1 基本情報 (1)案件名 モデル地域での実践強化および評価制度の確立を通した、障がい児のためのインクルーシブ教育普及事業 (2)事業地 カンボジア王国 全土 (3)贈与契約締結日及び事業期間 ・贈与契約締結日:2022 年 2 月 14 日・事業期間:2022 年 2 月 14 日~2023 年 2 月 13 日・延長事業期間:1.5 ヵ月、2023 年 3 月 31 日まで (4)供与限度額及び実績(返還額) ・供与限度額:266,428.00 米ドル・総支出:258,535.65...
(様式4)
日本NGO連携無償資金協力 完了報告書
1 | 基本情報 | ||
(1)案件名 | モデル地域での実践強化および評価制度の確立を通した、障 がい児のためのインクルーシブ教育普及事業 | ||
(2)事業地 | カンボジア王国 | 全土 | |
(3)贈与契約締結日及び事業期間 | ・贈与契約締結日:2022 年 2 月 14 日 ・事業期間:2022 年 2 月 14 日~2023 年 2 月 13 日 ・延長事業期間:1.5 ヵ月、2023 年 3 月 31 日まで | ||
(4)供与限度額 及び実績(返還額) | ・供与限度額:266,428.00 米ドル ・総支出:258,535.65 米ドル(返還額:7,892.35 米ドル) | ||
(5)団体名・連絡先、事業担当者名 | ア 団体名:特定非営利活動法人 難民を助ける会 【法人番号:0000000000000】イ 電話:00-0000-0000 ウ FAX:00-0000-0000 エ E-mail: xxxxx@xxxxxxxx.xx.xx オ 事業担当者名:申請書記載の事業担当者から変更無し | ||
(6)事業変更の有無 | ア 事業変更承認の有無:有り (ア) 申請日:2023 年 1 月 26 日 承認日:2023 年 2 月 13 日内容:事業期間の延長 イ 事業変更報告の有無:有り (ア) 報告日:2022 年 11 月 18 日 内容:遊具設置箇所へのコンクリートおよび人工芝敷設、専門家招聘にかかる通訳雇用 (イ) 報告日:2023 年 3 月 31 日 内容:予算の小項目間移動 |
2 事業の概要と成果 | |
(1) プロジェクト 目標の達成度 (今期事業達成目標) | 郡内のモデル地域であるソンロン集合村において、インクルーシブ教育(Inclusive Education:以下 IE)を理解し、障がい児指導に関して豊富な経験を有する教員が育成されるとともに、IE や障がいに関する資料および教材を備えたセンターが設立された。それらの人的・物的リソースを活かして郡内他集合村の教員を支援するためのネットワークが形成され、郡内の教員はソンロン集合村にあるリソースの役割を認識し、適切な支援を受けられるようになった。また、郡内各集合村に設立された障がい者支援委員会 (Commune Committee for Persons with Disabilities:以下 CCPWD)は、ソンロン集合村や近隣集合村における学校とCCPWD の連携事例を参照しながら、各地域で障がい児への支援活動に取り組んでいる。 本事業で策定したIE 評価ツールは、国内全州教育局(Provincial office of Education、以下 POE)への共有が完了した。各 POE から国内 9 割以上の郡教育事務所(District office of Education、以下 DOE)への共有も行われているが、実際にツールを使ったことのある DOE の数はまだ少ない。DOE 職員の理解をより深めていくことや、紙版のみではなく学校に共有しやすい電子データ版も POE から DOE にスムーズに共有されていくことが、今後も必要で ある。 |
モデル地域のリソースを通して、郡内の他集合村における障がい児の教育支援体制が強化されるとともに、策定されたインクルー シブ教育評価ツールがカンボジア国内で使用される。 | |
(2)活動内容 | 計画したすべての活動を完了した。各活動の実施時期、実施場 所、参加人数等の詳細は「補足資料 1 研修・会合一覧」を参照。 活動 1:IE 実践状況を評価する仕組みづくり (1-1)(1-3)第 2 期事業で作成した IE チェックリストガイドラインは、2022 年 5 月に教育大臣からの承認が得られた。その後、全国のPOE に共有するための準備会合をIE 専門委員会と行い、2022 年 9 月に共有のためのワークショップをケップ州にて開催した。同ワークショップには、教育省副長官や教育総局長、POE 職員、教育省内関連局職員、NGO 職員が参加し、IE 専門委員会メンバーが、IE チェックリストの使い方、リスト内の語彙や使用スケジュールについて説明した。当会職員も事業地における事例の共有等を行った。(1-2)の後、モニタリング結果を協議し、全 POE と行うオンラインワークショップに向けた準備会合をIE 専門委員会と行った。 (1-2)各州におけるチェックリストの共有・使用状況をモニタリン グするため、教育省特別教育局職員および当会職員が、首都プノンペンからの距離および障がい児・者の数を考慮して選定した 3州(カンダール州、バッタンバン州、ケップ州)を訪問した。POE 職員、DOE 職員、学区代表者との会合を行った後、XXX から DOE および学区代表者へ、DOE および学区代表者から各学校長へ、各学校長から各教員への共有状況をモニタリングした。その後、特別教育局職員、POE 職員、DOE 職員、当会職員による振り返り会合を開催した。 (1-4)(1-2)で実施したモニタリング結果から、利用者にとって分かりにくい語彙があることや、評価スコアの計算方法が分かりにくいといったことが判明した。そのため、それらの再説明および使用スケジュールの再確認を目的とした全POE とのオンラインワ ークショップを、2023 年 3 月に開催した。スコアの計算について |
は煩雑で分かりにくい部分もあったため、州独自で分かりやすい資料を作成していたバッタンバンPOE 代表者が、計算方法を参加者に説明した。同ワークショップには教育省副長官も参加し、XXXからの参加者に対してIE 推進の重要性を伝えるとともに、リストの積極的な使用を改めて促した。 活動 2:モデル地域における取り組みの国内普及 (2-1)ソンロン集合村における取り組みを他地域に共有するため、教育省関係者や他地域からの訪問者を本事業の支援対象校であるプレイ・トム小学校に受け入れた。2022 年 7 月には、教育省特別教育局、教員養成局、質保証局、幼児教育局、M&E 局の職員がプレイ・トム小学校を訪問した。訪問者は、当会が設立した特別支援学級やリソースセンターを含む学校施設を視察し、授業を参観した後、ソンロンCCPWD や学校教員から、学校での取り組みや地域と学校の連携による不就学障がい児へのサポート体制について説明を受けた。教育省職員からは、国内で入手可能な障がい関連資料の紹介や、開け閉めがより容易になるようにトイレの扉の車輪を大きくする等、敷地内の更なるバリア解消に関する提言がなされた。 (2-2)11 月には、コンポンスプー州で女性の教育支援に取り組む 現地 NGO がプレイ・トム小学校を訪問した。訪問者は、授業参観の後、校長や特別支援学級教員、ソンロン CCPWD との会合に参加した。会合では、特にソンロン集合村および近隣集合村の CCPWDとプレイ・トム小学校の連携による障がい児の通学支援等について、活発な質疑応答があった。 活動 3:障がい者支援委員会の能力強化 (3-1)クサイ・カンダール郡の全 18 集合村に設立されたCCPWD の中心メンバーを対象とした能力強化を引き続き行った。全 2 回の研修のうち、第 1 回研修は全 18CCPWD を 2 つのグループに分けて 3 日間ずつ行った。第 2 期事業で実施した不就学障がい児が抱える問題の特定とそれらに対する対応方法検討のフォローアップとして、参加者間で取り組んだ事例を共有し合った。また、社会福祉省が策定したアクセシビリティ・ガイドラインに関する研修 は、同省傘下の障がい行動評議会(Disability Action Council)と協力して行い、CCPWD メンバーに加え地域の建設業者も参加し た。研修に参加した集合村役場職員からは「自分の集合村でも、アクセシビリティの向上に向けた取り組みを広めていきたい」という声が聞かれた。 (3-2)第 2 回研修では、障がい当事者である当会現地職員による 「障がい平等研修」を行った。参加者は、障がい者の社会参加を阻む要因が、物理的・制度的・心理的バリアとして、障がい者を取り囲む環境にあることを認識し、各自がそのバリアをどのように解消していくかを考えた。 (3-3)保健センター職員に対する研修として、国内 NGO(OIC Cambodia)と連携して言語療法研修を実施した。参加者は、子どもが直面するコミュニケーション障がいの特徴と支援方法、発声と嚥下のメカニズム、安全な食事の介助法等について学んだ。研修には、保健センターを管轄する郡の保健行政区職員も参加した。参加者からは「高齢者にだけ起こると誤解していたが、嚥下障がいが子どもにも起こることを知った。学んだことを他の職員や地域住民に共有したい」との声が聞かれた。 (3-4)郡内のモデル集合村であるソンロン集合村の CCPWD と協力し |
て地域住民対象の啓発イベントを開催した。CCPWD メンバーとともに啓発内容を決定し、必要な資料を準備するとともに、ファシリテーターについては、1 村目で当会職員が務めた後、2 村目以降はCCPWD メンバーが務めるなど、CCPWD が主体的に取り組めるよう実施方法を工夫した。 (3-5)18CCPWD との個別会合を通して、年間活動計画の策定・実施状況のモニタリングを行った。また、18CCPWD メンバーに加え、郡障がい者支援委員会(District Committee for Persons with Disabilities、以下 DCPWD)およびプレイ・トム小学校教員、全事業関係者が参加した全体会合では、これまでに郡として、または各集合村として取り組んできた障がい児支援の成果を振り返るとともに、今後の方針について協議した。 活動 4:特別支援学級およびリソースセンターの設立と能力強化 (4-1)第 1 期事業でソンロン集合村のプレイ・トム小学校に設立した特別支援学級およびリソースセンターにおいて、担当教員への研修や教材・資料の整備を継続した。障がいに関する専門的な研修を受講したプレイ・トム小学校教員(特別支援学級教員、リソースセンタースタッフ、通常学級教員、副校長を含むSpecial Education チーム:以下SE チーム)や DOE 職員が、障がい児支援に関する知識や経験を有するリソースとして郡内各地域の教員を支援できるよう、教員のネットワークづくりに取り組んだ。SE チームおよび DOE 職員が講師となり、郡内にある 12 の学区から 2 人ずつ選定された代表者(IE 担当教員)に対して、障がいの定義や 様々な障がいの種類と特性、障がい特性に応じた対応策に関する研修を 2 回実施した。当会職員は、SE チームとともに研修内容やファシリテーション方法を検討し、資料の作成を補助するなど、研修の実施を支援した。 (4-2)SE チーム、DOE 職員および POE 職員に対する、障がい種別ご との研修を継続した。国内の現地 NGO(Rabbit School Organization、以下 RSO)と実施した発達障がいに関する研修では、特別支援学級に在籍する発達障がい児やダウン症児につい て、個々の児童の課題への対応策の協議、模擬授業を通した教員の指導能力向上、教材づくりを行った。 (4-3)視覚・聴覚障がいに関する研修については、特別支援教育教員養成校(National Institute for Special Education)と実施した。参加者は、座学と実践を組み合わせた研修を通して、第 1 期・2 期事業で学んだことを振り返るとともに、特別支援学級に在籍する視覚・聴覚障がい児を想定した学級内での対応策を協議した。 (4-4)肢体麻痺児への対応策を学ぶ療育研修では、脳性麻痺の症状やストレッチ方法、器具の使い方を学んだ。また、特別支援学級在籍児童も参加したセッションでは、教員が実際に麻痺を含む身体の特性やその特性に応じて必要なマッサージや運動を特定し、それらの練習を行った。同研修には児童の保護者も参加し、運動やマッサージを家でもできるよう、その方法を学んだ。 (4-5)上述した障がい種別ごとの研修に加え、障がい児の教育支援に取り組む他地域の団体訪問を通した研修を 2 回実施した。1 回目は RSO がプノンペン市内で運営支援する特別支援学級を訪問 し、様々な障がい児が在籍する学級の運営方法や教材の活用・管理方法を学んだ。2 回目は、ポーサット州で国内 NGO(Disability Development Services Program、以下 DDSP)が運営する特別支援 学級や療育スペース、職業訓練を提供する施設を訪問した。参加 |
者は、クサイ・カンダール郡での取り組みを説明するとともに、 DDSP が実施する包括的な取り組みを通した障がい児支援の有効性や、障がい児の家庭との連携方法を学んだ。 第 2 期事業に引き続き、日本の IE 専門家(xxxxx)との IE に関するワークショップを、オンラインで 1 回(2022 年 10 月)、対面で 2 回(2022 年 12 月、2023 年 1 月)開催し、SE チーム、DOE 職員、ソンロン CCPWD が参加した。オンラインで行ったワークショップでは、第 2 期事業で話し合った「インクルーシブな学校」に関する各参加者の意見を振り返り、前回のワークショップ以降 に、各自が自分の職場や地域で取り組んだことを共有するとともに、参加者から事前に集めた質問に関する質疑応答や議論を行った。対面で実施した 12 月のワークショップでは、参加者全員で 2013 年から当会が取り組んできた障がい児の就学支援の成果を振り返るとともに、特に不就学の 2 つのケースに焦点をあて、その解決策を協議した。1 月のワークショップでは、教員の指導力向上に不可欠なものとして、自らの指導方法を振り返るための「授業研究」に挑戦した。撮影したビデオを見ながら、教員自身が指導法を振り返るとともに、他の教員と改善点を話し合う時間を設けた。教員は「客観的に自分の授業を見ることで、初めて気づい たことがあった」と、前向きに取り組んでいた。今後も SE チームによる授業研究の実施を後押ししていく。 | |
(3)達成された成果 | 【成果 1】インクルーシブ教育の実践状況を評価するチェックリストが、当会の取り組みを含む事例集とともに国内の郡教育事務所に配布され、活用される。 (指標 1)特別市を含む国内全 25 州の 204 郡教育事務所(DOE)のうち、194 事務所に対してチェックリストが共有された。クラチェ州やモンドルキリ州等、いくつかの州でGoogle Meet やZoom の IT ツールを通じてチェックリストの説明を行った地域もある。 (指標 2)上述した 194 のDOE のうち、50 のDOE に対して聞き取りをしたところ、6 割にあたる 31 のDOE が、学校長との定期会合や IT ツールを通してチェックリストを各学校に共有した。残りの 4割では「(各学校に共有する方法として学区制度を活用した地域では)DOE から、各学区の代表校には共有済みだが、代表校から学区内の各校へまだ共有されていない」「学校に共有するために必要な電子データ版が、州教育局から(モニタリング時点で)未共有または遅れて共有された」といった理由で、本事業期間には共有されていない。50 のDOE のうち、18 のDOE(計 522 校)が学校に対して実際にチェックリストを使って評価を実施したと回答した。不使用の理由としては「チェックリストの各項目に関する理解が、学校に説明できるほど十分ではない」「学校に対する活動では活動計画を策定する必要があるが、それが間に合わなかった」といった点が挙げられた。IE チェックリスト専門委員会によるガイドライン策定に時間を要したため、完成版の共有が計画よりも大幅に遅れたことが、学校への共有や使用のスケジュールに影響を及ぼしたと考えられる。また、チェックリストの各項目に関する理解促進のために、教育省特別教育局と協力してさらなるモニタリングを行っていく。 (指標 3)聞き取りを行った 50 のDOE のうち 47 事務所(3 事務所は無回答)において、「校長や教員が障がい児を含むすべての児童のニーズを理解できる」「アクセシビリティの改善方法が分かる」 |
「障がい児の状況を把握し、課題の解決策を探る手段となる」等の理由から、IE チェックリストがIE 推進に向けた重要なツールであるとの回答があった。 【成果 2】各集合村に公的に設立された障がい者支援委員会が十分な能力を身につけ、彼らが行う障がい児への支援の質が向上する。 (指標 1)就学キャンペーンや障がい児の実態調査、障がい児のモニタリング活動を含む 2022 年の年間活動計画について、全 18 集合村のうち、17 集合村において実施率が 10 割、1 集合村において 8 割超であった。集合村によっては、通学のための交通費を家族と折半して負担しているところもある。 (指標 2)全 18 集合村のうち 15 集合村において、障がい児データが管理・更新されている。残りの 3 集合村においては、2022 年 6月の集合村選挙前までのデータ管理は確認できたものの、選挙を経て CCPWD メンバーが交代したことに伴いデータブックの引継ぎに問題が生じ、データ管理が困難となった。当会は、同 3 集合村に対して新たにデータブックを配付するとともに、選挙のたびに同様の問題が起こることがないよう、CCPWD およびDCPWD と対応策を協議していく。 (指標 3)適切なデータ管理が実施されている 15 集合村において、データを確認した結果、支援を必要と判断された障がい児は 306人であり、そのうち目標の 7 割を超える 238 人が各 CCPWD によって、家庭訪問や専門機関でのサービス、情報共有等の支援を受けた。なお、専門機関でのサービスについては、当会と連携して実施した支援(自己資金対応)も含む。 【成果 3】クサイ・カンダール郡内のモデル地域において、障がい児の教育支援体制が確立される。 (指標 1)SE チーム、DOE 職員、POE 職員を対象とした障がい種別ごとの研修に関する事後テストの正答率は以下の通り。 発達障がい研修:事前 69.2%⇒事後 93.3%療育研修:事前 28.89%⇒事後 46.67% 視覚障がい研修:事前 58.4%⇒事後 88.8%聴覚障がい研修:事前 49%⇒事後 94.9% 療育研修の事後テストの正答率が目標の 8 割に達しなかった。正答率が低かった理由として、内容や用語の専門性が高かったことが考えられる。SE チームとの定期会合を通して、研修内容や方法の振り返りに努める。 なお、発達障がい研修および療育研修については、2 回実施しているが、2 回目は両研修とも実践が主だったため、確認テストは実施していない。 (指標 2)2023 年 3 月時点で、特別支援学級に通う障がい児 23 人 (不定期通学、家庭訪問指導を含む)のうち、4 人の障がい児が、半日は自分の住む地域の公立小学校の通常学級で学んでいる。 (指標 3)第 3 期事業開始以降、2022 年 2 月~7 月、2023 年 2 月~3月の計 8 ヵ月間に、プレイ・トム小学校児童、児童の保護者、卒 |
業生を含む地域住民のべ 12,958 人(月平均約 1,620 人)がリソースセンターを利用した。 なお、リソースセンタースタッフが、怪我の療養のため 2022 年 8月から長期休職に入り、2023 年 1 月に新たな教員が専任の担当者として任命されるまで、校長や副校長が代理でリソースセンターの管理をしたが、その間、リソースセンターに常駐することが難しかったことから、利用者データの記録がされていなかった。 【成果 4】クサイ・カンダール郡のモデル地域以外においても、障がい児の教育支援体制が整備され始める。 (指標 1)郡内にある全 12 学区から 1 校ずつ計 12 校の教員に対して聞き取りを実施した。各校から 6 人ずつ選び、計 72 人を対象とした。その結果、9 割超にあたる 67 人が、障がい児への対応に関して、SE チームや IE 担当教員から支援を受けた、またはリソースセンターを利用したことがあると回答した。 (指標 2)上述の 67 人のうち、9 割超にあたる 62 人が学んだことを日頃の実践で活用していると回答した。 また、「IE 担当教員からの助言を得て、自分の学級で知的障がい児を教える際に、視覚教材を使うようになった」「対応が難しい場合に、頼ることができるシステムができたのは助かる」といった声も寄せられた。IE 担当教員や SE チーム、リソースセンター が、郡内のリソースとして有効に活用されるよう、郡教育事務所 とともに定期的なモニタリングを行う。 | |
(4)持続発展性 | 特別支援学級とリソースセンターの運営に関しては、設立時に締結した合意書の通り、プレイ・トム小学校や DOE が、提供した設備のメンテナンスや家具や教材の管理、教員の採用等を担っており、事業地在住の当会現地職員が、定期的にその状況をモニタリングしている。 クサイ・カンダール郡の全 18 集合村に公的組織として設立された CCPWD については、各集合村に毎年割り当てられる予算の一部をその障がい児支援費用として使用することが郡知事から承認されており、メンバーによる障がい児への家庭訪問や電話連絡を通した定期的なモニタリングが行われている。事業開始当初から、 CCPWD の上位組織として設立された DCPWD と連携して事業を進めてきており、各 CCPWD が直面する課題の解決には、DCPWD からの助言・支援が得られる体制を整備した。事業終盤には、DCPWD、 CCPWD およびプレイ・トム小学校のSE チームが集まり、これまでに郡内に育成・整備してきた地域のリソースを関係者全員で認識し、今後さらにインクルーシブな地域づくりを進めていくにあたり、取り組むべき点を協議する機会も設けた。 IE チェックリストに関しては、そのガイドラインに、教育省特別 教育局がリストの使用状況をモニタリングすることが明記されている。当会は、各 POE およびDOE を通したモニタリングの方法 や、質問用紙の作成を特別教育局と行い、同局が今後、主体的にモニタリングを行っていけるよう支援している。また、IE チェックリストの重要性を各POE に改めて認識してもらい、積極的なチェックリストの使用を促していくため、教育大臣から POE 宛のレ ターを発行することを、現在特別教育局とともに検討中である。 |
3 その他 | |
(1)固定資産譲渡先 | 遊具 1 基、テレビ 1 台、スピーカー1 台をプレイ・トム小学校へ譲渡した。譲渡品については、第 1 期事業期間中に譲渡品に関する同校の責任を明記した合意書を締結している。第 3 期事業で譲渡した物品については、同合意書の補足資料である譲渡品リスト に新たに含めた。その更新版に、同校と当会が署名した。 |
(2)特記事項 | 無し。 |
完了報告書記載日:2023 年 6 月 28 日団体代表者名:理事長 堀江 良彰
☒ 団体としての最終版であることを確認済み(要チェック)
【添付書類】
① 日本NGO連携無償資金収支表(様式4-a)
② 日本NGO連携無償資金使用明細書(様式4-b)
③ 人件費実績表(様式4-c)
④ 業務従事時間記録表(様式4-c 別表)
⑤ 一般管理費等 支出集計表(様式4-d)
⑥ 事業内容、事業の成果に関する写真(様式4-e)
⑦ 外部調査報告書
⑧ 銀行通帳出入金記録写し
⑨ 補足資料 1:研修・会合一覧
⑩ 補足資料 2:特別支援学級およびリソースセンター供与資機材・教材一覧