Contract
Ⅲ 育児・介護休業等に関する労使協定の例
➀ 以下のような労使協定を締結することにより、育児・介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、短時間勤務の対象者を限定することが可能です。労使協定については、労働基準監督署長への届出は不要です。
② 労使協定とは、事業所ごとに労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者と事業主との書面による協定をいいます。
③ 出生時育児休業は、省令で定める雇用環境整備の取組実施を労使協定で定めた場合に限り、申出期限を2週間超~1か月の範囲内で労使協定で定める期限とすることが可能です。以下の例のほかにも対象となる取組があります(14 貢参照)。自社の状況を分析し、自社に適した取組を行ってください。
④ 労使協定の締結がなければ、出生時育児休業中の就業はできません。就業可能な部署等を労使協定で限定することも可能です。休業中の就業を強制する等、労働者の意に反して就業させてはいけません。
⑤ 子の看護休暇、介護休暇を時間単位で取得することが困難と認められる労働者については、労使協定により適用除外とすることができます。
⑥ 育児短時間勤務の申出を拒むことができる労働者について、このほかにも一定の範囲で規定することができます。
◯◯株式会社と□□労働組合は、◯◯株式会社における育児・介護休業等に関し、次のとおり協定する。
(育児休業の申出を拒むことができる従業員)
第1条 事業所長は、次の従業員から1歳(法定要件に該当する場合は1歳6か月又は2歳)に満たない子を養育するための育児休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。
一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から1年(法第5条第3項及び第4項の申出にあっては6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1 週間の所定労働日数が2日以下の従業員
2 事業所長は、次の従業員から出生時育児休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(介護休業の申出を拒むことができる従業員)
第2条 事業所長は、次の従業員から介護休業の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。一 入社1年未満の従業員
二 申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(子の看護休暇の申出を拒むことができる従業員)
第3条 事業所長は、次の従業員から子の看護休暇の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。一 入社6か月未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(介護休暇の申出を拒むことができる従業員)
第4条 事業所長は、次の従業員から介護休暇の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。一 入社6か月未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(育児・介護のための所定外労働の制限の請求を拒むことができる従業員)
第5条 事業所長は、次の従業員から所定外労働の制限の請求があったときは、その請求を拒むことができるものとする。一 入社1年未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(育児短時間勤務の申出を拒むことができる従業員)
第6条 事業所長は、次の従業員から育児短時間勤務の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。一 入社1年未満の従業員
二 週の所定労働日数が2日以下の従業員
(介護短時間勤務の申出を拒むことができる従業員)
第7条 事業所長は、次の従業員から介護短時間勤務の申出があったときは、その申出を拒むことができるものとする。一 入社1年未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(従業員への通知)
第8条 事業所長は、第1条から第7条までのいずれかの規定により従業員の申出を拒むときは、その旨を従業員に通知するものとする。
(出生時育児休業の申出期限)
第9条 事業所長(三を除く。)は、出生時育児休業の申出が円滑に行われるよう、次の措置を講じることとする。その場合、事業所長は、出生時育児休業の申出期限を出生時育児休業を開始する日の1か月前までとすることができるものとする。一 全従業員に対し、年1回以上、育児休業制度(出生時育児休業含む。以下同じ。)の意義や制度の内容、申請方法等
に関する研修を実施すること(注 1)。
二 育児休業に関する相談窓口を各事業所の人事担当部署に設置し、事業所内の従業員に周知すること。
三 育児休業について、○○株式会社として、毎年度「男性労働者の取得率○%以上 取得期間平均○か月以上」「女性労働者の取得率○%以上」を達成することを目標とし、この目標及び育児休業の取得の促進に関する方針を社長から従業員に定期的に周知すること。また、男性労働者の取得率や期間の目標については、達成状況を踏まえて必要な際には上方修正を行うことについて労使間で協議を行うこと(注2)。
四 育児休業申出に係る労働者の意向について、各事業所の人事担当部署から、当該労働者に書面を交付し回答を求めることで確認する措置を講じた上で、労働者から回答がない場合には、再度当該労働者の意向確認を実施し、当該労働者の意向の把握を行うこと。
(出生時育児休業中の就業)
第 10 条 出生時育児休業中の就業を希望する従業員は、就業可能日等を申出ることができるものとする。
(有効期間)
第11 条 本協定の有効期間は、◯年◯月◯日から◯年◯月◯日までとする。ただし、有効期間満了の1か月前までに、会社、組合いずれからも申出がないときには、更に1年間有効期間を延長するものとし、以降も同様とする。
◯年◯月◯日 ◯◯株式会社 代表取締役 ◯◯◯◯ □□労働組合 執行委員長 ◯◯◯◯
(注1) 研修の対象は全労働者が望ましいですが、少なくとも管理職については対象とすることが必要です。
(注2) 数値目標の設定に当たっては、育児休業の取得率のほか当該企業における独自の育児目的の休暇制度を含めた取得率等を設定すること等も可能ですが、少なくとも男性の取得状況に関する目標を設定することが必要です。
-74-