で整理して次回にお示しするということにしたいと思います。
○xxxxx
xxxx、xx委員が再度手を挙げられているようでございますので。
○xxxx
挙手機能を十分に認識できていないようで、すみません。では、xx委員、お願いします。
○xx委員
すみませんが、一言だけです。xx委員のおっしゃるとおり、訴訟のほうのことは説明が不足しておりまして申し訳ございませんでした。消費者との間のやり取りがなかなか進まない場合、最終的に訴訟にいきます。そうすると、やはり考え方は延長上にあると思いまして私は発言しました。このように御理解いただければと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、以上を踏まえまして、事務局のほうからお答えいただくことはありますでしょうか。
○xx消費者制度課長
座長のおまとめ、あるいはその後、御指摘いただいたことを踏まえ、また論点Ⅱ、あるいは論点Ⅰとの関係も含めて、全体像が見えるようにというような資料の工夫ということをさせていただきながら、次回御準備をさせていただければと思っております。ありがとうございます。
○xxxx
どうもありがとうございました。
それでは、次の項目は少し別になりますので、今から5分ほど休憩を取りたいと思います。ただ、一度会議から退室されますともう一度参加申請が必要になりますので、退室されないようにお願いいたします。開始時間は、恐縮ですが、10時15分とさせていただきたいと思います。それでは、休憩といたします。
【4.事務局から「消費者契約の条項の開示」及び「情報提供の努力義務における考慮要素」について資料説明 】
○xxxx
皆様、お戻りでしょうか。短い休憩で申し訳ありません。
それでは、事務局から資料1「消費者契約の条項の開示について」及び資料2「情報提供の努力義務における考慮要素について」を御説明いただき、その後、委員の間での意見交換を行いたいと思います。それでは、資料1及び資料2の説明をお願いいたします。
○xx課長補佐
それでは、資料を説明させていただきます。与えられている時間は約10分程度で して、かなり駆け足の説明になって恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。まず、「消費者契約の条項の開示について」を御説明したいと思います。2ペー
ジ目以下でこれまでの議論を御紹介しておりますが、この辺は割愛させていただきまして、これまでの消費者契約に関する検討会における検討ということで、最初に
6ページを御覧いただければと思います。
昨年の5月になりますけれども、第4回の検討会におきまして事務局から2つの提案をお示しして御検討いただいたところです。1つ目が「消費者契約法に定型約款の開示請求権の情報提供の努力義務を創設する」という提案でして、この点につきましては法3条1項2号との関係という御指摘があったところですので、また後ほど取り上げたいと思います。
それから、7ページのほうにまいりまして、もう一つ提案がありまして「定型約款を容易に知りうる様態に置くことについて」です。こちらのほうは、事務局提案としては、事業者団体の自主的な取組に委ねることが適切ではないかとしたところですが、これに賛成する意見がある一方で、容易に知り得る状態に置くこと自体は容易なので、努力義務としてはどうかという御意見もあったかと認識しています。
以上を踏まえまして、8ページ目以下で「検討」というところですが、結論から申し上げますと、今回は2つ提案をしたいと思っています。
まず9ページにまいりまして、「定型約款の表示請求権に係る情報提供」になります。これは、第4回の初めの提案と同じ内容になっています。
少し御説明しますと、定型約款の表示請求権ですけれども、これは要するに定形約款の内容を知る権利ですので、消費者にとって重要な権利であると思うわけですが、「しかし」とありますように、事業者が知らせない限り、定型約款の表示請求権があることを知らない消費者も多いと思われます。
そういう中で、では、現在の消費者契約法はどうなっているのかと申しますと、定型約款の表示請求権は、民法で、つまり法律で定められた権利ですので、「消費者契約の内容」とは言い難いのではないか。そう考えるのであれば、法3条1項2号による努力義務が及ばないおそれがあるのではないかと考えています。
次のページにいっていただきまして、10ページになりますけれども、では、今の法律がどうなっているのかということで、民法の規定を御紹介しています。簡単に申し上げますと、事業者が定型約款を契約内容とする、つまり定型約款を使うのであれば、そのための合意または表示をしていたことが必要であるというのが民法の規定になっています。
そうだとしますと、事業者は定型約款を使うのであれば合意あるいは表示をするわけですから、その際に定型約款の表示請求権について情報提供ができるはずであるし、それほど負担にはならないのではないかというところが今回の提案です。
この点につきまして、資料にないところを少し補足させていただければと思いま す。少し具体的なイメージも含めて申し上げますと、これは消費者の知る権利を確 保するための手当てになりますので、民法で求められている定型約款を使いますと いう表示ないし合意をする際に、定型約款の表示請求権がありますとだけ伝えても、必ずしも十分ではないのかなと思っているところです。
ですから、具体的に申し上げますと、定型約款の内容を知りたいときは、どこどこまでお知らせくださいと連絡先を伝えるとか、あるいは定型約款、規約をウェブサイトにアップした上で、そのリンクを貼って消費者が規約にアクセスすることができるようにすることが望ましいのかなと思っています。
11ページにいっていただきまして、今回の提案ですけれども、「事業者の努力義務として、事業者が消費者契約の条項として定型約款を用いるときは、消費者に対し、定型約款の表示請求権がある旨の情報提供をすることを定めること」を提案しています。
先ほど少し御説明しましたけれども、「定型約款の表示請求権がある」ことと書いておりますが、これは、表示請求権の存在と狭く捉えるのではなくて、請求権の行使方法も含め、表示請求権について情報提供するようにしてはどうかという提案として理解していただければと思っております。
以上が最初の提案でして、12ページからは別の提案について御説明したいと思っております。そもそもなぜ開示するのか、開示による機能とか意味のところですけれども、幾つかあるとは思いますが、その中の大事なものの一つとして、「事業者
が作成する約款内容の適正化」というものがあるかと思っています。先ほど御説明しましたが、民法で消費者に対して定型約款の表示請求権が与えられたわけではありますけれども、このような消費者による表示、開示の請求とは別の形で事業者に約款を開示させることで、約款内容の適正化を図ることができるのではないかというところが今回の大きな問題意識になっています。
それを受けて、13ページ以下で約款の開示の実情を御紹介しているところです。 13ページで御紹介しているのは、適格消費者団体が事業者に約款の開示を請求したときに、もちろん応じてくれる事業者もあるわけですが、そういう中で応じてくれないところもあり、その結果、開示に応じない事業者が改善を免れたとか、あるいは改善すると回答した事業者が本当に改善したのかどうか分からないというケースが生じていると認識しております。後者については、証拠保全を行ったということも聞いているところです。
14ページにいっていただきます。こちらは訴訟になったケースですけれども、団体が差止請求訴訟を提起して、事業者が請求を認諾した。そういう中で、新聞報道で契約条項を改定したということがありましたので、ではということで適格消費者団体が新しい契約条項の開示を請求したところ、事業者が開示を拒否したという事例だったと聞いております。この事例につきましては、適格団体が申立てをして証拠保全を実施して、約款が開示されたものと聞いているところです。
以上を踏まえまして15ページのほうにまいりますと、今、御紹介しましたように、適格消費者団体は契約条項を確認しなければ事業者が不当条項を使用しているのかどうかを判断することができないわけですので、差止請求権の実効性を確保するための前提という形で、団体の契約条項の開示請求権を設けるべきではないかと思っています。
下の<許容性>のほうにまいりまして、先ほどのところでも出てきましたけれども、改正民法によって、消費者は事業者に対して定型約款の表示を請求できるようになりました。消費者が定型約款の表示開示を請求できる中で、適格消費者団体は、不特定かつ多数の消費者の利益擁護を担う適格性を有すると行政が認定した者であるわけですので、消費者のみならず適格消費者団体が約款の開示ができるという規律もあり得るのかなと思っています。
そういうことで、16ページのほうにいっていただきまして、結論としましては、差止請求権の実効性を確保するための前提という形で、適格消費者団体は事業者に対して消費者契約の条項の開示を請求することができるという規定を設けてはどうかというのが2つ目の提案です。以上が、契約条項の開示についての御説明になります。
引き続きまして、「情報提供の努力義務における考慮要素について」の御説明をさせていただければと思います。
2ページで「検討課題」を書いています。法3条1項2号、先ほども出てきた条文でありますけれども、このような努力義務が定められているところでして、2018年の改正で下線部、特に「個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で」という文言が入りました。今回、「知識及び経験」以外の考慮要素を追加すべきかどうかが課題となっているところです。
この点につきまして、4ページに飛んでいただきまして、消費者委員会の専門調査会でも議論が行われましたが、そのときは「知識及び経験」と「年齢」とでは考慮要因として重複する側面があるということで「知識及び経験」を書いたということだったかと思います。
そういう中で、5ページのほうにいっていただきますと、2018年改正の附帯決議において、「年齢」、「生活の状況」及び「財産の状況」についても要素とするよう検討を行うことが求められています。
「検討」のほうにいきまして、この辺は少し割愛しながらと思いますので、8ページに飛んでいただければと思います。
まず「3条1項2号の意義」というところですけれども、これは条文に書いてあるように「消費者の理解を深めるため」というところでして、消費者が理解を深めた上で契約をするか否かの判断をすることができるようにするということです。
2018年の改正によって「事業者の消費者に対する情報提供は、個別の消費者の事情についても考慮した上で実質的に行うべきではないかという中で、個別の消費者の事情として「知識及び経験」を明示したところであります。
その理由なのですけれども、9ページのほうにいっていただきますと、知識や経験の乏しさは、消費者の理解の不十分さを伺わせる指標となるのではないかと思うところでして、そうだとしますと、個々の消費者の知識や経験が乏しいときは、事業者は、より丁寧に情報を提供すべきではないか。こういうことが消費者庁の逐条解説でもご紹介させていただいているところです。
10ページにいっていただきまして、現行法を御説明しますと、今、御説明しましたように、②のところになりますが、「個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で」という条文になっています。
これらの考慮要素は個々の消費者の事情なので、事業者が知っているとは限らないため、事業者が考慮要素を知ることができた場合には考慮した上で情報提供をするという規定になっているところでして、※印のところにありますように、消費者庁逐条解説では、事業者に対し、消費者の知識及び経験の程度を積極的に調査することまで求めるものではないという記述がされているところです。
こういう今の法3条1項2号を前提に、では、新しい考慮要素を加えるかどうかというところになりますけれども、まず「年齢」というところで、11ページを御覧いただければと思います。
今、御紹介しましたように「知識及び経験」は理解の不十分さをうかがわせる指標となっているわけですけれども、これと「年齢」を比べたときにどうかと申しますと、同じ年齢であっても消費者の理解の程度は個々の消費者によって異なるところかと思います。ここは、知識及び経験と違うところではありますが、しかし、年齢、つまり若者や高齢者であることは、理解の不十分さを伺わせる手がかりになるのではないかと思っているところです。
若者であれば、消費生活全般に関する知識や経験が不足しているし、高齢者であれば、判断力の低下により知識や経験を活用できないおそれがありますので、そういう意味で理解の不十分さをうかがわせるような手がかりにはなり得ると思っているところですが、12ページにいっていただきまして、「知識及び経験」は事業者からは分からないことが多いので、考慮しようと思っても考慮できる場面は限られているように思います。これに対して「年齢」でしたら、特に対面取引を考えていますけれども、取引の態様によっては事業者が知ることは容易ですので、情報提供の際に考慮できる場面が広がるのではないかと思っているところです。
そういうことで、13ページのほうにまいりまして、検討の方向性として、事業者は、勧誘に際し、消費者の「年齢」若者や高齢者であることを知ることができたのであれば、「年齢」を考慮して、より丁寧に情報を提供すべきではないかということを一つの方向性としてお示ししています。
これに対し、15ページ以下で「財産の状況」を取り上げているところですけれども、財産の状況は「年齢」とちょっと違うのかなと思っているところです。年齢は手がかかりになり得るとは思うのですけれども、財産の状況と消費者の理解は、関連性が低いのではないかと思っているところです。
16ページのほうにいっていただきまして、金融商品に関する規律の中には財産の状況を考慮して情報提供すべきという規定もあるわけですけれども、これは金融商品のリスクを伴うという特性に鑑みた規律でありまして、消費者契約一般には当てはまらないのではないかと思うところでして、結論としては、18ページにありますとおり、「財産の状況」については消費者契約の目的となるものの性質によって考慮すべき場合とそうでない場合があるのではないかという方向性をお示ししています。
これに対して最後、もう一つの「生活の状況」のほうですけれども、こちらは「財産の状況」と同様に消費者の理解とはあまり関係がないのではないかと思っているところでして、21ページにありますが、「生活の状況」については、一般的には、情報提供の際に考慮すべき事情とはいえないのではないかという方向性を示しています。
以上のような検討の方向性をまとめたものが23ページでして、まず、事業者が知ることができた場合には考慮すべき要素として、「知識及び経験」のみならず「年
齢」も明示してはどうかというものが1つ目になります。
それで、専門調査会の議論では「知識及び経験」と「年齢」が重複するのではないかという御指摘もあったわけですけれども、あくまでもこれは理解とつながる要素を挙げるという観点になりますので、②のほうにまいりまして、個々の消費者の事情を総合的に考慮した上で情報提供を行うべきである。「知識及び経験」、「年齢」を分断的に検討するのではなくて、総合的に検討するというところも明示してはどうかと思っているところになります。
例えばということで、最後の24ページのほうにまいりますけれども、今の法3条
1項2号をより明確にするという形で、事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、知識及び経験を総合的に考慮するという形にすることもあるのかなと思って今回御提案させていただいた次第です。私からは、以上です。
○xxxx
それでは、まず途中で退席される委員、xx委員とxx委員から資料1及び資料
2の両方について御意見をいただきたいと思います。では、xx委員からお願いいたします。
○xx委員
どうもありがとうございます。まず提案Ⅰでございますが、これは大いに賛成します。定型約款の請求権があることは事実でありまして、それを明示することのコストは極めて低いと考えられ、かつ、消費者はこの権利に気づいていない場合は大変な不利益を被る可能性がある。つまり、商取引の経済効率性を棄損する可能性が大いにありますので、請求権の明示を努力義務ないし義務とすることは極めて妥当であると考えております。
提案Ⅱに関しては、賛成であります。まず、約款やそれに即する内容は、契約締結前に潜在的には多数の消費者が本来理解するべきもの、ないしは多数の消費者に対して明示されるべきものであり、したがって契約書とは異なり、約款自体に大きな経済的価値があるとは考えにくいと思います。なぜならば、契約の経済的価値は、個々の契約書ないし契約の内容の履行によって実現すると考えるのが自然だからです。ですので、もし事業者が約款の開示を拒否するとすれば、それに何らかの不当な内容、ないしは適格消費者団体そして消費者自身に対しても隠したい情報が含まれる可能性が高く、そうした情報の非開示が経済効率性の観点から望ましいという状況は基本的にはないというふうに考えます。
最後に、情報提供の努力義務に関する事務局の御提案に関しては、経済学の観点からは判断が難しいところであります。「年齢」や「知識及び経験」を総合的に考
慮というのは確かに非常に曖昧で、事業者が何をし、何をすべきかというのは明確に示されていないという理解をしております。と同時に、努力義務である限りにおいて、それに事業者が従うことにより、消費者が契約内容をよりよく理解する可能性があるという点では、経済効率性を上げる可能性はありますが、経済効率性を毀損することはないのではないかというふうに考えます。以上であります。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
約款につきましては、多分、一般消費者は、まずもっとも読む気がしない文章だ と思っていますでしょう。小さい文字で、量も多いし、部分的にはどれも同じよう な内容じゃないかと思っていたり、それから専門的な言葉遣いとか、様々な要因で 強く読む気がしない文章になっているわけなんですね。それでも、契約のときの責 任は自分にもあるということは分かっているので、読んでいなかった自分が悪いと、萎縮しているのが現実だろうと思っています。
そんなところで考えてみますと、やはり事務局案には、賛成して、知らせていく、明示する、ということに問題はないと思いますし、それから適格消費者団体に与えるということは、社会的な監視という意味からすると、消費者にとっては助かることだろうと思いますので、これにも賛成いたします。
もう一点の情報提供の努力義務でしょうか。そこは、確かに「年齢」を出すというのには、難しいところもあると思っています。特に若年層というか、若齢者は可能かもしれないし、例えば社会経験のありなし、例えば学校に行っているか、社会で活動しているのかというようなところが判断基準になるかもしれないけれども、高齢者は非常に難しいだろうと思うんです。ただ、事業者が明らかにこの年齢では難しいだろうなということを知った上で、つまり脆弱性を知った上で何か都合の良い行動をしているならば、それは制御するべき、という意味で、努力義務を課すという意味としては特に反対はするものではないと思っています。
ですが、何かもう少しそういった意味でこの提案よりも明確な基準があるといいなとは思っています。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。
○xxxx
それでは、以下では、資料1「消費者契約の条項の開示について」にまず絞って御意見を伺いたいと思います。事務局からは2つの提案がありましたが、これらについて委員の皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。
先ほどとは逆の順で指名をさせていただいて、一通り御発言をいただいた後、ほかの委員の御発言に対して御意見や御質問があれば発言していただく機会を設けたいと思います。なお、発言される委員におかれましては、円滑な進行のため、およその目安ですけれども、2分以内で御説明いただきますよう御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、第3グループから、まず、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
消費者契約の条項の開示について、申し上げます。提案Ⅰ及びⅡとも反対いたします。
まず提案のⅠでございますけれども、インターネット関連のサービスについて申し上げれば、大半の事業者は利用規約等の約款を事前に開示しており、既に定型約款を容易に知り得る様態に置くということができております。これによって、資料に記載いただいているような社会的監視などは容易に行えるようになっているわけでありまして、民法の規定に加えて消費者契約法において、消費者に対して定型約款の表示請求権がある旨の情報提供をするということを事業者に努力義務として課すことには大きな意味があるとは考えておりません。
定型約款の表示請求権に限らず、消費者が有する権利というものは様々あると思いますが、その権利を知らない消費者がいるからという理由で事業者に情報提供を課すこととなれば、事業者は消費者が有する権利を何でも情報提供しなければいけないのかという考えにもつながりかねず、何ゆえに定型約款の表示請求権について特別に情報提供をしないといけないのかという理由が判然といたしません。定型約款の内容の表示に係る規定が置かれていることを広く周知する必要性が高いのであれば、むしろ消費者教育の中に盛り込むほうが効果的かつ効率的であるようにも思います。したがいまして、各事業者の自主的な取組に委ねつつ、定型約款を容易に知り得る状態に置くことを求めるだけで十分であり、開示請求権がある旨の情報提供は必要ないと考えております。
続いて提案Ⅱについてですが、資料に「差止請求権の実効性を確保するための前提として」というふうに書いてありますので、恐らく事務局の意図としては、これは個別の消費者というよりは不特定多数の消費者に対する契約、つまりは定型約款を念頭に置いた御提案であるのかと思います。そうであるならば、消費者を通じて定型約款の表示請求権を利用して対応すれば足りると思いますので、新たに規律を加える必要があるかどうかは疑問です。
また、仮に本提案が定型約款に関するものではなく、個別の契約の条項についてであるとするならば、個人情報保護などの観点から、契約当事者でない者にそう簡単に閲覧させるわけにはいかないという事情も出てまいります。ただし、この場合にも、代理人になるなどすれば入手できるかとも思いますので、さらに開示請求権まで必要かは疑問が残ります。
したがいまして、この論点につきましてはさらなる問題事例の分析を行い、また事業者側にとっての個人情報保護の必要性や開示に要するコストなども考慮しながら、どういった場合にこうした規律が必要になるのか、さらに整理が必要ではないかと考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、続いて、xxxx委員、お願いいたします。
○xxxx委員
私は、この方向性に関しては基本的に賛成したいと思っております。提案Ⅰに関しましては、消費者法の文脈とは違うわけですけれども、やはりそういった権利があることを知らない可能性がある者に事前にその存在を伝えることが法的に要請される場合があります。例えば、xxxx警告は、黙秘権があるということを伝えなければならないわけですね。非常に重要な権利について、やはりそれを伝えるということは消費者の保護という観点からも、あるいは実効的な意思決定という観点からも重要なのではないかと思っております。
提案Ⅱにつきましては、どういう場合に適格消費者団体が開示請求権を行使できるのかという手続的な検討などがもう少し求められるのではないかと思っております。約款というのは、私も、もともと開示すべきものだろうと思っておりますので、基本的には賛成なのですが、もう少し細かいところについては詰めておく必要があるのかなという印象です。以上です。ありがとうございます。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xxxx委員、お願いいたします。
○xxxx委員
私は、この資料1の提案いずれについても賛成です。
特に提案Ⅱの点については、適格消費者団体はその不当条項を、xx委員から「監視」という言葉がありましたけれども、そういう一種の公益的な役割を担うということが消費者契約法で定められているわけですから、個々の消費者と並んでそのような開示を求めるということができてしかるべきではないかと思います。
他方、事業者側は、本来、個々の消費者から開示を求められれば開示すべきで、当然その用意をしているはずです。それから、先ほど大議論になった営業秘密みたいなものは、契約条項ですから、そういうものは基本的にはないと考えられますので、一挙手一投足で開示できるような性質のものだろうと考えておりまして、私は特段、要件とかはうるさいことは言わなくても、これは当然開示を認めてもしかるべき性質のものかなと思っております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いします。
○xx委員
私も、こちらの事務局からの御提案については、いずれも賛成でございます。 開示請求権についてですが、定型約款というものは消費者の多くは読まないわけ
ですけれども、それでも契約内容に組み入れられるということの前提として、やはり見ようと思えばいつでも見られるということが保障されているというところは非常に重要なわけで、これが事業者と消費者との間の消費者契約では、消費者がそうした権利を持っていることを知らない場合が多いということも事実であるかと思います。そうしますと、やはり見ようと思えばいつでも見られるという状態が実質的に担保されていないという状況であれば、そもそも約款というものを用いることの正当性が疑われるということになってしまいます。ですので、こうした権利があるということを消費者に知らしめるということは非常に重要なことではないかと考えております。
提案のⅡにつきましては今、xx委員がおっしゃってくださったように、適格消費者団体というのは消費者の利益を代弁するという形で、不当な約款等について監視をするという役割を担っているわけですから、開示を求めることができるとするのが当然ではないかと考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
提案Ⅰの表示請求権がある旨の情報提供ですが、これ自身、私も異論はございませんが、ただ、前回これがテーマになったときも申し上げましたが、やはり重要なのは定型約款を容易に知り得る状態に置くことであると考えております。
民法改正では、548条の2第1項は、第1号が明確な合意で、第2号のほうが、そういう状態であれば黙示の合意が推定できるのではないかという立て付けであっ
たと理解していますが、消費者契約においてはやはり1号のほうが原則であるということをもう一度確認してもいいのではないかと私は考えております。民法改正の議論時には、業態によっては個別の事前開示が難しい場面があるのではというような議論があったかと思いますが、今の取引社会においてそれが技術的に困難であるという状況は、私はほとんどというか、皆無ではないかなと思っております。オンライン取引では当然開示できますし、対面取引においても今いろいろなスマホとかツールを使ってURLを張ったり、QRコードを使ったり、容易に開示できる状況というのは幾らでもあると思いますので、そこを懸念して容易に知り得る状態のことを義務化しないというのは、もはやあり得ないというか、古い議論じゃないかなと思っております。
それから、提案Ⅱのほうですが、これは積極的に賛成をするところでございます。ここで予定されているのは、定型約款とか契約書のひな形の開示ということですから、個人情報が問題になることはないと思います。実際に今、適格消費者団体が申入れをしたときに拒否をする事業者が現実にございます。事務局のペーパーでは、 KC’sさんとかネットワーク東海さんの例が挙げられていましたが、私もちょっと関与している京都の団体KCCNでも申入れをして拒否をされるということがあると聞いております。具体的に業者の名前を言うことはできませんけれども、ブライダル関係での問題が生じたときに、多くのブライダル関係事業者がこれの回答を拒否したというふうに聞いております。そういう意味では、何らかの形で開示が原則であるということを明記する必要があるかと思っておりますので、積極的に賛成をいたします。以上です。
○xxxx
どうもありがとうございました。ここまでのところで御質問は特になかったように思いますので、今回も第2グループに移らせていただければと思います。よろしいでしょうか。
では、xx委員からお願いいたします。
○xx委員
よろしくお願いします。また少し長くなるかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
まず提案Ⅰについてですが、事業者の努力義務として「消費者に対し、定型約款の表示請求権がある旨の情報提供をすることを定める」という、消費者庁資料11ページの御提案の方向性については、理解いたします。
しかし、第4回でも申し上げたとおり、例えば、各種業法では、約款の開示の具体的方法について、当該契約の特性に応じて交付・公表・掲示・備置・要旨の掲示
を分けて規定しており、例えば、鉄道営業法では、民法548条の2第1項2号の特則の形となっていますが、「公表」も可としています。この場合、例えば切符の裏に
「表示請求権がある」と記載するよりも、問合せ窓口の電話番号や約款が掲載されているホームページのURLを直接記載するほうが実効的であるとも考えられます。
したがって、このような規定を創設するとしても、「「表示請求権がある旨」の情報提供」という文言については、「表示請求権がある旨」に限らず、約款を見ることができる方法や約款を掲示・備置している場所などを直接示す方法や、約款の内容に関する問合せ先を示すなど、事業者の契約の特性に応じて創意工夫できるものとしていただきたいと考えます。
また、ここで「表示請求権がある旨の情報提供を」されるべき消費者は、一般的な消費者ではなく、商品・サービスを利用しようとする消費者であると考えられることから、その旨を明確にしていただきたいと考えます。
さらに、これも第4回で申し上げたとおり、何が定型約款に当たるかという点自体が解釈に委ねられている中にあっては、いわゆる悪徳事業者がその利用する条項が定型約款ではないとして何ら対応しないケースが想定されます。したがって、各種の契約条項の定型約款への該当有無に関する情報を、例えば、裁判例の情報について消費者庁で取りまとめて公表いただくなど、定型約款に該当するものをできるだけ明らかにしていただきたいと考えます。
次に、提案のⅡですが、「適格消費者団体は、事業者に対し、消費者契約の条項の開示を請求することができる旨」を事業者の義務として定めるという、消費者庁資料16ページの御提案については、反対いたします。
差止請求権の実効性を確保するための前提として考えた場合、消費者に表示請求 権が認められる定型約款についてそのような規律が設けられることは理解できな くはありませんが、定型約款以外の契約の条項については、消費者に表示請求権が ないものについて、適格消費者団体にだけ開示請求権を認める理由はありませんし、個別の折衝や修正などが予定されていることから、そもそも差止請求の対象となる のか、よく分かりません。なお、消費者と締結した個別の契約条項については、守 秘義務や個人情報保護の観点から、当該消費者の同意がなければ開示することは難 しいと考えられます。
一方、定型約款については、消費者に表示請求権が認められていることから、このような規定を設けなくとも事業者は一般に適格消費者団体からの約款の開示請求にも応じるものと考えられますし、そうでなくとも消費者を経由して約款を入手することは可能であると考えられます。
また、御提案は、単に「開示を請求することができる」としていますが、適格消費者団体がどのような問題意識でどのような条項を確認したいのか分からなければ、事業者としても適切な対応ができませんし、特段の理由もなく約款の開示、特
に冊子等の提供を何度も求められることになると、事業者にも大きな負担となります。
さらに、適格消費者団体が約款の条項について事業者に問題提起を行うに当たって、業界団体において標準約款やガイドライン等を作成している場合には、当該業界団体に対して、標準約款の条項の解釈や各社で用いている定型約款の条項、実務取扱いなどを問い合わせ、また是正を求め、またその確認を求めてこられることがあります。通常、業界団体が標準約款やガイドライン等を作成しても、その採否は各事業者に委ねられており、業界団体が各社の定型約款の内容を決定することはありませんが、その場合でも、当該業界団体は会員企業の状況を確認し、取りまとめて対応することがあります。しかし、このような対応は、業界団体にとって物理的にも、また、費用面でも非常に大きな負担となっています。
また、適格消費者団体からこのような問題提起があった場合に、業界団体としては法的な問題はないと考えるものの、分かりやすさ等の観点から標準約款の修正や会員企業への働きかけを行うことがありますが、適格消費者団体の中には、そのような場合にも、会員各社の約款の修正等のその後の状況の確認や修正後の各社約款の開示を、業界団体に対して、求めてこられるケースがあります。業界団体としては、このような場合にもできる限りの対応には努めていますが、これも非常に大きな負担となっています。
したがって、仮に御提案のような規定を創設することを検討するとしても、差止請求権の実効性を確保するという観点からは、「消費者契約の条項」ではなく「消費者契約の条項として用いられる定型約款」とするとともに、開示を請求する場合に「開示を求める正当な理由及び開示を求める定型約款の条項の内容を示すこと」を要件とすることを、そして、相応の負担を求める観点からは、請求の相手方から
「事業者団体」をxxで除外し、また、「開示請求があった場合には、事業者は、開示に要した費用を適格消費者団体に請求することができる」旨の規定をする必要があると考えます。
その上で、提案Ⅰと同様、各種の契約条項の定型約款への該当の有無に関する情報を、例えば、裁判例の情報について消費者庁で取りまとめて公表いただくなどにより、対象となる契約条項を明らかにしていっていただきたいと考えます。
なお、仮にこのような規定が設けられたとしても、例えば、定型約款をホームページで開示しているケースにおいて、「ホームページに掲載しているのでそちらを御確認下さい。」と回答するなど、定型約款を開示していること及び開示している場所などを示すことで、御提案の内容は満たされるものと理解しています。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私は、事務局の提案Ⅰ、Ⅱに賛成でございます。
事業者が消費者契約の条項として定型約款を用いている、つまり定型約款があるわけですから、これを開示することは、あるものを開示するのですから、大きな負担はないと思います。これを消費者が知らないということが非常に問題だと思います。やはり相手に伝える、分かってもらうために開示するわけですから、しっかりと表示請求権があるということを情報提供することは定めていただきたいと思います。
それから、提案Ⅱのほうですけれども、これは差止請求権の実効性を確保するための前提なわけですから、当然この前提がなければ役割を果たせなくなります。現実に今そういった事態が適格消費者団体の中で起こっているわけですから、これはその手当てとして当然に必要だと考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○髙橋委員
私も、事務局の御提案の提案Ⅰ、提案Ⅱとも、おおよそ賛成したいと思っております。
まず提案Ⅰのほうですけれども、こちらは情報提供をするということですから、定型約款の開示の仕方については事業者のほうに裁量があるということでして、どのような形であれ、開示はする必要があるでしょうから、開示する権利があるのだということを明示することは重要な情報なのではないかと思っているところです。
そして、提案Ⅱなんですけれども、適格消費者団体に開示請求を認めるということが差止請求権との関係で認めるということなのか、提案Ⅱのお話としては「前提として」ということになっているので、ちょっとよく分からないなと思ってはいるのですけれども、適格消費者団体が不当条項に関して判断する際の前提としてこの権利が必要であるというのはそのとおりなのでしょうから、少なくともこの不当条項との関係で差止請求を出すに当たって必要な範囲で開示請求をするということは当然できてしかるべきではないかと思っております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
定型約款の表示請求権に関する情報提供については、事務局案については努力義務ということですので、私どもとして反対はいたしません。ただ、資料で提示いただいた14ページの中に事業者が開示を拒否した事例というものが出てきていますが、実際にこういった事例がどの程度存在するのか、またはどの業界でそのような問題が多いのかなど、その辺を事務局の方でもう少し調べていただければと思います。特定の分野に開示を拒否するものが多いのか、それとも、特定の分野に限らずそういった事案が発生しているのか。また、案件の数が多いか少ないのかどうか。その辺りも、ぜひ事務局に可能な限り調査していただければと思っております。
それから、約款の開示による開示請求については、非協力的な事業者の存在によって差止請求の実務に著しい支障が出ているのであれば、適格消費者団体が事業者に対して消費者契約の条項の開示を請求することができる旨を定めることについても反対はいたしません。
ただ、定型約款以外の条項の開示についても同様な措置が取られるということになると、場合によっては事業者側に過度な負担となるということも想定されますので、例えば、差止請求業務の遂行に必要な限りにおいてというような一定の制限を設けていただければと考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私も、事務局提案ⅠとⅡに賛成いたします。
提案Ⅰについては、本当に消費者は開示を請求する権利があるということを知らない人がほとんどだと思いますので、ぜひそのことを伝えていただきたいと思っております。それで、伝えるだけではなくてというふうに事務局のほうからも説明がありましたけれども、知りたいと思ったときにはオンラインでしたらウェブサイトにアップする、リンクを張る、そういうことをやっていらっしゃるオンラインの事業者は多いと思いますけれども、そういったことで簡単にできると思いますし、また対面で話をするときにも説明書のところにQRコードを貼っておけば、最近消費者もQRコードで読み取ることに慣れてきておりますので、そういったことで容易に見ることができると思っております。
また、提案Ⅱのところの適格消費者団体に権利を請求することができるということは大いに賛成をしたいと思っておりまして、不当条項のところは申入れをして正当なものにというふうに、日々、適格消費者団体の方は皆さん努力していただいております。そのことで消費者の権利が守られるということですので、ぜひ進めてい
ただきたいと思っております。
実態として、やはり請求しても開示しない事業者が実際におりますが、その中には悪質とは言えなくても適格消費者団体の存在ですとか役割を十分に承知していない事業者がいるのも事実で、どうしてここからこういう請求がくるのだろうと、それで開示をしないというところもあるようですので、こちらに入れていただければさらに事業者のほうの理解も進んで、事業者にとっても不当条項を改正して、信頼度が上がるのではないかなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。以上です。
○xxxx
どうもありがとうございました。ここまでのところで、xx委員と後藤委員から御質問に当たるようなものが出ていたかと思います。事務局のほうから、可能な範囲でお答えいただけますでしょうか。
○xx課長補佐
それでは、お答えさせていただければと思います。まずxx委員の御指摘ですけれども、座長、xx委員の質問事項をもう一回お願いできますか。
○xxxx
xx委員に関しては、まず、提案Ⅰについて、先ほどの事務局からの御説明の際に補足があったかと思いますが、11ページでは「定型約款の表示請求権がある旨の情報提供をする」ということが提案内容になっているところで、この意味を確認していただければということです。
もう一つが、提案Ⅱに関しては、適格消費者団体からの開示請求を仮に認めるとしても、どうすればこの請求に応じたことになるのかということです。特に負担が非常に重いというような御指摘もあったところで、その点について確認ができればということではないかと思います。
xx委員に関しては、事業者が開示を拒否した事例というのはどのようなものなのか、どのような分野で生じているのか、もし調べているならばお話しいただきたいし、仮にそうでないとすればさらに調査をお願いするということだったと思います。
○xx課長補佐
どうもありがとうございました。それでは、今の座長のまとめに沿って回答させていただければと思います。
まずxx委員からの御指摘で、今回の表示請求権がある旨の情報提供というもの
をどういうふうに見るのかというところかと思います。この点については、先ほどのxx委員からの御指摘にも関連するのかなと思うところですけれども、私が資料にないところとして口頭で補足したところにも関係しますが、「表示請求権がある旨の情報提供」となっておりますが、表示請求権がありますと、権利の存在だけをぽんと告げるだけではなくて、請求権の行使方法とかも含めて情報提供をしていただければと思っております。
それで、そもそも目的というのはやはり消費者の知る権利、定型約款の内容を知る権利の実現確保ということになりますので、ちょっとxx委員の御質問から外れますけれども、xx委員のほうからの定型約款を容易に知り得る状態に置いていれば足りるのではないかという御指摘はそのとおりでございまして、定型約款を容易に知る状態に置いているのであればそれはそれで十分でして、それ以上に開示請求権を情報提供する必要はないだろう。
これまでの議論の中で、容易に知り得る状態に置くというのはなかなか難しいんだとか、どういう行為をすればいいのか、必ずしも明確ではないという御指摘があった中で、最低限やるべきこととして開示請求権の情報提供をしてはどうかというものが今回の提案になっているところでございますので、容易に知り得る状態に置いているのであれば、それとは別途、開示請求権の情報提供をしてほしいとお願いするものではないと考えています。
xx委員からも、切符の裏にとか、そういう御指摘があったかと思いますけれども、消費者が約款にアクセスできるような状態になっているのであれば、それはそれで問題がないと思っているところであります。
それが最初のxx委員からの御質問の関係で、xx委員からの2つ目の御質問の中で、コストの話があったかと思います。これは、あくまでも定型約款と呼ぶかどうかという問題はありますけれども、契約条項について情報を取得できればいいという話ですので、必ずしも情報が取得できれば紙である必要もないわけですので、何らかの形で情報が団体側にいけば良いだろうと思っているところです。この開示請求権を設けることで事業者に過度な負担が生じてしまうのはよくないことだと思っておりますので、そこは運用上、手当てをしたいと思っているところでありますが、例えば紙で出さなくちゃいけないとか、そういった負担をかけるようなことを考えているわけではありません。
最後にxx委員から、開示を拒否した事例はどういうものがあるのか教えてほしいという御指摘がありました。この点につきましてはさらに調べたいと思っているところでありますけれども、現時点で私が把握している限りの情報でお答えしたいと思います。
この資料で申しますと、幾つか事例を御紹介しており、13ページでKC’sさんについて紹介しております。具体的な事例はKC’sさんのホームページに載っているとこ
ろですので、後でホームページを御覧いただければと思いますが、結婚相手紹介サービスについて証拠の開示を拒絶したために証拠保全をしたというケースがKC’sさんのホームページには載っているところかと思います。
それから、次の14ページでネットワーク東海さんの事例を御紹介しておりますけれども、これはお寺の事例です。
このようにお寺とか結婚紹介サービス、それから公表されている資料にはないところで幾つか把握しておりますけれども、いろいろな業界に散らばっているように思われるところでして、特定の業界について特に開示が行われていないとか、そういったことではなく、むしろ、事業者それぞれの属性と申しますか、個々の事業者という要素が大きいのかなと思っているところです。
長くなって恐縮ですけれども、ひとまず私からは以上になります。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、続きまして、第1グループに移りたいと思います。楠委員から、お願いいたします。
○楠委員
事務局提案Ⅰ、Ⅱに賛成をさせていただきます。
実際問題としてウェブで公表している事業者も多いわけですし、公表していればそれほど負担もないわけで、公表していない場合にそれなりの負担が発生するというのは致し方のないことだと思います。そして、特に保護しなければいけないのは、なかなか約款を読んでもその意味を理解できないような弱い消費者の方をきちんと守っていく必要があるわけですから、提案Ⅱにありますように適格消費者団体はこれをきちんと請求できるようにするという点が非常に重要だと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
ありがとうございます。私も、基本的には提案Ⅰ、提案Ⅱのいずれについても賛成したいと考えております。
提案Ⅰについては賛成していいと考えておりますけれども、先ほどもxx委員でしたか、御指摘がありましたが、権利があると知っていればみんながみんな定款を読むということでもないのかなというふうには感じます。逆に申しますと、現在、定款の内容についてよく知らない消費者が多いというようなことがあったとして、
それは定款の内容を見ることができるという権利があることを知らないからそうなっているのかどうかはよく分からないところがあるようにも思われますし、またそのような表示を受けたということは、見方によっては受けたのに見なかった消費者が悪いという形で、消費者の自己責任的な側面を強化していくような側面、ニュアンスを持つということもないのかなという感じが少しいたしまして、その点は若干気になるところがあります。しかし、認められている権利について教示をするということで、基本的に否定されるべきことではないでしょうし、そのためのコストが大きいということでもないかと思われますので、そういう意味では賛成して良いのかなと考えるところです。
提案のⅡに関してですけれども、これまで何人かの委員の御発言との関係で、民法で定めているところの定型約款と、この提案Ⅱの対象となる約款というものとの関係がどういうものなのかということについては事務局で整理をしていただく必要があるのかなという感じがちょっといたしましたけれども、提案Ⅱでは「差止請求権の実効性を確保するための前提」ということになっておりますので、消費者契約法第12条第3項で言っているように、不特定多数の消費者を対象とするということがやはり想定されているのだろう。そういう意味では、一般的な意味での約款ということを対象にしているのだろうというふうに理解をいたしました。
そのようなものを対象とするという理解を前提にいたしますと、不特定多数の消費者に適用することを予定しているものだということですので、それをあえて秘匿するような積極的な利益が事業者の側にあるかというと、それは認めにくいのではないかと思われます。もちろん、誰からでもいつでも開示を求められれば応じなければならないという形で、一般的な開示義務を課すということは事務的な負担等もあろうかと思いますので、必ずしも適切ではないかもしれませんけれども、適格消費者団体が必要と認める場合に開示を求めることができるという限度の規律であれば、これが過度の負担になるとも考えにくいところで、そうした開示請求権を認めるということには合理性があるのではないか。今日、御紹介いただいたような実際に開示を拒否している事業者がいるということを考えましても、これが必要ではないかと感じます。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、最後に、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
ありがとうございます。私も、提案Ⅰ、提案Ⅱ、ともに基本的に賛成です。
ただ、若干のことを申し上げますと、提案Ⅰにつきましてはxx委員の御指摘がありましたし、事務局でも再度御説明くださったところですけれども、請求ができ
るということだけを示すのではなく、これ自体が定型約款の内容にアクセスができるための情報を示すということだと理解しております。そのようなものを示すというのは非常に重要ですし、アクセスできるための情報ですから、もう既にアクセスできるようになっているならば、アクセスできるようになっており、このようにしてそこにまさにアクセスできることを示すことになるのだと思います。
多少懸念しておりますのは、私自身は定型約款を容易に知り得るような状況に置くというのは、既に現行の消費者契約法3条によって要求されているところだと考えてはいるのですけれども、ここはいろいろと見解も分かれるということで、これまでの経緯があるということは承知しております。その上で懸念といいますのは、このアクセスするための情報請求権があり、それを行使するための情報を示す努力義務というものを置いたときに、それさえすればいいんだというような切下げのようなイメージを持たれると問題であると思っておりまして、この点は民法の定型約款の規律でも、今まで示していたものが、もうそれはしなくていいのでコストを勘案してまた考え直しましょうというような議論が一部に生じたようなこともあります。その点を懸念しておりますので、そういう趣旨ではないということは、何が本来かという点を明らかにしたほうがいいのではないかと思っております。この規定が設けられる趣旨ということかもしれません。
それから、2点目の提案Ⅱなのですが、これ自体は当然ではないかと考えられるところなのですけれども、ただ、2つの点で少し分かりにくいところがあるように思っております。
1点目は必要性の点でございまして、差止めをしていくときには、既にやはりそういう問題が認識されているからこそ、そしてそれは例えば消費者がたとえ1人でもそういう条項が使われているということが分かり、それがやはり不特定多数の消費者に問題になっていくことが分かっていて初めてできるのではないかということを考えると、そもそもなぜ必要なのかという疑問が生じ、問題状況がよく分からないというところがあるように思います。その一方で逆に、事業者が拒否する理由が全くわからないということで、そこに何らかの正当な理由があるのだろうかという疑問を持ちます。このように両面で分からなさを感じております。
ただ、前者につきましては、具体的な例としてスライドの13、14ページに表れておりますのは、むしろ問題があるということは認識をして、それを改善するということが約束された、あるいは訴訟で認容されたというような場合に、その後、改善されたのかが分からないという状態ですので、かなり局面として限定された局面のように思います。そして、これも余計なことではありますが、とりわけ訴訟までいって差止めが認められているときには、本来であればその後の履行状況の報告義務ぐらいは課されてもいいくらいではないかと思うのですけれども、そのような問題ではないかとさえも思うくらいです。
他方、これは全く推測で、こういうことがあるのかどうか分かりませんけれども、例えばそもそも消費者が約款を常時見られるような状態にしておかなくて、それにもかかわらず約款にはこういう定めがあると言い、では具体的にそれに対して対応しようとすると具体的な約款の条項が分からないとか、あるいはそれは改善して新たな約款になっていると言って消費者団体に対して拒むとか、そういうこともひょっとしたらあるのかもしれません。スライドにある以外に具体的にどういう事情があるのかは分かりませんけれども、いずれにせよ、一定の場合に必要性があるということだと考えておりますので、これも当然認められていいのではないか、拒絶する理由というのはないのではないかと思っております。
それで、もう一点の分かりにくさは、これまでの御指摘の中で私もよく分かってきたように思うのですけれども、この問題は約款の開示の問題として取り上げられているところですが、消費者契約の条項の開示という形で提言されております。それに対して、差止請求の実効性確保のためというのがついているのですが、それがどういう意味でついているのか。あるいは、およそ消費者契約の条項、これ自体はかなり個別性のある条項もあるし、契約もあるわけなのですけれども、それを対象にするのかというと、不特定多数に用いられるようなものであるということは当然前提となっていて、それが切り出されているということかと思うのですけれども、ちょっとそこの分かりにくさが出たように思っております。
なお、そういう不特定多数で用いられるような契約条項については、いわゆる従来から約款と言われてきたものですけれども、その適正化というのは非常に大きな課題であって、個々の消費者にそれを期待するというのはやはり難しいわけで、消費者団体と、事業者と、そしてあるいは第三者も含めて、その協働ですね、ともに良い約款を作っていくという仕組みが非常に重要ではないかと思っているところです。そういった意味からもこの提案Ⅱというのは大事ではないかと思っております。長くなって申し訳ございません。
○xxxx
どうもありがとうございました。以上で、委員の皆様から一通り御意見を伺うことはできたかと思います。
提案Ⅰに関しては、このような規定を設ける必要性があるのかという御指摘もありましたが、見ようと思えば見られる状態にしておくことが重要であって、このような重要な権利があることを少なくとも告げる必要性があるのではないかという御指摘が何人かの方からもありました。また、内容につきましても、先ほどのやり取りから、表示請求権があるということだけに限らず、その約款を見ることができる方法、あるいは場所を直接示すということが求められている、xx委員の表現によりますと、定期約款の内容にアクセスするための情報の提供というものが求めら
れていると理解すべきではないかということでした。それだけをすれば良いということになってはいけないということをどのように理解していただくかということで、さらに説明の仕方を含めて考えないといけないかもしれません。
提案Ⅰについてはおおむね以上のとおりかと思いますが、提案Ⅱについても、必要性と、さらにこの提案が何を対象としているかということとの関係で幾つか御指摘があったと思います。「消費者契約の条項の開示」と書いてはありますけれども、不特定多数の消費者を相手に使われる不当条項規制を行う前提であるということからしますと、少なくとも約款ないしは定型約款が対象になっているのだろう。それがやはり明確になる必要があるのではないかということですが、少なくとも個別契約のようなものは対象としていないとするならば、それが明確にされる必要があるのではないかということだったと思います。
ただ、定型約款として特定していくかどうかという点については、さらに検討の余地があるように思います。これは、さらに、一般的に認めるべきか、開示を求める正当な理由がある場合、あるいはどのようなものの開示を求めるかを特定する必要があるのではないかというように、限定をする必要があるのではないかという御指摘もありましたが、他方では、やはり事業者は本来、個々の消費者から開示を求められれば開示するようにしているはずであって、しかもここでは先ほどのような営業秘密は基本的に問題にならないとすると、これは限定する必要がなく、一般的に認めてもよいのではないか、というご指摘もありました。
ただ、事業者に過剰な負担を課すということであってはいけないことから、これ も先ほど確認しましたけれども、情報として定型約款の中身が分かるようにすれば、それで足りるわけなので、それ以上に例えば紙媒体でないと困るなど、そのような ことは想定されていないということについては特にご異論はなかったように思い ます。まだ落ちているかもしれませんが、以上のような御意見の状況だったかと思 います。
それでは、ほかの委員の御発言に対して御意見や御質問を希望される方は、挙手をクリックしていただけますでしょうか。補足的な御意見ないしは御質問がもしあればと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、xxxx委員、お願いいたします。
○xxxx委員
1点御質問です。第2案のところなのですけれども、結局、差止請求権の実効性を確保するための前提と考えることと、スライド12ページの約款の内容の適正化の目的との間に若干ギャップがあるような気がしております。
つまり、約款内容の適正化ということになると、例えば適格消費者団体がランダムに、特にインシデントというか、何か事が起きているわけではないけれども、定
型約款について開示を求めて、それの評価づけを行うというようなことが可能になるようにも思います。他方で、差止請求権の実効性を確保するということになると、そういったランダム調査というか、そういったことではなく、何かしらの問題が生じている場合に開示を請求するということになるだろうという気がしております。今回のご提案の趣旨というのは、そういったランダム調査、何も起きていないけれどもチェックをする、適正なものになっているかどうかを積極的に調査するというところまで含んでいないように思うのですが、そういった理解で正しいのかどうかというところを教えていただければと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、事務局からお答えをお願いいたします。
○xx課長補佐
御質問、どうもありがとうございました。事務局資料の関係についての御質問だったかと思います。
結論から申し上げますと、その点も含めて御議論いただけたらと思っているところでした。16ページに最終的な結論がありますように、事業者に対して消費者契約の条項の開示を請求することができる旨を定めることについてはどうかということで、開示請求権を認める、作るかどうかを御検討いただきたいと思っておりまして、その上で作るとした場合にどういう形の制度設計にするのかというのは、まさに今日御議論いただければと思っているところでした。
大きな方向性としては、先ほど座長におまとめいただきましたように、何かしら差止請求権の実効性確保というところに紐づけるならば、差止事由に準ずるような何か関係といった形の要件を限定することもあり得るところですけれども、他方でxxxx委員の御指摘だったかと思いますが、そのような限定をする必要はないのではないかという御意見もあるところでして、そこは色々な考え方があるのかなと思っております。
それで、今回12ページのほうでお示ししたところは、考え方としましては開示の機能というものを重視するのであれば、差止請求権との紐づけが必ずしも強くない場合であっても、団体に契約条項の開示請求権を認めるという制度設計もあり得るのかなと思ったところで、議論の材料として12ページで開示の機能を御紹介しました。
今のxx先生の御指摘なども含めて、仮にこういう開示請求権を設ける場合にどういう制度設計があり得るのかという御議論をいただければ大変ありがたいと思っています。私からは、以上です。
○xxxx
ありがとうございました。ほかに御質問、あるいは御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、まだ論点が残っておりますので、この問題につきましては本日ここまでとさせていただきます。いただきました御意見については事務局で整理し、次回お示しするということでよろしいでしょうか。事務局から、何かありますでしょうか。
○xx課長補佐
特にございません。どうもありがとうございました。
【7.情報提供の努力義務における考慮要素についての意見交換】
○xxxx
それでは、資料2「情報提供の努力義務における考慮要素について」、委員の皆様から御意見や御質問をいただきたいと思います。先ほどとは逆の順で御指名させていただきます。今回も、おおむね2分程度で御協力くださいますようお願いいたします。
では、第1グループ、xx委員からお願いいたします。
○xx委員
ありがとうございます。私は、事務局の提案に基本的に賛成です。
ここでの情報提供は、個々の消費者の状況に合わせて、その理解ができるような 形での情報提供ということですので、この消費者にはどういう説明をすれば分かっ てもらえるのかという観点からの情報提供ということですから、その意味では本来、総合判断でもいいわけなのだと思います。ただ、そうすると一切の事情のようなこ とになってしまいますが、しかし、指針としてこういう点に特に着目して、この消 費者の理解を深めるために情報提供するという観点からすると、何を切り出すべき かということで、知識、経験のほか、年齢を切り出すというのは理由のあることだ ろうと思います。と申しますのは、やはり現在の社会的な問題として若年の消費者 というのがxx年齢の引下げとともにとりわけ問題になっておりますし、それ以前 からこの若年の消費者というのは一種、狙われる消費者というようなところもあっ て問題があった面もございますし、そういう悪質なところがなくても社会的な未経 験ということは一つのカテゴリーとしてございます。
それから、高齢社会というのは従来から言われているところですので、高齢者というのは非常に多様ではありますが、具体的な知識、経験は分からないけれども、高齢の方であるならばそれを配慮してこういった説明をすべきではないかという
ことはやはり考えられるわけですので、その意味で年齢というのをここに入れてくるということは理由があるのではないかと考えております。
一方「生活の状況」ですとか「財産の状況」というのは、理解に直結するのかという点では事務局の御説明に理由があるところではないかと思っておりまして、むしろふさわしい商品であるのかとか、そういった考慮のほうにつながっていく事由ではないかと考えているところです。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私も、この提案には賛成したいと思います。
「年齢」を加えるということについては今、xx委員からも御指摘がありましたけれども、究極的には「知識及び経験」と重複するという見方もあるのかもしれませんが、しかし、外見的に分かる事情であって、それに注意をしなさいという形で文言として明らかにするということには意義があるのではないかと思われます。
また、御提案の中で「事業者が知ることができた」という点について、これは従来もそう解されていたということかと思いますけれども、その点は趣旨がより明確に表現されるということも好ましいことではないかというふうに感じました。以上です。
○xxxx
ありがとうございます。それでは、楠委員、お願いいたします。
○楠委員
事務局の提案に賛成をさせていただきます。
外形的に判断できる項目というものが重要になってくると思いますので、そうするとやはり「年齢」、「知識及び経験」というところで、なかなか「生活の状況」であったりとか、そういうものを個別に知り得るかというのは限界があるのかなと思いますし、年齢が分かったとしてもその年齢によって認知レベルというのはかなり個人差も大きいところではあるわけですけれども、そこをどのくらい具体的に把握した上で提案ができるかというところには限界もあろうかと思いますので、まずは事務局提案のとおりにやってみて、課題が明らかになったところでまた考えていく必要があるのかなと思います。以上です。
○xxxx
ありがとうございます。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私も、事務局の提案に賛成をしたいと思っております。
xx委員もおっしゃられましたけれども、来年からxx年齢も下がることですし、やはり年齢ということを明確にしていただくのはすごく必要なことではないかと 思っております。年齢、知識、それから経験を総合的に考慮するということですの で、その方向でいいのではないかと思っております。
「財産の状況」、それから「生活の状況」も一応分析をしていただいて情報提供の際に考慮すべき事情とは言えないというところも分かりますので、まずこれで進めていっていただけたらいいのではないかと思っております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
年齢等の情報提供を追加することについては、特に反対はいたしません。
ただ、年齢に関して、特に高齢者は高齢化の進展に伴って年齢だけで判別できない要素も多い。また、高齢者の中には年齢のみを理由として対応されることを嫌う傾向もあることから、事業者がこの規定に基づいて年齢で画一的な対応をすることに本当に意義があるのかどうかは甚だ疑問であると思っております。
また、事務局案の中に総合的に配慮するという言葉がありますけれども、言葉としては非常に美しいのですが、具体的に事業者側にとってはどのような対応をすればいいのか、かえって分かりにくいと感じております。むしろ現行の「知識及び経験を考慮」という内容のほうが、事業者も柔軟な対応を行うことができるのではないかと思っておりますので、今後、更なる議論が必要ではないかというふうに考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。ここまでのところで特に御質問がなかったように思いますので、続いて第2グループに移りたいと思います。xx委員からお願いいたします。
○髙橋委員
私も、今回の事務局の御提案には賛成いたします。
「年齢」を新たに考慮要素に加えるということですが、もちろん年齢によっても
様々な知識、経験というのはあり得るわけですけれども、ある程度カテゴリカルに判断するという必要性はやはりあるでしょうから、一つの要素としてはあり得ることかと思います。ただ、形式的に切るというわけではないので「総合的に考慮」という言葉が入っているとすれば、これを利用するのも一つの考え方ではないかと思っております。
また「財産の状況」に関して金融商品販売法、あるいは名前は変わりましたけれども、その辺りも見ていただいたようですが、やはり事務局の御説明のとおり「財産の状況」に関しても、もし分かった場合、あるいは取引の対象となっている目的物との関係であるいは分かることがあるかもしれませんが、そういったことも含めての総合的な考慮なのかなというふうに感じた次第です。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私も事務局案に賛成です。
年齢は、客観性を持った重要な考慮要素だと考えております。未xx者契約の取 消権によりまして、未xxの方の消費者被害が救済されてきたという事例がたくさ んあります。それにより、今回xx年齢が引下げとなりましたが、この引下げには かなりの反対もあったということになります。高齢者におきましては、判断xxx かなか年齢だけでは測れないこともあるとは思いますけれども、やはり人は平等に 年を取りまして、その方なりに若いときとは違う状況になっていることも確かです。
消費生活相談の現場では、やはりこの年齢という客観的な要素を持って交渉することは非常に有効になっております。そうでないと、個々の事業者が、そこが分かっているのか、それをどう評価するかということによって対応が難しいことがあります。ただ一律に契約を高齢者はできないというわけではなくて、本来は理解ができていなくて、契約をしなければよかった、考慮すべき状況であるにもかかわらず契約をしてしまったというような高齢者の被害をなくすことが目的だと考えております。これが一律に高齢者の契約を阻んでしまったりとか、高齢者にとって差別的な考えになっているということはないと考えております。
既に金融関係をはじめとして業界でもいろいろ取組をされていると思いますが、業界での取決め、ルールがしっかりとしていないケースであるとか、監督官庁の目が光っていない。ここで問題にしているのは、そういった無数にある契約に対して一定のルールを考えていく。未整備のところに一つの考え方を示していく。これが消費者契約法だと考えておりますので、今回の提案に賛成です。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
よろしくお願いいたします。
情報提供の努力義務に関する消費者庁資料24ページの御提案の方向性については、理解できなくはありません。
しかし、具体的な文言として「年齢」を追記することについては、消費者庁資料 11ページ以下で分析されていますが、基本的に「知識及び経験」は個人ごとに異なるものであり、また、「若者」については、資料11ページに記載のとおり、知識や経験が不足していることの手がかりにはなる一方、知識や経験が不足していることのメルクマールの一つとなるにすぎず、結局、「知識及び経験」を考慮することと変わらず、追記することに問題xxxxxで、追記する意味はあまりないと考えられます。
これに対し、「高齢者」については、判断力の低下により知識や経験を活用できないおそれがあることは資料11ページに記載のとおりですが、例えば3月25日に日本認知症官民協議会の総会が開催され「認知症バリアフリー社会実現のための手引き」が取りまとめられていますが、認知症高齢者への対応として求められることは、資料13ページにあるような「丁寧な情報の提供」に限られず、また、「丁寧な情報の提供」ではないこともあるため、情報の提供を努力義務とする3条の考慮要素とすることが、かえってミスリードとならないかが懸念されます。
また「年齢、知識及び経験を「総合的に考慮」」する点については、消費者庁資料10ページでは「知識及び経験を考慮」することについて、「「考慮要素を知ることができた場合には」考慮」するとして、「積極的に調査することまで求めるものではない」としていますが、これが、「年齢、知識及び経験を「総合的に」考慮」となった場合に、例えば、年齢しか分からなければ年齢を考慮するだけで良いのか、つまり、「「総合的に」考慮」したことになるのかどうか、よく分かりません。
この点、資料17ページでは、金融商品販売法4条2項-改正法の施行後は金融サ ービスの提供に関する法律4条2項になります-が挙げられていますが、この場合、金融商品販売業者は、価格変動リスクのある商品を顧客に販売する場合には、当該 顧客の知識、経験、財産の状況などについて確認を行っています。
したがって、情報提供の努力義務に関する消費者庁資料24ページの御提案については、「年齢」を追記することが本当に有益で問題のないものなのか、さらに慎重に検討すべきであると考えますが、仮に追記するとしても、御提案にあるように「事業者が知ることができた」と明記する一方、消費者にも、事業者が年齢、知識、経験についての情報提供を求めた場合には、協力する旨の努力義務の規定を設けてい
ただきたいと考えます。これにより、顧客に応じたより良い情報提供がスムーズに行えるものと考えます。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
今回の提案、年齢を考慮することは私も必要だと思っておりますので賛成をいたします。理由はもう既に多くの委員が言われたことと重複しますので、同じ意見でございますと言っておきます。
それから、次の「財産の状況」と「生活の状況」については、全ての消費者契約一般で問題になるわけではないということは理解するのですが、契約によってはやはり判断考慮要素の一つになり得る場面があると思います。ですので、書き方の問題にもなるのかもしれませんが、「財産の状況」、「生活の状況」が考慮要素として除外されるというような意味になってしまうのを恐れるところでございます。重要度がほかの3つに比べるとちょっと下がるというところはあるのかもしれませんけれども、一律に排除されるものではありませんので、契約の性質や目的によってはこの2つが重要な考慮要素になることもあり得ることを踏まえ、判断考慮要素の一つになり得るということを踏まえた上での条文の作り込みをしていただければというふうに思っております。
それを、その他の事情なのか、総合考慮なのか、そこら辺の条文のテクニック的なところは今、具体的に提案できるものではありませんけれども、そういった意見でございます。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
私も、事務局の御提案には賛成でございます。
年齢だけで知識や経験について判断するということはできないにしても、若年者、あるいは高齢者といった場合に、ある種の脆弱性と申しますか、カテゴリカルなも のとして知識や経験が不足していたり、あるいは判断能力が低下しているリスクが あるということは言えると思いますので、年齢に一定の注意を払うことが重要であ るというメッセージを出すという意味でも「年齢」という要素を追記するというこ とに賛成でございます。
他方で、年齢だけで契約が拒絶されるというようなことがないように、ここに追
記したことの意味については明確にしていただく必要はあるかなというふうに考えております。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。ここまでのところでも、特に明確な御質問はなかったように思いますので、第3グループに移らせていただければと思います。
では、xxxx委員からお願いいたします。
○xxxx委員
消費者が適正な契約を行う一種の前提条件というか、それについて知識、経験というのはもちろんあると思うのですけれども、私はそれだけではやや不足しているところはあるのかなと思っています。それは、要するに人の話をきっちりと理解して、それを自分のやりたいことと対応させ、分析してしっかりと判断をするという部分の能力といいますか、それは知識、経験ではやはり吸収できない部分が残っているのかなというふうに個人的には思っています。特に、高齢者においてはそれが顕著なのだろうと思っているところです。そういう意味では、知識、経験以外にそういう理解能力とか、判断能力とか、そういったものの考慮というのはやはり必要なのかなと思っているところではあります。
ただ、それは多分、直接はなかなか認識することは難しいものなので、恐らく経験則上、そういう能力というのは人が年齢を積み重ねればだんだん上がっていき、ある年齢で固定され、そしてある年齢以降は衰えていくということなのだろうと思いますので、そういう年齢の一種の代理変数という観点から年齢を使うということは理解できないではないと思っています。ちょっと知識、経験と並べると、やや異質なものが入る印象で、少し気持ち悪いところは私自身はあるんですけれども、ただ、今、申し上げたような形で理解して、私自身はこの点は理解できるかなと思っているところです。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、xxxx委員、お願いいたします。
○xxxx委員
私は、基本的にその御趣旨は理解できるのですけれども、導入については慎重な判断が必要かと思っております。
年齢によって異なる取扱いを法的に要求するということになるのでしょうけれども、年齢によって異なる取扱いをするということになると、ある種、差別の問題が出てくるのかなとも思います。ですので、年齢という考慮要素を加えることの必
要性と合理性については、やや慎重に判断をしていく必要があるのだろうと思っております。
例えば、2018年の改正で「知識及び経験」が入るわけですけれども、それで十分ではないということを示す立法事実があるのか、ないのかということですとか、先ほども議論があったように、実際にこれを入れてしまうことによって年齢差別というようなこととか、元気な高齢者、逆にいろいろなことを理解している若者が、それによって憤慨するということもあり得るかもしれません。年齢という要素を加える実際の効果がどういったものなのかということも検討しておいたほうが良いのではないかと思っています。
御趣旨は十分理解できるのですけれども、憲法的な視点から見て慎重な検討が必要なところかと思っているということです。以上です。
○xxxx
ありがとうございました。それでは、最後に、xx委員、お願いいたします。
○xx委員
「知識及び経験」のみならず「年齢」も明示しつつ、総合的に考慮するようにするという御提案でありますが、広く消費者取引を対象とする消費者契約法にこうした要件を課すことには反対いたします。努力義務であるとはいえ、こうした要件が課されますと、積極的に調査することまで求めるものではないとしても、あらゆる契約において消費者からさらなる個人に附随する情報の収集を推奨することになります。他方で、消費者の中にはこうした情報の収集に抵抗を示される方も多くおられます。このように、情報を収集する、それに対して抵抗を示すといったことを通じて、様々な社会的コストがかさんでいくことになり、さらに事業者にとっては情報漏えいのリスクまで高まることにもつながります。
このように、コストが増す可能性がある一方で、御提案のような年齢という要素を加える実益がどれほどあるのか、理解が及ばないところがございます。現行の規定でも「知識及び経験」を考慮するに当たっては、対面取引では場合によっては年齢も含めて既に総合的に考えているケースもあるように思いますし、また、非対面取引については一部の成人向けサービスを除けば年齢に関する情報を収集していない場合がxxですし、インターネット関連サービスの場合には必ずしも年齢を重ねている消費者の理解のほうが高いとも言えないというのが実情かと思います。
消費者契約法で規定するということは、例えばスーパーマーケットでの日常的な買い物にまでそうしたハードルを設けることにもなるということを忘れてはならないと思います。今回、果たしてそこまでの対応が必要なのか、疑問に感じます。
もしも真に問題となるケースがあるだとすれば、その部分に絞って個別法におい
て対応していくべき問題ではないかと考えます。以上です。
○xxxx
どうもありがとうございました。
以上で、委員の皆様から御意見を伺うことができたかと思います。ここからは、ほかの委員の御発言に対して御意見や御質問を希望される方は、挙手機能を使ってお知らせください。いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。もしよろしければ、私からxxxx委員に確認をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
立法で年齢をあげて、年齢によって異なる取扱いをするということになる。それはおっしゃるとおりかと思うのですが、この提案で行おうとされているのは、「総合的に考慮」というのはもちろんあるわけですけれども、より丁寧な情報を提供する努力義務を課すということです。より丁寧な情報の提供というのがどのようなものかという問題ではあるのかもしれませんが、消費者にとってはより分かりやすい説明が行われる可能性があるわけであって、直ちに不利益というわけではないのだろうと思います。差別的取扱いで特に問題のあるのは、Aという人とBという人がいて、Aという人には利益が与えられているけれども、全く同じなのにBという人に与えられていない、ないしはAという人に負担を課していて、しかしBという人には負担を課さない。このような取扱いが行われる場合が典型的な差別的取扱いの問題なのだろうと思いますが、ここでは少し状況が違うようにも思います。利益を押しつけているという意味での差別的取扱いの変形例の一つなのかもしれませんけれども、こういった立法をしたとしても、なお憲法上の問題があるのかというのが私の質問です。
特に「総合的に考慮」となっておりますので、年齢が若年ないしは高齢者であるということは分かって、丁寧な説明を試みようとしたところ、反応を見ていれば、これは十分によく理解して、つまり知識、経験が一定水準以上あるとなると、それ以上、丁寧な説明をする必要はないとして打ち切ることにおそらくなるだろうと思います。それで努力義務は果たしたことになる。このような仕組みであっても、なお問題があるでしょうかというのが質問です。よろしくお願いします。
○xxxx委員
ありがとうございます。直接、憲法上の問題がどれぐらい生じるかというのは、確かに先生がおっしゃるように分からないところもあるのですけれども、例えばある人には、より丁寧な説明がされるわけですが、そうでない人には、逆に、そういった説明がなされないということもあるので、そういう意味で、利益を与えるだけのものではないというところがあるのではないか。つまり、ベースラインを引いた
ときに、そのベースラインを超える人もいれば、低くなる人もいるということになるので、やはり年齢を考慮した形で異なる取扱いがなされているという点では、そういうことになるのだろうなと思いました。
もう一点は、もちろん何らかのジャスティフィケーション、そういった異なる取扱いをした場合でもジャスティファイされれば良いわけですけれども、今回そこで重要になるのは、年齢はある意味で、知識とか経験よりも分かりやすいので、結局その年齢ということを非常に形式的に受け取ってしまって、形式的な説明になってしまうことによって目的にかえって反すると申しますか、丁寧な説明にならないというような、目的にかえって反するような帰結をもたらさないか。こういうような視点も必要になってくるのではないか。
もちろん、効果があれば、説明がより丁寧で、より分かりやすくなり、消費者にとって利益になるというようなことで目的が達成されるのであれば、そういった異なる取扱いも十分に正当化されると思うのですけれども、そこについてもう少し調査、検討が必要なのかなと思っております。そこについてしっかり裏が取れれば、というのでしょうか、年齢を入れることで、カテゴリカルな対応にならずに、より丁寧な説明なり、消費者の利益になるということが一定程度示されれば、私は導入可能であるというふうに思っております。以上です。
○xxxx
どうも御説明ありがとうございました。ほかに御意見、あるいは御質問等はありますでしょうか。
大きくは、「年齢」のみを付け加えることに関しては、提案どおりで良いのではないか、少なくとも「総合的に考慮」という表現がよいかどうかは、なお検討の余地がありますけれども、年齢だけで割り切って対応するのではないという趣旨を盛り込んだ上で、「年齢」を付け加えることについては、多くの委員の方々は肯定的に受け止めておられたように思います。もちろん、本当にそのようなものを入れる実益がどれほどあるのかなどの御指摘もあったところではありますけれども、少なくとも事業者が知ることができたという限定がつけられていることの意味を受け止めるのであれば、これも問題はないのではないかという御指摘が多かったと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、この3つ目の論点につきましても本日はここまでとさせていただき、いただいた御意見については事務局で整理して次回お示しするということでよろしいでしょうか。事務局のほうから何かあるでしょうか。
○xx課長補佐
特にございません。貴重な御意見、どうもありがとうございました。
○xxxx
ありがとうございました。これで、今年の1月以降、各論点について3巡目の検討を行い、本日で一通りその検討を終えたということになります。この段階で、一度ヒアリングを実施するということも考えられると思いますので、事務局と相談の上、今後の進め方につきまして詳細が決まりましたら事務局から御連絡をいただこうと思います。よろしいでしょうか。
○xxxx
では、最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。
○xx消費者制度課長
本日も、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。次回の詳細につきましては、今ほど座長から御指摘いただきましたとおり、後日改めて御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○xxxx
ありがとうございました。なお、本日の議論につきましては、運営要領に基づき、事務局と私で議事録を作成し、委員の皆様に御確認いただいた上で公表したいと考えております。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。今後とも、どうかよろしくお願いしたいと思います。それでは、これで第16回検討会を終了いたします。xx御退室ください。ありがとうございました。