厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp)でも最新情報を提供しています。
有期労働契約の新しいルールができました
労働契約法改正のあらまし
厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署
厚生労働省ホームページ(xxxx://xxx.xxxx.xx.xx)でも最新情報を提供しています。
改正労働契約法のポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
改正法3つのルール
3
Ⅰ 無期労働契約への転換(第18条)・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ⅱ 「雇⽌め法理」の法定化(第19条)・・・・・・・・・・・・・・・・・
Ⅲ 不合理な労働条件の禁⽌(第20条)・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
8
9
【条⽂】労働契約法(平成19年法律第128号)抜粋 ・・・・・・・・・・・ 10
もくじ
【条⽂】労働契約法第⼗⼋条第⼀項の通算契約期間に関する基準を定める省令 11
参考1 有期労働契約に関するその他の規定
Ⅰ 1回の契約期間の上限(労働基準法第14条)・・・・・・・・・・・・・ 12
Ⅱ 労働契約締結時の労働条件の明⽰
(労働基準法第15条、労働基準法施⾏規則第5条)・・・・・・・・・・ 13
Ⅲ 雇⽌めの予告、雇⽌めの理由の明⽰、契約期間についての配慮
(有期労働契約の締結、更新及び雇⽌めに関する基準)・・・・・・・・ 14
参考2 労働契約法のその他の規定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
参考3 雇⽌めに関するこれまでの裁判例の傾向 ・・・・・・・・・・・・・・ 16
参考様式 無期労働契約転換申込書・受理通知書の様式例 ・・・・・・・・・・ 18
参考様式 モデル労働条件通知書(⼀般労働者⽤;常⽤、有期雇⽤型)・・・・・ 20
雇⽌めの慎重な検討について(労使の取り組みのお願い)・・・・・・・・・・・
24
2
働くすべての皆さま、事業主の皆さまへ
改正労働契約法のポイント
労働契約法は、労働契約に関する基本的なルールを規定した法律です。
今般「労働契約法の一部を改正する法律」が平成24年8月10日に公布され、有期労働契約について、労働契約法に下記の3つのルールが規定されました。
有期労働契約とは、1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約のことです。パート、アルバイト、派遣社員※、契約社員、嘱託など、いろいろな言い方で呼ばれてい
ますが、こうした有期労働契約で働くすべての人が、この新しいルールの対象となります。
※ 派遣社員は、派遣元(派遣会社)と締結される労働契約が対象となります。
🡪つのルール
有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。
Ⅱ 「雇⽌め法理」の法定化
最⾼裁判例で確⽴した「雇⽌め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。
⼀定の場合には、使⽤者による雇⽌めが認められないことになるルールです。
Ⅲ 不合理な労働条件の禁⽌
有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁⽌するルールです。
無期労働契約への転換
Ⅰ
Ⅱ:平成24年8⽉10⽇(公布⽇) ⅠとⅢ:平成25年4⽉1⽇
施行期日
有期労働契約は、パート労働、派遣労働をはじめ、いわゆる正社員以外の労働形態に多く見 られる労働契約のタイプです。有期労働契約で働く人は全国で約1,200万人と推計されます。
有期労働契約で働く人の約3割が、通算5年を超えて有期労働契約を繰り返し更新している実態にあり、その下で生じる雇止めの不安の解消が課題となっています。また、有期労働契約であることを理由として不合理な労働条件が定められることのないようにしていく必要もあります。
労働契約法の改正は、こうした問題に対処し、働く人が安心して働き続けることができる社会を実現するためのものです。
有期労働契約の利用に当たり、法改正の趣旨および内容を十分ご理解いただくよう、お願いします。また、有期労働契約に関する労働基準法の諸規定も順守していただくよう、あわせてお願いします。
3
Ⅰ 無期労働契約への転換(第18条)
同⼀の使⽤者との間で、有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換します。
このルールは、有期労働契約の濫⽤的な利⽤を抑制し、労働者の雇⽤の安定を図ることを
⽬的としています。
※ 通算契約期間のカウントは、平成25年4⽉1⽇以後に開始する有期労働契約が対象です。平成25年3⽉31⽇以前に開始した有期労働契約は、通算契約期間に含めません。
いつ無期転換の申込みができるか (無期転換の仕組み)
1年
1年
5年
1年
1年
1年
1年
③無期労働契約
←
←
←
←
←
←
←
②転換
①申込み
➃更新
更新
更新
更新
更新
締結
【契約期間が1年の場合の例】
通算5年を超えて契約更新した労働者が、その契約期間中に無期転換の申込みをしなかったときは、次の更新以降でも無期転換の申込みができます。
1年
1年
③無期労働契約
5年
3年
3年
③無期労働契約
←
←
←
②転換
①申込み
➃更新
【契約期間が3年の場合の例】
5年
5年
5年
③無期労働契約
←
~
←
←
←
←
②転換
①申込み
②転換
➃更新
①申込み
➃更新
締結
締結
【契約期間が5年の場合の例】
(注)1回の契約期間が3年を超える有期労働契約の締結が認められるのは、高度の専門的知識等を有する労働者や、満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約等に限られます。詳細は12ページを参照。
4
①申込み
平成25年4⽉1⽇以後に開始した有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合、その契約期間の初⽇から末⽇までの間に、無期転換の申込みをすることができます。
この申込みは、労働者の権利(無期転換申込権)であり、申込みをするかどうかは労働者の自由です。
! 申込みは、口頭で行っても法律上は有効です。しかし、口頭での申込みは、後日、申込みをし
たかどうかの争いが生じやすいという問題がありますので、労働者の方は、できるだけ書面で申込
みを行うことをお勧めします。また、申込みを受けた事業主の方は、その事実を確認するための書面を労働者 交付しておくことをお勧めします(様式例を18ページ 掲載)。
②転換
無期転換の申込み(①:4ページの図参照)をすると、使⽤者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約(③)がその時点で成⽴します。無期に転換されるのは、申込み時の 有期労働契約が終了する翌⽇からです。
①の申込みがなされると③の無期労働契約が成立するので、②時点で使用者が雇用を終了させようとする場合は、無期労働契約を解約(解雇)する必要がありますが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」には、権利濫用に該当するものとして解雇は無効となります。
また、②時点より前に使用者が有期契約労働者との契約関係を終了させようとする場合は、これに加えて、有期労働契約期間中の解雇となるので、「やむを得ない事由」がある場合でなければ解雇することはできません。
!
有期労働契約の締結時 、同一の使用者の下での過去の勤続(入職・離職)の状況や「通算契
約期間」 ついて、書面 より労使で十分確認しておくことは、無期転換の申込権の適切な行使
や、後日の紛争を防止する観点からも重要です。
なお、解雇については当然に労働基準法第20条の解雇予告等の規定の適用があります。
③無期労働契約
無期労働契約の労働条件(職務、勤務地、賃⾦、労働時間など)は、別段の定め がない限り、直前の有期労働契約と同⼀となります。別段の定めをすることにより、変更可能です。
「別段の定め」とは 、労働協約、就業規則、個々の労働契約(無期転換に当たり労働条件を変更することについての労働者と使用者との個別の合意)が該当します。
この場合、無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではありません。
なお、就業規則により別段の定めをする場合、労働契約法第7条から第10条までに定められている就業規則のルールを変更することになるものではありません(15ページ参照)。
有期労働契約の更新時に、所定労働日や始業終業時刻などの労働条件の定期的変更が行われていた場合に、無期労働契約への転換後も、それまでと同様に定期的にこれらの労働条件の変更を行うことができる旨の別段の定めをすることは、差し支えないと解されます。
また、無期労働契約に転換した後における解雇については、個々の事情により判断されるものですが、一般的には、勤務地や職務が限定されているなど労働条件や雇用管理がいわゆる正社員と大きく異なるような労働者については、こうした限定等の事情がない、いわゆる正社員と当然には同列に扱われ
ることにならないと解されます。
! 無期転換後の労働条件 ついては、労働協約、就業規則、個々の労働契約での「別段の定め」
がない限り、無期転換前と同一の労働条件が適用されます。無期転換した場合の労働条件ついては、労働者と使用者の間で認識 齟齬がないよう、あらかじめよく確認し合うととも 、無期転換前と異なる労働条件を適用する必要がある場合は、労働協約、就業規則、個々の労働契約で定めておくことが必要です。
➃更新
特 、定年など、有期契約労働者 は通常適用されない労働条件を無期転換後の労働条件として適用する必要がある場合 は、あらかじめ労働協約、就業規則、個々の労働契約 よりその内容を明確化しておくよう してください。
無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申
込権を放棄させることはできません(法の趣旨から、そのような意思表⽰は無効と解されます)。 5
通算契約期間の計算について(クーリングとは)
【カウントの対象となる契約期間が1年以上の場合】
■契約がない期間(6か⽉以上)が間にあるとき
空⽩期間の前はカウントに含めず
5年
1年 1年
1年
1年
6か⽉以上でクーリング
←
←
←
←
←
←
←
←
申込み
可能
更新
更新
更新
更新
更新
更新
更新
締結
有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間が6か⽉以上あるときは、その空⽩期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めません。これをクーリングといいます。
■契約がない期間はあるが、6か⽉未満のとき
有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間があっても、その⻑さが6か⽉未満の場合は、前後の有期労働契約の期間を通算します(クーリングされません)。
5年
1年
1年
1年
1年
1年
1年
無期労働契約
6か⽉未満は前後を通算
6か⽉未満は前後を通算
←
←
←
←
←
転換
申込み
可能
更新
更新
更新
締結
【カウントの対象となる契約期間が1年未満の場合】
「カウントの対象となる有期労働契約の契約期間(2つ以上の有期労働契約があるときは通算した期間)」の区分に応じて、「契約がない期間」がそれぞれ次の表の右欄に掲げる期間に該当するときは、契約期間の通算がリセットされます(クーリングされます)。
その次の有期労働契約の契約期間から、通算契約期間のカウントが再度スタートします。
カウントの対象となる | 契約がない期間 |
有期労働契約の契約期間 | |
2か⽉以下 | 1か⽉以上 |
2か⽉超〜4か⽉以下 | 2か⽉以上 |
4か⽉超〜6か⽉以下 | 3か⽉以上 |
6か⽉超〜8か⽉以下 | 4か⽉以上 |
8か⽉超〜10か⽉以下 | 5か⽉以上 |
10か⽉超〜 | 6か⽉以上 |
6
通算契約期間の計算について(カウント方法)
① 通算契約期間は、「同⼀の使⽤者」ごとに計算します。
!
事業主が、無期転換申込権が発生しないようする意図をもって、就業実態がそれまでと変わ
らない もかかわらず、派遣形態や請負形態を偽装し、労働契約の当事者を形式的他の事業主
切り替えた場合、通算契約期間の計算上は「同一の使用者」との労働契約が継続しているものと解されます。
有期労働契約の契約期間の途中や契約期間の満了の際に勤務先の事業場(事業所)が変わった場合でも、同じ事業主の事業場(事業所)間の異動であれば、契約期間は通算され、無期転換の申込みができるかどうかが判断されます。
② 通算契約期間の計算は、労働契約の存続期間で計算します。
育児休業などで勤務しなかった期間も、労働契約が続いていれば通算契約期間にカウントされます。⼀⽅で、有期労働契約の前後に契約のない期間がある場合、その期間は通算契約期間にカウントされません。
③ 通算契約期間の計算は、暦を⽤いて、年、⽉、⽇の単位で⾏います。
契約期間の初⽇から起算して、翌⽉の応当⽇(⽉違いの同⽇)の前⽇をもって「1か⽉」とします。複数の契約期間について1か⽉未満の端数がある場合には、その端数どうしを合算した後に、30⽇をもって1か⽉に換算(繰り⼊れ)します。
【例】 前の契約 平成25年4⽉5⽇〜同年7⽉15⽇ (3か⽉+11⽇間)
次の契約 平成25年8⽉3⽇〜同年10⽉1⽇ (1か⽉+29⽇間)の場合
(3か⽉+11⽇)+(1か⽉+29⽇)
=4か⽉+40⽇
=5か⽉+10⽇ となります。
7
Ⅱ 「雇⽌め法理」の法定化(第19条)
有期労働契約は、使⽤者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により雇⽤が終了します。これを「雇⽌め」といいます。雇⽌めについては、労働者保護の観点から、過去の最⾼裁判例により⼀定の場合にこれを無効とする判例上のルール(雇⽌め法理)が確⽴しています。
今回の法改正は、雇⽌め法理の内容や適⽤範囲を変更することなく、労働契約法に条⽂化しました。
⚫ 次の①、②のいずれかに該当する有期労働契約が対象になります。 | |
① 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇⽌めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの | |
★最高裁第xx法廷昭和49年7月22日判決(東芝xx工場事件)の要件を規定したもの | |
対象となる有期労働契約 | ② 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由(※)があると認められるもの ★最高裁第xx法廷昭和61年12月4日判決(日立メディコ事件)の要件を規定したもの (※)1.合理的な理由の有無については、最初の有期労働契約の締結時から雇⽌めされた有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる事情が総合的に勘案されます。 |
2.いったん、労働者が雇⽤継続への合理的な期待を抱いていたにもかかわらず、契約期間の満了前に更新年数や更新回数の上限などを使⽤者が⼀⽅的に宣⾔したとしても、そのことのみをもって直ちに合理的な理由の存在が否定されることにはならないと解されます。 | |
要件と効果 | ⚫ 上記の①、②のいずれかに該当する場合に、使⽤者が雇⽌めをすることが、 「客観的に合理的な理由を⽋き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇⽌めが認められません。従前と同⼀の労働条件で、有期労働契約が更新されま す。 |
必要な⼿続 | ⚫ 条⽂化されたルールが適⽤されるためには、労働者からの有期労働契約の更新の申込みが必要です(契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすれば条⽂化されたルールの対象となります)。 こうした申込みは、使⽤者による雇⽌めの意思表⽰に対して「嫌だ、困る」と⾔うなど、労働者による何らかの反対の意思表⽰が使⽤者に伝わるものでもかまわないと解されます。 ● また、雇⽌めの効⼒について紛争となった場合における「申込み」をしたことの主張・⽴証については、労働者が雇⽌めに異議があることが、例えば、訴訟の提起、紛争調整機関への申⽴て、団体交渉などによって使⽤者に直接または間接に伝えられたことを概括的に主張・⽴証すればよいと解されます。 |
8
Ⅲ 不合理な労働条件の禁⽌(第20条) |
同⼀の使⽤者と労働契約を締結している、有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期 |
間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁⽌するルールです。 このルールは、有期契約労働者については、無期契約労働者と⽐較して、雇⽌めの不安があることによって合理的な労働条件の決定が⾏われにくいことや、処遇に対する不満が多く指摘されていることを踏まえ、法律上明確化することとしたものです。 |
対象となる労働条件 | ⚫ ⼀切の労働条件について、適⽤されます。 ⚫ 賃⾦や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚⽣など、労働者に対する⼀切の待遇が含まれます。 |
⚫ 労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは、 ① 職務の内容(業務の内容および当該業務に伴う責任の程度) ② 当該職務の内容および配置の変更の範囲 ③ その他の事情 を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されます。 とりわけ、通勤⼿当、⾷堂の利⽤、安全管理などについて労働条件を相違させることは、上記①〜③を考慮して、特段の理由がない限り、合理的とは認められないと解されます。 ⮚解説 判断の⽅法 ● 「同⼀の使⽤者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同⼀であることをいうものであり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体 が法⼈であれば法⼈単位で判断されるものです。 ● ①は、労働者が従事している業務の内容および当該業務に伴う責任の程度を指します。 ②は、今後の⾒込みも含め、転勤、昇進といった⼈事異動や本⼈の役割の変化 など(配置の変更を伴わない職務の内容の変更を含む)の有無や範囲を指します。 ③は、合理的な労使の慣⾏などの諸事情が想定されます。 例えば、定年後に有期労働契約で継続雇⽤された労働者の労働条件が定年前の他の無期契約労働者の労働条件と相違することについては、定年の前後で、上記 ①、②等が変更されることが⼀般的であることを考慮すれば、特段の事情がない限り不合理と認められないと解されます。 | |
⚫ この規定は、⺠事的効⼒のある規定で、法第20条により不合理とされた労働条件の定めは無効となり、故意・過失による権利侵害、すなわち不法⾏為として損 効果 害賠償が認められ得ると解されます。 ⚫ この規定により、無効とされた労働条件については、基本的には、無期契約労働者と同じ労働条件が認められると解されます。 |
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【条文】労働契約法(平成19年法律第128号)抜粋
(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2 当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。
(有期労働契約の更新等)
第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)
第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。
附 則 (平成24年法律第56号)
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第二条並びに次項及び附則第三項の規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
2 第二条の規定による改正後の労働契約法(以下「新労働契約法」という。)第十八条の規定は、前項ただし書に規定する規定の施行の日以後の日を契約期間の初日とする期間の定めのある労働契約について適用し、同項ただし書に規定する規定の施行の日前の日が初日である期間の定めのある労働契約の契約期間は、同条第一項に規定する通算契約期間には、算入しない。
(検討)
3 政府は、附則第一項ただし書に規定する規定の施行後八年を経過した場合において、新労働契約法第十八条の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
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【条文】労働契約法第十八条第一項の通算契約期間に関する基準を定める省令
(法第十八条第二項の厚生労働省令で定める基準)
第一条 労働契約法(以下「法」という。)第十八条第二項の厚生労働省令で定める基準は、次の各号に掲げる無契約期間(一の有期労働契約の契約期間が満了した日とその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間がある場合の当該期間をいう。以下この条において同じ。)に応じ、それぞれ当該各号に定めるものであることとする。
一 最初の雇入れの日後最初に到来する無契約期間(以下この項において「第一無契約期間」とい
う。) 第一無契約期間の期間が、第一無契約期間の前にある有期労働契約の契約期間(二以上の有期労働契約がある場合は、その全ての契約期間を通算した期間)に二分の一を乗じて得た期間(六月を超えるときは六月とし、一月に満たない端数を生じたときはこれを一月として計算した期間とす る。)未満であること。
二 第一無契約期間の次に到来する無契約期間(以下この項において「第二無契約期間」という。)次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定めるものであること。
イ 第一無契約期間が前号に定めるものである場合 第二無契約期間の期間が、第二無契約期間の前にある全ての有期労働契約の契約期間を通算した期間に二分の一を乗じて得た期間(六月を超えるときは六月とし、一月に満たない端数を生じたときはこれを一月として計算した期間とする。)未満であること。
ロ イに掲げる場合以外の場合 第二無契約期間の期間が、第一無契約期間と第二無契約期間の間にある有期労働契約の契約期間(二以上の有期労働契約がある場合は、その全ての契約期間を通算した期間)に二分の一を乗じて得た期間(六月を超えるときは六月とし、一月に満たない端数を生じたときはこれを一月として計算した期間とする。)未満であること。
三 第二無契約期間の次に到来する無契約期間(以下この項において「第三無契約期間」という。)次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定めるものであること。
イ 第二無契約期間が前号イに定めるものである場合 第三無契約期間の期間が、第三無契約期間の前にある全ての有期労働契約の契約期間を通算した期間に二分の一を乗じて得た期間(六月を超えるときは六月とし、一月に満たない端数を生じたときはこれを一月として計算した期間とする。)未満であること。
ロ 第二無契約期間が前号ロに定めるものである場合 第三無契約期間の期間が、第一無契約期間と第三無契約期間の間にある全ての有期労働契約の契約期間を通算した期間に二分の一を乗じて得た期間(六月を超えるときは六月とし、一月に満たない端数を生じたときはこれを一月として計算した期間とする。)未満であること。
ハ イ又はロに掲げる場合以外の場合 第三無契約期間の期間が、第二無契約期間と第三無契約期間の間にある有期労働契約の契約期間(二以上の有期労働契約がある場合は、その全ての契約期間を通算した期間)に二分の一を乗じて得た期間(六月を超えるときは六月とし、一月に満たない端数を生じたときはこれを一月として計算した期間とする。)未満であること。
四 第三無契約期間後に到来する無契約期間 当該無契約期間が、前三号の例により計算して得た期間未満であること。
2 前項の規定により通算の対象となるそれぞれの有期労働契約の契約期間に一月に満たない端数がある場合は、これらの端数の合算については、三十日をもって一月とする。
(法第十八条第二項の厚生労働省令で定める期間)
第二条 法第十八条第二項の厚生労働省令で定める期間は、同項の当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間(一月に満たない端数を生じたときは、これを一月として計算した期間とする。)とする。
附 則
1 この省令は、労働契約法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十六号)附則第一項ただし書に規定する規定の施行の日(平成二十五年四月一日)から施行する。
2 第一条第一項の規定は、この省令の施行の日以後の日を契約期間の初日とする期間の定めのある労働契約について適用する。
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参考1 有期労働契約に関するその他の規定
今般の労働契約法改正で規定された3つのルールのほかにも、有期労働契約に関する労働基準法の規定及び関連する規則があります。これらについても⼗分ご留意ください。
Ⅰ 1回の契約期間の上限 (労働基準法第14条)
有期労働契約を締結する場合、1回の契約期間の⻑さについて、労働基準法第14条は次のように定めています。
原則 1回の契約期間の上限は3年
労働契約の契約期間の上限は原則3年です。期間の定めのある労働契約については、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において、労働契約を解除することができません。ただし、1回の契約期間が1年を超える有期労働契約(※1)を締結した労働者(※2)は、労働契約の期間の初⽇から1年を経過した⽇以後は、使⽤者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
※1…特例3に定めるものを除きます。
※2…特例1または2に該当する労働者は除きます。
特例1 ⾼度の専⾨的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約
→1回の契約期間の上限は5年
⾼度の専⾨的知識等を有する労働者とは、次の①から⑦のいずれかに該当する労働者をいいます。
1回の契約期間が3年超5年以内となる有期労働契約は、次の①から⑦のいずれかに該当する労働者が、そのような⾼度の専⾨的知識等を必要とする業務に就く場合に、締結することができます。
① 博⼠の学位を有する者
② 公認会計⼠、医師、⻭科医師、獣医師、弁護⼠、⼀級建築⼠、税理⼠、薬剤師、社会保険労務⼠、不動産鑑定⼠、技術⼠または弁理⼠
③ システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
➃ 特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
⑤ ⼤学卒で5年、短⼤・⾼専卒で6年、⾼卒で7年以上の実務経験を有する農林⽔産業・鉱
⼯業・機械・電気・建築・⼟⽊の技術者、システムエンジニア⼜はデザイナーで、年収が 1,075万円以上の者
⑥ システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1,075万円以上の者
⑦ 国等によって知識等が優れたものであると認定され、上記①から⑥までに掲げる者に準ずるものとして厚⽣労働省労働基準局⻑が認める者
特例2 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約
→1回の契約期間の上限は5年
特例3 ⼀定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設⼯事等)
→その期間
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有期労働契約の継続・終了について予測可能性と納得性を⾼め、紛争の防⽌につなげるため、労働基準法施⾏規則第5条が改正され、労働契約締結時に、契約期間とともに「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準」も書⾯の交付によって明⽰しなければならない事項となります(平成25年4⽉1⽇から施⾏)。
Ⅱ 労働契約締結時の労働条件の明⽰
(労働基準法第15条、労働基準法施⾏規則第5条)
労働契約の締結時に明⽰しなければならない事項
① 契約期間の明⽰
・期間の定めなし
・期間の定めあり(
年
⽉
⽇〜
年
⽉
⽇)
② 更新の基準の明⽰(平成25年4⽉1⽇より追加)
(1) 更新の有無の明⽰
具体的な内容については、下記の例を参考にしてください。
・ ⾃動的に更新する
・ 更新する場合があり得る
・ 契約の更新はしない など
(2) 更新の基準の明⽰
具体的な内容については、下記の例を参考にしてください。
・ 契約期間満了時の業務量により判断する
・ 労働者の勤務成績、態度により判断する
・ 労働者の能⼒により判断する
・ 会社の経営状況により判断する
・ 従事している業務の進捗状況により判断する など
※ 有期労働契約の更新をしないことが明らかな場合は、更新の基準の明⽰義務はありません。
◆モデル労働条件通知書(20〜23ページ)もご活⽤ください。
し合ったうえで、使⽤者が労働契約の内容を記載した書⾯を労働者に交付することなどが考えられます。
また、労働契約書や労働条件通知書(20〜23ページ参照)、同⼀の使⽤者の下での過去の勤続の状況を記載した書⾯など、無期労働契約への転換の申込みの際に通算契約期間の確認ができる書類を保存しておくことが望まれます。
労働契約の内容は、できる限り書⾯で確認を
労働者と使⽤者は、労働契約の内容(有期労働契約に関する事項を含む)について、できる限り書⾯により確認するものとされています。(労働契約法第4条第2項)
労働基準法第15条第1項は、労働契約の締結時に労働条件を明⽰することを義務付けていますが、労働契約法は、労働契約が継続している間の各場⾯で、労働条件や契約内容を確認することを求めています。
例えば、労働契約締結後に就業環境や労働条件が⼤きく変わるとき、労働者と使⽤者が話
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Ⅲ 雇⽌めの予告、雇⽌めの理由の明⽰、契約期間についての配慮
(有期労働契約の締結、更新及び雇⽌めに関する基準)
有期労働契約の「雇⽌め」をめぐるトラブルの防⽌や解決を図り、有期労働契約が労使双
⽅から良好な雇⽤形態の⼀つとして活⽤されるようにするために、厚⽣労働省では、労働基準法第14条第2項に基づき、「有期労働契約の締結、更新及び雇⽌めに関する基準」(平成 15年厚⽣労働省告⽰第357号)を策定しています。
また、労働基準監督署は、この基準に関して、使⽤者に対して必要な助⾔や指導を⾏っています。
雇⽌めの予告
使⽤者は、有期労働契約(※)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する⽇の30
⽇前までに、その予告をしなければなりません(あらかじめその契約を更新しない旨が明⽰されている場合を除きます)。
(※) 雇⽌めの予告の対象となる有期労働契約
① | 3回以上更新されている場合 |
② | 1年以下の契約期間の有期労働契約が更新または反復更新され、最初に有期労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合 |
③ | 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合 |
雇⽌めの理由の明⽰
使⽤者は、雇⽌めの予告後に労働者が雇⽌めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。雇⽌めの後に労働者から請求された場合も同様です。
明⽰すべき「雇⽌めの理由」は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。下記の例を参考にしてください。
・ 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
・ 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に係るものであるため
・ 担当していた業務が終了・中⽌したため
・ 事業縮⼩のため
・ 業務を遂⾏する能⼒が⼗分ではないと認められるため
・ 職務命令に対する違反⾏為を⾏ったこと、無断⽋勤をしたことなど勤務不良のため
契約期間についての配慮
使⽤者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇⽤している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態およびその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り⻑くするよう努めなければなりません。
★ 上記のほか、現⾏の告⽰では、更新の有無・更新の判断基準について、明⽰することが求め られています(平成25年4⽉1⽇からは、労働基準法施⾏規則で、「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準」を書⾯の交付により明⽰することが義務付けられます。前ページ参照)。
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参考2 労働契約法のその他の規定
労働契約法には、有期労働契約に関するルールのほか、労働契約についての基本的なルールがわかりやすい形で規定されています。主なものは次のとおりです。
有期労働契約の契約期間中の解雇等に関するルール
● 使⽤者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができません。
第17条第1項
● 使⽤者は、有期労働契約によって労働者を雇い⼊れる⽬的に照らして、契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮しなければなりません。
無期労働契約の解雇のルール
● 解雇は、客観的に合理的な理由を⽋き、社会通念上相当であると認められないときは、その権利を濫⽤したものとして、無効とされます。
労働契約の締結等に関する基本的なルール
● 労働者と使⽤者は、労働契約の締結や変更に当たっては、就業の実態に応じて、均衡を考慮するものとされています。
● 使⽤者は、労働者に提⽰する労働条件および労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとされています。
労働契約の成⽴と変更に関するルール
● 労働者と使⽤者が、「労働すること」「賃⾦を⽀払うこと」について合意すると、労働契約が成⽴します。
● 労働者と使⽤者が労働契約を結ぶ場合に、使⽤者が、
① 合理的な内容の就業規則を、
② 労働者に周知させていた(労働者がいつでも⾒られる状態にしていた)場合には、就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件になります。
● 労働者と使⽤者が、就業規則とは違う内容の労働条件を個別に合意していた場合には、その合意していた内容が、労働者の労働条件になります。
● 労働者と使⽤者が個別に合意していた労働条件が、就業規則を下回っている場合には、労働者の労働条件は、就業規則の内容まで引き上がります。
● 法令や労働協約に反する就業規則は、労働者の労働条件にはなりません。
● 労働者と使⽤者が合意すれば、労働契約を変更できます。
● 使⽤者が就業規則を⼀⽅的に変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。
● 使⽤者が就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、次のことが必要です。
① その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。
・ 労働者の受ける不利益の程度
・ 労働条件の変更の必要性
・ 変更後の就業規則の内容の相当性
・ 労働組合等※との交渉の状況
※ 「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者のほか、少数労働組合や、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体など労働者の意思を代表する者が広く含まれます。
② 労働者に変更後の就業規則を周知させること。
第17条第2項
第16条
第3条第2項
第4条第1項
第6条
第7条本⽂
第7条ただし書
第12条
第13条第8条
第9条
第10条
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参考3 雇⽌めに関するこれまでの裁判例の傾向
雇⽌めについて争われた裁判例を⾒ると、6つの判断要素を⽤いて契約関係の状況を総合的に判断しています。その中には、⺠法の原則どおり契約期間の満了により当然に契約関係が終了するものと判断した事案ばかりではなく、契約関係の終了に制約を加え、解雇に関する法理の類推適⽤などにより雇⽌めの可否を判断し、結果として雇⽌めが認められなかった事案も少なくありません。
また、裁判例について類型化を試みると、有期労働契約を4つのタイプに分けることができ、各タイプごとに判断要素に関する状況や雇⽌めの可否について⼀定の傾向が⾒られます。
判断要素 | 具体例 |
○ 従事する仕事の種類・内容・勤務の形態(業務内容の恒常性・臨時性、業務内容についての正社員との同⼀性の有無など) | |
1.業務の客観的内容 | |
2.契約上の地位の性格 | ○ 地位の基幹性・臨時性(嘱託・⾮常勤講師など) ○ 労働条件についての正社員との同⼀性の有無 |
3.当事者の主観的態様 | ○ 継続雇⽤を期待させる当事者の⾔動・認識の有無・程度等(採⽤に際しての雇⽤契約の期間や、更新ないし継続雇⽤の⾒込み等についての雇主側からの説明など) |
4.更新の⼿続・実態 | ○ 契約更新の状況(反復更新の有無・回数、勤続年数など) ○ 契約更新時における⼿続の厳格性の程度(更新⼿続の有無・時期・⽅法、更新の可否の判断⽅法など) |
5.他の労働者の更新状況 | ○ 同様の地位にある他の労働者の雇⽌めの有無など |
6.その他 | ○ 有期労働契約を締結した経緯 ○ 勤続年数・年齢等の上限の設定など |
有期労働契約4つのタイプ別裁判例
契約関係の状況 | 1 期間満了後も雇⽤関係が継続するものと期待することに合理性は認められないもの | 2 期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に⾄っている契約であると認められたもの | 3 雇⽤継続への合理的な期待が認められる契約であるとされ、その理由として相当程度の反復更新の実態が挙げられているもの | 4 雇⽤継続への合理的期待が、当初の契約締結時等から⽣じていると認められる契約であるとされたもの |
純粋有期契約タイプ | 実質無期契約タイプ | 期待保護(反復更新)タイプ | 期待保護(継続特約)タイプ | |
事案の特徴 | ● 業務内容が臨時的な事案があるほか、臨時社員など契約上の地位が臨時的な事案が多い。 ● 契約当事者が期間満了により契約期間が終了すると明確に認識している事案が多い。 ● 更新の⼿続が厳格に⾏われている事案が多い。 ● 同様の地位にある労働者について過去の雇⽌めの例がある事案が多い。 <代表的な裁判例>亜細亜⼤学事件 東京地裁 昭60(ワ)5740号昭63・11・25判決 | ● 業務内容が恒常的であり、更新⼿続が形式的な事案が多い。 ● 雇⽤継続を期待させる使⽤者の⾔動が認められる事案が多い。 ● 同様の地位にある労働者について過去に雇⽌めの例がほとんどない事案が多い。 <代表的な裁判例>東芝柳町⼯場事件最⾼裁第⼀⼩法廷 昭45(オ)1175号 昭49・7・22判決 | ● 業務内容が恒常的であり更新回数が多い。 ● 業務内容が正社員と同⼀でない事案がある。 ● 同様の地位にある労働者について過去に雇⽌めの例がある事案がある。 <代表的な裁判例> ⽇⽴メディコ事件最⾼裁第⼀⼩法廷昭56(オ)225号 昭61・12・4判決 | 、● 更新回数は概して少なく、契約締結の経緯 等が特殊な事例が多い。 <代表的な裁判例>福岡⼤和倉庫事件 福岡地裁 昭62(ワ)3383号 平2・12・12判決 |
雇止めの可否 | 原則どおり契約期間の満了によって当然に契約関係が終了するものとして、雇⽌めの効⼒は認められる。 | ほとんどの事案で雇⽌めは認められていない。 | 経済的事情による雇⽌めについて、正社員の整理解雇と判断基準が異なるとの理由で、雇⽌めを認めた事案がかなり⾒られる。 | 当該契約に特殊な事情等の存在を理由として雇 ⽌めを認めない事案が多い。 |
解雇に関する法理の類推などにより契約関係の終了に制約 |
16 ◆裁判例の傾向は、「有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告」(平成12年)をもとに取りまとめたものです。
参考様式 無期労働契約転換申込書・受理通知書の様式例
参考様式 モデル労働条件通知書(⼀般労働者⽤;常⽤、有期雇⽤型)
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参考様式 無期労働契約転換申込書・受理通知書の様式例
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左ページの様式例は、無期労働契約転換申込書と無期労働契約転換申込み受理通知
書の様式をモデル的に⽰したものです。
これと異なる⽅法で申込み⼿続を定めることや、様式の記載事項、提出先、体裁等
を異なるものとすることなど、使⽤者の実情に応じて対応いただくことができます。
(備考)
1. 使⽤者は、労働者から無期労働契約への転換の申込みがあったときは、紛争を防⽌する観点から、必要に応じ事実関係を確認のうえ、すみやかに受理通知書を交付することが望ましいものです。
2. 労働契約法第18条の要件を満たす労働者から無期転換の申込みがあったときは、使
⽤者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約が成⽴したものとされるため、労働基準法第15条の規定に基づき、使⽤者は労働条件の明⽰が必要となります。
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参考様式 モデル労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)
※ このモデル様式は、一般労働者用です。短時間労働者・派遣労働者・建設労働者・林業労働者については、別のモデル様式を厚生労働省ホームページ(24ページ参照)に公表していますので、あわせてご活用ください。
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雇⽌めの慎重な検討について(労使の取り組みのお願い)
無期労働契約への転換ルールの導⼊は、有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合に、労働者からの申込みによって無期労働契約に転換することができるようにすることにより、労働者の雇⽤の安定を図ろうとするものですが、このルールの導⼊に伴い、有期契約労働者が無期労働契約への転換前に雇⽌めとなる場合が増加するのではないかとの⼼配があります。
このため、雇⽤の安定がもたらす労働者の意欲や能⼒の向上や、企業活動に必要な⼈材の確保に寄与することなど、無期転換がもたらすメリットについても⼗分にご理解いただき、雇⽌めの判断に当たっては、その実際上の必要性を⼗分慎重に検討のうえ、御対応いただくようお願いします。
また、有期労働契約を5年を超えて繰り返し更新することが⾒込まれる場合には、無期転換が円滑に進むよう、無期転換後の労働条件の在り⽅について、労使で、あらかじめよく話し合い、就業規則や労働契約書などに規定しておくことをお勧めします。
こうした労使の取り組みに加え、厚⽣労働省としても、雇⽌めや無期転換などに関する労使間の紛争の未然防⽌に資するよう、企業へのきめ細かい⽀援を⾏ってまいります。
詳しくは、厚⽣労働省ホームページをご覧ください
改正労働契約法 パンフレット、条文、施行通達など
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/
モデル労働条件通知書 様式 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/ pamphlet.html
都道府県労働局・労働基準監督署・総合労働相談コーナー 所在地一覧
http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/
(総合労働相談コーナー)
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
(H24.12)
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