臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 26 年 7 月 30 日 厚生労働省令第 89 号)並びにそれらの実施・運用に係る諸通知(以下、「GCP 省令」と いう)に則り、治験に係る関係者が遵守すべき事項を定めたものである。なお、医療機器の場合は「治験薬」を「治験機器」、「被験薬」を「被験機器」などと、再生医療等製 品の場合は「治験薬」を「治験製品」、「被験薬」を「被験製品」などと適切に読み替えて適用する。また、製造販売後臨床試験を行なう場合は、「医薬品の製造販売後の調査...
治験の実施に係る規程
2015 年 7 月 1 日 第 6 版
国立大学法人 富山大学附属病院
目次
第Ⅰ章 総則 1第1条(目的) 1第2条(治験に関する原則事項) 1第3条(用語) 2第4条(秘密の保全) 2第5条(直接閲覧) 2
第Ⅱ章 院長 2
第6条(治験実施体制の構築) 2第7条(治験の受託) 3第8条(治験の継続) 3第9条(治験の終了、中止又は中断等) 4
第Ⅲ章 治験事務局 4
第 10 条(治験事務局の業務) 4
第Ⅳ章 治験責任医師等 5第 11 条(治験責任医師の要件) 5
第 12 条(治験実施計画書の遵守に関する合意) 5
第 13 条(同意・説明文書の作成) 6
第 14 条(治験分担医師及び治験協力者の指名及び指導) 6
第 15 条(治験実施の申請) 6
第 16 条(治験の契約) 6
第 17 条(治験の実施) 6
第 18 条(治験変更・継続・中止) 6
第 19 条(被験者の選定) 7
第 20 条(被験者からの同意の取得及び同意書の交付) 7
第 21 条(被験者に対する医療上の責任) 8
第 22 条(治験実施計画書からの逸脱) 8
第 23 条(重篤な有害事象の発生等) 8
第 24 条(症例報告書の作成及び報告) 8
第 25 条(治験の終了、中止又は中断) 8
第Ⅴ章 治験薬の管理 8第 26 条(治験薬管理者の責務) 9
第Ⅵ章 治験機器の管理 9第 27 条(治験機器管理者の責務) 9
第Ⅶ章 治験製品の管理 9第 28 条(治験製品管理者の責務) 9
第Ⅷ章 記録等の保管管理及び保存 9第 29 条(文書等の保管) 9
第 30 条(記録等の管理) 10
第 31 条(記録等の保存期間) 10
第 32 条(記録等の廃棄) 10
附則 11第1条(施行期日) 11
本規程は、当院において医薬品、医療機器及び再生医療等製品の治験又は製造販売後臨床試験を実施するに当たり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、
「医薬品医療機器等法」という)(昭和 35 年 8 月 10 日 法律第 145 号)に基づく「医薬品の臨床
試験の実施の基準に関する省令」(平成 9 年 3 月 27 日 厚生省令第 28 号)、「医療機器の臨床試験
の実施の基準に関する省令」(平成 17 年 3 月 23 日 厚生労働省令第 36 号)、「再生医療等製品の
臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成 26 年 7 月 30 日 厚生労働省令第 89 号)並びにそれらの実施・運用に係る諸通知(以下、「GCP 省令」という)に則り、治験に係る関係者が遵守すべき事項を定めたものである。なお、医療機器の場合は「治験薬」を「治験機器」、「被験薬」を「被験機器」などと、再生医療等製品の場合は「治験薬」を「治験製品」、「被験薬」を「被験製品」などと適切に読み替えて適用する。また、製造販売後臨床試験を行なう場合は、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成 16 年 12 月 20 日 厚生労働省令第 171 号)、
「医療機器の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成 17 年 3 月 23 日 厚生
労働省令第38 号)、「再生医療等製品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平
成 26 年 7 月 30 日 厚生労働省令第 90 号)を遵守する。なお、本規程においては第 31 条(記録等の保存期間)を除き、「治験」を「製造販売後臨床試験」と読み替えて適用する。
治験は次に掲げる原則に則って実施する。
1) 治験は、xxxxx宣言に基づく倫理的原則及び GCP 省令に定める基準を遵守して行なうこと。
2) 治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量すること。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始あるいは継続すべきである。
3) 被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
4) 治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
5) 治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
6) 治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して行われなければならない。
7) 被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定は、医師又は歯科医師の責任において行われるものである。
8) 治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。
9) 治験に参加する前に、全ての被験者から自由意思によるインフォームド・コンセントが得られていなければならない。
10) 治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い及び保存しなければならない。
11) 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
12) 治験薬は治験審査委員会が承認した治験実施計画書を遵守して使用するものとする。
13) 治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムが、運用されなければならない。
14) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について、被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。
本規程等において使用する用語は、GCP 省令及び答申 GCP に規定する定義に従う。
院長、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者、治験機器管理者、治験製品管理者、記録保存責任者及び治験事務局は、被験者に関する守秘義務を負う。治験依頼者から提供された資料、情報及び治験結果に関しても同様である。また、治験の結果得られた情報を専門の学会等、外部に公表する場合には、事前に治験依頼者の承諾を文書で得る。
院長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査を依頼した治験審査委員会及び国内外の規制当局による調査を受入れる。また、モニター、監査担当者、当該治験審査委員会又は規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供する。
1. 院長は、治験に係る事務を行なわせるため治験事務局を設置し、治験事務局責任者を指名する。
2. 院長は、治験に係る業務を円滑に行なわせるため、治験施設支援機関(以下、「SMO」という)にその業務の一部を委託することもできる。SMO に業務を委託する場合には、業務委受託契約を締結する。
3. 院長は、記録保存責任者を指名し、院内で保存すべき記録(文書を含む)を管理させる。
4. 院長は、治験薬管理者を指名し、院内で実施する全ての治験薬を管理させる。
5. 院長は、治験機器ごとに当該治験機器の管理に必要な知識と経験を有する治験機器管理者を指名し、当該治験機器を管理させる。
6. 院長は、治験製品ごとに当該治験製品の管理に必要な知識と経験を有する治験製品管理者を指名し、当該治験製品を管理させる。
7. 院長は、治験に係る検査について精度管理等を保証する記録を入手し保管管理する。
8. 院長は、別途「治験の実施に係る標準業務手順書」を定める。なお、本手順書には、治験に
関連した業務の詳細な手順及び緊急時の対応手順等を含める。
1. 当院では、被験者又はその代諾者の事前の同意を得ることが不可能な緊急の状況下における救命的な内容の治験については、原則として実施しない。
2. 院長は、治験依頼者から治験依頼書が提出された場合には、治験に関する調査審議に必要な専門性を考慮した上で GCP 省令第 27 条に規定される治験審査委員会を選択し、治験実施の適否について当該治験審査委員会に調査審議を依頼し、当該治験審査委員会の意見を聴かなければならない。なお、外部の治験審査委員会に調査審議を依頼する場合には、院長は当該治験審査委員会の設置者と契約を締結する。また、医療機器及び再生医療等製品の場合は
「GCP 省令第 27 条」を「GCP 省令第 46 条」と読み替えて適用する。
3. 院長は、治験審査委員会の意見に基づき、治験実施の適否の決定を治験依頼者及び治験責任医師に文書により通知する。
4. 院長は、治験審査委員会が治験の実施について「承認」又は「修正の上で承認」の決定を下し、その旨を通知してきた場合には、これに基づいて治験実施の適否を決定する。また、「修正の上で承認」の場合には、院長は治験依頼者及び治験責任医師に修正した資料を提出させ、当該資料を確認した上で治験の実施を了承する。なお、必要に応じ修正した資料を治験審査委員会へ提出する。
5. 院長は、治験審査委員会が治験の実施について「却下」又は「保留」の決定を下し、その旨
を通知してきた場合には、治験の実施を了承することはできない。なお、院長の決定が「保留」の場合には、治験依頼者及び治験責任医師に必要な資料を提出させ、治験審査委員会の意見を聴く。
6. 院長は、治験実施の受託を決定した場合には治験依頼者と契約を締結する。
7. 院長は、治験責任医師より提出されたリストに基づき治験分担医師及び治験協力者を了承し、治験依頼者及び治験責任医師に通知する。
1. 治験の実施中に以下の事項が生じた場合、院長は治験責任医師又は治験依頼者からその内容を文書で提出させ、当該治験審査委員会に治験継続の適否について審査依頼する。
1) 治験に継続して参加するか否かについて、被験者の意思に影響を与えると思われる情報を入手し、説明文書を改訂した旨、治験責任医師から報告を受けた場合
2) 治験の実施中に、治験責任医師から重篤な有害事象が報告された場合
3) 治験依頼者から、重篤で予測できない副作用等の安全性情報が報告された場合
4) 治験依頼者から、重篤で予測できない不具合等が報告された場合
5) 被験者に対する危険を増大させるか又は治験の実施に重大な影響を及ぼす変更が報告された場合
6) 被験者の安全又は当該治験の実施に悪影響を及ぼす可能性のある新たな情報が報告された場合
7) 被験者に対する緊急の危険を回避するなど、医療上やむを得ない事情のために治験実施計画書から逸脱又は変更を行った旨、治験責任医師から報告された場合
8) 治験期間中に、治験審査委員会の審査対象となる資料及び文書が追加、更新又は改訂された場合(但し、以下の場合は対象外とする。①治験実施計画書の分冊を作成しており、他の実施医療機関に特有の情報を改訂する場合。②症例報告書の見本を提出された場合におけるレイアウトの変更、EDC の仕様の変更を行う場合。)
9) 治験の実施から1年を超える場合
10)その他、院長が必要と判断した場合
なお、院長が緊急に治験審査委員会の意見を必要とした場合には、その旨を治験審査委員会に要請する。
2. 実施中の治験の継続について、治験審査委員会が決定を下し、その旨を通知してきた場合、院長はこれに基づいて治験継続の適否を決定する。
3. 院長は、実施中の治験の継続について、治験審査委員会が治験を継続して行なうことが適当でない旨の結果を通知してきた時は、治験の継続を了承することはできない。また、その場合は治験の契約を解除し、治験を中止させる。
4. 院長は、治験契約締結後に治験契約書の内容を変更する場合は、契約内容変更に関する覚書を締結する。なお、この変更手続きに先だち、治験審査委員会の審査が必要な場合は、事前に審議を依頼する。
5. 院長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書を最新のものにする。
1. 治験責任医師が治験の終了又は中断若しくは中止を院長に報告した場合、院長は速やかに治験依頼者及び治験審査委員会にその旨及び結果の概要並びに必要に応じその理由を通知する。
2. 治験依頼者が治験の中止又は中断、あるいは治験実施中に当該治験薬の開発中止若しくは製造販売承認申請書に添付しない旨を報告してきた場合、院長は速やかに治験責任医師及び治験審査委員会にその旨及び理由を通知する。
3. 治験依頼者が当該治験薬の製造販売承認取得あるいは治験終了後に開発中止を報告してきた場合、院長は記録保存責任者に報告する。
第 10 条(治験事務局の業務)
1. 治験実施体制に係る業務
1) 院長の指示による治験事務局責任者、治験薬管理者、記録保存責任者の指名書の作成
2) 規程及び標準業務手順書等の見直し及び改訂案の作成
2. 個々の治験の手続きに係る業務
1) 治験依頼者への説明
(1) 治験手続きに関する治験依頼者への説明及び文書交付
(2) 治験に係る費用の治験依頼者への説明
2) 治験依頼者から提出される治験依頼書の受理
3) 調査審議を依頼する治験審査委員会の設置者との契約
4) 治験審査を依頼した治験審査委員会の最新の標準業務手順書及び委員指名書(写)の入手
5) 治験依頼者又は治験責任医師から提出される報告書の受理
6) 治験審査の依頼
7) 審査資料の治験審査委員会への送付
8) 治験審査委員会からの治験審査結果及び議事録(写)等の入手
9) 治験審査委員会の意見に基づく院長の指示・決定に関する通知文書の作成及び交付
10) 院長の指示による治験機器管理者、治験製品管理者の指名書の作成
11) 治験責任医師が作成する治験分担医師・治験協力者xxxの受理及び院長了承後の交付
12) 治験契約に係る手続き等の業務
3. 治験費用算定に係る業務
1) 治験依頼者との協議による治験費用の算定
2) 契約に基づいた治験費用の請求
3) 被験者への負担軽減費の支払
4. 治験業務の委託に係る業務
1) SMO との委託業務内容の協議
5. その他の業務
1) 治験関連記録の直接閲覧への対応
第 11 条(治験責任医師の要件)
1. 治験責任医師は下記の要件を満たすものとする。
1) 受託する予定の治験に関し、専門家としての知識及び経験を有し、治験を適正に実施し得る者であること。
2) GCP 省令、関連通知、規程及び標準業務手順書等を熟知し、遵守することができること。
3) 治験実施計画書等に記載されている治験薬の使用法等に十分精通していること。
4) 治験依頼者と合意した治験期間内に、治験実施計画書に規定される適格な被験者を、必要数集めることができること、又は努力をすること。
5) 治験を実施するのに必要な時間的余裕を有していること。
6) 治験を適正かつ安全に実施するために必要な治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また治験に必要な設備等を利用できること。
2. 治験責任医師は最新の履歴書及び治験分担医師の氏名のリストを治験依頼者及び院長に提出
する。
第 12 条(治験実施計画書の遵守に関する合意)
1. 治験責任医師は、治験依頼者から提供される最新の治験実施計画書、症例報告書の見本(治
験実施計画書において、症例報告書に記載すべき事項が十分に読み取れる場合は、当該治験実施計画書をもって症例報告書の見本に関する事項を含むと解釈してよい。以下、これに準ずる。)及び最新の治験薬概要書等の資料及び情報に基づき、治験依頼者と治験実施の可能性について十分検討を行なう。
2. 治験責任医師は、前項の結果に基づき、治験依頼者と最新の治験実施計画書及び症例報告書の見本の内容について合意する。
第 13 条(同意・説明文書の作成)
1. 治験責任医師は、治験依頼者の協力を得て、被験者から治験への参加の同意を得るために用いる同意・説明文書を GCP 省令及びヘルシンキ宣言に基づいて作成する。
2. 治験責任医師は、被験者の同意に影響する情報を入手した場合は、治験依頼者の協力を得て、同意・説明文書の改訂を行なう。
3. 治験責任医師は、作成又は改訂した同意・説明文書について、治験審査委員会の承認を得る。また、当該治験審査委員会の承認を得た同意・説明文書を治験依頼者に提供する。
第 14 条(治験分担医師及び治験協力者の指名及び指導)
1. 治験責任医師は、治験に係る重要な業務の一部を治験分担医師及び治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務の一覧表を作成し院長の了承を受ける。
2. 治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について必要な情報を与え、指導及び監督を行なう。
第 15 条(治験実施の申請)
治験責任医師は、治験の実施に際しては、治験依頼者と協議して治験審査資料を作成し、治験依頼者を通じて院長に提出する。
第 16 条(治験の契約)
1. 治験責任医師は、治験依頼者と締結された治験の契約書の記載内容を確認する。
2. 治験責任医師は、治験の契約書に定められた治験期間内に被験者を治験に参加させる。
第 17 条(治験の実施)
治験責任医師は、院長からの指示・決定が文書により通知された後、その指示・決定内容、治験の契約書、GCP 省令、治験実施計画書、規程及び標準業務手順書等に従って治験を実施する。
第 18 条(治験変更・継続・中止)
1. 治験責任医師は、治験審査委員会の審査の対象となる文書が追加、更新又は改訂された場合には、その全ての資料を院長に提出する。
2. 治験責任医師は、少なくとも 1 年に 1 回の頻度で、治験の実施状況の概要を院長に提出する。
3. 治験責任医師は、院長からの指示・決定が文書により通知された後、その指示・決定内容に従って、治験を変更、継続又は中止する。
4. 治験責任医師等の変更がある場合には、治験責任医師は事前に治験依頼者に連絡する。
第 19 条(被験者の選定)
1. 治験責任医師等は、人権保護の観点及び治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮して、治験への参加を求めることの適否について慎重に検討する。
2. 治験責任医師等は、被験者が同意の能力を欠く者であると判断される場合にあっては、治験の目的上、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、原則として被験者としない。
3. 治験責任医師等は、社会的に弱い立場にある者を被験者とする場合は、当該者の同意が自発的に行われるよう十分に配慮する。
第 20 条(被験者からの同意の取得及び同意書の交付)
1. 治験責任医師等は、被験者を治験に参加させるときは、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書により適切な説明を行い、文書により同意を得る。
2. 被験者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難であるときは、代諾者の同意を得ることにより、当該被験者を治験に参加させることができる。
3. 治験責任医師等は、前項の規定により代諾者の同意を得た場合には、代諾者の同意に関する記録及び代諾者と被験者との関係についての記録を作成する。
4. 治験責任医師等は、当該被験者に対して治験薬の効果を有しないと予測される治験においては、同意を得ることが困難な被験者を治験に参加させてはならない。
5. 治験責任医師等は、説明文書の内容その他治験に関する事項について、被験者(又は代諾者)に質問をする機会を与え、質問に対して十分に答える。
6. 被験者(又は代諾者)から説明文書の内容を十分理解した上で、治験に参加することへの意思を確認できた場合、説明を行った治験責任医師等及び治験協力者は、同意文書に説明を行った日付を記載し記名押印又は署名する。被験者(又は代諾者)は同意文書に同意した日付を記載し記名押印又は署名する。
7. 説明文書を読むことができない被験者に対する説明及び同意は、立会人を立ち会わせた上で行う。その場合、立会人は治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。
8. 治験責任医師等は、治験責任医師等及び被験者が記名押印し、又は署名した同意文書の写し及び説明文書を被験者(又は代諾者)に交付する。
9. 治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認する。
10. 治験責任医師は、説明文書を改訂する必要があると認めたときは、速やかに説明文書を改訂する。
11. 治験責任医師は、説明文書を改訂したときは、その旨を院長に報告し、治験審査委員会の承認及び院長の了承の後、治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得る。
第 21 条(被験者に対する医療上の責任)
1. 治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負う。
2. 治験責任医師等は、治験実施計画書を遵守して治験薬を使用する。また治験責任医師等は治験薬の使用方法を被験者に説明し、かつ必要に応じ被験者が治験薬を適正に使用していることを確認する。
3. 院長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されるよう、事前に必要な措置を講ずる。
4. 治験責任医師等は、有害事象に対する医療が必要となった場合には、被験者にその旨を伝えるとともに、直ちに適切な医療を行なう。
5. 治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいる場合には、被験者の同意の下、当該医師に治験への参加について報告する。
第 22 条(治験実施計画書からの逸脱)
1. 治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には、すべてこれを記録し、その旨及びその理由を記載した文書を直ちに治験依頼者及び院長に提出する。
2. 治験責任医師等は、前項以外の治験実施計画書からの逸脱についてもすべて記録を作成する。
第 23 条(重篤な有害事象の発生等)
治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに院長に報告するとともに、治験依頼者に通知しなければならない。この場合において、治験依頼者、院長又は治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、治験責任医師はこれに応じる。
第 24 条(症例報告書の作成及び報告)
治験責任医師等は、治験実施計画書に従って正確に症例報告書を作成する。
症例報告書中のデータのうち、原資料に基づくものは原資料と矛盾しないものでなければならない。症例報告書中のデータが原資料と何らかの矛盾がある場合には、治験責任医師はその理由を説明する記録を作成し、治験依頼者に提出する。
第 25 条(治験の終了、中止又は中断)
治験を終了・中止・中断した場合、治験責任医師はその旨及びその結果の概要を記載した文書を、速やかに院長に提出する。なお、被験者が治験参加中である場合には、治験責任医師等は被験者に速やかに治験を中止する旨を通知し、適切な医療の提供その他の措置を講ずる。
第 26 条(治験薬管理者の責務)
1. 当院における治験薬の管理責任は院長が負う。
2. 治験薬管理者は、GCP 省令及び治験依頼者が作成した治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらを記録する際に従うべき指示を記載した手順書(治験薬の取扱い手順書)に従い、院内における全ての治験薬を保管、管理する。
3. 治験薬管理者は、必要に応じ治験薬管理担当者を置き、自らの管理の下に治験薬管理者の業務を遂行させることができる。
第 27 条(治験機器管理者の責務)
1. 当院における治験機器の管理責任は院長が負う。
2. 治験機器管理者は、GCP 省令及び治験依頼者が作成した治験機器の取扱い及び保管、管理並びにそれらを記録する際に従うべき指示を記載した手順書(治験機器の取扱い手順書)に従い、当該治験機器を保管管理、保守点検する。
3. 治験機器管理者は、必要に応じ治験機器管理担当者を置き、自らの管理の下に治験機器管理者の業務を遂行させることができる。
第 28 条(治験製品管理者の責務)
1. 当院における治験製品の管理責任は院長が負う。
2. 治験製品管理者は、GCP 省令及び治験依頼者が作成した治験製品の取扱い及び保管、管理並びにそれらを記録する際に従うべき指示を記載した手順書(治験製品の取扱い手順書)に従い、当該治験製品を保管管理する。
3. 治験製品管理者は、必要に応じ治験製品管理担当者を置き、自らの管理の下に治験製品管理者の業務を遂行させることができる。
第 29 条(文書等の保管)
1. 治験事務局責任者は、以下に示した当院の治験の実施体制に関する文書を常に保管管理する。
1) 本規程、治験の実施に係る標準業務手順書、指名書、審査を委託した治験審査委員会の標準業務手順書・委員指名書(写)等
2) SMO との提携契約書(提携した場合)等
2. 記録保存責任者は、GCP 省令に従い、治験毎に治験に係る文書又は記録を保存する。
3. 記録保存責任者は、必要に応じて記録保存担当者を置き、その業務の一部を行なわせることができる。
第 30 条(記録等の管理)
記録保存責任者は、記録等が紛失及び毀損しないよう、施錠等の可能な適切な設備にて管理する。
第 31 条(記録等の保存期間)
第 29 条第 1 項に係る文書を除く、個々の治験に係る記録等の保存期間
1) 治験の実施に伴い作成あるいは提出された記録及び資料は、治験依頼者によって保存の必要がなくなった旨の通知がなされるまで保存する。なお、保存すべき期間は下記の(1)又は(2)の日のうちの、いずれか遅い日までとする。但し、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について、治験事務局が治験依頼者と協議する。
(1) 当該被験薬が医薬品医療機器等法による製造販売承認(医薬品医療機器等法第 23 条の 26 第 1 項の規定により条件及び期限を付したものを除く)を得た日
(治験依頼者から、開発の中止若しくは治験の成績が承認申請書に添付されない旨の通知を受けた場合には、開発中止が決定された若しくは申請書に添付されない旨の通知を受けた日から3年が経過した日)
(2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2) 製造販売後臨床試験における記録等の保存期間
製造販売後臨床試験の実施に伴い作成あるいは提出された記録及び資料は、製造販売後臨床試験依頼者によって保存の必要がなくなった旨の通知がなされるまで保存する。なお、保存すべき期間は途中で中止、中断した場合も含め、当該被験薬の再審査又は再評価が終了した日までとする。但し、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合は、保存期間及び保存方法について、治験事務局が治験依頼者と協議する。また、医療機器の場合は「再審査又は再評価」を「使用成績評価」と、再生医療等製品の場合は「終了した日」を「終了した日(医薬品医療機器等法第 23 条の 25 第 3 項(医薬品医療機器等法第 23 条の 26 第 5項において読み替えて適用する場合に限る。)に規定する資料を収集するために行った製造販売後臨床試験については、製造販売の承認を受ける日又は製造販売後臨床試験の中止若しくは終了の後 3 年を経過した日のうちいずれか遅い日)」と読み替えて適用する。
3) 特定生物由来製品における記録等の保存期間
被験薬が特定生物由来製品に該当する場合は、「特定生物由来製品に係る使用の対象者への説明並びに特定生物由来製品に関する記録及び保存について」(平成 15 年 5 月 15 日 医
薬発第 0515012 号)に従い、当該治験の資料を被験薬の使用後 20 年間保存する。但し、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について、治験事務局が治験依頼者と協議する。
第 32 条(記録等の廃棄)
1. 治験依頼者が記録の保存期間の満了等に関して通知してきた場合、院長は当該通知に基づいて記録保存責任者に当該資料の廃棄等の処置を指示する。また、当該治験の調査審議を外部に委託していた場合、院長は当該治験審査委員会の設置者に、その旨通知する。
2. 記録保存責任者は、記録等を廃棄した際には、廃棄の記録を作成する。
3. 記録保存責任者は、院長の指示を受けて当該記録を廃棄する場合は、被験者のプライバシー及び治験依頼者の秘密を侵害しないよう適切に処分するものとする。
第 1 条(施行期日)
本規程は、2004 年 11 月 1 日より施行する。
本規程は、2005 年 5 月 2 日より施行する。
本規程は、2005 年 10 月 3 日より施行する。
本規程は、2009 年 4 月 1 日より施行する。
本規程は、2012 年 4 月 2 日より施行する。
本規程は、2015 年 7 月 1 日より施行する。