1. 基本情報 (1)案件名 「障害者のためのバリアフリー環境促進及び就労支援事業」(実施国:ラオス人民民主共和国) (2)贈与契約締結日及び事業期間 ・贈与契約締結日:2012 年 3 月 19 日・事業期間:2012 年 3 月 19 日~2013 年 3 月 18 日・延長事業期間:1 ヵ月と 13 日間 2013 年 4 月 30 日まで (3)供与限度額及び実績(返還額) ・供与限度額:38,024,449 円・実績:38,024,449 円(返還額:0 円)...
日本NGO連携無償資金協力 完了報告書
1. 基本情報 | |
(1)案件名 | 「障害者のためのバリアフリー環境促進及び就労支援事業」 (実施国:ラオス人民民主共和国) |
(2)贈与契約締結日及び事業期間 | ・贈与契約締結日:2012 年 3 月 19 日 ・事業期間:2012 年 3 月 19 日~2013 年 3 月 18 日 ・延長事業期間:1 ヵ月と 13 日間 2013 年 4 月 30 日まで |
(3)供与限度額 及び実績(返還額) | ・供与限度額:38,024,449 円 ・実績:38,024,449 円(返還額:0 円) |
(4)団体名・連絡先、事業担当者名 | (イ)団体名: 特定非営利活動法人 難民を助ける会 Association for Aid and Relief, Japan (AAR Japan) (ロ)電話:00-0000-0000 (ハ)FAX:00-0000-0000 (ニ)E-mail:xxxxx@xxxxxxxx.xx.xx (ホ)事業担当者名:xxx xx |
(5)事業変更の有無 | 事業変更の有無:有 申請日:2013 年 2 月 19 日 承認日:2013 年 2 月 25 日 内容:事業期間および経費配分変更(障害者多機能センター利用者送迎用車両価格の上昇による資機材購入費等の超過につき、予算移動による経費配分を実施) |
2.事業の概要と成果 | |
(1)上位目標の達成度 | バリアフリー環境の促進については、本事業で建設した障害者向け多機能センターで普及啓発活動を実施した。センター訪問イベントにはラオス国立大学の学生を中心とした 168 名が参加しバリアフリーの基本的な概念を学んだ。障 害者を対象としたバリアフリーワークショップには 43 名の障害者とその家族が参加し、自宅で実施することが可能なバリアフリー化等について学んだ。ビエンチャン市内 8 ヵ所の郡病院及びビエンチャン県バンソムサヌック村ではバリアフリー工事を実施し、病院利用者から利用が容易になったとの評価を得た。 職業訓練事業については、キノコ栽培研修に 29 名、調理・食堂経営研修に 21 名の障害者が参加した。キノコ栽培研修に関しては、研修受講者 29 名中 22名が研修後に本格的な栽培に取り組み、15 名が収入を得始めた。調理・食堂経営研修に関しては、研修受講者 21 名中 20 名が上記多機能センターに併設したレストランでの勤務や自宅近くでの小規模な店舗の開業を通して継続的に 収入を得ている。 |
(2)事業内容 | (イ)障害者向け多機能センターの建設と施設整備と職員の能力強化 2012 年 4 月にラオス障害者協会(Lao Disabled People’s Association、以下 LDPA)の活動拠点となる障害者向け多機能センターの建設を開始した。 2012 年 10 月末に同センターは完成し、11 月 14 日に完成式典を開催した。同センター内にはバリアフリー環境促進コーナー(バリアフリー器具の見本や使い方の展示)を設置した。 また、ビエンチャン市内には、車いすに対応したバス等の交通機関がないため、車いすを使用する障害者の移動手段は限られている。こうした障害者が同センターに通えるよう、送迎用車両(トラック)を購入し、乗降のための取り外し式のスロープを設置した。本事業で行った職業訓練の受講者や LDPA で行われるイベント参加者を送迎する際に、同トラックを利用した。 LDPA の団体運営管理能力の強化のため、障害当事者の LDPA 職員 2 名(男性、女性各 1 名)が当会ラオス事務所に常勤し、共同で事業を実施した。下記(ハ)の職業訓練のうち、男性職員はキノコ栽培、女性職員は調理・食堂経営研修を担当し、当会職員と共同で受講生となる障害者の選定、研修の実施、その後のモニタリングを行った。加えて、下記(ロ)で述べる多機能センターで定期的に行ったバリアフリーワークショップ実施の際は、彼らがバリアフリーの概要の説明を行った。 (ロ)バリアフリー環境の普及 ビエンチャン市内の 8 ヵ所の郡病院およびビエンチャン県ソムサヌック村 (ハンセン病感染者が多く住む村)の医療施設や公衆トイレ等において、段差箇所へのスロープの取り付けや手すり付きトイレの導入といったバリアフリー工事を行った。尚、当初工事を予定していたシコタボン病院については、今後数年以内に建て替え工事が予定されていることが判明したため、本事業では、バリアフリー工事を実施せず、当会及び LDPA がバリアフリーに関する助言や提案を行った。8 ヵ所の郡病院およびxxでの工事完了後には、各施設関係者が各自責任をもって維持管理することを確認し、また、バリアフリーの概 要を説明し、障害者が公共施設を利用する際の注意点等を伝えた。 |
上記(イ)で述べた多機能センターの完成後には、障害者とその家族を対象にしたバリアフリーワークショップを 3 回実施し、計 43 名の障害者が参加した。同ワークショップでは、トイレに木の杭を取り付けて手すりにする方法や、ドアの入り口にスロープを取り付ける方法等、自宅でも実施可能なバリアフリー化に関する講習を行った。また、学生や行政関係者等を対象としたセンター訪問イベントを 2012 年 12 月から 2013 年 4 月末にかけて 10 回実施し、計 168名が参加した。同イベントの参加者の多くは、車いすやその他補助具等に接するのは初めてだったため、それらの機能の説明および利用方法について説明を行った後、それらの器具を実際に体験する時間を設けた。 (ハ)障害者への職業訓練の提供 ①調理・食堂経営研修 ラオス女性同盟(Laos Women’s Union)の協力を得て、計 21 名(女性 18 名、男性 3 名)の障害者を対象に調理・食堂経営研修を実施した。研修生を選定する際には、当会職員と LDPA 職員が各障害者の自宅で面接を行い、家庭の経済状況や家族構成、研修参加を希望する理由等を確認した。研修では、xxxの代表的な料理の作り方の他に、衛生管理や接客の仕方等についても講義を行った。研修終了後、受講生は、本事業で建設した多機能センターに併設するレストランや、自宅の敷地等で屋台販売を実施した。当会職員及び LDPA 職員は、研修終了後も随時モニタリングを行い、経営や販売促進に関する助言を行った。研修の詳細は以下の通りである。 ・第 1 回調理・食堂経営研修(研修期間:9/26-10/9、受講生 11 名) 受講生のうち 11 名は研修終了後に、2012 年 11 月に開設した障害者向け多 機能センターに併設されたレストランで勤務を開始し、麺料理 2 種類と豆乳を販売した。本事業期間中は調理研修を担当した講師がレストランに常勤し、受講生は料理の作り方や接客、レストランの会計・経営について学んだ。 ・第 2 回調理・食堂経営研修(研修期間:3/18-3/22、受講生 10 名) 受講生 9 名は、研修後 4 つのグループに分かれ、自宅や村の集会所等で屋台販売を開始し、麺料理や豆乳、野菜で作った揚げお菓子等を販売した。 ②キノコ栽培研修 ラオス農業省の植物保護センター(Plant Protection Center: PPC)と協力し、3 村 29 名の障害者を対象に 5 日間のキノコ(ヒラタケの一種)栽培研修 を 3 回実施した。研修内容には、栽培方法以外に、マーケティングや会計、在庫管理の仕方、障害に関する啓発についての講義も含まれており、啓発については、障害当事者である LDPA 職員が、自身の体験を交えつつ、障害者の権利について講義を行った。 研修終了後に本格的な栽培を開始するため、受講生に材料を提供した。提供した材料による栽培・収穫が終わった後も、受講生が自ら材料を購入し栽培が続けられた。収穫および販売の集計記録は添付書類②の通りである。栽培と販売の実施にあたっては、当会および LDPA 職員が、各グループ内で作業が分担され、収穫量が的確に記録されているか、また、利益はxxに配分されている か等を確認するため随時モニタリングを行った。 |
(3)達成された効果 | (イ)障害者向け多機能センターの建設と施設整備と職員の能力強化 障害者向け多機能センターは、10 月末の完成後、広く活用されている。本事業では、50 名の障害者を対象に職業訓練を実施したが、そのうち 18 名は同センター内の職業訓練スペースで受講した。また、同センターで行われたバリアフリーワークショップ等には、計 211 名が参加した。 本事業に関わった LDPA 職員の事業運営・管理能力も当会職員との協働により強化され、上述のバリアフリーワークショップの責任者として、本事業終了後も継続して訪問者への説明等を行っている。 (ロ)バリアフリー環境の普及 8 ヵ所の郡病院およびxxでのバリアフリー工事を完了した。工事終了後 には、工事を行った病院スタッフや利用者等 56 名に対するアンケート調査を行った。その結果、全ての回答者から、スロープ及びトイレを改修したことにより、施設が利用しやすくなった、院内の移動が楽になった等の回答を得た。また、上記イ)のとおり、障害者向け多機能センターで行われたバリアフリーワークショップ等には、計 211 名が参加し、バリアフリー環境の必要性および重要性についての理解を深めた。 (ハ)障害者への職業訓練の提供 キノコ栽培に関しては、受講生 29 名中 22 名が研修終了後も栽培を継続し、 うち 15 名が収入を得始めている。調理・食堂経営に関しては、受講生 21 名中 20 名が研修終了後に障害者向け多機能センターに併設されたレストランおよび自宅近くで屋台販売を開始した。 |
(4)持続発展性 | 本事業終了後、LDPA は他団体から支援を得ている団体運営費から障害者向け多機能センターの維持管理費や光熱費を捻出している。同センター内の会議室や研修室は、事業期間に引き続き LDPA が行う他の研修等に活用されている。現在は、週平均約 40 名が同センターを訪れている。本事業に関わった LDPA職員 2 名も勤務を継続しており、同センターに設置したバリアフリー展示室もワークショップやその他のイベントに随時活用できる体制となっている。加えて、上記(2)(イ)で述べた送迎用車両(トラック)については、LDPA に譲渡し、LDPA が燃料費等を負担し使用を続けている。 8 ヵ所の郡病院におけるバリアフリー工事については、工事箇所の維持管理は各郡病院が責任をもって行っていくという合意書をそれぞれの病院と交わした。 事業終了後もキノコ栽培を続けている障害者は、彼らが住む地域の周辺住民への販売のみで利益を出せるようになっている。調理・食堂経営研修を受講し、屋台販売を始めた障害者についても顧客が確保できており、今後も継続して収 入が得られることが見込まれる。 |
3.事業管理体制、その他 | |
(1)特記事項 | 特になし。 |
【添付書類】
① 事業内容、事業の成果に関する写真
② キノコ栽培研修 収穫および販売集計記録
③ 日本NGO連携無償資金収支表(様式4-a)
④ 外部監査報告書
平成 25 年 7 月 26 日
特定非営利活動法人 難民を助ける会理事x x(志邨)xxx 印