Contract
インドネシア 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用
「現地人の雇用」詳細
18. 100 人以上の労働者を雇用する企業の職業訓練義務 9
<2021年2月2日付政令2021年第35号>
有期雇用契約(PKWT)を結べるのは、完了まで長期間かからないと見込まれる業務、季節要因に伴う作業、新製品・新規事業活動・試験調査研究段階の新規商品にかかわる作業の3種類。契約で定められた期間終了までに業務が完了しない場合は、雇用者と労働者の合意に基づく期間、契約を延長できる。ただし、延長期間を含めた有期雇用契約全体の期間が5年を超えないことが条件。
雇用主は、連続して1ヶ月以上勤務する労働者を対象に、有期雇用契約の期間終了時に補償金を支給する。補償金の計算は次のように行う:
a. 有期雇用契約期間が連続して12ヶ月の場合:賃金1カ月分
b. 有期雇用契約期間が1ヶ月以上12ヶ月未満の場合:勤務期間÷12×1ヶ月分の賃金
c. 有期雇用契約期間が12ヶ月を超える場合:勤務期間÷12×1ヶ月分の賃金
契約を延長する場合は、元の契約期間の終了時に補償金を支給した後、延長期間の終了時に次回分を再び支給する。
また、有期雇用契約は日雇契約として実施することもできるが、労働者の勤務日数が1ヶ月当たり21日未満であることが条件で、労働者が連続して3ヶ月間に21日以上勤務する場合、契約は無効となり、雇用関係は無期雇用契約(PKWTT)とみなされる。
業務委託とは、業務請負契約書あるいは労働者派遣サービス契約書により、他の会社に業務の一部を委託する形態。委託できる業務は、①主要な事業活動から切り離して実施されるもの、②委託側からの指示に基づいて実施されるもの、③会社全体の事業活動を補佐するもの、④生産工程を妨げないもの、に限定されてきたが、2020年11月2日付2020年第11号雇用創出法にて、労働法から生産工程に直接関係のある業務ではない補足的な業務に限定する規定が削除された。2022年7月現在、詳細は不明で、細則が待たれる。
<2021年2月2日付政令2021年第35号>
時間外労働は、1日当たり最長4時間、1週間当たり18時間までに制限される。時間外労働を実施するには、雇用主からの命令と労働者の同意が必要。就業時間(通常、週6日労働の場合は1日7時間、週5日労働の場合は1日8時間、いずれも1週間で40時間)を超える労働、および休日や政府が定めた祝祭日の労働に対する賃金の計算方法等が定められている。時間外労働の賃金は、月の賃金の1/173を1時間当たりの基礎賃金として、以下の基準で算出する。
<労働日の残業>
(1)時間外労働の開始から最初の1時間:1時間あたり賃金の1.5倍
(2)2~4時間目:1時間あたり賃金の2倍
<休日・祝祭日出勤>
(1)週6日・40時間労働の労働者の場合: 最初の7時間:1時間当たり賃金の2倍 8時間目:1時間当たり賃金の3倍
9~11時間目:1時間当たり賃金の4倍労働時間が最短日に重なる場合:
最初の5時間:1時間当たり賃金の2倍
6時間目:1時間当たり賃金の3倍
7~9時間目:1時間当たり賃金の4倍
(2)週5日・40時間労働の労働者の場合: 最初の8時間:1時間当たり賃金の2倍 9時間目:1時間当たり賃金の3倍
10~12時間目:1時間当たり賃金の4倍
時間外労働賃金の計算について労使間で意見の相違が生じた場合は、県/市、州、中央の労働当局に決定を求める。
<2021年2月2日付政令2021年第36号>
(1)賃金の構成は、「手当なし賃金」、「基本給と固定手当」、「基本給と固定手当と変動手当」の 3 パターンで、うち手当がつく場合は原則、基本賃金は固定賃金総額の最低 75%でなければならない。
(2)宗教大祭手当は遅くとも宗教大祭 7 日前に支給しなければならない。THR の支給遅れには 5%の罰金がかかる。(下記 26.参照)
(3)賃金の種類には、時間単位と成果単位の 2 種類がある。時間単位の賃金には、時給、
日給、月給があり、時給は月給の 126 分の1で算出。日給は、週 6 日就業の場合は月
給を 25 で割り、週 5 日就業の場合は 21 で割って計算する。成果単位の賃金は、直近
12 ヶ月の月給の平均額が基準。
(4)会社は賃金体系を策定しなければならない。時間単位の賃金の場合、全従業員に対し、該当する職級の賃金体系を個別に通知することも求められている。
(5)最低賃金は州ごと、かつ特定の地域では県/市ごとに毎年決定される。当該の会社での勤続年数が 1 年未満の労働者の手当なしの賃金または基本給+固定手当、基本給と変動手当から成る賃金の場合は基本給が、この最低賃金を上回らなければならない。
(下記 21.参照)勤続 1 年以上の労働者の賃金は会社の賃金体系(上記(4)参照)を指針とする。
(6)就業時間を超えて、あるいは週休日や休日に仕事をさせた場合、その補償として雇用主は労働者に残業賃金を支給する義務がある。(上記 3.参照)
(7)原則、ノーワーク・ノーペイ。ただし、病欠や生理休暇、冠婚葬祭により出社しない場合については賃金支給が保証されている。病欠労働者の賃金は、病欠期間が4カ月経過した時点から4カ月ごとに25%ずつ減額。生理の1日目と2日目で痛みを伴う場合は、仕事に来なかったり仕事を行わなくとも賃金支給。労働者本人の結婚であれば3日、家族の冠婚葬祭に関わる場合は2日、その他の同居家族の死亡では1日の特別有休休暇が認められる。また、国家義務、宗教義務、経営者が承認した労働組合の職務(通知書で証明)、会社からの教育職務の遂行といった仕事よりほかの活動があった場合、週休、年休、長期休暇、出産休暇、流産休暇という休息時間の権利を行使した場合、労働者は約束した作業を行う準備があったにもかかわらず、経営者の方が仕事をさせなかったような場合も賃金は保証される。ただし、宗教義務の遂行のため仕事を行わなかった場合の賃金支給は、労働者が当該の会社に勤務する間1回のみに制限された。
(8)経営者は、会社の能力と生産性を考慮しつつ、定期的に賃金を見直す。
(9)会社が倒産あるいは解散する場合は、労働者の賃金及びその他の権利は優先支払債務となる。
(10)賃金支給は、労使間で約された日に、ルピアで行わなければならず、会社には賃金明細の発行義務がある。日払い、週払い、月払いが可能だが、1 月以上を支給期間とすることはできない。賃金支給が遅れたり、支払われなかったりした場合、経営者には罰金がかかる。
・ 賃金支給日より 4 日目から 8 日目まで 5%
・ 9 日目以降毎日+1%、1ヶ月は支給されるべき賃金の 50%を超えてはならない
・ 2 ヶ月目以降 +国営銀行で有効な利息
(11)罰金や損害賠償の支払い、賃金の前借り(以上、雇用契約書や就業規則、労働協約で規定)、従業員借り入れの返済、住宅など会社が従業員に貸したものに対する賃貸料の支払い(以上、契約書や合意書に基づく)、過払い賃金、国など第三者のための賃金控除(労働者の委任状要)を賃金から控除することができるが、控除額は賃金総額の 50%を超えてはならない。
(12)退職金の計算基礎は基本給と固定手当。所得税の計算基礎は、労働者が受領する所得の全額。所得税の負担は経営者でも労働者でも可能で、雇用契約や就業規則、労働協約で定める。
<2011年11月17日付労働移住大臣規定2011年第16号(No.PER.16/MEN/XI/2011)>
就業規則は、10人以上の労働者を雇用する会社に作成義務が生じる。但し、労働協約をすでに有している会社には就業規則の策定義務はない(労働協約については次項を参照)。また、外国企業については、雇用人数に関わりなく作成するよう指導されているので注意が必要である。
就業規則の作成においては、労働者代表の意見や見解を聞きながら、あくまでも経営者の責任で行うこととされている。就業規則の有効期間内の変更で、その変更により就業条件等が悪化する場合、経営者と労働者代表との間の合意に基づかなければならず、労働当局の承認も必要である。承認がなければ変更は無効である。
就業規則は、管轄の労働当局の承認を得て初めて有効となる。就業規則を更新する場合には、有効期間終了日の30労働日前までに更新後の就業規則を申請し、改めて承認を受けなければならない。
<2011年11月17日付労働移住大臣規定2011年第16号(No.PER.16/MEN/XI/2011)>
労働協約は経営者と、労働当局に登録している労働組合との協議に基づき作成する。労使間で合意に達しない場合は労使紛争調停手続きを取る。労働協約はインドネシア語で作成し、労働当局に登録する。有効期間は2年間。経営者と労働組合の間で書面の合意があれば 1年の延長が可能。会社に複数の労働組合が存在する場合は、労働当局に登録した複数の労働組合と協議する。会社に労働組合が1つしかなく、その組合員総数が全従業員の50%以下の場合は、労働担当官と経営者の立会いの下で投票を実施し、当該労働組合が過半の従業員の支持を得られれば、労働協約の協議に臨む資格が認められる。また、社内に複数の労働組合がある場合は、会社の全従業員の10%以上の組合員を抱える労働組合のうち、組合員数で上位3位までの組合と協議する。組合員数4位以下の労働組合で、その組合員数が会社の総従業員数の10%以上である労働組合がある場合は、当該労働組合は協議に臨む労働組合に合流することができる。従業員の労働組合への加入状況は、労働当局の代表と経営者の監督の下、組合員証を確認することで確かめられる。
協議については、まず協議規律を設けて協議期間等を定めるが、期間内に協議が終了せず、延長しても協議が終了しなかった場合は、経営側/労働者側のどちらか一方が現地の労働当局に報告し、産業紛争解決法に定める紛争処理メカニズムに従い処理される。
労働者は、ストライキの実施日より遅くとも7日前までに、ストライキの通知を経営者に対して行わなければならない。また、合法ストライキは、ストライキ実施期間中も賃金を支払わなければならない。
違法ストライキ <No.KEP.232/MEN/2003>違法ストライキとは:
(1)交渉の決裂によらないストライキ
(2)労働当局と経営者への通知なしに行われるストライキ
(3)ストライキの7日前を経過し、実施前6日間の間に通知されたストライキ
(4)2003年第13号労働法第140条(2)項a、b、c、dを順守していないストライキ
(5)公共サービス会社および/あるいは人命の安全を脅かす恐れのある事業を営む会社における勤務時間中の従業員によるストライキ
違法ストライキの参加者は無断欠勤(Mangkir)扱いとし、経営者は労働者に対して猶予期間7日間に2回連続で書面にて業務に復帰するよう呼びかけ、この呼びかけに応じない労働者は自己都合による退職者とみなす。
ロックアウトは、経営者と労働組合の間で協議が決裂した結果、経営者側が会社を閉鎖することができる措置。ただし、実施の遅くとも7日前までに労働者側と管轄の労働当局に通知し、労働組合と労働当局から受領証明書を取得しなければならない。
<2021年2月2日付政令2021年第35号>
雇用主、労働者、労働組合および政府は、雇用の終了が生じないよう努力しなければならないが、解雇を回避できない場合、雇用主はその目的および理由述べた解雇通知書を、解雇の14日前までに(試用期間中の解雇の場合は、解雇の7日前まで)労働者/労働組合(当該労働者が労働組合員の場合)へ送付。解雇について意見の相違があった場合は雇用主と労働者/労働組合の二者協議を通じて解決することが義務づけられている。二者協議で合意に達しなかった場合は原則、労使紛争解決機関の決定を仰がなければならず、決定が出るまでは経営者も労働者も各々の義務を果たさなければならない。
雇用の終了は以下の場合に発生すると規定している。
a. 会社が合併や統合、買収、分離を行い、労働者側に雇用関係を継続する意思がない、または雇用主側に労働者を受け入れる意思がない場合
b. 会社が損失を被ったことに起因して(会社の閉鎖を伴うかどうかにかかわらず)合理化を行う場合
c. 会社が連続して2年間損失を被ったことに起因して閉鎖する場合
d. 不可抗力による会社の閉鎖
e. 会社が債務返済の猶予を受ける場合
f. 会社の破産
g. 雇用主が以下の行為をしたことを理由に労働者側が雇用の終了を申し立てた場合
1. 労働者に対する虐待、侮辱または脅迫
2. 法令違反行為をするよう労働者に誘導/命令した
3. 連続して3ヶ月間以上、所定の時期に賃金を支払わなかった
4. 労働者に約束した義務を履行しなかった
5. 合意のない業務の実施を労働者に命じた
6. 労働者の生命や安全、健康、道徳を危険にさらす業務(雇用契約に記載のないもの)を与えた
h. 労働者による申し立てに対し、gにいう行為を雇用主がした事実がないとする労使関係紛争解決機関の裁定があり、雇用主が雇用の終了を決定した場合
i. 労働者が自己都合で辞職した場合
j. 正当な証明を備えた書面による通知なしで労働者が連続して5勤務日以上欠勤し、雇用主側が適切に書面で2回労働者を呼び出した場合
k. 雇用契約、会社規則または労働協約で定めた規定に労働者が違反し、1回目、2回目および3回目の警告書を連続して受けた場合(雇用契約、会社規則または労働協約で別段の定めがある場合を除く)
l. 労働者が犯罪を行った容疑で当局に拘束されたため、6ヶ月間業務を遂行できない場合
m. 労働者が就業中の事故によって長期の病気または障害を被り、12ヶ月間を超えて業務を遂行できない場合
n. 労働者が定年を迎えた場合
o. 労働者の死亡
これら雇用の終了に対し雇用主は、それぞれのケースに応じて退職金、勤続功労金、損失補償、送別金を支払わなければならない。退職金の最低金額は、勤続1年未満は賃金の1カ月分、勤続1年以上2年未満は同2カ月分、勤続期間2年以上3年未満は同3カ月分、・・・と勤続期間に応じて定められ、勤続8年以上で9カ月分が算出基準の最長期間となる。勤続功労金は勤続3年以上の労働者から対象(賃金の2カ月分)となり、勤続24年以上の者が最高
(賃金の10カ月分)となる。損失保証金は、①未取得の無効となっていない年次休暇(日割り計算)、②労働者が採用された場所に帰る費用(家族分含む)、③雇用契約、会社規則または労働協約で定めたその他の事項、で構成。退職金等の詳細は、労働省のウエブサイトの法令のページ(Jaringan Dokumentasi dan Informasi Xxxxx (JDIH) Kementerian Ketengakerjaan, xxxxx://xxxx.xxxxxxxx.xx.xx/)で確認できる。退職金の計算基礎は基本給と固定手当である。
<労働移住大臣決定2003年第224号(No.KEP.224/MEN/2003)>
23時から翌朝7時までに女性労働者を就労させる場合、経営者は、栄養のある食事・飲料の提供と就労の場の道徳と安全の確保が義務付けられる。栄養のある食事・飲料とは 1,400kcal以上で、衛生的、バラエティのあるメニューの準備。これは休憩時間に提供され、換金は不可である。一方、就労の場の道徳と安全の確保のために、警備員の配備、十分な
照明や男女別の洗面所/トイレの設置が義務付けられる。以上は雇用契約、就業規則、労働協約で詳細を定めることができる。また、23時から翌朝5時までに出社/退社する女性労働者のために、送迎車の準備が義務付けられている。安全な送迎地点を決め、その地点と職場の間を往復するもので、車両は会社に登録されなければならない。
<2008年5月12日付労働移住大臣規定2008年第8号(No.PER.08/MEN/V/2008)>
海外実習期間が3カ月以下の場合は県/市の労務当局に、3カ月超の場合は労働移住省の労働訓練担当の総局長宛に登録する必要がある。
<2019年6月28日付労働大臣規定2019年第9号>
インドネシア企業によるインドネシア人労働者の海外派遣についての規定。
国有企業、地方政府保有企業、労働者派遣業者以外の民間企業は、①派遣先と資本関係がある、②派遣先と作業契約がある、③派遣先国で事業を拡大する、④人材の質を向上させる為の派遣にあたっては、労働大臣の派遣許可を取得する。許可申請に際しては、海外に派遣されるインドネシア人労働者が社会保障プログラムや保険に加入していなければならない。また、インドネシア人労働者の出発前に、事業者は海外労働者コンピューター化システムを通じてデータの登録が必要。さらに、インドネシア人労働者が派遣先に到着したら、派遣先国あるインドネシア大使館にその到着についてオンラインにて届けなければならない。
なお、海外で就労するインドネシア人の国家社会保障への加入については、2018年12月10日付労働大臣規定2018年第18号にて、就業中の事故補償(JKK)と死亡補償(JKM)に登録されていることが義務で、老齢保障(JHT)に加入することができるとされている。
<労働・移住大臣決定No.KEP.233/MEN/2003>
国民の祝日に労働者を就業させることができるのは、保健サービス、運輸サービス、輸送機器等の修理サービス、観光業、郵便・通信サービス、電気・水道・燃料・天然ガス供給、近代小売店、マスメディア、警備の各分野の業務や、保護団体の業務や、停止により生産工程に支障をきたし原材料を破損させてしまうような業務。また、これら以外でも、特定の事態の場合には、労働者側との合意に基づき、国民の祝日に労働者を就業させることができる。ただし、国民の祝日の就業には時間外労働手当の支払いが義務付けられる。
<労働移住大臣決定No.KEP.235/MEN/2003>
18歳未満の者の健康・安全・モラルを脅かす以下の職種への18歳未満の者の就業を禁ずる。
(児童の健康・安全を脅かす職種)
研磨機や旋盤、ミシンや織機などの機械、クレーン・フォークリフト、タービン、発電機などの装置、トラクター等の重機にかかわる仕事、地下や水中、2メートルを超える高い場所、電圧50ボルトを超える電力を用いる場所など身体への危険を伴う環境での業務、危険な化学物質を扱う業務、皮のなめし、と殺、動物の飼育等など生物にかかわる危険を伴う業務、建設業務、女子は10kg・男子は12kgを超える人力による運搬、遠隔地や船中での業務、廃品の廃棄や加工、18時から翌朝6時までの仕事、特定の危険な状態と性質を伴う業務。
(児童のモラルを脅かす職種)
バー、ディスコ、カラオケ、ビリヤード、映画館、マッサージ、あるいは売春が行われる場所での業務、アルコール、性的刺激剤、および/あるいはたばこの宣伝モデル。
<労働移住大臣決定No.KEP.255/MEN/2003>
二者協議会は、経営者と従業員間のコミュニケーションや協議の場として、同数の経営者側代表と労働組合あるいは従業員側の代表で構成される。50人以上の従業員を就業させる会社にはその設置が義務付けられる。委員の数は最少6人、最多20人で、任期は2年。二者協議会を結成し、県/市の労働当局に登録。最低1カ月に1回は協議会を開き、6カ月ごとに活動報告を提出する。
<労働移住大臣決定No.KEP-68/MEN/IV/2004>
労働者のHIV/ エイズからの予防、HIV/エイズ罹患者の労働環境における保護の見地から、検査、定期健康診断において経営者に職場におけるHIV/エイズの予防・緩和努力、HIV/エイズ罹患労働者の差別的な処遇からの保護を義務付け、採用や異動の際に一方的にHIV検査を行ったり、定期健康診断においてHIV検査を義務付けたりすることを禁止した。
<労働移住大臣決定No.KEP.115/MEN/VII/2004>
児童にふさわしい仕事で、その能力や意欲を伸ばすものであれば、学校外の時間帯に1日3時間、週12時間まで、両親や代理人の監督下で児童は就労することができる。
<2004年11月25日付労働移住大臣決定第261号(No.KEP-261/MEN/XI/2004)>
100人以上の労働者を雇用する企業は、毎年、全体の5%以上の労働者に対して職業訓練が
義務付けられている。企業は訓練の内容、期間、実施場所等の年間計画を作成し、全ての費用を負担する。訓練は企業内あるいは訓練機関で実施。実習(Magang)の形態で実施することもできる。訓練終了時には修了証書を発行する。
なお、2020年11月2日付2020年第11号雇用創出法による労働法の改正で、企業内の職業訓練機関も県/市の労働局へ登録することになった。
<2005年3月2日付政令第8号>
三者協議会とは、労働問題についての協議等の場のことで、経営者団体、労働組合、政府の代表で構成。全国、州、県/市レベルで設置され、労働問題についての政策や解決策の策定にあたり、大統領/州知事/県知事・市長等に見解や提案、意見を提出することを役割とする。
<2021年2月2日付政令2021年第36号>
最低賃金は州ごとに、1人当たりの平均消費と世帯数、平均世帯人数の統計値を元に行われる州の賃金評議会による最低賃金評価額の検討を経て、生産性と経済成長に注意しながら、具体的には経済成長率またはインフレ率を最低賃金の算出公式に盛り込んで、毎年11月21 日までに決定し、翌年1月1日から施行される。
最低賃金は手当なしの賃金または基本給+固定手当で、基本給と変動手当から成る賃金の場合は基本給が最低賃金を上回らなければならない。最低賃金は当該の会社での勤続年数が1年未満の労働者にのみ有効で、勤続1年以上の労働者の賃金は会社の賃金体系を指針とする。
直近3年間の県/市の経済成長率が州の平均経済成長率より高い、直近3年間の県/市の経済成長価値とインフレの差額がプラスであり、かつ州の平均よりも高い場合、県/市の最低賃金を定めることができる。県/市の最低賃金は、県知事/市長の算出提案を州知事が判断し、毎年11月30日までに決定、翌1月1日に施行。県/市の最低賃金は、当該の州の最低賃金より大きくなくてはならない。
<2020 年 4 月 7 日付労働大臣規定 2020 年第 6 号>
実習は、社内に設置された労働訓練部が、または会社が労働訓練機関と協力して実施。労 働訓練部が実施する実習の場は、能力のある従業員を指導員に据え(期間は 6 カ月以上)、理論と実習の教室を構え、実習プログラム・スキームを準備する。作業安全装備の準備と ログブックの策定も必要。
実習プログラムは、名称、目的、訓練される能力、期間(最長 1 年)、実習生の条件、指導員の条件、カリキュラムなどで構成され、国内外の就業能力基準などを指針とする。プログラムの最低 75%、90%までは製造現場での研修とし、残りは労働訓練部での理論と実習を行う。
会社は実習計画を当局に届けた後、実習生の審査を行う。実習生の条件は、17 歳以上、心身ともに健康で、審査に合格し、求職者であることで、従業員総数の 20%相当までのみ実習生を受け入れることができる。同一実習生が同じ内容のプログラムに複数回参加するのは禁止されている。
実習時間は会社の就業時間と同じ。会社がシフト勤務制を採用している場合、18 歳以上の実習生であれば、送迎手段の用意、規定の栄養価を満たす食事の提供、必要とされる技能に合わせたもの、を条件として夜のシフトで実習を行うことも可能である。休日は行えない。
実習生には小遣い(食費+交通費+インセンティブ)が支給され、就業中の事故保障と死亡保障に加入させ、能力基準を満たした者には実習認定証を、基準に満たない者には実習修了証を発行。認定書を取得した参加者は、実習の実施企業が直接雇用することができ、または同種の企業での就業も可能とされた。
以上は実習契約にまとめられ、研修プログラムと一緒に県/市の労務担当局へ提出し、承認を得る。また、実習の終了から 1 ヵ月以内に管轄の労務担当局に報告書をオンラインで提出しなければならない。
2014 年 1 月 1 日から新しい社会保障制度が始まった。これは 2004 年第 40 号国家社会保障システム法で定められたもので、労務保障と健康保障がある。
労務保障は従来からの就業中の事故補償(死亡含む)、(就業中の事故によらない)死亡に対する補償、定年時(56 歳)や退職・解雇時に一括支給される老齢保障、保険料を 15 年支払った場合に定年後(当初は 56 歳、2019 年 1 月 1 日以降は 57 歳、以後 3 年ごとに 1 年ずつ追加し、65 歳まで延長)毎月支給される年金保障に、2021 年より保障期間最長 6 ヶ月の失業補償が加わった。
就業中の事故補償の保険料率は就業環境の危険度によって決まり(0.24%、0.54%、 0.89%、1.27%、1.74%)、死亡保障は 0.3%、老齢保障は 5.7%。老齢保障の保険料率のうち 2%は従業員負担になるが、それ以外はすべて会社負担である。年金保障の保険料率は労働者 1%、雇用主 2%の計 3%でスタートし、以後、定期的に、最短でも 3 年ごとに、国内経済などを加味して見直され、最終的には合計 8%まで引き上げられる。保険料の計算基礎となる登録賃金は、基本給と固定の手当から成る固定賃金。ただし、年金保険料の計算基礎のみ上限が設定されていて、現在は 9,077,600 ルピア。前年の GDP 成長率に 1%を加え毎年見直される。保険料の支払い期限は毎月、翌月の 15 日まで。また、失業補償の保
険料率は計 0.46%だが、うち 0.22%は政府が負担し、0.14%は就業中の事故補償の保険料から、0.1%は死亡補償の保険料から一部を充当するため、実質的には保証加入者の負担はない。<2015 年 6 月 30 日付政令 2015 年第 44 号、第 45 号、第 46 号、2015 年 8 月 12 日付
政令 2015 年第 60 号、2021 年 2 月 2 日付政令 2021 年第 37 号>
会社などの雇用主は従業員らをこれら労務保障に登録する義務がある。2018 年 4 月 11 日付
労働大臣規定 2018 年第 4 号により、登録義務を履行しない雇用主には、口頭による注意、警告書の発行の後、事業関連の許可や外国人労働者の雇用関係の許可、建設許可(IMB)などの公共サービスを与えないという処罰が科されることがある。
一方、健康保障は国民皆保険を目指すもので、会社で就労しない国民も加入することになるが、会社で就労する従業員とその家族は会社を通じて登録される。保険料率は現在、会社負担 4%、従業員負担 1%の計 5%。保険料の計算基礎となる賃金の上限は、2020 年 1 月 1 日から 1,200 万ルピア<2019 年 10 月 24 日付大統領令 2019 年第 75 号>。保険料の支払
い期限は毎月、当月 10 日まで。会社で健康保障に登録される従業員の扶養家族は配偶者 1
人と子供 5 人まで。健康保障では、保健所や病院・クリニックでの事務手続き費用や診療費用(歯科含む)、医薬品代、検査費用、入院費用、出産費用、救急車利用料などが補助されることになっている。
<2014 年 3 月 10 日付労働移住大臣規定 2014 年第 4 号>
石油ガスxx産業における就業時間と休憩時間を以下の通りに決定した:
① 週 6 日就業の場合(週休 1 日):就業時間は 1 日 7 時間、週 40 時間。残業については労働移住大臣決定 No.KEP.102/MEN/VI/2004 が適用される。
② 週 5 日就業の場合(週休 2 日):就業時間は 1 日 8 時間、週 40 時間。残業については労働移住大臣決定 No.KEP.102/MEN/VI/2004 が適用される。
③ 最長 28 日間続けて就業する場合(1 期間の休日は最低 2:1、祝祭日は就業日):就業時間は 1 日 11 時間まで、休憩時間最低 1 時間を除く。8 時間目から残業とみなし残業手当を支給する。残業手当の計算は以下の通り(時給は月次固定給の 1/173、固定給が月給全体の 75%に満たない場合は月給全額の 1/173):
a. 1 日の就業時間が 8 時間の場合:1 日あたり時給の 1.5 倍
b. 1 日の就業時間が 9 時間の場合:1 日あたり時給の 3.5 倍
c. 1 日の就業時間が 10 時間の場合:1 日あたり時給の 5.5 倍
d. 1 日の就業時間が 11 時間の場合:1 日あたり時給の 7.5 倍
1 期間の休日に就業した場合の残業手当の計算は以下の通り(時給は月次固定給の
1/173、固定給が月給全体の 75%に満たない場合は月給全額の 1/173):
a. 7 時間目まで:1 時間あたり最低時給の 2 倍
b. 8 時間目:1 時間あたり時給の 3 倍
c. 9 時間目以降:1 時間あたり時給の 4 倍
<2015 年 1 月 19 日付労働大臣規定 2015 年第 2 号>
家事手伝い人を雇用する個人の雇用主に雇用契約の締結と、それを隣組長に届けることを義務付けた。家事手伝い人は18 歳以上で、身分を証明する書類を有し、既婚者の場合は配偶者の許可を得ていることが条件。雇用契約には当事者の権利と義務を記載する。雇用主は、雇用主とその家族による良好な扱い、雇用契約に従った賃金、健康的な食事と飲物、十分な休憩時間、合意に従った有給休暇の権利、宗教・信仰に則した礼拝の機会、宗教大祭手当(THR)、などを得る家事手伝い人の権利を守らなければならない。また、家事手伝い人を社会保障プログラムに加入させることも雇用主の義務とされた。なお、家事手伝い人を会社で雇用することはできない。
<2021 年 2 月 2 日付政令 2021 年第 36 号>
イスラム教徒の断食明け大祭、カトリック・プロテスタント教徒のクリスマス、ヒンズー教徒のニュピ(ヒンズー歴新年)、仏教徒の仏誕祭、儒教の中国正月という宗教大祭前に、宗教大祭手当を支給する。対象は勤続 1 ヶ月以上の労働者で、勤続 1 年を超える労働者に
対し固定賃金の 1 ヶ月分以上を、遅くとも大祭 7 日前までに、ルピアで支給する。勤続 1
年未満の場合は、勤続月数×賃金 1 ヶ月分/12 で算定。宗教大祭 30 日前からの期間に雇用関係が終了した労働者や従業員らも THR を受け取る権利がある。支給が遅れた場合は 5%の罰金がつく。
<2016 年 3 月 8 日付労働大臣規定 2016 年第 7 号>
ホテル・レストラン・その他観光事業におけるサービス料を労働者に分けられることとしている。3%は破損・紛失設備の補修、2%は人材力向上のための活用に充て、残りの 95%を労働者へ分配する。
<2016 年 12 月 29 日付労働大臣回状 2016 年第 2 号( No.2/MEN/XII/2016)>
一斉年休取得日(Cuti Bersama)は、労働者の年休実施の一部であることを確認。したがい、労働者が大臣合同令で一斉年休取得日に定められた日に就労した場合、その労働者の年休の権利は引かれず、通常の就労日のように賃金が支払われる。一方、労働者が大臣合同令で一斉年休取得日に定められた日に年休をとった場合、その労働者の年休の権利は消化されたと見なされる。
<2017年4月27日付労働大臣規定2018年第5号>
会社の経営者や役員らには労働環境の労働安全・衛生条件を守る義務があることを規定している。その計測や管理、衛生要件、テストと検査など詳細は、労働省(Kementerian Ketenagakerjaan)ウエブサイトの法令ページで確認できる。
労働省:法令のページ(xxxxx://xxxx.xxxxxxxx.xx.xx/xxxxxxxxx-xxxxxxx.xxxx)
<2020年5月20日付政令2020年第25号>
最低賃金以上の所得があり、加入時に年齢が 20 歳に達している、または結婚している労働者と自営業者に、2016 年第 4 号国民住宅預金法で決まった国民住宅預金への加入が義務付けられた。従業員の場合は雇用主に登録義務があり、積立金の支払いは従業員と雇用主が行う。積立率は、従業員が 2.5%、雇用主は 0.5%。給与または賃金にかけて積立金額を算出する。積立金は雇用主がまとめて毎月、翌月 10 日までに払う。本政令の発効から 7 年以内に、雇用主は従業員を国民住宅預金に加入させることとされている。
加入者が、定年退職した、年齢が 58 歳に達した、死去した、または 5 年連続して加入条件
を満たさなかった場合、加入は終了となり、それから 3 か月後に預金を引き出すことができる、などとされている。
<2022 年 3 月 11 日付労働省産業関係育成・社会保障総局長通知 2022 年第 4 号
(No.4/303/HI.00.03/III/2022)>
会社が従業員らの解雇を行う場合、次の手順で報告することが定らられた。
① 解雇が避けられない状況になった場合、経営者は労働者および/あるいは労働組合に、遅くとも解雇の 14 日前までに解雇通知書を渡す。
② 労働者および/あるいは労働組合から解雇について異議が出なかった場合、経営者は労働省および/あるいは州・県/市の労働局に、①の解雇通知書と、労働者および/あるいは労働組合からの解雇に異議がない旨の見解書を添付して、解雇について報告しなければならない。
③ ②の報告に対して労働省および/あるいは州・県/市の労働局は、報告受付書を発行。
④ ②の解雇報告を失業補償の申請に利用する場合、解雇報告は次の県/市の労働局に提出する:
a. 労働者の就労地を管轄する県/市
b. 雇用契約の署名地を管轄する県/市;または
c. 会社の所在地を管轄する県/市
以 上