・業務命令に関する争ti → 法的根拠、具体的な範囲、命令違反の場合の制裁のあり方 ・学習内容 業務命令権の基本的な特徴、配転・出向命令、降格命令につtiて検討
放送大学 雇用と社会 第4回業務命令権
《目標&ポイント》
・労働契約は双務契約(民法 623 条、労xx 6 条)
使用者が労働者に賃金を支払 ⇔ 労働者が使用者に労務の提供
・業務命令に関する争ti → 法的根拠、具体的な範囲、命令違反の場合の制裁のあり方
・業務命令権の強制力に対する一定の歯止めが必要
・学習内容 業務命令権の基本的な特徴、配転・出向命令、降格命令につtiて検討
1.業務命令権とは
(1)業務命令権の根拠と範囲
・業務命令や転勤命令を発する、あるtiは、に従う根拠 → 基本的に労使の「合意」就業規則の規定 → 契約内容化 → 業務命令の発出 発出(起こること)
「労働者は、使用者に対して一定の範囲で労働力の自由な処分を許諾して労働契約を締結するものであるから、その一定範囲で労働力の処分に関する使用者の指示、命令としての業務命令に従う義務がある」(帯広電電局事件最一小判昭和 61.3.13)
「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合におtiて、使用者が合理的な労働条件が定められてtiる就業規則を労働者に周知させてtiた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。」(労xx 7 条)
業務命令権の適否は、多くは就業規則の適否の問題
多くの就業規則では包括的な規定
→ 「業務の必要のある場合には、配転を命ずることができる」
・労働契約上の合意内容の特定
業務命令の範囲につtiて特段の個別合意は、専門職(業種限定)以外にはほとんどなし
特段の合意がない場合 → 使用者にxxな裁量権が認められる
・業務命令の濫用の場合は認められることが少なtiが、不当労働行為やはっきりしたいやがらせ、職場いじめの事案は認められている。
例 仕事を取り上げ単純作業を命じたり、さらに同僚と隔離、自宅待機命令の継続
(松蔭学園事件 東京高判平成 5.11.12)
(2)業務命令の型
①職場の秩序維持を目的
施設管理権限との関係 組合活動・政治活動を禁止・制約する命令 ← 不当労働行為との関係
②労働力の評価・向上に関するもの
◯研修命令 目的や態様が労働者の人格を損なう場合には違法 長期にわたる日勤教育
◯健康状態調査のための健康診断 プライバシー権との関係 判例は業務命令が可能
・帯広電電局事件 頚肩腕(けtiけんわん)症候群総合精密検査の受診拒否
就業規則及び健康管理規定上の使用者が必要な指示を発し得ることを前提に、合理的、
相当性が認められる限り受診命令を発し得る(最一小判昭和 61.3.13)
・愛知県教育委員会事件 市立学校教職員に対する定期健康診断のX線検査の受診拒否
「その職務を遂行するに当たって、労働安全衛生法 66 条 5 項、結核予防法 7 条 1 項の規定に従うべきであり、職務上の上司である当該中学の校長は、当該中学校に所属する教諭その他の職員に対し、職務上の命令として、結核の有無に関するエックス線検査を受診することを命ずることができる」(最一小判平成 13.4.26)
③労働力配置や労務提供の仕方に関する命令 就労時間や労働時間配置 業務命令の中核
服装・髪型等 具体的な就労形態 労働者の自己決定権を侵害するか
④懲戒処分との関係での業務命令
非違行為の調査協力、所持品検査に関する業務命令 *非違行為 → 違法行為
懲戒処分に連動する自宅待機命令や始末書提出
(3)紛争の型
業務命令(違反)の適否が問題となる法的紛争
業務命令違反に対する使用者の措置に関する4つの類型 → 5つの類型 *新たなもの1つ
(イ)人事考課の査定への反映
(ロ)本来業務を履行してtiなtiことを理由とする賃金カット
(ハ)労働者の資質、適確性を理由とする普通解雇
(ニ)命令違反を理由とする懲戒処分 懲戒解雇
(*ホ)業務命令自体の違法性を争うその他
・使用者の特定の措置や発言 業務命令か? 単なるお願tiか?この違反に対して懲戒処分が可能か?
・賃金請求か可能(労働者側から)な業務命令か?
・業務命令性がはっきりしなtiが、要請を履行したことを査定に反映する場合は?
2.配転命令
・配転命令 転勤と職務変更
転勤命令自体の効力を争う → 一応配転命令に従tiながら争う
・紛争の型
配転命令に従わず懲戒解雇 → 解雇の効力の前提として配転命令の適否を争う
配転命令の制約法理
(1)契約解釈との関係
合意の範囲内か外か? 一般的には、合意の範囲外となることは少なti
採用時の合意・経緯 仕事の内容・専門性 会社における配転慣行就業規則の規程等
職務変更の柔軟性を重視 雇用期間の長期化した場合
例 ・20年〜30年も機械工に対する組立工への配転命令が有効
(日産自動車xx工場事件・最一小判平成 1.12.7)
・20年以上もアナウンサーが報道局情報センターへの配転命令が有効
(九州朝日放送事件・最一小判平成 10.9.10)
職務限定の合意が認めれれた
例 ・タクシー運転業務から営業係への配転無効(古賀タクシー事件・福岡地判平成 11.3.24)
・事務職から警備業務への配転無効(ヤマトセキュリティー事件・大阪地判平成 9.6.10)職務限定だが内容がどの範囲に及ぶか
例 看護師 職場実態や労使慣行が重視される
・臨床部門から中央材料室(北海道厚生農協連合会事件・釧路地帯広支部判平成 9.3.24)配転命令無効
・臨床部門から看護問題対策室(東邦大学事件・東京地判平成 10.9.21)配転有効職務変更の配転事案での濫用
例 ・フライトアテンダントから地上職(ノースウエスト事件・東京高判平成 20.3.27)
・情報システム専門職から倉庫係(エルメスジャポン事件・東京地判平成 22.2.8)
(2)濫用の場合
転居を伴う配転命令 家族に与える影響もあり使用者は一定の配慮が必要
◯判例法理 濫用とみなされる場合を3つに限定(東亜ペイント事件・最二小判昭和 61.7.14)
①業務上の必要性が存しなti場合必要性があっても
②他の不当な動機、目的をもってなされた場合
③労働者に対して通常甘受すべき程度を著しく越える不利益を負わせる場合
・業務上の必要性の内容
「労働力の適正配置、業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の
円滑化」等
◯判例
・①の業務の必要性
広く認められてる、それがなtiとされた例はあまりなti
・②の場合 配転命令が不当な意思によるものか業務上の必要性に基づくものか。
不当労働行為のケースで不当な動機・目的(朝日火災海上保険事件・最二小判平成 5.2.12)退職勧奨拒否に対する報復として退職に追ti込むための業務命令
(新和産業事件・大阪高判平成 25.4.25)
・③の場合
単身赴任をせざるを得なtiことを認めなti(帝国臓器製薬事件・最三小判平成 11.9.17)
子どもの教育・保育上の支障を認めなti(ケンウッド事件・最三小判平成 12.1.28)
複数の家族構成員の支障 配転無効(コカ・コーラ事件・札幌地判平成 9.7.23)
家族の介護の必要性の重視(NTT 東日本事件・札幌地判ジェイ性 18.9.29,ネスレ日本
事件・大阪高判平成 18.4.14)
キャリア上の利益(鈴鹿医療科学大学事件・名古屋高判平成 26.1.30,エルメスジャポン事件・東京地判平成 22.2.8 前掲)
その他、本人の病気のケースの場合、濫用とされる(*判例は提示されてtiなti)
(3)配偶者や子どもの利益
配転による単身赴任権利侵害はあるのか? 単身赴任は労働者本人の選択であるが。
配偶者の同居権(民法 752 条)こどもの遊んでもらう権利
配転命令が有効、単身赴任は本人の選択
(前掲 帝国臓器製薬事件・最三小判平成 11.9.17 )
3.出向命令
(1)出向の目的と型
配転 → 同一法人内部の移動
出向 → 法人格の異なる別会社、多くは関連会社への移動の意味業務提携、教育訓練、リストラ政策の一環
出向の3つの型
①在籍出向 → 出向元に従業員の身分を残したまま出向先へ移動
出向元へ復帰が予定 出向元の扱tiは、休職が多ti
②移籍出向(転籍) → 出向元を退職して、新規に出向先へ就職 ⇒ 労働者に同意が必要
③在籍出向で復帰が予定されてtiなti ⇒ 人員整理に利用されることが多ti
(2)出向命令権
出向の論点 → どのような場合に出向を命ずることができるか。
民法 625 条 1 項「使用者は、労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができなti」
労働者の承諾 → 個別合意まで必要がなti、労働協約等におtiて労働条件や出向期間等につtiて詳細な定めがあれば一定の包括合意でも良ti(新日鐵事件・最二小判平成 15.4.18)
・合意が認められても、その濫用は許されなti (合意 → 包括的な合意)
労xx 14 条 「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合におtiて、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。」
→ 希望退職を拒否したことを理由にする出向命令が濫用(リコー事件・東京地判平成
25.11.12)
4.降格命令
(1)降格命令の型
労働者の非違行為、勤務成績不良等に理由による降格命令第1 懲戒処分としての降格命令
就業規則上のxxの根拠が必要降格事由の限定
第2 人事権行使としての降格命令
①tiわゆる「降職」 → 低ti職位への移動命令 職責手当の減額等
②職能資格制度上の「降格」 → その旨を示した就業規則の規定その他、成果主義賃金制度上の降格
③人事制度自体の変更(就業規則の不利益変更)
(2)降格命令の相当性
懲戒処分は当然に、人事権行使の降格 → 相当な事由が必要
例 副主任からの降格措置が差別禁止措置に違反と判断(広島中央保健生協事件・最一小判
平成 26.10.23)
男女雇用機会均等法 9 条 3 項
「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱tiをしてはならなti。」
女性労働者につき妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、
原則として同項の禁止する取扱いに当たるしかし、
①当該労働者が軽易業務への転換及び上記措置により受ける有利な影響並びに上記措置により受ける不利な影響の内容や程度、上記措置に係る事業主による説明の内容その他の経緯や当該労働者の意向等に照らして、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、
②事業主におtiて当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合で あって、その業務上の必要性の内容や程度及び上記の有利又は不利な影響の内容や程度に照らして、上記措置につき同項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、同項の禁止する取扱tiに当たらなtiものと解するのが相当
広島中央保健生協事件は①、②どちらにも相当しなti。
*②につtiて、具体的にどのような場合か想像がつかなtiが? 以上
このノートはオフィスむらかみ 社会保険労務士 xxxxが勝手に私の責任でまとめたものです。
ご意見があれば、ご連絡をお願します。