主たる事業 A 資本金の額または出資の総額 B 企業全体で常時雇用する従業員数 小売業(飲食店を含む) 5,000 万円以下 50 人以下 サービス業 5,000 万円以下 100 人以下 卸売業 1 億円以下 100 人以下 その他の業種 3 億円以下 300 人以下
Ⅲ 関係法令、制度及びxx採用
知っておきたい労働基準法等
1
区分 | 事項 |
1.労働条件の明示 (法 15) (則 5) | 労働契約を結ぶに当たっては、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。明示すべき労働条件としては、下記のとおりです。 ① 労働契約の期間に関する事項 ② 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(期間満了後に更新する場合があるものに限る) ③ 就業場所及び従事すべき業務に関する事項 ④ 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を 2 組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項 ⑤ 賃金(退職手当及び⑧に規定する賃金を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払いの時期並びに昇給に関する事項 ⑥ 退職に関する事項(解雇の事由を含む) ⑦ 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項 ⑧ 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び1箇月を超える期間について支給される手当並びに最低賃金額に関する事項 ⑨ 労働者に負担させるべき食費、作業用品、その他に関する事項 ⑩ 安全及び衛生に関する事項 ⑪ 職業訓練に関する事項 ⑫ 災害補償及び業務外の疾病扶助に関する事項 ⑬ 表彰及び制裁に関する事項 ⑭ 休職に関する事項 なお、①から⑥までの各事項については、書面の交付により明示しなければならず(昇給に関する事項を除く)、⑦から⑭までの各事項については、これらに関する制度を設けた場合に明示する必要があります。 |
2 賃金の支払い (法 24) | 賃金は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月 1 回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。また、賃金から税金、社会保険料等法令で定められているもの以外を控除する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との「賃金の一部控除に関する協定(書)」が必要です。なお、労働者の同意を得た場合には、労働者の指定する金融機関の本人名 義の預貯金口座へ振り込みにより支払うことができます。 |
3.貯蓄金の管理 (法 18) (則 5 の 2) | 労働契約に附随して、賃金の全部あるいは一部を貯蓄させること並びに貯蓄金を管理することの契約はできないことになっています。 貯蓄金を使用者が労働者の委託を受けて管理しようとする場合には労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者と書面による協定を、労働基準監督署長に届け出ることが必要です。 この貯蓄管理の場合、いわゆる通帳保管と社内預金の場合がありますが、社内預金の場合は、① |
預金者の範囲、②預金者の1人当たりの預金額の限度、③預金の利率及びxxの計算方法、④預金 の受入れ及び払戻しの手続き、⑤預金の保全の方法、について書面により協定することが必要です。 | |
4.最低賃金 (最賃法 4) | 最低賃金の対象となる賃金は、通常の労働時間、労働日に対応する賃金に限られます。具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象になります。 (1) 臨時に支払われる賃金(結婚手当など) (2) 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など) (3) 所定労働時間を超える労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など) (4) 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など) (5) 午後 10 時から午前 5 時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など) (6) 精皆勤手当、通勤手当、家族手当 最低賃金は、常時・臨時・パート・アルバイトなど雇用形態や名称の如何を問わず、すべての労働者に適用されます。 実際の賃金が最低賃金額を上回っているかどうかを調べるためには、(1)~(6)の除外賃金を差し引いた賃金額と適用される最低賃金額を次の方法で比較します。 ① 時間給の場合 … 時間給≧最低賃金 ② 日給の場合 … 日給÷1 日の所定労働時間≧最低賃金 ③ 時間給、日給以外の場合 … 賃金額を時間当たりの金額に換算し、最低賃金と比較します。 |
5.割増賃金 (法 37) | 労働者に法定労働時間を超える時間外、深夜(原則として午後 10 時~午前 5 時)に労働させた場合には通常の賃金額の 2 割 5 分以上、法定休日(1 週間で 1 日、もしくは 4 週間で 4 日の休日)に労働させた場合には 3 割 5 分以上の率で計算した割増賃金を支払わなくてはなりません。 なお、時間外労働が深夜に及んだ場合の割増率は 5 割以上、法定休日労働が深夜に及んだ場合の割増率は 6 割以上となります。 また、1 箇月に 60 時間を超えた法定時間外労働については、割増率が 5 割以上に引き上げられます。(中小企業(※)の場合は、2023 年 4 月 1 日から) この場合、事業場で労使協定を締結すれば、1 箇月に 60 時間を超える時間外労働を行った労働者に対して、法的割増賃金の引き上げ分((例)25%から 50%に引き上げた差の 25%分)の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を付与することができます。 労働者がこの有給の休暇を取得した場合でも 25%の割増賃金の支払いは必要です。 (※)該当する中小企業 割増賃金の計算に当たっては、①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住居手当(住宅に要する費用に応じて算定される手当に限る)、⑥臨時に支払われた賃金、⑦一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金、を除いたほかのすべての諸手当は計算の基礎に含まれます。 |
主たる事業 | A 資本金の額または出資の総額 | B 企業全体で常時雇用する従業員数 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000 万円以下 | 50 人以下 |
サービス業 | 5,000 万円以下 | 100 人以下 |
卸売業 | 1 億円以下 | 100 人以下 |
その他の業種 | 3 億円以下 | 300 人以下 |
6.労働時間 (法 32) (則 25 条の 2) | 原則として、法定労働時間は、1 週 40 時間、1 日 8 時間です。ただし、以下の場合は特例措置があります。 ○ 特例措置対象事業場の場合 常時 10 人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保険衛生業及び接客娯楽業の事業場(特例措置対象事業場)については、1 週 44 時間、1 日 8 時間まで認められています。 |
7.休憩 (法 34) | (1) ある程度労働が継続すると誰しも疲労を覚え能率も低下します。そのため仕事を中断して蓄積した疲労を回復させる必要があります。そこで労働時間が、 ① 6 時間を超える場合は、少なくとも 45 分 ② 8 時間を超える場合は、少なくとも 1 時間 の休憩時間を労働時間の途中に与えなければなりません。 (2) 所定労働時間が 8 時間以下で、休憩を 45 分にしている場合、時間外労働でその日の労働時間が 8 時間を超えるときは、さらに 15 分間の休憩時間を与えることが必要です。 |
8.休日 (法 35) | (1) 休日は原則として毎週 1 回以上与えなければなりません。(週休制) (2) 週休制をとることが困難な場合には、4 週間に 4 日以上の休日を与えれば週休制の原則によらなくても差し支えありませんが、4 週間の起算日を明らかにし、できる限り休日は特定してください(変形休日制) |
9.時間外及び休日労働 (法 36) (則 16) | 時間外または休日労働をさせる場合には労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者と労使協定を締結し、事前に所轄の労働基準監督署に届け出なければなりません。 協定する事項は次のとおりです。なお、2019 年 4 月 1 日施行の改正労働基準法により、延長できる労働時間の限度の上限が定められました。中小企業は 2020 年 4 月 1 日から適用されます。 ① 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合 ② 労働時間を延長し、または休日に労働させることができる労働者の範囲 ③ 対象時間(1 年間に限る) ④ 1 年の起算日 ⑤ 有効期間 ⑥ 対象期間における 1 日、1 箇月、1 年における延長することができる労働時間※、労働させることができる休日の日数 ⑦ 当該時間外・休日労働協定の有効期間 ⑧ 1 年について労働時間を延長して労働させることができる時間の起算日 ⑨ 時間外労働+休日労働の合計が 月 100 時間未満 2~6 か月平均 80 時間以内を満たすこと ※1 箇月 45 時間かつ 1 年 360 時間まで。対象期間が 3 か月を超える 1 年単位の変形労働時間制の場合は、1 箇月 42 時間かつ 1 年 320 時間まで 臨時的な特別な事情によって原則の限度時間を超えて労働させる必要がある場合には、あらかじめ特別条項付きの協定を締結していれば、その範囲で限度時間を延長することができます。臨時的 な特別な事情については、できる限り具体的に定める必要があり、「業務の都合上必要な場合」「業 |
務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。特別条項付きの協定で定める必要がある事項は次の通りです。 ① 臨時的に限度時間を超えて労働させることができる労働時間 ・1 年の時間外労働時間数(720 時間以内 時間外労働のみ) ・1 月の時間外+休日労働時間数(単月 100 時間未満 時間外労働+休日労働) ※2~6 か月平均で時間外労働+休日労働が 80 時間以内である必要があります。 ② 原則限度である月 45 時間(月 42 時間)を超える回数(年 6 回以内) ③ 臨時的な特別の事情(できる限り具体的に) ④ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置 ⑤ 限度時間を超えて労働にかかる割増賃金率※ ⑥ 限度時間を超えて労働させる場合における手続き ※2023 年 4 月 1 日以降、月 60 時間以上の時間外労働について、すべての企業で 50 パーセント以上の割増賃金率となります。 なお、自動車運転業務、建設事業、医師、鹿児島県および沖縄県における砂糖製造業、新技術・新商品等の研究開発業務は限度時間について適用猶予・適用除外があります。 時間外休日労働(図) 年間 6 か月まで 法律による上限(例外) 法律による上限(原則) ・年 720 時間まで ・年 360 時間 ・月 100 時間未満 ・月 45 時間 (休日労働含む) ・2~6 か月平均 80 時間未 満(休日労働含む) 法定労働時間 ・週 40 時間 ・1 日 8 時間 1 年間(12 か月) | ||||||||||
10.過重労働による健康障害の防止 (労安 66 の 8 ほか) | 過重労働による健康障害防止のためには、時間外・休日労働時間の削減、年次有給休暇の取得促進等のほか、事業場における健康管理体制の整備、健康診断の実施等の労働者の健康管理にかかる措置の徹底が重要です。また、やむを得ず長時間にわたる時間外・休日労働を行わせた労働者に対しては、面接指導等を実施し、適切な事後措置を講じることが必要です。 面接指導等の詳細はP.49 を参照してください。 | |||||||||
11.年次有給休暇 (法 39) | 雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し、所定労働日の8割以上を出勤した労働者には年次有給休暇を付与しなければなりません。また、付与すべき日数は、労働者の勤続年数や所定労働日数に応じて以下の表の日数以上でなければなりません。 ○通常の労働者(週所定労働日数が 5 日以上、年間所定労働日数が 217 日以上または週所定労働時 間が 30 時間以上の労働者 | |||||||||
勤続年数 | 0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5 以上 |
付与日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 | |||
○上記以外の労働者(週所定労働日数が少ないアルバイトや週所定労働時間が 30 時間未満のパートタイム労働者など) また、年次有給休暇の付与に当たっては、以下のことに留意する必要があります。 (1) 労使協定により年次有給休暇日数の 5 日を限度に時間単位で付与できること (2) 労働者が請求する時季に与えること(時季変更は、事業の正確な運営を妨げる場合に限られる)。 (3) 労使協定により年次有給休暇日数のうち 5 日を超える分については、計画的に付与できること。 (4) 年次有給休暇を取得した場合は、平均賃金、通常の賃金などに就業規則その他で定める賃金を支払うこと なお、2019 年 4 月 1 日以降に付与される年次有給休暇について、使用者は、10 日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、年 5 日、時季を指定して有給休暇を取得させる必要があり ます。 | ||||||||||
12.最低年齢 (法 56) | 満 15 歳に達した日以後の最初の 3 月 31 日が終了するまでは、労働者として使用することはでき ません。 | |||||||||
13.年少者の労働時間及び休日 (法 60) | 満 18 歳未満の年少者については、次のような制限があります。 ・ 法定労働時間は、週 40 時間、1 日 8 時間で、三六協定は適用されないため時間外労働、休日労働は行えません。 ・ 満 15 歳以上 18 歳未満の者については、労働時間が週 40 時間を超えない範囲内で 1 週間のうち 1 日の労働時間を 4 時間以内に短縮する場合、他の日を 10 時間まで延長できます。また、週 48時間、1 日 8 時間を超えない範囲内で 1 箇月単位の変形労働時間制、1 年単位の変形労働時間制によって労働させることができます。なお、1 週間単位の変形労働時間制、フレックスタイム 制を適用することはできません。 | |||||||||
14.深夜業 (法 61) | 労働基準法第 61 条で、年少者は午後 10 時から午前 5 時までの深夜の労働が禁止されています。 ただし交代制で働く満 16 歳以上の男性の場合は深夜業が可能です。 | |||||||||
15 健康診断 (労安 66) | 常時使用する労働者については、1 年以内ごとに 1 回定期に所定の項目の定期健康診断を実施す ることが必要です。 |
週の所定労働日数 | 1 年間の所定労働日数 | 勤続年数 | ||||||
0.5 | 1.5 | 2.5 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 6.5 以上 | ||
4 日 | 169~ 216 日 | 7 日 | 8 日 | 9 日 | 10 日 | 12 日 | 13 日 | 15 日 |
3 日 | 121~ 168 日 | 5 日 | 6 日 | 6 日 | 8 日 | 9 日 | 10 日 | 11 日 |
2 日 | 73~ 120 日 | 3 日 | 4 日 | 4 日 | 5 日 | 6 日 | 6 日 | 7 日 |
1 日 | 48~ 72 日 | 1 日 | 2 日 | 2 日 | 2 日 | 3 日 | 3 日 | 3 日 |
(労xx | 44) | また、次の業務に従事する労働者に対しては、当該業務への配置換えの際及び 6 月以内ごとに 1 回、定期に健康診断を実施することが必要です。 ① 深夜業を含む業務 ② 有害業務 |
16.ストレスチェック (労安 66 の 10) | 常時使用する労働者に対しては、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検 査(ストレスチェック)を実施することが必要です。(労働者数 50 人未満は当分の間努力義務) | |
17.就業規則 | 常時 10 以上の労働者を使用する使用者は、労働時間、賃金、退職金等労働条件に関する事項について就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出ることが必要です。変更した場合も同様です。就業規則は、作業場の見やすい場所に提示する等の方法によって労働者に周知させなければなりま せん。 | |
(法 89) | ||
(法 90) | ||
(法 106) | ||
18.解雇手続き (法 20) (法 21) | 労働者を解雇する場合は次の点に注意してください。 ① 少なくとも 30 日前に予告すること。 ② 即時解雇する場合は 30 日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うこと。 ●解雇予告の例外 次の場合は、労働基準監督署長の認定を受ければ、30 日前に予告、または 30 日以上の平均賃金の支払いを必要しないことになっています。 ① 天災事変、その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合 ② 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合(軽微なものは該当しない) ●解雇制限 次の場合は、原則として解雇できません。 ① 労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後の 30 日間 ② 産前産後の女性が休業する期間「産前 6 週間」(多児妊婦の場合は 14 週間)、「産後 8 週間」及びその後 30 日間 ※上記の労働基準法の定めに反しなければ事業主が解雇を自由に行い得るというわけではなく、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない解雇は無効とされていることに留意が必要です (「21.解雇」参照)。 | |
(法 19) | ||
19.労働契約の変更 (労xx 8・9・10) | 労働者と使用者が合意すれば、労働契約の内容である労働条件を変更することができますが、労働者の合意がなく、使用者が一方的に就業規則を変更することにより、労働者に不利益に労働契約 の内容である労働条件を変更することは、原則としてできません。 | |
20.出向及び懲戒 (労xx 14・15) | 合理的理由のない出向命令や懲戒は、権利の濫用と認められ無効となります。 | |
21.解雇 (労xx | 16) | 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、権利を濫用したも のとして無効となります。 |
(注)
「法」は労働基準法の略 「最賃法」は最低賃金法の略
「則」は労働基準法施行規則の略 「労安」は労働安全衛生法の略
「労xx」は労働安全衛生規則の略 「労xx」は労働契約法の略
長時間労働者に対し面接指導等を実施しましょう
(平成 31 年 4 月 1 日改正労働安全衛生法施行)
○医師の面接指導の対象となる労働者
時間外・休日労働時間が 1 箇月当たり 80 時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者(申出による)
(平成 31 年 4 月 1 日より時間外・休日労働が月 100 時間超から 80 時間に対象が変更されます。)
※ 事業者は 1 箇月当たりの時間外・休日労働が 80 時間を超えた労働者に対し、速やかに、当該超えた労働時間について通知しなければなりません。
○研究開発業務に従事する労働者の場合
時間外・休日労働が 1 箇月 100 時間を超えた労働者について、
当該労働者の申出なしに医師による面接指導をしなければなりません。
(※1 月 80 時間超 100 時間以下で、当該労働者が申し出た場合にも面接指導の義務はあります。)
○面接指導における確認事項
①当該労働者の勤務状況、②当該労働者の疲労の蓄積の状況、③その他当該労働者の心身の状況
○労働時間の状況の把握義務(法第 66 条の 8 の 3)
事業者に対して、面接指導の実施のため、すべての労働者の労働時間の状況を把握する義務が課されます。労働時間の管理の方法は、「タイムカードによる記憶、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の素養時間
の記録等の客観的な方法その他の適切な方法」(規則第 52 条第 7 の 3 第 1 項)となります。
2 採用選考等に関する留意点
1 採用方針・採用計画
□ 雇用条件、採用基準に適合するすべての人が応募できる原則が確立されていますか。
□ 次の人(①同和地区出身者 ②障害者 ③ひとり親家庭の子 ④定時制・通信制課程修了者 ⑤外国籍(留学生等) ⑥特定思想・信条の者 ⑦特定宗教の信仰者)を排除していませんか。
□ 本人の適性、能力以外のこと(親の職業、家庭状況等)を採用の条件にしていませんか。
□ 採用方針、採用予定の職種、人員が計画的、合理的に定められていますか。
□ 性(男性・女性・性同一性障害等のセクシャルマイノリティ)による差別をしていませんか。
永住者 日本人の配偶者等永住者の配偶者等定住者 | 日本国内での活動に制限なく就労活動が認められます。 |
留学 | 大学、短大、高等専門学校の学生(外国で 12 年の就学年数あり) この場合は、大学等に履修した学問を生かして就職する場合在留資格の変更可能。 |
家族滞在 | 高校・大学等の卒業予定者は、上記留学と同様の取扱いになります。 |
なお、外国籍(留学生等)の場合、在留資格によっては卒業後に労働者として雇用できない場合がありますのでご留意ください。在留資格による活動範囲は下記のとおりです。
在留資格の問い合わせ
東京入国在留管理局 千葉出張所
x000-0000 xxxxxxxxx 0-0 中央コミュニティセンター
TEL:000-000-0000 FAX:000-000-0000
「外国人雇用状況の届出」は、すべての事業主の義務であり、外国人の雇い入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です。
雇用の分野での障害者差別を禁止
募集・採用、賃金、配置、昇進などの雇用に関するあらゆる局面で、
・ 障害者であることを理由に障害者を排除すること
・ 障害者に対してのみ不利な条件を設けること
・ 障害のない人を優先すること
は障害者であることを理由とする差別に該当し、禁止されています。
<募集・採用時の差別の例>
◆ 単に「障害者だから」という理由で、求人への応募を認めないこと
◆ 業務遂行上必要のない条件を付けて、障害者を排除すること
<採用後の差別の例>
◆ 労働能力などを適正に評価することなく、単に「障害者だから」という理由で、異なる取り扱いをすること
雇用の分野での合理的配慮の提供義務
合理的配慮とは、
・ 募集及び採用時においては、障害者と障害者でない人との均等な機会を確保するための措置
・ 採用後においては、障害者と障害者でない人の均等な待遇の確保または障害者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置
のことをいいます。
<募集・採用時の合理的配慮の例>
◆ 視覚障害がある方に対し、点字や音声などで採用試験を行うこと
◆ 聴覚・言語障害がある方に対し、筆談などで面接を行うこと
<採用後の合理的配慮の例>
◆ 肢体不自由がある方に対し、机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと
◆ 知的障害がある方に対し、図などを活用した業務マニュアルを作成したり、業務指示は内容を明確にしてひとりずつ行ったりするなど作業手順をわかりやすく示すこと
◆ 精神障害がある方などに対し、出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること
合理的配慮は、障害者一人ひとりの状態や職場の状況などに応じて求められるものが異なり、多様で個別性が高いものです。したがって、具体的にどのような措置をとるかについては、障害者と事業主とでよく話し合った上で決めていただく必要があります。
合理的配慮は個々の事情がある障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべきものです。
合理的配慮のための具体的な手順
□ 支障となっている事情の申出・確認
・募集・採用時:障害者から事業主に対し、支障となっている事情などを申し出てください。
・採用後:事業主から障害者に対し、職場で支障となっている事情の有無を確認してください。
□ 合理的配慮に関する話し合い
・合理的配慮に関する措置について、事業主と障害者で話し合ってください。
□ 合理的配慮の確定
・合理的配慮に関する措置を確定し、とることとした措置の内容と理由(「過重な負担」に当たる場合は、その旨とその理由)を障害者に説明してください。
・採用後において、措置をとるまでに一定の時間がかかる場合はその旨を障害者に説明してください。
※ 障害者の意向を確認することが困難な場合、就労支援機関の職員などに障害者の補助を求めて差し支えありません。
過重な負担
合理的配慮は「過重な負担」にならない範囲で事業主に講じていただくものであり、合理的配慮の提供義務については、事業主に対して「過重な負担」を及ぼすこととなる場合は除くこととしています。
過重な負担は、以下の6つの要素を総合的に勘案し、個別に判断します。
① 事業活動への影響の程度 | ② 実現困難度 | ③ 費用負担の程度 |
④ 企業の規模 | ⑤ 企業の財務状況 | ⑥ 公的支援の有無 |
2 選考基準・選考方法
□ 採用職種の職務(仕事)を遂行するために必要な条件を基準としたxxな基準ができていますか。身体条件、知識、技能、履修科目等のうち、職務(作業)遂行上必要な条件は何か、明確になっていますか。
□ 選考基準に適合しているか否か、xxに評価する方法がとられていますか。一つの方法だけで評価していませんか。
□ 過去の慣習、経験のみにとらわれず、潜在的な資質や長所を積極的に見出すような配慮がなされていますか。
3 募集・応募書類
□ 求人票、求人要項は、採用方針、採用計画等に基づき正しく記載されていますか。
□ 中卒者については「職業相談表〔乙〕」、高卒者については「全国高等学校統一応募用紙」以外の応募書類を要求していませんか。
□ 戸籍謄(抄)本を要求したり、本籍地等差別につながる事項を調査したりしていませんか。
□ 新規学卒者以外の応募者から提出させる履歴書は JIS 規格のものを使用していますか。
選考の内容
4
(1) 学科試験(作文を含む)
□ 学科試験は、作業を遂行するために必要な知識をもっているかどうかを判断するために実施していますか。
□ 作文のテーマに「私の生い立ち」「私の家族」といった本人の家庭環境に係るものや、思想、信条を推測するものを課していませんか。
適性検査
(2)
□ 適性検査をその目的以外に使用していませんか。
□ 適性検査の実施や判定及びその利用には専門的知識のある人が当たっていますか。
□ いわゆるテスト業者に依存し、その結果や報告をうのみにしていませんか。
面接
(3)
□ 面接によって判断する目標が明らかになっていますか。
□ 外面的な容姿、態度等にとらわれず、客観的に判断できる方法、基準が確立されていますか。
□ 質問内容について、十分検討がなされていますか。
思想、xx、宗教、支持政党を聞き取ることも応募者の適性、能力の判断に誤りをきたすだけでなく、基本的人権を侵すことになりますので、質問項目から除外してください。
□ 被面接者の基本的人権が十分に尊重されていますか。
□ 面接は適切な人が担当していますか。
(面接技術、観察力、言葉が明瞭、偏見がない、感情に左右されない)
□ 書面から読み取れる内容や印象のみで判断を行いがちになる書類選考のみで、採用選考を行っていま
せんか。
(中学生・高校生は書類選考のみでなく、面接試験を実施してください。)
身元調査
(4)
□ 応募者の本籍地、生活状況、家族状況、思想・信条等を調べる調査は就職差別です。採用に関する身元調査は絶対に行わないでください。
(5) 健康診断(血液検査等)
□ 採用選考を目的として、健康診断の検査項目について必要性を検討することなく、画一的に健康診断を実施することは、応募者の適性を判断するうえで関係のない個人情報を得ることになり、結果として就職差別につながるおそれがあります。
□ 新規学卒者の採用選考時に、画一的に「血液検査」や「尿検査」等の健康診断を実施する事業所が見 受けられますが、応募者の適性と能力を判断するうえで必要不可欠であるか慎重に検討するとともに、実施する場合は、誰もが納得できる理由を示すことが必要です。
□ なお、労働安全衛生法、及び労働安全衛生規則に定められている「雇入れ時の健康診断」は、常用労働者を雇い入れた際の適正配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、採用選考時に実施することを義務付けたものではありません。
~C 型肝炎ウイルス等について~
厚生労働省では、C 型肝炎ウイルスの持続感染者等に対する差別は、偏見を基準にしたものであり、地域や職場においてこれらの偏見を排するよう、正しい知識の普及・周知徹底に取り組んでいます。採用選考時の「血液検査」等の健康診断を実施することは、結果として C 型肝炎ウイルスの持続感染者等に対する就職差別につながるおそれがあり、職務内容との関連でその必要性を慎重に検討することが求められます。
なお、「C 型肝炎について(一般的な Q&A)」が次のホームページに掲載されており、C 型肝炎ウイルスに感染した保健医療従事者は、仕事上の制限を受けないなどとされているところであり、参考としてください。
(財)ウイルス肝炎研究財団 xxxx://xxx.xxxx.xx.xx
~色覚検査の廃止等について~
色覚検査において異常と判別された方であっても、大半は支障なく業務を行うことが可能であることが明らかになってきており、また、色覚検査において異常と判別される方について、業務の特別の支障がない場合にも、事業主が採用を制限する事例も見受けられることから、厚生労働省としては、雇入時健康診断の健康項目としての色覚検査を廃止しております。
労働者を雇い入れる際には、「色覚異常は不可」などの求人条件をつけるのではなく、色を使う仕事の内容を詳細に記述するとともに、採用選考時の色覚検査を含む健康診断については、職務内容との関連
でその必要性を慎重に検討し、就職差別につながらないように注意してください。
5 採否の決定(内定)
□ xxな採用結果であるか、応募者の能力、適性を総合的に評価しているかどうかの再点検をしていますか。
□ 不採用にする場合は、その理由を明確にしていますか。
□ 採用した場合は、その理由を明確にしていますか。
□ 採用した場合の就職承諾書に、企業側の一方的な考え方による取消し、留保条件を付けていませんか。
□ 性別による理由で、採否を決定していませんか。
採否の決定は、企業にとっても、また応募者にとっても極めて重要な結果をもたらすものですから、その決定に当たってはxxな選考であったか、応募者の能力等を総合的に評価しているかなどの点について慎重に検討してください。
採否の結果はすみやかに通知されなければなりませんが、不採用にした場合には、その理由を本人や学校から質問されたとき明確な説明ができるようにしておくことが必要です。
また、採用通知を行ってから就職(入社)承諾書を求める際、会社側に都合のよいような取り消し、あるいは、留保条件をつける例がよく見受けられます。新規学卒者の場合、採用決定から入社に至るまでかなりの期間がありますので、その間に不測の事態が起こる可能性もありますが、もし、起きた場合には、会社、本人及び学校の三者で協議して対策を考えればよいことです。事前、また、一方的にこのような条件をつけることは避けるようにお願いします。
6 採用決定(内定)以後
□ 入社の際、戸籍謄(抄)本、住民票等の提出を画一的に義務づけていませんか。
□ 従業員の一人一人に至るまで、人権問題を正しく認識し、理解していますか。
□ 労働者に身元保証書の提出を求め、必要以上にプレッシャーを与えていませんか。
なお、採用後における関係書類の記載については、労働基準法や労働安全衛生法にもとづくものについても「住民票記載事項の証明書」を備えれば足りることとされていますし、冠婚葬祭等に際して慶弔金などの支給について確認するため住民票が必要となった場合には、その使用目的を本人に十分説明のうえ提示を求め、確認後はすみやかに返却するようにしてください。
7 求職者等の個人情報の取り扱いについて
職業安定法では、労働者の募集業務の目的の達成に必要な範囲内で募集に応じて労働者になろうとする者等の個人情報を収集、保管、使用しなければならない旨を規定しています。
また、併せて、法に基づく指針が公表され、原則として収集してはならない個人情報等を規定しています。
(1) 次の個人情報の収集は原則として認められません。
□ 人権、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
○ 家族の職業、収入、本人の資産等の情報
○ 容姿、スリーサイズ等差別的評価につながる情報
□ 思想及び信条
○ 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書
□ 労働組合への加入状況
○ 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
(2) 個人情報の収集は、本人から直接又は本人の同意を得て収集することが原則です。
違反したときは
(3)
□ 違反行為をした場合は、職業安定法に基づく改善命令を発出する場合があります。
□ 改善命令に違反した場合は、罰則(6 箇月以下の懲役、または 30 万円以下の罰金)が科せられる場合もあります。
労働者の募集を行うものは募集形態の如何(直接募集、文書募集、委託募集)を問わず、法及び指針を遵守して行わなければなりません。
しかしながら、就職差別を未然に防止し、xxな採用選考を図るためには、この規定、指針だけを遵守すればよいというものではありません。
本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項等本人の適性・能力以外のことを採用基準にすること、不適当な募集・応募書類の使用、身元調査等は就職差別につながるおそれがあるということを十分に認識いただき、今後とも、xxな採用選考システムの確立を図れるよう、さらに積極的な取り組みをお願いします。
xx県におけるxx採用選考に係る不適正事案通報に対する事実確認・指導内容(令和元年度)
(高卒求人)
事業所 | 事案 | 事実確認・指導等 |
A | 採用選考(面接)時に、家族に関する本人に責任のない事項(家族構成及び家族の職業)について 質問された。 | 家族構成・職業など本人に責任のない事項については、選考の基準としてはいけない。また、選考基準でないとして も、聞かれた本人には誤解を与え、不採用となれば選考と関係がなくてもなおさら誤解を生んでしまうので質問を行わないよう指導した。 |
B | 採用選考(面接)時に、出生地に関する本人に責任のない事項について質問された。 | 不適切な質問を行った事実関係は確認できなかったが、面接で判定する適性や能力の項目、内容等について、理解を深めるため、管内公共職業安定所で開催予定の「xx採用選考人権啓発推進員等研修会」に面接担当する社員全員が参加するように指導した。 |
C | 採用選考(面接)時に、家族に関すること等本人に責任のない事項について質問された。(家族構成・家族の勤務先・家族の勤務先での役職・詳しい住所等) | 家族構成・職業など本人に責任のない事項については、選考の基準としてはいけない。また、選考基準でないとして も、聞かれた本人には誤解を与え、不採用となれば選考と関係がなくてもなおさら誤解を生んでしまうので質問を行わないよう指導した。(詳しい住所についても、本籍地を調べることと同様に応募者に不安を与える恐れがある) |
3 募集・採用に当たって知っておきたい男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法は、労働者の募集及び採用における性別による差別を禁止し、男女均等な取扱いを求めています。男女で異なる取り扱いをすることは、原則として禁止されています。
また性別以外の事由を要件とするものについては、合理的な理由がない場合には、間接差別として禁止されています。
1 募集・採用に当たり均等法上留意いただきたい事項
(1) 募集・採用に係る性別による差別の具体的な内容
次のような措置を講じることは、均等法第 5 条により禁止されます。
① 募集又は採用に当たって、その対象から男女いずれかを排除することの例
・ 事務職には女性のみ、営業職には男性のみ等、一定の職種について募集・採用の対象を男女のいずれかのみとする。
・ 正社員には男性のみ、パートタイマーには女性のみ等、一定の雇用形態について募集・採用の対象を男女のいずれかのみとする。
・ 「カメラマン」「○○レディ」等男女のいずれかを表す職種の名称を用いて募集・採用をする。
・ 募集・採用に当たり、「男性歓迎」「女性向き職種」等の表示を行う。
・ 男女ともに募集の対象としているが、応募の受付や採用の対象を男女のいずれかのみとする。
・ 派遣元事業主が、一定の職種について派遣労働者になろうとする者を登録させるに当たって、その対象を男女のいずれかのみとする。
② 募集又は採用に当たっての条件を男女で異なるものとすることの例
・ 女性のみ未婚であること、子がいないこと、自宅通勤などの条件を付ける。
・ 男性のみ長髪、ピアス不可などの条件をつける
③ 採用選考において、能力及び資質の有無等で判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる扱いをすることの例
・ 採用選考に当たって実施する筆記試験、面接試験の合格基準が男女で異なる。
・ 男女で異なる採用試験を実施する。
・ 男女のいずれかのみ採用試験を実施する。
・ 面接において、女性にだけ出産後の就業継続意思を質問する。
・ 面接において、男性にだけ幹部候補となる意欲を聞く。
④ 募集又は採用に当たって男女のいずれかを優先することの例
・ 採用の基準を満たす者の中から男女いずれかを優先して採用する。
・ 「男性 5 人、女性 5 人採用」等男女別の採用予定人数を設定し、募集・採用する。
・ 男女いずれかについて採用する最低の人数を設定して募集する。
⑤ 求人の内容の説明等募集または採用に係る情報の提供について、男女で異なる取扱いをすることの例
・ 会社説明会やセミナーの開催案内を男女のいずれかのみに送付する。
・ 会社説明会やセミナーで配付する資料の内容が男女で異なる。
・ 会社説明会やセミナーの実施日や会場が男女で異なる。
(2) 募集・採用に係る間接差別の具体的な内容
間接差別とは・・・
「性別以外の事由を要件に、一方の性の構成員に他の性の構成員と比較して相当程度の不利益を与えるものを、合理的な理由がなく講じること」をいいます。
次の措置は、合理的な理由がない場合、間接差別として禁止されます。
① 労働者の募集又は採用に当たって、労働者の身長、体重又は体力を要件とすること。
(合理的な理由がない場合の例)
・ 業務に不必要な身長・体重・体力要件を基準に選考を行う。
② 労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること。
(合理的な理由がない場合の例)
・ 広域にわたり展開する支店、支社等がないにもかかわらず、「全国転勤に応じられること」を要件とする。
・ 広域にわたり展開する支店、支社等はあるが、家庭の事情等で本人が転勤を希望した場合を除き、転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合
(注)上記の例に該当しない事項であっても、男女異なる取扱いは禁止の対象となることがあります。
2 男女雇用機会均等法のポイント
(1)雇用管理の各ステージにおける性別を理由とする差別の禁止(均等法第 5 条、第 6 条)
募集・採用、配置(業務の配分及び権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練、一定の福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について、性別を理由とする差別をしてはなりません。
(2) 間接差別の禁止(均等法第 7 条)
上記 1 の(2)の他、「労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること」に合理的な理由がない場合、間接差別として禁止されます。
(3) 妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止(第 9 条)
・婚姻、妊娠、出産を退職理由とする定めをしてはなりません。
・婚姻を理由とする解雇をしてはなりません。
・妊娠、出産、産前産後休業を取得したこと、労働基準法により母性保護措置を受けたこと、妊娠・出産に起因する能率低下などを理由とする解雇、その他不利益取扱いをしてはなりません。
・妊娠中・産後 1 年以内の解雇は、事業主が妊娠等による解雇でないことを証明しない限り無効となります。
条
(4) セクシャルハラスメント対策(第 11 条)及び妊婦・出産等に関するハラスメント対策(第 11
の
2)
・職場におけるセクシャルハラスメント及び妊婦・出産等に関するハラスメントの防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主に義務付けられています。
(5) 母性健康管理措置(第 12 条、第 13 条)
・妊産婦が保健指導・健康診査を受けるために必要な時間を確保しなければなりません。
・妊産婦が保健指導・健康診査に基づく主治医等の指導事項を守ることができるようにするために必要な措置を講じなければなりません。
(例)時差通勤、休憩回数の増加、勤務時間の短縮、休業等
(6) ポジティブ・アクション(均等法第 8 条、第 14 条)
「ポジティブ・アクション」とは、固定的な性別による役割分担意識や過去の経緯から、男女労働者の間に事実上生じている差があるとき、それを解消しようと、企業が行う自主的かつ積極的な取組みのことです。
これまでの慣行や固定的な性別の役割分担意識などが原因で、女性は男性よりも能力を発揮しにくい環境に置かれている場合に、こうした状況を「是正」する目的で女性のみを対象にした措置や女性を有利に取り扱う措置については、法違反とならない旨を明記しています。(下記例参照)
単に女性を採用したいという理由だけで女性を「優遇」するためのものは、格差の是正を目的としていないため、均等法違反になります。
<募集及び採用の例>
女性労働者が男性労働者と比較して相当程度少ない(4 割を下回っている)区分における募集又は採用に当たって、
① 情報の提供について女性に有利な取扱いとすること。
② 採用の基準を満たす者の中から、男性より女性を優先して採用すること。
③ その他男性と比較して女性に有利な取扱いとすること。
男女雇用機会均等法に関するお問い合わせ・資料請求は、千葉労働局 雇用環境・均等室 へどうぞ
〒260-8612 xx市中央区 4-11-1 千葉第二地方合同庁舎 1 階
TEL 000-000-0000
労働者派遣事業とは
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労働者派遣とは、「派遣元の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させること」をいいます。労働者派遣を業として行うには、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません。
派遣元
労働者派遣契約
派遣先
雇用関係
派遣労働者
指揮命令関係
(1)労働者派遣事業を行うことができない業務とは
以下の業務について、労働者派遣事業を行うことはできません(適用除外業務)。
① 港湾運送業務
② 建設業務
③ 警備業務
④ 病院等において行われる医療関係業務(紹介予定派遣や産前産後休業の場合等は可能)また、適用除外業務以外にも労働者派遣を行ってはならない以下の業務があります。
⚫ 人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の
締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務
⚫ 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士の業務
⚫ 公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務(それぞれ一部の業務を除きます。)
⚫ 建築士事務所の管理建築士の業務
(2)派遣の期間制限とは
派遣先事業所単位の期間制限と派遣労働者個人単位の期間制限があります。派遣先は、派遣先の事業所その他就業場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません。
ただし、以下※の人・業務は例外として期間制限の対象外となります。
≪事業所単位≫
派遣先の同一の事業所に対して派遣できる期間(派遣可能期間)は原則3年が限度です。ただし、派遣先が3年を超えて派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合等から意見を聴く必要があります。
≪個人単位の期間制限(組織単位)≫
同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)に対し派遣できる期間は、3年が限度です。
・工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること
・経営の単位として人事・経理・指導監督・働き方などがある程度独立していること
・施設として一定期間継続するものであることなどの観点から、実態に即して判断されます。
※雇用保険の適用事業所に関する考え方と基本的には同一です。
事業所
「事業所」、「組織単位」の定義
いわゆる「課」や「グループ」など、
・業務としての類似性、関連性があり、
・組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するものとして、実態に即して判断されます。
組織単位
※以下の場合には、派遣受入期間の制限はありません。
① 派遣労働者が無期雇用労働者の場合
② 派遣労働者が 60 歳以上の者である場合
③ 事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に完了することが予定されているものについて労働者派遣の役務の提供を受ける場合
④ 日数限定業務(1 か月間に行われる日数が通常の労働者に比べ相当程度少なく、かつ、月 10 日以下であるもの)例えば、書店の棚卸し業務等が想定される。
⑤ 産前産後休、育児休業・介護休業などを取得する労働者の業務
(3)不合理な待遇差をなくすための規定の整備
派遣元事業主は、以下の①または②の待遇決定方式によりxxな待遇を確保しなければなりません。
① 【派遣先均等・均衡方式】派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇
《「均等待遇」の内容》イ 職務の内容(※)
ロ 職務の内容・配置の変更範囲が同じ場合には差別的取扱いを禁止
《「均衡待遇」の内容》イ 職務の内容(※)
ロ 職務の内容・配置の変更範囲
ハ その他の事情の相違を考慮して不合理な待遇差を禁止
(※)職務の内容とは、「業務の内容」+「責任の程度」をいいます。
② 【労使協定方式】一定の要件を満たす労使協定による待遇
過半数労働組合又は過半数代表者(過半数労働組合がない場合に限ります)と派遣元事業主との間で一定の事項を定めた労使協定を書面で締結し、労使協定で定めた事項を遵守しているときは、一部の待遇を除き、この労使協定で待遇が決定されることになります。
(4)日雇派遣は原則禁止
日雇労働者(派遣元事業主との労働契約が 30 日以内の労働者)を派遣することはできません。
【以下の①、②のいずれかに該当する「業務」、「場合」は例外】
①派遣労働者の行う「業務」が専門業務(労働者派遣法施行令第 4 条 1 項)に限る場合
②派遣労働者自身が次の「場合」、
・60 歳以上の者
・雇用保険の適用を受けない学生
・副業として従事する人(生業収入が 500 万円以上の人に限る)
・主たる生計者以外の人(世帯収入が 500 万円以上の人に限る)
(5)離職した労働者についての労働者派遣の禁止
派遣元事業主は、離職した労働者(60 歳以上の定年退職者を除く)を離職後1年以内に元の勤務先へ派遣労働者として派遣することはできません。
(6)労働契約申込みみなし制度とは
労働者派遣の役務の提供を受ける者が以下の違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先から派遣元事業主との労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約が申し込まれたものとみなされ、派遣労働者が承諾した時点で労働契約が成立します。(労働者派遣法第 40 条の 6)。
≪対象となる違法派遣≫
①労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
②無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
③事業所単位または個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
④いわゆる偽装請負の場合
(7)派遣元事業主のxxxx率などの情報提供について
派遣元事業主は、労働者派遣事業を行う事業所ごとに、次の①~⑦に関する事項について、インターネットなどにより情報の提供を行わなければなりません。
① 派遣労働者の数
② 労働者派遣の役務の提供を受けた者の数
③ 労働者派遣に関する料金の額の平均額
④ 派遣労働者の賃金の額の平均額
⑤ マージン率
⑥ キャリア形成支援制度に関する事項
⑦ 労働者派遣法第 30 条の 4 第 1 項の労使協定(4 の(3)②の労使協定)を締結しているか否かの別等
マージン率=
(労働者派遣に関する料金の平均額 - 派遣労働者の賃金額の平均額)労働者派遣に関する料金額の平均額
職業紹介事業とは
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職業紹介とは、求人及び求職の申し込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいいます。
なお、「あっせん」とは、求人者と求職者との間をとりもって雇用関係の成立が円滑に行われるように第三者として世話をすることをいいます。
紹介事業者
求職申込
求人xx
xxあっせん
求 職 者
求 人 者
雇用契約
(1)職業紹介事業の種類
①有料職業紹介事業
営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し、対価を徴収して行う職業紹介事業は有料職業紹介事業となり、厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。
ただし、港湾運送業務に就く職業及び建設業務に就く職業を求職者に紹介してはなりません。
②無料職業紹介事業
職業紹介に関し、いかなる名義でも手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介事業をいい、厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。
また、学校、特別の法律により設立された法人のうち一定のものは、厚生労働大臣に届け出ることにより行うことができます。
(2)職業紹介事業の実績等の情報提供
職業紹介事業者は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」において、職業紹介の実績に関する事項(各年度の就職した者の数、手数料に関する事項等)について情報提供が義務付けられています。
労働者派遣事業及び職業紹介事業に関するお問い合わせは、
千葉労働局職業安定部需給調整事業課 へどうぞ
千葉市中央区中央 4-11-1 xx第二地方合同庁舎 3 階 ℡043-221-5500
※労働者派遣事業、職業紹介事業の詳細については、
厚生労働省ホームページ xxxx://xxx.xxxx.xx.xx からご覧になれます。
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