Contract
コンプライアンスに即した働き方とは?
36協定が始まりました
各学校では、3月中に事務職員・現業職員・栄養職員を対象に「時間外勤務等に関する協定書」(36協定)が校長と職員代表の間で締結されています。
労働基準法は、「1日8時間週
40時間」の法定労働時間を超えて働かせてはいけないと定められていて、残業を命ずる場合は、
36協定を締結しなければならな
いと規定されています。
昨年成立した「労働基準法」の改正で、残業時間の上限規制が義務づけられました。
各学校では、県教育委員会が作った模範例をもとに「協定書」が作られていますが、三つの点を再確認する必要があります。まず、基本方針で「総労働時 間の短縮という基本的認識に基づき、常に効率的、計画的な業務の執行に努め、時間外勤務及
び休日勤務の縮減を図るものと する」となっていて、無原則に長時間の残業を認めるとなっていないことです。
次に、時間外勤務や休日勤務は「不慮の事故、設備の故障等 臨時又は緊急の業務が必要になった場合」「予算、決算など季節的又は時期的に必要があると命令権者が認める場合」「人命の救助、災害の防止など緊急の必要がある場合」「業務の必要上時間内に行うことが困難な業務に従事する場合」に命じることができるとなっています。
そして、「職員に時間外勤務 等を命ずる場合は、必要最低限の人数にとどめ、職員の健康状態などを考慮して、あらかじめ本人に命令することを原則とする」となっていて、事前命令の徹底が原則となっています。
「時間外勤務等に関する協定
茨城県高等学校教職員組合
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Tel 029-305-3075 Fax 029-305-3317
e-mail iba-kou@xxxx.xx.xx
茨城の教育
書」(36協定)が締結された結果、勤務時間外労働(残業)や休日労働は管理職の命令がなければできなくなったということです。
当然のことですが、事務職員や現業職員、栄養職員の仕事の内容を校長や事務長は正確に把握して、時間外労働が必要かどうかを判断しなければならなくなりました。
今年度は、職員の方から管理職に自分の仕事やどれくらいの時間がかかるかを丁寧に説明する必要もあります。
現業職員の勤務時間に問題はありませんか
現業職員(学校用務員)には早番と遅番があって、早番の場合7:30出勤で16:00退勤になっています。遅番は8:30出勤17:00退勤です。
ところが、ある高校の現業職員から組合にあった相談では、
「学校に早く来る生徒や教員がいるので、6:30に出勤して学校を開けてくれ」と言われたということです。よく聞くと、退勤
時間は変わらず長時間労働になっているということでした。
県教委の作った「時間外勤務等に関する協定書」(36協定)に照らしても、6:30出勤は「時間外勤務等の事由」には当ては
まりません。
「働き方改革」の趣旨からすれば、学校の始業時刻1時間以上前に学校に来る教師や生徒に
「学校は始業時刻1時間以上前は開けません」と言うべきで、現業職員に早出を命じることではありません。
「時間外勤務等に関する協定書」(36協定)が締結されたのですから、「今まではこうだった」「これまではこうしてくれた」ではなく、コンプライアンス重視の観点から事務職員、現業職員、栄養職員の働き方を見直す必要があります。
「夜遅くまで働く真面目な人」とか「あの人はいつも遅くまで
働いていて困った人だ」というような仕事に対する評価をやめるべきです。
県教委の「時間外勤務等に関する協定書」(36協定)の問題点
多くの学校は県教委が提示した「時間外勤務等に関する協定書」(36協定)を全文取り入れて協定書を作っています。
しかし、本来の36協定は、時間外労働を合意するにあたっては、割増賃金率の残業代を支払うことが締結の条件になります。
県教委の時間外勤務の上限規制は「1日5時間」「月45時間」
「1年360時間」「休日勤務1ヶ
月2日」となっています。
ところが、県教委の作った
「協定書」には残業代について記述がありません。記述がないことが問題です。
月45時間の残業代は実際に残業をやった場合に、支払われるのでしょうか。残業代が予算化できない場合は、予算化できる範囲で上限規制を決める必要があります。事務職員などの残業代の制度が変わったという話は聞いていません。
また、1日5時間とありますが、それぞれの職種にあわせて時間を決めているかが問題です。
「1日5時間も命令することは
ないよ」という場合は、なぜそのような「時間外勤務等に関する協定書」(36協定)を結んだのかということになります。
県教委の「 協定書」には、
「協定」の有効期間は1年間とし、協定の改定は有効期間満了の日の1ヶ月前までに文書で申し入れをしなければならないとなっています。
全国の労働組合では36協定を
結んでも、時間外労働が改善されないために、36協定を1ケ月ごとに結び直して、時間外労働の縮減について経営者と労働組合
が協議する場を作っているという話もあります。
各学校では、「時間外勤務等に関する協定書」( 36協定)の締結にあたって職員代表と校長が文書を取り交わしていますが、その文書を全ての事務職員、現業職員、栄養職員に配布されていないところが多いのが現状です。
「時間外勤務等に関する協定書」(36協定)に基づいて、自分の仕事を見直す必要があることを考えれば、「協定書」を対象者全員に配布すべきです。
教員は36協定の対象外
教員は、「勤務時間の割り振りを適正に行い、原則として時間外勤務は命じない」というのが法令上の原則ですから、教員
は36協定の対象外です。
本来ならば教員にとって「定時出勤、定時退勤」がコンプライアンスで、始業前や夜中まで働くなどということはまさにコンプライアンス違反です。
しかし、終わらない仕事が山ほどあるのも実態で、36協定の対象外であっても「総労働時間の短縮という基本的認識に基づき、常に効率的、計画的な業務の執行に努め、時間外勤務及び休日勤務の縮減を図る」必要があります。
改正労働基準法を守るという立場に立って、定時出勤・定時退勤を原則としながらも、17時を過ぎて働く場合でも19時以後は学校に残らないことを職場のルールにしていく必要があります。また、業務間インターバル規制を運用させて、前日の仕事終了時刻から翌日の仕事開始時間を11時間以上空けるルールを徹底させる必要があります。
学校としては「終わらない仕
事をどうするか」の議論を進め、仕事削減を精力的に進める必要があります。そして、管理職がこうした取り組みの中心に座って、積極的にかかわるべきです。
また、長時間労働をしている教職員との懇談をすすめ、改善のための支援を強化すべきです。
これって変だよ
~研修の起案~
特別支援学校の話ですが、初任者研修などの研修レポートを校長に事前に起案させているというような実態があります。
数年前に新採だった教員から聞いた話ですが、起案の提出日が決まっていて、起案が非常に大変だったということでした。また、レポートの内容に対し て何回も訂正を求められてスト
レスがたまったということです。学校によっては研修レポート
をxxの教員の前で事前練習をするというようなこともあって、ますます忙しさとストレスが加速されています。
本来、研修レポートは教員の個人的なもので、不十分なレポートだったとしても研修会場で他の教員のレポートを読んだり、
話を聞いて自分の不十分xx足りない面などを自覚することで学習になります。
また、文章は個人的には自尊感情にも関わるものなので、必要以上に訂正を求められることは精神的にはきついことで、時にはパワハラとしか言いようがない実態も生まれます。
起案や事前練習は長時間労働になることを考えれば、すぐにでもやめるべきです。
また、レポートがうまく書けない人がいる場合は、個人的に呼んで話を聞いてあげたり、助言をすればいいだけです。その場合も本人の希望を優先すべきです。起案や事前練習を全員対象にして制度化することは、善意の押しつけでしかありません。、
これって変だよ
~昼休みの仕事~
「労働基準法」の規定では、 1日の労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分休憩時間を与えなければならないと決められています。
休憩時間は「会社の指揮管理下から外れて従業員自身が自由に使える時間」で、賃金を支払う義務はありません。学校では、 45分間の昼休みが休憩時間になります。
ところが、高校などでは会議を入れたり、生徒指導のための見回りの時間になっていて、自由に使える時間になっていない学校が少なからずあります。
生徒指導の見回りが毎日計画されている場合、法令上の休憩時間がないということです。休憩時間がないのはおかしいという疑問の👉も、「生徒指導のためだ」という大きな👉に押しつぶされています。
しかし、これも「働き方改革」の観点から、見直す必要があります。大きな事件があったとき、事件後に昼休みの見回りも必要かもしれません。しかし、「生徒は何をやるかわからない」という不信感を出発点にして、連日の見回りを強行することは教育的にも効果的な結果にはつながりません。
茨高教組
第92回定期大会
とき 5月26日(日)
10:00~16:30
場所 青少年会館
学校の現状について、とことん話し合いましょう。変なところはみんなで改善しましょう。