B 速修 55~60 頁
第4章 雇用関係の成立
第1節.募集・採用
労働契約は諾成契約であり(民 623 条、労契 6 条)、使用者による募集に対して労働者が応募し、使用者が選考のうえ採用するという形をとることが多い。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなればならない(労基 15 条 1 項前段)。
[論点 1]明示した賃金見込額よりも確定賃金額が低い場合
企業が、求人・採用内定時に賃金見込額を明示し、入社日において賃金額を確定することがある。この場合、求人・採用内定時に明示された賃金見込額は、確定額ではなく見込額にすぎないのだから、それがそのまま契約内容になるわけではない。したがって、労働契約に基づく差額賃金そのものの請求は認められない。
労働者は、明示された見込額を水準として賃金額が確定されることを期待するのが通常であるから、かかる期待利益は「法律上保護される利益」であるといえ、これに対応して使用者にはかかる期待利益を不当に侵害しないように配慮する義務を負うと解すべきである。
そこで、使用者は、経営状況の逼迫等の合理的理由がないにもかかわらず、明示した見込額の水準を大幅に下回る賃金額を確定した場合には、上記配慮義務違反による「過失によって」上記「利益を侵害した」として、不法行為に基
づき差額分の損害賠償責任を負うと解する。
もっとも、期待的利益の侵害を理由とする不法行為(民 709 条)に基づき、差額賃金相当分の損害賠償を請求できないか。
1.賃金請求
実際の労働条件が求人広告で示されたものと異なる場合に、求人広告通りの労働条件による労働契約の成立を認めることができるかが問題となる。
(1)求人広告を申込みの意思表示と構成できるか
労働者の債務が手段債務であることからすると、求人広告は、これにより労働契約の申込みを誘致し、申込者との間でその内容をおおよその目安として個別交渉を行ったうえで採用の可否及び労働条件の内容を決定する趣旨のものであると解される。そうすると、求人広告は、原則として申込みの誘引にすぎず、これをもって個別的な労働契約の申込みの意思表示とみることはできず、またそれゆえに、求人広告の内容が当然に労働契約の内容となるものではない。
さらに、求人広告記載の具体例に当該労働者が該当しない場合には、尚更、当該労働者を対象として労働条件を求人広告記載のものとする旨の表示があったとみることはできない(ex求人広告の記載が2016年新卒者を対
象としているが、当該労働者が2015年新卒者であったという場合)。
[論点 2]実際の労働条件が求人広告で示されたものと異なる場合
B 速修 55~60 頁
B
八洲事件・東京高判 S58.12.19
A
日新火災海上保険事件・東京高判
H12.4.19(百 7・CB148)
したがって、求人広告を、当該記載による労働条件による労働契約の申込みの意思表示と構成することはできない。
(2)採用面接時・会社説明会の際の説明
求人広告を労働契約の申込みの意思表示と構成することができない場合には、採用面接時・会社説明会の際の説明により、説明通りの労働条件による労働契約の成立を認めることができるかが問題となり得る。
例えば、人事担当者が採用面接及び会社説明会において、当該労働者に対し説明して給与に関する説明を行ったという場合であっても、それが抽象的な説明にとどまり、当該労働者の給与の具体的な額又は格付けを確定するに足りる明確な意思表示があったものと認めることもできないのであれば、説明通りの労働条件による労働契約の成立を認めることはできない。
2.損害賠償請求
求人広告通りの労働条件による労働契約の成立が認められない場合には、不法行為に基づく損害賠償請求(民 709 条、710 条)を検討することになる。
(1)「法律上保護される利益」
労基法 15 条 1 項の趣旨は、労働者が予期に反する悪条件を強いられることの防止等の労働者保護にあるから、労働者は同条項に基づき労働条件の明示を受けることのできる「法律上保護される利益」を有する。
(2)契約締結過程における過失
上記利益に対応して、使用者は同条項に基づき労働条件を明示することにより労働者の誤解を是正し不測の損害を被らせないようにする労働契約締結過程におけるxxx上の義務を負う。
(3)損害賠償の範囲
慰謝料の賠償にとどまるのが通常であろう。
第2節.採用内定
採用内定の実態は多様であるから、採用内定の法的性質は、当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即して判断するべきである。
(補足 1)当てはめ
当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即して、採用内定の時点で、労使間において労働契約締結の確定的意思表示の合致があったといえるのであれば、労働契約の成立が認められる。
そして、通常の新卒者の内定の場合は、内定通知以外に労働契約締結の意思表示は予定されていないから、企業の募集(契約の申込みの誘引)に対する応
募は労働契約の申込みであり、これに対する内定通知は申込みに対する承諾で
[論点 1]採用内定の法的性質
A 速修 61~65 頁
A
大日本印刷事件・最判 S54.7.20(百 9・CB142)
あって、内定通知と誓約書提出により労働契約締結の確定的意思表示の合致があったとして解約権を留保した労働契約が成立する。
(補足 2)判例・裁判例
大日本印刷事件は、採用内定の事案において、下記の事実関係に着目し、就労の始期を大学卒業後とし、誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した就労始期付解約権留保付労働契約の成立を認めた。
①入社誓約書の提出
②原告は、「2 社制限・先決優先主義」の方針に従い、他社の応募は辞退し、内定を受けていた会社の指示に基づき近況報告書を作成・送付していた
③本件採用内定通知のほかに労働契約締結のための特段の意思表示をすることは予定されていなかった
コーセーアールイー事件は、採用内々定の事案において、下記の事実関係に着目し、「本件内々定は、…正式な内定とは明らかにその性質を異にするものであって、正式な内定までの間、企業が新卒者をできるだけ囲い込んで、他の企業に流れることを防ごうとする事実上の活動の域を出るものではない…。X らも、そのこと自体は十分に認識していたのである」との理由から、就労始期付解約権留保付労働契約の成立を否定した。
①入社誓約書の提出はなく、提出された入社承諾書は入社誓約や企業側の解約権留保を認める内容ではない
②平成 19 年までの就職活動(平成 20 年 4 月入社)では、複数の企業から
内々定のみならず内定を得る新卒者も存在し、平成 20 年の就職活動(平
成 21 年 4 月入社)でも、当初は前年度と同様の状況であり、X を含めて内々定を受けながら就職活動を継続している新卒者も少なくなかった
③Y 社は、平成 20 年 10 年 1 日付けで正式内定を行うことを前提として、Y社の人事担当者名で本件内々定通知をしたものであるところ、内々定後に具体的労働条件の提示・確認や入社に向けた手続等は行われていない
④本件採用内々定当時、本件内々定通知を発した人事担当者が労働契約の締結権限を有していたことを裏付けるべき事情が見当たらない
[論点 2]採用内定の取消し(1)労働契約が成立している場合
労働者の適格性の調査期間を企業に認めるという採用内定の趣旨・目的に照らし、採用内定取消しは、㋐採用内定当時知ることが期待できない事実があり、
㋑それを理由に採用内定を取り消すことに客観的合理的理由と社会通念上の相当性があるといえる場合でない限り、解雇権濫用(労xx 16 条)により無効で
あると解する。
[論点 3]採用内定の取消し(2)労働契約が成立していない場合
採用内定により労働契約が成立していない場合には、当該会社に対する不法行為責任を追及することが考えられる(採用内々定の場合も同様である。)。
コーセーアールイー[第 2]事件・xxx判 H23.3.10(CB145)
A
大日本印刷事件
A
前掲コーセーアールイー[第 2]事件
1.「法律上保護される利益」
労働契約が確実に締結されるであろうという期待が法的保護に値する程度に高まっていたといえる場合には、この期待的利益が「法律上保護される利益」として認められ、内定取消しはそれを「侵害」することになる。
2.契約締結過程における過失
上記期待に対応して、使用者は、契約締結過程におけるxxxに基づき、当該労働者が内定取消しによって受ける不利益を可能な限り少なくする方途を講じる義務を負う。
これを怠った場合には、上記義務違反による「過失」が認められる。
3.損害賠償の範囲
精神的損害を塡補するための慰謝料にとどまるのが通常である。
もっとも、内定取消しがなければ現実に業務に従事して得られたであろう逸失利益(賃金相当額)についても、内定取消しとの相当因果関係が認められるのであれば、賠償範囲に含めることができる。
義務内容は、取消通知以前の早い段階で、担当者等を通じて当該労働者に対して内定取消しの可能性がある旨を伝えるなどすることである。
[論点 4]採用内定中の法律関係
採用内定により労働契約が成立しても、現実の入社までは就労は行われないのが通常であるため、内定の法的性質と関連して採用内定者の地位についてどのように考えるべきかが問題となる。
確かに、就労始期付労働契約においては、入社前は労働契約の効力が発生しないのだから、内定者に労働契約上の義務を課すことはできない。
しかし、契約自由の原則のもと、内定者・使用者間の合意によって入社前の研修等の義務を発生させることができる。
もっとも、この場合でも、入社前には労働契約の効力が発生していないことからすれば、入社前研修はあくまでも内定者の任意の同意によって行われるべきだから、使用者としては、入社前研修と学業の両立が困難である場合には入社前研修を免除するべきxxx上の義務を負う(労xx 3 条 4 項)と解すべき
である。
以下では、入社前研修に関する合意が成立している場合における入社前研修義務の有無及びその免除の要否について取り上げる。
第3節.試用期間
入社後に労働者の職務能力・適格性を判断する目的で労働契約に期間が設けられることがある。
[論点 1]試用の意味
試用については、試用労働関係を本採用後の労働関係とは別個の特別の契約関係として把握するか、それとも本採用後の労働関係と同質の労働契約関係ではあ
B
A 速修 66~68 頁
A
神戸xx学園事件・最判 H2.6.5(百 80・CB140)
第7章 賃金
第1節.賃金の意義
労基法上の「賃金」の要件は、①支払主体が「使用者」であること、②「労働の対償」として支払われるものであることである(労基 11 条)。
②については、労働基準法上、使用者が労働契約に基づいて支払義務を負うものを一律に「労働の対償」として賃金に当たると解されている。
例えば、賞与・退職金については、支給するか否か・いかなる基準で支給するかが使用者の裁量に委ねられている場合には賃金ではないが、労働協約や就業規則により支給要件が明定されている場合には、使用者の裁量が縮減し、使用者が支払義務を負うこととなることにより、任意的・恩恵的給付としての性格が弱くなるから、「労働の対償」として賃金に当たる。
1.賞与(一時金)
賞与の額は、基本給にその時々の経済状況で決まる支給率(何ヶ月分)を乗じ、さらに支給対象期間の出勤率及び成績係数を乗じて算定するというのが典型である。このような賞与は、基本的には支給対象期間の勤務に対応する賃金の後払的性格を有する。
そのほかに、労働者の貢献に対する功労報償、インセンティブの付与(将来の貢献への期待)といった側面も有する。
[論点 1]支給日在籍要件
支給日における従業員としての会社在籍を賞与の支給要件とする就業規則等の規定の有効性が問題となる。
1.労働契約上当然に賞与請求権が発生するわけではないから、賞与請求権の直接の発生根拠は労働契約上の合意に求められる。
Y 社の就業規則における冬期賞与の定めにより、冬期賞与の支給が X・Y
社間の労働契約の内容となっている(労契 7 条本文)。
そこで、X は、Y 社に対し、上記労働契約に基づき平成 29 年冬期賞与の支払請求をすることが考えられる。
2.賞与は給対象期間の勤務に対応する賃金の後払的性格も有するから、労働協約や就業規則より支給要件が明定されている場合には、「労働の対償」性も認められ、「賃金」(労基 11 条)に当たる。
Y 社では賞与の支給額・支給条件・支給時期を就業規則(労契 7 条本文)で明確に定め、これを周知しているから、X のY 社に対する賞与請求権は、
「労働の対償」として「賃金」(労基 11 条)として保護される。
3.では、賞与の支給日在籍要件によって賞与を不支給とすることが許される
例えば、Y 社は、支給日における従業員としての会社在籍を賞与の支給要件とする就業規則の定めに従い、定年退職により平成 29 年冬期賞与の支給日に在籍していなかったX に対して同年冬期賞与を支給しなかったという事案については、以下の流れで処理する。
A 速修 108~120 頁
A 速修 111~113 頁
B
xx銀行事件・最判 S57.10.7
か。
(1)支給日在籍要件は、賞与請求権の発生要件を定めているにすぎないから、賃金全額払の原則(労基 24 条 1 項本文)に反しない。
また、賞与の任意的性格及び将来の貢献に対する期待という側面からすれば、支給日在籍要件が常に「合理」性(労契 7 条本文)を欠くともいえない。
もっとも、支給日在籍要件は退職の自由や職業選択の自由(憲 22 条 1項)を制約するものであるから、その「合理」性について慎重に判断するべきである。
(2)X のような定年退職者は、自ら退職日を選択することができず、これを支給日在籍要件の適用対象にしても、将来の貢献という同要件の趣旨の実現にとって役に立たない。
したがって、定年退職者を対象としている部分は、「合理」性を欠き、契約内容補充効は生じない。
4.よって、X には支給日在籍要件が適用されないから、上記請求が認められ
る。
産前産後休業期間(労基 65 条)・育児休業期間(育介 5 条以下)・育児のた
めの勤務時間短縮分(育介 23 条)の欠勤扱いは、権利行使に対する萎縮の防
止という均等法 9 条 3 項・育介法 10 条・育介法 23 条の 2 の趣旨にかんがみ、これらの権利の行使を抑制し、ひいては同法がこれらの権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められる場合には、これらの条項が禁止する「不利益な取扱い」に当たり、違法・無効になると解すべきである。
(補足)
xx学園事件は、①出勤率 90%以上であることを賞与の支給要件とする 90%条項の下で、産前産後休業期間(及び勤務時間短縮総時間数を 7 時間 45分で除して得られる日数)を欠勤日数に算入する取扱いについて、㋐A当該学園における従業員の年間総収入額に占める賞与の比重(27%~31%)が相当大きいこと(90%条項の適用による経済的不利益の大きさ)、㋑90%という出勤率の高さ(権利行使した場合に 90%条項により㋐の不利益が現実化する可能性の高さ=産前産後休業を取得し又は勤務時間短縮措置を利用を利用しただけで 90%条項に該当する可能性が高い)を理由に、①を公序違反と判断している。
②賞与額の算定において欠勤日 1 日につき 1 日の基本給額相当分を控除する
定めの下で、産前産後休業期間(及び勤務時間短縮総時間数を 7 時間 45 分で除して得られる日数)を欠勤日数に算入する取扱いについては、ノーワーク・ノーペイ原則の範囲内での減額にとどまること(理由:A欠勤日数に応じた基本給額相当分の減額にとどまる+A法律上、当該不就労期間に対応する賃金請求権を有しない)を主たる理由として、公序違反を否定している。
[論点 2]賞与の支給要件・算定基準との関係で産前産後休業期間等を欠勤扱いとすることの可否
A
答案に書く論証では、問題となっている権利及びそれに対応する条文だけ指摘する。
xx学園事件・最判 H15.12.4
(CB244)
事件当時、均等法 9 条 3 項・育介法
10 条では解雇以外の不利益取扱いは禁止されていなかったため、欠勤取扱いについては公序違反により判断せざるを得なかった。
2.退職金
論文試験では、賃金後払的性格(在職中の労働への対価)を有する一方で、功労報償的性格(xxの貢献に報いる)も有するという点が重要である。
[論点 3]懲戒解雇を理由とする退職金支給制限規定
例えば、Y 社の労働者X は、懲戒解雇されたため、懲戒解雇を理由とする退職金支給制限規定(就業規則規定)に基づき退職金を全額不支給されたという事案で問題となる。
1.退職金請求権の直接の発生根拠は労働契約上の合意に求められる。
Y 社の就業規則における退職金の定めにより、退職金支給がX・Y 社間の労働契約の内容となっている(労契 7 条本文)。
そこで、X は、Y 社に対し、上記労働契約に基づき退職金全額の支払請求をすることが考えられる。
2.退職金は、賃金後払的性格を有するから、労働協約や就業規則より支給要件が明定されている場合には、「労働の対償」性も認められ、「賃金」(労基 11条)に当たる。
Y 社では退職金の支給基準や要件を就業規則(労契 7 条本文)で明確に定め、これを周知しているから、X の Y 社に対する退職金請求権は「労働の対償」として「賃金」(労基 11 条)として保護される。
3.では、懲戒解雇を理由とする退職金支給制限規定によって退職金を不支給とすることが許されるか。
上記規定は、退職金請求権の成立要件に関するものであり、具体的に発生した退職金請求権を剥奪するものではないから、賃金全額払の原則(労基 24
条 1 項本文)に反しない。
また、退職金の任意的性格・功労報償的性格からすれば、上記規定が直ちに公序違反(民 90 条)になるともいえない。
もっとも、退職金の支給制限による不利益の大きさにかんがみ、当該労働者のxxの勤続の功労を抹消してしまうほどの重大な不信行為がある場合に限り、上記規定が適用されると解する。
(補足)
重大な不信行為の判断では、①非違行為の性質・態様、②労働者の地位・職種、③非違行為と業務の関係、④非違行為の報道等、⑤過去の不支給事例との均衡、⑥労働者のこれまでの功労等を考慮する。
③又は⑤では、会社に対する直接の背信行為であるかにも言及する。
[論点 4]退職後の競業避止義務違反を理由とする退職金支給制限規定
1.退職金請求権の直接の発生根拠は労働契約上の合意に求められる。
Y 社の就業規則における退職金の定めにより、退職金支給がX・Y 社間の
例えば、Y 社の労働者X は、退職後に競業行為をしたため、退職後の競業避止義務違反を理由とする退職金支給制限規定(就業規則規定)に基づき退職金を全額不支給されたという事案で問題となる。
A 速修 113~117 頁
A
x x 急 電 鉄 事 件 ・ 東 京 高 判
H15.12.11(百 31・CB270)
重大な不信行為のうち、相当強度の背信性が認められる場合には全額不支給が認められる。相当強度の背信性までは認められない場合であっても、一部不支給は認められる。
A
中部日本広告社事件・名古屋高判
H2.8.31(CB581)
労働契約の内容となっている(労契 7 条本文)。
そこで、X は、Y 社に対し、上記労働契約に基づき退職金全額の支払請求をすることが考えられる。
2.退職金は、賃金後払的性格を有するから、労働協約や就業規則より支給要件が明定されている場合には、「労働の対償」性も認められ、「賃金」(労基 11条)に当たる。
Y 社では退職金の支給基準や要件を就業規則(労契 7 条本文)で明確に定め、これを周知しているから、X の Y 社に対する退職金請求権は「労働の対償」として「賃金」(労基 11 条)として保護される。
3.では、退職後の競業避止義務違反を理由とする退職金支給制限規定によって退職金を不支給とすることが許されるか。
上記規定は、退職金請求権の解除条件を定めたものであり、具体的に発生した退職金請求権を剥奪するものではないから、賃金全額払の原則(労基 24
条 1 項本文)に反しない。
もっとも、上記規定は職業選択の自由(憲 22 条 1 項)を制限するものであるから、無限定に適用されるべきではない。
そこで、退職金の賃金後払的性格にかんがみ、労働の対償を失わせることが相当であると考えられるような使用者に対する顕著な背信性がある場合に限り、上記規定が適用されると解する。
この判断では、①上記規定の必要性、②退職の経緯・目的、③使用者の損害の有無・程度を考慮する。
(補足)
①は、顧客移転の類型的危険や企業秘密流出の類型的危険により基礎付けられる。前者は、営業活動の営業担当従業員と顧客との個人的な結びつきに対する依存性によって認められるのが通常である。
競業行為の態様は、②又は③の一部として考慮する。
3.企業年金
…略…
4.年俸制
年俸制は、①年単位での賃金決定を行い、②労働者の成果・能力に即して(非労働時間管理)支払う制度であり、成果主義人事が徹底された制度である。
成果主義である年俸制においては人事考課のxxさが必須である。
そこで、労使間で年俸額の合意が成立しなかった場合、①就業規則上にxxな人事考課制度が定められているときに限って使用者に最終的な年俸額決定権が認められ、②そうした制度がなければ前年度の年俸額が新年度の年俸額になると解すべきである。
[論点 5]年俸制下での次年度の年俸額の決定
事案によっては、禁止の期間・範囲等を踏まえて職業選択の自由の自由が構成する「公序」に違反するか
(民法 90 条)も検討する。
B 速修 117~118 頁
B 速修 118~119 頁
B
日本システム開発研究所事件・東京高判 H20.4.9(百 30)
第8章 不当労働行為制度
第1節.総論
労働組合法は、使用者による労働基本権侵害行為が行われた場合に、これを除去・是正するとともに、そうした侵害行為のない対等・公正な集団的労使関係を将来に向けて形成することを目的として、不当労働行為制度を設け、使用者による一定の労働基本権侵害行為を禁止する(7 条)とともに、労働委員会(行政機関)による特別の救済制度(27 条以下)を定めている。
第2節.不利益取扱い(労組 7 条 1 号本文前段)
不利益取扱いの不当労働行為の成立要件は、①不利益取扱いの禁止事由の存在、
②「不利益な取扱い」の存在、及び③「故をもって」に対応する不当労働行為意思の存在(①の「故をもって」②が行われたこと)の 3 つである。
不利益取扱い禁止の趣旨は、組合員個人に対する不利益取扱いが、これを通じて組合活動一般を制圧ないし制約するという効果を伴うことにある。
[論点 1]採用拒否による「不利益な取扱い」
使用者は採用の自由を有する(憲 22 条 1 項)し、労組法 7 条 1 号本文前段は採用段階と採用後の段階とに区別を設けたものであると解される。
そこで、採用拒否は、それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないといえる特段の事情がない限り、同号の「不利益な取扱い」にあたらないと解する。
(補足)
上記①~③のうち②「不利益な取扱い」では、上記基準でいう「それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないといえる特段の事情」の存否を問題とし、③不当労働行為意思では、①禁止事由の存在を認定した上で、採用拒否が禁止事由の存在を認識し、そのことを動機として行われたものであるのかを問題にする。
②では、例えば、事業の譲受会社が譲渡会社の元従業員を採用拒否した事案では、事業譲渡による権利義務の承継は特定承継であり、譲受会社が譲渡会社の雇用契約関係を承継するかは事業譲渡契約の内容によるから、譲渡会社間で雇用契約関係の承継を譲受会社の専権事項とする旨の合意があるときは、譲受会社による採用拒否が従前の雇用契約関係における取扱いであるといえるためには、譲受会社が実質的に譲渡会社の雇用関係も承継したに等しいといえるこ
とが必要である。
[論点 2]配転による「不利益な取扱い」
特に、労働者が労働条件その他の待遇の面では有利な取扱いを受けることにな
B 速修 375 頁
A 速修 376~381 頁
A
JR 北海道・日本貨物鉄道事件・最判 H15.12.22(百 101・CB445)
青山会事件・東京高判 H14.2.27
(CB443)
B
西神テトラパック事件・東京高判
る栄転が「不利益な取扱い」に当たるのかが問題となる。
不利益取扱い禁止の趣旨は、組合員個人に対する不利益取扱いが、これを通じて組合活動一般を制圧ないし制約するという効果を伴うことにある。
そこで、同前段の「不利益」性は、当該取扱いにより組合活動に支障が生じ
るかどうかという観点から判断されるべきである。
[論点 3]不当労働行為の意思
(論証 1)不当労働行為の意思の要否及び内容
不利益取扱いの不当労働行為の成立には、「故をもって」に対応する要件として不当労働行為意思が必要である。
ここでいう不当労働行為意思は、使用者が禁止事由を認識し、認識した禁止事由を不利益取扱いの動機としたことを意味する。
(論証 2)動機の競合
不利益取扱いをする動機として、組合活動等のほかに、業務上の必要性など不利益取扱いを正当化する理由が併存している場合、どのようにして不利益取扱い意思を判断するべきか。
組合活動等が決定的動機である必要まではなく、組合活動等がなければ不利益取扱いがなされなかったといえれば、不利益取扱いの意思が認められると解する。
(論証 3)第三者の強要による不利益取扱い
使用者による不利益取扱いが第三者の強要によるものである場合、使用者に不当労働行為の意思は認められるか。
①第三者に正当な組合活動等を理由として不利益な取扱いを求める意図があり、②使用者がこのような第三者の意図を認識しつつその求めに応じた場合には、第三者のそのような意図は使用者の意思に直結し、使用者の意思内容を形
成するから、使用者に不当労働行為意思が認められる。
[論点 4]不利益取扱いの不当労働行為に該当する法律行為の有効性
労組法 7 条は、憲法 28 条に由来し、労働者の団結権・団体行動権を保障するための規定である。
そこで、労組法 7 条違反の法律行為は同条を通じて当然に無効になると解す
る。
第3節.支配介入
支配介入禁止の趣旨は、労働組合の自主性・独立性を確保しその団結力を維持・確保することにある。
H11.12.22(CB434)
A
積極的な反組合的意図ないし動機に限定されない。
B
当該不利益取扱いに欠くことのできない原因の 1 つであれば足りるとする見解である。
B
山恵木材事件・最判 S46.6.15
A
医療法人新光会事件・最判 S43.4.9
(CB432)
A 速修 382~402 頁
1.成立要件
支配介入の成立には、①使用者の「支配」「介入」行為と②使用者の支配介入の意思が必要である。
①は、労働組合の組織を弱体化する行為全般を意味する広い概念である。
②の要否については争いがあるものの、使用者の認識とは全く無関係に行為の結果のみから不当労働行為性を肯定することになると使用者の行為を過剰に制限することにもなるから、支配介入の成立には、反組合的意図(又は組合弱体化意図)を内容とする支配介入の意思も必要であると解される。
[論点 1]組合活動の正当性と支配介入の成否の関係
組合活動の正当性と支配介入の主観的要件である反組合的意図は、両立し得るものである。
もっとも、組合活動の正当性は、組合活動を理由とする使用者の行為についての反組合的意図の有無を推認する要素とはなる。
(補足)
例えば、組合活動を理由とする懲戒処分では、組合活動が正当性を欠くのであれば、特に疑わしい事情のない限り、正当性を欠く組合活動による企業秩序侵害の是正(予防)を目的としているといえ、反組合的意図が認められない。反対に、正当な組合活動を理由とする懲戒処分であれば、原則として、組合
活動を抑圧するという反組合的意図に基づくものであるといいやすい。
組合活動の正当性は、これを対象とした使用者の行為(例えば、組合活動を理由とする懲戒処分など)についての支配介入の成否といかなる関係にあるか。
[論点 2]支配介入行為の使用者への帰責
(論証 1)代表取締役等の代表者・2 条但書 1 号の利益代表者
これらの者は使用者の利益を代表する立場にあり、その行為は使用者のために行ったものであると推定される。
したがって、労働組合の組合員としての行為であるとか、相手方との個人的な関係からの行為であることが明らかであるなどの特別の事情がない限り、使用者に帰責される。
(論証 2)利益代表者に近接する職制上の地位にある者
①2 条但書 1 号所定の利益代表者に近接する職制上の地位にある者が、②使用者の意を体して、労働組合に対する支配介入行為を行った場合には、使用者との間で具体的な意思連絡がなくても、当該支配介入行為をもって使用者の不当労働行為と評価できると解する。1)
責任主体としての使用者と現実の行為者とが一致しない場合に、支配介入行為を使用者に帰責できるかが問題となる。
A 速修 382~386 頁
反組合的意図の有無は、間接事実を総合して判断される。
A
B
A
JR 東海[新幹線・科長脱退勧奨]事件・最判 H18.12.8(CB455)
1)②でいう「意を体して」は、直接行為者と経営陣等の間の意思連絡を要しない。労使関係の状況、行為の時期、行為の内容・職務上の地位の利用の有無からみて、直接行為者が使用者の意向に沿って上司としての立場で当該行為に及んだことが窺われるのであれば、当該行為が(専らないし主として)別組合員としての立場又は個人的立場からなされたといえる特段の事情がない限り、「意を体して」が認められる。
(論証 3)より下位の職制
使用者との間に具体的な意思連絡(積極的指示、通謀、黙認等)がある場合に限り、使用者に帰責される。
(論証 4)一般社員・別組合の組合員・企業外の第三者
使用者との間に具体的な意思連絡(積極的指示、通謀、黙認等)がある場合に限り、使用者に帰責される。
B
B
2.使用者の言論の自由・施設管理権との関係
[論点 1]組合に対する使用者の意見表明
使用者の言論の自由(憲 21 条 1 項)も、憲法 28 条の団結権を侵害してはならないという制約を受ける。
そこで、組合に対する使用者の言論は、以下の事情を総合考慮して、当該言論が組合に対し威嚇的効果を与え、組合の組織運営に影響を及ぼすような場合には、「支配」「介入」行為に当たると解する。
①言論の内容
②発表の手段・方法
③発表の時期
④発表者の地位・身分
⑤言論発表の与える影響
[論点 2]職場集会に対する警告
職場集会に対する警告は、「不利益な取扱い」(7 条 1 号本文前段)にはあたらない。そこで、支配介入の成否が問題となる。
企業施設を利用した組合活動は使用者の施設管理権と衝突するから、①使用者の許諾がない場合には、②許諾をしないことが使用者の施設管理権の濫用であると認められるような特段の事情のない限り、使用者がこれに対して警告をすることには支配介入は成立しない。
(補足)
・従来、使用者が職場集会について何ら注意をしたことがなかったとしても、それをもって直ちに使用者が労働時間中の企業施設を利用して職場集会を開くことにつき黙示の許諾をしていたということはできない。
・組合活動のために企業施設を利用する必要性が大きいからといって、そのこと故に企業秩序への影響が緩和されるわけではないから、特段の事情の判断
に際し利用の必要性を強調するべきではない。
例えば、A 病院が勤務時間中に病院内の一室で職場集会が開催されたことに対して「警告書並びに通告書」を交付したという事案で問題となる。
A 速修 386~391 頁
A
プリマハム事件・最判 S57.9.10
(CB468)
A
済生会中央病院事件・ 最判 H
元.12.11(CB459)
②でいう「使用者の意」とは、具体的な支配介入行為の意欲ないし願望である必要はなく、当該組合に対する使用者の好悪の意向で足りる。つまり、対立関係にある複数組合のうち労使協調路線をとる一方組合の方を好ましい(組織を拡大した方がよい)と思い、他方組合を好ましくない(組織を縮小した方がよい)と思う意向で足りる。
判例
(最高裁判例)
・最判 S31.11.2(関西精機事件) p40
・最判 S35.3.11(細谷服装事件/百 69・CB110) p80
・最判 S35.7.14(小島撚糸事件) p55
・最判 S37.10.9(栃木化成事件) p133
・最判 S38.6.4(小野運送事件) p66
・最判 S43.3.12(電電公社小倉電話局事件) p40
・最判 S43.4.9(医療法人新光会事件/CB432) p95,126
・最判 S43.8.2(西日本鉄道事件/百 57) p71
・最判 S44.12.18(福島県教組事件) p41
・最判 S45.7.28(横浜ゴム事件/百 58) p69
・最判 S46.6.15(山恵木材事件) p126
・最判 S48.1.19(シンガー・ソーイング・メシーン事件/CB165) p40
・最判 S48.3.2(林野庁白石営林署事件/百 41・CB235) p56,57
・最判 S49.2.28(国鉄中国支社事件) p69
・最判 S49.9.30(名古屋ダイハツ労組事件) p104
・最判 S50.4.25(丸島水門製作所事件/百 98・CB428) p120
・最判 S50.11.18(国労広島地本事件/百 84・CB373) 102
・最大判 S52.2.23(第二鳩タクシー事件/百 106・CB448) p133
・最判 S52.10.25(三共自動車事件/百 50) p65
・最判 S52.12.13(電電公社目黒電報電話局事件/百 55・CB257) p20,50,69
・最判 S52.12.13(富士重工業事件) p71
・最判 S53.11.24(寿建築研究所事件) p132
・最判 S54.7.20(大日本印刷事件/百 9・CB142) p15
・最判 S54.10.30(国鉄札幌運転区事件/百 87・CB417) p68,122、129
・最判 S56.9.18(三菱重工長崎造船所事件/百 96・CB421) p119
・最判 S57.3.18(電電公社此花電報電話局事件) p57,58
・最判 S57.4.13(大成観光事件/百 86・CB413) p122
・最判 S57.9.10(プリマハム事件/CB468) p128
・最判 S57.10.7(大和銀行事件) p33
・最判 S58.9.8(関西電力事件/百 51・CB255) p70
・最判 S59.4.10(川義事件) p66
・最判 S59.5.29(日本メールオーダー事件/CB480) p131
・最判 S60.4.5(古河電気工業・原子燃料工業事件) p30
・最判 S60.4.23(日産自動車[残業差別]事件/百 105・CB486) p131
・最判 S61.1.24(紅屋商事事件/CB494) p129,133
・最判 S61.6.10(旭ダイヤモンド工業事件/百 109・CB452) p132
・最判 S61.7.14(東亜ペイント事件/百 61・CB180) p27
・最判 S61.12.4(日立メディコ事件/百 79・CB114) p83
・最判 S62.4.2(あけぼのタクシー事件/百 76) p42
・最判 S62.5.8(日産自動車[組合事務所]事件/CB490) p130
・最判 S62.7.10(電電公社弘前電報電話局事件) p58
・最判 S62.7.10(青木鉛鉄事件) p65
・最判 S62.7.17(ノース・ウエスト航空事件/百 97・CB423) p45、119
・最判 S62.9.28(大隅鐵工所事件/百 67・CB287) p75
・最判H 元.4.11(高田建設事件) p66
・最判H 元 12.7(日産自動車村山工場事件/CB188) p27
・最判H 元.12.11(済生会中央病院事件/CB459) p122,128,129
・最判H 元.12.14(三井倉庫港運事件/百 82・CB371) p100
・最判H 元 12.14(日本シェーリング事件) p61
・最判 H2.6.5(神戸弘陵学園事件/百 80・CB140) p17
・最判 H2.11.26(日新製鋼事件/百 29・CB161) p40
・最判 H3.4.11(三菱重工業事件) p67
・最判 H3.6.4(紅屋商事事件/百 108・CB498) p136
・最判 H3.11.19(津田沼電車区事件/百 42) p57
・最判 H3.11.28(日立製作所武蔵工場事件/百 36・CB212) p52
・最判 H4.2.14(池田電器事件) p107
・最判 H4.2.18(エス・ウント・エー事件) p59
・最判 H4.6.23(時事通信社事件/百 43・CB240) p58
・最判 H4.10.2(御國ハイヤー事件/百 93・CB409) p118
・最判 H5.3.25(エッソ石油事件/百 85・CB369) p101
・最判 H5.6.25(沼津交通事件) p59
・最判 H6.6.13(高知県観光事件/百 38) p53
・最判 H7.2.23(ネスレ日本事件) p102,135
・最判 H7.2.23(ネスレ日本・日高乳業事件) p139
・最判 H7.2.28(朝日放送事件/百 4・CB386) p98
・最判 H8.2.23(コック食品事件) p66
・最判 H8.3.26(朝日火災海上保険[高田]事件/百 90・CB503) p112
・最判 H8.9.26(山口観光事件/百 52・CB266) p72
・最判 H8.11.28(横浜南労基署長事件/百 1・CB48) p1
・最判 H9.2.28(第四銀行事件/百 20・CB75) p7
・最判 H9.3.27(朝日火災海上保険[石堂]事件/百 89・CB500) p111
・最判 H10.4.9(片山組事件/百 24・CB153) p38
・最判 H12.1.28(ケンウッド事件) p28
・最判 H12.3.9(三菱重工長崎造船所事件/百 33・CB202) p46
・最判 H12.3.24(電通事件/百 48) p67
・最判 H12.9.7(みちのく銀行事件/CB87) p7
・最判 H13.3.13(南自動車教習所事件/百 88・CB392) p109,110
・最判 H14.2.28(大星ビル管理事件/百 34・CB205) p46
・最判 H15.4.18(新日本製鐵事件/百 62・CB194) p29
・最判H15.10.10(フジ興産事件/CB71) p68
・最判 H15.12.4(東朋学園事件/CB244) p34
・最判 H15.12.22(JR 北海道・日本貨物鉄道事件/百 101・CB445) p125
・最判 H16.7.12(京都市交通局事件) p132
・最判H18.3.28(いずみ福祉会事件) p42,44
・最判 H18.10.6(ネスレ日本事件/百 53・CB262) p73
・最判 H18.12.8(JR 東海[新幹線・科長脱退勧奨]事件/CB455) p127
・最判 H19.2.2(東芝労働組合小向支部・東芝事件/百 83) p100
・最判 H20.1.24(神奈川都市交通事件) p64
・最判 H21.12.18(ことぶき事件/CB227) p55
・最判 H21.12.18(松下プラズマディスプレイ事件/百 81・CB518) p93
・最判 H22.3.25(サクセスほか[三佳テック]事件/CB584) p22
・最判H22.7.12(日本アイ・ビー・エム事件/百 74・CB546) p77
・最判 H23.4.12(INAX メンテナンス事件/百 3・CB356) p2,96
・最判 H23.4.12(新国立劇場運営財団事件/CB363) p2,96
・最判 H24.3.8(テックジャパン事件・CB215) p41
・最判 H24.4.27(日本ヒューレット・パッカード事件/CB259) p72
・最判 H25.6.6(八千代交通事件/CB238) p56
・最判 H26.1.24(阪急トラベルサポート[第 2]事件/百 39) p49
・最判 H26.10.23(広島中央保険生活協同組合事件/百 17) p11
・最判 H27.6.8(専修大学事件/百 70) p79
・最判 H28.2.19(山梨県民信用組合事件/百 21) p6,7,27,39,109
・最判 H30.6.1(ハマキョウレックス事件) p90
(高等裁判所)
・東京高決 S33.8.2(読売新聞社事件/百 23) p20
・東京高判 S54.10.29(東洋酸素事件/百 73・CB277) p82,84
・東京高判 S58. 12.19(八洲事件) p14
・名古屋高判 H2.8.31(中部日本広告社事件/CB581) p35
・東京高判 H3.2.20(炭研精工事件) p70
・大阪高判 H5.6.25(商大八戸の里ドライビングスクール事件/百 27) p19
・福岡高判 H6.3.24(三菱重工長崎造船所事件) p59
・東京高決 H6.10.24(ソニー事件/CB406) p113
・東京高判 H9.11.20(横浜セクシャル・ハラスメント事件/CB318) p13
・東京高判 H11.12.22(西神テトラパック事件/CB434) p125
・東京高判 H12.4.19(日新火災海上保険事件/百 7・CB148) p14
・東京高判 H12.4.19(芝信用金庫事件) p136
・東京高判 H12.7.26(中根製作所事件) p109
・東京高判 H12.12.22(芝信用金庫事件) p25
・広島高判 H13.5.23(マナック事件/百 59・CB172) p24
・東京高判 H13.9.12(富士交通事件) p72
・東京高判 H14.2.27(青山会事件/CB443) p122
・広島高判 H14.6.25(JR 西日本[広島支社]事件/百 35・CB219) p48
・東京高判 H14.7.11(新宿労基署長事件/CB38) p1
・大阪高判 H15.1.30(大阪空港事業事件) p4
・東京高判 H15.9.30(中労委[朝日火災海上保険]事件) p134
・東京高判 H15.12.11(小田急電鉄事件/百 31・CB270) p35
・東京高判 H17.5.31(勝英自動車学校[大船自動車興業]事件) p77
・高松高判 H18.5.18(伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件/CB524) p88
・東京高判 H19.7.31(根岸病院事件/CB378) p106
・大阪高判 H19.10.26(佐野第一交通事件/百 65・CB551) p4
・東京高判 H20.4.9(日本システム開発研究所事件) p36
・大阪高判 H21.1.27(NTT 西日本事件) p76
・東京高判 H22.9.28(NTT 西日本事件) p106
・東京高判 H23.2.23(東芝事件) p79
・福岡高判 H23.3.10(コーセーアールイー[第 2]事件/CB145) p16,17
・大阪高判 H23.5.25(大庄ほか事件) p67
・東京高判 H24.9.20(本田技研工業事件/CB119)p88
・東京高判 H24.10.30(高見澤電機製作所ほか 2 社事件) p98
・大阪高判 H26.7.18(医療法人稲門会[いわくら病院]事件) p62
(地方裁判所等)
・秋田地判 S35.9.29(大日本鉱業発盛労組事件) p103
・京都地労委 S47.11.17(日本計算機事件) p137
・横浜地判 S55.3.28(三菱重工横浜造船所事件) p50
・千葉地判 S56.5.25(日立精機事件) p31
・東京地決 S57.11.19(小川建設事件) p70
・東京地判 S62.5.26(新興サービス事件) p118
・東京地判H 元.9.22(カール・ツァイス事件/百 102・CB382) p106
・旭川地判H 元.12.27(繁機工設備事件) p70
・東京地判 H3.2.25(ラクソン事件/百 77・CB586) p22
・福岡地判 H4.4.16(福岡セクシャル・ハラスメント事件/百 16・CB315) p12
・東京地判 H4.9.28(吉村・吉村商会事件) p86
・東京地判 H6.6.16(三陽物産事件/CB303) p10
・東京地決 H7.4.13(スカンジナビア航空事件/百 74・CB510) p85
・東京地判 H8.3.28(太陽自動車・北海道交通事件) p102
・東京地判 H9.8.26(ペンション経営研究所事件/CB156) p38
・大阪地判 H10.7.17(株式会社大通事件) p75
・東京地判 H11.2.15(全日本空輸事件/百 63・CB252) p32
・札幌地判 H11.8.30(鈴蘭交通事件/百 91) p113
・大阪地判 H11.10.4(JR 東海事件/CB250) p32
・東京地判 H12.1.31(アーク証券[本訴]事件/百 60) p26
・東京地判 H13.7.25(黒川建設事件/百 2・CB54) p4
・東京地判 H14.4.16(野村證券事件) p10
・東京地判 H14.8.30(ダイオーズサービシーズ事件/百 25) p21
・仙台地決 H14.11.14(日本ガイダント事件/CB192) p29
・大阪地堺支判 H15.6.18(大阪いずみ市民生活協同組合事件/CB268) p70
・東京地判 H15.9.17(メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ事件) p21
・東京地判 H18.11.29(東京自転車健康保険組合事件) p86
・東京地判 H20.1.28(日本マクドナルド事件/CB224) p55
・宇都宮地栃木支決 H21.4.28(プレミアライン事件/CB125) p93
・東京地判 H23.3.17(国・中労委[クボタ]事件) p98
・東京地判 H25.2.6(教育社事件)p120
・山口地判 H25.3.13(マツダ防府工場事件) p93
・大阪地判 H25.12.10(ニヤクコーポレーション事件/百 78) p90
(参考文献)
・「詳解 労働法」初版(著:水町勇一郎‐東京大学出版会) 現考査委員
・「労働契約法」第2版(著:土田道夫‐有斐閣) 元考査委員
・「基本講義 労働法」初版(著:土田道夫‐新世社) 元考査委員
・「労働法概説」第4版(著:土田道夫‐弘文堂) 元考査委員
・「労働法」第2版(著:西谷敏‐日本評論社) 元考査委員
・「プラクティス労働法」第2版(著:山川隆一‐信山社) 元考査委員
・「労働法」第3版(著:荒木尚志-有斐閣)
・「労働法」第11版(著:菅野和夫‐法律学講座双書)
・「労働協約法」初版(著:野川忍‐弘文堂) 元考査委員
・「労働法」初版(著:野川忍‐日本評論社) 元考査委員
・「労働法」第3版(著:川口美貴‐信山社)
・「ウォッチング労働法」第4版(著:土田道夫ほか‐有斐閣) 元考査委員
・「条文から学ぶ労働法」(著:土田道夫・山川隆一ほか‐有斐閣) 元考査委員
・「ケースブック労働法」第8版(監修:菅野和夫‐弘文堂)
・「労働判例百選」第9版(編:村中孝史・荒木尚志‐有斐閣)
・「最新重要判例200労働法」第4版・第5版(著:大内伸哉‐弘文堂)
・「Before/After 民法改正」初版(著:潮見佳男ほか‐弘文堂)